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ハイパースペクトルフィルタアレイの応用(下)

丸善インテック(株) 技術顧問
仲井 淳一

 前項で述べたように、ハイパースペクトルフィルタアレイ技術は工業、農業、医療、食品関連など広い分野での応用が期待されているが、これらの利用分野での現状、さらに近年注目されているヘルスケア分野での可能性について紹介する。

1.利用分野1)2)

1.1 工業分野

 基本は人の目では判定の難しい微妙な色の違いを、専用のソフトウエアを併用して認識するというもので、例えば、廃棄物の選別(プラスチックゴミの分別)やプラスチックゴミの材質毎の選別(PET、PP、PEなど)、さらに農産物(米などの穀物)や海産物などへの異物(金属、石類、木片など)の混入の識別にも利用されている。また工業製品や美術工芸品を微妙な色(反射光)で区別することも可能である。

1.2 農業、食品分野

 近赤外分光法の特長の一つは、非破壊検査で成分分析が可能ということであるが、ハイパースペクトルフィルタアレイを搭載したカメラ(ハイパースペクトルカメラ)を用いると、可視光から赤外線の波長領域での検査も行えるので、より多くの情報が得られる。あらかじめ標準サンプルで検量線を登録することで、リンゴやイチゴの糖度(Brix値)を非破壊で測定したり、人の目では判別しづらい傷み具合も判定できる。また透明なラップで覆われたパック内のサケの切り身の鮮度を非接触で精度良く予測することなどの実測例もある(図1)。さらに食品の原料識別や異物混入に対しても活用でき、食品の品質、衛生管理に利用することができる。
 植物の葉や種子の成長や発育の様子をハンディカメラで測定したり(図2)、小型ヘリコプターやドローンにハイパースペクトルカメラを搭載して、農場の作物の成長度合いを管理、調査することなどはすでに実用化が始まっている(図3)。

図1 サケの切り身の分光測定(a)(b)とその鮮度予想(c)
図1 サケの切り身の分光測定(a)(b)とその鮮度予想(c)
図2 植物の葉の観察風景
図2 植物の葉の観察風景
図3 農作物の成長度合い管理風景
図3 農作物の成長度合い管理風景

1.3 医療、製薬分野

 薬剤の飲み間違いや錠剤の紛失を防ぐために、薬剤の一包化(服用時期が同じ数種類の錠剤を一つの袋にまとめること)はすでに世の中に広がっているが、一方で薬剤業務や鑑査業務が複雑となり、また酷似した色や形状の錠剤が混入したり、入れ替わって一包化されて、そのまま患者が服用してしまう可能性がある。このようなリスクを事前に回避するために、錠剤の色や形状を画像処理して判別する装置があるが、ここにハイパースペクトルカメラを装備することによって、RGB画像だけでは判別しにくい類似の形状の錠剤も、近赤外線領域の分光を測定することによって、容易に判別することができる。
 さらに、医薬品の品質管理の一環として、含有成分がその医薬品と関連する梱包ラベルの内容と一致しているかどうかの判定(原料識別)をすることができる。同様に原材料の定量化や特定の試料中の特定の化学物質の濃度の判定等、定量分析の手段としてハイパースペクトルフィルタを使った分光分析によって可能となる。
 近赤外光は生体透過性に優れており、可視光の生体組織深さの到達深度が2〜3mm程度に対して、波長が1000〜1700mmの近赤外光では約20mm程度の深さまで届くことが知られている3)。ハイパースペクトルカメラは1画素ごとに分光し撮影することができ、かつ非破壊で成分分析できるため、生体深部の病変の診断にも応用され始めている。例えば、可視光による内視鏡だけでは診断できない生体深部にできた病変(腫瘍など)も、近赤外光を使ったハイパースペクトルカメラで検出できる可能性がある4)

1.4 環境、健康分野

 ハイパースペクトルカメラを使って、水質や土壌の汚染範囲や二酸化炭素の放出量のモニタリング、資源探索や鉱物の分類、特定、さらには森林樹木の植生分布の学術調査などにも利用されている。また目視やRGB画像では確認できないものも、近赤外光を照射してハイパースペクトルカメラで撮影することによって、その存在を認識することができる。それによって防犯、防衛や動植物の生態調査にも活用が期待できる。
 また先に述べた近赤外光の生体透過性を利用して、パルスオキシメータによる血中酸素飽和度の測定が実用化されているが、現在の静脈採血による血液検査も、ハイパースペクトルフィルタアレイを搭載したセンサを利用すれば、採血せずに血液の数値データを取得できるようになるかもしれない(図4)。

図4 近赤外光照射による静脈分光データの取得イメージ図
図4 近赤外光照射による静脈分光データの取得イメージ図

2.ハイパースペクトルフィルタアレイのウェアラブル機器への搭載

 世界的な高齢化で関心が高まるヘルスケア分野の市場規模は、2030年には500兆円を超えるとされる。膨大な健康情報(ヘルスデータ)を収集、分析することによって、個人に適した健康作りから、治療法の開発、健康を支える住宅や街づくりまで、新たな市場が創出されようとしている。これらのデータを病院や介護施設などとも共有すれば、無駄な投薬や検査も省け、2040年度には70兆円に上るとされる医療費の抑制にもつながる5)
 この個人のヘルスデータを取得する手段として、Viavi Solutions社からスマートフォンやスマートウォッチなどに搭載されるウェアラブルフィットネストラッカー(装着型健康管理追跡装置)が提案されている6)。これは複数のセンサから受信するセンサデータに基づいてユーザ活動の測定を行うことができるもので、例えば、生活活動中あるいは運動中のユーザ活動を推定するために、種々のセンサ(分光器、加速度計、心拍センサ、血圧センサ、血糖値センサ、発汗センサ、皮膚伝導センサまたは画像センサなど)を備えている。これらのセンサからのデータを抽出、処理して、ユーザの健康状態を管理し、さらにそのセンサデータに基づいて推定移動距離、推定カロリー消費量、推定代謝当量(METs:Metabolic Equivalents)さらにはダイエットプランや運動プランなどを提供するというものである。
 具体的には、スマートウォッチに搭載されたセンサが、腕の血管などから食後の血糖値の上昇などを感知して、実際に体内に吸収されたカロリーを推測する。そしてそれが、心拍数などから測った生活活動全体の消費カロリーとともに連携したスマートフォンの専用アプリに表示される。血糖値だけでなく、心拍数、血圧値、血中酸素飽和度や心電図、心房細動などユーザの健康状態を管理し、発症前に注意を促し、適切な指示を出し(水分補給など)、異常があれば発信するシステムも実用化されつつある。
 このようなウェアラブル機器にハイパースペクトルフィルタアレイ(HFA)を搭載したカメラやセンサを組み込むことによって、情報量が増え、測定対象も広がる。さらにカメラによって食品中のアレルギー物質の有無分析や目前の料理のカロリー計算、服用する医薬品の識別など、健康保持と予防にも貢献できると期待できる。また日常生活では、先にも述べた生活ゴミの区別(プラスチックゴミの分別)や飲食物の鮮度、傷み具合、あるいは異物の混入などを瞬時に判断できるなど、様々な活用方法が考えられる(図5)。

図5 HFAをスマートウォッチに搭載したイメージ図
図5 HFAをスマートウォッチに搭載したイメージ図

 これまでハイパースペクトルフィルタアレの技術と応用について2回にわたって紹介してきた。この技術が工業、農業、医療、食品、環境関連等、ますます応用範囲が広がり、私たちの生活に大きく貢献していくことはもちろんのこと、この技術を使った分光器がウェアラブル機器に搭載されることによって、さまざまな科学的測定を自分であるいは自動で行うことができるようになる。近い将来、自らの健康状態を知り、管理することはもちろんのこと、日常生活を取り囲む環境(空気や水)や身の回りの物質の組成についても正しい情報が得られるようになり、誰でも安心で快適で、かつ健康な生活を送ることができる社会が到来するだろう。



参考文献

  1. https://www.viavisolutions.com/en-us
  2. https://www.klv.co.jp/hyperspectral/case_study/
  3. 梅澤 雅和 他 著 『ぶんせき』 2020年11月号p.420-425
  4. https://www.ncc.go.jp/jp/epoc/index.html
  5. 読売新聞2021年12月10日版
  6. 公開特許公報 2020-184349

尚、図1〜5はViavi Solutions社の2022年2月時点での公開サイトから抜粋したものである。



【著者紹介】
仲井 淳一(なかい じゅんいち)
丸善インテック株式会社 技術顧問

■著者略歴
1981年 京都大学大学院理学研究科 修士課程修了
同年 シャープ株式会社入社
技術本部中央研究所にて固体撮像素子の研究開発プロジェクトチームに参画
2003年 シャープ株式会社センサー事業部開発部長
2016年 シャープ株式会社定年退職
2017年 丸善インテック株式会社 技術顧問、現在に至る。

高速度カメラとイメージセンサ(2)

(株)ナックイメージテクノロジー
執行役員
小熊 和彦

3.高速度イメージセンサの仕様

 映像の画質を決める5大要素は、解像度、撮影速度、階調、ダイナミックレンジ、色域と言われている。高速度カメラはこれらに加えて「感度」が大変重要である。本項では、高速度イメージセンサが一般のイメージセンサと異なる点について記す。

3.1 撮影速度

 ほとんどのCMOSイメージセンサの構造は図2 (a) または (b) であるが、高速度イメージセンサは (b) の列並列信号処理である。(b) のセンサは信号増幅器やA/Dコンバータなどの処理回路を1列ごとに設けている。この構造のセンサは、信号処理を1水平期間内に完了すれば良く、回路が比較的低速で消費電力やノイズを低く抑えられる。そして、少なくとも1行の画素の信号処理は同時に行われるため、出力を複数本にすることが可能である。CMOSならではの特徴を生かした利点であり、イメージセンサはより高い撮影速度を得られるようになった。
 さらに、図3 は1列に2個の回路を配置し、2行の信号処理を同時に行うことができる例である。縦2個、横8個の画素信号を16本の信号線で同時に出力できる。つまり、映像の1フレームの水平期間の数を半分にでき撮影速度を上げられることを意味している。最近では、1列当たり16本の信号線を引き、さらに信号処理部を上下に配置して超高速度を実現したセンサも報告されている。
 図2 (c) は各画素に信号処理回路が設けられている構造である。高解像度かつ高速度、広ダイナミックレンジ、低消費電力などの可能性が見込まれ、今後の開発が期待されている。

3.2 感度

 感度を重要視する理由は「撮影速度が高い」イコール「露光時間が短い」からである。また、短いシャッタ時間に設定して、被写体の動きをぶれずに捉えたい時もある。
 高い感度を得るために、画素サイズを大きくして光電変換(フォトダイオード)部を大きくすることは容易な手段である。この点はデジタルカメラやスマートフォンの小画素、高解像度のセンサと大きく異なる。高速度イメージセンサの画素サイズは時に20 µmを超える。スマートフォンのセンサのそれが1 µm前後で議論されているのとは別世界である。引き換えに、解像度は妥協せざるを得ない。
 高速度カメラは一度に多くの画素の信号を出力したいので、図3 の1ブロックの画素数を多くしたい。この時、垂直方向の画素数を多くすることは画素の中を走る信号線が多くなる。その結果、光電変換部の開口率は小さくなり感度が落ちる。撮影速度と感度は相反する関係になってしまう。解決策は裏面照射型センサにすること。光電変換部を気にすることなく信号線を引くことができ、信号の干渉が低いと言った利点もある。表面照射型センサでの解決方法はマイクロレンズだが、20 µmもの画素サイズとなると効果的なレンズを付ける工夫が必要である。
 ノイズも感度に影響する。たとえイメージセンサの感度が低くなっても、それを上回ってノイズを小さくできれば、カメラの感度は上げられることを付け加えておく。

3.3 出力インターフェース

 例えば、画素数1280×960、撮影速度1,000 fps、階調12-bitのセンサはおよそ15Gbpsのデータレートになる。この場合、出力インターフェースを1 GbpsのLVDSとすれば、16本/32ラインの信号線があれば間に合う。仮に、同じ画素数と同じ階調で撮影速度100,000 fpsのセンサを想定するとデータレートは1,500Gbpsになり、1Gbps程度のインターフェースは現実的でない。従って、ここまでのデータレートでなくても、数GbpsのSLVS, CMLのような高速インターフェースは必要であり、実際に使われ始めている。
 では、アナログ信号出力はどうか。画素数1280×960で10,000 fpsのセンサは、80MHzで高速A/D変換しても、160個ものA/Dコンバータの数を必要とする。問題はセンサとA/Dコンバータを含めた回路の大きな消費電力である。より高い撮影速度を目指すと、アナログ信号出力は適切でない。

4.撮影例

 高速現象の一瞬を捉えた映像を紹介する。動画は弊社ホームページに掲載されているのでご覧ください。
https://www.nacinc.jp/analysis/demo-movie/standard_shooting-m/  図4 (a) 空気砲による球の貫通実験(65,000fps、1280×480)
 図4 (b) 溶接における溶滴、アーク、溶融池の同時観察(50,000fps、1280×896)
 図4 (c) 水滴の落下(2,000fps、2560×1920)
 図4 (d) 歩行者保護エアバッグ展開試験(1,000fps、1920×1080)

(a) 空気砲による球の貫通実験
(a) 空気砲による球の貫通実験
(b) 溶接における溶滴、アーク、溶融池の同時観察
(b) 溶接における溶滴、アーク、溶融池の同時観察
(c) 水滴の落下
(c) 水滴の落下
(d) 歩行者保護エアバッグ展開試験
(d) 歩行者保護エアバッグ展開試験

5.これからの高速度カメラ

 今後の高速度イメージセンサを開発するうえで、利用したい技術は裏面照射型と3Dスタッキングである。前者はより高い撮影速度と高い感度を実現するには避けて通れない技術である。後者はより高い撮影性能の実現やセンサ内で画像処理をしたい場合に必要である。FPGAのようであればなお良い。画像圧縮したり、画像処理した映像に変換したり、画像処理の結果を数値で欲しいユーザーもあると考える。
 高速度カメラは単に撮った映像を見るだけでなく、ユーザーが求める結果を出す存在に変わる必要があるだろう。



【著者紹介】
小熊 和彦(おぐま かずひこ)
株式会社 ナックイメージテクノロジー 技術部 執行役員

■著者略歴
1976年 名古屋工業大学電子工学科卒業
1977年 株式会社ナック(現ナックイメージテクノロジー)入社、技術部
高速度カメラ、高速度イメージセンサの開発に従事

CdTeを用いた次世代X線イメージセンサ(2)

(株)ANSeeN 代表取締役
小池 昭史

3.CdTeを採用したX線イメージセンサ

 前節で紹介した受光素子の中で、直接変換型であるCdTeを採用したイメージセンサについて、それぞれの信号処理方式を採用した例について以下に述べる。

3.1.電荷蓄積イメージセンサ

 金属製品製造時の内部構造の検査や、インフラメンテナンスとしての配管検査など従来は製造技術や製品寿命に余裕を持った厚物部材などで対応していたが、効率化や低環境負荷を実現しつつ品質も保証するための検査需要が増えてきている。図 3に電荷蓄積方式のCdTeラインセンサの外観と撮像例を示す。従来のシンチレータを採用したセンサでは受光素子の特性から適応できる範囲が狭かったため、撮像対象や現場に応じて熟練の技師が使用するセンサを選ぶ必要があった。一方で、このセンサはX線管電圧150kV以上であればどのようなシーンでも同じセンサで対応可能で、リアルタイムで画像化を実現している。
 また、電荷蓄積方式の特徴である短時間に大量のX線が照射されるパルスX線源に対応可能で、かつ入射するX線のエネルギーに比例した信号強度で画像化が可能であることから、可搬型のX線源との相性も良い。

3.2.フォトンカウンティングイメージセンサ

 電子回路基板のハンダ実装不良検査や、CFRPと金属の複合材料の検査、セキュリティチェックとしての手荷物検査の自動化など軽元素と重元素混合の詳細な画像化の需要が増えてきている。図 4に受光素子にCdTeを採用した電荷蓄積とフォトンカウンティングので線量比較を行った結果と、材料識別CT撮像を行い疑似着色をした例を示す。

図 3:電荷蓄積イメージセンサ(左)と撮像例(右)
図 3:電荷蓄積イメージセンサ(左)と撮像例(右)
図 4:電荷蓄積とフォトンカウンティングの線量比較(左)と材料識別CT(右)
図 4:電荷蓄積とフォトンカウンティングの線量比較(左)と材料識別CT(右)

4.フォトンカウンティングと電荷蓄積の融合方式

 フォトンカウンティングの特徴は低線量でも良好なコントラストを得ることができることである。一方で、高線量条件での撮像には不向きであると同時に、どのようなエネルギーでも1個として計上し画素値を決定してしまうために、本来は高エネルギーのX線ほど高い画素値を出力すべきだが、このような動作は不可能であり、低エネルギー強調の撮像しかできないという課題がある。
 X線イメージセンサとして求められるニーズを考えると、ボケがなく高解像度であること、自己ノイズの影響を受けないノイズレス撮像ができること、さらにはダイナミックレンジが広く、入射するエネルギーに比例した透過情報を取得できるセンサを満たすことである。
 これらすべてを満たす信号処理方式を実現するのは、フォトンカウンティング方式で 一般的に用いられる高速な積分と波形整形(シェイピング)のアンプを用いる方法では難しいため、図 5に示すような、センサで発生した電荷を直接カウントする回路を考案した[3]。この回路の特徴は積分をする前の段階で、電荷を数える動作によるデジタイズをすることができるため、その後の処理回路の機能と分離できることである。これにより、カウント値のみを数えるフォトンカウンティング方式、エネルギーしきい値を設定しつつエネルギーを考慮した積分が可能なデジタル積分モードの2つを同時に実装することが可能となった。特に後者のデジタル積分モードについては課題となっていた点をすべて解決するような動作モードとなっており、ダイナミックレンジも大幅に改善している。更に実用的にメリットがあるのは、飽和後は一定値となるためフォトンカウンティングモードのように低線量なのか高線量なのかセンサの出力だけではわからないということが起こらない。

図 5:電荷カウント回路の概念図
図 5:電荷カウント回路の概念図
図 6:デジタル積分モードとフォトンカウンティングモードのダイナミックレンジ比較
図 6:デジタル積分モードとフォトンカウンティングモードのダイナミックレンジ比較

5.おわりに

 X線イメージセンサの受光素子、及び信号処理方式と、CdTeを採用したセンサとその技術、及び撮像事例について紹介した。半導体プロセス技術、パッケージ技術の進歩により、多段積層の集積回路による機能化や、横方向への高密度実装などが可能となってきたことで、X線イメージセンサにとって理想的なデバイスを実現できる環境が整ってきている。
 ロボットやドローンが社会実装されていき、協業相手が人間ではなくなる時代を実現するために、それらの製造時の安全性の担保などはより一層重要性を増していき、X線イメージングによる検査がこれらを解決するソリューションの1つの手段となるであろう。



参考文献

  1. Katsuyuki Takagi, Toshiyuki Takagi, Tsuyoshi Terao, Hisashi Morii, AKifumi Koike, Toru Aoki, “Readout Architecture Based on a Novel Photon-Counting and Energy Integrating processing for X-ray imaging”, IEEE Transactions on Radiation and Plasma Medical Sciences 1-1 2020


【著者紹介】
小池 昭史(こいけ あきふみ)
株式会社ANseeN 代表取締役

■著者略歴
2007年 静岡大学情報学部情報科学科 卒業
2009年 静岡大学総合科学技術研究科情報学専攻 卒業
2013年 静岡大学創造科学技術大学院自然科学系教育部 退学
2014年 博士(工学)取得 2011年〜2012年 ANSeeN取締役
2012年〜現在ANSeeN代表取締役

OEG、「eモビリティテストセンター」開設

OKIグループの沖エンジニアリング(株)〔以下、OEG〕は、EV・ADAS(先進運転支援システム)・自動運転向け車載電子機器・装置の信頼性試験サービスを大幅に強化した「eモビリティテストセンター」(群馬県伊勢崎市、面積約717m2)を開設し、5月17日より稼働開始する。
急速に進化する、最先端の車載技術に対応した最新の試験技術・設備を導入することで、需要が急伸しているeモビリティ向け車載電子機器・装置の試験対応能力を大幅に強化し、2022年度で自動車分野売上高前年比15%増を目指すという。

OEGは、成長と進化を続ける車載電子機器・装置向け信頼性試験サービス拠点として、2017年に「カーエレクトロニクス テストラボ」(埼玉県本庄市)、2019年には「群馬カーエレクトロニクス テストラボ」(群馬県伊勢崎市)を設立し、体制強化を進めてきた。
しかしながらeモビリティの進展に伴い、モーター、インバーター、変速機(ギア)が一体となったe-AxleやLiDAR(物体の形状や距離をレーザー光で測定するセンサ技術)、衝突防止用ミリ波レーダー、車載カメラなどの搭載が増えており、試験対象製品の大型化・高度化が進んでいる。また車載電子機器・装置メーカーでは、従来のケイレツ(系列)を超えた日欧米の自動車メーカーへの納入が増えており求められる規格試験方法・条件の多様化もさらに進んできた。

これらの多様で高度な試験要求に柔軟にワンストップで応えるためにOEGは、現在の「群馬カーエレクトロニクステストラボ」の床面積を2倍に拡張し、最新鋭で大型の専用試験装置と熟練した高度なスキルをもった専門家を投入することで試験対応能力を1.4倍に進化させた「eモビリティテストセンター」を設立した。
新センターでは、e-Axle、DC/DCコンバータのような大型・重量モジュールや、車載カメラやセンサなどを対象とした、各自動車メーカー規格準拠の熱衝撃試験、塩水複合サイクル試験、減圧試験、ガス腐食試験を行うとともに、受託した各試験によって発生するCO2排出量を利用客へ開示する。
OEGは、今後もeモビリティ向け各種信頼性試験サービスメニューを追加していく予定とのこと。

「eモビリティテストセンター」
・所在地 群馬県伊勢崎市境伊与久3344-1(沖電線株式会社 群馬工場内)
・面積 約717m2
・従業員数 5名(2022年5月7日現在)
・主なサービス 車載機器信頼性環境試験
 大型の車載電子機器ユニット・車載電子部品の環境試験
(振動、高圧水、塵埃、赤外線、紫外線、オゾン、塩水、温湿度、気圧、ガスなど)
 への耐性を各メーカー規格試験で評価

プレスリリースサイト(OKI):https://www.oki.com/jp/press/2022/05/z22012.html

TOPPAN、長距離輸送中の温度管理を実現する 無線通信ラベルを開発

 凸版印刷(株)は、温度を一定時間ごとに測定・記録し、その履歴データを無線通信によりデータベースに転送できる薄型カードサイズの「温度ロガーラベル」を開発した。

 本「温度ロガーラベル」は、貼付された荷物の表面温度の変化を任意のタイミングで自動的に記録し続ける。5m程度の長距離通信が可能な「UHF帯」と、スマートフォンへの搭載が進む「NFC」の2種類の周波数帯に対応。経由地や最終目的地などで専用アプリケーションを使って読み取られた、出荷からその時点までの「ログデータ(日時と温度などの記録)」と読み取り場所などの「トレーサビリティ情報」は、専用のクラウド型管理システムに転送され、輸送中の温度変化を時系列的に追跡・管理する。
 また「本温度ロガーラベル」は使い切り型のバッテリーを搭載、データダウンロード用の端子や表示用ディスプレイを省くなどシンプルな構造を採用した結果、既存の「温度ロガー機器」と比較して10分の1以下の低価格での提供を予定している。
 本製品は、2021年10月から2022年3月にかけて実施された、「日本酒輸送実証実験」(令和2年度農林水産省実証実験〕に参画した「日本酒コールドチェーンコンソーシアム〔参加企業:(同)オープンゲート、光輝(株)、Taeltech Japan(株)、(株)南部美人、(株)萬乗醸造)」によって、日本国内の酒造メーカーから中国国内の保冷倉庫までの梱包箱の表面温度を30分ごとに測定し、記録するツールとして採用された。

▮開発の背景と狙い
 食品の長距離輸送では通常の物流とは違い、厳格な温度管理が求められる。特に、肉や魚、野菜などの生鮮食品、乳製品や総菜などの要冷蔵食品は、鮮度の維持と品質劣化の防止のために、商品ごとに設定された温度で輸送を行うことが必要である。
 輸送時の温度を管理するツールとして、一定間隔で温度を測定し記録する「温度ロガー機器」はこれまでにも市販されていた。それらは1台当たりの価格が数千円~数万円と高価なため、すべての梱包に装着するにはコスト面での課題があり、更に使用後の回収にかかる手間などが導入にあたっての障壁となっていた。そのため、国際輸送など長距離にわたる温度管理が求められるシーンでは、使用後に回収する必要がなく「ワンウェイ」で利用できる、低価格な温度ロガーの需要が高まっている。

▮製品の特長
① 構造と機能のシンプル化で既存品の10分の1以下の低価格を実現
 温度センサ付きICチップの搭載、使い切り型バッテリーの採用、動作設定はスマートフォンアプリのみで行うなど、構造と機能をシンプル化した。その結果、操作パネルを実装し電池交換を前提とした既存の「温度ロガー機器」の10分の1以下の低価格を実現。すべての梱包に貼り付けて個々の温度変化を記録する運用や、配送後にラベルを回収しない「ワンウェイ利用」など、これまでにない使い方が可能である。
② 温度測定の間隔は最短1秒から最長60分、測定開始のタイマー機能も搭載
 温度測定の間隔を1秒ごとから60分ごとまで22段階から選択可能、例えば、60分ごとの測定なら6カ月間分の温度履歴を記録できます。また、温度測定の開始をタイマー設定することができるので、冷蔵保管庫内での作業時間が短縮され、作業者の負荷を軽減する。
③ 温度測定モードの選択により38,000回以上記録可能
 温度測定モードを3種類から選択できる。ICチップに測定日時と温度情報を記録する「通常モード」と、温度情報のみを記録し、データを読み取った後に管理システム上で日時と付け合わせる「コンプレスモード」。さらに、「常温」「冷蔵」「冷凍」といった「温度帯区分」のみを記録する「リミットモード」を導入した。「リミットモード」では、「通常モード」より8倍多く38,000回以上の回数を記録することができる。
④ データ読み取り「専用アプリ」と、温度履歴を管理する「クラウド型管理システム」を用意
 「温度ロガーラベル」に保存された温度記録を読み取る専用のアプリケーションと、読み取った温度記録を可視化するクラウド型の管理システムを統合的に開発。クラウド型管理システムには、「温度ロガーラベル」への不正アクセスを防ぐ「アクセス認証機能」や、輸送品の状態を管理する「トレーサビリティ管理機能」など、長距離輸送時の温度管理に求められる機能を搭載している。

▮販売開始時期と価格
  販売開始時期: 2022年6月
  価格: 未定

▮令和2年度農林水産省実証実験での採用について
 凸版印刷の「温度ロガーラベル」は「令和2年度農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業のうち海外フードバリューチェーン再構築緊急対策事業」に参画した「日本酒コールドチェーンコンソーシアム」により温度記録ツールとして採用された。本実証実験では、南部美人、萬乗醸造、笹一酒造、菊水酒造、黄金井酒造、および若鶴酒造の6酒蔵の製品を日本各地からトラックで出荷、横浜港・大阪港から中国・上海港、寧波港、深セン港までの海上輸送、各港から都市部の配送拠点までにおいて、日本酒を5℃以下で管理し、温度を30分間隔で計測した。
 温度記録データは倉庫や配送拠点で読み取られ、クラウド型管理システムに転送、その履歴情報を酒造メーカーや商社、販売会社などの担当者はPCやスマートフォンで閲覧することができ、日本の酒蔵から中国国内の配送拠点まで、日本酒が適切な保存状態を保ったまま輸送されたことが確認できた。本実験は、2021年10月から2022年3月にかけて実施された。

ニュースリリースサイト(TOPPAN):https://www.toppan.co.jp/news/2022/05/newsrelease220516_1.html

ST、LED照明設計に貢献する1チップのデジタル電源制御ICを発表

STマイクロエレクトロニクスは、高集積・小型のデジタル電源制御IC「STNRG012」を発表した。同製品は、先進的な歪み軽減技術を採用し、LED照明に最適なソリューションを提供するという。

STNRG012は、マルチモードのPFC(力率改善)コントローラ、共振ハーフブリッジ・コントローラ、および800Vの起動回路を搭載し、デジタル・エンジンによって制御される。PFCコントローラは、臨界モード、不連続導通モード(DCM)、およびバレー・スキッピング・モードを動的に切り替えることで、最適な効率を実現。ハーフブリッジ・コントローラは、STの特許取得済みのタイムシフト制御(TSC)により、正確なソフト・スイッチングを実行する。

最大305VACの入力電圧範囲を持つSTNRG012は、DC電源でも動作可能なため、最大300Wのバッテリ駆動およびAC電源駆動アプリケーションに使用可能。

デジタル・エンジンは、8bitコアで動作し、最適化された制御アルゴリズムを実行する。また、高速のイベント駆動型ステート・マシン(SMED)ペリフェラルを介して、PFCとハーフブリッジ回路を制御。パワー・マネージメントやバースト・モード・エンジンなどの専用ハードウェアIPブロックを搭載しているため、堅牢な動作が可能で、待機時の消費電力を最小限に抑える。ハードウェアによって制御されるハーフブリッジのサージ保護や共振外れ防止などのシステム安全機能を内蔵しているため、高速で動作するとともに、優れた信頼性を実現する。

STNRG012は、内蔵の不揮発性メモリ(NVM)に動作パラメータと補正係数を保存できるため、製造時に設定のカスタマイズや機器のプログラミングが可能。デジタル・プログラミングにより、設定用の外付け部品が不要になり、部品コストの削減や、回路の小型化に貢献する。また、モニタリングおよび通信用にUARTポートを搭載しているため、テストの簡略化とリアルタイムでの管理が可能になり、信頼性の向上に貢献する。

STNRG012は現在量産中で、20ピンのスモール・アウトライン・パッケージ(SO-20)で提供される。単価は、1000個購入時に約2.08ドル。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001232.000001337.html

貼り付けるだけで液質計測。柔らかく伸びる光センサシートを開発。

【概要】
 中央大学 理工学部の河野行雄教授(東京工業大学 特定教授兼任)、東京工業大学 工学院 電気電子系の李恒大学院生、大阪大学 産業科学研究所の関谷毅教授・荒木徹平助教らを中心とする研究グループは、オランダのEindhoven University of Technology、産業技術総合研究所らと共同で、新しい機能を示す光センサシートを開発した。また開発したセンサシートを用いることで、今までにない簡便な液体化学分析手法を確立した。

 これまで、環境計測を指向した家庭・産業排水の化学的液質検査では、液体サンプルの採取や試薬の混合が必要とされてきた。遠隔操作を含むオンサイト(注1)での長期的かつ、ユーザーの技量を問わない簡便な計測の実現には、サンプル非採取かつラベルフリー(注2)な新規手法の確立が求められる。

 今回研究グループはセンサシートの貼り付けという簡便な工程のみで、オンサイトな水溶液濃度計測に成功した(図1)。溶媒自身から発せられる広帯域な赤外線放射現象と、それに対する溶質での局所的な吸収に着目することで、サンプル非採取かつラベルフリーな液質計測が可能となる。
この液質計測には、研究グループが併せて新規に開発した高感度・広帯域かつストレッチャブル(注3)な薄膜状の光センサシートを用いている。植物や塩ビパイプ、蛇腹管、ゴムチューブといった柔らかい素材の液体配管にぴったりと貼り付けることができ、液体の流動性による配管の膨張・収縮・曲げ等の変形に対しても安定して追従可能である。ユビキタスな水質検査に資する基盤技術の実証という本研究成果は、将来、配管セーフティネットの構築に貢献できると期待される。

本研究成果は、米国東部時間2022年5月11日付で米国の国際科学誌「Science Advances」でオンライン公開。

【要点】
○ サンプル非採取、ラベルフリー、かつ外部光源不要なシート型非破壊液質計測手法を確立
○ 高感度・広帯域な光センサを搭載したストレッチャブルシートデバイスにより、多種形状の配管への貼り付けを実現
○ 光センサシートは配管亀裂や配管内液体の濃度・温度・粘性・流れる位置を簡便に可視化できるため、将来、ユーザーフレンドリーな配管環境計測システムの実現に貢献

【用語解説】
注1)オンサイト:「現場で」という意味
注2)ラベルフリー:「反応性の試薬等を投与する必要がない」という意味
注3)ストレッチャブル:「伸縮可能 」 という意味

プレスリリースサイト(chuo-u): https://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/communication/press/2022/05/60515/

量子センサ型バイオ分析チップデバイスの開発に成功

 岡山大学学術研究院自然科学学域の藤原 正澄研究教授、ゾウ ヤジュアン助教、同大学院自然科学研究科の押味佳裕大学院生らのグループは、大阪公立大学の手木芳男客員教授、松原勤准教授、吉里勝利特任教授、中台枝里子教授、仕幸英治教授、量子科学技術研究開発機構(量研)の西村勇姿博士研究員、量研/名古屋大学の湯川博プロジェクトディレクター/特任教授、馬場嘉信所長/教授、京都大学の小松直樹教授、新潟大学の井筒ゆみ教授らのグループと共同で、ナノダイヤモンド量子センサの利用に適したバイオ分析チップデバイスを開発し、細胞や組織切片・線虫など様々な生体試料において、量子センサ信号を設計通りに再現性良く検出することに成功した。

 本研究成果は、2022年5月1日、「Lab on a Chip」にオンライン先行版が掲載された。
 ナノダイヤモンド量子センサは近年最も注目されている超高感度バイオセンシング技術の一つ。本研究によって、量子センサを利用したバイオ分析チップデバイスの仕様を確実に設計・予測した上でデバイスを作製することが可能となった。マルチウェルプレートや流路チップ・臓器チップなどのチップデバイスで量子センサが利用可能となると期待される。

◆発表のポイント
・高い設計精度でナノダイヤモンド量子センサの信号を検出可能なガラスチップデバイスを開発した。
・細胞や組織・線虫など様々な生体試料がデバイス内で分析可能になった。
・流路チップ・臓器チップなど様々なバイオ分析デバイスへの応用が期待される。

プレスリリースサイト(okayama-u):https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id961.html

工業用サーモグラフィ内視鏡カメラ「FLIR VS290ビデオスコープキット」新発売

フリアーシステムズジャパン(株)は、工業用サーモグラフィ内視鏡カメラFLIR VS290ビデオスコープキットを発表。工業用サーモグラフィ内視鏡カメラFLIR VS290ビデオスコープキットは従来のサーモグラフィカメラでは撮影が難しかった機械内部や配線の裏側など狭所や高所の診断を可能にするという。

サーモグラフィカメラは温度分布が可視化できる便利なツールだが、例えばエンジンルームや機械内部、壁体内の温度などの狭いスペースではカメラを差し込むスペースがないため、熱分布を見ることができなかった。
FLIR VS290は赤外線センサーをコンパクトな先端チップに収めることでわずかな空間から内部の熱分布を測定することができる。

交換式のプローブ
プローブの進行方向を撮像する直視タイプと進行方向と直角に撮影する側視タイプから選択できる。

・側視丸型プローブ 2m
構造物内部の全周を点検するのに適する。
可視カメラ、熱画像のディテールを明瞭にするMSXを搭載。

・側視平型プローブ 2m
丸型に比較して差し込みの向きがわかりやすく、薄くなっている。(厚さ方向)
可視カメラ、熱画像のディテールを明瞭にするMSXを搭載。

・直視丸型プローブ 1m
進行方向を撮影する丸型プローブ。
赤外線サーモグラフィカメラを搭載。

FLIR VS290の詳細は以下のサイトを参照のこと。
https://www.flir.jp/products/vs290-kits

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000027932.html

ドローンを活用した送電設備自動点検技術を開発

(株)センシンロボティクスは、中部電力パワーグリッド(株)と共同で、送電設備の業務効率化に関する開発研究を実施し、送電設備自動点検技術の大型鉄塔への適用拡大と送電線(架空地線・電力線)を自動追尾する送電設備自動点検技術を開発した。
本技術をもとにソフトウェアを開発し、中部電力パワーグリッドが保有する送電設備の点検業務で運用を図る予定という。

両社はこれまでにも飛行ルートおよび撮影アクションを自動生成し、ドローンを活用した送電設備自動点検に特化した技術を確立してきた。(https://www.sensyn-robotics.com/news/chuden-pg)
このたび送電線(架空地線・電力線)自動追尾機能を追加したことで、自動点検飛行中の機体やカメラ操作が不要となり,ドローンに関する特別な知識を持たない作業員でもより簡単に送電線点検業務を実施することが可能になる。
この技術は、市場に流通している一般的なドローンを使用するため、これまで専用のセンサを使用するなど実験的な側面が強かった自動飛行を実用レベルに押し上げるもので、送電設備の点検業務の効率化が期待される。また、超高圧送電線路など大型設備の点検も対応可能になったため、より点検範囲が広がるとのこと。

開発成果
■大型送電設備(超高圧送電線路等)の自動点検飛行に対応
標準的な送電設備だけでなく、大型な送電設備(超高圧送電線路等)でも自動点検飛行が可能になった。
センシンロボティクスが保有する業務自動化プラットフォーム「SENSYN CORE」と、中部電力パワーグリッドの送電設備点検ノウハウを用いて共同開発した送電設備自動点検技術を組み合わせることで、鉄塔(支持物・がいし)と送電線(架空地線・電力線)を一括で自動点検する。
また、単導体送電線だけではなく、多導体送電線も点検できるようになったため、より多くのシーンで送電線点検業務の効率化を実施することが可能となった。

■送電線(架空地線・電力線)を自動検知し、高精細な映像を取得する技術を確立
送電線(架空地線・電力線)を、安全な離隔を保った上で精緻な点検を行うに足る解像度の画像を撮影するには、高度なドローン操縦・カメラ操作技術が必要とされてきた。両社はこれまでにも送電線(架空地線・電線)のたるみに沿った飛行ルートおよびカメラアクションを自動生成する技術を確立してきたが、今回、送電線(架空地線・電力線)自動追尾機能を追加したことで、操縦者の技能に関わらず精度高く・安全に送電設備点検業務を行えるようになった。
特殊なセンサなどを用いず、一般的に市販されている汎用的な機体・カメラを用いるため、メーカーや機種に依存しない、柔軟な運用が可能となる。

今後も継続的に研究開発を行い、AI や画像解析等の高度な技術を活用したドローン制御により、送電設備点検の更なる省力化・自動化を目指すとしている。

ニュースリリースサイト(sensyn-robotics):https://www.sensyn-robotics.com/news/chuden-pg-02