アーカイブ

SBドライブ、東京汐留にて自動運転バスの実証実験

SBドライブ(株)は東京汐留近くのイタリア街にて公道における自動運転の実証実験を開始したとのこと。

実証実験は7月3日から3日間、1日8便(各便6名)、約150人が試乗する予定。対象はマスコミ、大学や研究機関の有識者、認定に関わった政府や警察など関係者が試乗する。

使用する車両としてフランスNavya社製の自動運転電気自動車「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」を日本の道交法にあわせたカタチで改造し、特別な認定を受けて、実証実験のために公道を走るナンバーを取得していた。

これまでも自動運転の実証実験は行われているが、建物の敷地内であったり、人が通行しないコースなどの設定であった。今年の5月にも「人とくるまのテクノロジー展」の会場にて来場者を対象に試乗会を実施していたが、東京都内で他の車両や人の通行がある場所での実験は初めてとなる。

ロボットの記事を纏めているサイト「ロボスタ」が試乗の詳細レポートを掲載している。
ニュースサイト「ロボスタ」:
https://robotstart.info/2019/07/03/sbdrive-navya-road.html

プレスリリースサイト(SBドライブ):
https://www.softbank.jp/corp/set/data/group/sbd/news/press/2019/20190627_01/pdf/20190627_01.pdf

業界初、機械式駐車設備における自動運転自動車の駐車実証実験に成功

新明和工業(株)と群馬大学は、この度、群馬大学の「次世代モビリティ社会実装研究センター」(CRANTS)内に設置した検証用機械式駐車設備において業界で初めて、自動運転自動車 ※1の駐車実証実験に成功した。
※1群馬大学が所有する実験用の車両

1. 本研究における成果
■自動運転車と機械式駐車設備の協調により、安全かつ高精度な自動入庫を実現
今回の実証実験では、共同開発した「APPS(Advanced Pilot Parking System)」を導入し、業界で初めて「V2P」すなわち自動運転車(V)と機械式駐車設備(P)の間を通信により繋ぐことで、自動運転車とインフラである駐車設備が協調して駐車スペースに安全かつ高精度に自動運転車を誘導することに成功し、平面駐車と比べて高度な運転技術が求められる機械式駐車設備への自動入庫を可能にした。

2.【共同研究内容(概略)】
自動運転車の機械式駐車設備利用実現に向けた研究
(1)市販の自動駐車機能による機械式駐車設備への駐車確認実験、ならびにさまざまな機械式駐車設備に自動駐車するための研究および技術開発
(2)駐車敷地内における、自動運転車への走行誘導、ガイダンスの実証実験と車路管制システム構築
(3)自動車と車路管制システム・機械式駐車設備の通信技術構築
(4)車路、駐車設備内の高精度人検知システムの構築
(5)上記自動運転車と自動運転車に対応した機械式駐車設備による実証実験
(6)完全自動運転車専用駐車設備、手動運転車・自動運転車混載に対応する駐車設備の構想提案

3. 今後のスケジュール(2019年7月1日時点)
共同研究期間:
・CRANTSでの実証実験期間:2017年12月~2020年3月
・新明和工業株式会社 宝塚工場内での実証実験期間:2020年4月~2020年9月

ニュースリリースサイト(新明和工業):
http://www.shinmaywa.co.jp/parking/news/product_news2019_0701_001125.html

サウスコ、「EM-05 4 シリーズ電子機械式スライドボルト」を発表

サウスコは、既存の機械式スライドボルトから電子機械式へのシンプルな移行を可能にする「EM-05 4 シリーズ電子機械式スライドボルト」を発表した。
サウスコの電子錠/アクセス制御製品群を拡充するこの製品は、電子錠に位置センサおよびドアセンサ機能を搭載したラッチボルトを組み合わせることで、ドアや施錠状態のシンプルなモニタリングを可能にする。また、コンパクトな形状であることから取付スペースが限られた用途に適しているという。

多彩なサイズおよび仕様展開で幅広い用途に対応したサウスコEM-05 4 シリーズ電子機械式スライドボルトはまた、コンパクトな形状かつ軽量設計で、取付スペースが狭小な用途に適している。

シンプルに取付および使用でき、経済的なソリューションであるEM-05 4 シリーズ電子機械式スライドボルトの作動機構には、ばね式のギアモータを採用した。ギアモータはボルトが格納/突出(施錠)されている状態で通電の必要が無く、解錠時のみに通電するため、ソレノイド式に比べエネルギー効率性に優れており、大型自動調剤機器や、収納キャビネットなどの用途でソレノイド式に代わりセキュアかつ信頼できる施錠の制御を可能にするとのこと。

ニュースリリースサイト:https://www.dreamnews.jp/press/0000197503/

スポーツIoTプラットフォーム「athleːtech™」(アスリーテック)の提供開始

(株)アクロディア)とKDDI(株)は、2019年7月9日より、センサー内蔵型ボールなどのIoTデバイスから取得したデータを活用し、選手の技術向上に役立てることができる、スポーツIoTプラットフォーム「athleːtech(アスリーテック)™」の提供および「アスリーテック」上に蓄積されるデータを活用したスポーツテックサービスを開始した。

「アスリーテック」は、アクロディアが持つ、センサー内蔵型ボールを使い、競技者が普段通りの投球や競技を行うだけでそのデータが蓄積され、そのデータをスマートフォンやパソコンなどで閲覧しながらオンラインコーチングやコンディション管理などに活用できるIoTデバイス技術と、KDDIがこれまでに「auスマートパス」などで培ってきたコンシューマ向けサービスプラットフォームにおけるマーケティングや運営ノウハウと、KDDIの通信ネットワークを融合し、スポーツの分野を問わず、競技データを蓄積し、技術向上に貢献するプラットフォームであるとのこと。

■「アスリーテック」について
1.概要
 対応するIoTデバイスを活用して練習を行うことにより、自動でテクニカルデータを蓄積し、データに基づく最適なトレーニングの提供やコンディション管理等の機能を提供可能にするプラットフォーム。
2.特長
 日々の練習を通じて蓄積されていくテクニカルデータを活用し、以下の機能を提供。
(1)公開機能
 自分のデータを公開する事ができ、同じくデータを公開している人からも閲覧可能。
 公開したデータからオンラインコーチのサービスを受ける事が出来る。
(2)共有機能
 練習ノウハウを仲間と共有したり、練習データをチームで共有できる。
(3)ランキング機能
 全ユーザーの公開データを元にしたランキング機能により、自分や仲間などとの比較が可能。
 さらに、身長や年代別で同競技におけるランキングを確認、自分の競技上の立ち位置を客観的に見る事が出来る。

3.提供開始日
 2019年7月9日
4.利用料金
 無料
 ※「TECHNICAL PITCH」を購入した方が無料で利用できる。
5.加入方法
 「アスリーテック」は「TECHNICAL PITCH」アプリから申し込み可能。
 加入方法は申し込み者の「TECHNICAL PITCH」への加入状況や利用状況によって異なる。
 詳細サイト:https://technicalpitch.net/app/howto_atlicense.html

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000366.000001924.html

牛の行動モニタ「U-motion®」分娩アラートの実装に向けた実証実験

デザミス(株)と、NTTテクノクロス(株)は、乳用牛および肉用繁殖牛の分娩兆候を検知するアルゴリズムを共同開発した。両社はデザミスが提供している牛の行動モニタリングシステム「U-motion®」の新機能として「分娩アラート」の実証実験を2019年4月から開始し、2019年内に提供開始する予定とのこと。


・背景
農場では安全に子牛を取得するため、なるべく分娩に立ち会い、また難産が予想される場合には獣医師に依頼をするケースも増えている。そのための対応として、母牛の分娩予定日には見回りや待機といった作業が発生するが、実際の分娩は予定日から数日前後することが多く、また深夜から早朝に及ぶ場合もあるため、農家への負担が大きく分娩事故は決して少なくないといった現状がある。

・実証試験の概要
対象:U-motion®を契約しているユーザー
期間:2019年4月1日~継続中
試験内容:分娩予定日が近い乳用牛および肉用繁殖牛にセンサを取り付け、分娩前にアラートが作動することを確認する

・実証試験の結果
試験頭数に対して9割以上の牛について、アラートの発報から1~6時間以内に分娩が認められた。

・U-motion®概要
U-motion®とは、牛の行動をリアルタイムでモニタリングするサービス。牛に装着した専用センサが、採食、飲水、起立、横臥、歩行、反芻などの行動データを24時間収集し続ける。十分な観察時間が確保できない状況でも、集積した膨大なデータを人工知能で解析し、発情兆候や健康状態を検知することで農場管理をサポートする。

プレスリリース(デザミス):https://www.desamis.co.jp/information/

味と匂いのセンシングの現状と展開(1)

九州大学高等研究院/
五感応用デバイス研究開発センター
特別主幹教授/特任教授
工学博士 都甲 潔

1. 味覚と嗅覚の違い

味物質や匂い物質は一般に低分子化合物である。図1に示すように、その検知閾値であるが、味覚ではppm(100万分の1)より高濃度で化学物質を感じるのに対し、嗅覚ではppb(10億分の1)やppt(1兆分の1)といった極々低濃度で感じる。匂い分子の多くは電荷や極性をもたず、疎水性である。他方、味分子は、水に溶けていることからも分かるとおり、親水性の物質が多い。

図1 味覚と嗅覚の違い

またレセプター(受容体)の数であるが、味覚では30数種類と比較的少ないのに対し、嗅覚ではヒトで約400種類と言われ、膨大な数であることが分かる。また、このレセプター数に関係しているためか、味には基本味(酸味、甘味、苦味、うま味、塩味)が存在するのに対し、嗅覚には基本臭、つまり基本要素である原臭は存在しない。

つまり、味覚と嗅覚は化学物質を受容するという意味では似通った感覚であるが、実は意外と異なった感覚である。結果、味覚センサが我が国において既に20年以上前に実用化され、今や全世界で使われているのに対し、測定対象や用途を限定せず誰でもが容易に使える汎用型匂いセンサは実用化されていない。その原理、材料、使途の違いで、幾つもの種類の匂いセンサが提案、開発、販売されているが、これらのセンサにおいてもなお、そのデータ再現性や信頼性において解決すべき課題も多々あり、現時点で皆の要求を満たす、使い勝手の良い匂いセンサはない。

本稿では、既に開発実用化されている味覚センサ1-4)を紹介し、次いで内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の1つである宮田プログラム「進化を超える極微量物質の超迅速多項目センシングシステム」の中の「有害低分子」プロジェクト(2014-2018年度)での匂いセンサ(人工嗅覚システム)5)開発に言及する。

次週に続く-

参考文献

1)都甲 潔,中本高道:においと味を可視化する,フレグランスジャーナル社(2017)

2)都甲 潔,柏柳 誠(編著):おいしさの科学とビジネス展開の最前線,シーエムシー出版(2017)

3)K. Toko, ed.: Biochemical Sensors-Mimicking Gustatory and Olfactory Senses, Part 1 Taste Sensor, 1-249, Pan Stanford Publishing, Singapore (2013)

4)Y. Kobayashi, M. Habara, H. Ikezaki, R. Chen, Y. Naito and K. Toko: Sensors, 10, 34 (2010)

5)B. Wyszynski, R. Yatabe, A. Nakao, M. Nakatani, A. Oki, H. Oka and K. Toko: Sensors, 17, 1606 (2017)

【著者略歴】
都甲 潔(とこう きよし)
九州大学高等研究院/五感応用デバイス研究開発センター
特別主幹教授/特任教授 工学博士

昭和55年3月 九州大学大学院博士課程修了、九州大学工学部電子工学科助手、助教授を経て、平成9年4月より九州大学大学院システム情報科学研究院教授。
平成20年~23年、システム情報科学研究院長。21年より主幹教授。25年より味覚・嗅覚センサ研究開発センター長。
30年より高等研究院特別主幹教授ならびに味覚・嗅覚センサ研究開発センター(現 五感応用デバイス研究開発センター)特任教授。

味覚センサで世界をむすぶ(1)

(株)インテリジェントセンサーテクノロジー
代表取締役社長
池崎 秀和

1 味覚センサとは

味覚センサは、九州大学高等研究院の都甲潔特別主幹教授との30年にわたる共同研究の成果である(1)-(4)。2019年現在までに、国内450台以上海外70台が導入されている。研究機関(100台)や食品メーカー(280台)、医薬品メーカー(70台)及び流通小売に導入され、毎年40台の導入が進んでいる。
今まで味覚センサが世界になかった理由は、下記のような味覚の複雑さがあげられる。

・味物質の種類が膨大
 例えば、一杯の茶に数百種類の味物質が含まれる。

・味物質毎で閾値が1000倍の差
 砂糖はエネルギーの信号で%オーダーであるが、苦味は毒の信号でありppMオーダーで、
 その差は1000倍違う。これも生物として生きていく上で必要なことである。

・味物質間で相互作用(抑制効果と相乗効果)
 例えば、コーヒーに砂糖を入れると人はコーヒーの苦味が少なくなったと感じる。

以上のように味は非常に複雑であり、味の評価を化学分析の結果から行うことは非常に難しい。
そこで都甲らは、味は人が感じているので、人の味認識メカニズムを模倣して味覚センサを開発しようと考えた。生体の場合は、舌の味細胞の膜表面に呈味物質が吸着すると、細胞膜に電位変化が生じる。味細胞の表面は、脂質膜で覆われており、都甲らは、味の受容には、この脂質膜が重要な働きをしていると考え、味覚センサに脂質膜を用いた。人工脂質膜の組成を最適設計することで、各々の基本味(苦味、うま味、甘味、酸味、塩味及び渋味)に特異的に応答する人工脂質膜を作ることに成功した(図1)。

さらには、後味を測定することで、基本味の質の違いも評価できるようになった。脂質膜に吸着した味物質が脂質膜からはがれるスピードを測定することで、キレや余韻が評価できる。このように人の感覚に近い脂質膜センサを用いて、味の単位を定義した(表1)。

図1:味認識装置TS-5000Z
表1:味覚センサの定量化項目

2 味覚センサのビジネス活用

某大手コンビニエンスストアでは4年前より日本を9ブロックに分けて商品開発を行っており、最終的には各県毎にするとプレスリリースを行っている。なぜこのような大変なことをあえてするのだろうか?
その背景は、超少子高齢化社会において、消費者が若者から老人に移ってくることがあげられる。老人にとっての美味しさは、小さい時から慣れ親しんだ地方の家庭の味と考えられる。それゆえ、地域毎に開発を行うのである。

2.1 消費者の味の好みを見る

全国を狙う食品メーカーにとっては、味のニーズ調査で重要なのは、まず、味の地図を作ることである。
図2は、レギュラーコーヒーの例である。左上は苦味系であり、右下は酸味系である。ここでコンビニエンスストアのカウンターコーヒーは、激戦であるにも関わらず、左上に集中しているのであろうか?

そこで、POSデータと味覚センサのデータを組み合わせて消費者の年齢の傾向を分析した(図3)。若者は苦味系を、熟年は酸味系を好む傾向が分かる。この傾向はスターバックスの日本展開によるものとコーヒー業界で言われている。若者はスターバックスの強い苦味系で慣れており、一方熟年において、若い頃スターバックスはなく、喫茶店の酸味を楽しむコーヒーに慣れていると言われている。

今までコンビニエンスストアの主要な顧客は若者であり、その若者が苦味系なので、必然的にコンビニエンスストアのカウンターコーヒーは苦味系となる。ただし、今後、超少子高齢化で高齢者が消費者になってくると、酸味系も販売されると予想される。

図2:レギュラー珈琲の日本地図
図3:レギュラーコーヒーの年齢と味の嗜好性の関係

次週に続く-

引用文献

(1)都甲潔 監修”Biochemical Sensors: Mimicking Gustatory and Olfactory Senses”, Pan Stanford Publishing (2013)

(2)都甲潔”ハイブリッド・レシピ”、飛鳥新社(2009)(2017)

(3)都甲潔 監修 “食品・医薬品のおいしさと安全・安心の確保技術” (2012)

(4)都甲潔”旨いメシには理由がある”、 角川書店(2001)

【著者略歴】
池崎 秀和(いけざき ひでかず)
(株)インテリジェントセンサーテクノロジー 代表取締役社長

1986年 早稲田大学大学院電気工学専攻 修士修了
 同年 アンリツ(株)入社、味覚センサの研究開発に従事
2002年 アンリツ㈱退社
 (株)インテリジェントセンサーテクノロジーを設立
現在 同社代表取締役社長、九州大学客員教授、博士(工学)

受賞歴 :
山崎貞一賞、井上春成賞(いのうえはるしげしょう)、
ものづくり日本大賞特別賞、
飯島記念食品科学振興財団技術賞

においセンシングの現状とこれからの展開(1)

(株)島津製作所 分析機器事業部
喜多 純一

1.においセンシングの現状

においのセンシングの目的は、一言でいえば、においの見える化ということになると思われるが、それには2つのゴールがあると考えている。

一つのゴールは、そこに含まれる全成分もしくは、ある成分の量を検出するというもので、もう一つは、嗅覚が感じているものをできるだけそのまま表現するというものになるかと思われる。

嗅覚が感じているものというのは、個人差があるのではないかと思われるが、官能評価の世界には、分析型官能評価と嗜好型官能評価があり、分析型官能評価で得られる結果であれば、におい成分の情報から比較的客観的に引き出せる。

分析型官能評価とは、例えば、においの強さであれば、臭気指数等であり、におい質であれば、QDA法と呼ばれる官能評価方法で得られた結果等である。
一方、におい成分を求める方法は、GCMSをはじめIMS、大気イオンMS等の物理的な装置が発達し、高感度化、小型化をしてきており、リアルタイムににおい成分の変化も追えるようにもなってきており、成分を求めるだけであればセンサ方式としては、より小型で高感度なものが求められてくると思われる。

においを嗅覚が感じている通りに表現する場合に問題になってくるのが、色であれば三原色にあたる、においには原臭がまだ見つかっていないということである。一方、においを有する成分数は40万種もあり、それらのにおい成分がコーヒーなどは500種も集まって一つのにおいを形成しており、原臭が見つかっていない状態では、においの見える化を難しくしている。
また、におい成分には、検知閾値濃度(においを感じる最低濃度)がpptからppmまで広く存在し、濃度の対数でにおいの強さを感じ、横軸を濃度の対数とし縦軸をにおいの強さとした時に、その傾きも成分により少し異なり、におい物質が同じ濃度存在しても、成分によって強くにおうものから、ほとんどにおわないものまで存在する。

さらに、一番においをわかりにくくしているのが、いくつかのにおい成分が合わさって一つのにおいを形成している複合臭である。複合臭では、マスキングに象徴される成分間の相互作用があり、成分分析だけではにおいがうまく表現できない要因の一つになっている。そのため、成分に分けないでにおいが評価できるセンサ方式に期待が寄せられているところではあるが、実際にセンサ素子がとらえているものを正確に把握していないと落とし穴にはまる可能性がある。

複数のにおいセンサを利用して、嗅覚に構成は似せた電子鼻が登場してから久しいが、測定結果がマップで得られ、期待したようにマップ上で分かれていても、それが実際に嗅覚と同じ違いを表せているのか、目的とした成分の違いにより分かれているのかも同時に調べておおかないと誤判定につながる危険性がある。
生体からのガスやにおいをもとに、健康状態を推定したり病気の可能性を推定したりする試みがなされているが、これも、病気の人とそうでない人がうまく分かれているという結果だけで判定をするのではなく、検出しているものが検出すべきものとなっていることを確認しながら行わないと誤判定の危険性が高い。

嗅覚と同じ結果を得るためには、嗅覚レセプターをそのままセンサにすることが望ましくそれに対していくつかの試みはされているものの、まず安定に動作させることが難しく、動作はしても現状では、1か月単位での安定性しか得られておらず、今後の研究の進展が待たれるところかと思われる。

以上まとめると、においのセンシングは、複合臭の評価や健康状態推定など、期待される部分が多いものの、気をつけないと評価したいものとは異なった信号をもとに判定していることが多々あり注意が必要である。
ここでは、複合臭とはどういうもので、なぜセンサ方式に期待されるのかを説明したあとで、センサ方式の陥りやすい問題点を指摘し、最後にセンサ方式をうまく利用していくためのツールを紹介する。

次週に続く-

【著者略歴】
喜多 純一(きた じゅんいち)
(株)島津製作所 分析機器事業部

1.最終学歴
1981年3月 京都大学 工学部 化学工学科卒業
2014年3月 九州大学大学院システム情報科学府電気電子工学専攻博士課程卒業

2.受賞歴、表彰歴
平成13年 におい識別装置FF-1 第4回日食優秀食品機械資材賞受賞
平成19年 におい識別装置FF-2A (社)においかおり環境協会 平成18年度 技術賞
平成23年 電気学会進歩賞受賞
平成26年 希釈混合装置FDL-1を用いた簡易官能評価装置
(社)においかおり環境協会 平成26年度 技術賞
同年 長年におけるにおい識別装置の開発研究
(社)においかおり環境協会 平成26年度 学術賞

○主な研究論文及び著書(レビュー)
J.Kita, etal :Quantification of the MOS sensor based Electronic nose utilizing trap tube,
Technical Digest of the 17th Sensor Symposium,m301 (2000)
島津評論第59巻第1・2号 p.77~85 (2002)
島津評論第64巻第1・2号 p.63~79 (2007)
アロマサイエンスシリーズ21〔6〕におい物質の特性と分析・評価 5章3 半導体センサ(2)
におい香り情報通信 第3章 12.におい測定装置 p.177~p.187
超五感センサの開発最前線 2.3.7 におい識別装置の開発 p.197~p.205
Sensor and Materials vol.26 no.3 2014 149-161
味嗅覚の化学 においセンサおよびにおい識別装置を用いた臭気対策 p.207。
※現在ゴルフにはまってます。

センサイト・キュレーション:味・においセンサ関連(1)

センサイト編集部

今回は味・においセンサ関連の特集である。現在では昔のように味やにおいいの化学的な成分の割合等だけではなく微妙な風味だったり、快さと不快さの境目など、より人間の感覚に近く、実際の味や匂いを創り出す際にも生かせるような分析データが要求されるようになってきた。そういった実情も踏まえてキュレーションを見てみよう。

1. ≪五感応用デバイス研究開発センター≫ 運営:九州大学
今月の記事を執筆されている九州大学、都甲教授の属されている五感応用デバイス研究開発センターのサイト。味覚と嗅覚だけでなく、感覚生理・医療応用センシングおよび視覚、聴覚に関する研究も行っている。
http://www.rdctos.kyushu-u.ac.jp/index.html

2. ≪味覚センサーとは?≫ 運営:株式会社インテリジェントセンサ テクノロジー
こちらも今月の記事に掲載があるインテリジェントセンサ テクノロジーのサイト。味覚センサの原理、測定方法、項目、測定例等の説明が掲載されている。
http://www.insent.co.jp/

3. ≪におい分析≫ 運営:株式会社島津製作所
もう一つの記事、島津製作所のにおい分析について各種類の機器の解説やQ&Aなどクリックしていくと詳しく分かるサイトになっている。
https://www.an.shimadzu.co.jp/prt/fl/fl.htm

4. ≪”味の見える化”は食品業界を根底から変える≫ 運営:株式会社東洋経済新報社
経営コンサルタントの立場から、味覚センサのこれからの可能性やポジティブ・ネガティブの両面におよぶ影響なども述べられている東洋経済の2015年のサイト。
https://toyokeizai.net/articles/-/61244

5. ≪食の未来を見える化する≫ 運営:株式会社AISSY
前述のものとは違い、慶應義塾大学の研究から立ち上げた会社アイシーのサイト。味覚センサ「レオ」を使ったコンサルティング等をおこなっている。
https://aissy.co.jp/

6. ≪匂い センサ≫ 運営:第一精工株式会社
第一精工が2019年秋に発売を予定している「匂い分子のパターン」を認識するセンサ
https://www.daiichi-seiko.co.jp/japanese/product/development/smell-sensor/

7. ≪アルファ・モス・ジャパン≫ 運営:アルファ・モス・ジャパン株式会社
官能分析を行っているアルファ・モス・ジャパン(株)のサイト。味覚・嗅覚・視覚それぞれについても分析を行っており、食品について多方面から調べたり、環境についての分析なども行っている。
http://www.alpha-mos.co.jp/index.html

8. ≪ニオイセンサ/空気質検知≫ 運営:新コスモス電機株式会社
ニオイセンサ製品各種が掲載されている。ガスもれ警報器などを得意としていた新コスモス電機だが、現在は様々な気体の匂いを感知するセンサのラインアップがある。
https://www.new-cosmos.co.jp/product/?c=smell

9. ≪ニオイ監視システム/Deomoni≫ 運営:株式会社共生エアテクノ
ニオイセンサのDeomoniと監視システムの紹介サイト Deomoni(デオモニ)は、公益財団法人東京都中小企業振興公社より、昨年、海外販路開拓支援対象商品に認定されたとのこと。
https://www.201110.gr.jp/sensor/deomoni.html

10. ≪aroma bit≫ 運営:株式会社アロマビット
ニオイ識別小型センサーを扱っているアロマビットのサイト
https://aromabit.com/

次週に続く-

ORPHE TRACK、ランナーがシューズ開発に参加できるベータ版を本日販売開始

スマートフットウェアORPHE(オルフェ)シリーズを開発する(株)no new folk studio (以下 no new folk studio)は、ランニングを変えるスマートフットウェア「ORPHE TRACK(オルフェ トラック)」のベータ版製品販売予約を開始する。 (200足限定)

使い方は、センサモジュールコンピュータ「ORPHE CORE」を専用シューズにインサートし、いつものように走ると対応アプリ「ORPHE TRACK Run」で自分自身のランニングフォームの分析結果を詳しく知ることができるという。

□購入者限定の特典
[1]次バージョンのシューズも無償で提供、[2]ランニングのコーチングイベントに無料招待、[3]ミートアップイベントへ招待、等。

□開発への参加手順
1.ベータ版を購入して使用する。2.フィードバックを送り、開発の進捗を確認する。3.フィードバックが反映されたアップデート版シューズを受け取る。
購入者はORPHE TRACK開発コミュニティに招待され、コミュニティでは開発スケジュールやアップデートを共有する他、ユーザーの皆様からのフィードバックの投稿も募集する。寄せられた意見が製品開発に優先的に反映されるとのこと。
* なおコミュニティの参加にはFacebookアカウントが必要。アカウントがない人へも、専用ニュースレターが配信される。

販売価格:¥29,800(税抜)

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000020411.html