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PMシリーズ圧力センサにヘルールプロセスアダプタ一体型タイプが登場

 ifm efector(株)は、 Variventや溶接アダプタなどのフレキシブルさにより、さまざまな設置環境やプロセスに適応しやすい「圧力センサPMシリーズ」に、新たにへールール(Triクランプ)プロセスアダプタが一体となった「PM11シリーズ」を2023年6月に発売する。
 精密なプロセス制御や品質管理が必要な製造ラインでの使用に適した高精度な圧力測定や、食品加工のCIP/SIP工程など、温度変化の激しい環境での使用に適した温度耐性、封入液の無い堅牢なセラミック測定セルによる圧力や真空衝撃、摩耗性物質による衝撃の耐性により、効率的な運用とシステム統合、プロセス停止時間の最小化、生産性向上を実現する。

◆主な特長◆
・0.2%の高い精度 •優れた長期安定性を備えた過負荷耐性のある、封入液の無い静電容量式セラミック測定セル
・エラストマーシールを使用していないためメンテナンス不要
・食品産業のハイジェニック標準認証
・IO-Linkによるゼロ点キャリブレーション
・さまざまなプロセス接続によりに柔軟に取付け可能

◆製品名・価格◆
・製品名:「 PMシリーズ 圧力センサ」
・標準価格: 71,000円~ 76,300円(税別)
・販売目標: 2025年までに年間10,000個

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000122061.html

車載向け高耐圧ホールIC「BD5310xG-CZ / BD5410xG-CZシリーズ」開発

 ローム(株)は、、磁気検出を用いた車載アプリケーション向けホールIC「BD5310xG-CZ / BD5410xG-CZシリーズ」を開発した。
 本シリーズは、高耐圧プロセスの採用により業界トップクラスの42V耐圧を実現しているため、プライマリ(12Vバッテリーに直接つながる)電源への接続も可能である。状況に応じて急激に変動するバッテリー電源下での信頼性向上に貢献する。
 また、動作電圧範囲が2.7V~38Vと幅広く、さまざまなアプリケーションに対応することが可能。さらに、独自の内部トポロジーを搭載したことで消費電力を一般品と比べて約20%削減し、業界トップクラスの消費電流1.9mAも実現した。本シリーズは車載信頼性規格「AEC-Q100」(Grade1)に準拠するほか、車載用途に求められる各種保護回路を内蔵している。
 BD5310xG-CZ / BD5410xG-CZシリーズは、用途に応じてさまざまな製品を選択できるよう、単極検出*1タイプのBD5310xG-CZシリーズと、交番検出*2タイプのBD5410xG-CZシリーズの2シリーズを用意。
 検出磁束密度*3は2.0mT~28.0mTまでの合計11機種をラインアップしていく。単極検出タイプはドアの開閉やドアロックのなどの位置検出用途に、交番検出タイプはパワーウィンドウやスライドドアなどで使用される各種モータの回転検出用途に最適。
 新製品の単極検出タイプ「BD53103G-CZ / BD53108G-CZ」、交番検出タイプ「BD54102G-CZ」は、2023年6月より当面月産150万個の生産体制で量産(サンプル価格300円/個:税抜)を開始している。インターネット販売も開始しており、コアスタッフオンラインやチップワンストップなどから購入することができるとのこと。

《用語説明》
*1) 単極検出
  磁力線の極性でS極又はN極の片側を検出するタイプ
*2) 交番検出
  磁力線の極性でS極とN極を交互に検出できるタイプ
*3) 磁束密度
  磁界の強さを表す量、単位面積当たり磁束の数。単位はT(テスラ)

ニュースリリースサイト:
https://www.rohm.co.jp/news-detail?news-title=2023-06-22_news_sensor&defaultGroupId=false

データ連携社会とセンシング(2)

森口 誠(もりぐち まこと)
森口 誠

三田典玄 森口誠〔一般社団法人センサイト協議会 理事〕

3 センサデータ取得する仕組み構築を容易にする規格の標準化

データを取得するためのIOTシステムを構築するにあたり、どのようなセンサを採用し、どのような機器を接続していくのか決定するのは難しい。同じ出力を求めるにも検出の原理が異なるため、品質の表記が変わるからである。同じ出力を求めるにも検出の原理が異なるため、品質の表記が変わるからである。
例えば加速度センサの場合、あるものは、定格出力:0.5mV/V以上、あるものは「0(ゼロ)G出力 1.5V(電源3V時))と電圧出力で表記される。一方MEMS技術を使った加速度センサは加速度(G)で出力される(基板実装すること前提でその手間はあるので、取り出しが簡単であるというわけでないが)。しかも電圧での出力の場合、これをデータロガーに接続して、加速度表記に転換するのだが、その分解能は、ロガーに依存している。多くのデータ活用のためにセンサを活用したいデータ活用者にとって、自分の目的にあった必要十分なデータロガーを見つけ出すのも大変である。
センサ技術者の感覚では加速度を検知する方法は多数あり、ひいては信号への変換方法も多数あるので、顧客の要望に合わせて多数のパターンがあるのは当然である。しかし、データを使おうとしてシステムを組まなければと、考えているユーザから見ると加速度が欲しいのに出力が電圧というのはわかりにくい。正確に理解しようとするとセンサの基本や加速度センサの検出方式の理解が必要となるが、上下の動きなどざっとした情報のみ知りたいようなユーザにとっては一からセンサを勉強することはかなり重い負担である。センサの詳細を理解できていなくてもセンサを選択できるような道筋が必要で、そのための基盤となるのが接続の規格である。(図11)

図11 センサ接続機器とメタデータ
図11 センサ接続機器とメタデータ

しかし、この一つの検出指標に対し多様な検出方法があることは規格化していくことを困難にしている。
さらにセンサ自体の定義自体が広がっていて、接続に関わる機器が多層化・複合化しているため、規格化することをより困難にしている。
例えば狭義では温度・圧力・流量・光・時期などの物理量やそれらの変化量を検出する素子」(図12 ①)であるが、半導体の活用により検出したセンシングデータを補正して、出力できるようになっている素子(図12 ②)もセンサとして一般化している。
半導体やMEMSセンサにおいて、微小な検出器は温度による特性変動が大きいため温度補正回路を組み込むことにより、より精度の高い出力ができるように進化している。
さらに現在はネットワークを介して補正値を導入したり、ネットワーク上の複数のセンサデータを統合化したりした、新たに定義した評価軸に対しどの程度であるか示したもの(例:熱中症センサなど)もセンサとして定義されるようになっている(図12 ③)。このようにネットワークを介した複合化されたセンサにおいては、物理量の出力ではなく、人が活用しやすい指標として出力して、広義のセンサとして活用されている。

図12 狭義のセンサから広義のセンサへ
図12 狭義のセンサから広義のセンサへ

例えば、河川の防災監視においては河川の水位センサだけでなく、今後の気象情報や、上流の水位・気象情報、過去のデータなどを複合して「河川氾濫危険度センサ」として活用されている。しかし、現状では河川個々にアルゴリズムの設定が必要であり、機器を接続して設定すれば、「河川氾濫危険度センサ」として機能するというわけではない。
これは、センサの仕様・検出方法・補正処理方法・設置位置といったセンシングデータ品質が定義されることにより、センシングデータを同様に扱ってよいかどうか判断できるような状態にないからである。ある広義のセンシングに対し、どのようなメタデータをつければ、異なるケースでも同様に扱うことができるかどうかは、因果のありそうなメタデータを整備し、検証していくことで、実用に近づくものである。このようなデータ連携にはセンシングメタデータとともにデータが正しく伝える機器の連携が必要になる。

このような時代にはセンサがデータを出力してから人が理解しやすい数値・表記に変換するまで、センサ・AD変換・通信・電源などの機能に分解して記す必要がある。次世代センサ協議会ではこの問題を克服するために「つないだら使えるセンサシステム」という構想の基でSUCS(ザックス)コンソーシアム13)組織し、取り組んでいる。こではセンシングシステムのセンサ・AD変換・通信・電源の各ユニットの接続規格とメタデータのデータモデルを定義し、プログラムレスで専門知識がない人でもセンシングシステムが利用できるように工夫している。すでにSUCSの説明用のプロトタイプを作成し簡単な実施テストを行っている。今後広く普及していくには、社会実装の実施、国際標準化への提言など多くの課題が存在するが、メタデータのデータモデルオープンにし、標準化していこうという活動はユニークである。SUCS1.0のガイドラインを6月にSUCSコンソーシアムより発表される予定となっており、来月の本webジャーナルでもSUCS特集号として詳細を報告する予定である。詳細はそちらを参照されたい。

図13 SUCSコンソーシアムより
図13 SUCSコンソーシアムより

ほかにiflinkオープンコミュニティ14)は、「誰でもIOTが使える」世界の実現にむけて、iflinオープンコミュニティは様々なIoT機器やWebサービスをモジュール化することで、ユーザーが自由に組み合わせて便利なしくみを簡単に実現することができるIoTプラットフォームを整備している。」
またソニーグループではMESH15)と呼ぶ、触って体感することから始められるIOTブロックとソフトウエアを提供している。このような提案も実際に使用することで接続に必要な規格の課題や必要とするメタデータを抽出する活動としてとらえることができる。

4 取得データの多様化に対応するセンサ記述のデジタル化

現在の物作りは複雑化する一方である。100を余裕で超える部品を実装した基板を複数重ねたり、放熱スペースがない場所に実装したり、高周波信号に干渉しないようにアンテナを設計したりする。試作を繰り返すことは現実的ではない。できるだけシミュレーションによって、開発負荷を下げることが求められている。

図14 デジタルツインの世界:ITメディア ITソリューション塾より
図14 デジタルツインの世界:ITメディア ITソリューション塾より
出典:https://blogs.itmedia.co.jp/itsolutionjuku/2022/04/post_1025.html
図15 サイバーフィジカルシステムとデジタルツイン、IoTのフォーカス領域のイメージ
図15 サイバーフィジカルシステムとデジタルツイン、IoTのフォーカス領域のイメージ
出典:MONOist編集部 https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2010/16/news059.html

さらにこのように開発された製品を生産するための材料発注・管理、製造装置のプログラム、製造品質に管理とエンジニアリングチェーン、サプライチェーンの共通連携データとしてデータ連携することが求められている。このようなニーズからCAD,CAE,CAM、PDM,EDMなどのツールが急速に進化している。またこのようなニーズに応える共有基盤となる製品データのデジタル化が重要になっている。
現状の活用の代表的なファイル形式はSTEPやIGESやSTLである。これらはCADの中間ファイルとよばれ、ISOなどで規定された3Dデータ表現の根幹をなすものである。電子回路においてはSTEPが使用されることが多く、これを用いることで3次元モデルを異なるCAD間でも再現するができる。これは同様に記述されたプリント基板上に実装することで回路としての表現が可能になる。(STEP外のデータは互換されないので、名称の記述やほかのメタデータなど連携しないものもある)
さらに材料の誘電率やヤング率などのデータがあれば動作特性の解析や通電時の特性も解析もできる。これらが標準化されたフォーマットで記述されていればデータ連携が可能である。STEPなどの中間ファイルもこれらに対応していっている。
このように複数の定義された数値を組み合わせることにより、より大きな価値を生み出し、ユーザが得たい成果に達する助けとなる。

このような製品デジタル化の取り組みはより広い領域で起こっていてセンサも逃れえない。
代表的な例はCatena-Xである。Catena-Xは、自動車産業のサプライチェーン間でデータを交換・共有するためのプラットフォームを構築しようとしている。
情報やデータ交換の仕組みを標準化することで、開発効率・生産効率・透明性の向上が見込まれる。ドイツ企業が中心だが、日本からもDMG森精機などが参加している。
Catena-Xの詳細はその専門書に譲るが、この効果は多岐に渡る。製品データをデジタル情報で提供しあうことにより、自動車全体をデジタルで表現できるようになり、様々なシミュレーションを実施しることで、実車をくみ上げる以前に課題の抽出が可能になり、より効率的な開発が容易になる。また製造時の製品品質データ連携・グリーン調達なども容易に確認・フィードバックされるようになる。

図16 Catena-Xのデータエコシステム
図16 Catena-Xのデータエコシステム

またデジタルプロダクトパスポート (DPP)16)同様の意味を持つとも捉えられる。
エコノミーアクションプラン(循環型経済行動計画)」の要となる「持続可能な製品イニシアティブ(SPI: Sustainable Products Initiative)」であり、EU市場に投入される製品が持続可能なものになるよう、製品の標準化を進める施策が盛り込まれたイニシアティブとのこと。ようするに製品の持続可能性を証明する情報として、製造元、使用材料、リサイクル性、解体方法などの情報も含まれ、製品のライフサイクルに沿ったトレーサビリティを確保することが求められる。一見単に「データを付帯しなさい」という意味にしか見えないが、一定の製品を表すデータモデルの中でグリーン調達データを付帯させることを意味する。

Catena-Xほど大きくはないが、日本でも興味深い事業を行っている企業が存在している。
ヤマザキマザック株式会社の工作機械 生産支援ソフト「MAZATROL」とミスミグループのデジタル部品調達サービス「meviy」である。
ヤマザキマザックはAIを活用しデジタルツイン上で事前加工することで、加工プログラムの自動生成精度の向上することができるソフトウエアを提供している。ミスミグループは3D CADデータを「meviy」にアップすることで、見積もり、製造可否を判断することができる。
CADデータや属性情報(このメタデータの付け方が重要)と工作機械とを結びつけることが実現できている「meviy」上でそれぞれのMAZATROLのデータを共有することができると、加工実績が増えれば増えるほど、自動生成プログラムの精度が上がるというモデルを構築しうる。このデータの共有にあたり、データの売買という概念が入ると「meviy」上にデータ市場が形成されることになる。またこれらは現状では部品調達に限った話だが、組み立て加工品など、複数のパーツの複合体や、加工プロセス品に関するサービスに発展していく可能性があることは容易に想像がつく。センサもこの流れの中からは逃げることはできないし、リアルな加工精度に直接効くセンサの精度とその表現は大きな意味も持つ。

図17 meviy もの作りデータ連携 ミスミグループ本社HPダウンロード資料より
図17 meviy もの作りデータ連携 ミスミグループ本社HPダウンロード資料より

5 デジタル社会にむけての課題

データ連携社会においてセンサに求められる要件と現状の取り組みを整理してきた。
紹介した事例はごく一部であるが、大まかな像は記載できたかと思う。
現状、デジタル化を実現することで、効率が向上したり、見える化が実現したり、効果がよくわかる面については進展がみられる。一方で、エッジ部分のデータがスムーズにつながる仕組みについては、まだまだと言わざるを得ない。いわば使える範囲で改善をすすめているが、活用できてないデータが膨大に存在し、課題はエッジにある。
公正な取引市場の形成やセキュリティの課題も含め多様な課題は存在するがここではデータを生成する立場から見た課題を整理する。

1)データ生成者にとって利益になるか?
データ連携のプラットフォームができたとして、膨大なデータ提供者が存在し、データ活用者がデータを活用できるような環境が整わなければ、システムとして成り立たない。しかし、データ提供側の労力に見合う価格でデータを提供できるかは不明である。そもそもデータを活用してもらえない可能性がある。もちろんデータ提供者は自身の持つデータが売れるようなものでないと判断した場合データ市場にデータを提供しようとは思わない。
現状では行政がもつパブリックデータのオープン化をデータ連携のスタートに置こうとしているように見える。例えば以下のような段階が想定される。

① パブリックオープンデータ整備
② このようなオープンデータを活用してあらたなサービス
③ サービスする中で新たなニーズに気づくがオープンデータでは不足。
④ データを入手するための環境整備
⑤ 整備したデータの市場への提供

民間のデータ提供者としてはすでに一部では行われているが、モバイル通信業など、大規模にデータを扱う事業者が中心になると思われる。これらの企業はすでにデータ管理された膨大なデータを持つこと、消費行動を行うユーザが含まれていることなどから、重要な価値を持つため、個人情報の保護に関する問題がクリアされる限り、早い段階でデータ連携基盤上にデータが提供されてもおかしくはない。
ただ、小規模データになればなるほど負荷と価値に乖離が見られるようになる。利用者を増やすことで価値を上げるとともにデータ提供者側の負荷とコストを低減することが必要である。現状解決する見込みまだ立っていない。

2)メタデータの整備・特にセンシングメタデータを整備できるか?
メタデータ整備は膨大で、その整備を行っている期間はお金にならない。規格にのっとり体系化しなければ、メタデータの価値を十分活かせないためである。また体系化して実際に使ってもらえるかは分からない。メタデータが整備されることにより利益が生じることが見えてこなければ、メーカーは本腰を入れない。その意味でDPPのような規制はメタデータ整備を後押しする可能性はある。
 一方でCAD,CAEの世界ではデジタルツイン、デジタル製品化がすでに始まっており、今後拡大していくであろう。問題は、「どこまでデジタル表現するか?」である。言い換えると秘匿情報はデジタル化したくないというメーカー側の思惑と、データを入れ込むだけで製品すべてを把握したいユーザ側のニーズをどこで合致させるかである。
半導体におけるIBISモデル17)のような規格の整備が必要かもしれない。

3)データ活用者のニーズを実現する新たな価値をむすびつけられるか?
接続機器の規格について述べたが、デザイン思考から社会課題の仕組みを考える立場から必要な仕組みに落とし込むには機器の規格だけでは不十分である。
ニーズを機能に分解し、センサの出力数値に整理する過程が必要であり、これらをサポートするような社会的な仕組み作りがデータ連携を加速すると考えられる。
またこのように現象を事象表現できると新たなセンサニーズが生じ、センサ業界の発展にも貢献するものと考える。(図18)

図18 ユーザ(知りたいことがある人)とセンシングデータをつなぐ
図18 ユーザ(知りたいことがある人)とセンシングデータをつなぐ

データ連携する社会が実現するとこれらのデータを用いて新たな価値提供をおこない、事業化をおこなおうとする。しかし、新規性が高いものほど、市場にあるデータだけでは十分でなく、補完するデータが必要になる。この際、既存のデータがどのような構成なのか見えていることが望ましい。しかし、データ活用者とセンサ設置の環境までの階層はより多段化している。これらのユーザをつなぐ仕組みが必要である。また、ユーザとデータをつなぐことで、新たなセンサニーズが生まれると考えられる。

4)公平な仕組みになるか?
日本においても誰でも平等にアクセスできる基盤データの民主化を基本としている。
欧州委員会でもGAIA-Xでは公平でシンプルなデータ連携基盤としている。
しかし、基準を制定したものが適合しやすい事実や基盤にアクセスにおいて、優位不利が存在する。せっかくの物理的には高性能なセンサや機器がデータ連携適合性の整備ができなかったため、市場からはじかれることがありうる。
先に述べたDPPであるが、これは単純にデジタルデータを製品に着けなさいということを意味するのでではないと考えられる。
製品と製品を組み合わせて製造される製品を表現するには、製品そのものを表現するデータモデルが必要で、EUで制定したモデルに従って、表記されることが求められることになる。つまり先に述べたデジタル製品の基本仕様をEUが描くと言っているに等しい。これは日本の経験に基づいた製品がデジタルデータを付帯できないために売買できなくなる可能性を意味している。

6 まとめ

デジタル社会、ネットワークを介した複合センサのような概念も一般化されるとともに、世の中のネットワークにつながる機器は全てセンサのような役割を果たしうると認知され、収集されたデータが新たな価値を産むことが理解されつつある時代にある。そのため、データの収集にやっきになる時代になっている。
しかし、現状はGAFAに代表される規格に基づいた膨大なデータを取得できる企業に支配されている。これに対し、データ連携基盤はデータを一部の企業だけでなく、一個人でも、利用できるようにデザインされており、このことが重要である。世の中にあるデータを組み合わせることで、人々に刺さる価値を創造し、提供することができれば、新たな事業が産まれることになる。誰でもアイデアがあれば、新たな分野の事業を起こせるようになる。
データの民主化と呼ぶ事象である。
一般的な人権に関わる民主化は自由な個々の人々によって、成し遂げられ、維持されていく。データの民主化も同様にデータを利用・活用・提供する人々によって成し遂げられ、維持されていく必要がある。
その中でもデータの生成源であるセンサを提供するセンサ技術者の役割は大きい。
実際、ユーザ、データ活用者側のニーズは具体化され、DATA-XやGAIA Xのような基盤とそれを支える仕組みづくりにデジタル庁などの官公庁も動いている。
しかし、データ生成者であるセンサのメタデータが整備されない限りデータ連携はなされず、データの民主化の時代はこない。
センサの能力を削らないよう、メタデータを整備し、規格を定義できるのはセンサ技術者だけである。

7 センサイト協議会の取組み

データ連携社会で求められていることを整理してきたが、まだまだ世の中のニーズとして十分顕在化しておらず、実際の社会においてどのような仕組みで実装されるのか、センサに関係する研究者・技術者・メーカなどにとってどのような利益がもたらせるのか、具体的には見えてはいない。
この様な背景の元、データ社会における情報発信源としてのセンサのあり方に向けて、検討する事が重要であると認識し、(一社)センサイト協議会18) の中に「センシングメタデータ利活用基盤検討WG」 を立ち上げる予定である。
このWGの狙いはセンサに付帯すべきメタデータとその付帯の仕方を実際に検討することで、今後のセンサの在り方を示すことである。
まずセンサ技術者から見たセンサに関わるメタデータの検討が必要と認識している。

  • 1)デジタル社会におけるセンサニーズの分野毎に、ニーズ側から見たメタデータのあるべき姿を極力具体的に検討する。
    例えば社会システムとしてはスマートシテイにおける防災センサネットワーク(水害 斜面崩壊 橋梁 その他)、医療情報、交通情報、生活インフラネットワークなど
  • 2)センサ毎に、要望されるメタデータのあるべき姿とその具体的メタデータ項目を、事例をセンサ起点で検討する。
  • 3)分野毎に、上記ニーズ側とシーズ側の検討結果を突き合わせ、具体的なメタデータ活用方法について提言をまとめる。

この活動を通して、新たなセンサを提案し、そのセンサが新たな価値を産み、さらなる新たなセンサにつながる様なエコシステム構築を目指したい。
(一社)センサイト協議会では問題に一緒に取り組んでいただける企業を求めている。
これらの活動にご興味お持ちいただいた方はリンク先の https://sensait.jp/contact/ にご連絡いただきたい。



参考文献

  1. SUCSコンソーシアム https://www.jisedaisensor.org/sucs/
  2. i fLinkオープンコミュニティ https://iflink.jp/index.html
  3. MESH https://meshprj.com/jp/
  4. https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2022/0310_16.html
  5. IBISオープンフォーラム https://ibis.org/
  6. センサイト https://sensait.jp/about/


【著者紹介】
森口 誠(もりぐち まこと)
○オムロン株式会社
 デバイス&モジュールソリューションカンパニー 技術統括部 要素技術部
 モジュール技術開発グループ
○一般社団法人センサイト協議会 理事

■略歴
・1993年 東京理科大学 理工学部電気工学科卒業
 同年オムロン株式会社入社
 加速度センサデバイス、RF-MEMSスイッチなどの開発に関わる
・1998年より 東北大学未来科学技術共同研究センター研究員として半導体開発・製造プロセス開発に従事。
・2003年より NEDOのMEMS関連の各プロジェクトに参画
・2009年から 新規事業創出担当
・2017年から データ連携をベースとしたエッジ戦略検討
・(一社)センサイト協議会・センシング技術応用研究会・(一社)次世代センサ協議会員
・データ社会推進協議会員
・電子情報通信学会・電気学会員

凸版印刷、長距離・高速通信を実現する新型「ZETag®」を開発

 凸版印刷(株)は、2021年より最長で約2,000m離れていても通信が可能な資材管理向けアクティブタグ「ZETag®(ゼタグ)」を提供している。
この度、「ZETag®」のリニューアルを行い、次世代ZETA(※1)規格「Advanced M-FSK変調方式」に対応した新型「ZETag®」を開発。従来品と比較して高感度・高転送速度と、約4,000mの通信距離を実現した。2023年6月より製造業や物流業界に向けて試験提供を開始するという。

 「ZETag®」はボタン電池で駆動し、固有のID情報を自ら発信するアクティブ型のタグである。パッシブ型RFIDタグで必要とされているリーダーによる読み取り作業やアンテナ内蔵ゲートの通過といったプロセスを経ることなく、広い倉庫や屋外でパレットやカゴ車などの所在を自動的に管理することが可能である。

 今回開発した「Advanced M-FSK変調方式」対応の新型「ZETag®」は、従来品と比較して10倍以上(10dB以上)の感度と、20倍以上の転送速度、500~4,000m(最長通信距離は従来品の約2倍)の通信距離を実現した。これにより、従来は正確な電波周波数の読み取りが難しかった移動中のトラックへの取り付けにも適している。また、感度向上により、荷物や棚などの障壁により電波が届きにくかったエリアでの読み取りや、少ない基地局での管理効率化を実現する。

■ 開発の背景
 物流・運送業界では、貨物取り扱い件数が年々増加する一方、トラック輸送の時間外労働規制の強化による2024年問題や少子高齢化を原因とする人手不足が深刻化している。このため、作業負荷の軽減や輸送の効率化が重要な課題になっており、その取り組みとして配送状況の管理や在庫の可視化など物流DXが注目されている。
 このような中、凸版印刷は2021年に開発した資材管理向けアクティブタグ「ZETag®」をリニューアルし、精度向上を実現。パレットやカゴ車など物流・輸送機器のほか、トラックなどの輸送車両の所在も自動で管理・可視化することにより、管理業務の負担軽減や円滑な荷役作業を実現するなど、物流業務の効率化を支援する。

■ 新型「ZETag®」の特長
・電波のノイズ耐性を高め高速移動体との通信や効率的な読み取りを実現
 新型「ZETag®」では、(株)ソシオネクストが提供するLSI「SC1330A」を搭載し、次世代ZETA規格「Advanced M-FSK変調方式」への対応により、データの誤りを訂正する符号化技術でノイズ耐性を高め、多値化変調処理で通信できるデータ量も増加した。これにより、高速移動により電波形状が変化しやすく読み取りが難しかった輸送車両などへの活用にも適している。また、感度向上で、これまで電波が届きにくかったエリアでの読み取りが可能となるほか、基地局の設置数を少なくすることができ、より効率的な業務管理を実現する。

・様々な管理ニーズに対応した3種類をラインナップ
 ユニークIDのみ送信する標準版、パッシブタイプのRFID(NFC/UHF)・温度センサを連携したRFID搭載版、GPS・温度センサを連携したGPS搭載版と3種類のラインナップを用意。温度センサを組み合わせることにより、温度管理が必要な食品輸送などの場面で、トレーサビリティ情報と輸送時の温度記録も可能。GPS搭載版は、屋外の広いエリアに置かれた資材の所在管理など様々なニーズに対応する。また、標準版、RFID搭載版は従来より形状を変更。上部のフタ形状改良による防塵防水性能の向上と、天面のタグ取り付け穴付加による設置のしやすさも実現した。

・「ZETagDRIVE™」の活用で、通信データの一元管理が可能
 新型「ZETag®」からの通信データを管理する「ZETagDRIVE®」は、基地局が検知した新型「ZETag®」の情報を収集・可視化・記録・管理するクラウド型の管理システム。可視化の機能は、取得したGPS情報を元にしたマップ表示、拠点に存在する数量のリアルタイム表示などができ、手軽にデータ管理をはじめることができる。

※1 ZETA
 超狭帯域(UNB: Ultra Narrow Band)による多チャンネルでの通信、メッシュネットワークによる広域の分散アクセス、双方向での低消費電力通信が可能といった特長を持つ、IoTに適した最新のLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク規格。LPWAの規格のひとつであるZETAは、中継器を多段に経由するマルチホップ形式の通信を行うことで、ほかのLPWAと比べ、基地局の設置を少なくでき、低コストでの運用が可能な方式として注目されている。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001171.000033034.html

積水樹脂と三井住友海上、IoT浸水深センサの共同開発を開始

積水樹脂(株)は、三井住友海上火災保険(株)と共同で水災時の被災地の住⺠避難や災害対応の迅速化にも貢献するIoT浸水深センサの開発を開始すると発表した。


1.本取組みの背景
 地球温暖化に伴う⾵⽔害の多発・激甚化が社会課題となっている。水害時の保険⾦の⼀時⾦⽀払いには原則、被災した全建物について浸⽔深の現地調査が必要なため、保険会社では災害発生時多くの人員と時間を割いて対応している。
 一方、国土強靭化の一環として国が取り組む流域治水において、災害対応の迅速化に向けて浸水状況のリアルタイム把握の取組みがなされている。河川への水位センサの設置は進んでいるが、洪水や内水氾濫により市街地や建物などの地上が水に浸かる「浸水深」を計測するセンサの設置は今後の課題である。人命救助や復旧に向けての災害対応においては、多くの地点のリアルタイムな浸水深の把握が必要であり、これに対応できるセンサが求められていた。

2.IoT浸水深センサの共同開発の概要
 これらの社会課題を解決すべく、同社では三井住友海上と協⼒し、IoT 浸⽔深センサの共同開発を開始した。
 同社は既に河川の⽔位監視ができる⼩型・軽量なIoT ⽔位センサを開発しており、現場の⽔位変化・異常をリモートで把握することで河川管理の省⼒化に貢献している。
 今般の共同開発では、当社ではLPWA Sigfox ネットワークを活⽤し、災害時に地上の浸⽔深を遠隔から把握できるIoT浸⽔深センサを新たに開発、保険⾦⽀払に使⽤できる浸⽔深データの取得およびクラウドを通じたデータ提供について検討していく。三井住友海上では、クラウドに送信された浸⽔深データのデータベース化およびアラートシステムの構築、浸⽔深データを活⽤した保険⾦⽀払いシステムの構築について検討していく。
 両社の技術を掛け合わせ、本センサを建物に設置し浸⽔深データを保険会社に連携することで浸⽔建物の現地調査の簡略化や迅速な保険⾦⽀払いを実現し、被災地の早期復旧に貢献する。また、データを官⺠連携することで浸⽔状況を速やかに把握することが可能となり、迅速な災害対応や地域への情報発信の実現にもつながる。

3.今後の流れ
 今後実用化に向けて実際の建物等フィールドにIoT浸水深センサを設置して検証を開始していくとのこと。
また、本取組みを東京ビッグサイトで6月28日から開催される「地域防災EXPO」に共同出展する。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000074625.html

モルフォ「水力発電所向けAIモデル」を開発、ベアリング温度を時系列予測

(株)モルフォは、水力発電所向けにセンサデータを用いてタービン(※1)内部のベアリング(※2)温度を予測するAIモデルを開発した。これにより発電所設備のメンテナンス性向上に貢献したという。

多くの産業用装置では、品質や稼働の安定性の管理、安全性の考慮などの様々な理由から、主要なセンサの測定値を監視することが重要視されている。今回モルフォが開発した予測AIモデルの搭載により、システムの重要な部分の監視や不具合等の兆候を察知することが可能となり、装置が故障する前に予知保全が行えるようになる。

今回のプロジェクトでは、お客様から収集した過去データを使用してモデルの学習を行い、タービン内部のベアリング温度の予測AIモデルを開発した。ベアリング温度を予測することは、タービン内部への冷却水の注入やメンテナンスの必要性を知る上で非常に重要である。モルフォが開発したAIモデルは、種類の異なるセンサの時系列データから、タービンが停止する際のベアリング温度の時系列変化予測を可能とする。

画像は、タービン停止時に行われた予測と実際の温度測定値を示している。「現在」の時点では発電(緑色)は停止しており、タービンの回転速度(青色)は徐々に低下している。予測(点線部分)は「現在」の時点までのデータのみを使用しており、開発したモデルでは停止後の実際のベアリング温度(黄色)を正確に予測できることが確認できた。
本技術により、タービンの故障や異常の早期発見、メンテナンス性の向上、発電所の効率的稼働に繋げることができるとのこと。

※1:タービン:流水、蒸気、ガス、空気などの作動流体のエネルギーを回転運動のエネルギーに変換する装置。
※2:ベアリング(軸受):機械の中の軸を支え、正しい位置で滑らかに回転させるために使用される部品。

プレスリリースサイト:https://www.morphoinc.com/news/20230615-jpr-ai_tsf

アスタリスク、自動レジの実証実験を目的とする子会社を設立

(株)アスタリスクは、最新のテクノロジーを活用した自動レジの実証実験を目的とする子会社「(株)自動レジ研究所(以下、「自動研」)」を設立することを発表した。

●目的
近年、人手不足解消やレジの待ち時間短縮・混雑緩和を目的として、セミセルフレジやセルフレジが開発され、小売業界を中心に導入が進められてきた。
アスタリスクは、この分野においてPOSレジ自動化を推し進める「レジ自動化推進委員会」を設立、人追跡レジAsRegi+の開発をはじめ、様々なソリューションを研究してきた。
今回、新たに子会社を設立することで、自動レジの実証実験にさらなる注力を行い、将来的な展開に向けた研究開発を加速させる専門組織を立ち上げることとした。
自動レジの実証実験には、特許取得済の画像認識技術やセンサ技術、顔認証技術などを中心とした最新の技術が活用される。これにより、顧客のスムーズな支払いプロセスと、店舗業務の効率化を実現することを目指すという。

●将来展望
自動研では、AI(人工知能)や画像認識といった先進技術を駆使し、飲食および小売業界におけるレジの自動化に関する研究開発および実証実験を展開していく。これにより、レジ作業の効率化や顧客エクスペリエンスの向上といった多くのメリットがもたらされることが期待される。

【会社概要】
(株)アスタリスクの完全子会社として設立。自動レジの研究開発および実証実験を行い、業界のイノベーションを推進する。
(1)商   号: 株式会社自動レジ研究所
(2)所 在 地: 大阪市淀川区木川西2丁目2-1
(3)代 表 者: 代表取締役 鈴木 規之
(4)事 業 内 容:人追跡技術・顔認証技術を用いたレジセルフレジの社会実装に向けた実証実験
(5)資 本 金:1,000,000円
(6)設立年月日:2023年6月15日
(7)決 算 日 : 8月31日
(8)大株主及び持株比率:株式会社アスタリスク 100%

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000031440.html

ams OSRAM、最新IR VCSELエミッタに、内蔵アイセーフティ機能を追加

オーストリア・プレムシュテッテンおよびドイツ・ミュンヘン(2023年5月30日)
ams OSRAMは、既存の車載用VCSELモジュールより信頼性が高く、目の安全保護機能を搭載可能なTARA2000-AUT-SAFE垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)を発表した。これにより、車載インキャビンセンシング用の赤外線レーザーモジュールの製品ポートフォリオを強化した。

当該製品は世界トップ10に入る自動車メーカー1社に採用される新製品となり、ams OSRAMは2024年から量産を開始する予定。

新製品TARA2000-AUT-SAFE(*1)は、厳密に制御されたピーク波長940nmの赤外線ビームを生成し、ドライバーモニタリング、ジェスチャーセンシング、インテリア(キャビンセンシング)(*2)など既存のTARA2000-AUTシリーズと同じ仕様用途に適用できる。本製品はams OSRAM VCSELチップとマイクロレンズアレイ(MLA)をコンパクトなモジュールにパッケージ化したものである。

116°x 87°の広い照明領域(FOI:Field of Illumination)を持つTARA2000-940-W-AUT-SAFEは、2D近赤外線(NIR)イメージングと3D iToF カメラによるキャビンモニタリングに対し、最適化されている。現在開発検討中の46°x 41°の狭いFOIを持つTARA2000-940-UN-AUT-SAFEは、ドライバーモニタリングに適している。現在、お客様へサンプル提供可能。

ams OSRAMは自動車認証を取得したキャビンセンシング先進技術をOEMやTier 1企業に提供してきた歴史がある。同社は、世界初のAEC-Q102認定およびISO 26262基準に適すVCSELフラッドイルミネーター(flood illuminator)であるTARA2000-AUTを発表し、2021年第2四半期から複数の車載顧客向けに量産・出荷をしてきた実績がある。TARA2000-AUT-SAFEシリーズはイノベーションを追求し続けている中で、目の安全を守るための新型内蔵インターロックループ方式により、自動車メーカーは、より高い信頼性を得るとともに実装を簡素化することができる。

新機能の抵抗インターロック回路はMLAにインテグレートされている。TARA2000-AUT-SAFEは障害状態に瞬時応答(<1μs)することによって、ディフューザーのひび割れや剥がれなどの目の安全を損なう可能性のある障害を直接検出できる。

TARA2000-AUT-SAFEは、様々な設計および実装上の課題を解決することで、現在市販されている競合製品使用時よりもコストを抑えることができる。高速で信頼性の高い応答は、競合品となる車載VCSELの目の安全保護のための内蔵フォトダイオード方式と対照的である。競合製品では、フォトダイオード信号は、VCSELモジュールの前にある反射物などの目の安全に関連しない要因によって引き起こされる障害が発生しやすく、目の安全を保護するシステムの能力を損なう。

また、TARA2000-AUT-SAFEのインターロックループは、読み出し回路が1つのANDゲートまたはMOSFETしか必要としないため、回路のインテグレートが容易である。それに比べて、フォトダイオードの複雑な読み出し回路には、より高価な部品の数が増える。フォトダイオード方式の場合、部品コストが高くなり、目の安全にリスクをもたらす事象への応答が遅くなることを意味する。

なお、フォトダイオードの応答は温度に強く依存するため、システム設計がより複雑になり、信頼性が低下する。これは、広範囲の動作温度にさらされる車載アプリケーションにとって特に欠点となる。

(*1)https://ams-osram.com/products/lasers/ir-lasers-vcsel/ams-tara2000-aut-safe-for-in-cabin-sensing
(*2)https://ams-osram.com/applications/automotive-mobility/in-cabin-sensing

・新しいTARA2000-AUT-SAFEシリーズは、目の安全性を損なう可能性のある障害を超高速検出し完全に保護するための独自のインターロックループ方式を採用
・インターロック方式はシステム搭載部品件数およびシステム全体のコストを削減
・940nmエミッタは、ドライバーモニタリングに最適化された照明用途、また、キャビンモニタリング向けの2D 近赤外線(NIR)または3D iToF (indirect Time-of-flight)カメラ照明用途の2種類を提供
・ams OSRAMは、世界トップ10に入る自動車メーカーにTARA2000-AUT-SAFEを2024年から大量に供給予定

※本プレスリリースは、2023年5月30日にオーストリア・プレムシュテッテンおよびドイツ・ミュンヘンで発表したプレスリリースの抄訳版。

ニュースリリースサイト:https://www.dreamnews.jp/press/0000282237/

筆記具の加速度センシングとディープラーニングにより集中力を予測

 三菱鉛筆(株)は、東京大学 大学院薬学系研究科の池谷裕二教授とストーリア(株)との共同研究として、筆記具の役割である“書く・描く”ことに加えて、新たな提供価値を創出するための試みの一つとして、筆記具の動きと脳波を記録し、筆記具の動きから脳波を予測するという実証実験を実施した。
 今回の実証実験の結果、筆記具の加速度データから集中力を予測できることが判明した。さらに、本論文は、2023年度人工知能学会全国大会に採択された。

【背景】
 同社は、筆記具という商品を通じて、多くの人が生まれながらに持つ個性と創造性を解き放つ表現体験そのものを提供していくことを経営方針として事業活動を行っており、筆記具の提供価値を、“書く・描く”に限定することなく、さらに広げ、高めていくことを目指している。
 新たな提供価値を検討する中で、日常的な筆記行為を通じて、自分の集中状態を把握することができれば自分自身に合った学習や作業を実現できるのではないかと考えるに至った。さらには、教育分野における授業の最適化や、作業分野における作業効率向上、ストレス軽減にもつなげることが期待される。
 現在、集中力を予測するためには、脳波計などのデバイスを頭部に装着する必要があるが、頭部にデバイスを付ける行為自体が煩雑、かつ集中力を下げる要因となる可能性もあり、データ取得において多くの課題を抱えている。筆記具の動きから集中力の予測が実現できれば、新たなデータ取得の方法になり得るとも考えているとのこと。

【実験手法】
 筆記具に装着し加速度を測定できるアタッチメント型のIoT機器(ストーリア製 試作品「Penbe」)を装着し、筆記動作をセンシングできるようにした。この筆記動作センシングと同時に、脳波計を被験者に取り付け、集中力やタスクパフォーマンスとの関連が知られている脳の前頭葉のガンマ波成分を計測した。これらの筆記動作(加速度)とガンマ波の二つを、ディープラーニングの一つである「長短期記憶ニューラルネットワーク手法(以下LSTM手法)」を用いて、時系列的に分析した。

【実験タスクの概要】
 アラビア語学習経験のない被験者を対象に、60分間アラビア語の書き写しを行い、その後10分間ずつ絵画と数理クイズのタスクを課した。アラビア語の書き写しをする60分間においては、集中を阻害するために、外部から各種の妨害(動画視聴やフリートーク)を行った。

【本研究成果のポイント】
◆ 外部から妨害を行った時間帯では、妨害の少ない時間帯に比べて、ガンマ波強度/デルタ波強度比率の平均が低いことがわかった。 そのため、ガンマ波強度/デルタ波強度比率が、集中度合いの指標として用いることが妥当と確認できた。
◆ 筆記動作からLSTMネットワーク手法を用いて予測したガンマ波強度/デルタ波強度比率と、実際のガンマ波強度/デルタ波強度比率の、時系列変化の推移がほぼ一致することを確認した。(図1)
◆ ガンマ波強度/デルタ波強度比率が0以上になる時間帯を集中、0以下になる時間帯を不集中と分けると、感度 (実測した脳波に対し、筆記動作から正しく予測できた割合)は、83.0%となった。

(注1)ガンマ波の発生量が課題に対する集中力と関連があることは過去の研究で示され、脳の休憩状態と関連するデルタ波で補正して集中力指標としての有効性が示唆されているが、「集中力」に対するより明確な定義や評価方法の確立は今後も検討が必要である。
(注2)被験者の数が限られており、さらに筆記具の加速度データと脳波データの関係は被験者によって異なる可能性があるため、汎用的な手法を提供するには、より多くの被験者を集めた実験が必要である。

【考察】  この実験によって、LSTM手法を用いて筆記具の加速度データからデルタ波を予測できることが示された。これは、脳波を直接測定することなく、日常的に使用する筆記具から脳内の状態を予測することができることを意味しており、教育や作業といったさまざまな場面において応用することができると考えられる。
 この実験によって、LSTM手法を用いて筆記具の加速度データからデルタ波を予測できることが示された。これは、脳波を直接測定することなく、日常的に使用する筆記具から脳内の状態を予測することができることを意味しており、教育や作業といったさまざまな場面において応用することができると考えられる。

ニュースリリースサイト(mpuni) :https://www.mpuni.co.jp/company/press/20230609-53119.html

ポリカーボネート、アクリルなどの透明樹脂に塗布可能な防曇性コーティング剤

ユニケム(株)は、新たに防曇コーティング剤を製品化した。新規開発した防曇コーティング剤(以下、本コーティング剤)は高い曇り防止性と透明性を有しながら、新たに表面撥水性や滑り性を持つ、他社にはない機能を有する製品。さらに同社ではユーザーごと、用途ごとにカスタマイズ対応を行うことで使用条件に応じた機能をユーザーへ提案するという。

●防曇コーティング概要
防曇コーティングは、自動車用ヘッドランプ、浴室ミラー、交通資材、レンズ、フィルム、カメラレンズ、センサなど幅広い分野において需要が高まると予測されている。
同社が新規開発した本コーティング剤は、人の呼気程度の蒸気に対する防曇性はもちろん、熱湯に近い高温蒸気に晒した過酷な条件でも透明度を維持することができる優れた防曇性を有している。
さらに、今回新たに特殊モノマーを併用することにより、表面撥水性、滑り性をコーティング機能に付与することで成功した。これにより用途展開が広がることが期待できる。

●新製品の基本情報

 有効成分:親水性アクリルコポリマー
 膜厚:10μ~20μ程度
 硬化方法:加熱硬化(UV硬化系開発品もあり)
 加工方法:ディップ、スプレー、バーコート、流し塗り 等

【主な特徴】
・防曇性
・表面撥水性
・滑り性
・高密着
・高耐久性

【ラインナップ】
① 親水タイプ UK-001 (標準品)
② 撥水タイプ UK-002 (新規品)

製品紹介URL:https://uni-chem.co.jp/?page_id=251

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000118160.html