株式会社フクダ
漏れ試験(リークテスト)は、工業部品から食品・医薬に至るまで実に多くの製品に対して行われる検査であり、その方法も様々である。株式会社フクダは漏れ試験機に関する総合メーカであり、長年にわたり国内、および海外における数多くの製造現場に製品を納入してきた。ここに、当社製品の紹介も交えながら漏れ試験の概要について述べることとする。
*見えない場所にも「測る」ことを利用した技術がある
私たちの身の回りや暮らしの中には、様々な“圧力”が存在する。タイヤの空気圧も身近な“圧力”のひとつである。天気予報でよく耳にする「明日の天気は高気圧に覆われ、雲一つない快晴となるでしょう」にも“圧力”が存在する。自動車やエアコン、スマートフォン、企業の生産現場や土木・建築の作業現場、工場プラントや食品工場、化粧品製造や医療現場に至るまで、色々なシーンで使われている“圧力”が正しく管理されていなければ、社会生活は成り立たない。フクダは、これらの目に見えない力である“圧力”を制御し、計測する技術に特化し、様々な工業分野にリークテスト装置を供給している。
*身近なところにある漏れ試験
私たちのまわりには、「漏れてはいけないもの」「漏れた量を監視するもの」「気密性が必要なもの」が意外と多く存在している。ガステーブルからガス漏れが発生したら、命に関わる危険な事故に繋がる可能性があるため、「漏れてはいけないもの」に該当する。水道の蛇口を閉めた状態で“測る”を行えば、水は「漏れてはいけないもの」として計測を行うわけで、水漏れを起こしていたら、パッキンの交換や場合によっては部品の交換を行う。水道の蛇口は水を塞き止めるだけの役目ではなく、蛇口を回せば水を供給し、その開度によって供給量を増減できなければならないため、全閉状態の際は「漏れてはいけないもの」として“測る”を行い、開度を変えた供給量の違いを流量検査(必要な流量に達しているか)によって“測る”を行う。この場合、言い換えれば「漏れた量を監視するもの」となる。
今のスマートフォンの多くは防水保護構造となっている。iPhoneなどスマートフォンの中には、「IEC(国際電気標準会議)」によって規格化されたIP規格(IP67等級)によって性能をうたうものがある。IP67は「安全な防塵構造」(IP6□第1数字記号)で、且つ「規定の圧力、時間で水中に没しても水が浸入しない」(IP□7第2数字記号)相当の保護等級を表していて、「気密性を要するもの」に位置付けられる。防水とは、水を防ぐ性能があることを示しているが、空気の侵入を防ぐ性能を有することは示しておらず、水に対しては気密が確保されているが、空気に対しては保証されていない。「気密性が必要なもの」には、何に対して気密なのかが重要であり、水が漏れない気密性の検査、オイルが漏れない気密性の検査、二酸化炭素が漏れない気密性の検査では、数値化する規格(閾値)が全く異なり、オイル>水>二酸化炭素の順に気密性の検査時の閾値が小さくなる。このように、身近にある多くの物で、漏れを“測る”ことが行われている。
*自動車部品における漏れ試験

自動車部品には、非常に多くの“漏れを測る”対象がある。内燃機関を持つ多くの車は、燃料漏れがあると引火や爆発の危険を伴うため、「漏れてはいけないもの」という概念、言い換えれば「漏れなきこと」を前提とした検査が行われる。「漏れなきこと」を計測するには閾値として数値化が必要となるが、性能を損なわないことや、危険がないことなどの条件を鑑みて決定され、製品製造工程の最終工程(出荷検査・性能検査・特性検査等として)で「性能や安全に対して阻害が無いかを確認の為」に閾値を基準とした気密検査(リークテスト)が行われる。
図2 HES-2000
図3 FL-620/FL-611
一方で、定量の溶液やガスが流れなければ要件を満たさない部品も多く存在する。自動車部品ではインジェクタと呼ばれる燃料供給装置が使われるが、これはエンジン(シリンダー)に入れる空気量をセンサで計測し、必要な燃料量をコンピューター制御によって高圧噴射する装置である。検査は指定された圧力に対して一定の噴射量(流量)が流れるかを計測し、例えば0.5MPaの圧力(圧縮空気)を一次側(燃料供給側)に加えた場合、二次側に0.5mL/minの空気が噴射(流量が流れる)されるか検査を行う。フクダの製品では「FL-620/FL-611等 エアリークテスター」(図3)が広く使われている。
エアリークテスターは、「差圧式リークテスター」とも呼ばれ、精度が良く、利便性が高く安価である、などの特徴から気密検査機器の中でも数多く採用されている。差圧式リークテスターの原理は、天秤はかりに近いものと言える。天秤はかりは、対象物の重さを基準分銅と比較して精密に量るものだが、エアリークテスターは、基準となる漏れが無い製品(マスター)と検査対象となる製品(ワーク)に同じ空気圧を封入し、一定時間内の両者の差圧の変化を計測して漏れの有無を調べる。同じ空気圧を封入した直後から差圧が変化すれば大きな漏れがあると判断し、一定時間以降徐々に差圧が発生するようであれば、少ない漏れと判断出来る。実際には、時間あたりの差圧圧力の変化量を体積流量に換算している。
図4 HD-111
図5 FM-1063
図6 ラミナーフローメーター
図7 MSX-6200
*最後に
フクダは1962年の創業以来、圧縮熱除去システム、温度計を用いない温度補償システム、コンピューターデータを測定基準としたマスタリング計測技術等、様々な技術を取り入れたエアリークテスターを世界に先駆けて製品化してきた。これらはどれも時代時代のお客様のニーズやウオンツに対応し、お客様と共に考え、お客様と共に歩んだ結果生まれてきたものである。脱炭素社会に向けた大きなうねりが始まり、漏れ試験に関する新たなニーズも生まれるものと予想されるが、これまで以上に新たな技術で応えていくことがリークテストの総合メーカであるフクダの使命である。
株式会社 フクダ
本社:〒176-0021 東京都練馬区貫井3-16-5
TEL:03-3577-1111(代表) FAX:03-3577-1002
営業所:東北・東京・厚木・静岡・中部・近畿・広島 国内7拠点
代理店:中国・韓国・台湾・インド・タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・べトナム
・USA・メキシコ・ドイツ 海外12拠点
https://www.fukuda-jp.com/
最小直径0.89 mm、超小型CMOSビデオスコープシステム Visualyze (TABLET/VPU/SCOPE)
オーテックス株式会社
米国Enable社製のVisualyzeシリーズは、わずか直径0.89㎜(4万画素)、直径0.98㎜(4万画素)、直径1.05㎜(4万画素)と直径1.56mm(16万画素)の極細の高画質CMOSカメラスコープ4種類と、持ち運びに便利なタッチスクリーン式小型モニターシステム、モニターなしの小型VPU(ビデオプロセスユニット)システムの2種類の本体から構成されている。内蔵されている白色LED光源からファイバー伝送で広角照明をカメラと同軸で使用可能。CMOSビデオスコープの全長は3.65メートル、手元のスイッチで光量調節や静止画の撮影の操作ができる。モニター本体の背面にはUSBポート、HDMIポート、AC/DC 電源ポートがあり、静止画や動画のデータ管理や外部モニターで映像の出力もできる。スコープの先端部分の直径約1㎜x3㎜のCMOSカメラにはマイクロレンズが組み込まれており、画角120度、被写界深度2.5-60㎜で従来品にはない鮮明な画像を取得できる。また、ご要望に応じたスコープのカスタマイズも可能。

- 全てのVisualyze Scopeに対応。
最新のユーザーインターフェイスを介し、タッチスクリーン
ディスプレイから保存データへ簡単にアクセスが可能。 - 画像やビデオを内部メモリに保存し、タブレットで表示および再生可能。
- 複数のビデオ出力(一度に1つのみ。タッチスクリーンから選択可能):
• 外部モニター用HDMIビデオ出力。
• 外部PCからでも表示できるUVC準拠のUSB3(マイクロBタイプ)ビデオ出力。 - タブレットから外部USBフラッシュドライブにデータをコピーして、外部コンピューターやスマートデバイスに保存されているデータを表示するためのUSBポート(タイプA)
- 外付けUSBフラッシュドライブに保存されたデータを表示するためのスマートフォンまたはスマートパッドに接続するためのアクセサリ付属。
- オートゲインのオンオフ:オートゲインをオフにすると、照明を手動で制御できるようにする機能
- ROIのゲイン自動調節:タッチスクリーンからROI(関心領域)を選択し、その領域のみに最適化されたオートゲインを設定する機能:センサーのダイナミックレンジを拡張し、複雑なシーンでは見えにくいものを表示可能。
- 基本的にはタブレットと同じ機能。
- タッチスクリーンディスプレイのない、ビデオプロセスユニット
- 全てのVisualyze Scopeの接続可能。
- 画像や動画を外付けUSBフラッシュドライブに保存可能。
- サイドパネルにプログラミング接続および制御用ポート:詳細については、ユーザーマニュアルをご参照ください。システムはカスタマイズできるように設計されており、システム設定、いくつかの制御信号、および画像処理機能に簡単にアクセス可能。
- フロントパネルの外部ボタンにより、いくつかの制御機能にアクセス可能
- 複数のビデオ出力(両方のビデオ出力が同時に利用可能):
• 外部モニターへのHDMIビデオ出力
• 外部コンピューターでも表示できるUVC準拠のUSB3(マイクロBタイプ)ビデオ出力 - タブレットから外部USBフラッシュドライブにデータをコピーして、外部コンピューターやスマートデバイスに保存されているデータを表示するための追加のUSB(タイプA)ポート
- 外付けUSBフラッシュドライブに保存されたデータを表示するためのスマートフォンまたはスマートパッドに接続するためのアクセサリ付属
- 外部ビデオ出力接続用のUSB3ケーブル(タイプAからmicroB)およびHDMIケーブルが付属。
| 型番 | 最大ビデオ 出力分解能 |
CMOS 画素数 |
スコープ長 [m] |
曲げ半径 [mm] |
カメラ直径 D1[mm] |
ファイバー径 D2[mm] |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ENA-10420-AS | 1000×1000 | 400×400 | 1.9 | 75 | 1.54 | 1.52 |
| ENA-10425-AS | 600×600 | 200×200 | 2.0 | 6 | 0.98 | 0.84 |
| EAN-10429-AS | 600×600 | 200×200 | 1.9 | 6 | 0.89 | 0.84 |
| ENA-10435-AS | 600×600 | 200×200 | 2.0 | 50 | 1.05 | 1.05 |
※標準仕様のスコープは画角120度、フレームレート60fps、被写界深度2.5~60㎜
チューブ内、ねじ穴内部、装置内部、部品、食品・医薬品などの品質検査など医療用、産業用など幅広い分野で応用されている。
安全性に関する規格についてVisualyze Tablet,VPU,SCOPEそれぞれの製品は、
以下の医療用電気機器に関するEMC規格を取得している。
| 電源仕様 | |
|---|---|
| 入力電圧 | 100-240 VAC, 50-60Hz |
| 入力電流 | 100VAC:1.5A, 240VAC:0.7A |
| 入力AC IEC規格インレット | IEC-320-C14 |
| 出力電圧 | 12V DC |
| 出力電流 | 5.0A DC (最大) |
| 出力パワープラグ | φ5.5 x φ2.5 x 11.0 mm |
| 電気仕様 | |
| 電源 | AC/DC(外部)電源 |
| 入力電圧 | 12.0 VDC |
| 入力電流 | 1.5 ADC (最大) |
| IEC-60601-1 | Class II |
| ケーブル仕様 | |
| ACコード | 2.5m(8ft);NEMA 1-15P to IEC—60320-C7 |
| 出力 DC ケーブル | 0.95 m(3.1ft) |
| ビデオスコープケーブル | コネクターからビデオスコープ筐体まで1.75 m(5ft.9 in) |
| システム | |
| 寸法 | (W x D x H) 25.1 x 20.3 x 4.8 cm (9.9”x8.0”x1.9”) |
| 重量 | 1.55 ㎏ (3.4 lbs.) |
| 動作環境 | |
| 動作温度 | 10℃~35℃ |
| 保管温度 | -18℃~60℃ |
| 内蔵ディスプレイ仕様 | |
| 寸法・タイプ | 210.4 mm (H) x 157.8 mm (V), 10.4インチ カラーLCD |
| スコープ画像表示分解能 | 768 x 768 pixels (Max), 600 x 600 pixels |
| ビデオ出力(外部ビデオポート) | |
| 接続タイプ | HDMI (type A female) |
| ビデオフォーマット | GB, 1080p, 60fps, DVI |
| 光源 | |
| 種類・出力(電流) | 表面実装型LED・最大350 mA |
| 画像キャプチャ | |
| 記録媒体 | 外部USBフラッシュドライブ |
| 静止画フォーマット | PNG |
| 動画フォーマット | MPEG 400×400 pixels |
問合せ先
オーテックス株式会社
TEL: 03-3226-6321 FAX: 03-3226-6290
Email:sales55@autex-inc.co.jp
http://www.autex-inc.co.jp
食品物性評価装置「テクスチャーアナライザ EZ-SX」
株式会社島津製作所
食感の定量的な数値化を実現
サクサク感、もちもち感、噛みごたえなど人が食べ物を食べたときに感じることができる食感は、味やにおいとともに食品のおいしさに影響を与える重要な要素の一つである。食感は官能試験によって評価されることが多いが、官能試験の場合、人の感覚の個人差や体調などにより再現性の難しさが伴う。
官能試験をサポートするのに必要な、食感を定量的な数値として測定することができるテクスチャーアナライザEZ-SXについて紹介する。
コンパクトなボディに操作性を重視したデザインを取り入れた食品物性評価装置「テクスチャーアナライザ EZ-SX」の外観を図1に示す。
本装置の特長としては、
(1)高精度な試験システム
定格容量の1/500~1/1の広範囲において、指示値の±0.5%(高精度タイプ)の精度を保証した高精度ロードセルを採用。広範囲で信頼性の高い試験評価をサポートできる。
(2)ローテーブルデザイン
サンプル交換、治具交換といったあらゆる操作が楽になる。
(3)アジャスタブルコントローラの採用
使う人の姿勢に合わせた、ストレスの少ないオペレーションが可能である。
(4)試験速度
0.001~1000mm/minの幅広い試験速度で様々な評価に対応できる。
(5)環境への配慮
従来機と比べ、55%以上の消費電力のダウンを実現した。
(6)専用ソフトウェアによる試験の効率化
食品の破断測定、レオロジー測定、テクスチャー測定などあらゆる食品試験に対応した最適なソフトウェアであり、定形的な試験から任意の制御パターンを作成しオリジナルの試験法を構築することも可能である。また、かたさ、凝集性、付着性などの食品に特化したデータ処理が解析できる。TrapeziumXテクスチャーの設定画面を図2に示す。
食品を食べた時に感じる食感は、食品の破断や咀嚼といった力学的性質と密接に関係がある。ここでは、破断特性とテクスチャー特性(2バイト法)の測定方法について述べる。
破断特性の測定は図3に示す試験力-変位曲線(または応力ーひずみ曲線)から表1に示す特性値を得ることができる。
図3
| 破断応力 | 破断点における応力(P) |
|---|---|
| 破断エネルギー | 破断に至るまでの仕事量として、応力-ひずみ曲線が破断点までに描く面積(A) |
| 破断ひずみ | 破断応力時のひずみ(ε) |
| 初期弾性率 | 応力ーひずみ曲線の直線性が成り立つ範囲内における立ち上がりの傾きから算出 |
表1
テクスチャーを評価する方法の中でも模擬的手法と呼ばれ人の咀嚼と相関があると言われている2バイト法について説明する。食品をベースプレート上に置き、上部に取り付けられたプレートを等速直線運動により二回圧縮・引張を繰り返す。図4に試験のイメージを示す。得られた試験力-時間曲線から各種パラメータを求めることができる。図5および表2に一般的なテクスチャー曲線と各種パラメータの関係を示す。
| パラメータ | 内容 |
|---|---|
| 硬さ(H) | プランジャーで食物に負荷を加えて,その最大試験カ(N)を言う |
| 付着性(A3) | 食品を手で触れたり,食して歯・舌・口腔に付着して、引き離そうとするカ(N) |
| 凝集性(A2/A1) | 食品に負荷を加えると,その食物は変形したり破損する。負荷を連続2回加えて,1回目と2回目の負荷面積(工ネルギー)の比 |
| もろさ(B) | 食物が口の中で壊れるカ(N) |
| 弾力性(T2/T1) | プランジャーで食物に連続2回の負荷を加え,その「くぼみ,変位」の比 |
| ガム性( H×A2/A1) | 半固形食品を飲み込める状態に砕く際の特性(N) 硬さ×凝集牲 |
| そしゃく性 (H×A2/A1×T2/T1) |
固形食品を飲み込める状態にそしゃくする際の特性(N) 硬さ×凝集性×弾力性 |
表2
食品のテクスチャーは味やにおいとともに、おいしさを決める重要な要素の一つである。ところが、食品のテクスチャーを測定する場合、均質でないことが多く、測定値にバラツキが生じる。そこで、試験対象となる食材に応じて試験方法や適した治具を新たに開発することにより正確な食感評価が可能となった。
これらの試験方法や試験治具を本装置と組み合わせることにより、テクスチャーアナライザは今後も様々な食品分野で適用することが可能である。測定を希望する場合は下記までお問い合わせいただきたい。
問合せ先
株式会社 島津製作所
〒604-8511
京都市中京区西ノ京桑原町1
https://www.an.shimadzu.co.jp/index.htm
「分布型光ファイバひずみセンサ建設分野向けマニュアル」を発刊
特定非営利活動法人
光ファイバセンシング振興協会
光ファイバセンサのさらなる社会実装に向けて
小型軽量、長寿命、防爆性、耐電磁ノイズ、長距離伝送容易など多くの特長を有する光ファイバセンサは、社会インフラのセンシング手段として期待されてきた。特に、分布型光ファイバひずみセンサは、光ファイバ全長にわたって情報が得られる稀有な手段で、長大構造物の網羅的な挙動把握が可能である。これまでにも、建設分野において社会実装が進みつつある事例もあるが、これらは分野内における一部のアプリケーションに過ぎず、広く社会に浸透しているとは言い難い。その展開の障害のひとつとして、分布型ひずみセンサに対する理解が広く得られていないことが挙げられる。
既往文献や報告書のなかには、分布型光ファイバセンサの基本事項に触れたものもあり、ユーザーの理解を促すものであるが、幅広い展開を加速する手段とは言い難い。展開を進めるひとつの手段としては、技術標準などの整備が必要である。しかし、分布型光ファイバセンサのうち、温度センサについてはIEC(国際電気標準会議)による規格文書が発行されているものの、ひずみセンサに関する標準は存在せず、拠り所となる新たな技術的文書が求められている。
そこで、分布型光ファイバひずみセンサの更なる社会実装を目指し、「建設分野における分布型ひずみセンサ導入のためのマニュアル」を作成、発行した。
様々なプレイヤーが一同に会してワーキング活動
マニュアル作成にあたり、特定非営利活動法人光ファイバセンシング振興協会内の「資格・認定・標準化委員会」に、マニュアル作成ワーキング(WG)を設置した。同協会は、光ファイバセンサの普及・啓発および推進などを目的とした機関で、企業などの団体会員および個人会員から構成される。有志のWGメンバーを募り、計13機関からの28名でマニュアルを作成した。メンバーは主に測定器やケーブルメーカーなどのサプライヤー側からの参加者が中心であるが、建設コンサルタントやゼネコンなどの参加者が1/3程度であった。2020年6月のキックオフ以降、リモートでの打合せを概ね毎月開催し、マニュアル記載内容の検討などを行った。
誰でも簡単に導入できるためのマニュアル作り
本マニュアルの章立ては、初学者でも分布型光ファイバひずみセンサを適切に導入できるような構成とした(図1)。第1章は同センサの概説、第2章では導入するためのフローを示し、目的に応じた計測方式・光ファイバセンサケーブルを選択して、同センサを導入できるような内容を記載した。さらに、第2章には同センサに特有の留意事項を付記した。第3~4章では適用事例、第5章では語句の定義とともに、付記すべきと考えられる事項を記載した。合わせて、マニュアル記載技術の問い合わせ先と、参考資料を巻末にまとめている。
マニュアルの冒頭では、分布型光ファイバひずみセンサの概説として、光ファイバの特長や種類、分布型センサを実現する散乱光など、初学者向け資料として必要な事項についてコンパクトにまとめている。さらに、実務上必要な最低限の事項として、光ファイバコネクタの種類や、コネクタ脱着の際の留意事項(端面の清掃など)について記載した。
実際に分布型光ファイバひずみセンサを導入するにあたっては、目的に応じて適切な計測方式や光ファイバセンサケーブルなどを選択することが重要である。例えば、施工管理においてはその結果をフィードバックするために短い測定時間の計測方式が求められること、維持管理においては長期耐久性を有する光ファイバセンサケーブルと設置方法が求められることなど、計測目的によって要求性能が明確化できる。そこで、与条件に基づき、図2に示すフローで同センサを導入することを推奨している。はじめに、計測の目的をはっきりさせることが重要である。その対象や要求性能をもとに、光ファイバセンサに求められる仕様や適用期間などが決められる。次に、目的に応じた計測方式と光ファイバセンサケーブル、さらには実施体制などを決定する。また、必要に応じて、システム化や性能検証を行う。そして、決定されたシステムをもとに、光ファイバセンサケーブルを敷設し、測定、評価を行う。
分布型光ファイバひずみセンサには、ブリルアンあるいはレイリーと呼ばれる散乱光が異なったり、散乱光の位置特定方法が異なったりと、特徴が異なる計測方式が数多くある。マニュアル内には、各計測方式の簡単な原理とともに、代表的な測定器の仕様などについて記載した(図3)。
測定目的や対象構造物、期間などによって、最適な光ファイバセンサケーブルを選択する必要がある。マニュアル内には、図4に示す代表的な光ファイバセンサケーブルの仕様などについて記載した。
その他に、同センサ適用の際に留意すべき以下の事項についても記載している。
■ブリルアン方式とレイリー方式:分布型光ファイバひずみセンサの計測方式は、ブリルアン散乱光またはレイリー散乱光を用いるふたつに大別できる。本センサの特性を理解するうえで重要であることから、その原理の違いを記載している。
■ひずみ係数の取得試験:測定器から得られるデータは散乱光の周波数変化であり、係数を乗じてひずみを算出する。ひずみ係数は光ファイバセンサケーブルによって異なり、その試験方法について記載している。
■ケーブル敷設時の確認:光ファイバを設置した段階では、現場での位置と光ファイバ上の位置の関係性がはっきりしていない。そのため、光ファイバセンサケーブル部の任意位置を加温するなどの変化を与え、現場での位置と測定器を原点とする光ファイバ上の位置の関係性を確認する必要がある。一般にマッピングと呼ばれるこうした位置確認作業について記載している。
■温度補償:本センサは、ひずみだけでなく温度の影響も受ける。ひずみ変化だけを測定するためには、温度補償が必要である。そのためには、温度用光ケーブルを併設する方法が一般的であり、その方法を記載している。
■データ取得:計測頻度や期間:計測目的によって、測定器を常設して連続計測する場合や、定期的に測定器を搬入して計測する場合などがある。特に常設の場合、電源や使用環境などに留意しなくてはならない。こうした留意事項についても記載している。
■システム化:測定器をより有効に活用するために、光スイッチで複数の光ファイバセンサケーブルを測定したり、アプリケーションサーバを併設して遠隔から監視したりすることも考えられる。分かり易いかたちでデータを示すために必要なデータの加工や表示、システム化について記載している。
豊富な適用事例も掲載
本マニュアル内には、類似事例導入時の参考となるよう分布型光ファイバひずみセンサの様々な適用例を紹介している。コンクリートへの適用例として、ひび割れ検知、ひずみモニタリング、PCケーブルの張力監視の三例を、また土工構造への適用例として、補強土の安定性モニタリング、道路舗装、グラウンドアンカーの張力監視の三例をそれぞれ記載している。
グラウンドアンカーはテンドン(緊張材)を用いて地山を安定化するもので、所定の引張り力が導入、地盤に伝達されていることが重要である。導入フローに応じて、その目的と、要求される空間分解能や測定精度から、計測方式(BOTDR)と光ファイバセンサケーブル(建材一体タイプ)を決定した。そうした経緯や、実際の導入と運用、測定結果などを写真や図を多用しながら掲載しており、同様の測定対象を検討している読者にとって大変有益な内容となっている(図5)。
今後に向けて
分布型光ファイバひずみセンサは、安全で高品質な施工管理、あるいは効率的な維持管理などに資するセンシング手段として、建設分野において広く展開が期待されている。その特徴や留意点などをとりまとめて、導入の手助けとなるマニュアルを作成した。本マニュアルは、光ファイバセンシング振興協会のホームぺージから誰でも無料でダウンロード可能であるため、ご興味ある方々に是非ご一読頂ければ幸いである。
今後、新たな適用事例を追加、改訂を行うなどして、本マニュアルの継続したブラッシュアップを続ける予定である。さらに、“分布型“だけでなく、“ポイント型”センサに関するマニュアル作成に取り組んでおり、さらなる展開加速の一助としたい。
問い合わせ先
特定非営利活動法人光ファイバセンシング振興協会
〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目13-16 ヒューリック銀座ウォールビル7階
電話:03–6869–5738
ホームページ:https://www.phosc.jp/
5G通信技術を活用し「360°実写VRマップ自動生成・更新システム」を共同開発
(地独)東京都立産業技術研究センターとブルーイノベーション(株)は、この度、工場などの施設内を360°実写VRマップ化し、マップ内を巡回しながら、任意の設備や機器を点検できる「360°実写VRマップ自動生成・更新システム」を開発した。
「360°実写VRマップ自動生成・更新システム」は、360°カメラを搭載した複数の自動走行ロボット(Automated Guided Vehicle、以下 AGV)が移動しながら施設内や設備・機器を自動撮影し、ブルーイノベーションのデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform®(以下 BEP)」※ 上で施設全体を実写VR化すると共に、点検したい個々の設備・機器の画像を表示する。マップ作成のための高容量データを高速通信できるよう、5G通信にも対応している。
■開発の背景とポイント
従来の巡回点検は、施設内を担当者がくまなく巡回することで、点検対象となる機器の確認だけではなく、設備の損傷やオイル漏れなど設備の状況を広範囲に把握している。しかし、ベテラン点検員による目視点検が主流のため、人手がかかる、判断基準があいまいになる、情報が共有しづらい、などの課題があった。
これに対し、360°ビューワーや3Dモデリングによる広範囲なデジタルデータの生成が有効とされているが、データの撮影やマップの生成を人手で実施する必要があるため、結果的に効率が悪くなり、更新頻度も低くなってしまうという課題がある。
そのような背景から、「360°実写VRマップ自動生成・更新システム」では、BEPで統合管理されている360°カメラを搭載したAGVが自動巡回し、施設内や点検対象データの取得から実写VRマップ生成・更新までを自動化した。これにより、担当者による巡回が不要となるだけではなく、AGVが走行する度に実写VRマップが更新され最新の施設状況が把握できる、実写VRマップ上で巡回・点検できるため遠隔から直感的に確認・共有できる、アナログな施設・機器情報も含め施設全体をデジタル化することでDX化に不可欠なデジタライゼーション(情報のデジタル化)が進み、業務の共有化や効率化が向上する、などのメリットがあるとのこと。
【「360°実写VRマップ自動生成・更新システム」の特長】
・複数のAGVが自動巡回し、施設内の360°データや点検対象の画像データを自動生成・更新
・BEPで実写VRマップを自動生成し、点検用データも実写VRマップ上に自動マッピング
・BEP上で実写VR空間を巡回することで、従来の巡回点検の代替が可能
・5G通信にも対応しており、高速データ通信が可能
なお、この共同開発は、都産技研で実施している中小企業の5G・IoT・ロボット普及促進事業 公募型共同研究として行われ、都産技研からの研究資金支援の元、同所のDX推進センターのローカル5G基地局を活用し、現場を想定したAGVの通信試験や走行試験等を実施したもの。
※ Blue Earth Platform®(BEP)は、ミッションをベースに複数のドローンやロボット、各種デバイスを遠隔・目視外で自動制御・連携させることができる、ブルーイノベーション独自のデバイス統合プラットフォーム。複数のドローンやロボットをBEPで統合管理し、さらに各種OSやシステムと連携させることで、単体では成し得なかった広域での任意・複数のミッションを同時に遂行する。
詳細はこちら(https://www.blue-i.co.jp/technology/bep/)
ニュースリリースサイト(Blue innovation):https://www.blue-i.co.jp/news/6518/
AI潅水施肥システムのゼロアグリ、農林水産省スマート農業実証プロジェクトの結果公表
(株)ルートレック・ネットワークスは、農林水産省スマート農業実証プロジェクト「新しい時代を切り開く直売型スマートイチゴ生産・経営モデル実証コンソーシアム」(以下「本コンソーシアム」)の実証実験に参加し、AI潅水施肥システム「ゼロアグリ」導入による、作業時間削減、収量向上を実証した。
■「新しい時代を切り開く直売型スマートイチゴ生産・経営モデル実証コンソーシアム」について
本コンソーシアムは、直売イチゴ経営におけるスマートフードチェーン構築による、データ駆動型高収益経営体系の実証プロジェクトを指す。中山間地における直売型イチゴ経営において、生産から販売まで一貫したスマート農業(スマートフードチェーン)を展開し、高収益イチゴ経営を実証する取り組みである。同社は「中小規模パイプハウスにおける低コスト環境制御」というテーマの中で、AI潅水施肥システム「ゼロアグリ」を提供した。
※構成員:茨城県(農業総合センター園芸研究所ほか)、つづく農園、(株)イノフィス、(株)サカタのタネ、(株)ルートレック・ネットワークス
■実証結果
①低コストな環境制御装置(UECS)による温度管理とゼロアグリによる養水分管理により、正常果の収穫量は、慣行比で17.3%増収、廃棄果実量は、慣行比で60.7%減少した。
②ゼロアグリの自動潅水機能の活用により、定植後の潅水作業時間を、慣行比で42時間/10a削減した。
今後は、厳寒期から暖候期における更なる適切な環境制御を進め、本コンソーシアムの目標である所得6割増、収量3割増を達成するために取組みを行うという。
■ゼロアグリとは
センサ情報や気象情報を元に作物にとって最適な潅水量と施肥量をAIが判断し自動で供給することができる、IoT技術を活用した潅水施肥システム。自動化による大幅な省力化、潅水施肥の安定による作物の収量および品質の向上、減肥効果等の実現が可能。2015年より国内外への本格出荷を開始し、現在全国の農家・農業試験場にて累計が300台以上導入されているとのこと。
ゼロアグリ公式サイト:https://www.zero-agri.jp/
ニュースリリースサイト(routrek):https://www.routrek.co.jp/news/220303-smartagri-report/
稲畑産業、インテル「RealSense」の代替3Dセンサを販売
稲畑産業(株)は2021年8月に事業撤退を表明したインテル社製3Dセンサ「RealSense」の代替品として、インテル社のパートナー企業であるLIPS Corporation(以下、「LIPS社」)製3Dセンサを販売代理店として日本国内向けに販売する。
■産業用途に特化した機能を付加、ソフト面の互換性も
今回、LIPS社では2021年8月に事業撤退がリリースされたインテル社のステレオカメラ「RealSense」シリーズ代替品の開発に成功した。
開発された製品は、従前から「RealSense」の課題とされていた防水防塵 (IP67)対応や、産業用途で需要の大きいIMU(ジャイロセンサ)の搭載、インターフェースを安定性に課題のあるUSBではなくEthernet規格に対応するなど、より産業用途に特化した機能が付加されている。
また単なるハードウェアの代替品というだけでなく、ハードウェアを動かすためのSDK(Software Development Kit)や3D Middleware、3Dシステムなどソフトウェア側の互換性も高く、既存の「RealSense」を用いた開発環境のまま代替可能な点も特長である。
■インテル社とのパートナーシップを背景にLIPS社が早期から開発に着手
3Dセンシング市場は労働人口の縮小に伴う省人化・自動化の流れとともに拡大傾向にある。その中で産業用3Dセンシング市場にて約50%のシェアを占めているとされるインテル社が、2021年8月に同社のステレオカメラ「RealSense」事業からの撤退を表明したため、「RealSense」代替品の需要が高まっている。
LIPS社はインテル社とのパートナーシップ契約に基づき、かねてより自社製品の一部ラインナップにインテル社製「RealSense」を搭載してきた。こうした背景から、LIPS社では開発環境においても「RealSense」と互換性のあるSDK、3D Middleware等の提供を行ってきた実績があり、今回開発に成功したハードウェアやSDK、及びソフトウェア面でも互換性の高い3Dセンサの開発が可能となった。
■LIPS社の3Dセンサ製品
LIPS社は、インテル社「RealSense」のFシリーズ、Lシリーズ、Dシリーズ(産業用途以外)の代替品としてStructured Lightリーズ」を開発した。さらに「RealSense」Dシリーズ(産業用途)の代替品としてStereo Camera方式「LIPSedge Sシリーズ」を新たに開発している。
「LIPSedge Lシリーズ」では既にインテル社「RealSense F455/F450」と同等スペックを有する「LIPSedge L210u/L215u」の2品番を開発。「LIPSedge Sシリーズ」ではインテル社「RealSense D455」と同等スペックを有する「LIPSedge S210/S215」の2品番の開発が近日中に完了予定だという。(画像参照)
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000096607.html
東北初、ドコモ回線を活用した除雪車遠隔操作等の実証実験に成功
(株)NTTドコモ東北支社は、2022年2月25日(金曜)に、福島県昭和村と村内の公道(※1)でのドコモ回線を活用した「除雪車の遠隔操作」の実証実験に成功した。
昭和村は、冬季間の平均降雪量が10m(過去10か年平均)を超える特別豪雪地帯に指定されている。生活道路を含む道路の除雪作業は、住民の暮らしを守るために欠かすことのできない作業であるものの、担い手の高齢化やなり手不足により除雪業務の継続が重要な課題となっている。
このような課題を踏まえ、本実証実験では遠隔操作を可能にした車両を用いて、遠隔操作による除雪作業の有用性及び安全性の検証を行った。
実証実験では、昭和村が所有する除雪車(ホイールローダー)に制御装置、ネットワーク機器やカメラ等を装着し、約400mの公道を遠隔操作により除雪作業を行うことに成功した。有人での操作と変わらない精度での除雪作業を実現でき、遠隔操作を実施したオペレータからも「実際に除雪車を運転している感覚で操作できた」と好評価を得た。
また、遠隔操作により除雪車のエンジンスタートを行うことで、予め暖機運転が可能となり、除雪車の中で30分程度待機する時間の削減と作業者の負担軽減という課題の解決にもつなげることができた。
既存の車両に制御装置やカメラ等を装着する方式を用いることで、遠隔操作による除雪作業が可能になることから、昭和村と同様の課題に直面する地域への展開が可能と考えているという。
今後もドコモは、本実証実験の成果を踏まえ、除雪車両の遠隔操作の実装に向けた技術確立と5G(第5世代移動通信システム)の活用による「高速大容量」「高信頼低遅延」「多数同時接続」という特徴を生かし、遠隔操作の低遅延や車両からの高精細な映像確認のほか、作業における危険検知機能、障害物の事前システム反映など、安全性や正確性、操作性向上のための先端技術の発展に引き続き取り組むとのこと。
(※1)安全確保のため、封鎖をした公道。
実証実験の概要
1.実施内容
本実証実験では、昭和村が所有する、ホイールローダー(昭和62年式 コマツWA200)に制御装置やカメラ等を装着し、遠隔操作を可能にした車両を用いて、遠隔操作による除雪作業の有用性及び安全性の検証を行った。
2.実施日、場所
実施日:2022年2月25日(金曜)
実施場所:昭和村の公道(福島県大沼郡昭和村野尻松木淵213)
※安全確保のため、封鎖をした公道。
3.実証試験イメージ(画像)
<実証実験の流れ>
① 積雪センサーにて一定量の積雪検知・オペレーター(作業者)へ通知
② 遠隔でのロボット操作によるエンジン始動
③ 暖機運転(約30分)中に遠隔操作ルームへ移動
コックピットから遠隔操作実施
ニュースリリースサイト(docomo):
https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/tohoku/page/2022/220225_02.html
業界初デュアルAI睡眠センサ「ライフリズムナビ新型SleepSensor」を開発
エコナビスタ(株)は、2021年より東京ガス(株)、三菱ケミカルインフラテック(株)と共同開発していた自己成長型睡眠センサの新たな製品化に成功※1した。業界初※2となるデュアルAI睡眠センサ「ライフリズムナビSleepSensor」である。
※1 特許出願中
※2 睡眠センサとして。エコナビスタ調べ。(2022年3月1日広報発表時)
これまで睡眠センサをはじめとした見守りセンサを導入している介護現場では、「ベッドから手がはみ出ただけで異常通知をしてしまう」「カーテンが揺れただけで発報する」「通知が来たので訪室したら既に対象者がいなかった」等の誤検知、誤発報、通知遅延等が頻発する課題があった。そこで本製品は、従来の睡眠センサに生体情報を学習するエッジAI機能を搭載し、クラウドAIと連携するデュアルAI化を実現。高齢者の微細で特徴的な生体情報を正確に検出し、精度の高い見守りシステムを提供することで、従来の課題の解決に大きく貢献するという。
本製品を用いた介護施設向け高齢者見守りシステム「ライフリズムナビ®+Dr.」及び在宅向け「ライフリズムナビ+HOME」を活用することで、質の高い介護と介護現場の生産性向上の両方を実現する。今後同社では、正確かつデータ密度の高い生体情報の蓄積により、認知症や疾病の発症予測をも実現し、次世代の安⼼を創造するとのこと。
新型SleepSensorの主な特徴
①生体情報を学習するエッジAI機能搭載により睡眠センサの広範囲化に成功
一般的な睡眠センサは高齢の要介護者や認知症患者にみられる特徴的な臥位の検知が困難なため、誤検知、誤発報、通知遅延等が起きていた。また、解決策の一つであるセンサマット部面積の拡大は生体情報量の減衰を起こし、正確な情報の取得を難しくしていた。この度同社では、延べ1万人を超える臥位データを解析し独自開発した生体情報を学習するエッジAI機能により、誤検知、誤発報、通知遅延等の課題を克服しながら、新型SleepSensor自体が利用対象者に適合していく特徴を有している。
②デュアルAI採用により自己成長し続け、常にユーザーに寄り添う製品に
同社のライフリズムナビでは生体判別のための200種類以上のスクリーニングフィルターがクラウドAIシステム内で既に稼働しているが、今回エッジAIシステムから取得した生体情報を加えダブル判定することで、より正確なセンシングにつながった。
更には、同社のワンストップ開発により実現したエッジAIシステムとクラウドAIシステムから成るデュアルAIが相互に自己学習を繰り返すことで、業界初自己成長型睡眠センサが完成した。
ユーザーはこの新型SleepSensorを用いた「ライフリズムナビ+Dr.」「ライフリズムナビ+HOME」の活用により、介護者の五感では認識できない見守り対象者の生体情報の変化を自身の手元で確認し、離れていてもあたかもそばにいるかのように見守ることが可能。センサ自体が自己成長するため、「いま」も「これから」も介護に関わるすべての方々に質の高い介護と生産性向上の両方を提供し続ける製品という。
※「ライフリズムナビ」はエコナビスタ株式会社の登録商標。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000075697.html
日本農林規格(JAS)「プロバイオポニックス技術による養液栽培の農産物」新設
有機質肥料活用型養液栽培研究会と旭化成(株)は、農業・食品産業技術総合研究機構(以下「農研機構」)が開発した有機質肥料活用型養液栽培(以下「プロバイオポニックス栽培」)技術の社会実装を目指してJAS(※1)新設の申出を行った。これを受けて本年2月24日、農林水産省より「プロバイオポニックス技術による養液栽培の農産物」JASが公示され、特色あるJASを表す「特色JASマーク(※2)」も制定された。
プロバイオポニックス栽培は、農産物の生産に必要な窒素源をバイオマス(生物に由来る有機物である資源 ※化石燃料を除く)から得る養液栽培方法であり、未利用資源の活用による環境負荷低減が期待されている。
今回の特色JASマーク制定により、消費者におけるプロバイオポニックス栽培の認知度向上およびエシカル消費行動の促進が期待される。また、旭化成はプロバイオポニックス栽培の社会実装を目指しており、誰でも取り組みやすい栽培方法となるようなシステムの開発にも成功した。農産物の高付加価値化を通じて、プロバイオポニックス栽培に取り組む生産者を支援していくという。
●プロバイオポニックス栽培
植物の生長には、窒素が必要である。土壌では、糞などのバイオマスは従属栄養微生物による「アンモニア化成」と硝酸菌による「硝酸化成」の2段階の分解を経て硝酸態窒素まで分解され、植物が吸収できるようになる。一方で、水中では、バイオマス中の有機物に触れると硝酸菌が不活性化されるため、1段階目のアンモニア化成で分解が止まる。この状態では、根が傷害を受け、植物の生育が悪化、あるいは枯死してしまう。したがって、水耕栽培などの土壌を使わない栽培方法(以下「養液栽培」)では、バイオマスを用いた栽培が難しいとされてきた。
この問題に対して農研機構は、従属栄養微生物とともに、硝化菌が耐えられる濃度のバイオマスを与える“馴化(じゅんか)培養”という手法を試みたところ、水中でもアンモニア化成および硝酸化成が同時並行的に進むことを確認した。これを養液栽培に応用し、「有機質肥料活用型養液栽培」と命名した(※3)。そして、研究会と旭化成とでJAS新設の申出を行うにあたり、本栽培方法を「プロバイオポニックス栽培」と改名することにした。プロバイオポニックスは、「プロバイオティクス(人体に良い影響を与える菌、又は、それらを含む食品)」と「ハイドロポニックス(水耕栽培、養液栽培)」を掛け合わせた造語である。
●プロバイオポニックス技術による養液栽培の農産物JAS
プロバイオポニックス技術による養液栽培の農産物JASは、2022年2月24日に制定された
(規格:https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/kikaku_itiran2-408.pdf)。
本規格によって生産される農産物は、培養液中の無機養分について次の要求事項を満たすよう管理され、認証機関(例:一般財団法人日本食品分析センター)の認証を受けることによって特色JASマークを付して市場に流通させることが可能になる。
A) 窒素成分:バイオマス由来であること。
B) リン,カリウム,カルシウム及びマグネシウム成分:バイオマス,鉱物資源(りん鉱石,加里鉱石等)又は海水由来であること。
●旭化成の目指すビジョン
養液栽培は、単位面積当たりの収穫量が高く、気象災害の影響を受けにくい、計画生産がしやすいといった特長がある。これに加え、プロバイオポニックス栽培は、窒素源をバイオマスに限定することによって、環境負荷の低減を推進することができる。
しかし、プロバイオポニックス栽培は、養液に適時適量のバイオマスを投入する必要があり、手間が掛かる栽培方法であることが普及を妨げる要因の1つとなっていた。そこで、農研機構と旭化成は、プロバイオポニックス栽培の社会実装を目指し、2019年1月から共同研究に取り組んできた。本共同研究により、バイオマスの分解状態をセンサで測ることで、適時適量のバイオマス投入量を解析し、自動でバイオマスを養液に投入するシステムの開発に成功した。
旭化成は、プロバイオポニックス栽培を誰でも取り組みやすい栽培方法として社会実装することを目指す。そして、特色JASによる認知度向上を図り、バイオマス由来の養液の使用を促進し、環境負荷低減に貢献するとしている。
●用語解説
※1 JAS(Japanese Agricultural Standards、日本農林規格):
日本農林規格等に関する法律(JAS法)に基づくJAS制度は、食品・農林水産品やこれらの取扱い等の方法などについての規格(JAS)を国が制定するとともに、JASを満たすことを証するマーク(JASマーク)を、当該食品・農林水産品や事業者の広告などに表示できる制度。
JASマークを商品の購入の際の判断材料にしたり、JASを取引におけるアピールの手段にしたりなど、様々な場面でJAS・JASマークが活用されている。
参照:農林水産省HP https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/index.html
※2 特色JASマーク:
平成30年12月28日に、特色のあるJASに係るJASマークとして、これまであった3種類のマークを統合し、新たなJASマーク(特色JASマーク)が制定された。
特色JASマークにより、日本産品・サービスのさらなる差別化・ブランド化に向け、消費者に高付加価値性やこだわり、優れた品質や技術などを分かりやすくアピールすることが期待されている。
参照:農林水産省HP https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/new_jaslogo.html
※3 有機質肥料活用型養液栽培:
平成17年、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所(現、農研機構)が開発した栽培方法。
1. 野菜茶業研究所ニュース54号 [online], 平成27年3月発行, 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所, Available from:
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/archive/files/vegeteanews54_20150309_s.pdf
2. 有機質肥料活用型養液栽培マニュアル(第1版)[online], 平成26年6月第1版発行, 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所, Available from:
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/vt_youekisaibai_manual_20140616.pdf
3. 有機質肥料活用型養液栽培マニュアル 初心者マニュアル編[YouTube],:
https://www.youtube.com/watch?v=5ebzMoWHOrY
ニュースリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000079452.html
