洋上風力発電を今後の脱炭素化社会の最強の切り札と分析しているIEA Offshore Wind Outlook 2019において、地域別に見ると圧倒的に先行している欧州に加えて、今後は中国、中国以外のアジア、そして米国が大きく増えるとしている。洋上風力の潜在開発可能量ポテンシャルは、欧州、米国、日本が大きく、特に日本は電力需要の9倍ものポテンシャルがあることが注目される。日本政府の2040年までに3000万kW~ 4500万kWという導入計画を達成すると日本は、図4に示すように、2040年には米国並み世界3位ないし4位の洋上風力発電国となり、再エネを主力電源とする第6次エネルギー基本計画も実現することになる。2) 8)
(出典、IEA offshore wind outlook 2019)図4 洋上風力発電の現状と将来予測(政策シナリオ)
一方、世界的に洋上風力発電が急進展する状況の中で、国内では2015年に、三菱重工業はデンマークのVestas社との合弁により、国内の開発製造を休止し、2019年には日立製作所と日本製鋼所が風車の製造からの撤退し、国内に1MWを超える風車メーカーは存在しないのが現状である。現在、洋上風力活性化の動きの中で、欧州で実績のある洋上風力発電事業者が日本市場に強力な攻勢をかけており、日本は国内風力関連産業を再興しうるかどうか、文字通り岐路に立たされているのである。さらに、洋上風力発電の運用が始まると洋上風力発電の技術者に加えてO&M要員などの急増が見込まれることから、洋上風力発電関連の人材育成も急務と言える。9) 10)
このような脱炭素化が世界の大目標となる動きの中で、IEA(国際エネルギー機関)はEnergy Outlook 2019年版において、初めて再エネを大きく取り上げ、洋上風力に関する詳細な分析をしている。図5に示すように、当然のことながら、石炭火力は現状の20%から2040年には2%~3%に激減し、原子力も次第に減少し、2040年には18%になり、その後さらに減少が進む。一方、2019年に電力の10%程度の陸上風力は2026年頃に15%、2040年に20%となるが、その後は適地の減少もあって横ばいとなるのに対して、洋上風力は、現状の2%から2028年には10%、2040年に20%となり、その後もさらに増大して、再エネの中で最大のシェアを占めることになるとしている。まさに、これからは洋上風力発電の時代なのである。2)
(出典、IEA offshore wind outlook 2019)図5 IEAによるエネルギーシェアの将来予測
第三の問題点は、新しい技術をもっと意欲的に支援するべきいうことである。日本はたくさんいい技術を持っているが、海外に比べて研究から実証までのサポートのギャップにより、新技術開発が進んでいない。欧米各国では、様々な新コンセプトの小型海上実証に支援金が出されることに対し、日本での「実証」は海外でほぼ確立したコンセプトの大型化支援という状況が起きている。ここで日本の政府機関に申し上げたいのは、実証と言うものはこれから実験する技術で、前例がある、または実歴がある技術には実証は必要がないということである。それこそある程度確立されている技術なら、次は大型化することがコスト削減への近道であり、Feed-In-Tariff/Feed-In-Premiumや英国のContract for Differenceのような別のファンディング・スキームでサポートするべきである。
そこでまた表題の地産地消に戻ることになる。日本は世界でも先駆けて水素とアンモニア燃料両方のロードマップを作り上げているが、水素の供給においては、3E+Sから外れ、海外輸入ベースとした構想になっている。欧州でもドイツなどは輸入するしかないが、洋上風力が進んでいる英国、更にその中でも風力の余剰電力の多いスコットランドでは、すでにグリーン水素輸出を視野に入れた洋上風力開発をしている(13)。政府だけでなく、民間企業も後れを取っていない。例えば、スコットランド沖には、Subsea 7とSimply Blue Groupが始めた、浮体式からグリーン水素を作るというSalamanderプロジェクトがある。弊社Xodusは、このSalamanderのトップ・エンジニアを務めている。また、グリーン水素の事業化にも積極的に官民が動いており、政府はカーボン・タックスと言う形でサポートし、民間企業は事業化への実証を始めている。そのいい例が、スコットランドの名産品であります、ウィスキーの脱炭素化に水素を使用することである。化石燃料を燃やして熱を出して蒸留するよりも、水素を代わりに使用した実証がされている。これも弊社Xodusが参画しているプロジェクトの一つだ(14)。
本浮体コンセプトは前述の福島実証研究事業等で培った浮体の建造・設置・保守管理の知見を活かし、信頼性・製造性・収益性の高い設計を目指している。
また2021年に本浮体デザインに対して、DNV(ノルウェー船級協会)よりSTATEMENT OF FEASIBILITY を取得した。特にシンプルな構造体とすることで、高い信頼性とライフサイクルコストの低減を実現できるとの評価を受け、本浮体が実用的技術であることが認められている。