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異常検知ソリューション「Impulse」、リアルタイムに要因を可視化する新機能

ブレインズテクノロジー(株)は、異常検知ソリューション「Impulse」に、AIモデルが異常判定をした際、異常要因となるセンサ値の候補をリアルタイムに表示する新機能をリリースする。

■「Impulse」について
「Impulse」は生産活動に関わる複雑で膨大なデータ(センサ、音声、画像、動画など)を駆使し、AI技術により閾値ベースの管理では発見できない異常を検出したり、機械の判断をより人に近づけることができる異常検知ソリューション。

2014年に市場に先駆け本サービスをリリース後、機械や設備の故障予兆検知、不良品の検出、作業工程の分析・改善を支援するため、実際の現場で30,000を超えるAIモデルが稼働している。

Impulseご紹介ページ:https://www.brains-tech.co.jp/impulse/
Impulse導入事例ページ:https://www.brains-tech.co.jp/impulse/case/

■トラブルを迅速に対処するサポート機能の開発・実装について
社会インフラを支えるユーティリティ・プラント設備の保全業務は、機械の高度化や設備の複雑化により、必要とされる知識や技術が高度化する上に、慢性的な人材不足が生じている。

そこで、保全員の業務負荷を軽減させ、トラブルを迅速に対処したいというニーズに応え、「Impulse」のAIモデルが異常を検知した際、異常要因となるセンサ値の候補をリアルタイムに表示する新機能を追加した。本機能により、異常をいち早く把握できるだけでなく、どの箇所に対して確認・対処を行うべきかの初動対応を強力に支援する。

■今後の展望
過去の同一事象との関連性の探索による根本原因の追求や、「Chat EI(当社が開発する生成AIナレッジチャット)」との連携によって過去の障害報告書等を活用した対処方法のレコメンドを行うなど、ベテラン保全員のノウハウを次世代に引き継ぐ機能追加を見据える。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000014739.html

ST、広い動作温度範囲を備えたシングルゾーンのダイレクトToF測距センサ

STマイクロエレクトロニクスは、-40°C~105°Cの幅広い動作温度範囲を備えたシングルゾーンのdToF(direct Time-of-Flight)測距センサ「VL53L4ED」を発表した。
同製品は、過酷な環境での使用にも対応し、産業機器やFA(ファクトリ・オートメーション)機器、ロボットの誘導システム、屋外照明の制御、セキュリティ・システムなどのアプリケーションにおいて、周辺光の強い条件下での近接検知および測距性能の向上に貢献するという。

STのdToF測距センサ「VL53L4ファミリ」を拡充するVL53L4EDは、レーザー・エミッタとSPAD(単一光子アバランシェ・ダイオード)検出器アレイを集積した利便性の高いオール・イン・ワン・モジュールで、幅広い温度条件下で信頼性に優れた測距を実現する。次世代レーザーを搭載しているため、強い周辺光下における性能が向上しており、近距離で高い測距精度を提供する。また、プロセッサも組み込まれているため、自律動作による省電力化が可能で、ホスト・システムのリソースに必要な負荷の削減に貢献する。

VL53L4EDは、全視野角使用時に、幅広い動作温度範囲で最大1150mm離れた対象物の距離を高精度で測定することができる。周辺光の強い環境でも、特殊な設定により800mmまでの正確な測距が可能である。また、最短1mmまでの近距離測距において直線性を維持し、最大周波数100Hzまでの測距に対応する。

さらに、拡張ソフトウェア・パッケージ「X-CUBE-TOF1」を利用することで、STM32Cube開発エコシステムを活用でき、VL53L4ファミリのセンサを使用した製品を迅速に開発することができる。すぐに利用できるソフトウェアとして、ドライバの「STSW-IMG034」も提供されており、割込みコマンドによってVL53L4EDやVL53L4CDを超低消費電力の近接検知モードに切り替えれば、ユーザ検知やシステム起動、タッチレス制御などにも使用可能。液面モニタリング用のサンプル・コードを含むソフトウェア・パッケージ「STSW-IMG039」も提供されている。
ハードウェアとしては、サンプル・コードの動作確認やアプリケーション構築の簡略化に貢献する、STM32 Nucleoボード「NUCLEO-F401RE」用の機能拡張ボード「X-NUCLEO-53L4A3」や、試作開発用のブレークアウト・ボード「SATEL-VL53L4ED」も提供されている。

VL53L4ファミリのセンサは、すべてピン互換性を有し、LGAパッケージ(4.4 x 2.4 x 1mm)で提供される。VL53L4EDは現在量産中で、単価は4500個購入時に約2.3ドル。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001401.000001337.html

芝浦工大、地盤沈下と液状化のリアルタイム被害予測システムの開発

 芝浦工業大学学部・稲積真哉教授(地盤工学研究室)らの研究チームは、土地の地盤強度を予測し、地震による地盤沈下と液状化のリアルタイム被害予測システムを開発した。これにより、構造物の建設に適した地盤を持つエリアの特定が可能となり、地震発生時の構造物倒壊のリスク抑制に繋がるという。

 これまで地震の影響を受けやすい土地の調査については、特定の地域における限定的なサンプリングにとどまっていた。本研究では、東京都世田谷区内433地点の地盤データを収集し、緯経度や標高などの地理的データと統合することで、広範囲における支持層※1の分布を示す3次元マップの作成に成功した。これにより、開発用地やインフラ、公共施設の設計・配置を最適化できるほか、リアルタイムで複数地点の土地の状態を予測できるため、潜在的な危険をいち早く特定する早期警報システムとしての機能も期待される。
 なお、この研究成果は、2024年5月6日付の「Smart Cities」誌に掲載された。

研究の背景
 地震による地盤変動が生じると、土地の地盤は沈下や液状化によって弱体化していく。 そして、地盤が構造物の重量を支えきれなくなることで、倒壊を引き起こすリスクが発生する。このような地震の影響を受けやすい土地の調査は、これまで特定の地域における限定的なサンプリングにとどまっており、広範囲の場所で土壌の状態を評価することは困難とされてきた。

研究の概要
 標準貫入試験※²とミニラムサウンディング試験※³という、土の密度と基礎の必要条件を評価する2つの方法を用いて、東京都世田谷区内の433地点の地盤データを収集した。これらのデータにクリギング法※⁴と呼ばれる統計手法を適用し、緯経度などの地理的座標に基づいて支持層の厚さと深度を予測した。これにより、世田谷区の広範囲における支持層の分布を示す3次元マップを作成することに成功した。さらに、予測精度を向上させるためバギング法※⁵を採用し、地盤データに加えて標高などの地理的データを含めた。
 土層の支持力※⁶と厚さは、地盤が建物やその他の重量構造物を支える能力があるかを示す指標の一つとなる。今回作成した支持力特性を示す3次元マップは、構造物が安定した基礎の上に建設されているかどうかを判断でき、地盤変動が発生した際の倒壊リスクを最小限に抑えることができる。さらに、本モデルは地中の水分や地盤の動きなどのパラメーターを監視するセンサから得られるリアルタイムデータと統合できる。これにより、土壌状態の変化を継続的に監視することが可能となり、土壌の不安定性など健全性を損なう潜在的リスクを特定し、開発用地やインフラ、公共施設の設計・配置を最適化できる。

今後の展望
 当システムは、都市計画における災害リスクの軽減を促進し国際連合が提言する「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標11「住み続けられるまちづくりを」に貢献するものと言える。目標11では、都市をより包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にすることが目指され、とりわけ日本のような地震多発地域においては、柔軟な都市計画の実行が求められる。本研究は、国や自治体が新たな都市計画を考える際や、建設業者が事前のリスク評価を行う際に役立てられ、将来的には、個人が携帯電話等でリアルタイムに地理データや警報を確認できるシステムへの活用にも期待される。

語句解説
※1 支持層
 構造物が不均一に沈下する(不同沈下)などの有害な変形が起きず、構造物を支えることに適した地盤。
※2 標準貫入試験
 地盤を打撃することで、その強度を調べる試験。ボーリング調査の一種で、地盤の硬さ・軟らかさのほか、試料の採取、地盤の締まり具合などが判断できる。所定の試験深度まで試験孔を掘削し、63.5kgのハンマー(打撃装置)を760mmの高さから自由落下させ、サンプラーを試験孔底から150mm貫入させる。予備打ち後、再度、ハンマーを760mmの高さから自由落下させ、サンプラーを貫入させ、300mmの貫入に必要な打撃回数から地盤の強さを表す値(N値)を求める。
※3 ミニラムサウンディング試験
 土中に金属棒を差し込み、その抵抗力を測定する動的貫入試験。重さ30kgのハンマーを35cmの高さから自動落下させ、直径36.6mmのコーンを地中に打ち込み、20cm貫入した時の打撃回数(Nmd値)とロッドを回転させるために必要な トルク(Mv)からN値を求める。
※4 クリギング法
 散在するデータポイントから、より正確な推定値を生成するために用いられる手法。データ間の空間的な相関を考慮することで、単なる平均値を超えた、現象の空間的な振る舞いをより詳細に捉えることが可能となる。特に、地質学や土壌学、環境 科学などの分野で広く利用される手法。
※5 バギング法
複数のモデルからの予測結果を組み合わせて、より精度の高い結果を得る「アンサンブル学習法」のうちの1つ。モデルを並列に組み合わせて、多数決をとる手法。
※6 支持力
地盤が支えることのできる力の大きさ。地盤のN値が大きいほど、大きな値となる。

プレスリリースサイト(shibaura-it.ac):
https://www.shibaura-it.ac.jp/headline/detail/20240718_7070_623.html

エッジAIを搭載し“群れ”として働く「システム天井施工ロボット」開発

(株)テムザックは、鹿島建設(株)と6台の建築ワークロイド「システム天井施工ロボット」(プロトタイプ)の開発を共同で進めている。

 システム天井施工ロボットは、オフィスビルのシステム天井を施工するもの。天井ボード施工のみならず、その前工程である吊りボルトやTバー施工もロボットで実現し、システム天井施工の工程を幅広くカバーする点が世界初となるという。

 本ロボットには、テムザックが他のロボット開発においても得意としている「群制御」を活用している。比較的小型のロボットを複数台用意し、各工程を担う複数のロボットにそれぞれ別の役割を持たせている。それぞれのロボットに搭載されたエッジAIも用いながら群として制御することで、1つのミッションを実行している。また、上流工程のロボットは作業中に施工情報を共有し、それに応じて下流工程のロボットは作業内容を調整し施工する、工程間の連携も行う。

 比較的小型のロボットを群で動作させることにより、施工現場の広さに応じたロボット投入や、搬入出条件が厳しい環境下での利用、一部の工程のみ実施したい場合への対応など、ロボット活用条件・適用範囲の調整が容易に行える実用性を備えている。 本ロボットは、すでに国内の複数にわたる鹿島建設のオフィスビル建設現場での試験施工を実施しているとのこと。

■エッジ側にAIを搭載した群ロボット
 比較的小型のロボットにAI(人工知能)が搭載され、それぞれのロボットは各担当のタスク状況を解析、理解した上で、自らのタスクを調整、遂行することによって、システム天井を施工する大きなミッションを達成していく。それぞれのロボットが自律的に状況の共有と把握、動作を行うことで、個々に異なる現場環境への投入を容易にする。

■システム天井施工ロボット(Prototype)について
 オフィスビルの天井を施工するロボット。天井ボード施工のみならず、その前工程である吊りボルトやTバー施工もロボットで実現し、システム天井施工の工程を幅広くカバーする。

機能紹介
① 吊りボルト施工ロボット
 1台。天井を吊り下げるための「吊りボルト」を運び、ビル駆体に取付ける。天井には梁や設備、ケーブルが既に設置されており、それらを認識して吊りボルトを取り付けられるか判別する。また、ロボットは吊りボルトを挿入する対象を自動で検出して正確に挿入する。
② Tバー施工ロボット (メイン)
 3台1セット。天井の骨組みとなる3種類(長、中、短)の「Tバー」のうち、長いTバーを連携して、組み上げる。1台はTバーの運搬および吊りボルトとTバーを金物で固定する。もう1台は長いTバー同士を長手方向に連結、固定する。最後の一台はTバーに残りの吊りボルトを固定する。Tバー同士の連結ではロボット同士が自身やTバーの位置情報等を共有して共同作業を行う。
③ Tバー施工ロボット (サブ)
 1台。中、短のTバーを運搬し、中のTバーは長いTバーの間に、短いTバーは中のTバーの間に入るよう固定する。全てのTバーを組み終わると、格子状の骨組みができあがる。
④ 天井ボード施工ロボット
 1台。組み上がった骨組みに天井ボードを設置する。数種類の距離センサを有し、骨組みとの位置関係や天井裏の吊りボルトなどの障害物を認識して、ボードの差し込み方向や設置位置を調整する。
○全ロボット共通:台車ロボット

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000057.000029724.html

生成AIを活用したIoTアプリケーションをローコードで開発「SORACOM Flux」

 (株)ソラコムは、デバイスから送信されたデータ、画像や外部データを元に、生成AIによる分析・意思決定を含むアクションを組み合わせたIoTアプリケーションをローコードで開発できる「SORACOM Flux(ソラコム フラックス)」を、2024年7月17日より提供開始する。

 IoTデータの活用がビジネスにおいて進んでいる。複数のデータソースやデータ形式を組み合わせ、AIで分析・判断を行い、その結果をIoTデバイスの制御に反映させるような高度なアプリケーションの構築の必要性が高まっている。

 SORACOM Fluxは、センサやカメラなどのデバイスから数値データや画像が送信されるイベントに対して、ルールを適用し、複数のデータソースや生成AIを組み合わせてデータの分析や判断、通知ツールなどの外部アプリケーションへの連携を実行するサービスである。ユーザーコンソール上での操作により、イベントの内容や条件分岐を含むアクションを組み合わせることができる。

 本サービスの利用で、デバイスからクラウドにデータを連携し、クラウドからデバイスを制御するような仕組みをローコードで開発できる。たとえば、工場や倉庫に既設の監視カメラを活用して異常検知を行う仕組みであれば、カメラの画像を生成AIサービスを使って解析する。その上で異常を検知した場合に現地にある警報灯を鳴らす、といった連携制御を行うアプリケーションをユーザーコンソール上の操作で構築できる。

 検知すべき内容や結果の出力は、生成AIに渡すプロンプトとして自然言語で記述できる。ビジネスのノウハウや現場の知識を踏まえたアプリケーションの構築も、ソフトウェア開発の専門知識がなくとも実現可能である。

 対応する生成AIサービスは、OpenAI GPT-4o、Azure OpenAI、Amazon BedRock、Google Geminiなどの主要サービスから選択できる。これらの高度な汎用モデルの活用で、特定のユースケースに特化した機械学習モデルの構築や学習などを行うことなく、AIを活用したIoTアプリケーションを速やかに構築できる。

 提供開始より、SORACOMのアカウントをお持ちのすべてのお客さまは、SORACOM FluxのFreeプランをご利用いただける。作成できるアプリ数やイベント数に制限のないProプランおよびEnterpriseプランは2024年秋より提供予定。

◆ローコードIoTアプリケーションビルダー「SORACOM Flux」

提供開始日
 2024年7月17日

特徴
 SORACOM Flux はローコードIoTアプリケーションビルダーである。デバイスから送信されたセンサデータ、カメラから送信された画像に対して、ルールを適用し、複数のデータソースや生成AIを組み合わせて分析/判断する。その結果をIoTデバイスの制御に反映させ、IoTアプリケーションをローコードで構築できる。

SORACOM Fluxで作成できるIoTアプリケーション
以下をトリガーが利用できる。
・デバイスからSORACOMへのリクエストの送信
・SORACOM Harvest Filesへのファイルの保存、更新、削除
・SORACOM APIを使用したリクエストの送信
・タイマーによる時間や時間間隔の経過

アクションとして、以下を設定できる。
・AIサービスの呼び出し
・Webhookの呼び出し
・簡易物体検知
・Slack通知
・メール通知
・LINE通知

利用料金
 Free版:無料

 作成できるアプリ数やイベント数に制限のない有償のPro/ Enterpriseプランを2024年秋に提供予定。ご関心をお持ちの方はお問い合わせのこと。

Free プランの提供内容
 200リクエストまでを無償で利用できる。
 作成できるアプリ数:3
 イベント数: 300/日

利用できるモデル
・GPT-4o(Azure OpenAIまたは OpenAIのAPI keyを持ち込み可)
・Claude3/3.5(Amazon Bedrock上のClaude3 Haiku、Claude3/3.5 Sonnet,Claude3 Opus)
・Gemini(Gemini 1.5 Flash,Gemini 1.5 Pro)
・簡易動体検知(YOLO)

製品サイト(soracom):https://soracom.com/ja/news/20240717-soracom-flux

浮体式洋上風力発電の実証段階および商用運用段階における計測について(2)

(国研)海上・港湾・航空技術研究所
海上技術安全研究所
中條 俊樹

3.商用運用段階に求められる計測システム

 商用運用段階においては、2節に示すような計測システムの構築は初期コスト・運用コストの増大につながるため、ウィンドファームの維持運用に不可欠な現象のみを計測し、コスト削減につなげることが想定される。そこで、どのような現象の計測が必要となるか、他の現象の計測により代替可能な現象は何か、考えることとする。表2に示した実証段階における計測システムに対し、商用運用段階における重要度を表3のように区分する。ただし、これはあくまで一例であり、安全基準、浮体形式、設計、発電事業者の意向やウィンドファーム内の浮体配置等によって変化することも考えられる。ウィンドファーム内の浮体配置については、例えば図1のようにそれぞれの浮体の役割や近隣施設との距離等により計測システムの密度を変えるというアイディアである。

表3 計測システムの重要度の例
計測機器 計測対象 重要度 特徴
GPS 浮体変位
  • RTK GPS/VRS RTK-GPS等の測位を加えることで高精度の測位が可能。
  • 複数個所の測位結果から6自由度の変位も算出可能。
  • アンテナをデッキ上等の人の往来が可能な場所に設置すれば故障時の交換も容易となる。
  • 浮体変位から遭遇海象や係留張力の推算も可能12)
ジャイロ 浮体傾斜
  • 高精度で傾斜角を計測可能、GPSによる傾斜角計測を補完できる。
  • 比較的小型で浮体内に配置された場合は交換も容易。
歪計
歪ゲージ
タワー・浮体の歪
  • 構造部の疲労推算に用いられる13)。データ同化により計測点数は実証試験よりも削減が可能。
  • 計測箇所によっては機器の保護が重要となる。
ロードセル 係留張力 中~小
  • 過酷な環境下にあるため耐用年数に不安。破損時の交換も困難。
  • 浮体変位を用いた推算も可能だが、精度検証のための搭載も考えられる。
水位計 バラスト水位
  • 浮体形式や設計により重要度は変化する。

(VRS RTK: Virtual Reference Station RTK-GPS)

図2 ウィンドファーム内の浮体の重要度区分の例(○印の浮体が重要度が高いとする)
図1 ウィンドファーム内の浮体の重要度区分の例(○印の浮体が重要度が高いとする)

 デジタルツイン技術等の進歩により、推算可能な現象は増加しそれに伴い計測すべき現象は減少していくと想定される。しかしながら、突発的な事故等により実際の現象を正確に再現できていないことも考えらため、計測対象の選択が重要となる。またデジタルツインによる推算には正確な入力情報が不可欠であるため、気象海象の計測精度が重要となる。

4.おわりに

 浮体式洋上風力発電の計測システムについて、実証試験における計測システムを紹介するとともに、将来の実現が期待される商用ウィンドファームにおける計測システムの重要度区分の例を示した。



参考文献

  1.  黒岩隆夫,花岡諒,陳曦ら,浮体式風車の弾性模型試験および応答に基づく波浪推定-規則波および長波頂不規則波-,第38回日本船舶海洋工学会春季講演会論文集,2024.
  2.  T., Fujikubo, T. Okada, H. Murayama, et al., A digital twin for ship structures—R&D project in Japan, Data-Centric Engineering (2024), 5: e7 Cambridge University Press, 2024.


【著者紹介】
中條 俊樹(ちゅうじょう としき)
(国研)海上・港湾・工区技術研究所 海上技術安全研究所
 洋上風力発電プロジェクトチーム チームリーダー
(兼)海洋先端技術系再生エネルギー研究グループ グループ長

■略歴
2008年 独立行政法人 海上技術安全研究所入所
2011年 同 主任研究員
2020年 洋上風力発電プロジェクトチーム チームリーダー
2021年 海洋先端技術系再生エネルギー研究グループ グループ長
海洋構造物、特に浮体式洋上風力発電の波浪中応答評価、安全性評価に従事。

リビングロボット、感情読み取りペット型ロボットの開発に着手。

 (株)リビングロボットは、福島大学共生システム理工学類および日本大学工学部と共に、人の感情やストレスの状態を読み取って動くペット型ロボットの開発に着手した。

 開発に当たり福島県の「産学連携ロボット研究開発支援事業」に採択されており、2027(令和9)年度の商品化を目指し、1人暮らしや孤独を抱える人の心のケアをはじめ、介護や保育の現場などでの幅広い活用を目標とするとのこと。

【背景】
 現代社会における孤独の問題は深刻化しており、1人暮らしの高齢者や、働き盛りで人間関係に悩む人々の精神的支えとなる存在は、今まで以上に重要視されている。
 そんな社会のニーズに応えるべく、福島大学、日本大学工学部との産学連携のもと、人の心に寄り添うロボットを開発することに着手した。

【開発内容】
 福島大共生システム理工学類の衣川潤准教授を中心に、リビングロボットと日大工学部が今春から研究を進めており、衣川准教授の研究室の学生がすでに開発した成果を活用する方向である。
 センサを使って持ち主の声や視線などから感情を読み取り、適切な反応を示すロボットにするの事を目標とし、ウエアラブル(着衣型)機器などで心拍数や瞳孔、声の特徴などを数値化し、前向きや後ろ向きなどの感情と結び付けてAIに学習させる。
 読み取った感情に応じて猫のようにすり寄ったりかわいらしく鳴いたりできれば、持ち主に心理的な安心感や共感を与えることができる。
「癒やし」に適したロボットの形状も並行して探究しており、働く世代や独居世帯の高齢者、子どもら一人一人の年齢や性格に合わせて反応する「パーソナルロボット」として家庭に普及させたいとしている。

 リビングロボットは、「人の生活に寄り添う」というテーマで学習パートナーの「あるくメカトロウィーゴ」を商品化しており、より人の精神的な支えとなる機能にカスタマイズし、価格を現在の「あるくメカトロウィーゴ」の半額程度に抑えて販売する予定という。
 開発に当たり県の「産学連携ロボット研究開発支援事業」に採択されており3年間で支援を受けながら2027(令和9)年度の商品化を目指すとのこと。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000094064.html

岡山大とテクニスコ,「超薄膜型白金水素センサ」の開発が令和6年度Go-Tech事業に採択

岡山大学と(株)テクニスコが共同で開発・商品化を進めている超薄膜型白金水素センサの開発案件が、令和6年度予算「成長型中小企業等研究開発支援事業」(Go-Tech事業)の採択テーマに選出された。

******以下、経済産業省中国経済産業局のリリースから抜粋******

■計画名
常温動作・低消費電力により水素社会の安全安心を実現する超薄膜型白金水素センサの開発

■研究概要
2050年のカーボンニュートラルに向け水素利活用が進められおり、安全で低コスト・低電力な水素センサが要望されている。当社グループは、加熱を必要としない世界初の超薄膜白金による常温・超低電力水素検知技術を基に、-40~100℃の自動車環境下においても高い性能、信頼性を実現するデバイス構造、防水技術、環境温度補償技術を開発し、10年以上使用可能な高い信頼性と、水素社会に向けた安全・安心を実現する

******抜粋以上******

 Go-Tech事業のテーマ採択は、応募のハードルをクリアした申請10件のうち4件が採択という難易度の高いものである。
 当プロジェクトには、アドバイザー企業として、マツダ(株)、岩谷産業(株)、ヤンマーエネルギーシステム(株)らに加わって貰い、量産化の観点などからアドバイスを貰う予定をしている。

〇計画名
 常温動作・低消費電力により水素社会の安全安心を実現する超薄膜型白金水素センサの開発

〇研究概要
 2050年のカーボンニュートラルに向け水素利活用が進められおり、安全で低コスト・低電力な水素センサが要望されている。当社グループは、加熱を必要としない世界初の超薄膜白金による常温・超低電力水素検知技術を基に、-40~100℃の自動車環境下においても高い性能、信頼性を実現するデバイス構造、防水技術、環境温度補償技術を開発し、10年以上使用可能な高い信頼性と、水素社会に向けた安全・安心を実現する。

〇本学担当教員
 岡山大学 学術研究院 ヘルスシステム統合科学学域 先端医用電子工学研究室 教授 紀和利彦

プレスリリースサイト(okayama-u.ac):https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id13232.html

組込AI対応製品の開発加速 ソフトウェア & ツール統合セット「ST Edge AI Suite」

 STマイクロエレクトロニクスは、組み込みAI開発ツールやソフトウェア、知見を集約し、よりシンプルで迅速なエッジAIアプリケーション開発に貢献する、包括的なソフトウェア & ツール統合セット「ST Edge AI Suite」の提供を開始した。

 ST Edge AI Suiteには、組み込みAIアプリケーションの開発および実装簡略化に貢献するソフトウェア・ツールが統合されている。包括的なデータ収集から、最終的なハードウェアへの実装まで、機械学習アルゴリズムの最適化および実装の両方をサポートし、幅広いユーザのワークフローを最適化する。

 ST Edge AI Suiteでは、スマート・センサやマイクロコントローラ(マイコン)、マイクロプロセッサまで、幅広いST製品に対応する開発ツールが提供される。今後発表される予定のAIアクセラレータ搭載マイコン「STM32N6シリーズ」にも対応している。

 ST Edge AI Suiteは、複数のハードウェア・プラットフォームで動作するため、データ・サイエンティストや組み込みソフトウェア開発者、ハードウェア・システム・エンジニアなど、さまざまなユーザのニーズに対応する。

 また、各種オンライン・ツール(ST Edge AI Model Zoo、ST Edge AI Developer Cloudなど)に加え、任意のハードウェア・プラットフォームにおけるデータ・チューニングや、モデル最適化用のデスクトップ・ツールにシームレスにアクセス可能である。これらのツールには、機械学習ライブラリ自動生成ツール「NanoEdge AI Studio」や、それぞれのSTM32製品 / MEMS慣性センサ / 車載用マイコン「Stellar」に対応してモデル最適化ができるSTM32Cube.AI / MEMS Studio / Stellar Studioなどが含まれており、いずれも無償で利用可能できる。

 ST Edge AI Suiteの発表に伴い、MEMS Studioには、AIアプリケーション向けの世界初の革新的技術である「ISPU NNモデル・オプティマイザ」および「MLC特徴量とフィルタの自動選択」機能が追加された。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001398.000001337.html

リアルハプティクス®を活用した感触・動作クラウドプラットフォームを開発

 モーションリブ(株)は、リアルハプティクス®とクラウド技術などを活用した感触・動作クラウドプラットフォームをトヨタ紡織(株)と共同開発した。本プラットフォームを用いることで、クラウド上に展開された力触覚情報にインターネット回線からアクセスし、場所を問わず力触覚の伝送・データ化・編集などが可能となった。

 今回開発された技術によって遠く離れた家族や友人とも触れ合えることができ、孤独感やストレスを軽減し心の健康をサポートする効果が期待される。また、地理的な距離が障壁にならないことで、高齢者や障害を持つ人々など移動が困難な方にとっても大きな利益をもたらす可能性があり、個人だけでなく社会全体のウェルビーイングに貢献することを目指しているという。

■横浜市と豊田市を結ぶ5Gネットワークで力触覚伝送の実証実験に成功(画像)
 両社は、今回開発したプラットフォームをトヨタ紡織が持つリラックスシート「Remote Touch Therapy(リモートタッチセラピー)」に搭載し、5Gネットワークを通して横浜市と豊田市間での力触覚伝送とそのコンテンツ化を行う実証実験を行った。その結果、リアルタイムかつ高精細な力触覚伝送に成功し、離れた場所にいる人同士があたかも同じ空間にいるかのような感覚を共有できることを実証した。

 実証実験では横浜市内の拠点から豊田市内の拠点にいる対象者に「優しく肩をさする」などのタッチセラピーを行い、肩の感触などを感じながら、セラピー体験を実現できることを確認した。
 また、それらの動作はプラットフォームを通じてデータ化し、データ化された力触覚コンテンツは操作者がいなくても再現可能であることを実証することができた。

■リアルハプティクスとクラウド技術を組み合わせたプラットフォームを開発
 従来、リアルハプティクスによる高品質な力触覚伝送には特殊な環境構築を必要としていた。今回両社は、リアルハプティクスとクラウド技術やリアルタイム通信技術を組み合わせることで感触・動作クラウドプラットフォームを共同開発し、離れた場所にいる人同士が力触覚を通じて相互に働きかけ、そこで得られた力触覚情報をデータ化し、コンテンツ化することを可能にした。

 本プラットフォームを用いることで、クラウド上に展開された力触覚情報にインターネット回線からアクセスすることが可能となり、どこからでも力触覚の伝送・データ化・編集などが可能となる。例えば、製造業などにおいて熟練技術が必要な作業の自動化を行う際の基盤として活用することができる。

※リアルハプティクス®はモーションリブの所有する登録商標。
※力触覚: 触れた物の硬さや柔らかさを伝える、力と位置変化に関する感覚。
※リアルハプティクス:慶應義塾大学で発明された力触覚伝送技術で、アクチュエータの力加減を自在に制御することができる技術。 この技術により、力センサレスで力触覚をともなう「遠隔操作」「計測可視化・分析」「自動化」「感触の再現・VR」が可能。
※本プロジェクトはリアルハプティクス技術協議会にて慶應義塾大学と推進していた研究開発活動を引継ぎ、リアルハプティクスメンバー会にて開発を行っている。リアルハプティクスメンバー会は(一財)ハプティクス技術協会とモーションリブにて共同運営するリアルハプティクスを事業利用するためのコンソーシアム。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000027265.html