三井海洋開発(株)事業開発部 ⼩林 秀信
1. はじめに
我が国における浮体式洋上⾵⼒発電設備の設置可能な⽔深海域は、着床式の適地とされる約50m 以浅の海域⾯積を⼤きく上回り、将来的に再⽣可能エネルギーの有望な産出地になりうる。浮体式はより沖合に設置されることから、⾼い⾵⼒エネルギーが得られる⼀⽅で、その⾵浪環境は、着床式に適した海域と⽐しより厳しいものとなり、浮体式洋上⾵⼒発電の普及には、浮体・係留システムの信頼性と経済性の両⽴が必要になる。
三井海洋開発はFPSO (Floating Production Storage and Offloading) やTLP (Tension Leg Platform)の建造や運転・保守に関し世界で有数の実績を有し、⽇本で唯⼀の浮体式洋上設備のトータルソリューションを提供する企業として⽯油・ガス業界では広く知られる存在である。現在、その経験と技術を活⽤し、過酷な環境においても⼤容量発電⾵⾞(12〜15MW)の搭載を可能にし、優れた経済性、更に、⾼い社会受容性を兼ね備えた浮体・係留システムを開発中である。
以下に、開発中である浮体式洋上風力発電用TLP(Tension Leg Platform)型浮体・係留システムを紹介する。
2. MODEC TLPの概要
<MODEC TLP型洋上風力発電設備の特徴>
(1) 大型風車に対応する浮体の信頼性と経済性の両立
1) 浮体の信頼性
洋上風力発電の普及においては発電コストの低減は必須であり、その達成のためには大型風車を採用し、より風況の良い場所での発電が要件となる。大型タービンを搭載する浮体としての構造信頼性の確保は非常に重要なテーマであり、タービンやケーブルへの影響の最小化を実現するため当社はTLP型をベースに開発を行っている。
当社のコンセプトは、先のコンセプト図で説明したように3本のカラムとそれらを上下で繋ぐブレーシングとポンツーンにより、浮体全体の剛性強化を意図した構造体配置としている。
浮体係留の連成解析シミュレーション
TLP型の動揺特性
・ 鉛直方向の運動が殆ど無い
・ 浮体の傾斜も十分に小さい
構造信頼性
・ タービンタワーを強固な立体連結構造で支持
・ DNV-GLよりAIP取得
2) 更なる経済性
TLP型用浮体の建造費はその構造からセミサブ型と同等であるが、優れた浮体安定性は、発電設備の性能を最大限に発揮させ、20年に亘る長期の運用では風車をはじめとする搭載設備の信頼性向上に寄与し、設備のメンテナンスの低頻度化にも貢献すると考える。
また、一般に、風車を大型化した場合、荒天時に風車に作用する加速度や傾斜角を許容内に収めるために浮体が極端に巨大化していく一方で、TLP型の採用は浮体の大型化を他の浮体形式に比べて抑えることが可能となり、この点でも他の浮体形式との比較において経済性に寄与するものと考えている。
(2) 係留システムにおける技術要件と経済性の両立
1) 係留索システム
本コンセプトの係留索システムは、緊張力の分散と冗長性確保を目的として、各カラムに3本ずつ合計9本の係留索を採用している。石油・ガス分野でのTLPの係留はパイプをつなぎ合わせたテンドンパイプを採用しているが、浮体式洋上風力設備では、係留索に求められる強度要件と経済性の観点から汎用の鋼製ワイヤーを採用した。係留索については、緊張係留索の負荷特性である定常緊張力、浮力変動、水平復原力を把握した上で、係留索に求められる強度要件(破断強度、疲労強度)から、鋼製ワイヤーを採用している。
2) 係留接続工事費、係留交換や重故障発生時のメンテナンス費用の削減
本コンセプトの係留システムでは、洋上施工期間の短縮に向け、バラストによる浮体喫水の調整機構と係留索の着脱コネクターを採用している。これにより、浮体に漲水して通常時より沈めた状態で係留端部を浮体に接続、排水することで簡便に緊張状態の実現が可能となる。係留索システムの浮体からの着脱を容易にできるため、ヘビーメンテナンスが必要になった場合の基地港への迅速な輸送を可能とし、施工期間短縮によるヘビーメンテナンス費の低減を実現する。
また、係留索・電力ケーブル着脱機構は重故障時のダウンタイムを最短化し、保険料の低減の可能性につき複数の保険会社が、他の浮体方式に比べ、保険引き受けに優位性ありと評価している。 更に、浮体喫水は6m程度と浅く、日本の浅い岸壁に有効であり、拠点港の選択肢を広げることに寄与すると考えている。
3) 汎用鋼管杭による係留基礎
TLP型浮体は浮力により生じる緊張力を海底で受ける必要があり、既往の開発では大型の重量式アンカーを採用している例もあり、実用化にはその製作費や設置費が課題であった。一方で、石油・ガス分野で使用されるTLP型浮体はメキシコ湾などにおいて汎用鋼管杭を用いた基礎が一般的であるが、需要の観点から日本国内での実績はない。そこで、この方式を浮体式洋上風力にも導入することで重力式アンカーの経済的なボトルネックを解消する。
次回に続く-
【著者紹介】
小林 秀信(こばやし ひでのぶ)
三井海洋開発株式会社 事業開発部
■略歴
20年以上にわたり、石油、ガス、化学業界にてEPCのセールス/マーケティングに従事。
2018年に三井海洋開発(株)入社。新規事業を担当。
現在 同社の風力発電事業の推進において2030年の商業化を目指し活動中。
ハイブリッドスパー型浮体式洋上風力発電について (1)
戸田建設(株) 戦略事業推進室 安仲 ともえ
1. はじめに
近年、再生可能エネルギーの中でも特に風力発電が大きな注目を集めている。風力発電は、これまで陸上での設置が中心となっていたが、周囲を海に囲まれた日本では、広大な海域を利用した洋上風力発電が期待されている。洋上風力発電は、風車の基礎部分を海底に固定する着床式と、基礎部分が海に浮いている浮体式に分類される。着床式は設置可能な水深が60m以浅といわれ、欧州で主流となっているが、日本では欧州のような遠浅の海域が少なく、カーボンニュートラル達成のためには水深が深い海域に設置可能な浮体式の活用が必須となっている。戸田建設株式会社は浮体式洋上風力発電の実現に向け、2007年にハイブリッドスパー型浮体の研究開発を開始した。その後も年々スケールを拡大し、2013年には環境省による実証事業において2MWの実証機を長崎県五島列島沖に設置し、2016年から民間事業として実用化、現在も次のステップに向けて技術開発を継続している(図1)。本稿では、このハイブリッドスパー型浮体式洋上風力発電について紹介する。
2. ハイブリッドスパー型とは
ハイブリッドスパー型とは、下部をコンクリート、上部を鋼で構成する細長い円筒形の浮体構造である(図2)。コンクリートは重量単価が鋼の約1/10程度であり、これを下部に用いることで、全て鋼から構成される従来のスパー型よりもコストダウンを図るとともに、浮体の重心を下げることにより安定性も向上させている。
スパー型の利点としては、大量生産性と安定性が優れていることがあげられる。スパー型の構造は、図2からもわかるように、分岐がなく非常にシンプルであることから、大量生産への移行が容易に可能となる。また、スパー型は細長い円筒形の構造となっているため、風や波の影響を受けにくく、さらに浮体中心よりも低い位置に重心を置くことで高い安定性を実現している。
一方、スパー型の課題としては、一般に洋上での風車組み立て時に大型起重機船を必要とすることがあげられる。洋上施工時に使用する大型起重機船は日本に数隻しかなく、手配が容易でないことや、作業可否が天候に左右されるためにコストや工程を圧迫する大きな要因となっていた。
次回に続く-
【著者紹介】
安仲 ともえ(あんなか ともえ)
戸田建設株式会社 戦略事業推進室
浮体式洋上風力発電事業部
技術企画部 技術課
■略歴
2016年 東京海洋大学海洋工学部海事システム工学科 卒業
同年 三井造船株式会社(現 三井E&S造船株式会社) 入社
2021年 戸田建設株式会社 入社 現在に至る
わが国沿岸域における波浪観測機器技術 =海底から波を観張る海象計= (1)
(株)ソニック 三井 正雄
1. はじめに
沿岸域の開発・利用・防災といった多くの側面において、波浪は最も特徴的かつ支配的な自然外力である。そのためわが国沿岸域の多くの地点で波浪の観測・調査が継続的に実施され、得られた波浪観測情報は、港湾・海岸構造物の計画・設計・施工に対する与条件として、あるいは台風等による被災メカニズムの究明や海岸保全、航行船舶の安全管理等のために、重要な意思決定資料として広範に活用されてきた。
また近年では、地球温暖化の影響等により、台風の強大化や北上化、あるいは平均水位の上昇化傾向等による沿岸災害の大規模化が各地で認められるようになり、大阪湾や東京湾で大きな港湾被害が報じられたことは記憶に新しい。これら気象の変化は必然的に波浪にも大きな影響を与え、多くの地点で既往最大波の増加傾向が確認されるようになった。そして波高の増大のみならず、より周期の長い波、すなわちより大きなエネルギーを有したうねり性波浪の来襲頻度も増加しており、問題を一層深刻化・複雑化させている。このような波浪特性の変化に対応する必要性が喫緊の課題となり、港湾構造物の設計条件であるこれまでの「設計波」の見直しが全国的に開始されるに至るなど、より正確に、より高度な情報出力を可能とする波浪観測の高度化要求が高まっている。以前は希であった周期の長い高波が頻発するようになった今日、波浪特性の変化にマッチした観測方法やデータ解析方法の見直しが必要となっていると言えそうである。
現在、わが国における定常波浪観測の標準機として運用に供している海象計は、海底に設置する一台の水中超音波センサによって、海面波と海面波の変動に伴う海中多層の水粒子速度を継続的に観測している。そこで、これらの計測データを適切に処理・解析することにより、海象計は波浪情報の高度化要求にも十分応えられる潜在能力を有していることから、時代の要請にも応え得るものと期待されている。
本報告では、わが国最大の波浪観測網である国土交通省が運用する全国港湾海洋波浪情報網(通称ナウファス)の主力機器として、24時間絶えず海の波を観張り続けている海象計の概要と本機によって得られた観測データ、および波浪情報の安定・高度化要求に向けて開発を進めている最近のデータ処理手法による結果例について紹介する。
2. 海象計
海象計は、1981年に発表された運輸技術審議会答申が目標とした「波向観測の標準化と津波等長周期波観測」を実現させた観測機器として、波浪(波高・周期・波向)流況(通常3層の流向・流速)および沖合の潮位変動を単一のセンサにより同時計測可能なものである。機能的には、従来わが国沿岸域の定常波浪観測に多用されていた海底設置型超音波式波高計の機能と主に船舶や係留式として使用されてきた多層式ドップラー流速計の機能とを一体化した定常観測用の複合型海象観測機器である。
観測システムとしては、海底に設置される送受波器と陸上に設置される制御・計測・演算部およびこれらを結ぶ海底ケーブルによって構成される。海底に設置される海象計のセンサは、図1に示すように鉛直上方へ超音波を0.5秒間隔で送信し、海面での反射波を受信することにより、海面の上下変動を計測する部分と斜め3方向に超音波を送信し、受信波のドップラー周波数偏移を解析することにより、任意水深層における水粒子速度を計測する部分からなっている。なおセンサ部の海底設置例を図2に示す。
図3は、センサの最上部に位置する水位変動計測用振動子(200KHz)組立時のものであり、通常なかなか見る機会がないセンサの内部構造である。作業工程としては、次に容器内へヒマシ油を満たした後、ゴムキャップを被せてこれをステンレスバンドで固定する。またこの振動子は、ジンバル構造になっており、振動子面が水平を維持することにより、海底が傾斜している場合や設置架台が洗掘等で傾いてしまった場合でも、常に超音波が鉛直上方に送出される仕組みになっている。
海象計のセンサは、その上部の鉛直軸から30度傾いた3方向に水粒子速度計測用の振動子(500KHz)を配している。図4はこの500KHzの超音波を送信後、海中のゴミやプランクトン等、浮遊懸濁物質で反射した受信波形の一例である。海中で音波は約1500m/sの速度で伝播するため、海中1mの往復に要する時間は1.33msとなる。これを利用して、超音波を送信してから所定時間後の受波信号を抽出・処理することにより、希望する観測水深層の水粒子速度(超音波ビーム軸方向の流速)が得られることになる。
次回に続く-
【著者紹介】
三井 正雄(みついまさお)
株式会社ソニック
■略歴
1992年、株式会社カイジョーに入社(独立分社後、現ソニック)
入社後一貫して波浪観測技術の開発に従事
途中、港湾空港技術研究所、九州大学にて波浪データの解析手法に関する研究に従事
圧倒的な低コストで 「地域の水を見える化」するサービスを開始
スマート農業に特化したITベンチャー企業(株)farmoは、新たな減災のサポートという課題に取り組み、新しいサービス「地域の水を見える化」をするサービスを10月4日より開始する。
現在、過去のデータから想定が困難な雨の降り方など、予測のできない水害にどう備え、対策するかが喫緊の課題となっている。
自治体では主に、一級河川の水位を監視するシステムが整っているが、地域を流れる川、用水路、ため池、土地改良区にある水については、人的リソースにも限界があることから、すべてを把握するのが難しい現状である。
(株)farmo では ICT の技術を活用した水管理システム、 farmo の水位センサで、地域全体の水位が見える化できるクラウドサービスの提供を開始した。一級河川で導入されていた数千万円の水位観測システムと比べ、シンプルかつ圧倒的な低コスト「 6 万円 ( 税別 ) ~」で導入可能なため、全国の自治体より導入を検討する問合せが相次いでいるという。
導入事例
新潟県岩船郡関川村は中山間地のため、高低差のあるため池や水路の水位確認は大変な作業だった。今回、farmoの水位センサを設置し、PCで水位を確認できるようにしたところ、省力化が図れるようになったと喜びの声が届いているとのこと。
今後の展望
水害の発生している自治体へ提案。将来、 ICT の活用により、農家と自治体が連携をとった新しい防災システムをサポートしたいとしている。
プレスリリースサイト:https://kyodonewsprwire.jp/press/release/202110031071
ラック、長崎県立大学とスマートシティを支えるIoTの安全な利活用に関する共同研究
(株)ラックは、高度なICT利活用により創る「未来都市・スマートシティ」実現の障害となる様々な課題を解決するため、長崎県立大学と、都市や街におけるICTの実使用環境を再現して様々な試験を行う産学連携の共同研究を推進すると発表した。
本研究の最終的な目的は、スマートシティにおける各種IoTデバイスを安全に管理するための脅威管理基盤の構築・運用技術を確立することである。そのために、2021年5月19日に発表した長崎県立大学とラックと長崎県長与町との連携協定を活用し、長与町内に設置した各種IoTセンサに対する脅威分析、管理・検証方法の確立、基盤の構築方法等の研究を行い、クラウド上での試験環境機能提供を目指していく。
ラックは、地域のスマートシティに関連する取り組みとして、防災・減災等の先端サービス適用も可能なプラットフォームの実現を進めている。その際、安全管理に使われる各種センサの安全性を担保するための接続元となるIoTデバイスの身元保証やデータの安全性確認を目的とした機能を提供していく。これは、2020年7月3日にラックが発表した「town/SmartX事業構想」の一環となるという。
ニュースリリースサイト(LAC):https://www.lac.co.jp/news/2021/10/01_press_01.html
人工衛星からのデータを用いたサービスや課題解決を紹介するサイト「リモセンマート」
衛星データ×リファレンスデータで企業や自治体の課題解決をサポート
(株)羽生田鉄工所と(株)sorano meは、衛星データ等を用いた課題の解決方法を紹介するポータルサイト「リモセンマート」を2021年10月1日より正式リリースする。
■背景
昨今、企業が抱える課題を解決する手段として、様々な場面で人工衛星のデータや、それに伴う地上データの利用が求められる。しかし、衛星データの利活用は、計測するデータの選定や、調査が必要な情報が多岐に渡ることから、導入の敷居が非常に高いという課題がある。
■リモセンマートについて
「リモセンマート」は、これらの課題を解決するために、羽生田鉄工所とsorano meが共同で提供するポータルサイト。
企業や自治体が抱えるそれぞれの課題ごとに、必要な衛星データやそれに伴い取得が必要となる地上データの情報を紹介するのはもちろん、衛星画像やIoT機器、現地での直接データ測定といった作業をパッケージ化しサービスとしても提供する。
本ポータルサイトを通じて、羽生田鉄工所とsorano meは、衛星データの利活用方法に悩む企業や自治体を対象に、それぞれが抱える課題の解決や、イノベーションの一端となることを目指すという。
「リモセンマート」ポータル:https://remosen-mart.com/
STとBlues Wireless、組込みアプリケーションへのセルラー技術導入促進で協力
STマイクロエレクトロニクスと、Blues Wirelessは、IoT機器向けのセルラーIoTソリューション開発を加速させる超低コストのBlues Wireless製システム・オン・モジュール(SOM)「Notecard」に、STの5製品が採用されたことを発表した。
Blues Wirelessが提供するNotecardには、高性能・超低消費電力のSTM32L4R5マイクロコントローラ(マイコン)、最新の鍵管理とIoT機器のセキュリティを実現するSTSAFE-Aセキュア・エレメント、およびMEMS加速度センサ「LIS2DTW12」(温度センサ、モーション・センサ内蔵)が採用されている。STの製品を活用することで、プリペイド方式の組込み型セルラー・データ・サービス、セキュアな通信機能、革新的な開発モデルを実現している。これにより、幅広いクラウド接続IoTアプリケーションにおいて、構想から導入までの期間の大幅な短縮に貢献するという。
Notecardは、Blues Wirelessから直接購入可能で、価格は約49ドル。世界各地域のLTE Cat-1、LTE Cat-M、NB-IoT、およびGSM規格のキャリア・ネットワークで利用可能。
・STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標。STM32は米国特許商標庁に登録されている。NotecardはBlues Wireless Inc.の登録商標。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001187.000001337.html
2D画像データと3D点群データを組合せ、段ボールを自動検出するセンシングシステムを開発
TRUST SMITH(株)は、段ボールを自動で検知するセンシングシステムを開発した。本技術は2D画像データと3D点群データを組み合わせることで実現し、製造・物流業界における労働力不足の補填や作業効率の向上を狙う。
●本技術開発の背景
近年、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、物流・製造現場では労働力不足や作業効率への対応が必要とされている。人が関わる工程を自動化することで物流の可視化、拡張性と生産性の向上を実現することが可能である。そこで、TRUST SMITHは、段ボール認識技術を開発した。画像データから段ボールの情報を得ることで、積み上げ(パレタイジング)や荷下ろし(デパレタイジング)など次の工程に移る作業が格段に容易となる。
本技術は物流・製造現場における自動化を促進させ、時代のニーズに応えるシステムであるという。
●本技術開発の特徴
・2次元画像から得られるデータだけでなく、段ボールの表面の3次元的な形状の特徴を利用することで、認識精度を向上
・段ボールの位置や段ボールのサイズ・種類に関する事前情報の登録が不要
●本技術の流れ
①段ボールが複数載った台車をカメラのある位置まで移動させる
②カメラを用いて2次元画像と3次元画像データを得る
③独自のアルゴリズムにより段ボールを自動検出する
●今後の展望
本技術をロボットアームなどと連動させることにより、パレタイジングやデパレタイジングの作業を自動で行うことができる。段ボールの自動認識によってこれらの一連の動作から人の関与を不要とする。
TRUST SMITHは、他にもロボットアーム経路生成アルゴリズムや、自動搬送ロボット、自動走行フォークリフトなどハードウェアを含めた研究開発に積極的に取り組んでいる。今後、このような様々な技術を組み合わせることにより、従来手作業で行われていた工場・倉庫内のあらゆる作業の省人化・無人化を目指すとしている。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000049040.html
産業用センサ搭載Conta™基板(2軸加速度センサIIS2ICLX、3軸デジタル振動センサ IIS3DWB)販売
(株)スイッチサイエンスはSTマイクロエレクトロニクス社の2軸加速度センサ IIS2ICLX をConta規格の基板に搭載した「Conta™ 産業用2軸デジタル加速度センサ IIS2ICLX 搭載」と3軸デジタル振動センサ IIS3DWB をConta規格の基板に搭載した 「Conta™ 産業用 3軸デジタル振動センサ IIS3DWB 搭載 」をスイッチサイエンスのウェブショップにて2021年9月28日より販売開始する。
「Conta™ 産業用2軸デジタル加速度センサ IIS2ICLX 搭載」は、ST社の2軸加速度センサIIS2ICLXをConta規格の基板に搭載したもので、高精度の傾斜センサなどに使える。
いっぽう、「Conta™ 産業用 3軸デジタル振動センサ IIS3DWB 搭載 」は、ST社の3軸デジタル振動センサIIS3DWBをConta規格の基板に搭載したもので、SPI接続で高速にデータを読み出せる。
▶︎「Conta™ 産業用2軸デジタル加速度センサ IIS2ICLX 搭載」
・2軸加速度センサIIS2ICLX搭載
・入出力は I2C バスインターフェース
・ 割り込み出力端子あり
・I2Cスレーブアドレスは “6Ah”(7ビット表記)。
ジャンパSJ1をカットして3.3V側につなぐことにより“6Bh”にできる。
・動作電圧:1.71 V~3.6 V
・基板外形:2 cm × 2 cm
・ピンヘッダ搭載
▶︎ IIS2ICLX特長
- 2軸リニア加速度センサ
- 選択可能な最大測定範囲:± 0.5 / ± 1 / ± 2 / ± 3g
- 超低ノイズ密度:15µg/√Hz
- 温度に対する優れた安定性(<0.075mg/℃)と再現性
- 内蔵の補正機能により温度に対する高い安定性を実現
- I2C / SPIデジタル出力インタフェース
- 低消費電力:0.42mA
- 外部センサからデータを効率的に収集するセンサ・ハブ機能
- 最大3KBのスマート組込みFIFO
- プログラム可能なハイパスおよびローパス・デジタル・フィルタ
- AIアルゴリズムを集積し、システム・レベルで消費電力を低減するプログラム可能な機械学習コア
- 加速度センサと1つの外部センサから得たデータを処理するプログラム可能なステート・マシン
- 幅広い動作温度範囲: -40℃~+105℃
- 温度センサ内蔵
- 電源電圧: 1.71V~3.6V
▶︎「Conta™ 産業用 3軸デジタル振動センサ IIS3DWB 搭載」
・3軸デジタル振動センサIIS3DWB搭載
・入出力はSPI
・INT1、2の2つの割り込み端子を基板上に用意
・動作電圧:2.1V~3.6V
・基板外形:2 cm × 2 cm
・ピンヘッダ搭載
▶︎ IIS3DWB特長
- 3軸デジタル振動センサ
- 選択可能な最大測定範囲 : ± 2g / ± 4g / ± 8g / ± 16g
- 超広帯域 / フラットな周波数特性 : DC~ 6kHz(± 3dBポイント)
- 超低ノイズ密度 : 3軸モードで最小75µg/√Hz / 1軸モードで60µg/√Hz
- 温度および機械的衝撃に対する感度の高い安定性
- 広い動作温度範囲 : -40℃~+105℃
- 低消費電力 : 1.1mA
- SPIシリアル・インタフェース
- 選択可能なカットオフ周波数を備えたローパス / ハイパス・フィルタ
- ウェイクアップの割込み / アクティブ – 非アクティブ / FIFOしきい値
- 組込みFIFO : 3KB
- 温度センサ搭載
- 電源電圧範囲 : 2.1V~3.6V
- 小型パッケージ : LGA 2.5mm x 3mm x 0.83mm 14リード
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000064534.html
ボールウェーブ・東北大学・豊田合成、新型コロナウイルスの高速センサを共同開発
ウイルスを高速高感度に捕捉するボールウェーブのセンサ、センサ精度を向上する豊田合成の卓越した表面処理技術と、東北大学の呼気分析による高精度な診断法ー呼気オミックスーの知見を総合して、環境空気中のウイルスをモニターする機器の開発を目指す。
このたび、エアロゾル中の新型コロナウイルス由来のタンパク質を1分以内に捉えることに成功した。医療機関、飲食店、公共交通機関、大規模集客施設、一般家庭等におけるウイルスの拡散状況を可視化するシステムを開発できる可能性があるという。
【概要】
新型コロナウイルスは、空気中のエアロゾルを介して感染すると言われているが、空気中のウイルス濃度をリアルタイムで検査できる方法・機器(気相ウイルスセンサ)はまだ開発されていない。また新規感染者の迅速な検出のため現在使われている最も簡便な検査手法はイムノクロマト法抗原検査キットだが、検査には15分以上かかり、これは新型コロナウイルス感染症対策における大きな課題となっている。
会話や咳によって環境空気中に放出されたエアロゾルは毎秒数十cmという高速で空間を移動する。センサが1m以内の距離にあれば、エアロゾルは10秒以内にセンサに到達して、エアロゾル中のウイルスは水を被った状態でセンサ表面に保持されると考えられる。
そこでボールウェーブはその固有技術であるボールSAWセンサ〔注1〕の表面に抗体またはアプタマー〔注2〕を固定し、保持されたウイルスのスパイク蛋白と反応させてウイルスを捕捉するセンサを考案した(画像)。このセンサの応答時間は10秒以下であり、ウイルスが微量でセンサ応答が小さくてもボールSAWセンサの画期的な原理によって応答が増幅されるので、高感度に検出できると期待される。
豊田合成が車の内外装部品の開発で培った表面処理技術と、東北大学の呼気中のウイルスや炎症性蛋白を質量分析で検出する高精度な診断法である呼気オミックス〔注3〕の知見を総合して、共同開発を進める。
21世紀はパンデミックの世紀とも言われている。環境空気中のウイルス検出や非侵襲で迅速なウイルス検査を可能とするボールSAWウイルスセンサを、1日でも早く全世界の人々に提供することを目指すという。
【用語解説】
[注1].ボールSAWセンサ:球の表面に集中して、横方向にも拡がらず繰り返し周回する弾性表面波(Surface Acoustic Wave; SAW)を用いるセンサ。東北大学大学院工学研究科の山中名誉教授らによって開発された。
[注2].アプタマー:細胞や蛋白質など特定の異物と特異的に結合して、その機能を阻害する核酸分子をアプタマーと呼ぶ。タンパク質分子である抗体と類似の機能を持つが、核酸であるため抗体より熱的・化学的に安定であり、昇温によって異物との結合を解離して、再利用可能なものもある。
[注3].呼気オミックス:被験者の呼気を採取し、エアロゾル中のウイルスタンパク質・ゲノムと同時に炎症メディエータやエネルギー代謝物を効率良くかつ安全に回収し、ロボット化全自動高速・超高感度解析を行う方法。東北大学大学院医学系研究科の赤池教授らによって開発された。
プレスリリースサイト(ballwave):http://ballwave.jp/pressreleae.html
