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SUCSセンシング系の付加価値を高めるメタデータの活用(1)

小田 利彦(おだ としひこ)
SUCSコンソーシアム幹事
オムロン株式会社
小田 利彦

1 はじめに

 SUCS®※1(ザックス)コンソーシアムでは、すべての人が簡便に且つ安価に実世界の現象やモノをセンシングし、収集したセンシングデータを様々に活用できるセンシング系(SUCSフレームワーク)の標準化活動を推進している。SUCSフレームワークでは、フィジカル空間においてセンサ、AD変換、通信、電源の4種のユニットを組み合わせてできるセンシングトレインと、サイバー空間においてセンシングデータやメタデータを管理するクラウドサービスとが連携している。

図1 SUCSフレームワークの全体像
図1 SUCSフレームワークの全体像

 ユーザはSUCSユニット(以降ユニットと略する)を接続してセンシングトレイン(図1参照)を作製すると、直ちに電源が供給されセンサによる計測が始まり、計測データが通信によってクラウド側に送信される。従来のセンサ計測で必要だった特別なプログラムを用意することなく、こうした簡単な手順でセンシングデータの収集が行える。このようにITに不慣れなユーザでも身近な現象や事物の観測を楽しめるようになることが期待される。

 このSUCSフレームワークでは、センシングトレインとクラウドの連携が自動的に行われることが特徴であり、そのために、SUCS仕様に準拠したユニットで構成されたセンシングトレインとの通信が可能なデータ管理基盤としてSUCSクラウドサービス(以降 クラウドサービスと略する)を構築することが必要となる。SUCSコンソーシアムでは、このクラウドサービスを中立的な立場で構築・運営することを検討している。

 このクラウドサービスの主な機能(図2参照)は、ユニットの申請・認可機能とともに、センシングトレインから送信されるセンシングデータの登録・管理機能、さらにメタデータの登録・管理機能である。データ前処理、データ匿名化、データ可視化、外部との連携などのデータ利用に便利な機能も備える予定である。

図2 SUCSフレームワークのセンシングトレインとクラウドサービス
図2 SUCSフレームワークのセンシングトレインとクラウドサービス

2 SUCSフレームワークにおけるメタデータ

 メタデータとは、一般にデータに関する付帯的な属性情報が記載されたデータであり、書籍、映像、Webページなど様々なコンテンツを効率よく検索するために要約された情報として使われている。SUCSフレームワークでは、ユニットやセンシングトレインの属性情報、センシングデータや観測の属性情報をメタデータとしている。
 SUCSコンソーシアムでは、様々なユースケースに基づきメタデータの項目を洗い出し、メタデータの共通なフォーマット仕様を2023年6月に公開するガイドラインに記載する予定である。
 メタデータの種類の一覧を表1に示す。表中にあるユニットメタデータは、ユニットの製品仕様などを記載するメタデータである。センシングトレインメタデータは、4種のユニットの構成を示すためにユニットを識別するIDを記載する。センシングデータセットメタデータは、観測によって収集したデータの集まりであるデータセットの属性情報を記載する。観測メタデータはセンシングトレインによる観測に関する情報を記載する。以降、ユニットメタデータと、観測メタデータついてに内容を紹介する。

表1 メタデータの種類

表1 メタデータの種類

2.1 ユニットメタデータの概要

 ユニットメタデータとは、ユニットの4種のユニットごとに製品仕様を記述したメタデータである。データを利用する際に、このメタデータの内容を調べることで、どのような種類や性能を持つユニットを使用したのかを正確に知ることができる。

 今回、4種のユニットの中でセンサユニットのメタデータを紹介する。センサユニットメタデータのデータ項目の一覧を表2に示す。
 表2にある識別情報の中では、センサユニットの製品型式を登録して付与されたSUCS認可番号、製品の名称、製品の型番、製造したメーカ名などをテキストで記載する。
 特徴情報の中では、センサユニットの防塵性や防水性をJIS C 0920 / IEC 60529に基づくIP試験のIPコードを記載する。物理量変換式は、センサユニットが出力するアナログ値がAD変換されたデジタル値を、単位のある物理量に変換するために、多項式変換の場合は多項式の係数や切片、テーブル変換の場合はテーブルデータを記載する。温度補正変換式は、計測時の温度による補正を行うための手段を同様に記載する。
 能力情報では、センサユニットの使用可能な温度や湿度の範囲を記載する。また、センサが保証する総合精度や計測値範囲、応答時間も記載する。
 文書情報では、センサユニットに関する仕様書や取扱説明書などの文書があれば、文書が公開されているURLや文書名、文書の説明を記載する。
 履歴情報では、センサユニットの工場出荷した日付やセンサユニットに対して実施した校正の日付や実施内容に関して記載することができる。こうした履歴情報は個々のセンサユニットに対して紐づくメタデータとなる。
 これらのデータ項目はすべてを記載するのではなく、登録が必要な必須項目と登録が任意なオプション項目とに分かれている。6月公開するガイドラインにおいては、必須あるいはオプションの区別に加え、データ型の定義、数値については物理単位の記載などのデータ仕様を示している。

表2 センサユニットのメタデータの項目一覧

表2 センサユニットのメタデータの項目一覧

2.2 観測メタデータの概要

 クラウドサービス上では多くのユーザによって様々なセンシングデータが蓄積され、そうなるとユーザ間でデータの共有や流通が行われるようになる。センシングデータは数値の集まりであり、自分で収集したセンシングデータでない限り、データを利用するユーザにとってセンシングデータを理解することは難しい。センシングデータを理解する上で、どのような目的で観測を行ったのか?観測の対象は何か?観測対象のどの特性を測定したのか?という情報は重要であり、これらを記載するメタデータとして以下の3種類を用意する。

① 観測活動メタデータ : センサによる観測活動を記述する、例えば医療ボンベの監視という観測活動がある。
② 観測対象メタデータ : センサによる観測した対象を記述する、例えば医療ボンベという観測対象がある。
③ 観測特性メタデータ : センサで観測した特性について記述する。例えば医療ボンベのガス残量という観測特性がある。

 観測活動メタデータは、例えば「医療用ボンベの統合監視」、「斜面崩落の監視」や「デジタル百葉箱による環境測定」のような観測活動について、
 • 観測活動に与えられる識別子や名称
 • 観測活動の目的や意図などの概要の説明
 • 観測の責任者とその連絡先
 • 観測した期間や関係する場所の位置
等の情報を記載する。

 観測対象メタデータは、例えばセンシングトレインを設置する「P病院の100番ボンベ」、「道路斜面のP地点」や「P学校の校庭」のような観測対象について、
 • 観測対象に与えられる識別子や名称
 • 観測対象に関する概要説明
 • 観測対象の特徴や履歴の情報
 • 観測対象が存在する地理的な位置
等の情報を記載する。

 観測特性メタデータでは、ボンベの「ガス残量」、斜面の「斜面変動」や校庭環境の「気温」のような観測特性について、
 • 観測特性の名称と定義
 • 計測に用いたセンサユニットの識別子
等の情報を記載する。

 他方、観測の種類や条件によって、メタデータに独自のデータ項目を追加することは可能である。その場合、データ項目の意味やデータ型などのデータ仕様を公開して共有することを推奨する。

図3では、3つの観測活動をユースケースして、メタデータを簡易にした例を示す。

図3 ユースケースから観測メタデータを記述する概要イメージ

図3 ユースケースから観測メタデータを記述する概要イメージ


次回に続く-



商標

※1 SUCSは、SENSPIRE®※2 Universal Connecting System(センスパイア自在連結システム)の頭文字を採ったものである。(一社)次世代センサ協議会の商標登録である。

※2 SENSPIREは、センサの発展進化系を表すSensor×Inspireの造語であり、(一社)次世代センサ協議会の商標登録である。

参考文献

  1. QUDT:https://www.qudt.org/doc/DOC_VOCAB-UNITS.html
  2. DCAT2.0:
    https://www.w3.org/TR/2020/REC-vocab-dcat-2-20200204/
  3. データ社会推進協議会公開資料、ホワイトペーパー センシングデータのためのメタデータ策定の基準化に向けた提案
    https://data-society-alliance.org/survey-research/metadata-for-sensingdata/
  4. SensorML: Model and XML Encoding Standard,
    https://portal.opengeospatial.org/files/?artifact_id=55939
  5. Semantic Sensor Network Ontology,
    https://www.w3.org/TR/2017/REC-vocab-ssn-20171019/


【著者紹介】
小田 利彦(おだ としひこ)
オムロン株式会社イノベーション推進本部 DXビジネス革新センタ
データ社会推進協議会 技術基準検討委員会センシングメタデータTGリーダ
次世代センサ協議会 SUCSコンソーシアム幹事

■略歴
大阪大学基礎工学部卒
日本シュルンベルジェ株式会社で油層解析システムの開発に従事
株式会社リコーで事務機器システムなどの開発に従事
オムロン株式会社で駅務機器システムなどの開発に従事

SUCS適用領域とユースケースのイメージ(1)

新井 康祐(あらい やすひろ)
(一社)次世代センサ協議会
新井 康祐

はじめに

 誰もが簡単に実世界の現象をセンシングし、収集したデータをすぐに活用できるような世界の実現を目指しているSUCS®(ザックス)について、4回のシリーズで紹介している。
 本稿では、今日センサ・ネットワークが置かれている環境・動向を踏まえてSUCSの活用領域を考察する。

1. デジタルトランスフォーメーション

 DXはエリック・ストルターマン教授による「IT の浸透が、人々の生活をあらゆる面で、より良い方向に変化させること」という提言として行われた。今日、コンピュータやインターネットを使ったデジタル情報処理により、将来の動向を予測する、最も効率のよい作業手順を見つける、など様々なことが可能となり、新ビジネスの創出などにも繋がっている。
 例えば、普段利用している天気予報では、様々な場所での気象情報をデジタルデータとして収集・蓄積し、それに基づき、スーパーコンピュータを使って将来の天気を予想している。

図1 デジタルトランスフォーメーション
図1 デジタルトランスフォーメーション

2. センサ・ネットワーク

 これらの技術を実現するために必要なものは、その時々において最適な「判断」をくだしていくことだ。人工知能(AI)は「判断」するところ、つまり人間の脳に当たる部分を、コンピュータを用いて実現しようとするものだ。判断するためには、その時々の 状況・情報を集めていくことが求められる。

図2 センサ・ネットワーク
図2 センサ・ネットワーク

ヒトは目や耳や鼻や口などを使って、色々なものを、見て、聞いて、触って、その感覚を脳に集めて判断している。目や耳や鼻や口など感覚器に相当する部分はコンピュータの世界ではセンサと呼ばれるデバイスにあたる。感覚器で集められた感覚を脳に集める神経網に相当する部分はコンピュータの世界ではネットワークと呼ばれる。
 様々なモノから得られるセンサデータをネットワークを介して有効に活用することが出来れば、AIが判断するための状況・情報を大量に集めることができる様になる。何をセンサとして使って、そこからどんなデータを、どうやって集めるか。これを追求してDXを進めるのだ。SUCSは、感覚器と神経網に相当する「センサ・ネットワーク」の領域にいるのである。

3. 世の中は変曲点に来ている

世界は、テクノロジーも、地球環境も、人々の価値観も、大きな変曲点に来ている。

図3 社会の “変化” と センシングの “変化”
図3 社会の “変化” と センシングの “変化”

(1) 社会・市場の背景 (従来) Society 3.0, 4.0での 「大量生産/大量消費」の時代だった。
(今後) ライフスタイルや人々の嗜好の多様化が進んでいる。またそのような要望に対応するための、IoTデータ収集やAIデータ解析のテクノロジーも進化している。

(2) テクノロジー活用の目的 この様な世界の変曲点にあって、テクノロジー活用の目的も変化してきている。
(従来) コスト削減や生産性追究など、主に生産設備を対象に経済合理性の追求を第一優先にしてきた。
(今後) ヒトを対象にした健康・満足度、地球環境維持も考える「経済合理性と社会課題解決の同時実現」が大きな目的になっている。DXやSociety 5.0の方向である。

(3) センサの測定対象 この様な背景とテクノロジー活用の目的の変化を受けて、センサの測定対象も変わってくる。
(従来) 主に物理データの取得だった。(電流値、CO2濃度、・・・)
(今後) ヒトの健康、複雑な五感の知覚機能、複数の環境要素を組み合わせた複雑で多様なデータ取得が求められてくる。(血糖値、道路・トンネル・橋梁などのインフラ寿命・・・)
これからは“SENSPIRE®”と呼ばれる、センサとソフトウェア(AI)との融合により、多様で複雑な量を解析し、それぞれの環境に個別カスタマイズした対応が可能になってくる。(参考文献[1],[2]参照)



次回に続く-



参考文献

  1. 今後のセンシングは如何に進化するのか 小林彬:https://sensait.jp/20360/
  2. IoT&ビッグデータ時代におけるセンサ・センシング技術を探る 小林彬 環境試験技術報告 第 14 回試験技術ワークショップ
  3. ビジネスの未来 山口周 プレジデント社
  4. スマートIoT推進フォーラム【ここに注目!IoT先進企業訪問記(55)】センサを活用した予知防災・減災の実現をめざす応用地質 稲田修一:https://smartiot-forum.jp/iot-val-team/mailmagazine/mailmaga-20211022


【著者紹介】
新井 康祐(あらい やすひろ)
次世代センサ協議会SUCSコンソーシアムWG2リーダ

■略歴
2022年 次世代センサ協議会入会、現在に至る

オンセミ、高精度で電力効率の高い資産追跡を可能にするエンドツーエンドの測位システム

 オンセミは、より高精度でコスト効率と電力効率の高い資産追跡ソリューションを、より簡単かつ迅速に開発できるエンドツーエンドの測位システムを発表した。このシステムは、業界で最も低消費電力のBluetooth® 5.2 MCUであるオンセミのRSL15 MCUをベースに、UnikieおよびCoreHWが提供するソフトウェア・アルゴリズムとコンポーネントを搭載し、連係して動作するよう最適化されたコンポーネントを持つ完全統合ソリューションを実現している。
 この新しいBluetooth Low Energy (Bluetooth LE)ソリューションにより、タグを使用して倉庫や店舗、その他の建物など、境界が定められた閉鎖空間において、サブメートル精度で物体や人物を追跡することができる。開発の労力を軽減し、市場投入までの時間を短縮しながら、性能とコストの両面で多数の物体追跡に拡張可能である。
 RSL15はいくつかの新しい先進機能を備えており、資産追跡、スマートリテール、IoTエッジノードなど、さまざまな産業オートメーションアプリケーションに最適である。

● 精度:RSL15 Bluetooth 5.2 MCUは、通信距離の延長、データ通信量の増加、到着角(AoA)と出発角(AoD)による位置特定をサポートする。
● 電力効率:オンセミの革新的なスマートセンシング機能により、Arm® Cortex®-M33プロセッサをディープスリープモードに保持しながら、センサインタフェースを継続的に監視できる。
● セキュリティ:RSL15は、Arm TrustZone®およびArm CryptoCell™-312テクノロジーによりデバイスの信頼性を確立し、コードやデータの真正性、完全性、機密性を保護するように設計されている。このPSAレベル1認証を取得した設計により、Bluetoothプロトコルにすでに提供されているセキュリティ対策を強化し、データとアプリケーションの両レベルで保証を提供する。

Unikieはスマートスペースの実現に注力する先駆的エンジニアリング企業であり、受信信号のIQ値を使用して、Bluetooth LEタグのリアルタイム位置を計算するソフトウェア・アルゴリズムとコンポーネントを開発した。
Unikieの高性能測位ソフトウェアは、エッジまたはクラウド展開用のUnikie BLE測位エンジン製品としてパッケージ化されている。また、UnikieのAPIは企業システムやデータアナライザに容易に統合できる。

CoreHWは集積回路(IC)技術を開発するファブレス半導体企業であり、さまざまな業界にBluetoothの到着角(AoA)開発キットを提供し、屋内位置情報システムを活用した位置情報アプリケーションの機能向上を可能にしている。
CoreHWは、10 cmレベルの高精度な位置情報機能を提供するBluetooth LE対応アンテナアレイボードを、多様なフォームファクタで設計、供給している。

この協業によるシステムの詳細については、アプリケーションノートを参照のこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000262.000035474.html

tier4 センサフュージョン開発キットの提供開始 高度なパーセプション技術の導入を容易に

(株)ティアフォー(以下「ティアフォー」)は、自動運転やその他の関連するアプリケーションの発展を支援するため、開発者が容易に導入可能なセンサフュージョン開発キット(以下「本キット」)の提供を開始する。 (画像: ハードウェア構成とセンサフュージョンによるアプリケーションの例)

■ソリューションの概要
 本キットは、最先端の車載カメラ、車載LiDAR、自動運転用コンピュータを統合し、センサフュージョンによる高度なパーセプション技術の開発環境をワンパッケージで提供する。ティアフォーの自動運転システム開発で利用実績のあるハードウェアとソフトウェアから構成され、取り扱いに関する説明書も整備されていますので、導入も容易である。
 本キットの導入により、利用者は適切なセンサやコンピュータの選定、ROS2を用いた開発環境の構築、システム間の同期やキャリブレーション、パーセプションモジュールの開発など、センサフュージョンにかかる技術的課題を解決し、高度なパーセプション技術に要する開発工数の削減や製品の市場投入までの時間を短縮することができる。また、本キットで提供されるソフトウェアはオープンソースで公開されており、利用者は独自の研究開発を推進するために改良を加えることができる。

製品ウェブサイト:https://sensor.tier4.jp/sensor-fusion-system

■今後の展開
 ティアフォーは、今後も本キットでサポート対応可能なセンサやコンピュータの機種を増やし、オープンソースとして提供されるパーセプションの機械学習モデルやアルゴリズムをアップデートすることで、より多様なユースケースに対応できるように本キットを拡張していく予定。また、高画質なカメラ映像データやLiDAR等のセンサデータを活用したMLOpsソリューション(機械学習モデルの開発・運用基盤)の開発を推進し、市場に提供していくという。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000040119.html

診断制御および保護機能を備えたガルバニック絶縁ハイサイド・スイッチ

 STマイクロエレクトロニクスは、ガルバニック絶縁された堅牢性、260mΩ未満のオン抵抗による優れた電力効率、信頼性と障害復旧を備えた8チャネルのハイサイド・スイッチを発表した。

 「ISO808」、「ISO808A」、「ISO808-1」、「ISO808A-1」は、容量性 / 抵抗性 / 誘導性のあらゆる産業用負荷(片側接地)を駆動する8チャネルのハイサイド・スイッチ。プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、産業用PC、コンピュータ数値制御(CNC)装置に最適で、特に、ノイズの影響を受けやすいスマート・ファクトリ電子機器の保護を絶縁によって強化する必要があるケースに適している。

 ISO808およびISO808Aの電流制限は0.7Aで、ISO808-1およびISO808A-1の電流制限は1Aである。ISO808とISO808-1は、チャネルごとに個別の入力ピンを備えており、直接制御または同期制御によってすべての出力を同時に駆動できる。ISO808AとISO808A-1は、シリアルSPI入力およびオープン・ドレインのパワー・グッド(Pgood)インジケータを特長としており、システム制御を実現する。また、すべてのスイッチが専用の故障診断ピンを備えている。

 過負荷保護機能がチャネルごとに独立して動作するため、過負荷状態のチャネルが通常動作を継続することは無い。過負荷になったチャネルは直ちにオフになり、自動的に再起動され、最小限のホスト制御の介入で迅速に復旧する。また、チャネルとケース温度をモニタすることで故障状態のままのチャネルを検出し、再度停止させる。グランド接地の切断を検出する機能や、逆極性保護、短絡保護、ケース加熱保護も備えており、制御側(VDD)と信号側(VCC)の両方の電源レールに、低電圧シャットダウン機能を備えていまる。絶縁を超える通信にRFを使用することで、ノイズ耐性を最大化している。データ・エラーは内部ロジックにより報告され、制御側の供給電圧が不足した場合には、ウォッチドッグによって出力側の安全性を確保する。

 これらの製品の性能および機能は、静電放電(ESD)や、過渡電圧 / 電流、電源周波数の磁場耐性に関するIEC61000規格などの産業機器向け国際規格に準拠している。また、UL1577およびUL508絶縁仕様とVDE 0844-11の安全制限にも準拠している。

 STのISO808ファミリは、一般的な従来のスイッチとのピン互換性を備えるとともに、低オン抵抗およびパワー・グッド・ピン(SPI入力オプションの派生品)を備えている。

 ISO808ファミリには幅広い開発エコシステムが提供されており、STM32 Nucleoボード向けの4種類のX-NUCLEO産業用デジタル出力拡張ボード(X-NUCLEO-OUT11A1、X-NUCLEO-OUT12A1、X-NUCLEO-OUT13A1、X-NUCLEO-OUT14A1)を使用することで、迅速な評価が可能。また、グラフィカル・アプリケーション「STSW-IFAPGUI」により、セットアップとPCを使った制御が実現する。

ISO808ファミリは現在量産中で、PowerSO36パッケージで提供される。1000個購入時の単価は約5.56ドル。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001315.000001337.html

行動認識AIのアジラ、医師との連携で「骨粗しょう症」に関する共同研究

 (株)アジラは、2023年6月1日(木)に、行動認識AI〔画像〕を活用した骨粗しょう症の早期発見を支援する共同研究を、佐久医療センター小川貴久医師と共に開始した。アジラの行動認識AIの技術を、医療へ転用するのは初めての試みとなる。本研究により、骨粗しょう症研究の早期発見・早期治療の実現を目指すとのこと。

■共同研究の背景
 アジラはこれまで、行動認識AIを中心とした様々な映像解析技術開発に取り組んできた。当技術のユースケースとしては、大型商業施設やキャンパスにおける防犯活用や快適な空間価値の向上、さらには顧客行動の分析に基づいたマーケティング活用など様々な用途が期待されている。
 医療業界における当技術の可能性を高めるべく、骨粗しょう症に関して高い知見を持つ佐久医療センター整形外科の小川医師(整形外科専門医・公衆衛生修士・医学博士)と共同研究契約を締結した。同社がもつ行動認識技術と小川医師の持つ骨粗しょう症に関する知見を融合させ、骨粗しょう症の早期発見に関する研究の更なる推進を目指す。

■共同研究の概要
 研究テーマ:行動認識AIを用いた骨粗しょう症の初期症状検知システムの基礎検討
 研究内容:画像から人物の姿勢や歩容を医学的知見をもとに分析し、初期症状を判定
 担当医師:小川貴久医師

■骨粗しょう症(こつそしょうしょう)に関する研究とは
 骨粗しょう症は骨の代謝バランスが崩れ、骨を作る働きである骨形成よりも骨を溶かす働きである骨破壊が上回る状態が続き、その結果として骨がもろくなった状態のことを指す。
 超高齢社会である日本では、高齢者に多い病気が増え続けており、骨粗しょう症もその一つである。日本における骨粗しょう症の患者数は約1300万人(※1)と推定される。骨粗しょう症は転倒や骨折を引き起こす可能性が高く、高齢者の寝た切りや要介護に繋がるため、骨粗しょう症の予防は高齢化が進む現代社会にとって重要な課題となっている。
 この度アジラは小川医師と、人の動きから骨密度を推定できるようになれば、骨粗しょう症の早期発見・治療に繋がると考え、行動認識AI技術を活用した共同研究を実施する運びとなった。本研究により骨粗しょう症の早期発見により患者の治療率を高めることで、寝たきり状態をできるだけ防ぎ、高齢化が進む日本社会の課題解決を目指す。

※1:出典:日本骨粗鬆学会 日本骨代謝学会 骨粗しょう症財団発刊「骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン2015年度版」http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000167.000043312.html

Ultraleap社製ハンドトラッキングセンサ「Leap Motion Controller 2」取扱開始

(株)アスクはUltraleap社製ハンドトラッキングセンサ「Leap Motion Controller 2」の取り扱いを開始する。

「Leap Motion Controller 2」は、業界をリードするUltraleap社の最新ハンドトラッキングセンサである。手の動きをリアルタイムで検出し、自然で直感的な操作や、デジタルコンテンツとのインタラクションを向上させることが可能。トレーニング、デザイン、教育、医療、サイネージなど様々な分野、用途で活用されており、高い精度でありながら小型化された本製品は、マウスやキーボード操作に代わる新しい入力方法を提供するという。

デジタルアバターにさらなるリアリズムを加えられるほか、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)のアプリケーションとの連携も可能となっており、より没入感のある体験を実現する。

同社取り扱い製品である、pico neo 3 pro/pro eye、PICO 4 Enterprise、PICO G3、HTC VIVE Focus 3、Varjoなどのヘッドマウントディスプレイに対応。トレーニングや研修のシーンにおいて、安全で没入感のあるリアルな環境で重要なスキルを学び、反復練習することが可能。体験者は、複雑な作業を素早く自信を持ってマスターできるため、生産性と安全性を向上する。

■製品概要
製品名     Leap Motion Controller 2
JANコード   2000031312583
アスクコード  CM1258
発売時期    2023年 7月予定

■製品仕様
電源供給    DC5V、500mA(USB経由)
接続      USB 3.0 Type-C
検出距離    奥行き10~110cm
FOV      160×160°
フレームレート 最大115fps
波長      850nm
材質      アルミニウム、ガラス
動作温度    0~40℃
安全規格    CE、FCC、UKCA、CCC、KC、PSE、RCM A-NZ、RoHS、REACH
対応OS     Windows、macOS、Android XR2
サイズ     84(W)×20(H)×12(D) mm
重量      29g

ニュースリリースサイト(ask-corp):
https://www.ask-corp.jp/news/2023/06/ultraleap-leap-motion-controller-2.html

新型ドローン「IBIS2」とデジタルツインソフト「TRANCITY」アップグレード

 CalTa(株)、(株)Liberaware、JR東日本コンサルタンツ(株)、東日本旅客鉄道(株)は、新型ドローン「IBIS2」とデジタルツイン※1ソフトウェア「TRANCITY」のアップグレードを行う。
 これにより、CalTa提供の「IBIS」による狭小空間の画像取得サービスと、「TRANCITY」による三次元データ活用サービスを高度化し、多様化するニーズに対応する。

・「IBIS2」はこれまでの「IBIS」に比べて、飛行時間、揚力、センサ搭載能力などがパワーアップ。

・「TRANCITY」は新たな機能として、計測結果のデジタル記録、三次元空間上での画像・PDFなどのデータ共有、3Dウォークなどを実装。

・今後も、JR東日本の建設工事・維持管理をはじめとして、インフラ業界のDX加速に挑戦する。

 ※1 デジタルツイン…現実空間で収集したデータを基に、現実空間を仮想空間に再現する技術

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000628.000017557.html

人流予測と気象予報を活用するAIを用いた空調制御サービスを提供開始

(株)NTTデータと(株)ハレックスは、2023年9月よりAIを用いた空調制御サービスを提供開始する。
 本サービスは室温に最も影響を与える人流と外気温の変化をAIが解析することにより、室温の変化を未然に防ぐフィードフォワード型の空調コントロールを実現するもの。2021年8月まで の約2年間JR新宿ミライナタワーで実証を行い、フィードバック型の空調コントロールに比べ、消費エネルギー量の約50%削減と快適性向上という効果を実現できることを確認した。  NTTデータとハレックス は、2025年までに50施設への導入を目指す。本サービスにより建物の空調コストを削減すると共に、省エネを推進し脱炭素社会の実現に貢献するとのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000112894.html

京大院薬とNIBIOHN、抗体ペアが抗原分子上に反応場をつくり出す

 京都大学大学院薬学研究科〔以下「京大院薬」〕と国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所〔以下「NIBIOHN」(ニビオン)〕では、両機関の連携を通じて創薬科学に貢献する新技術の開拓を進めている。連携研究室であるバイオ医薬品化学分野に所属する秋葉宏樹 京大院薬 助教(兼 NIBIOHN 研究員)、大野浩章 同教授、鎌田春彦 NIBIOHNプロジェクトリーダー、西山健太郎 京大院薬 博士後期課程学生らの研究グループは、Biepitopic Antigen-Templated chemical Reaction (BATER):2つのエピトープを利用する抗原テンプレート反応 という新しい概念の化学反応を開発した。

 特定の場所だけで化学反応を起こす技術は、医薬品開発研究や生体内での薬物治療法の開発等に利用できるため、様々な反応の開発が進んでいる。研究グループでは、『エピトープ均質化抗体パネル』と呼ばれるNIBIOHNの技術を利用して、特定の蛋白質の複数の異なる部分(エピトープ)を抗原として認識する抗体を複数取得した。これらの抗体のうち、結合する抗原の場所が近接した抗体を2つ用い、それぞれに互いに反応する官能基を修飾した。これらの抗体が抗原に結合した際のみに特定の化学反応が進行することを、明らかにした。この成果から、生体内で利用できる反応の開発が進むことが期待されるという。

本研究成果は、2023年5月31日に国際学術誌「Angewandte Chemie International Edition」にオンライン掲載された。

ニュースリリースサイト(nibiohn):https://www.nibiohn.go.jp/information/nibio/2023/06/008605.html