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熱電エネルギーハーベスティングデバイスの状況(2)

(株)KELK
熱電発電事業部 部長
村瀬 隆浩

6.熱電対センサデバイスとアナログ入力デバイス

 KELGEN SDには、KSGD-SVの他、熱処理炉や焼結炉などの温度を熱電対で測定する熱電EH熱電対センサデバイスKSGD-STと、既存の流量計や圧力計などの外部出力端子を備えた計測器から出力される電流値や電圧値を送信する熱電EHアナログ入力デバイスKSGD-SAがある。
K熱電対仕様のKSGD-STKは温度測定範囲が0℃~1,350℃、分解能0.1℃、測定精度±3℃の性能を持つ。KSGD-SAは、4-20mAの電流値で出力する測定機器に対応するKSGD-SACと、1-5Vの電圧値で出力する測定機器に対応するKSGD-SAVがある。

7.熱電EHデバイスのデータ収集とデータ活用の支援

熱電エネルギーハーベスティングによる微小な電力で動作するKELGEN SD製品は、発電量が周囲の環境により変動するため測定したデータの送信間隔は一定でなく、受信の待ち受け機能が無い。KELKは、非定期で一方向に送信されるKELGEN SDのデータをつなぐ通信網KELGEN SD-Netと、KELGEN SDのデータを収集・保存し測定値の状態を見える化するソフトウエアKELGEN SDMおよび、KELGEN SDで測定したビッグデータを汎用PCによる高速演算で設備の状況を見える化するデータ利活用ソフトSDM-Plusを開発した。(図7) これらにより熱電エネルギーハーベスティングにより動作するセンサデバイスで測定したビッグデータを設備の故障予兆検知へ簡易に低コストで利活用することができるようになった。

図7  KELGEN SDシステムの概要
図7  KELGEN SDシステムの概要

1)通信網KELGEN SD-Net
 KELGEN SD-Netには2種類ある。小規模ネットワークは最小発信間隔3秒のデバイスを一つの通信網に20台程度接続できる。発信間隔が長く通常1分以上となる振動センサでは、一つの通信網に50台以上を接続することができる。標準ネットワークは最小発信間隔3秒のデバイスを200台程度接続できる。KELGEN SDのデータは、KELGEN SD-Netを経由してデータの収集と保存を行うソフトウエアKELGEN SDMにより汎用PCへ保存することができる。
また、直接PLC※(3) やゲートウエイを経由することで社内のデータベースやクラウドへ保存することができる拡張性を備える。
2)データ収集・保存ソフトKELGEN SDM
 KELGEN SDMは、KELGEN SDの測定データを汎用PCで収集し、デバイスごとに一日単位でcsvファイル形式で保存する。また、ブラウザ上にて測定データを確認できる機能を備える。(図8) この見える化機能は、設備の状態の確認のためのモニタリングを支援する。

図8  KELGEN SDMのメインおよびサブパネルと時系列データのグラフ
図8  KELGEN SDMのメインおよびサブパネルと時系列データのグラフ

3)データ利活用ソフト SDM-Plus
SDM-Plusは、長期に亘り測定したビッグデータをグラフ化することにより、日常点検の自動化と設備の故障予兆検知を支援する機能を備える。SDM-Plusでは、汎用PC により統計量演算としきい値判定およびMT法※(4) 解析の結果を設備やコンポごとに集計した稼働レポート(図9 図10)を出力する。
SDM-Plusの処理時間は、第11世代のIntel Core i7※(5) を搭載する汎用PCを使用する場合、1分間に400万件のデータ(おおよそ、10秒間隔で発信するKELGEN SD 200台の2日分のデータ件数)の統計量を演算することができる。

図9 稼働レポートの設備異常発生状態と稼働状況一覧の例
図9 稼働レポートの設備異常発生状態と稼働状況一覧の例
図10 稼働レポートの測定項目別の統計量と異常判定一覧の例
図10 稼働レポートの測定項目別の統計量と異常判定一覧の例

8.おわりに

KELKは熱電エネルギーハーベスティングの技術開発を進め、受熱面と雰囲気との温度差10℃から動作する実用レベルの熱電EHデバイスKELGEN SDを開発した。さらに、KELGEN SDの普及のため、データの活用を見据え、ビッグデータを汎用PCで高速演算するデータ活用支援ソフトを開発した。熱電EHデバイスとオンプレミスで動作するデータ活用支援ソフトが、エネルギーハーベスタで動作するセンサデバイス活用の実証評価を促進し、持続的な生産性の向上に貢献することで、エネルギーハーベスタが社会実装されることを期待する。
熱電エネルギーハーベスティングは、今後も続く発電性能の向上、半導体の低消費電力化、蓄電器の自己放電の改善などの技術の進歩により、より複雑な制御が可能となると期待される。電池レスで設備の状態を長期に亘りモニタリングする振動センサデバイスをはじめとし、より幅広い分野で活用されることを期待する。



参考文献

  1.  PLC:Programmable Logic Controller。に製造業の装置などの制御に使用されるコントローラ
  2.  MT法:Mahalanobis Taguchi method。MD値(対象の多変量データの相関関係を考慮して多変量標準化した尺度)により異常度を判定する多変量解析の一手法
  3.  Intel:インテル、Intel、インテル Coreはアメリカ合衆国およびその他の国におけるインテルコーポレーションまたはその子会社の商標または登録商標です。


【著者紹介】
村瀬 隆浩(むらせ たかひろ)
株式会社KELK 熱電発電事業部 部長

■略歴
1989年 コマツ 入社
2002年 株式会社KELK入社、現在に至る

磁気応用と環境発電(2)

(株)KRI
フェロ&ピコシステム研究部 部長
藤井 泰久

4.共振を用いた環境振動発電

 磁性エラストマを用いた振動発電のさらなる高効率化を目的として、共振現象を利用した振動発電について研究をおこなっている。共振現象は、環境中の振動源の周波数とデバイスの固有振動数に合致させることにより起こり、通常のQ倍の振幅が得られる。(Q値と呼び、振動系の共振の鋭さの指標)一般的に発電量はQ値の2乗の利得があり、高効率な発電が望める。

4-1.振動発電デバイスと実験

 作製した振動発電デバイスと加振機等構成を図6、図7に示す。コイルの内側に設置した磁性エラストマの上部に円柱状の錘(SUS304製)を取り付け、共振周波数の調整を行えるようにしている。磁性エラストマの直径は34mm、高さ15mmの円柱形上で、分散媒はシリコンポッティングゲル、分散質は永久磁石粉(混合割合は70w%)であり、型に入れて無磁場で加熱硬化させ(ランダム配向)、6T磁場を印加して着磁してある。
 実験ではデバイスの下側から正弦波状の強制加振を与え,ファラデーの電磁誘導の法則により発電を行い記録した。実験条件として 123~284 g の質量の異なる錘を 5 種類用意し,それぞれを取りつけたデバイスに加振機にて振幅 1 mm,周波数 10~100 Hz の範囲で振動を与えた。
そしてデバイスの錘上部の振幅を記録し,加振振幅に対する錘上部の振幅の増加率から共振現象の確認を行った。

図6 共振振動発電デバイス
図6 共振振動発電デバイス
図7 加振機等構成図
図7 加振機等構成図

4-2.発評価験結果

 デバイスの錘上部の振幅の測定結果を図8に、コイルにおいて得られた起電力の結果を図9に示す。デバイスの錘上部の振幅が周波数によって変化し、ピークを持つことが確認でき、このピークの共振周波数が錘の質量によって異なることがわかった。図9より、振動発電の起電力が周波数の増加に伴い増加している。ファラデーの電磁誘導の法則では直線的に増加すべきところが、本実験では共振現象によって振幅が一定でない為、増加率が周波数ごとに異なっており、共振周波数に近い範囲では増加率は高くなっている5)
 本実験では、Q値は図8より最大で約1.8程度であり、共振現象を伴わない振動発電量の約3.3倍の発電量が見込めることが分かった。エラストマを使用したデバイスではヤング率上げれば(硬くする)Q値を大きくできるが、一般的な金属材料、Siなどの無機材料と比較してQ値は低くなってしまう。 しかしながら、外部振動源の周波数とデバイスの固有振動数が少しずれても振幅(発電)が下がりにくいという利点がある。また、エラストマを使用した最大の利点は、振動に対して破壊しにくいというところにある。

図8 デバイス錘上部の振幅測定結果
図8 デバイス錘上部の振幅測定結果
図9 起電力測定結果
図9 起電力測定結果

5.おわりに

 破壊に強い柔らかい磁性材料を用いた環境振動発電の弊社の研究例をご紹介した。弊社では、環境発電は、環境中のエネルギー源や収穫した電力を使用する用途や目的に合わせて、磁性エラストマ以外にも圧電薄膜、圧電フィルム、薄膜磁石、超磁歪素子(FeGa系、FeCo系)、摩擦発電などの各種方式の技術を保有し、受託研究をおこなっている。ご興味ある方はお問い合わせいただきたい。→コンタクト先:ya-fujii@kri-inc.jp



参考文献

  1.  佐伯、岩本、井門、出口、藤井、山本、共振現象を利用した永久磁石エラストマー振動発電、MAGDAコンファレンス、(2021)


【著者紹介】
藤井 泰久(ふじい やすひさ)
株式会社KRI フェロ&ピコシステム研究部 部長

■略歴
1988年 東京理科大学理工学部卒業
1988年 ローム株式会社入社
サーマルヘッド、インクジェットヘッドの開発
1997年 ミノルタ株式会社入社
ライン型インクジェットヘッドの開発、MEMS開発
2002年 株式会社KRI入社 フロンティア研究部 研究員
流体MEMS研究開発(バイオチップ、マイクロリアクター、嗅覚センサなど)
2014年 フェロ&ピコシステム研究部 部長
~現在  磁気MEMSの研究開発(振動発電、触覚センサ、磁気冷凍・磁性流体冷却など)

自動塗布適応型プロセス制御システムの日本法人「Coherix Japan合同会社」設立

高精度3次元センサを使用した自動塗布適応型プロセス制御システムを提供する米国本社Coherix, Inc. が、神奈川県横浜市内に日本法人「Coherix Japan合同会社」を設立、日本での営業を開始した。

Coherix社は、3Dレーザーセンサを使用してロボットに検知情報を提供し、自動接着剤塗布用の自律適応型プロセス制御を実現し、顧客が複雑な製造プロセスを管理する事を可能にする。 Coherixのソリューションは、総生産消費コストを最低限に抑え、高いパフォーマンスを生み出している。同社の顧客は自動車およびエレクトロニクス業界における、大手グローバルユーザー、生産ラインビルダー、塗布装置製造会社、Visionシステムインテグレーターである。同社の3D技術と優れた信頼性に対する国内の主要な利用客からのニーズは、ここ数年で大きく高まってきている。
Coherixテクノロジーは、利用客の期待に応える接着剤塗布制御ソリューションを提供する。ミシガン州のアナーバーに本社を置き、米国、中国、ドイツ、シンガポール、メキシコで事業を展開、この度2022年、日本にオフィスを開設した。

◆問合せ先:カントリーマネージャー 垣原 等
 TEL:045-274-7899 kakihara.hitoshi@coherix.com

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000099555.html

ams OSRAMの新しい緑色レーザーダイオード

News Facts:

・緑色レーザーは、従来から産業機器に使用されている赤色レーザーよりも視感輝度が4倍に
・新しいPLT5 522EA_Q緑色レーザーダイオードはTO56ケースグランド構成で、現在多用されているドライバトポロジーと互換性がある
・最高動作温度70℃、高信頼性、長寿命のPLT5 522EA_Qは、新設計のレーザーを使用したビジュアライゼーションのための最適なソリューション

ams OSRAMは、レベリング、スキャン、バイオサイエンス、ドットプロジェクションなどの用途において、赤色レーザーに代わる、より高輝度で使いやすく、信頼性と価格競争力に優れた緑色レーザーダイオードを発表した。

新しいPLT5 522EA_Qは、赤色レーザーの重要な特性を犠牲にすることなく、緑色レーザーが持つ赤色より約4倍明るく視認できるという視感度面での恩恵を、ユーザーが受けることを可能にしている。この緑色レーザーダイオードは、最高動作温度70℃での製品寿命と信頼性において厳格なテストを受けており、その寿命評価は、産業機器メーカーの標準的な要件を満たしている。

この新しいレーザーダイオードは、気密封止されたTO56CANのフォームファクターにて提供される。また、この緑色レーザーは一般的な赤色レーザーに採用されているケースグランドのピン配置を採用しているため、既存の赤色レーザーから緑色レーザーへの置き換えを容易にし、置き換えの際の製品設計変更を最小限に抑えることができる。
赤色レーザーダイオードとは異なり、PLT5 522EA_Qはバーンインを必要としておらず、また、アイセーフのために必要とされるモニター用フォトダイオードをパッケージ内に搭載している。

緑色レーザーダイオードの特徴
PLT5 522EA_Qは、ビームを厳密に制御した端面発光レーザーである。ピーク出力は20mWで、ピーク発光波長は520nm、スペクトル帯域幅は2nmとなっている。連続発振モードとパルス発振モードのいずれでも使用できる。
ams OSRAMは、製品設計を支援するテクニカルサポートをお利用客に提供している。サポートには、光学系シミュレーションデータの提供、熱評価などが含まれる。
PLT5 522EA_Qのサンプルは、現在ams OSRAM製品の正規販売代理店から入手可能とのこと。

※本プレスリリースは2022年4月4日にオーストリア・プレムシュテッテンで発表したプレスリリースの抄訳版。

プレスリリースサイト(ams OSRAM):https://ams.com/ja/-/plt5522eaq_green-laser-diode

非接触バイタルセンサ「レガーメ」、令和3年度千葉刑務所非接触型生体センサ整備事業に採用

3月25日、(株)データスコープ(以下「D-Scope」)および(株)システムジャパンは非接触バイタルセンサ「レガーメ」を令和3年度千葉刑務所非接触型生体センサー整備事業として千葉刑務所の収容室4部屋に設置し、運用を開始した。本件の入札にあたっては、刑務所等をはじめとして各官庁等へのセキュリティ関連システム導入実績の豊富なオーテック電子(株)がプライムコントラクター(施工管理含む)となり、入札前事前評価試験合格を経て、落札に至った。日本国内の矯正施設にて、非接触型生体センサを導入した最初の事例となる。

■ 千葉刑務所での非接触型生体センサー整備実施の背景と今後
これまで収容された被収容者の健康管理は、ネットワークカメラによる監視卓室からの映像での確認や職員による目視の確認や直接の声がけとなっていた。映像のみの確認は被収容者の睡眠時など動きが少ないときは異常がわかりづらく、職員による直接の声がけや目視には施設の広さや職員数の観点から物理的な限界があった。
そこで、非接触バイタルセンサ「レガーメ」ならびに管理アプリケーションを活用することで、監視卓室にてネットワークカメラの映像と合わせて呼吸数・脈拍といったバイタルデータの確認ができるとともに、バイタルデータが設定した閾値から乖離があった際に警報を出すことで、異常があった際に迅速に対応することが可能となる。
これにより限られた人員にて、効率的・機械的に被収容者の容態変化を監視できるようになった。 また、現場のニーズヒアリングから移動設置型センサの提案を行い、現在試験運用中となっている。

■ 「レガーメ」について
システムジャパンが開発した、非接触型マイクロ波バイタルセンサ。同センサは、総務省プログラムSCOPEにおける採用実績や、東京都の地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の承認取得(2020年)、医学書院(2019年)や文光堂(2019年)発行書籍において紹介実績を有する。安全な周波数帯を用いたドップラーセンサ内蔵で、脈拍・呼吸数・体動を検知。各台に付属するミニモニターで検知状況を即時確認できるほか、集合管理アプリケーション(Windows版)でセンサ複数台を一括モニタリングし、特定の閾値を超えた場合にアラートで通知する機能を装備。センサの大きさは175mm(幅)×125mm(奥行)×25mm(高さ)で、ベッドヘッドやベッドマットレス下および天井に設置して使用する。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000052058.html

dSPACE、車載レーダーセンサの自動エンドオブライン(EOL)テストソリューション

dSPACEは、dSPACE Automotive Radar Test System(DARTS)のラインナップを拡大し、車載レーダーセンサの自動エンドオブライン(EOL)テストソリューションを発表した。同社がNOFFZ Technologies社と協力して開発したこの新たなテストソリューションを使用すると、レーダーベースの運転支援システムの信頼性と精度が向上するという。

近年のEOLテストベンチは、放物面鏡を用いて平面波を生成するコンパクトアンテナテストレンジ(CATR)方式を採用しており、特に大量生産時に使用される。このようなテストベンチでは、長い距離を必要とする遠方界でのセンサの適合を小規模なセットアップで行うことが可能なため、従来の「直接遠方界」(DFF)テストシステムと比較すると、必要な設置面積がわずかで済む。

レーダーセンサの適合では、極めて反射性の低い吸収材を使用した暗箱と統合されたレーダーターゲットシミュレータが用いられます。ここでは、高精度のドライブを使用してレーダーセンサを放射中心の周りで縦横両方向に回転させるというテストシーケンスをあらかじめ定義して実行する。つまり、このテストシステムは特に4Dレーダーやイメージングレーダーといった最新のレーダーセンサの適合に適しているとのこと。

ニュースリリースサイト(dSPACE):
https://www.dspace.com/ja/jpn/home/news/dspace_pressroom/press/automated-validation-and-calib.cfm?nv=nb

ST、AMOLEDディスプレイ向けに高集積パワー・マネージメントIC

STマイクロエレクトロニクスは、アクティブ・マトリクス式の有機EL(AMOLED)ディスプレイ向けに高集積パワー・マネージメントIC(PMIC)「STMP30」を発表した。同製品は、低暗電流と優れた柔軟性を備え、モバイル機器のバッテリ駆動時間延長に貢献するという。


2.9V~4.8Vの入力電圧範囲を備えた「STMP30」は、3つのDC-DCコンバータを内蔵し、スマートフォンやモバイル機器のAMOLEDディスプレイに必要なあらゆる電源を提供する。VOUT1が4.6Vに固定された他の製品と異なり、STMP30のVOUT1ブースト・コンバータ(550mA)は出力電圧を調整可能。4.6V~5.0Vの範囲で100mV毎に電圧を設定できるため、最小限の消費電力で画面の輝度を最適化し、あらゆる環境で最良の視認性を実現する。最大5.0Vまで設定可能なため、明るい屋外においても高輝度モード(HBM)で最適な視覚体験が得られる。

残り2つの出力は、-0.8V~-6.6Vの範囲で調整可能な単相バックブースト反転コンバータ(550mA)、および5.5V~7.9Vの範囲で調整可能なブースト・コンバータ(150mA)で提供される。出力電圧は、シングル・ワイヤ(S-Wire)のプロトコルを使用して外部ピンから設定する。また、S-Wireのメッセージを受信してAMOLEDを常時オン(AOD)モードで動作させ、超低消費電力でディスプレイに情報を常時表示させることができるため、ユーザの利便性向上にも貢献する。

STMP30は、完全なシャットダウン・モードを備えているため、高い省電力機能を実現するとともに、セーフティ機能として過熱保護、入力減電圧ロックアウト、突入電流を制限するソフトスタート機能などを搭載している。また、高電圧出力向けに高速放電回路が内蔵されており、短絡保護も備えている。
AMOLEDディスプレイ向けPMIC「STMP30」は現在量産中とのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001227.000001337.html

尿から健康状態を見える化し行動変容を促す実証実験「健康見える化プロジェクト」

(株)ファーストスクリーニング、〔以下、FSC〕(株)NTTデータMSE〔以下、MSE〕、小林製薬(株)の3社は、尿から健康状態を見える化し、健康意識を高めて行動変容を促す実証実験「健康見える化プロジェクト(以下、本プロジェクト)」を2022年4月より順次開始する。

今回、FSCは数滴の尿から尿中の成分を測定するセンサ「ハカレルシリーズ」を開発した。本プロジェクトの参加者は、このセンサを使用し、毎日の健康状態を専用アプリで管理する。普段の生活に健康管理食や運動といった健康活動を取り入れ、その成果を数値で実感することで、さらに前向きに健康活動に取り組む状態へつながるかを確認する。
本プロジェクトで得られた成果を活用し、小林製薬はFSCの技術をベースとした「ハカレルシリーズ」の一般発売、MSEはサービスの展開を目指し、取り組むという。

〈本プロジェクトの狙い〉
 我が国の医療・介護費は年々増え続けており、深刻な課題となっている。自らで健康を維持する“予防対策”の確立が求められる中、医療・健康分野では、人から強要されるのではなく、自発的に好ましい行動を促していくことが重要となっている。また、医療・健康分野のデータを有効利用し、自ら健康管理に役立てていく「データヘルス改革」も注目を集めている。
本プロジェクトでは、自身の健康状態を数値で見える化し健康活動の成果を実感することで、生活者の健康意識が高まり自発的な行動変容が促されるのかを確認する。

〈本プロジェクトの概要〉
1.実験内容
 被験者の方には、FSCが開発した尿成分を測定するセンサ「ハカレルシリーズ」を使用し、毎日の健康状態を専用アプリで管理して貰う。実施期間中、健康管理食等の摂取、アプリから提案される健康運動などを取り入れた上で、活動成果を数値で確認して貰う。実験終了後に、被験者の意識や行動にどのような変化がおこったのかを確認する。

2.実施期間(予定)
  以下の対象成分ごとに56日間実施
   尿酸、尿糖      2022年4月より順次開始
   ナトリウム/カリウム 2022年5月より順次開始

3.被験者
  一般募集による健常者約200名以上

4.参加企業・団体一覧
 企業・団体名とその役割
 ●(株)ファーストスクリーニング: ・尿成分を測定するセンサーに関わる技術提供
                   ・本プロジェクトの運営
 ●(株)NTTデータMS:     ・専用アプリの提供
                   ・本プロジェクトの運営
 ●小林製薬(株):         ・ハカレルシリーズのマーケティング協力
                   ・健康活動におけるサプリメントの提供
 ●宮崎大学:            ・健康活動における運動実践コンテンツの提供
 ●(株)武蔵野フーズ:       ・健康活動における健康管理食の提供
 ●(株)タウンズ/クリエートメディック(株)/三和電子サーキット(株) /三和ニューテック(株)
  …その他:            ・本プロジェクトの被験者として参加

5.実験で使用するもの
●尿成分を測定するセンサー「ハカレルシリーズ」
測定器にスティック装着し、尿を数滴かけることで、尿中の「尿酸・尿糖・ナトリウム/カリウム」が測定でき、スティックは使い捨てで衛生的に使用することができる。
測定データはクラウド上で解析・保存され、スマートフォン等の端末で確認や管理することができる。
【特徴】
これまで、自宅で食事や運動等の健康活動の成果を確認するには、体重や血圧測定などが一般的だった。
「ハカレルシリーズ」では“健康情報の宝庫”と呼ばれる体の内側から排出された尿を用いて、健康状態を簡単に、より具体的に見える化することができる。

ニュースリリースサイト(小林製薬):https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2022/_3_28/

GSアライアンス、量子ドットー金属有機構造体(MOF)複合体を用いた人工光合成に成功

GSアライアンス(株)は、この度、量子ドットと金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)を複合化させた独自の触媒を用いて、温室効果ガスであるCO2と水、そして太陽光エネルギーを用いて、外部からの電気エネルギーを必要とせず、燃料や化学物質の中間体原料となり得るギ酸を人工光合成により合成することに成功した。

人口爆発に伴う地球温暖化、資源枯渇、プラスチック汚染問題などの地球環境破壊は深刻になりつつあり、生態系を破壊する壊滅的なレベルになりつつある。このような状況の中、温室効果ガスやエネルギー資源不足に対処するために、植物のように太陽光エネルギーを使って、二酸化炭素(CO2)と水から有機物を生成する人工光合成という技術に注目が集まっている。
CO2は地球温暖化の原因であるとされており、CO2を削減することが脱炭素、カーボンニュートラル社会構築に向けての目標だが、逆にこの悪者であるCO2を原料として使用するのである。CO2を原料として用いることによって、新たな資源エネルギーを生み出し、CO2削減も同時に達成できるという夢のような技術で、現時点では、世界においても日本の研究開発が一歩リードしている。

MOFとは無機金属クラスターと有機リンカーから合成される、新しいタイプの超多孔性の有機無機ハイブリッド材料であり、ナノメートルの分子レベルで構造が制御でき、表面積が非常に大きく、近年、非常に注目されている最先端材料である。これらの優れた特徴からMOFはガス貯蔵、ガス分離、金属吸着、触媒、ドラッグデリバリー、水処理、センサ、電極、フィルターなど種々の応用が検討されている。近年の研究から、MOFがCO2を回収する能力に優れていることが明らかになっており、さらにその回収したCO2を光還元、化学物質の合成など、つまり人工光合成として応用する検討も始まっている。
その特徴のあるMOFの超微細多孔性構造、そして光吸収の波長範囲を合成により最適化できる利点から、他の人工光合成の材料候補である酸化物、金属錯体、窒化物、酵素などより有利になるとも言われている。GSアライアンスでは、そのMOFを合成しており、CO2の吸収に最適なMOFも自社で合成している。

一方で、量子ドットとは、量子化学、量子力学に従う光学特性を持つシングルナノスケール(0.5~9nm)の超微細構造の最先端材料である。量子ドット1個あたりの原子、分子数は数個~数千個といわれており、人工原子、人工分子とも言われている。物質がこのサイズになってくると、量子封じ込めと言われる物理化学的効果により、量子ドットにおいての電子エネルギー準位は連続ではなく、分離が生じ、光励起による発光波長が量子ドットのサイズに依存するような現象を示すようになる。
この量子ドットも、その優れた光吸収能力、励起子を複数生成できる能力、大きな表面積を有していることから、人工光合成に適する可能性のある材料として研究開発が進んでいる。しかしながら、この量子ドットにおいては、耐久性、耐水性に問題があった。
GSアライアンスでは、このMOF、量子ドットを両方とも自社内で合成している。この度、これらの2つの最先端材料を複合化させて最適化することにより、量子ドットの弱点である耐久性、耐水性をMOFに取り込ませることにより向上させ、216 μmol h-1 g-1 catという高収率でギ酸を合成することに成功した。光源としては、約460nm付近に中心を持つLEDライトを使用した。量子ドットの中において光励起された電子が、MOFの金属触媒にスムーズに輸送されることにより、触媒活性を向上させるような相乗効果も加わっているとも推測できる。

この度、人工光合成によって作られたギ酸は水素社会構築に向けても寄与できる可能性がある。水素社会の世界的な普及を拒んでいる大きな原因の1つに水素貯蔵の難しさがあり、水素タンクなどの手法が用いられているが、水素は宇宙で最も小さい元素であり、特に気体の水素を貯蔵するのは非常に困難であり、コストが高くなってしまう。
その点、ギ酸は強酸であるという取り扱い時のデメリットはあるものの、液体なので水素と比較して貯蔵するのがはるかに楽であり、実用化のハードルが大きく下がる。また水素ではなく、ギ酸を直接燃料電池の燃料とするような研究開発もある。もしくは、ギ酸から触媒によりその場で水素を生成させることも可能である。よって、同社では現在、水素ではなく、あらゆる意味で貯蔵が楽な、ギ酸の生成に主な目的をおいて人工光合成の研究開発を進めている。

GSアライアンスは今後もさらなる収率の向上の検討を続け、人工光合成の実用化を目指すとしている。

ニュースリリースサイト:https://www.atpress.ne.jp/news/305329

応用地質とバックキャストテクノロジー、脱炭素分野の地域・社会課題解決に向け業務提携

応用地質(株)と(株)バックキャストテクノロジー総合研究所(以下「BCT総研」)は、脱炭素分野における地域・社会課題解決に向けたビジネス連携を強化する目的で業務提携に合意した。

1.背景・目的
国は2050年カーボンニュートラルを実現するために、そのための温室効果ガスの削減目標を2030年度までに2013年度比で46%削減、さらには50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明した。
また、2050年までの脱炭素社会の実現を基本理念として、2021年には「地球温暖化対策の推進に関する法律」が改正され、地域の脱炭素化に向けたロードマップとして、2030年度までに少なくとも100か所の「脱炭素先行地域」をつくる計画としている。
一方、わが国では、少子高齢化や人口減少、地域財政の悪化、インフラの老朽化、自然災害の増加など、地域の持続可能性を脅かす様々な複合的な課題が存在している。脱炭素や循環型経済、分散型社会の実現のためには、これらの課題も同時に解決していく必要がある。

2.提携の目的と今後の取組み
上記の課題認識を踏まえ、応用地質とBCT総研は今後、応用地質グループの保有する再生可能エネルギーのポテンシャル評価技術や、温暖化に伴う災害確率算定手法、人口動態・ハザード・インフラなどの各種データベースや、BCT総研の保有するバックキャスティング手法を用いた地域の未来デザイン、温室効果ガス削減コンサルティング等を組み合わせ、脱炭素・持続可能な地域づくりに向けたソリューションの開発を目指すこととした。
また、複合的な課題を解決するソリューションを実現する手段として、デジタル技術の活用についても積極的に検討してまいくという。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000047274.html