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データスコープとシステムジャパンが両社の技術でソリューションを共同開発

2022年2月1日、(株)データスコープ(以下、D-Scope)および(株)システムジャパンが業務提携を発表した。

D-Scopeの温度検知および画像解析技術と、システムジャパンのマイクロ波バイタルセンサ技術を掛け合わせ、介護施設等に向けた非接触型の見守りソリューションや、 旅客運送業に向けたドライバーのためのバイタル支援システムの共同開発を開始。
協業第一弾として、システムジャパンの非接触バイタルセンサ「レガーメ」をD-Scopeにて取扱開始。D-Scopeの販売網を活用し、日本全国の介護系施設や更生保護施設、旅客運送業などへの展開を進める。

協業の背景(D-Scope)
2036年には、日本の総人口の約3人に1人が高齢者となることが見込まれている。一方、日本の出生率は依然として1.4%前後を推移しており、老老介護や人材不足により、介護従事者1人の負荷が高まることが予想される。また、感染症拡大に伴い、非接触や遠隔での介護に対する需要が高まっている。こうした状況をふまえ、「Capture Better World」を企業ビジョンとして掲げるD-Scopeは、介護従事者への負荷を軽減するソリューションを提供すべく、技術開発を検討してきた。
マイクロ波センサの領域で確かな実績を持つシステムジャパンと組むことで、D-Scopeが持つ画像解析技術やパートナーシップとの連携により、介護業界や保育業界、旅客運送業界などへ向けた新たなサービス展開を進めて行くとしている。

「レガーメ」について
システムジャパンが開発した、非接触型マイクロ波バイタルセンサ。同センサは、総務省プログラムSCOPEにおける採用実績や、東京都の地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の承認取得(2020年)、 医学書院(2019年)や文光堂(2019年)発行書籍において紹介実績を有する。
安全な周波数帯を用いたドップラーセンサ内蔵で、脈拍・呼吸数・体動を検知。各台に付属するミニモニターで検知状況を即時確認できるほか、集合管理アプリケーション(Windows版)でセンサ複数台を一括モニタリングし、特定の閾値を超えた場合にアラートで通知する機能を装備。センサの大きさは175mm(幅)×125mm(奥行)×25mm(高さ)で、ベッドヘッドやベッドマットレス下および天井に設置して使用する(画像)。

ニュースリリースサイト(D-Scope):https://datascope.co.jp/news/2022/0201.html

センサの知能の役割と知能化の進歩

山﨑 弘郎
東京大学 名誉教授

1.センサの知能の役割とは

センサの知能とは何か。それがどのような働きをするか。センサの知能が人とセンサの間の仲立ちをしているとされますが、いかなる形なのか。それをセンシング・インテリジェンスと呼ぶことにしますと、センサ情報の持つ「意味」を人に伝え理解させる役を果たしています。そして人が意図するセンシングの目的にすみやかに到達させています。

センサが文字通り「感ずる」役を果たすとすると、意味を理解する「知る」過程がセンサの知能の役割といえます。知るとは何かと考えると、人やセンサを持つシステムの中ではなく、確立された「知識の体系」と呼ばれるモデルが外部にあって、それが人やシステム内に記憶されています。センサ情報を知識に照合して意味を特定するというのが知るという働きといえるでしょう。

センサの知能の発達過程は人の知能と同様で、最初は単純な働きしかできませんが、時がたつにつれて高度な働きをするようになります。ここではセンサ知能化の進歩の各段階で具体例をあげて示します。

2.センサ知能化の段階

実現される機能を切り口として発展段階を次に示します。

第1段階 センサが記憶能力を持つ
メモリを持ち、個々のデバイスのデータを数値で記憶するようになります。最初は上に述べた知識の体系が整備されていない段階で、単純な出力データの記憶から始まります。記憶データとして、指定された時点におけるセンサ出力データ、校正時の補正値、校正データなど、将来、再校正時に特性のデータとして使用され、それらが特性変化の目安となります。従来は知能化の出発点をマイクロプロセッサ出現によるセンサデータの処理においていました。それではアナログ処理からディジタル処理への移行にすぎません。あえて異を唱え、メモリによるセンサデータのディジタル符号による記憶機能としました。幼児は言葉を理解できなくても、経験した事実は容易に記憶するのと同様です。

第2段階 学習と適応能力を獲得する
記憶能力を持つと知能の次の段階の働きは学習と環境への適応です。センサが自身の環境をセンシングし記憶することで環境を評価し適応します。単純な例では、知識の体系の入り口である大小を表す「量の体系」の単位系です。環境温度を計測し、最高値と最低値などを記憶します。使用環境の評価するデータとして使用します。使用環境が仕様外ならば、設置個所変更の要請を出力します。センサの信頼性は設置される環境に左右されますから、適応の一段階として設置環境の評価を挙げました。

第3段階 センサデータの意味を伝える
次の段階では、センサ出力データが持つ意味を人が理解しやすいように伝達する働きです。単位系のように人が作り、記憶されている体系を利用してセンサ出力を表現し、人に伝達します。 マン・マシン・インタフェースの知能化とも言い換えられるでしょう。具体例を挙げますと、GPSの測位情報の意味を翻訳して使用者の位置を教えます。 測位センサシステムの計測結果は緯度と経度ですので、結果を知らされても人は自身の位置を容易に認識できません。人が共有している社会システムの知識を活用し、地名や道路や橋などとの相対関係を地図で示すことで、人が現位置を直ちに認識できるように知能が支援するのです。

センサの対象認識とセンサ情報を受け取る人の認識の間にギャップがある場合に、人が認識しやすい形に変換することでセンサ情報が持つ意味が人に伝わります。

第4段階 センシング機能とデータ処理機能が一体化し、高速化する
一体化により通常の処理の効率化が図られます。センシング機能と信号処理機能とを同時に実施することで、必要な情報が速やかに得られます。

一体化の例として フーリエ変換分光法があげられます。スペクトル分光計測では、光の波長と分析対象物質による光の吸収との相対関係を明らかにして、対象物質のスペクトルを可視化し、成分と濃度とを明らかにします。センシング操作において光の波長を順次選択する手法は波長の変化範囲を広くとれば時間がかかり、波長の精度を上げるために波長選択のスリットの移動速度を落とすと、やはり時間がかかります。選択した波長のデータ以外をすべて捨てているからです。

フーリエ変換分光は収集したデータを捨てずにすべて活用して速やかにスペクトル情報を提示することで、対象物質の同定や、共存成分の有無などが速やかに明示されるのです。

この分光法を活用した赤外線分光ガス分析システムの構成を図1(a)および信号処理の手順を同図(b)に示します。マイケルソン干渉計のような2光束干渉計の一方の反射鏡を動かして光路差を変化させて赤外線の広い波長範囲で干渉光が得られます。その干渉光を分析対象の気体で満たされているセルを通すことで、セルの影響を受けた干渉パターンが得られます。その干渉パターンの交流部分をインターフェログラムと呼びます。それをフーリエ変換することで、対象成分の赤外線吸収スペクトルが得られるのです。

2光束を干渉させる操作は空間的な自己相関関数を求める操作です。インターフェログラムは自己相関関数を時間軸上に展開したものになります。自己相関関数のフーリエ変換はパワースペクトルですから、分析対象の赤外線の吸収スぺクトルが得られることになります。 フーリエ変換はディジタル化した高速フーリエ変換アルゴリズムを利用して処理の高速化が可能です。1)

図1 フーリエ変換赤外分光システム
(a) システムの構成(b)信号処理

第5段階 センサの構造が仮想化され、データ処理機能と融合、高機能化する
例として医用超音波映像や非破壊検査に見られるフエーズドアレイがあげられます。アレイ状に配列された超音波送受波器に送るパルスに異なる遅れ時間差を与えて波面を制御し対象に集中させます。また対象からのエコーパルスの処理を実施します。パルスを送受する位相を制御をして波面を制御し、送受波器は固定したまま対象空間全体に仮想化された結像系の像を動かすことですみやかに対象空間のエコー画像を得ます。

電磁波や音波などの波動を利用したセンシングでは、広がりのある空間に存在する対象を隈なく走査しなければなりません。センサデバイスの配置や走査センシング機能が仮想化したデータ処理と融合しており、知能化センサの進んだ姿と見ることが出来ます。

3.センサ知能化によるセンサシステムの機能向上

上に示した段階を踏んで進歩してきたセンサの知能化技術が成熟するに従いハードウェアが仮想化し、知能化技術がセンシング機能と融合してシステムを構成します。ここに挙げた知能化の成果の共通のメリットは結果が速やかに得られることでした。システムの高度化、複雑化が進むほど時間短縮効果の価値が当然高くなります。

                  

4.センサ知能化による人との関係の変化

センサの知能が人と機械との関係をとりもつ役割を果たすようになった事実を例示します。
さらにセンサの知能化を進める機能が人と機械の関係を深化させる事象を学習し、人の意志を洞察する方向に進みます。これは文明における人と機械との関係を大きく改める変化で、文明の一層の高度化や発展を実現することになると予想されます。

4.1 センサ知能化によるマン・マシン情報交流の変化
人はセンサが何を実行しようとするかはおよそ理解できます。センサの出力や、それによって起動されるシステムの挙動を見れば理解できるからです。その種の動作が繰り返しセンサ側に伝達された結果、センサは知能化するに従い、センサが学習した結果が人の意図と一致していればよいですが、もし、もしそうでなければ、人は自身の意思をセンサを通してシステムに伝え、あるいは設計の段階でセンサの知能の意図や行動を変化させることが出来ます。一方、このような情報交流を通じてセンサは人が何を望んでいるかを学習できるようになります。すなわちセンサの知能の中で、AIに相当する役割の実行部分は、人の行動と与えられた指示を教師の指示として学習し、指示に共通する特徴を把握するのです。

4.2 センサ知能化による人に寄り添うシステムの誕生
学習の結果、センサが人の表情や行動などの表象から意志を理解し、それを実現する方向にシステムを駆動することで、人の希望に合わせることが出来るようになります。過去においては、人がセンサの原理や構造を学び、センサを駆動させる機械の都合に合わせてきましたが、このように知能化が進んだ段階で、センサが人の意向を理解し、センサが駆動するシステムが人の都合に合わせられるようになるのです。

郵便番号の自動読み取りと郵便の仕分けシステムを実例としてあげましょう。対象は7桁の固定された枠内に書き込まれる手書き数字です。最初は識別率が低いですが、個性の強い手書き字体を人の指導によって学習した結果識別できるようになります。一度手書き文字に慣れれば、人が遠く及ばない速度で読み取り、郵便物の仕分けを行えます。機械が人の癖を学習し、人に合わせた例と言えるのではないでしょうか。さらに、近年宛先を印刷したラベルを張り付けて表示する例が増えました。郵便番号が指定の枠に記入されない場合です。そのような場合でも宛名面に書かれた7桁の数字を郵便番号と判断して読み取ります。

その仕分けの機械は番号を0.1秒で読み取り、1時間に4万通の郵便を仕分けています。
宛先の郵便局に送られた郵便物は地域ごとに仕分けられていますが、さらに番地やマンションの部屋番号を読み取り、配達員が回る道順に沿った配達順に郵便物を並べかえる機械が実現しました。センサの知能が人の仕事の手順に合わせている例と言えるでしょう。

車のドライビング・ポジションにおいて、シートバックの角度、座高の高さ、ステアリングホイールの位置や角度など、ベストの組み合わせは個人により微妙に異なります。そしてそれらが車の運転しやすさや、快適性、安全性などを支配します。 ベストポジションを個人ごとにセンサシステムが記憶し、運転者が交代しても、それぞれの位置に自動調整できるシステムが実用になっています。機械が人の好みに寄り添い、人の希望に合わせている例です。

5.むすび

AIやネットワーク技術の進歩を取り入れ、知能化が加速されます。その結果、センサの知能化の進歩が機械と人との関係を発展させます。センサの知能が人の知能の働きの一部を実行することで、センサ情報の伝達と理解が大幅に高速化でき、人の負担を減らせます。長い間人が機械の構造や動作を理解し、機械の都合に合わせてきましたが、機械がセンサにより人の意向を認識し、機械が人に合わせるように変わりつつあります。人と機械の関係がセンサにより新しい時代に入ったと見ることが出来るでしょう。


参考文献

1) 山﨑弘郎 著  センサ工学の基礎 第3版 オーム社 (2019)

【著者紹介】
山﨑 弘郎(やまさき ひろお)
東京大学 名誉教授
(公財)大河内記念会 理事長

■略歴

  • 1956年 東京大学工学部応用物理学科卒業、横河電機㈱ 入社
  • 1972年 工学博士(東大) 東大工学部講師(非常勤)兼任
  • 1974年 横河電機 退社
  • 1975年 東京大学大工学部 計数工学科 教授 就任
  • 1985~88年 東大付属図書館長  併任
  • 国立大学図書館協議会会長 就任
  • 1989年度 計測自動制御学会 会長
  • 1993年 東大定年退官  横河電機 再入社
  • 常務取締役 技術全般管掌  就任
  • 航空宇宙特機事業部担当 品質保証部門担当
  • 1995年 横河総合研究所 代表取締役 会長  就任
  • 2000年 同 退任
  • 学会 計測自動制御学会(名誉会員)、電気学会、IEEE(Fellow), ISA 会員
  • 現職 公益財団法人 大河内記念会 理事長

■主な受賞
1965年 大河内記念技術賞 固体回路化エレクトロメータの開発
1981年 大河内記念技術賞 カルマン渦流量計の開発と実用化
1992年 島津賞      自己調整機能を持ち知能化計測システム
1997年 科学技術庁長官賞 渦流量計の開発
1998年 紫綬褒章     渦流量計の開発
2000年 電気学会 業績賞 知能化センシングシステムの研究
2011年 計測自動制御学会 功績賞

大阪産業技術研究所 和泉センターにおけるオープンイノベーション事例(1)

地方独立行政法人
大阪産業技術研究所
櫻井芳昭
村上修一、喜多幸司
斉藤 誠、中本貴之

1.緒 言

地方独立行政法人大阪産業技術研究所(大阪技術研、https://orist.jp/)は、大阪府および大阪市が設置した公設試験研究機関であり、大阪府和泉市に本部・和泉センター、大阪府大阪市に森之宮センターが置かれ、研究部、チーム等を合わせ、14の技術支援グループが設けられています。

これらの技術支援グループは、企業ニーズにマッチした、生活に役立ち、環境にやさしい先進的な材料および新技術の開発に加え、開発を支える評価および解析技術の構築に取り組んでいます。とくに、ものづくり産業・技術の創成および維持に貢献するため、ものづくり企業が抱える技術的課題に対し、共に悩み、考え抜き、解決を図っています。さらに、ものづくり企業が求める基盤技術力の向上や高付加価値製品の開発をベースにした新産業創出への支援を積極的に進めています。

技術支援活動の多くは、ものづくり企業からの技術相談業務に加え、技術支援グループが持つ研究シーズ・成果のものづくり企業への積極的な導入が実現できる独自体制(オープンイノベーション)の中で実施しています。同時に、設置者である大阪府および大阪市と同等レベルの徹底した情報管理体制も確立できています。

この当所のオープンイノベーション体制を活用し、多くの成果に繋げているものづくり企業も多数出てきており、本レポートでは、「DXに欠かせないIoT技術に資するデバイス技術」、「快適さをあらわす指標の一つである『におい』評価からのものづくり」、「カーボンニュートラルに貢献する蓄電池技術」、および「これまで作製が不可能、または困難だったカタチを実現できる積層造形技術」に係る4つの開発事例について紹介します。これらの事例を参考に、大阪技術研とのオープンイノベーションの導入を通じ、自社にはないリソースを使うことで、成果を産み出し、新しい価値の創造が実現できることを少しでもご理解いただければ幸いです。


2.MEMS技術によるIoTデバイスの開発

村上 修一

図2-1 MEMS技術を活用した研究開発フロー

2-1.はじめに
電子デバイス研究室では、高機能性薄膜作製・評価技術とMEMS技術を主軸にして企業、大学等への技術支援、研究開発業務を行っている。ここでは、MEMS技術を活用したセンサ、環境発電素子などIoTデバイスの研究開発について紹介する。当研究室では企業、大学等向け研究開発型MEMSファンドリ拠点として、伴走型技術支援ができるように体制を整えている。同時に、独自のシーズ技術や長年積み重ねてきた豊富な経験、ノウハウを基に技術支援のレベルの高さを維持している。図2-1にMEMS技術を活用した研究開発のフローを示している。同図のように、企業あるいは大学と当研究室とで、基本技術、ニーズ、シーズ、アイデアを持ち寄り、当研究室内で設計・試作・評価を一貫して行う。これを数回繰り返して、ある程度の成果が得られると実装、信頼性評価、量産体制の構築と製品化へのステップに進むことになる。当研究室では主に、設計・試作・評価を担当し、実装、信頼性評価、量産においては後方支援に回ることが多い。半導体微細加工技術を主とした集積回路分野では設計と製造工程それぞれ標準化されていて、それぞれに携わる人がある程度分離しているが、一般的にMEMS分野では設計や製造工程の標準化が進んでいないため、新規に同分野に参入する企業にとってハードルは高い。したがって、膨大な経験、ノウハウを有し、伴走型支援が可能な当研究室の存在意義は大きい。

図2-2に当研究室が有する装置群を示している。MEMSプロセスにおいて、設計から試作、評価まで一貫して実施することが可能である2-1)。特に、フォトマスク作製装置を保有しているので、迅速な研究開発が可能であることが特長である。今までに、企業や大学と、赤外線センサ、超音波センサ、圧力センサ、流量センサなどのセンサデバイス、圧電型振動発電素子など環境発電デバイス、ホログラフィ技術を使った光学素子、Brain-Machine-Interface (BMI) などの研究開発を行ってきた。今回、事例として、熱式流量センサ[コフロック株式会社(京都府京田辺市)、京都大学との共同開発]、圧電型振動発電素子とその応用[株式会社ダイヘン(大阪府大阪市)、大阪府立大学との共同開発]について紹介する。

図2-2 大阪技術研究所が保有する主要なMEMS関連装置

2-2.熱式流量センサ
熱式流量センサは図2-3に示すように、流体であるガスが通過する細い金属管に温度センサ兼ヒータとなるワイヤを上流側と下流側に巻線にして温度センサ兼ヒータを形成する。ガスが流れているとき温度分布は中央に対して対象であるが、ガスが流れると上流側の温度センサ兼ヒータの熱がガスにより奪われ、下流側のそれにその熱を与えるので、温度分布に偏りが生じ、それぞれの電気抵抗が変化する。その電気抵抗の変化からガス流量を算出する。しかしながら、従来の巻線型では巻線部の熱容量が大きく熱絶縁性が低いため、微小流領域において高精度で、高速応答、低消費電力でセンシングすることが困難である。

そこで、MEMS技術を活用して高精度・高速応答でかつ低消費電力な熱式流量センサの開発を行った。まず、熱式巻線型流量センサを平面的な手法で設計し直した。図2-4にMEMS流量センサの断面を示す。数100 μm平方程度の大きさで厚さ1 μm程度のダイアフラムに金属薄膜を埋め込み、温度センサ兼ヒータを形成した。極めて微小なダイアフラムに埋め込んだことで、スケール効果により熱容量が小さく、熱絶縁性の高い温度センサ兼ヒータとなった。これにより、高感度でかつ高速応答、低消費電力な熱式流量センサを実現することができた。当研究室では主に、設計・試作と、基本的な電気特性の評価を担当した。試作においては、当研究室内のMEMS関連装置を使った。ダイアフラム形成においては、半導体熱処理装置、LP-CVD(Low Pressure-Chemical Vapor Deposition)装置、対向ターゲット型スパッタ装置による製膜、フォトリソグラフィ、ウェットプロセスによるシリコン異方性エッチングを行った。また、温度センサ兼ヒータや配線、電極パッドの形成においては、マグネトロンスパッタ装置による製膜、フォトリソグラフィ、プラズマエッチングなどによる微細加工を行った。この後、コフロック株式会社にて実装、流量センサとしての詳細な評価、信頼性評価を経て、製品化を実現した。

図2-3 従来の熱式巻き線型流量センサ
図2-4 MEMS流量センサの断面図

2-3.圧電型振動発電素子とその応用
近年、IoT社会実現に向けて建築物,物流,車両,酪農,農業,医療などの広い分野でセンサを大量に配置するセンサネットワークが高い関心を集めているが、センサ向けの自立型電源の確保が課題となっている2-2, 3)。このような事情から、身近な環境に存在する微小なエネルギー源から電力を得る環境発電が注目を集めている。原子力発電、火力発電などの代替としてではなく、化学電池に替わる低環境負荷の小型電力源として期待されている。環境発電のエネルギー源、発電方式には多種多様あり、それぞれ一長一短ある。圧電型振動発電に着目し、大阪府立大学との共同研究を実施した。

一般に圧電体薄膜としてPb(Zr,Ti)O3 (PZT)薄膜が最も用いられているが、非鉛強誘電体BiFeO3(BFO)薄膜に注目し、世界初となるBFO薄膜搭載の圧電型振動発電素子を試作した2-4)。図2-5にその模式図を示す。片持ち梁上にBFO圧電体膜が製膜されたユニモルフ構造で、片持ち梁先端に共振周波数の調整と発電効率を高めるための錘を形成している。片持ち梁が外部から加振され共振すると圧電体膜に歪みが発生し、圧電効果により分極が生じる。これに伴い電圧出力が発生し電力として回収して発電素子として機能することになる。本研究では、MEMSプロセスにより、シリコンからなる片持ち梁上にBFO圧電体膜を形成し、片持ち梁先端にシリコン・バルクを残す形で錘を形成した。図2-6に試作した圧電MEMS振動発電素子の写真を示す。現在までに、10.5 μW∙mm-2∙G-2 もの高い発電能力を得ている。錘の質量(m)、機械的品質係数(Qm)、共振周波数(?)、振動源の加速度(A(peak))を用いて??2?/8?で与えられる振動発電素子の最大理論発電量と比較すると、得られた発電量はその 80 %に相当し、高い発電効率を達成している。なお、BFOの他の圧電材料PZT、AlN、(K,Na)NbO3(KNN)、ZrOを用いた発電素子と比較して同等あるいは同等以上の世界最高レベルの発電性能を示している2-5)。現在も、BFO圧電体膜の高性能化、設計技術の進展などにより、更なる発電性能の向上を目指している。

図2-5  BFO薄膜搭載圧電型振動発電素子
図2-6 試作した圧電MEMS振動発電素子

一方で、圧電MEMS振動発電素子の研究開発の過程で培った設計技術、電力回収技術等2-6)を基に、株式会社ダイヘンと大阪府立大学とで磁界振動発電素子の共同開発を行った。磁界振動発電とは、交流電流が流れる電線の周囲形成される交流磁界中に永久磁石を置くと振動し、その振動エネルギーを圧電効果により電力に変換するものである2-7)。図2-7に磁界振動発電の発電原理と素子構造の模式図を示している。図2-8に発電量の電力線に流れる電流依存性を示している。電線電流10 Aで発電量1 mWオーダーの発電性能が得られており、センサ向け自立型電源としては十分な電力が得られることを実証した。特徴としては、1)電線の横に設置するだけで工事が不要であること、2)電線電圧に無関係であることから少品種で対応可であること、3)通常電線に流れる電流の周波数は商用電源の周波数(東日本50 Hz、西日本60 Hz)は一定であることから安定した発電量が得られることなどが挙げられる。応用分野も広く今後に期待できる。

図2-7 磁界振動発電の発電原理と素子構造
図2-8 磁界振動発電の発電原理と素子構造

謝 辞
圧電MEMS振動発電素子の開発は、大阪府立大学 吉村武准教授との共同研究で、NEDO平成23年度先導的産業技術創出事業(若手グラント)および、神戸大学、大阪府立大学、兵庫県立大学との共同研究で、JST CREST (JPMJCR16Q4、JPMJCR20Q2) の支援を受けて実施した。

参考文献

2-1) https://orist.jp/kenkyu-bu/denshi-kikai/micro.html, 参照日:2022-01-11.

2-2) 例えば、総務省資料 https://www.soumu.go.jp/ict_skill/pdf/ict_skill_1_1.pdf, 参照日:2022-01-11.

2-3) 例えば、エネルギーハーベスティングコンソーシアム資料 https://www.nttdata-strategy.com/ehc/about/index.html, 参照日:2022-01-11.

2-4) T. Yoshimura, S. Murakami, K. Wakazono, K. Kariya, N. Fujimura, Appl. Phys. Express 6, 051501 (2013).

2-5) M. Aramaki, K. Izumi, T. Yoshimura, S. Murakami, K. Satoh, K. Kanda, N. Fujimura, Jpn. J. Appl. Phys. 57, 11UD03 (2018).

2-6) 吉村武、村上修一、第3章2圧電、監修 桑野博喜、竹内敬治、エネルギーハーベスティングの設計と応用展開、シーエムシー出版(2015)、32-41.

2-7) T. Yoshimura, K. Izumi, Y. Ueno, T. Minami, S. Murakami, N. Fujimura, Jpn. J. Appl. Phys. 58, SLLD10 (2019).

【著者紹介】
村上 修一(むらかみ しゅういち)
1997年3月大阪府立大学大学院工学研究科博士後期課程修了。
1997年4月より倉敷紡績株式会社勤務を経て、2000年4月より、大阪府立産業技術総合研究所(現大阪産業技術研究所)にてMEMSデバイス、有機エレクトロニクス、高機能性薄膜材料の研究開発に従事。
現在、同所、電子・機械システム研究部、電子デバイス研究室長(主幹研究員)。博士(工学)。


3.においセンサアレイによる使用済みおむつ保管袋の評価

喜多 幸司

図3-1 におい識別装置の外観

3-1.はじめに
化学物質が嗅覚を刺激することにより感じる「におい」を数値化(可視化)するために、複数のガスセンサ(金属酸化物半導体、水晶振動子、およびバイオセンサ等)を配列したセンサアレイが開発されている。当所が保有するにおいセンサアレイ(株式会社島津製作所、におい識別装置FF-2020Sシステム、図3-1)は、10個の金属酸化物半導体ガスセンサより得られる信号強度を解析することにより、数値もしくはパターンとして、においの全体像を客観的に表現することができる3-1)。標準付属ソフトでは、絶対値表現解析を行うことにより、表3-1に示す島津製作所が指定する9種類の基準ガスに対するサンプルガスのにおいの数値化を行っている。「臭気指数相当値」は、人間の感覚としてのにおいの強さを、悪臭防止法で規定されているにおいの強さを表す臭気指数に相当する値で予測し、示したものである。

表3-1 スタンダードモードに用いる9種類の基準ガス
基準臭 基準ガス 嗅覚閾値濃度(ppm)
硫化水素系 硫化水素 0.00041
硫黄系 ジメチルジスルフィド 0.0022
アンモニア系 アンモニア 1.5
アミン系 トリメチルアミン 0.000032
有機酸系 プロピオン酸 0.0057
アルデヒド系 ブチルアルデヒド 0.00067
エステル系 酢酸ブチル 0.016
芳香族系 トルエン 0.33

3-2.におい識別装置
におい識別装置は、ガスクロマトグラフと比較して、複合臭気のにおいの質および強さを数値化可能であるため、当所では、各種樹脂製の保管袋(使用済みおむつ、大便、簡易トイレ用凝固剤、吐瀉物、および食品等の用途)のガスバリア性(臭気透過性)評価に活用している。ここでは、混合ガスとして、表3-2に示すISO 17299 Part 52)に規定されている模擬排泄臭ガスを用いるガスバリア性の評価について事例を紹介する。

表3-2 模擬排泄臭ガスの臭気物質および濃度3-2)
臭気物質 ガス濃度(ppm)
アンモニア 30
酢酸 50
硫化水素 4
メチルメルカプタン 8
インドール 3

3-3.ガスバリア性の評価を始めるきっかけおよび評価方法の構築と結果
ガスバリア性の評価を始めるきっかけは、2015年に東洋紡STC株式会社からの、開発した使用済みおむつ保管袋(紙おむつ処理袋 ひねってポイ®)の性能評価依頼であった。当時、樹脂袋の排泄臭透過性を評価する方法および規格が見当たらなかったため、評価系の構築から始めた。袋内に注入する臭気ガスとしては、2014年に示すISO 17299 Part 5が規格化されていたためすぐに決まったが、課題は袋内での密閉方法であった。

図3-2 評価時の様子

開発品は、ひねり性に優れており、ギュッと口をひねるだけで、簡単に口を閉じることができる利点を有していたが、ひねり方によって密閉性に差異が生じる可能性を排除するため、袋にガス注入口(スリーブ)を取り付けた後、開口部をヒートシーラーで熱融着し、約2 Lの試料バッグを作製することにした。次に、試料バッグに取り付けたガス注入口より臭気ガス(表3-2に記載の模擬排泄臭の10倍希釈ガス)を1 L注入した。この試料バッグを別の空の5 Lサンプリングバッグ(ジーエルサイエンス株式会社、スマートバッグPA AA-5)内に挿入し、さらに5 Lサンプリングバック内に高純度窒素ガス2 Lを注入後、密閉、静置した。評価時の様子を図3-2に示す。所定時間後に、5 Lサンプリングバッグ内の窒素ガスを、におい識別装置により測定し、臭気指数相当値を求めた。開発品および他社比較品について、試験開始から1、2、および3日後の測定結果を表3-3に示す。なお、評価用サンプリングバッグに注入した混合ガスの臭気指数相当値は35であった。表3から、臭気指数相当値の増加が小さい開発品のガスバリア性が高いことがわかった。

表3-3 臭気指数相当値(無単位)の測定結果
経過時間 開発品 他社比較品
アンモニア 3 0
試験開始時 3 3
1日 4 24
2日 20 28
3日 24 30

3-4.おわりに
この評価事例が商品紹介のWEBサイト3-3)に当所名を添えて掲載されたことや、新技術情報として認められた3-4)ことで関連企業に認知された結果、当該評価の依頼件数および金額が、近年着実に増加している。

参考文献

3-1) 橋本紅良、匂いのセンシング技術、シーエムシー出版(2020)、67-68.

3-2) ISO 17299、Textiles - Determination of deodorant property-、Part 5:Metal-oxide semiconductor sensor method (2014).

3-3) https://olyester.net/hinettepoi-data/index.pdf, 参照日:2022-01-11.

3-4) https://orist.jp/content/files/technicalsheet/18-16.pdf, 参照日:2022-01-11.

【著者紹介】
喜多 幸司(きた こうじ)
1997年4月より、大阪府立産業技術総合研究所(現大阪産業技術研究所)にて、消臭・脱臭・芳香製品の性能評価および開発、ニオイ分析、VOC分析に従事。
2001年3月大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了。
現在、同所、高分子機能材料研究部、生活環境材料研究室長(主幹研究員)。博士(工学)。

次回に続く-

フラウンホーファー研究機構・日本代表部の活動及びセンシング関連研究の紹介(1)

林田一浩
フラウンホーファー日本代表部
アシスタントマネージャー

1.はじめに

フラウンホーファー研究機構はヨーロッパ最大の応用研究機関であり、ドイツ国内に点在する75の研究所および研究ユニットでは「社会に役立つ実用化のための研究」をテーマに、あらゆる科学技術分野において応用研究を行っている。フラウンホーファー日本代表部はフラウンホーファー研究機構の日本における窓口として、日本企業等の研究パートナーのニーズに応えるべく多彩なサービスを提供している。また、センシング分野ではResearch Fab Microelectronics Germany (FMD)の活動が近年特筆される。フラウンホーファー研究機構の概要、日本での活動やご協力可能性に加え、FMDの概要やセンサシステム、MEMSアクチュエータ関連の研究内容を紹介する。

2.フラウンホーファー研究機構

フラウンホーファー研究機構は、産業に直接役立ち、社会に貢献する応用研究を行う研究機関として1949年に設立された。フラウンホーファーの名称は、太陽光のスペクトルにおけるフラウンホーファー線を発見した科学者であり、発明家や企業家でもあったヨーゼフ・フォン・フラウンホーファー(1787 – 1826)にちなんでいる。

図1 ミュンヘンのフラウンホーファー研究機構本部(©Kai-Uwe Nielsen / Fraunhofer)

現在では約3万人のスタッフと、ドイツ全土に75の研究所や研究ユニットを抱える欧州最大の応用研究機関である。年間研究予算は総額28億ユーロ(約3450億円)にのぼり、そのうち24億ユーロ(約2922億円)が委託研究により賄われている。委託研究の約70%以上は、企業からの委託研究やドイツ連邦・州政府、EU等の財源による公的プロジェクトである。企業からの委託研究収入、公的プロジェクト収入、ドイツ連邦・州政府からの拠出金がそれぞれ約3分の1ずつを占めており、これがいわゆる「フラウンホーファーモデル」の特徴である。このように、公的資金と民間資金の双方によって支えられる「半官半民」の非営利団体(NPO)である。各研究所レベルでは、研究・運営面で研究所毎に独立した運用がなされており、委託研究のうち約25%~55%を産業界の企業からの委託研究が占める構造になっている。企業からの委託割合が多いほど、成績が良く独立性の高い研究所として評価される。社会に貢献する応用研究を行い、経済の競争力を強化するのがフラウンホーファー研究機構のミッションである。

全75の研究所や研究ユニットでは、主に6分野(健康・環境、安全・セキュリティ、モビリティ・交通、エネルギー・資源、生産・サービス、コミュニケーション・知識)に関するさまざまな研究を行っている。2021年には「フラウンホーファー戦略的研究領域(Fraunhofer Strategic Research Fields)」を策定し、人工知能(AI)、デジタルヘルスケア、バイオエコノミー、資源の効率化・気候技術、水素技術、量子技術、次世代コンピューティングの7分野を重点的に取り組むべき研究領域として位置付けた。

各研究所は基本的に全10のフラウンホーファー・グループのうち研究分野に関連する1グループに所属している。センシング関連でも、マイクロエレクトロニクス・グループに11研究所が所属する。また、約20の研究テーマ毎に関連する研究所がグループ横断的に所属するフラウンホーファー・アライアンスもあり、さまざまな専門知識を有する研究所や研究部門が連携している。ただし、先述のように各研究所は研究・運用面でそれぞれ独立しているため、グループやアライアンスのそれぞれで各研究所間の健全な競争も見られる。

大学における基礎研究と産業をつなぐ「橋渡し」としての機能もある。例えば、フラウンホーファー研究所の所長は基本的に大学教授を兼務しており、学術界とも強く融合している。このため、学生や大学院生が大学に籍を置いたまま、研修や博士論文執筆のために研究所に勤務することもある。また、研究所に勤務する学生が民間企業からの委託研究を通じて産業界との協業経験を積み、のちに民間企業に進んでフラウンホーファーへの研究委託元になることもある。人材流動性も比較的高く、例年約10%の研究者・科学者が産業界や学界に移り活躍している。さらに、産業界には委託研究という形で優れた科学的知見を組み合わせたニーズ主導の研究開発サービスを提供している。このように、応用研究を通じて学術界と産業界の間の「イノベーションギャップ」を橋渡しするのがフラウンホーファーの重要な役割である。図2のように、基礎研究を1とし、量産を9とする技術成熟度レベル(Technology Readiness Level :TRL)で見ると、主にレベル4~6前後の研究を手掛けることが多い。

図2 「イノベーションギャップ」を橋渡しするフラウンホーファーモデル(© Fraunhofer)

3.日本代表部の活動

図3 フラウンホーファー日本代表部
(© Fraunhofer)

フラウンホーファー日本代表部は2001年、フラウンホーファー研究機構の日本における拠点として東京・赤坂のドイツ文化会館内に開設された。開設以来、日本の企業、大学および公的機関等の研究パートナーとドイツの各フラウンホーファー研究所をつなぐ窓口として、次のようなさまざまな活動を行っている。

  • 研究分野と適合する研究所のマッチング
    フラウンホーファー内の幅広いネットワークを活用し、お客様の委託研究ニーズに最も合う技術や研究所、研究者をご紹介している。
  • NDA、契約締結などの段階におけるサポート
    日本のお客様とドイツの研究所との委託研究プロジェクトサポートの豊富な経験に基づき、NDAや委託研究契約締結時のサポートを提供している。
  • テレビ会議、電話会議での研究プロジェクトのサポート
  • ドイツの研究所に訪問するお客様のサポート
    具体的な委託研究プロジェクトに関してドイツのフラウンホーファー研究所をご訪問されるお客様向けに、研究者とのアポイントメントのアレンジを行っている。
  • 日本での展示会やワークショップ・セミナーなどを通じた情報発信
    フラウンホーファー各研究所ではワークショップやセミナー の開催のほか国内展示会への出展を行い、ドイツから届いた最新研究開発動向のご紹介や研究者と直接議論できる場を 提供している。
  • ウェブサイトやニュースレターなどでの情報発信
    ウェブサイト(www.fraunhofer.jp)や月一回配信のニュースレターを通じて、ドイツから届いたフラウンホーファー関連のニュース、各研究所で行われている最新の研究開発成果や、日本でのイベント情報、展示会出展情報等を発信している。

また、2012年には東北大学内に「NEMS/MEMSに関するデバイスおよび製造のためのフラウンホーファー・プロジェクトセンター」が設置され、フラウンホーファーENAS(エレクトロ・ナノシステム研究所)と東北大学工学部の研究者がNEMSやMEMSに関するデバイス、その製造について共同研究を行っている。2018年には東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)とフラウンホーファーENASとの間で学術交流協定が更新され、より緊密な連携のもとに研究協力が進行中である。

現在、フラウンホーファーは日本国内の企業様等より年間約21億円の委託研究を頂いている。近年のオープンイノベーションへの関心の高まりを受け、フラウンホーファーと日本のお客様との関わりも年々増えている。コロナ禍前の2019年には、約330件の問い合わせと100件のフラウンホーファー研究所への視察訪問があった。

日本企業等のお客様との主なご協力可能性としては、図4に示す4つのパターンがある。フラウンホーファーでは、お客様のニーズに応じた委託研究を主に行っている。お客様から日本代表部に研究希望テーマや内容等の問い合わせを頂き、ご関心に適合する研究所をマッチングしてご紹介している。プロジェクトベースの契約が基本で、内容や期間はケースバイケースであるが、半年~1年前後のプロジェクトも多い。また、委託研究の枠内で委託元の研究者がフラウンホーファー研究所に一定期間滞在する形で共同研究を行うこともあり、日本企業研究者の受入実績もある。さらに、コンサルティングや市場調査、ワークショップの形でプロジェクトを受託するケースもある。

図4 フラウンホーファーとのご協力可能性(© Fraunhofer)

次回に続く-


【著者紹介】
林田 一浩(はやしだ かずひろ)
フラウンホーファー日本代表部 アシスタントマネージャー

■略歴
2016年、慶應義塾大学法学部政治学科を卒業。大学卒業後、フラウンホーファー日本代表部に勤務。
2018年からアシスタントマネージャーとして、委託研究プロジェクトサポート・コーディネートおよび広報を担当。

不確実性とグローバルな変動の時代に対応するSRIのイノベーション-日本の新しい可能性-(1)

Youssef Iguider
SRIインターナショナル日本支社

SRIインターナショナルについて

SRIインターナショナルについては聞いたことがないかもしれないが、コンピューターのマウスを使ったり、ネットサーフィンをしたり、もしくはApple社のiOSのSiriやGPSナビゲーションは使ったことはあるだろう。これらを体験したことがある人は、SRIが原点であるイノベーションに触れているのだ。

SRIインターナショナルは、世界に影響を与えた多くの画期的な技術ソリューションの発明や設計を背後から支えている。世界初のコンピュータマウス、世界初のインターネットプロトタイプであるARPANET、世界初の手術用ロボットであるDavinci、世界初のバーチャルパーソナルアシスタントであるSiri、世界初の自律走行オートバイであるMOTOBOT、世界初の自動化学医薬品発見システムであるSynFini、世界初のリアルタイム拡張現実(AR)技術、世界初となる医療への超音波の応用、世界初のオンラインバンキング用ソリューションなど、世界を変える多数の技術革新に関わっており、人々の安全と健康、そして生産性を今まで以上に発展することに寄与している。

米国シリコンバレーの中心部に本社を置くSRIインターナショナル(旧Stanford Research Institute)はミッションを掲げた75年の歴史を持つ非営利の独立技術研究開発機関であり、顧客と共に最先端技術を実用化し、ラボから市場へと送り出すことを支援している。

SRIのビジネスモデル

SRIのビジネスモデルは非営利の組織であることから、アイデアの創出からエンドユーザーまでお客様を支援するという独自性のあるモデルとなっている。SRIは重要な課題を解決できる発明を生み出し、その発明が人々やコミュニティに確実に届いて恩恵をもたらすよう、これを応用して実用化して市場へと送り出す。SRIは委託研究開発のプロジェクト、商業化にかかわる業務、ソリューションの事業化によって収益を得ており、この収益はSRIの能力や施設、スタッフに再投資することで自社の使命・ミッションを推進するとともに顧客やパートナーのニーズに応え続けている。SRIは技術のライセンシングやベンチャー企業のスピンオフ、新製品の為のソリューションによって、イノベーションを市場にもたらしているのだ。

SRIが注力するテクノロジーの領域

SRIは政府機関や産業界の企業と協力し、技術的・科学的分野での幅広いコラボレーションを通じて、真の技術革新を生み出し、顧客に高い価値を提供することを目指している。SRIが注力する主なテクノロジーを以下にあげる。

  • 人工知能(AI)と機械学習(ML):SRIの人工知能センター(Artificial Intelligence Center:AIC)は自律的に、あるいは人間と協力して学習・知覚し、世界と対話するインテリジェンスシステムの構築に向けて、高度なメソッドを開発している。
  • コンピュータビジョン:SRIのCenter for Vision Technologies(CVT)はマシンが見て理解し、記憶できるようなコンピュータビジョンについて、最前線の開発を手掛けている。SRIのエンドツーエンドの映像や処理技術によって、ロボットや自動車、人間が装着するタイプのシステムなど、現実世界の応用事例にてコンピュータビジョンが機能している。
  • ロボティクス、センサ、デバイス:SRIのロボティクスラボは最先端のロボット工学を推進しており、感知して考え、行動できるスマートシステムの構築に取り組んでいる。SRIの研究開発チームによって、新しい自律機能や革新的なコンポーネントの開発や世界初のプロトタイプの作成にかかる時間が短縮されている。
  • 声と自然言語: SRIのSpeech Technology and Research(STAR)ラボは音声技術を手掛ける世界有数の組織として認識されている。STARの音声・言語に関するテクノロジーはコンピューターのアプリとの対話をより自然なものにするだけでなく、私たちの意図や健康、感情の状態に関する実用的な情報を豊富に提供している。
  • バイオメディカルサイエンスとバイオメディカルのR&Dサービス: SRIのバイオサイエンス部門であるSRI Biosciencesは医療に対するアンメットニーズ(充足されていないニーズ)の解消に向けて、次世代の医薬品や診断薬、デバイスなどを提供している。
  • アドバンスト・イメージング・システム(最先端画像システム): SRIのIntegrated Systems and Solutions Groupは地上や宇宙空間における最も過酷な条件でも耐えうる高度なイメージングソリューションと複合イメージャーの設計・開発を手掛けている。
  • サイバーメソッドとフォーマル・メソッド: SRIのComputer Science Laboratory(CSL)は、人々の生活のすべてに影響が及ぶ重要なコンピュータシステムの構築・評価・防御を担っている。
  • 教育と学習: SRIの教育部門は質の高い研究を実施しており、データとエビデンスの活用を支援するとともに教育現場や教育政策、生徒の学習をより良いものにするためのツールを開発している。
  • クオンタム(量子): SRIは応用量子科学の世界的なリーダーであり、イノベーターとして台頭している。米国の量子経済開発コンソーシアム(Quantum Economic Development Consortium:QED-C)はSRIインターナショナルがその運営を手掛けている。

次回へ続く―


【著者紹介】
Youssef Iguider(イギデル ユセフ)
SRIインターナショナル 日本代表 兼
ビジネス デベロップメント担当バイスプレジデント

■略歴
約30年にわたりITC業界の日米トップ企業にて勤務し、技術革新のさまざまな分野で、シリコンバレーと日本の架け橋として25年以上の経験を有す。現在はSRIインターナショナルの日本代表として、日本の産学官協力を通して大型のグローバルパートナーシップを組み、SRIのイノベーションを事業化することを主な責任としている。
2007年SRIインターナショナル入社。前職ではDatacraft Japan ソリューションセールスディレクター、Cisco Systemsプロダクトマーケティングマネージャー、Panasonicでは多様なエンジニア職を歴任。オデッサ州立工科大学 情報工学修士号取得。国立大学法人電気通信大学 情報工学 博士課程修了。英語、日本語、フランス語、ロシア語、アラビア語が堪能。

東京ロボティクス、全身人型ロボット『Torobo』の性能動画を公開

東京ロボティクス(株)は、新型の全身人型ロボット『Torobo』の性能動画を公開した。

Toroboは、人と共存するロボットの研究を加速するために開発された全身人型ロボットで、人間のように重たい物を持ち上げる力を持ちながら、関節を柔らかく制御することで、人や環境、対象物との接触を安全に行うことができる。JSTムーンショット型研究開発事業(目標3:一人に一台一生寄り添うスマートロボット)における早稲田大学AIRECプロジェクトにおいても、一部改造して使用されている。 早稲田AIRECプロジェクト:https://airec-waseda.jp/

■人とのインタラクション
Toroboは、各関節に高分解能トルクセンサを搭載しており、人との接触において柔らかく動作できるため、人との積極的なインタラクションが可能。

■高度な力制御
カルテシアンインピーダンス制御により高度な力制御を実現。X,Y, Z軸のそれぞれで柔らかさを変化させることや、手先位置を固定したまま姿勢変更を行うことができる。

■産業用水準の高い剛性と可搬重量
産業用としても通用する高剛性・高出力の機械設計を行っており、振動の抑制と人並みの重量物の把持が可能。

■胴体と肘の接触回避
冗長自由度をうまく活用し、胴体と肘が接触しないような干渉回避制御を行っている。

■ダイレクトティーチングからの軌道の自動生成
Dynamic Movement Primitivesという手法により、一つの動作を教示した後に、スタート位置、ゴール位置、軌道、および遷移時間をある程度変化させてもタスクを遂行できるような仕組みを実装している(社内研究開発用)。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000077249.html

空調、換気、除菌、脱臭、加湿機能を搭載した業務用空質空調連携システムを発売

パナソニック(株) 空質空調社は、4月1日、空調、換気、除菌機能などを一体化した、業務用空質空調連携システムを発売する。同社が持つ温度、換気・気流、除菌・浄化、脱臭、加湿の高い技術力を融合し、新たな空間価値を提供するという。

近年、新しい生活様式が定着する中で、換気や除菌など空気質への関心が高まり、とりわけ不特定多数の人が往来する非居住空間では、空質空調機器による差別化が求められている。
本システムは、空調機の温度調節機能、熱交換気扇による換気機能、同社独自技術の次亜塩素酸と新「ナノイーX(※1)」による、除菌、脱臭、加湿機能を連携させたシステム。

天井埋込形ジアイーノで、空気中を浮遊する菌・ニオイを吸引し、本体内部で生成する「次亜塩素酸」のチカラで除菌・脱臭。キレイになった空気とともに、気体状の「次亜塩素酸」を放出する。
また、新「ナノイーX(※1)」でPM2.5、花粉を抑制するほか、空調室内機内部のカビ菌の成長を抑制。さらに、静電HEPAフィルターを装備し、室内空気を循環させて集塵する。

熱交換気扇による換気では、CO2濃度に応じて換気量をコントロール。CO2が1,000 ppm以上になると熱交換気扇がブースト換気運転(※2)し、不要な時は低速の弱運転で省エネを図る。
また、業界トップクラス(※3)のAPF(通年エネルギー消費効率)(※4)を実現した空調機に、湿度による快適省エネ運転機能も搭載。当社独自の加湿量を細かく制御できる「遠心破砕加湿技術(※5)」により、冬場の乾いた空気を加湿し、設定温度を下げても、体感温度を暖かく感じるようにした。これによって、CO2センサと連動した熱交換気扇を使用しなかった場合に対して、最大52%(※6)の消費エネルギーを削減。更に、加湿に必要な水を自動給水し、省メンテナンスであるとのこと。

<特長>
1. 空調、換気、除菌、脱臭、加湿機能連携システムで、空気質をトータルコーディネート
2. 次亜塩素酸で除菌及び脱臭、新「ナノイーX」でPM2.5、花粉を抑制
3. 業界トップクラス(※3)の省エネを実現したエアコンと換気機器で、最大52%(※6)のエネルギー削減

※1:「ナノイー X」および「nanoeX」マークは、パナソニック株式会社の商標。
※2:CO2センサーで、1,000 ppmを超えると強運転する。
※3:オフィス店舗用エアコンXEPHY Eco(高効率機種)4方向カセット組合せにおいて(2022年1月31日現在)
※4:年間を通じた総合負荷と総消費電力量を算出し、効率を求めた数値
※5:高速回転するドラムから遠心方向に吹出した水滴を壁面にぶつけて微細化し、空調で加熱された空気に含ませることで加湿する。ドラムの回転数と加熱量を変化させることで加湿量を自由に制御できる。
※6:換気扇でなく熱交換気扇の活用、加湿による設定温度制御、CO2センサによる換気制御による効果
(27.3 MWh→13.1 MWh)同社シミュレーションによる。実際の効果は使用条件により異なる。

プレスリリースサイト(panasonic):
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2022/01/jn220131-3/jn220131-3.html

「PTPF™」を活用したスマートシティ化への取り組みが福岡市実証実験フルサポート事業に採択

ぷらっとホーム(株)、(同)暗号屋、福岡地所(株)の3社が連携して取り組むIoTデータ取引基盤「PTPF™」を活用したスマートシティ化のプロジェクトが、福岡市と福岡地域戦略推進協議会が実施する「福岡市実証実験フルサポート事業」に採択された。

この度「福岡市実証実験フルサポート事業」に採択された実証実験プロジェクトは、IoTデータ取引基盤のプロトコルであるPTPF™を活用し、福岡市内にあるスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next(以下fgn.)」に既に設置されたIoTデバイスデータの相互利用とデータ売買の可能性を探るというものである。
将来的には都市を超え、交通やエネルギーなど様々なデータの連携をPTPF™を通して行うことを想定しているが、まず本実証実験ではfgn. 施設内のIoTデバイスをPTPF連携してデータのやり取りを行い、自社でIoTデバイスを開発しなくともデータビジネスが可能になることを実証する。また、本実証実験を通して「データがいくらで売れるのか、どんなデータが売れるのか」など、データの価値についても検証を進める予定(※1)。
そして実証実験の発展形として、実験フィールドの拡大や、行政が保有するデータの活用検討、公共施設にあるIoTセンサの利用なども視野に入れながら、PTPF™を活用したスマートシティ化への促進に取り組みたいとのこと。
※1 データの価値検証に関して、本実証実験内では実際の金銭のやり取りは行わない予定。

■PTPF™について
PTPF™とはブロックチェーンを活用した「PTPF™プロトコル」で形成されたネットワーク。「PTPF™プロトコル」は”IoTデータの相互利用を促すプロトコル”であり、IoTデータに取引情報を付加し、データ取引を実現する。

1. IoTデータに共通言語を持たせて相互利用することが可能
各都市、各分野でバラバラにスマートシティ化に向けて進んでいたデータ活用だったが、IoTデータにPTPF™プロトコルというブロックチェーンを活用した共通言語を持たせることでIoTデータの取引が可能となり、開発コストをかけることなくあらゆる分野や都市で横断したデータの活用が容易にできる。

2. データに対価が支払われる仕組みを提供
PTPF™ではIoTデータの売買ができ、価値のあるデータに対価が支払われる。また、取引時にデータの売買に関わる各役割にレベニューシェア(※2)が行われ、デバイスメーカーがデータの収益を得ることにより、IoTデバイスの導入コストも下がる。これにより、多くのデバイスが設置でき、スマートシティ化の実現を加速するための、豊富で詳細なデータが取得可能。
※2 支払い枠が固定されている委託契約ではなく、パートナーとして提携し、相互の協力で生み出した利益をあらかじめ決めておいた配分率で分け合うこと。

3. 安心で主体的なデータ流通の実現
中央倉庫のようなデータの保管場所がなく、取引が成立するとIoTデータがリアルタイムで直接1対1で送信されるので、データがPTPF™に蓄積されることはない。加えて、個々のIoTデータが相互取引するためのブロックチェーンを使った共通言語(プロトコル)を持つことにより、データ提供者が承認しなければデータは取引されないため、データ流出や取引前での勝手なデータ利用などのリスクを防ぎ、データのプライバシーが保護された安心なデータ流通を実現するのもPTPF™が持つ大きな強みのひとつ。

上記のような特徴を持つPTPF™が実現すると、データ取引時の障壁がなくなると同時に、社会全体で共通のデータ活用が可能となることで、各都市が共同でスマートシティ化に取り組むことが出来る。さらに、データの売買に関わる各役割にレベニューシェアが行われることで、一部の企業による独占的なデータ活用の収益構造から、データの収益が分配される構造へと変わる。

本実証実験では、実証フィールドはfgn.から提供して貰い、ぷらっとホームは知財を提供、福岡地所はデータの価値及び取引の検証を行い、暗号屋はアプリの開発やPTPF™を分かりやすく社会実装するためのビジネスモデルの設計と最適化を行う予定。

プレスリリースサイト(plathome):https://www.plathome.co.jp/press-release/20220131-ptpf-fukuoka-city/

世界初、非接触・空中ディスプレイ技術をPOSレジに採用 『デジPOS』の実証実験

アスカネット(株)、神田工業(株)、(株)セブン-イレブン・ジャパン、東芝テック(株)、三井化学(株)、三井物産プラスチック(株)は、非接触・空中ディスプレイ技術を採用したキャッシュレスセルフレジ『デジPOS』の実証実験を、都内のセブン-イレブン6店舗にて、2022年2月1日(火)より順次開始する。

 一般的に空中ディスプレイは、ホテルやオフィス等の受付機、デジタルサイネージなどを中心に展開されているが、POSレジに採用した実証実験は世界初※となる。今回の技術により、レジ画面を空中に結像し、空中に浮かんだ映像をタッチパネルと同様に操作することを実現した。(画像はイメージ)
※アスカネットによる独自調べ

【役割分担】
・アスカネット:
 空中ディスプレイ用プレートの開発・製造・販売、及びPOSレジ用空中ディスプレイモジュールの共同開発
・神田工業:
 中ディスプレイモジュールの開発・製造・販売、及びPOSレジ用空中ディスプレイモジュールの共同開発
・セブン‐イレブン:
 セブン‐イレブン店舗にて『デジPOS』をお客様にご利用いただき、その効果を検証
・東芝テック:
 POS決済システム、店舗での設置・組み立て
・三井化学:
 空中ディスプレイ用プレートに使用する接着剤「ストラクトボンド®」の開発・製造・販売、及びPOSレジ用空中ディスプレイモジュールの共同開発・企画リーディング・技術サポート
・三井物産プラスチック:
 空中ディスプレイモジュールの販売及びPOSレジ用空中ディスプレイモジュールの共同開発

【取り組み概要】
・開始日:2022年2月1日(火)から順次開始
・実証実験店舗:都内のセブン‐イレブン6店舗
・目的:利用客の新しい買い物体験や、店舗従業員の安全・安心なレジ操作、レジカウンター スペースにおける効率化の検証を行う
・取り組み内容:空中ディスプレイ技術を活用したキャッシュレスセルフレジ『デジPOS』を利用客に使用して貰い、その効果を検証していく

【『デジPOS』の仕様】
・決済手段:
 セブン&アイグループの電子マネー「nanaco」、交通系電子マネー、iD、QUICPay+、楽天Edy、クレジット・デビットカード、バーコード決済、Apple Pay
・購入可能商品:
 店内商品(酒、たばこ、切手・ハガキ・印紙、宅急便、公共料金等収納代行、インターネット代金収納、店舗留め置き、金券、各種電子マネーチャージは利用不可)
・サイズ:横幅317.5×奥行600mm ※既存レジと比較して約70%のサイズ
・会計までの流れ:利用客が購入商品のバーコード読み取りや、会計操作を行う

【空中ディスプレイとは】
空中に浮かんだ映像を手で触れることなく、タッチパネル操作可能なディスプレイのことで、(1)ディスプレイ、(2)光学素子(空中ディスプレイプレート)、(3)センサーの各モジュールで構成されている。

【三井化学のシール材「ストラクトボンド®」とは】
三井化学では、液晶、有機EL、空中ディスプレイをはじめとした各種ディスプレイ向けシール材「ストラクトボンド®」の開発・生産・販売をしている。空中ディスプレイ向けには、アスカネットが販売する「ASKA3D」に「ストラクトボンド®XMFシリーズ」が使用されている。「ストラクトボンド®XMFシリーズ」は透明性に優れ、かつ貼り合わせる樹脂の屈折率に適応できるため、「ASKA3D」が実現する空中ディスプレイ映像の高画質化に貢献しているという。

ニュースリリースサイト(7-ELEVEN):https://www.sej.co.jp/company/news_release/news/2022/165442.html

世界初*1フレーム一体成形が可能な遠赤外非球面レンズの 量産技術を開発

パナソニック(株)は、遠赤外線の透過特性に優れたカルコゲナイドガラスを材料とする遠赤外非球面レンズの量産技術を開発した。

新たに開発したガラスモールド成形工法と金型技術により低価格化(約1/2)*2を実現するとともに、回折レンズのほか、世界初*1となる接着剤不使用で高気密なフレーム一体レンズ(ヘリウムリーク試験でリーク量 1×10-9 Pa・m3/sec以下)など、さまざまな形状のレンズ製作が可能となったので、試作受注を開始する。低価格で高品質な遠赤外非球面レンズの量産を通して、遠赤外センサモジュールの普及と高性能化に貢献するとしている。

<背景>
近年、環境保全の高まりから遠赤外センサは熱検知やモニタリングによるエネルギーマネジメントの重要な役割を担っている。また、車載分野では、自動運転の需要の高まりから、可視光カメラではとらえることのできない夜間に、遠方の人物や動物を検知できるセンサとして普及が拡大している。このような状況の中、遠赤外センサは高画素化・低価格化が進んでおり、センサに使用されるレンズにも高付加価値化が求められている。

一方で、遠赤外センサのレンズの材料としては安価なシリコンが汎用的に用いられてきたが、透過率が低く高画素化に不向きであることから、画素が多くなるほど透過率の高いゲルマニウムの球面レンズが多く用いられている。しかしながら、さらに高画素化が進むと、球面レンズ単体による収差の影響が顕著となり、その対応には多くの球面レンズの組み合わせや非球面レンズが必要となるため、コストやサイズが課題となる。

そこで同社は、可視光用非球面レンズの製造で培ったガラスモールド成形技術をベースに、遠赤外光学系に適した高性能な非球面レンズを低コストで生産する技術を新たに確立した。今後は、遠赤外センサおよび遠赤外カメラを製造・販売しているお客様のご要望に沿ったレンズの試作、量産を行うことで、遠赤外センサモジュールの普及と高性能化へ貢献するとのこと。

*1 遠赤外用ガラス材料とフレーム材料のみによる接着剤等を用いない高気密なフレーム一体レンズ成形において(2022年1月27日現在、パナソニック調べ)
*2 同社従来工法比(2022年1月27日現在)

<特徴>
1. φ3~40 mmの幅広いサイズのカルコゲナイドレンズを低価格で提供可能(非球面レンズ、回折レンズ)
2. レンズ外周の保護、鏡筒への設置精度が向上する接着剤不使用でガス汚染リスクのないフレーム一体レンズを製造可能
3. センサ性能向上の実現に必要な鏡筒内の高気密化に寄与できる高気密な鏡筒タイプのフレーム一体レンズを製造可能

ニュースリリースサイト(panasonic):
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2022/01/jn220127-1/jn220127-1.html