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GaNデバイスの性能を最大限に引き出す超高速ゲートドライバICを開発

 ローム(株)は、超高速でGaNデバイスを駆動するゲートドライバIC「BD2311NVX-LB」を開発した。
 新製品は、ナノ秒(ns)オーダーのゲート駆動スピードを実現し、GaNデバイスを高速にスイッチングさせることが可能である。この特性は、GaNデバイスを熟知し、ゲートドライバICの性能を追求できたからこそ実現できた特性であり、最小ゲート入力パルス幅1.25ナノ秒での高速スイッチングにより、アプリケーションの小型化、省エネ化、高性能化に貢献する。
 また、独自の駆動方式を採用することで、これまで非常に難しいとされていたゲート入力波形のオーバーシュートを抑制する機能も搭載しており、過電圧入力によるGaNデバイスの故障を防ぎ、ロームのEcoGaN™と組み合わせて構成することで、セット設計の容易化を実現するとともに、アプリケーションの信頼性向上にも寄与する。さらに、アプリケーションによるさまざまな要求に対しても、ゲート抵抗を調整することで、最適なGaNデバイスを選定することが可能である。
 新製品は、2023年9月より量産を開始(サンプル価格900円/個:税抜)している。インターネット販売も開始しており、チップワンストップやコアスタッフオンラインなどから購入することができる。
 ロームでは省エネ・小型化に寄与するGaNデバイスを「EcoGaN™」としてラインアップしており、今後、これらGaNデバイスの持つ性能を最大限引き出すゲートドライバICを組み合わせたパワーソリューションを提供することで持続可能な社会への貢献を目指すという。

ニュースリリースサイト:
https://www.rohm.co.jp/news-detail?news-title=2023-09_news_gate-driver&defaultGroupId=false

NECプラットフォームズ、夜間でも鮮明にデジタル映像化し高度な監視業務のDX化を支援する超高感度低ノイズカメラ

 NECプラットフォームズは、人の目では認識できない闇夜でも鮮明なデジタル映像化が可能な超高感度低ノイズカメラ(型番:NC-H100) (注1)を10月1日から販売開始する。

 新製品は、微弱な光を捉える「高効率化特殊光学系(注2)」と、イメージセンサで検出した信号のノイズに対して抑制・低減を2段階で処理する「映像適応型デジタル信号処理エンジン(注3)」の2つの独自技術を搭載しています。これにより、当社の従来製品に比べ高感度撮影時のノイズを約75%(注4)低減することができ、従来製品ではノイズに埋もれて視認できなかった対象物の可視化が可能になる。昼夜・天候を問わず対象物を映像化して遠隔からモニタリングすることや、画像解析などの技術と組み合わせて様々な現場を映像化することが可能となり、監視業務の自動化・効率化によるDX化を支援する。

 夜間に対象物を撮影する際は、特殊なカメラである高感度カメラを一般的には使用する。高感度カメラは光を捉え増幅することにより映像化するが、人の目では認識することができない星明り程度の超高感度撮影の領域(感度:+60dB前後)に達すると、捉えたわずかな微光を増幅し映像化するため、輝度ノイズや色ノイズといった複数のノイズも増幅されることで対象物がノイズに埋もれてしまい、視認判別が難しくなる。
 本製品は、これまで撮影することができなかった環境でも独自の高効率化特殊光学系と映像適応型デジタル信号処理エンジンにより、非常に弱い光も検出しながらノイズを大幅に抑制・低減することで鮮明なデジタル映像化を実現する。これにより、自然災害対策として夜間の河川・海岸・山の斜面・火口監視や、安全対策としての鉄道や空港での不審行動や異常事態監視、放送局やケーブルテレビ局における報道用の定点観測、野生生物の生態観察、星雲・オーロラや天体観測などの様々な場面で活用することが可能。さらに、ノイズを大幅に低減したデジタル映像で対象物の画像判別がより容易になり、解析用システムによる画像の自動解析率が向上する。

(注1)「超高感度」とは、当社の技術指標ではゲイン(増幅率)+60dB以上のカメラ感度を指す。従来製品はゲイン+48dB以上であり撮影領域は「高感度」であるとして区別をしている。
(注2)高効率化特殊光学系とは、当社独自で新たに開発した特殊光学技術を用いて微弱な光の信号を余すことなく検出できる光学系部分。
(注3)映像適応型デジタル信号処理エンジンとは、超高感度撮影時に発生する様々なノイズ(輝度ノイズ、色ノイズ、熱ノイズ、ランダムノイズ、固定ノイズ、電源ノイズ、伝送ノイズ、回路内ノイズ、回路外ノイズ等)を複合的に組み合わせてデジタル信号処理を行うエンジン。
(注4)従来製品において感度約48dBでの撮影時に検出されるノイズ量と、新製品における感度約60dB程度での撮影時に検出されるノイズ量が同等。感度60dBは、感度48dBから4倍程度の増幅度が必要なことからノイズの75%(1/4)低減を実現した。

ニュースリリースサイト:https://www.necplatforms.co.jp/press/202309/20230920_01.html

水晶と水晶を用いたセンサー(2)

佐藤 健二(さとう けんじ)
セイコーエプソン(株)
マイクロデバイス事業部
佐藤 健二

3.2 水晶の加工法

 水晶の加工法には、大きく分けて3つの方法がある。「機械加工」「ウェットエッチング」「ドライエッチング」の3種類である。現状、量産技術としては、機械加工とウェットエッチングが主に用いられている。ここでは3つの加工法について概要を説明する。

3.2.1 機械加工 5)

 最も基本的な加工方法が機械加工である。機械加工は、図7に示すようなワイヤーソーでの切断や、ラッピングマシンでの研磨などがそれにあたる。また、数mmサイズの振動子に個片化するのも機械加工が主な手段であり、何段階もの機械加工を施すことによって、仕上がり精度が数μmのバラツキの少ない振動子が実現できている。
 厚みすべり振動を用いるATカットの振動子では、振動効率を上げるために、単純な平板ではなく、平板の中央部が厚く、周囲にいくにしたがって徐々に板厚が薄くなるような、べべルやコンベックス(図8)と呼ばれる曲面加工を行うこともある。これらの曲面加工は、所望の曲面をもつ円筒形あるいは球状の加工機の中に、個片の水晶素子とともに研磨剤を入れ、回転させることで加工機の曲面を水晶素子に転写する。
 これらの機械加工は水晶特有のものではなく、他の結晶の加工と共通している。

図7 ワイヤーソーによる切断
図7 ワイヤーソーによる切断
図8 べべルとコンベックス
図8 べべルとコンベックス

3.2.2 ウェットエッチング 2)

 ウェットエッチングとは、エッチング液(エッチャントともいう)に浸すことで、水晶を加工する方法である。水晶だけでなく、シリコン(Si)などでも広く利用されている加工法の一つで、機械加工やドライエッチングに比べ、大量かつ高速に加工することができるのが大きな特徴である。水晶のエッチング液には、フッ化水素酸水溶液や重フッ化水素アンモニウム水溶液、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムの混合液(バッファードフッ酸)などが用いられる。
 水晶のウェットエッチングでは、異方性のため結晶面によってエッチング速度が異なり、ウェットエッチング後の形状を矩形や円形など単純な形状にすることや、エッチング加工面を垂直にすることは難しい。フォトマスクの形状、エッチャント温度やエッチング時間などを組み合わせることで、意図する形状に近づけることはできる。振動子やセンサーとしての特性に影響を与えないような素子設計が重要となる。

3.2.3 ドライエッチング 2)

 ドライエッチングとは、シリコンなどの半導体部品の製造に多く用いられている方法で、外形加工など深堀りを行うのは、反応性イオンエッチング(RIE: Reactive Ion Etching)法を用いて加工を行うことが多い。水晶やガラスなどの素材も、この技術によって加工することができる。
 ドライエッチングは、ウェットエッチングのデメリットである結晶の異方性によるエッチングレートの違いを気にせず加工できることから、より設計者の意図する形状に加工しやすい。しかし、エッチングレートがウェットエッチングに比べ遅く、加工にはプラズマが必要であり、加工装置の制約上、プラズマを発生させる領域が限られているため大量に加工できないのが欠点である。水晶製品の量産技術として使われることは現状少ない。

4 水晶を用いるセンサー

 水晶をセンサーとして用いる場合は、水晶を振動させ、その振動周波数で検出する方式が用いられることが多い。水晶を用いる優位点は以下のとおりである。

 ・圧電性を有しているため、振動を励振させやすい
 ・温度に対する振動周波数の安定性が高く、Q値(共振先鋭度)も高いため、誤差が少ない
 ・単結晶で物質的に安定しており、経時変化に強い

 前述のとおり、水晶振動子はその振動周波数が安定であるため、誤差の少ない高精度なセンサーとして構成しやすい。また、周波数検出方式は高い分解能で計測でき、デジタル変換が容易であり、高精度のセンサーに向いている。

4.1 水晶を用いるセンサーの種類 6)

 水晶を用いた主なセンサーの素子形状や振動形態、検出方式などを表1に示す。振動形態は厚みすべり振動と屈曲振動のいずれかであり、検出方式の多くが周波数検出であることが分かる。ここでは、温度センサー、圧力センサー、力覚センサーについて述べるが、QCM、ジャイロセンサー、加速度センサーは、ここの別の記事を参照願いたい。

表1 水晶を用いた各種センサーの振動形態と検出方式
センサー種類 素子形状 カット角 振動形態 検出方式
QCM 円形板、矩形板 ATカット 厚みすべり振動 周波数検出
温度センサー 円形板、矩形板 Yカット 厚みすべり振動 周波数検出
圧力センサー 双音さ +2°X 屈曲振動 周波数検出
加速度センサー 双音さ +2°X 屈曲振動 周波数検出
ジャイロセンサー 音さ +2°X 屈曲振動 電荷検出
力覚センサー 円形板、矩形板 Yカット 振動利用なし 電荷検出

4.1.1 温度センサー

 温度センサーには、多くの種類があり、測定できる温度範囲や測定精度に違いがある。熱膨張を利用する水銀温度計、異なる金属接合部で発生するゼーベック効果を利用する熱電対、セラミックや高分子材料などの温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタや白金測温抵抗体などもある。
 水晶温度センサーは古くから用いられており、Yカットの厚みすべり振動や、1次の温度係数を高くした音さ振動子のタイプもある。周波数検出方式のため、高分解能の温度センサーとして利用されてきた。水晶温度センサーの分解能は、高いもので0.0001℃のものも製品化されていたが、最近では見られなくなった。

4.1.2 圧力センサー

 圧力センサーには、ダイヤフラム構造の表面が圧力を受けることで生じる歪みや変形をピエゾ抵抗や静電容量で検出するもの、またベローズやブルドン管など、圧力による機械的な変形量を計測するものがある。
 水晶を用いた圧力センサーは、ベローズの機械的な変形を利用したもので、圧力によって生じた変形を双音さ振動子の軸方向に加えることで、振動周波数の変化として測定する方式である。非常に高精度で高い分解能があり、ダムの水位計などに利用されている。また、気圧計としても利用されており、数cmの高さによる気圧の違いを計測できる性能をもっている。

4.1.3 力覚センサー

 力覚センサーとは、力やモーメントの大きさや向きを計測するセンサーである。これは人間の触覚と同じように、物体にかかる力を計測することで、微妙な力加減や制御を機械的に再現することができる。検出原理により、光学式、歪ゲージ式、静電容量式や圧電式などがある。水晶の力覚センサーは、圧電式に該当する。
 これまでの他のセンサーとは異なり、振動させて使うものでもなく、周波数検出方式でもない。計測したい力を水晶に加えることで圧電効果によって発生した電荷を検出することで、その力の大きさを測定する。微小な力であっても圧電効果によって電荷は発生するので、広いダイナミックレンジの力を検知することができる。

5 おわりに

 本稿では、水晶と水晶を用いたセンサーについて説明してきた。まず、水晶の結晶異方性や圧電性、人工水晶の製造方法や加工方法について紹介した。次に、水晶を用いた各種センサーについて、水晶が使われることでの特徴などについても紹介してきたが、概要的な説明になってしまったので、詳しくは各種文献等を参照願いたい。
 今後も、水晶の特性を活かした、小型で高感度かつ高精度なセンサーが人々の生活をよりよくしていくことだろう。環境にやさしく、持続可能な社会に水晶が役立つことを心から願っている。



参考文献

  1. 「人工水晶とその電気的応用」, 滝 貞男著, 日刊工業新聞社, (1974)
  2. 「圧電材料学の基礎」, 池田拓郎著, オーム社 (1984)
  3. 「水晶周波数制御デバイス」, 岡野庄太郎著, テクノ (1995)
  4. 「マイクロセンサ工学」, 室 英夫編著, 技術評論社 (2009)


【著者紹介】
佐藤 健二(さとう けんじ)
セイコーエプソン株式会社 マイクロデバイス事業部 TD商品開発部

■略歴

  • 1995年山形大学 理工学研究科 電子情報工学専攻 博士前期課程修了
  • 1995年東洋通信機株式会社 入社
    水晶振動子(MHz帯)の設計業務に従事
  • 2000年東京都立大学 工学研究科 出向
    有限要素法による水晶振動子の設計応用の研究およびメサ型水晶振動子の工業化の研究
  • 2004年山形大学 理工学研究科 生体センシング機能工学 博士後期課程修了
    水晶を用いたジャイロセンサーの研究開発に従事
  • 2005年セイコーエプソン株式会社 マイクロデバイス事業部
    車載向けのジャイロセンサーの開発・設計業務に従事
    車載/センサーのマーケティング、戦略業務に従事
    加速度センサーの開発業務に従事

水晶ジャイロセンサーについて(2)

押尾 政宏(おしお まさひろ)
セイコーエプソン(株)
マイクロデバイス事業部
押尾 政宏

3. ジャイロセンサーの重要特性

 ジャイロセンサーには様々な特性があり、アプリケーションに応じて適切なセンサーを選択する必要がある。以下にポイントとなる重要特性についてまとめる。

3.1 アラン分散

 静止時の出力値(バイアス出力)を評価する指標としてアラン分散がある 1)。測定は、静止状態で長時間センサー出力を計測することで行い、アラン分散σ(τ)は、測定時間の間隔τとその時間内のセンサー出力平均値の分散から式(3.1)の様に求める。

 図3-1はアラン分散σ(τ)と測定時間間隔τの関係を示す概念であり、ここでは詳細説明を割愛するが、1枚のグラフでセンサー出力のノイズ成分や時間変動分を表すことができる。バスタブ曲線を描き、縦軸の値が小さいほど優れたセンサーである。τ-1/2 の領域は角度ランダムウォーク(ARW: Angle Random Walk)と呼ばれホワイトノイズを表し、τ0の領域(σの最下点)はバイアス安定性(BI: Bias Instability)と呼ばれ、フリッカノイズ(1/fノイズ)と密接な関係がある。

図3-1 アラン分散σと測定時間間隔τの関係
図3-1 アラン分散σと測定時間間隔τの関係

3.2 バイアス出力温度特性

 温度によるバイアス出力の変化を示す指標である。本特性が安定していると、環境温度の変化に影響されず、僅かな回転運動を検出できる。例えば、カーナビゲーション等のジャイロセンサーの角速度出力を時間積分する用途では、温度による出力変化が大きいと時間経過とともに測定誤差が積算され、車両が走行している向きを正確に測定できない。

3.3 耐衝撃・振動特性

 振動や衝撃により加速度が加わった際のバイアス出力の変化を示す指標である。本特性が優れていると、外部から振動や衝撃を受けた際の影響を抑え、正確に角速度を測定できる。例えばジャイロセンサーが車両に搭載され、走行中に路上からの振動が伝わった場合、本特性が悪いと、センサー出力にノイズが発生し誤測定の原因となる。

4. ダブルT型水晶ジャイロの動作原理と特長

 水晶が持つ圧電効果を応用した振動ジャイロとして、Kikuchi 2) はT型振動子を組み合わせたダブルT型構造を考案し、高精度かつ信頼性の高いジャイロセンサーを実現した。人が感じられない程の僅かな運動を検出できることや、振動・衝撃に対して影響を受けにくいといった特長をもち、カメラの手ブレ補正やカーナビゲーション、車載安全など、様々なアプリケーションに搭載されてきた。本章では動作原理と特長について説明する。

4.1 ダブルT型水晶ジャイロの動作原理

 T型振動子とは、固定部からT字型の振動子が平面内に伸びた図4-1の様な屈曲振動子を言う。このT型振動子には、T字の両端が同方向に動く図4-2(a)の振動モードが存在し、これを駆動振動モードとして用いると、この振動子に面内の回転角速度(紙面垂直の回転軸)が加えられた場合、振動方向と直角をなす方向にコリオリの力が働くので、T型振動子の基部(図4-1のBase部)が屈曲する。すると、図4-2(b)の振動モードが励振され、この振動を検出することによって、振動ジャイロが構成できる。

図4-1 T字型振動子
図4-1 T字型振動子
図4-2 T型振動子の駆動振動モード(a)およびT型振動子の検出振動モード(b)
図4-2 T型振動子の駆動振動モード(a)およびT型振動子の検出振動モード(b)

 図4-3に示す様にダブルT型構造は、2つのT型振動アーム、2つの検出共振アームと中央の連結部からなっている。2つのT型振動アームは中央連結部から突き出し、更に、その対称軸線上に2つの検出共振アームを突き出した構造である。その駆動振動モードは、図4-3(a)に示す様に両方のT型振動アームが同位相で広がったり縮んだりする屈曲振動モードである。この振動子に、紙面垂直の軸に回転が加えられた場合、振動方向と直角にコリオリの力が発生するため、図4-3(b)に示す様な検出振動モードが励振される。
 ダブルT型構造は、回転時にコリオリ力が2つのT型振動アームに発生し、その力を効率良く検出共振アームに伝えることができるため、感度の高い構造となっている。また、2つのT型振動アームの対称軸線上に検出共振アームが配置されているため、検出共振アームは、駆動振動モードでは振動せず、静止時の出力が安定する理想的な構造となっている。

図4-3 ダブルT型構造の駆動振動モード(a)および検出振動モード(b)
図4-3 ダブルT型構造の駆動振動モード(a)および検出振動モード(b)

 実際の製品では、フォトリソグラフィを用いた水晶加工技術を駆使して小型化したセンサーチップ(図4-4)が使用され、重心を中央連結部1か所で支持している。このセンサーチップの振動アーム断面は三次元的に加工され、振動子の電界印加効率は格段に向上し、アームが細く小型になっても、インピーダンスが低減され、低電圧駆動が実現されている。またアームの先端にシュモクザメのような「ハンマーヘッド」を付けて、小型化しつつ感度を高めている。

図4-4 ダブルT型構造のセンサーチップ
図4-4 ダブルT型構造のセンサーチップ

4.2 ダブルT型水晶ジャイロの特長

 以下に本章で説明してきたダブルT型水晶ジャイロの特長を挙げる。
 ① 出力のノイズや時間変動が小さい
 ② 温度による出力の変化が小さい
 ③ 振動・衝撃による出力の変動が小さい
 ④ 経時変化が小さく、特性ばらつきが小さい

 ダブルT型水晶ジャイロはその動作原理や構造から、高感度で高いS/N比が得られるため、低ノイズで高安定な特長をもつ。図4-5にアラン分散のグラフを示す。最新製品のバイアス安定性は1゜/hを下回り、ARWは0.065゜/√hを実現している。

図4-5 アラン分散特性
図4-5 アラン分散特性

 図4-6はダブルT型水晶ジャイロのバイアス出力温度特性をシリコン製の容量型MEMSジャイロと比較したグラフである。ダブルT型構造は、母材に用いている水晶の物性が安定であることや、支持系からの応力を受けにくい構造的な特徴を持っていることから安定した出力が得られている。また、センサーチップを中央連結部1点のみで支持する構造は熱応力を伝えにくく、補正が困難となる温度昇温時、降温時の出力差(ヒステリシス特性)も小さく抑えることができる。

図4-6 ダブルT型水晶ジャイロ(a)とシリコン製MEMSジャイロ(b)のバイアス出力温度特性
図4-6 ダブルT型水晶ジャイロ(a)とシリコン製MEMSジャイロ(b)のバイアス出力温度特性

 振動・衝撃の耐性に関しては、様々な評価方法が存在するが、ここでは落下衝撃試験の結果を示す。図4-7はダブルT型水晶ジャイロとシリコン製の容量型MEMSジャイロを並べ、400Gで落下させた時の衝撃応答を調べたものである。シリコンMEMSジャイロは衝撃の影響により、出力が大きく変動しているのに対し、ダブルT型水晶ジャイロの変動は僅かである。ダブルT型構造は、直線加速度を受けると2本の検出共振アームから同相信号が出力され、差動回路により信号をキャンセルできること、また、センサーチップの重心を中央連結部1か所で支持されていることにより、振動や衝撃の影響が軽減されている。

図4-7 ダブルT型水晶ジャイロとシリコン製MEMSジャイロの400G落下衝撃応答
図4-7 ダブルT型水晶ジャイロとシリコン製MEMSジャイロの400G落下衝撃応答

 また、ダブルT型水晶ジャイロは単結晶圧電体の水晶を用いているため、材料の劣化が小さく、特性の経時変化が小さい。更に、圧電性を利用することによりシンプルな構造で駆動・検出ができることや、フォトリソグラフィを用いて加工精度が高められることで特性ばらつきを抑えられるという特長をもつ。

おわりに

  ジャイロセンサーはこれまで様々なアプリケーションに用いられ、安全・安心で快適な社会の実現に寄与してきた。今後も小型で安価な振動ジャイロは、精度の向上によって応用範囲は広がっていくと考えている。特に近い将来、本格的な実用化が期待される自動運転技術には、高精度な自己位置推定技術が要求され、衛星測位システム(GNSS: Global Navigation Satellite Systems)と慣性センサーを組み合わせた手法は必須技術になると予測している 3,4)。ジャイロセンサーはこの統合システムにおいて、GNSSが苦手とするトンネル下や高層ビル、街路樹間の走行における相対的な位置推定の役割を担う。ジャイロセンサーのバイアス(若しくはオフセット)やドリフトは位置推定に大きな影響を及ぼすため、精度の高いものが望まれる。本稿で紹介した水晶ダブルT型ジャイロセンサーは精度が高いだけでなく、安全性の面でも車載用として多くの搭載実績があり、自動運転を実現する重要デバイスとして期待している。



参考文献

  1. IEEE Standard Specification Format Guide and Test Procedure for Single-Axis Interferometric Fiber Optic Gyros, IEEE Std. 952-1997.
  2. T.Kikuchi et al., ” Miniaturized Quartz Vibratory Gyro Sensor with Hammer-Headed Arms,” 2004 IEEE International Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control 50th Anniversary Joint Conference, FC2-H-6, Aug.2004.
  3. 高野瀬碧輝, 渥美善規, 滝川叶夢, 目黒淳一, ”都市環境下で適用可能なGNSS/IMUに関する研究”, 自動車技術会論文集, Vol.51, No.4, pp.721-726, 2020.
  4. 瀧澤照夫, “高精度MEMSジャイロセンサ技術動向と自動運転車への応用可能性”, 技術情報協会, 自動運転車に向けた電子機器・部品の開発と制御技術, pp177-188, 2022.


【著者紹介】
押尾 政宏(おしお まさひろ)
セイコーエプソン株式会社 マイクロデバイス事業部 TD商品開発部 課長

■略歴

  • 2000年電気通信大学 機械制御工学科 修士課程修了
  • 2000年セイコーエプソン株式会社 入社
    弾性表面波デバイスの研究開発に従事
  • 2009年水晶ジャイロセンサーの開発設計に従事
  • 2020年TD商品開発部 課長

水晶加速度センサーについて(2)

中仙道 和之(なかせんどう かずゆき)
セイコーエプソン株式会社
マイクロデバイス事業部
中仙道 和之

3. 水晶加速度センサーのアプリケーション例

 開発初期のターゲットアプリケーションは、地震観測[2]でした。人が感じる事が出来ない極微小な振動から、巨大地震が発生する非常に大きな振動まで計測する必要がある地震観測は、水晶加速度センサーの特徴である低ノイズで広い計測ダイナミックレンジが活かせると考えたからです。同時期に2011年3月に東日本大震災、2012年12月に中央自動車道の笹子トンネル事故、日本では国民の安全な生活を脅かす大きな災害や事故が発生し、社会インフラの老朽化が社会課題として広く認識されるようになりました。この課題を解決するために人に変わってセンサーを活用して社会インフラの点検や監視を実施して、効率的に安全性を高める技術が注目されました。特に構造物の微小な動きから健全性を診断する技術が盛んに開発されていました。しかし、橋やビル、トンネルなどのインフラ構造物は巨大で質量も重いため、発生する振動は微小で低周波となります。一般的に0.1Hz~数10Hz程度の周波数で、発生する加速度も非常に小さいため、高感度のセンサーが必要となります。高感度のセンサーとして、サーボ型が地震観測などに使われていました。しかし、耐久性や価格に課題があり、橋などの安全監視に適用することは困難でした。そこで、サーボ型センサーに匹敵する高感度特性と高い耐衝撃性を両立する水晶加速度センサー M-A352/M-A552を開発しました。更にデジタル出力で低消費電力なため、システム構成がシンプルで安定に稼働する監視システムの実現にも貢献しました。これによって、インフラ構造物の安全監視に高感度センサーの適用を可能にしました。
 その後、計測周波数範囲を1,000Hzまで拡大したM-A342/M-A542を開発し[3]、大型回転機器へ適用アプリケーションを拡大しました。近年、地球温暖化により想定外の大雨や洪水が頻発する現代、治水に関わる河川やダムの水門を安全に管理することは、地域住民の安心・安全な生活に必要不可欠なものになっています。本センサーは、国の管理指針[4]に基づき水門やダムのゲートを開閉するモーターなどの振動を計測し、状態の把握と適切なメンテンナスを実現します。図5に、水晶加速度センサーの計測範囲と適合アプリケーションを示します。

図5.計測範囲と適合アプリケーション
図5.計測範囲と適合アプリケーション

4. まとめ

 本稿では、水晶加速度センサーの動作原理と特徴を中心として、適用アプリケーションの概要についても紹介しました。水晶を素材とする独自の素子構造と独自の周波数カウント技術により、低ノイズで広い検出レンジを有し、高感度なのにデジタル3軸で使いやすいセンサーを実現しました。今後も、社会課題を起点としてセンサー開発とアプリケーション開発を同時に進めながら、水晶加速度センサーが安心・安全で持続可能な社会インフラや産業インフラの実現に貢献しつづけるデバイスとなることを期待しています。



参考資料

  1. 松田,“水晶振動子による加速度センサーの微動観測への適用性に関する検討,” 土木学会論文集A1(構造・地盤工学),Vol.76,N0.4,I_793-I_803,2020.
  2. 佐藤,“振動の精密リサージュ図形描画アルゴリズムとこれを用いた状態監視/診断技術に関する研究,”日本機械学会 年次大会,2022.
  3. 国交省,“ダム用及び河川用水門設備状態監視ガイドライン,”総合政策局 公共事業企画調整課 施工安全企画室,2018.


【著者紹介】
中仙道 和之(なかせんどう かずゆき)
セイコーエプソン株式会社 マイクロデバイス事業部 TD商品開発部 課長

■略歴

  • 1995年長岡技術科学大学 電子工学科 修士課程修了
  • 1995年東洋通信機株式会社 入社
    光通信用光学デバイスの開発設計に従事
  • 2007年セイコーエプソン株式会社 入社
    水晶センサーの開発設計及び、新領域の事業開発に従事
  • 2018年MSM推進プロジェクト 企画設計 課長
  • 2022年TD商品開発部 課長

水晶振動子をトランスデューサとするe-Nose型ニオイセンサ(2)

橋詰 賢一(はしづめ けんいち)
(株)アロマビット
最高技術責任者
橋詰 賢一

4 アロマビット製e-Nose型ニオイセンサ

アロマビット社は創業時よりe-Nose型ニオイセンサに特化して開発及び製品化を進めている。弊社では上記のトランスデューサのうち最も歴史が長く、電子部品としても成熟している水晶振動子と将来の超小型化・低価格化を視野に入れたFET・CMOSの二種類に着目し、これらをニオイセンサとして有効に利用するための感応膜開発および測定されるパターンデータの解析と匂い判定技術を中心に技術開発を行っている。
図-3にアロマビットで開発、販売している水晶振動子型およびCMOS型のセンサモジュール製品の写真を示す。図に示したように、水晶振動子型はセンサ表面に吸着した分子の重量の測定、CMOS型は吸着により生じる感応膜上の電気的変化を測定するという意味で、それぞれ体重計と体組成計のような概念的な違いがあるが、いずれも異なる感応膜に対するニオイ分子の親和性の違いを読み取りパターン化するという点では同じ原理のセンサである。

図-3 アロマビット製ニオイセンサ及びそれぞれの動作原理の違い
図-3 アロマビット製ニオイセンサ及びそれぞれの動作原理の違い

水晶振動子型ニオイセンサ用の吸着膜は創業時より先行して開発していたこともあり、現在は40膜をお客様にご提供している。40膜すべてを搭載した匂い分析装置 Aroma Coder V2 も上市している。(図-4)

図-4 Aroma Coder V2
図-4 Aroma Coder V2

このAroma Coderを用いて様々なニオイ物質を測定し、レーダーチャートの形で表現した結果を図-5に示す。相違がわかりやすくなるように選抜した28膜としているが、アンモニアとアミン、アセトアルデヒドとプロピオンアルデヒドが一定の類似性を示すことから、Aroma Coderを用いた匂いのパターン化が一定の有用性がることがわかる。
また、これらの物質を例に取ると、アンモニアやトリメチルアミンなどの高極性物質においてはCMOS型ニオイセンサでも十分な感度を有する感応膜の開発に成功しているが、酢酸エチルやトルエンなどの低極性物質に関しては今のところ水晶振動子型のセンサ向けの吸着膜が進んでおり、現状では水晶振動子型センサが一歩選考しているという状況である。
ただしCMOS型の感応膜の開発も順調に進んでおり、膜の種類という視点ではここ2年ほどで両方とも同程度の感応膜のラインナップが準備できると考えている。

図-5 Aroma Coderを用いたニオイ物質のパターン化
図-5 Aroma Coderを用いたニオイ物質のパターン化

5 最後に

これまで述べてきたようにe-Nose型ニオイセンサはその仕組が最初に提唱されてから既に60年にもなる古い概念のセンサである。また、水晶振動子デバイスも大変歴史が長く成熟した技術であり、こうした完成度の高い2つの技術を組み合わせることでデジタル化の困難であった嗅覚という感覚をデータ化できる可能性を持つセンサである。
21世紀に入ってからこのようなアプローチでいくつものスタートアップが製品化・事業化を目指して開発を進めてきたが、近年のビッグデータ解析技術や人工知能技術の発展に伴って多次元で表現される匂いパターンデータをAIの助けを借りて用意に利用できる環境が整ってきた。この環境下で上記のように完成度の高いe-Nose型ニオイセンサ技術と組み合わせることで様々な社会的なニーズに答えることができる可能性が飛躍的にましていると考えている。
弊社においても、このような匂いのパターン化・デジタル化の技術に対して期待されている用途分野は業界を問わず多岐にわたっている。図-6にはそれらのうち、弊社が把握しているいくつかの産業界における用途の例を示す。
これらの他にも、匂いのデジタル表示、健康管理や病気検知など無数の応用が期待されている。

図-6 e-Nose型ニオイセンサの用途の一例
図-6 e-Nose型ニオイセンサの用途の一例


【著者紹介】
橋詰 賢一(はしづめ けんいち)
株式会社アロマビット 最高技術責任者

■略歴

  • 1983年日本カーリット株式会社中央研究所入社 主として電子材料・機能性化学品の開発に従事
  • 1991年ERATO吉村π電子物質プロジェクト研究員 ファインカーボン・テーラードカーボンの基礎研究に従事
  • 1999年ノキア・ジャパン株式会社ノキアリサーチセンター入社 リサーチマネージャおよびプリンシパル・サイエンティストとしてプリンタブルエレクトロニクス、バイオマテリアルおよび5感通信技術の研究を行った
  • 2008年Invention Development Fundにて材料技術・環境技術・エネルギー技術担当ディレクターとして10年先を見越した技術開発テーマの策定と知財化を行った
  • 2014年株式会社アロマビット最高技術責任者

JVCケンウッド、水上バス「エメラルダス」にて、通信型ドライブレコーダーを活用した実証実験

 (株)JVCケンウッドは、Marindows(株)と共同で、東京都観光汽船(株)が運行する水上バス「エメラルダス」において、通信型ドライブレコーダーを活用した船舶の安全な運航を目指す実証実験を実施した。
 本実証実験では、自動車・バイク向けの技術・ノウハウにより、コストを抑えて手軽な設置を実現した通信型ドライブレコーダーを使用。「エメラルダス」の操舵室に2台のカメラを設置して、前方を180°以上の広角で撮影し、本機を船舶の運航に活用できることを確認した。

<実証実験の背景と目的>
 同社は、長年培ってきた映像・光学技術と車載技術の融合により、ドライブレコーダーには欠かせない高機能・高信頼性・高画質録画を実現し、自動車保険やライドシェア、トラック運送業界など、さまざまな分野との連携により、個人/企業向けに通信型ドライブレコーダーを核とするテレマティクスソリューションの提供を推進している。
 近年、国土交通省が小型の遊覧船などを対象にドライブレコーダーの設置を義務づける方針を固める※1など、自動車だけでなくさまざまな乗り物(モビリティ)においても万が一のために映像を記録する気運が高まっている。一方、従来の船舶用として市場展開されている記録カメラは高額なものが多く、導入しやすい製品が求められていた。そうした状況を受け当社は、風雨や塵・埃などにさらされる環境下での使用に対応できる防塵・防水仕様※2の通信型ドライブレコーダー(モビリティカメラ、2023年1月18日報道発表)を船舶向けにカスタマイズ。テクノロジーで海事産業の課題解決と発展に取り組むMarindowsと協働し、海外からの観光客など利用者が急増し、より一層の安全な洋上運行の実現を目指す東京都観光汽船の協力のもと、同社の水上バス「エメラルダス」にて、実証実験を実施することとなった。

※1:国土交通省 知床遊覧船事故対策検討委員会 旅客船の総合的な安全・安心対策(令和4年12月22日) https://www.mlit.go.jp/maritime/content/001580159.pdf
※2:JIS防塵保護等級6級・防水保護等級7級(IP67)相当

<実証実験の内容と今後の取り組み>
 本実証実験では、自動車・バイク向けの技術・ノウハウによりコストを抑え、手軽に取り付けできる、同社製の防塵・防水仕様※2の通信型ドライブレコーダーを船舶向けにカスタマイズして使用した。操舵室に2台のカメラを取り付け、180度以上の広い画角で前方の映像を撮影して、船舶特有の運行時の撮影や位置情報などのデータ取得、各種機能の動作などを検証。船舶でも運用可能であることを確認できた。
 今後は、結果を分析して実用化を目指すとともに、ドライブレコーダーとしての機能だけではなく、洋上運行特有のソリューションの開発に向けた検討を予定しているという。同社は、価格面や設置面での導入障壁を抑えることで、大型船から小型船まで幅広い船舶で安全な洋上運行への貢献を目指し、通信型ドライブレコーダーの普及を進め、新たなテレマティクスソリューションとして展開する。

<実証実験の概要>
・実験期間:2023年7月26日から8月31日まで
・対象船舶:東京都観光汽船 水上バス「エメラルダス」 (乗船人数:約100名)
 https://www.suijobus.co.jp/ship/emeraldas/
・対象航路:浅草~お台場海浜公園間
・検証事項:・船舶特有の運行時の映像録画 (波、船のすれ違い、橋げた近くでの運行など)
      ・データ取得(位置情報など)  
      ・各種機能の動作 など

ニュースリリースサイト(jvckenwood): https://www.jvckenwood.com/jp/press/2023/0915-01.html

小野測器「DX・スマートファクトリー化」を促進するデジタル回転計TM-4000シリーズ

(株)小野測器は、デジタル回転計のラインアップをリニューアルし、「TM-4000」全4シリーズを2023年9月14日より順次発売開始する。

 同社は1954年の創業以来、電子計測器の製造および販売を行ってきた。また同年には、国内初となるジェットエンジンの回転数を計測する回転計を開発。航空分野をはじめ、二輪・四輪車、建設機械、自動車部品業界等、様々な分野において、デジタル計測機器のパイオニアとして技術・研究開発のサポートを行ってきた。
 昨今では、家電製品や運搬・工作機械、発電装置などの産業機械の分野で、あらゆる回転機器が使用されている。その回転速度を正確に計測、制御することは、生産性や効率化を阻害するロスを最小限に抑えることに繋がる。
同社は、「TM-4000」シリーズを市場投入することで、多様化する回転速度計測へのニーズに対応しながら、家電製品や運搬・工作機械の分野における「DX・スマートファクトリー化」の実現をアシストするという。

■新製品4つのポイント
・従来機種の機能と性能を継承しつつ、高精度、高応答化を追求
・有機ELディスプレイを採用
・オプション機能としてEthernet通信に対応
・様々な活用シーンに対応した機能ラインアップを用意(10月順次リリース予定)

ニュースリリースサイト:https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/whats_new/press/23_09_14.htm#

日本ペイント、日光市の自動運転実証実験に特殊塗料「ターゲットラインペイント」提供

日本ペイント・インダストリアルコーティングス(株)は、この度、栃木県日光市で行われる自動運転実証実験に、自動運転用特殊塗料「ターゲットラインペイント」を提供する。本実証実験は、2023年9月21日~2023年10月4日の期間、日光国立公園内に位置する赤沼車庫~千手ヶ浜間の約9.3キロのコースを自動運転バスが走行する。

本実証実験は、栃木県が実施する2025年度に自動運転システムを導入した県内路線バスの本格運行を目指す、「栃木県ABCプロジェクト」の一環※1で取り組むもの。

今回、同社が提供するターゲットラインペイントは、自動運転用の特殊塗料である。車両に搭載したセンサが、路面に塗装されたターゲットラインペイントを認識・追従することで、安定した自動走行を行なう。また、本実証実験の環境下のように樹木等が生い茂り、衛星測位システム(GNSS)が入りにくい場所でも、自己位置を見失わず安定した走行を実現することが可能である。

日本ペイントグループは、今後も様々な場所でターゲットラインペイントの展開拡大を目指し、塗料技術を生かした自動運転の普及へ貢献していくという。

■実証実験概要
 走行コース  :日光国立公園内の赤沼車庫と千手ヶ浜を結ぶ約9.3キロの区間
 実施期間   :2023年9月21日~2023年10月4日(9月23日(土)と9月28日(木)は運休)
 運賃     :大人(中学生以上)500円・小児(6~12歳)250円
 自動運転レベル:レベル2

ニュースリリースサイト(nipponpaint):
https://www.nipponpaint-holdings.com/news_release/20230913_01_1/

デジタルツイン技術×MR技術で日本国内初の教育研修を実現

 DataMesh(株)は、(株)ネクスコ東日本エンジニアリングが群馬県高崎市に拠点を有する、ネクスコ東日本エンジニアリング テクニカル・トレーニングセンター(以下:テクニカル・トレーニングセンター/略称:TTC)※1において、技術者育成の課題解決を目的に、デジタルツイン技術、MR技術※2を活用した教育研修用ツールの開発支援を行った。

 ETC設備、トンネル非常用設備をデジタルツイン技術で3Dデータとして再現し、MR技術の活用により現実空間上に3Dデータを重畳させた教育研修は、日本国内初の取組みであるという。

※1 テクニカル・トレーニングセンター(略称:TTC)について
所在地:〒370-1203 群馬県高崎市矢中町21-2
「施設設備と土木構造物のメンテナンスに関する技量向上」を目的とし、テクニカル・トレーニングセンターでは実際に高速道路上で使われているETC設備や土木構造物のカットモデルなどの実物を使用しメンテナンスや故障対応等の実践的な教育・訓練を行っている。

※2 MR技術について
MR技術は、Mixed Reality(複合現実)技術の略称。現実世界と仮想世界を融合させることができる技術。

ニュースリリースサイト:https://www.datamesh.co.jp/news-release/4078/