松尾産業(株)の子会社である、DIAM(株)は、ダイヤモンド電極利用による電解硫酸でのCFRPリサイクルテストを行い、炭素繊維を分離し取り出すことに成功した。
DIAMは「成長型中小企業等研究開発支援事業」(Go-Tech事業)に採択され、ダイヤモンド電極による環境負荷の低い循環型電解硫酸生成システムの開発を行っている。電解硫酸は硫酸を電気分解したより強い酸化力を持つ物質で、金属や樹脂を分解することができる。CFRPリサイクルにおいてもこの強力な酸を利用し樹脂のみ溶解、繊維状を維持した炭素繊維の分離ができることを実証した。
CFRPはさまざまな領域でさらなる利用拡大が見込まれている一方で、最適なリサイクル技術が課題となっている。今後は自動車部品など用途毎のCFRPテストを拡充し、ダイヤモンド電極の利用によるCFRPリサイクル技術の確立を目指す。
●CFRPリサイクルについて
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は軽量で強度が高く、航空機や自動車などの製造に広く使用されており、今後も軽量化、低燃費化を実現する素材として需要拡大が予想されている。一方で、製品の寿命を終えた多くが廃材として埋め立て処分されている状況が課題となっている。これは、CFRP製造の多くに熱硬化性という性質の樹脂が使用されており、一度固まると溶かすことができず、リサイクルが難しい材料であるためである。
CFRPはその用途から複雑な形状のものが多く、製造段階でも大量の廃材が出るためサーキュラーエコノミーの観点からもリサイクルの取り組みが加速している。すでにいくつかのリサイクル技術が開発され、PCなど身近な製品の部品として生まれ変わらせるケースも出てきているが、性能はバージンに比べ劣化してしまうため、水平リサイクルでのCFRPリサイクル技術は確立されていない状況である。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000077442.html