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アキュイティーと都立大長谷研究室、モーションキャプチャに関する共同研究

アキュイティー(株)は、東京都立大学大学院 システムデザイン研究科 機械システム工学域 長谷和徳教授とモーションキャプチャに関する共同研究を開始した。

●背景及び目的
 本共同研究は、人の身体運動の生体力学分析と高齢者などの体力弱者の身体動作を支援するための工学技術の研究開発を行っている長谷研究室と共同で、モーションキャプチャを活用した歩行動作分析の構築に向けた計測及び学習データの取得と精度検証を実施することで、社会課題の解決に向けた研究の推進と実装を目的としている。

 同社はこれまで、光学式モーションキャプチャシステム「OptiTrack」や、自社プロダクト「SKYCOM」を使用した3次元動作分析システムを駆使し、人の動作を高精度に計測・分析することで、スポーツのパフォーマンス評価や技術伝承などの様々な産業分野における課題解決のための実装を行ってきた。

 本共同研究を機に、先端研究の成果獲得と確かな裏付けに基づく社会実装をそれぞれが叶えられるよう、積極的に産学連携に取り組んでいくことを両者で確認している。 同社は、本共同研究を通じて、長谷研究室の研究分野である「福祉工学,リハビリテーション工学,生体力学(バイオメカニクス),スポーツ工学,人間工学,人間支援機械工学」等の分野における筋骨格や身体運動の計測・評価技術の向上に寄与できることはもとより、研究を臨床現場での実質的活用に結び付けることで、モーションキャプチャの応用可能性を拡大し、社会課題の解決に寄与できるとしている。

プレスリリースサイト:https://www.acuity-inc.co.jp/news/20240515/news_3689/

AI×ロボット、検査AIと近接覚センサで人の検査を再現した自動化が加速

(株)MENOU(メノウ)は、(株)Thinkerが提供する次世代型のセンサーである「近接覚センサー」を活用した、ピッキングから検査までを可能にする新たなソリューションの提供を開始した。
 MENOUは外観検査をAIで自動化するための、だれでもAI開発が内製化できるサービス「検査AI MENOU」を提供しており、ノーコードで使える上に汎用性が高いことから幅広い業種の検査現場で導入されている。

 外観検査の自動化において、撮像系選定の重要性はもちろんのこと、どのように搬送するかの検討もラインの自動化には不可欠である。本ソリューションは、より人の目に近い検査判定を可能とするMENOUと、より人の指先に近いピッキングを可能とするThinkerが連携することにより、熟練検査員レベルの外観検査を実現する。
 これまで検査の自動化を目的とした、ロボット導入時の障壁は「コストパフォーマンス」、「多品種少量生産への対応」、「ばらつきを持つ形状への適応」だった。そこで、MENOUの柔軟なAI開発機能と、対象物の距離や形状を瞬時に把握できるThinkerの近接覚センサーを連携させることで、3Dカメラシステムよりもコストを抑えたカメラで、多品種に対応しながら、ロボットでのピッキングを実現できるようになった。
 MENOUでカメラから取得した画像から座標情報を認識し、Thinkerの近接覚センサーを備えたロボットハンドで柔軟なピッキングを実現します。従来の3Dカメラによる方法に比べて導入時のティーチング負荷を軽減し、ピッキングから検査までのシステム立ち上げの高速化を実現する。

 また、この技術は協働ロボットとも組み合わせが可能で、既存の検査ラインを、自動化に投資できるコストに合わせながら段階的にアップグレードすることが可能となる。
 高い品質が市場から求められるモノづくりにおいて、人手不足により検査員の確保が困難になってきており、日々の検査品質の維持が困難という課題がある。そういった時代背景からも、検査AIによる自動化のニーズが拡大している。

 「検査AI MENOU」は目視検査をそのまま再現可能なため、「自動車部品検査」「電気・電子製品検査」「食品検査」「パッケージ検査」「インフラ点検」など、さまざまな検査現場で AI自動化導入が進んでいる。

・検査AI MENOUとは
 AIの専門知識を必要としない画像AI開発のための統合開発環境。検査員が行っている複雑で高度な検査・検品・点検ソフトウェアをプログラミングすることなく、ノーコードで開発することを可能にする。
 これまでAIエンジニアが行っていた「データ整形」「AIモデル構築」「AI評価」「AI組込」を1つのアプリケーションにまとめ、GUI操作のみで必要な作業ができるため、開発や保守・改良が可能となり、検査AIの内製化を促進するとのこと。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000058407.html

東京理科大、抗炎症・抗肥満作用を有するメントール誘導体を開発

【研究の要旨とポイント】
・がんや高⾎圧、肥満の予防、免疫力の向上などに効果のある天然成分のニーズは極めて高く、ミントの香気成分であるメントールは抗炎症薬として古くから用いられている。
・今回、メントールにアミノ酸を結合させることで、メントールよりも強い抗炎症作用を有する誘導体化合物を開発した。この化合物は、抗肥満作用もあわせもっている。
・開発したメントール誘導体化合物は、冷温感受性に関わるTRPチャネルを介して抗炎症作用を発揮するメントールとは異なり、脂質代謝制御因子LXRを介して抗炎症作用を示す。

【研究概要】
 メントールは冷感・鎮痛・抗肥満効果を持ち、食品や医薬品など、幅広い用途で活用されている。東京理科大学先進工学部生命システム工学科の有村源一郎教授らの研究グループは、メントールにアミノ酸の一種であるバリンおよびイソロイシンを修飾することで、メントールよりも優れた抗炎症のみならず、抗肥満作用も有する誘導体化合物を開発した。

 また、開発したメントール誘導体化合物の抗炎症作用は、メントールとは異なり、細胞内でコレステロールと脂質のバランスを制御する脂質代謝制御因子LXR(*1)を介して引き起こされることを解明した。

 近年、がんや高血圧、肥満の予防、免疫力の向上などに効果のある天然成分のニーズはますます高まりつつある。ミントの香気成分であるメントールにもそのような機能性が備わることが知られている。そこで本研究グループは、メントールを化学的に修飾することで、より優れた抗炎症と抗肥満作用を示す新規化合物を開発できるのではと考え、食品や医薬品分野で有望視されているバリンおよびイソロイシンで修飾したアミノ酸誘導体化合物を合成し、その特性を評価した。その結果、開発した化合物はメントールよりも優れた抗炎症に加え、抗肥満作用も有すること、抗炎症作用はメントールと異なりLXRを介して引き起こされる一方、抗肥満作用にはLXRは介在しないことが明らかになったという。
本研究成果は、2024年5月8日に国際学術誌「Immunology」にオンライン掲載された。

(*1)LXR :核内受容体の一種。コレステロールの排出に関連しており、慢性炎症や脂質異常に関係する。

プレスリリースサイト(tus):https://www.tus.ac.jp/today/archive/20240515_4774.html

最高40 GHzのアナログ信号生成に対応の新しいR&S SMB100Bマイクロ波信号発生器

 ローデ・シュワルツの新しいR&S SMB100Bアナログ・マイクロ波信号発生器は最高40 GHzのアナログ信号生成に対し、ミッドレンジ・クラスとして市場最高水準の優れた性能を発揮する。
 この汎用なR&S SMB100Bは、簡単な操作性と包括的な機能性により、8 kHz~40 GHzの高純度なアナログ信号や高い出力を必要とするさまざまなアプリケーションに最適である。レーダー受信機や半導体部品、アップコンバータ/ダウンコンバータ、アンプなどのテストが代表的な用途に挙げられる。高い出力と低い位相雑音を両立しており、ブロッキング・テストにおいて干渉源を模擬するのにも理想的である。
 
 R&S SMB100Bマイクロ波信号発生器は、すべての搬送波周波数に対して非常に低いSSB(single sideband)位相雑音、非高調波の効果的な抑制、低い広帯域ノイズをともに兼ね備えた高純度な信号生成を特長としている。もっと優れた近接位相雑音と周波数安定性を実現し、温度による性能の変動も抑えたいというユーザーに向けては、標準のOXCO基準発振器に加えて、全周波数帯域でより高い性能を発揮するモデルも用意している。従来の10 MHzの基準周波数のほか、オプションとして1 MHz~100 MHz、または1 GHzの基準周波数信号も選択可能である。さらに、実測値として20 GHzで25 dBm、40 GHzで19.5 dBmの高出力オプションがあり、キーコードで有効化できるため、ユーザーは購入後でもインストールできる。R&SSMB100Bマイクロ波信号発生器はカバー可能なマイクロ波周波数レンジに比して、軽量(10.7 kg)かつコンパクトであり、19インチ・ラックに収めてもその高さはわずか2ラック分に過ぎない。

 R&S SMB100B自体の直接的な出力のレベル確度は非常に優れているが、必要な信号の周波数が上がるごとに機器に正しく入力できるレベルを得るには難しい課題が増えていく。そこでR&S SMB100Bは、追加のテスト・フィクスチャやケーブル、アンプを用いたセットアップで発生するパス損失や信号の変動を補正するため、2つの特別な機能を備えている。これらの機能によって、リファレンス・プレーンとなる被試験デバイス(DUT)の入力において所定のパワーレベルが得られるようになる。その1つであるユーザー補正機能(UCOR)では、セットアップの周波数特性が既知で安定している場合に補正を行える。しかしながら、特にセットアップにアンプなどの能動デバイスが追加されている場合には未確定な要素が残る。外部の追加アンプを使ったセットアップでは、その周波数特性がレベルや温度によって変化する可能性があるからだ。こうしたすべての変動は、適切な R&S NRP パワー・センサで DUT への入力レベル、つまり必要なリファレンス・プレーンでの入力レベルを連続的に測定し、その測定レベルを信号発生器にフィードバックしながら出力パワーを調整するというクローズドループ・パワー制御を行えば補正が可能である。こうしたユースケースの詳細については、アプリケーションノート1GP141で確認できる。

 R&S SMB100Bは、細部にいたるまでユーザーフレンドリな製品となっている。たとえば、ユーザー独自のカスタムなメニューを作成でき、頻繁に使用するパラメータをいつでも使用できるようになる。また、SCPIマクロ・レコーダーを使用しながら測定をマニュアルでセットアップして実行し、測定を自動化するコードを生成しておけば、コード・ジェネレーターを使ってMATLAB®などの言語にコマンドをエクスポートできる。さらにR&S Legacy Proを使えば、R&S SMB100B(その他のローデ・シュワルツのテスト機器も含めて)は、R&S SMB100Aや他社の測定器なども直接エミュレートすることが可能である。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000085.000104512.html

スマート点検支援サービス「e-Platch™」に水・薬品・油漏れを遠隔で検知する漏液センサー

 TOPPAN(株)と、TOPPANエッジ(株)は、工場などの施設における水・薬品・油漏れを遠隔で検知する漏液センサーを、TOPPANグループが提供するスマート点検支援サービス「e-Platch™(読み:イープラッチ)」の新ソリューションの一つとしてラインアップ。2024年6月からデモを開始、2024年9月から量産・提供を目指す。

 本漏液センサーは、印刷配線技術を応用したテープ状の検知帯が特長である。2種類の検知帯を使い分けることで水や薬品漏れだけでなく油漏れにも対応することが可能になる。本漏液センサーをスマート点検支援サービス「e-Platch™」の新ラインアップとして提供し、より広範囲での漏液検知を可能にする。
 あわせて、「e-Platch™」のサービスリリース以降要望が多かった、初期導入費用を抑えた新料金プランや、既存システムとの連携を目的とした外部向けAPIの提供も順次開始し、これまで以上に手軽に「e-Platch™」を導入することが可能になるという。

■ 本漏液センサーのラインアップおよび新サービス拡充の背景
 近年、人手不足や少子高齢化の影響もあり、工場におけるDX、自動化の需要が急速に高まっている。特に工場や産業施設においては建屋の老朽化に伴い配管等からの漏液事故が増加傾向にあることから、広い敷地内や奥まった点検箇所を限られた人手で定期的に点検して回る必要があり、遠隔で自動的に漏液を検知出来るシステムの導入が求められていた。

 この様な課題に対し、本漏液センサーはどこでも繋がる無線通信機能を搭載し、また柔軟に実装が可能な印刷配線技術を活用したテープ状の検知帯を用いることで、より広範囲での漏液検知を可能とした。さらに「e-Platch™」に連携することで、漏液だけでなく温湿度や電力量、異常音など、工場における各種監視対象のパラメーターについても一括管理を可能にし、工場などで求められている点検作業の効率化を網羅的に実現する。
 また、これまで要望の多かった初期導入費用の低減を目的とした新料金プランの提供や、顧客企業が導入済みの、既存の見える化システムにもデータ連携を可能とする外部向けAPIの提供も進める。

■本漏液センサーの特長
・印刷配線技術を応用した2種類の検知帯
印刷配線技術を用いたテープ状の検知帯により、広範囲かつ柔軟に実装が可能となる。また、水・薬品漏れ用と油漏れ用の2種類の検知帯があり、幅広い液体を検知することができる。

・どこでもつながる無線通信
有線ネットワークの敷設が難しい排水処理場などの離れた設備や配電盤の中など、一般的には電波が届きにくい場所においても安定した通信が可能である。地下やクリーンルーム内などあらゆるポイントにおいて遠隔監視を手軽に実現する。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001397.000033034.html

介護見守りシステム「ネオスケア」に 状態検知センサー『ネオスケアwave』新登場

ノーリツプレシジョン(株)は、現在販売中のネオスケア(Neos+Care)システムに状態検知機能を追加する新センサーを2024年5月より販売開始する(オープン価格)。

■新機能の特徴
1) 非接触型の状態検知センサー
60GHzミリ波レーダーを使用した非接触のセンシングにより居室の明暗に関係なく利用者の状態を検知が可能で、夜間見回りの負担軽減や、利用者の状態悪化の発見、健康管理や予防に活用できる。

2) 利用者の今の状態を見える化
利用者の入床・離床、拍動、呼吸数などの状態を、PC画面の一覧表示でリアルタイムに把握できる。利用者の状態を確認の上、訪室要否が判断できる。

3) 利用者の状態の変化を通知
利用者の状態の変化を、スマホ端末に通知する。状態の変化に気づき、適切な対処を行うことができる。

4) 利用者の中長期の状態を把握
利用者の状態の推移をグラフで表示する。利用者の体調の変化や、中長期的な状態の変化に気づくことができる。

プレスリリースサイト:https://www.atpress.ne.jp/news/394307

ナノ粒子をポリマーコーティングによって線虫体内へ蓄積させることに成功

<発表のポイント>
・ポリマーコーティングによりナノ材料の線虫体内での蓄積を制御した。
・土壌モデル生物である線虫がナノ粒子を体内に蓄積する条件を発見した。
・環境負荷の低いナノ材料や生体送達能力の高いナノ材料の開発が期待できる。

◆概 要
 岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(理)の藤原正澄研究教授、岡山大学高等先鋭研究院異分野基礎科学研究所のゾウ ヤジュアン助教、仁科勇太教授らのグループは、筑波大学システム情報系の鹿野豊教授、京都大学大学院人間・環境学研究科の小松直樹教授、京都大学医生物学研究所の中台枝里子教授らのグループと共同で、ナノ材料の表面を親水性高分子ポリグリセロールでコーティングすることで、環境化学や細胞生物学のモデル生物として知られる線虫C. elegans(Caenorhabditis elegans)の体内へのナノ材料蓄積を制御することに成功した。  本研究成果は、2024年4月20日に、科学誌「Chemosphere」のオンライン版に掲載された。

 ナノ材料は土壌改良や水質浄化に有用な物質として近年盛んに開発されている。一方で、相当量のナノ材料が土壌や海洋河川などに流出し得るため、それらナノ材料の環境および生態系への影響が懸念されている。今回、代表的なナノ材料である酸化鉄ナノ粒子の表面をポリグリセロールという親水性高分子ポリマーにより被覆することで、土壌モデル生物である線虫体内への蓄積を抑制することに成功した。

 また、ナノ粒子表面を人為的に正負に帯電させることで蓄積量が変化することも明らかとなった。このポリグリセロールによる被覆は様々なナノ材料に適用可能なため、将来的に、ナノ材料の環境負荷を下げることが期待される。また、逆に、線虫などにナノ粒子を蓄積させる技術の基盤ともなるため、効果的な薬剤送達・蓄積技術への展開も期待される。

 本情報は、2024年5月9日に岡山大学から公開された。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002194.000072793.html

「プラネタリーヘルス」実現へ。衛星データ利用により、気候変動・大気汚染問題に取り組む。

 (株)sorano meは2021年より三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)〔以下、「MURC」〕を事業パートナーとしてプラネタリーヘルス事業の検討を開始し、2023年からは(株)三菱UFJ銀行〔以下、「MUBK」〕や、大気汚染問題に取り組む現地スタートアップPT. Nafas Aplikasi Indonesia(以下、「Nafas」)の協力も得た上で内閣府宇宙開発戦略推進事務局の「令和5年度課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」に採択され、「PM2.5濃度推測モデル」を構築した。
 同社はビジョンに掲げている「わたしたちの日常を、宇宙ビジネスで豊かにする」を実現するため引き続き長期的な活動を続けていくという。

■三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)・(株)三菱UFJ銀行との協業事業について
 昨今、世界的に深刻化する気候変動や大気汚染によって健康被害(循環器・呼吸器疾患等)が生ずることが明らかとなってきている。そこで、衛星データ・測位データやIoT・ドローン計測を中心としたリモートセンシング技術の社会実装を行う同社は、デジタルヘルス含む最新のテクノロジーを活用し、グローバルヘルスの課題解決に取り組むMURCとの連携事業を開始した。同社とMURCは、大気汚染による健康被害が社会課題となっているインドネシアに着目し、2022年に現地関係者との事業化に向けた調整や現地視察を実施した。その過程で、現地のスタートアップとの連携が実現し、2023年9月、内閣府の2023年度「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」にMURC・MUBKと共に採択された。

 本実証プロジェクトでは、現地スタートアップNafasの持つ地上環境データ(IoTデバイスにより取得された、大気汚染や気象に関するデータ)と衛星データ等を掛け合わせた「PM2.5濃度推測モデル」を構築し、ジャカルタ首都特別州(※セリブ諸島を除く)のPM2.5濃度を可視化することに成功した。
 今後同社は、開発モデルの精度向上を目指すと共に、他地域への展開も含め検討を進めていく。加えて日々の疾患リスク変動を天気予報のように共有することが可能な「プラネタリーヘルス疾患リスク可視化システム」の構築を目指す。そのため、現地の医療データ(保険データ)を扱う企業などとの連携を深め、医療データとPM2.5濃度データを組み合わせることで、関連疾患の罹患リスク推測モデル構築を目指す。これにより、大気汚染関連の健康被害に悩まされる人々に対して有益な情報を提供し、リスクに応じた行動変容を促進するとのこと。

■Nafasとの連携について
 Nafasは、空気質改善を通し人々の健康改善に取り組むグリーンテック・スタートアップ企業である。Nafasはジャカルタ特別州を中心に地上IoTセンサを約130箇所設置し、そこから観測されるPM2.5等の情報を、大気汚染マップアプリを通じて市民に提供している。また、空気質モニタリング・ハードウェア連携・AIを活用した空気質分析を組み合わせ、屋内・外の包括的なソリューションを提供している。
sorano meが本連携事業を通して構築した「PM2.5濃度推測モデル」をNafasと連携し活用することで、同社の事業コスト最適化、事業地域・対象顧客の拡大等を通じ、現地の健康被害の改善が期待できるとしている。  

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000077861.html

配送ロボットやドローンなどの安全運行を実現するデジタル基盤とルールの構築

NEDOの委託事業である「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業」(以下、本事業)において、このたび、立命館大学は、複数のロボットを活用し、複雑なシステム連携を行う際のデータ連携基盤の運用に係る実証を本格的に開始する。

本事業を通じて、配送ロボットやドローンなどの自律移動ロボットに必要な種々のシステムのように、運用者の異なる複数システムが高度に連携するシステム(System of Systems:SoS)を形成した際に生じる課題を解決することで、ヒトとロボットが共生し、急速な変化に適応する自律進化を促す社会「Society5.0」の実現を目指す。

1.概要
NEDOは本事業※1において、立命館大学と「複雑なシステム連携時に安全性及び信頼性を確保する仕組みに関する研究開発」(以下、本テーマ)に取り組んでいる。
本テーマでは、配送ロボットやドローンなどの自律移動ロボットに係る種々のシステムのように、運用者の異なる複数システムが高度に連携するシステム(System of Systems:SoS※2)を形成した際に生じる課題(事故の予見や原因特定が困難など)の解決を目指している。
具体的には、SoS運用時のデータの収集・管理・共有が可能となるデータ連携基盤を構築するとともに、従来の一律で詳細な法規制とは異なる新たなガバナンスのあり方(アジャイル・ガバナンス※3)について検討する。

2.実証の概要
立命館大学は、自律移動ロボットの運用データおよびガバナンスに係るデータの収集・管理・共有のためのデータ連携基盤「アジャイル・ガバナンスプラットホーム」(以下、本プラットホーム)を研究開発している。
本プラットホームの構築により、運行中の配送ロボットやドローンなどの自律移動ロボットから取得されるセンサ情報のほか、建物側に設置される監視センサ(カメラ、LiDARなど)情報の統合管理により、事故やヒヤリハット発生時に、短時間での原因の特定と類似災害を防止するための情報共有などを実現する。
立命館大学は、2023年9月より大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市)内のコーヒーショップと連携した配送ロボットをはじめ、自律移動ロボットの運行と本プラットホームの運用を繰り返してきた。そしてこのたび、5月19日の「いばらき×立命館DAY※4」を皮切りに、キャンパス内の大学生協のショップと連携した配送ロボットや清掃・警備ロボットも追加し、複雑なシステム連携時における本プラットホーム運用の実証を本格的に開始する。

3.今後の予定
NEDOと立命館大学は今回の実証を通じて、実用性および安全性の向上に資する知見を開発にフィードバックする。これにより、複数のシステムが連携した際、万が一事故が発生しても、原因究明や責任の特定の迅速化に資する本プラットホームの実現を目指す。また、アジャイル・ガバナンスの研究との両輪により、ヒトとロボットが共生し、急速な変化に適応する自律進化を促す社会「Society5.0」の実現に向け取り組んでいくという。

【注釈】
※1 本事業
 事業名:産業DXのためのデジタルインフラ整備事業
 事業期間:2022年度~2024年度
 事業概要:産業DXのためのデジタルインフラ整備事業

※2 System of Systems:SoS
 ドローンやサービスロボットなどの自律移動ロボットに係る種々のシステムのように、運用者の異なるさまざまなシステムが複雑に相互接続して短期間で更新されていくシステム全体のこと。従来の一律で詳細な法規制に基づくガバナンスのみでは、「事故の予見」「原因の特定」「原因が複数存在する」といったSoS特有の課題への対応が困難である。また、SoSでは、各システムの高頻度更新や人工知能(AI)による判断の増大など、そのシステムの安全性・信頼性評価などが膨大かつ高頻度になっていくことが想定され、その省力化が重要になる。

※3 アジャイル・ガバナンス
 政府、企業、個人、コミュニティーといったさまざまなステークホルダーが、自らの置かれた社会的状況を継続的に分析し、目指すゴールを設定した上で、それを実現するためのシステムや法規制、市場、インフラといったさまざまなガバナンスシステムをデザインし、その結果を対話に基づき継続的に評価し改善していくモデルのこと。

※4 いばらき×立命館DAY
 立命館大学大阪いばらきキャンパスで開催される一般公開イベントのことで、学生と地域住民のつながりをつくること、イベントに参加した団体同士で交流を深めてもらうことなどを目的とし、大阪府茨木市共催のもと開催している。

プレスリリースサイト(nedo):https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101743.html

「透明度」「電気伝導度」「柔軟性」に優れる多点マイクロ電極搭載 コンタクトレンズ

◇発表のポイント

・市販のコンタクトレンズに搭載可能な、小さく透明で柔らかい複合マイクロメッシュ電極を実現
・本研究グループがこれまでに開発した導電性高分子を用いた電極技術により実際に市販のコンタクトレンズへの貼付、および局所的に絶縁することに成功
・これにより、網膜の局所的な応答を計測する複数点同時網膜電位計測が可能
・本成果は、緑内障や網膜色素変性症に伴う盲点評価につながる

 早稲田大学大学院情報生産システム研究科の三宅丈雄教授、アザハリ・サマン助教の研究グループと山口大学大学院医学系研究科眼科学講座の木村和博教授・芦森温茂助教らの研究グループは、市販のコンタクトレンズに搭載可能な、小さく透明で柔らかい多点マイクロ電極を開発し、これまで技術的な課題のあった網膜の局所的な応答を測定することが可能となることを確かめた。
 これは、半導体微細加工技術によって、実用にも耐えうる82%以上の光透過性を持ち、かつ、微小な電位を計測可能な複合マイクロメッシュ電極(導電性高分子と金の複合化)である。
 さらに、市販のコンタクトレンズに本マイクロ電極を貼り付け、網膜電図(ERG)計測に用いる以外のリード線を絶縁化することにも成功した。開発した電極は、角膜上皮細胞を用いて95%以上の生存率を実現できること、また、家兎試験によって市販のERG電極と同等の性能を有することを確認した。
 さらに、アレイ化された7マイクロ電極でERGを多点計測できることを確かめた。これら成果は、緑内障や網膜色素変性症に伴う盲点評価などにつながるという。

 以上は、(国研)日本医療研究開発機構(AMED)、キヤノン財団の助成による成果であり、2024年5月7日にWileyの科学誌「Advanced Materials Technologies」にオンライン版で公開された。

プレスリリースサイト(waseda):https://www.waseda.jp/inst/research/news/77474