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小山佳祐氏が近接覚センサで日本ロボット学会「優秀研究・技術賞」受賞

(株)Thinker(読み:シンカー)の取締役であり、大阪大学基礎工学研究科助教である小山佳祐氏が、日本ロボット学会の2022年度表彰において「優秀研究・技術賞」を受賞した。優秀研究・技術賞は、前年度の学術講演会で行われた研究発表を対象に、有用性、独創性、新規性、完成度に加え、登録講演者の講演技術(発表の工夫、質疑応答、発表時間など)を踏まえて総合的に審査され、特に優れたものに対して贈られる賞である。この度は、小山氏が行った「触覚機能を内包する高速・高精度近接覚センサ(※)」をテーマとした研究発表が高く評価されての受賞となったという。

小山は近接覚センサの研究発表により、日本ロボット学会から2018年度にも「研究奨励賞(若手の研究者、技術者を積極的に育成することを目的として、優れた業績をあげた新進の研究者または技術者に贈呈される研究奨励賞)」を受賞している。

※ 近接覚センサ(画像)
「近接覚」は、視覚とも触覚とも異なるモノの認知方法で、見たり、触ったりせずに認知することから「人間にはない感覚」とされている。小山佳祐氏の技術シーズを基にしたThinkerの近接覚センサは、対象物との距離と傾きを同時に計測可能。独自の高速・高精度AI技術と組み合わせることで、従来の産業用ロボットでは難しいとされていた現場に応じた臨機応変なピックアップや、ティーチング負担の軽減を可能にするとのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000106143.html

EsT搭載の3D地中探査システムStream DPとAI解析サービスAiMAPの販売開始

ライカジオシステムズ(株)は、Hexagonディテクションソリューションとして、HexagonグループIDS GeoRadar社の新製品、EsTテクノロジーを搭載した一方向のスキャンで3D地中探査を行うことができるマルチチャネル地中レーダーシステム「Stream DP」と、そのデータをAI解析するクラウドサービス「AiMAP」について、日本で販売開始する。

Stream DPは、二重偏波30chのアレイアンテナを採用し、特許技術EsTテクノロジーを搭載した3D地中探査システム。二重偏波30chアレイアンテナは、Stream DPを一方向に進めるだけで横断・縦断の配管を捉えることができ、さらにチャネル間4.5㎝の高密度なデータ取得により空洞探査も行うことができる。探査深度は、EsTテクノロジーによってこれまでの地中レーダーの深度より1~2m深い深度を実現した。取得データは、解析ソフトiQMAPで波形図だけでなくトモグラフィ(水平断層図)でも解析でき、3D配管図も簡単に作ることが可能。さらに、オプションでAI解析サービス(SaaS)を使用し、結果をAiMAPで全体像を3Dで表示することができ、配管図の作成を短時間で行うことができるようになるという。

【Stream DPの特徴】
・30ch水平・垂直偏波アレイアンテナ:Stream DPは水平偏波11ch、垂直偏波19chのアレイアンテナを搭載し、高密度でスキャンすることが可能。
・EsT(Equalized scrambled Technology)テクノロジー:従来技術の10倍の高速サンプリングで信号を取得し、マルチゲインブーストにより微弱信号も均等化。スクランブル技術によってこれまでノイズでとらえられなかった深いエリアまで探査。これにより600MHzアンテナで1.5~2mの深度で探査可能であったところ、2.5~4m程度までの深度の探査を実現。
・トモグラフィ断層図を使った解析:スキャンした水平面を深さ毎に反射信号を強度で色マップで表し、面で配管位置や空洞を分かりやすく表示。横断・縦断の波形図を呼び出して解析することが可能。また、トモグラフィに配管図を挿入したり、波形図に配管ポイントを挿入したりすることができ、それらを結合して配管図を作成することが可能。

【クラウドAI解析 AiMAPの特徴】
・クラウドでAIを使用し地中レーダーのデータを解析するSaaSソリューション。
・解析ソフトiQMAP上でAiMAP機能を使用しAI解析したデータをトモグラフィマップで表示可能。
・探査したエリアの全容を3Dで捉えることができ、そこから埋設管データを作成することで、解析作業の効率化を実現。

【Stream DPの主な仕様】
中心周波数  :600MHz
チャネル数  :30チャネル(水平11チャネル、垂直19チャネル)
位置デバイス :エンコーダー、PPS(内蔵)、外部GNSS、トータルステーション
電源     :リチウムイオン充電池
サイズ    :116×82㎝
重量     :42kg(システム全体)

ニュースリリースサイト(leica-geosystems):
https://leica-geosystems.com/ja-JP/about-us/news-room/news-overview/2022/09/jp_streamdp_launch

慶應義塾大学での自動運転バス運行に自動運転用塗料「ターゲットラインペイント」

日本ペイントホールディングス(株)のグループで主に工業用塗料の製造、販売を手掛けている日本ペイント・インダストリアルコーティングス(株)は、この度、神奈川中央交通株式会社と慶應義塾大学SFC※研究所が共同研究・運行している自動運転バスの走行システムに同社の自動運転用塗料「ターゲットラインペイント」を提供する。
※慶應義塾大学SFCとは、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの略称。

「ターゲットラインペイント」を活用した自動運転は、関東エリアで初めてとなり、その走行経路に同社の塗料を塗装している。それにより、自車両が走っている位置推定の精度向上に寄与する。

「ターゲットラインペイント」は、同社が開発したLiDAR(自動運転用のセンサ)が認識できる特殊塗料で、走行経路に塗装するだけで自動運転用のインフラ整備が可能となる。そのため、導入コストやメンテナンスコストの削減が見込めるほか、山林やビルGPSが入りにくい場所でも、塗装されたペイントを認識させて走行を支援する。また、目視ではアスファルトと同化しやすい色のため、道路の路面標示と誤認しづらく、安全面にも配慮しているとのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000307.000007223.html

OPTEX、インテリアに溶け込む防犯センサー『FlipX』を発売

 オプテックス(株)は、2022年9月5日に屋内防犯用パッシブセンサー『FlipX STANDARD(フリップエックス スタンダード 以下、本製品)』の販売を開始した。
 オプテックスの屋内防犯用パッシブセンサーは、室内や廊下への人の侵入情報を警報・警戒機器へ伝えるセキュリティ機器で、人体から放出されている赤外線を検知する仕組み。本製品は、既存モデルに代わる主力製品として新たに開発した。インテリアに溶け込む自然なデザインと、簡単に調整できる検知エリアが特長で、壁付けの屋内防犯センサーが好まれる北米や欧州から本格展開するという。

開発の背景
 オプテックスは1970年代から屋内用セキュリティセンサーを開発。ノイズ対策技術や光学設計、各国の公的規格遵守などを徹底し、国内外で多数販売してきた。
​ 現在ロングセラーモデルとなっているRXシリーズ等のパッシブセンサーだが、より競争力を高めるため大幅なアップデートを実施。本製品を新たな主力モデルとして各国への展開を開始いする。なお、本製品はシリーズ第一弾であり、ラインアップ拡充も並行して推進するとのこと。

ニュースリリースサイト(OPTEX):https://www.optex.co.jp/news/2022/0905.html

IoT/AIの時代の「センサ」

三田 典玄
(株)オーシャン
IoT事業部長
三田 典玄

【「センサ」の意味が変わる】

 このところ、様々なIoT関連の機器の利用、活用のご相談を受けることが多いのですが、依頼される内容を良く聞いていると、やはり「こんなことができないか?(できるはず)」みたいな感じでのお話を頂きます。いや、できます。できますよ。でも、お金はこのくらいかかります、というお見積りで実現することもあれば、実現しないことも増えてきました。スマートフォンの普及などでIT機器と言うと、非常に安く買える「マスプロダクト」の値段を考えている方が多く、開発のお仕事の成約に至ることは多くありません。私達が作っていいるのは、お客様専用のものが多く、そういうものはやはり割高にならざるを得ません。

 そういうお客様とのお話の中で、お客様が言っている「センサ」の意味が、少しですが、作っている側の私達の意味とは違うのがなんとなくわかってきました。

【「センサ」の意味】

 私たちのお客様と言っても、通常は全くの素人では無く、ソフトウエアなどを開発する企業なのですが、昨今のソフトウエア開発はツールが揃ってきて、かつ安価になったこともあり、基礎的で高度なものは減っています。むしろその先のエンドユーザーが使うソフトウエアを作っているところが多いのが実情です。ソフトウエア開発業者・システム構築業者にとって「センサ」とは、「何らかの事象を教えてくれるもの」という感覚があります。しかし、私達センサ部分を実際に知っていて、その上でシステムを作る側では「センサ」というと、個々の事象を正確に出力するもの、と言う事になり、話をしていると、どこか齟齬が感じられることが多くなりました。簡単に言えば「センサ」の意味が少々違うのです。

【温度センサを例にすると】

 例えば「熱中症の検出」を例にすると、お客様の目的が見えてきて、それが我々が考えていることと違うことを言っていることがわかるときがあります。お客様の知りたいことは「その場が熱中症の危険がある場所かどうか知りたい」のであって、実際の温度の数値は目安として考えているだけだったりします。しかし、私たちセンサ屋は「XX℃」という温度を出力すれば、お客様が勝手にその値を使ってくれる、と思っても大方間違いでは無いけれども、ニュースなどで見る「熱中症」の原因は、たしかに温度は大きなファクターではあるものの、その他に「湿度」とか「体表面温度」「深部体内温度」、さらには「現場の風速」「結果としての体感温度」など、実は測定する項目も多岐に渡ることが本来は必要だったりします。「どこの温度を測るか」なども大きな問題です。しかも、身体に直接触るセンサは電気が通電しているものですから、開発したものを量産し正式に商品として売り出す場合などは厚生労働省の認可の問題などもあったりします。解決すべき問題が山のようにあります。簡単ではありません。

【結局のところ】

 まずどこの温度をどのように測るのか?それをどう処理するのか?湿度は関係するのか?など、許認可の問題を除いても、様々な検討事項があります。この検討事項をクリアして、システムの設計をしますが、そうなれば温度だけではなく、湿度、人の動きを知るモーションセンサ、風速計、などなど、多くのセンサが必要になることも多いわけです。当然、測定する場所や部位も問題になります。そして、様々なセンサのデータを複合して、ソフトウエアの処理はどうやって「熱中症の危険」を判断するのか?というところに集約させていくことになります。熱中症になったらまずいのでセンサを使うわけですから「熱中症になったのかどうかを判断する」のではなく「熱中症になるかどうか危険度を知りたい」わけです。熱中症になったのは、その人の症状でわかりますから、なってから「熱中症ですね」というわけにはいきませんし、センサを使う意味もない。通常は見ればわかりますから。

【「事象」と「現象」】

 そこで、センサイトの中での議論では「熱中症の危険リスク判定」をすることを「事象センシング」とし、そのためのパラメータの1つとして「温度測定」をするわけですが、それを「現象センシング」と言うように分けることにしました。このように分けないと、実際に使われるお客様とのセンサに対する認識の齟齬などでトラブルが起きることが予想されるからです。

【小さなコンピュータ】

 また、最近は低消費電力の小さなコンピュータが流行っています。これが扇風機のような安価な家電製品にも入っていて、様々なことができる様になっています。つまり、小さくて高性能で低消費電力で安価、そして外部のボタンやセンサやディスプレイ、果ては無線での通信機能など入出力を持つコンピュータ(CPUやCPUを含んだボード)が出てきているので、これを使って、複数のセンサのデータ処理をしてそのコンピュータもまとめて「センサ」ということにする、という流れが大きな流れになっています。つまり「現象」「事象」という分け方で言えば「事象」を出力するセンサとコンピュータのひとかたまりのシステムが「センサ」と一般では呼ばれるものになってきた、ということです。この実際的な例としては「LiDAR」が挙げられます。

【小さなコンピュータの例】

 センサなどで機器を作る時の小さなコンピュータの例として、良く取り上げられるのが「Raspberry Pi」です。このコンピュータの単価は1つだけサンプルを買うと1万円を越えます。しかし、ディスプレイのインターフェイス、キーボードやマウス、カメラなどをつなげるUSB、内部のメモリも大きく、ストレージもmicroSDメモリカードが使えますので、小さなPCとして使えます。加えて、開発用のソフトウエアも、エディタからコンパイラなども全てこの上で無理なく動かせるので、試作品の開発には十分使えるものです。当然ですが、IoT開発の教育用にも多く使われています。

Raspberry Pi - 英国Raspberry Pi財団のホームページより
(Raspberry Pi – 英国Raspberry Pi財団のホームページより)

 一方、プログラム開発の容易さ、ということでは、Auduinoというコンピュータが有名です。価格も1つのサンプル価格で3千円くらいですが、これをPCに接続して、PCをキーボードと画面として使えます。センサの入出力は低速度ながらA/Dコンバーターなども備えられており、これも試作品開発に良く使われます。こちらはむしろ「教育用」として使われることが多いようです。

Auduinoのホームページ
(Auduinoのホームページ)

 実際の機器への組み込みは、できるだけ低コストにするために、小さく、安価で、発熱等の少ない、それでいてインターフェイスが豊富なコンピュータが使われます。こちらは、コンパイラなどの開発ソフトウエアは必要ないので、できたプログラムを実行して動かすだけのものになります。必然的にメモリ容量、ストレージ容量なども小さなものを使います。代表的なものに「ESP32」という小型ボードコンピュータがあります。標準的なセンサに接続するインターフェイスから、インターネットなどに接続する通信インターフェイスなどもハードウエア、ソフトウエアともに、持っていて、1つのサンプル出荷価格で千円前後です。カメラのインターフェイスを持っているものもあります。ESP32は中国・上海のEspressif Systemsが開発し世界に供給しています。

ESP32開発用ボードの写真
(ESP32開発用ボードの写真 Amazon.co.jp(https://www.amazon.co.jp/dp/B07WJDFLCM/)より。)

 最近注目されているのは、CPUに「RISC-V」を使った小型のコンピュータです。Amazonなどでも売っているこのコンピュータは、顔の画像認識機能を持つソフトウエアも込で売っていますが、価格は1個のサンプル価格で約4千円弱です。

RISC-V
(Amazon.co.jp((https://www.amazon.co.jp/dp/B08SQBDTLZ/)より)

 RISC-Vは組み込みコンピュータで多く使われ始めている最新のコンピュータですが、特徴は「オープンソース」にあります。つまりこのCPUの全ての知財が公開されていて、誰でも無料で使うことができます。この前までに紹介してきた組み込み型のコンピュータのCPUの設計は全てARM社が設計しライセンス販売しており、CPUの価格にはそのライセンス料が上乗せされていますが、RISC-Vにはそれがありません。そのため、多くの低価格の組み込み機器に少しずつ使われて来ています。

 これらの設計図を使ったCPUチップのほとんどは台湾のTSMC社がライセンスを受けて生産しています。TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)は、ICの製造メーカーですが、設計などの知財は米国のQualcomm社等、ARMアーキテクチュアのCPUであれば英国ARM社などが持ち、そのライセンスを買ったメーカーからの委託を受けてTSMCが実際のチップを作る、という「ファウンダリー」と呼ばれる企業で、世界最大の企業です。米国や日本でもTSMCが工場を建てるということで、多くの補助金が政府から出ることが決まっています。

【IoTはソフトウエアの時代に】

 前述した「LiDAR」は多くの分野で注目のセンサ技術ですが、その肝になる技術は全て以上の小さなコンピュータに載ったソフトウエアです。例えば、イメージセンサは画像をそのまま撮ってデジタルデータ化してコンピュータに送り、そこで画像処理ソフトウエアが働き、そこで認識されたデータをどう使うかが重要、という時代になりました。半導体企業で有名な米国Intel社も無料で画像処理のソフトウエアの重要な部分をまとめた「OpenCV」を無料で2015年から公開しており、画像処理システム開発者により良い開発環境を供給することに努めています。日本語の詳細なマニュアルもあります。コロナ禍の現在、施設の入り口などでの顔認識・体温測定などの機器を見ることが多いですが、あの中にも「OpenCV」が使われていることがほとんどです。現在、多くの画像処理システムでOpenCVが使われていますが、このソフトウエアをはじめ、多くの重要かつ膨大なソフトウエアが現在は基本、無料で「オープンソース」として世界中にインターネットを通して提供されており、短期間でのセンサシステムのAI化などにも貢献しています。つまり、ソフトウエアにおける「オープンソース」を知らなければ、安価で高度なセンサを利用したシステムはできない、という状況です。逆に言えば、高度でインテリジェントな機能を持つ複合センサシステムの短期間での開発は、オープンソースが可能にした、とも言えます。時代はソフトウエアの時代になった、ということではないでしょうか?



三田 典玄

【著者紹介】
三田 典玄(みた のりひろ)
株式会社オーシャンIoT推進部長

■著者略歴・他
元・東京大学先端科学技術センター 協力研究員 (専門:IT)
元・産業技術総合研究所 特別研究員 (専門:遺伝子解析)
元・韓国・慶南大学校 教授 (専門:IT)
NPO法人・日本フォトニクス協議会 ITアドバイザー
現在:株式会社オーシャンIoT推進部長

IT関連著書 アスキー、オーム社 「入門C言語」「実習C言語」「応用C言語」
東海大学工学部通信工学科卒業 ( アモルファス半導体物性専攻 ) 工学士

「徳島大学におけるイノベーション ~多様な産学連携の推進~」
 1章:地方大学・地域産業創生交付金事業における産学連携(1)

徳島大学 研究・産学連携部 地域産業創生事業推進課

はじめに

 2018年度、地方創生と地方大学の改革を目的とした内閣府、文部科学省による地方大学・地域産業創生交付金事業が創設された。同事業に徳島県の「次世代“光”創出・応用による産業振興・若者雇用創出計画(以下、「次世代ひかりトクシマ」という。)」が採択され、徳島大学はその中核を担っている。本稿では、次世代ひかりトクシマの概要と、これを通じた地域との産学連携について紹介する。

図1 次世代ひかりトクシマHPより
図1 次世代ひかりトクシマHPより(https://www.tokushima-u.ac.jp/hikari/about/)

1.1 次世代ひかりトクシマの目的

 徳島県では、本県が抱える課題解決に向け、県内の主要な産官学金の機関の参画を得て、主幹会議である「とくしま大学振興・若者雇用創出推進会議」を設置している。本会議主導のもと、本学や産業界が有する地域の強みを活かした光関連産業の振興と専門人材育成などに産官学金連携で取り組んでいる。
 本事業の申請に当たっては、今後進む高齢化社会を見据えたフューチャーセッションを開催し、県内の多様な方々に参加いただいた。その結果、高齢化をすべての人が幸せになるチャンスに変えていく「創造的超高齢社会の実現」をビジョンとして掲げることとし、バックキャストにより本学及び地域の強みをもって、これに取り組むこととなった(図2)。具体的には、「光科学を学ぶなら徳島!光産業を仕事にするなら徳島!」と“光”を目指して若者が集う徳島の実現(次世代ひかりトクシマ)に向け、本学では、可視・近赤外光だけでなく、未だ利用されていない波長領域の光に焦点を当て、光に係る研究開発と医光融合研究に取り組み、「キラリと光る徳島大学」の実現を目指すこととした。

図2 次世代ひかりトクシマのビジョン
図2 次世代ひかりトクシマのビジョン

1.2 事業の取組状況

 本学では、徳島県の中核的な産業である光関連産業に貢献するべく、本学の強みである光科学分野を更に強化し、総合医科学分野等への応用・展開を進める研究拠点「ポストLEDフォトニクス研究所(以下、「pLED」という。)」を設置した。pLEDは、「新しい光の創出と応用」を研究目標に掲げ、未利用の波長領域の光(次世代の光)を中核とした光源開発と医光融合等を通じた応用・製品開発で、世界トップレベルの教育研究拠点を構築するとともに、医光融合人材の育成や企業ニーズを踏まえたリカレント教育など、光応用専門人材の創出を担う。

(1)pLEDにおける研究開発

 「ポストLEDフォトニクス」とは、次世代の光として期待される「深紫外」「赤外」「テラヘルツ」の新しい実用的な光源開発及び応用開拓を指す造語である。我々が日常的に「光」として認識している可視光は、「光」のほんの一部に過ぎず、可視光の短波長側と長波長側には、「深紫外」「赤外」「テラヘルツ」といった波長領域が広がっている。これらの波長領域では、可視光とは異なる特徴的な物質相互作用を示すため、可視光とは本質的に異なる応用が期待できる。例えば、Beyond 5G等の超高速無線通信、食品異物等の検査技術、微量物質の高感度検出や精密分光計測等への応用が期待されている。このようにpLEDは、未知の可能性を大いに秘めた見えない光の領域を開拓し、この研究を推進している。
 pLEDのもう一つの大きな柱として、医光融合研究の推進を掲げている。徳島大学は、国立大学の中で唯一、医学・歯学・薬学・栄養学・保健学が揃っている。その環境を活かすことで、特殊光を用いた癌の新しい内視鏡診断と光治療法の開発、唾液や呼気による健康診断、新規バイオマーカー蛍光体の開発など、健康寿命を延ばし、QOL(Quality of Life)を高めるための光科学と医学の融合研究による新しい医療への応用に挑戦している。



次回に続く-



「徳島大学におけるイノベーション ~多様な産学連携の推進~」
 2章:徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所の産学連携(1)

徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所(pLED)

2.1 pLEDの概要

徳島大学ポストLEDフォトニクス研究所(以下pLEDという。)は、2019年3月に設立された、光分野の研究を行う研究所である。pLEDは設立当初より、可視発光のLEDの開発が多様な応用展開を促したことを念頭に、次世代の光(深紫外、テラヘルツ、赤外・赤外光周波数コム)の光源開発と応用開拓を主眼とした研究分野「ポストLEDフォトニクス」を設定し、これを推進すると同時に、学内に医・歯・薬・栄養・保健分野の学部・学科が揃っている特色を生かした医光融合研究にも力を入れている。これらの先進的な光応用研究は、同じく1章で述べた、「次世代ひかりトクシマ」が掲げる「創造的超高齢社会の実現」に向けた取り組みの一部となっており、それらの研究成果が、大学から地域・社会へと波及・普及することを目指している。

図1 徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所
図1 徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所

 このような背景から、pLEDは、大学の研究特区であるいわゆる附置研としての機能を担いつつ、同時にその他の多様な機能や役割を担っている。その一つが、次節で紹介する研究成果の事業化を念頭においた「産学連携の強化」である。これに対応するため、通常研究所のトップは研究所長となるが、pLEDでは事業化の推進の観点から最高経営責任者(CEO)としている。更に、独自のURAセクション(所内では経営戦略室と呼ぶ)を有し、地域や企業との連携から、研究成果の事業化に至るまで、研究計画や知財戦略のマネージメント等多岐に亘るコーディネートを行っている。また、研究成果の事業化においては、pLED発のベンチャー企業となる「株式会社SpLED (スプレッド)」を設立し、成果の極大化を目指し、事業のプレーヤーおよび産学連携のハブとしての機能を担っている。
 更に、2022年度からは、元々の光分野の専門教育組織である徳島大学理工学部理工学科情報光システムコース光系とpLEDが融合し、光システムコースおよび 新生pLED(名称はpLEDのまま)が誕生した。これにより、教育と研究開発,高度専門人材育成の環境が質・量共に、より一体的に強化され、その結果、産学連携・地方創生に貢献することが期待される。
 最後に、設立から現在までのpLEDの主な研究成果の一つとして、「製品応用に弾みとなる、不活化に有効な深紫外光量の定量化に成功 ~ 様々な環境に応用可能な不活化基礎データの取得に成功 ~」(2020年10月27日プレスリリース、図2)を紹介する。未曽有の事態となった新型コロナウイルスの感染拡大において、pLEDはいち早く、次世代の光(深紫外光)を用いたウイルス不活化において定量的な検証を行い、実際の不活化作業や装置開発の参考となる知見を発信した。

コロナウイルス不活化に関するプレスリリース
紫外線照射装置
図2 コロナウイルス不活化に関するプレスリリースと紫外線照射装置

2.2 産学連携に向けた情報発信

 前述のとおり、pLEDの大きな役割として、研究成果に基づく産学連携を進め、最終的には事業化に基づく地方創生につなげていくことが期待されている。このような背景の下、pLEDでは多様な広報活動や企業との情報交換を活発に行い、産学連携の展開を図っている。pLEDの研究成果は、通常学会や論文誌上で発表され、HPでも紹介される。これらの中で、特に重要な研究成果等においては、プレスリリースとして広く積極的に発信される(図3(上))。近年では、大学等のプレスリリースを主要なポータルサイト等に紹介する有償のプレスリリース配信サービスも利用でき、インターネットを活用することで、情報発信の選択肢は増えてきている。これらのサービスは、国内向けだけでなく、広く海外に向けた配信も可能であり、pLEDでも、インパクトの高い研究成果においては国際的な情報発信サービス「EurekAlert!」にて配信を行っている(“Comb of a lifetime: a new method for fluorescence microscopy,” News release 1-JAN-2021.)。更に、新型コロナウイルスの問題が生じた近年においては、オンラインによる情報発信は必須となりつつあり、pLEDでもオンデマンドでコンテンツを配信できる環境を準備中である。
 pLEDでは、設立当初より、リアルな情報発信の機会として、大都市近郊の大型施設で開催される産業界の展示会への出展参加にも力を入れている。図3(下)は、2022年3月に東京ビッグサイトにて開催された機械要素技術展(RX Japan株式会社主催)に参加した際の展示ブースの写真である。本展示会には、公益財団法人 とくしま産業振興機構の主導の下、県内の企業と教育・研究機関が共同で参加し、主にモノづくりに関連した内容の展示を行った。このような展示会ではpLEDの研究成果を発信すると同時に、それらの知見を具体的に産業応用に展開する視点での展示を心がけており、実際にブースを訪れた企業の方々から、後日相談の問い合わせをいただく機会も増えてきている。

産学連携のための情報発信
機械要素技術展参加時の徳島県ブース(2022年3月、東京ビッグサイト)
機械要素技術展参加時の徳島県ブース(2022年3月、東京ビッグサイト)
図3 (上) 産学連携のための情報発信と
(下)機械要素技術展参加時の徳島県ブース(2022年3月、東京ビッグサイト)

 このような取り組みの中で、最終的には、pLEDの研究成果に基づくシーズと、企業や社会が抱えるニーズが結び付き、種々の問題解決や新製品・新技術の実現など、広く社会実装につながることが期待される。一方で、このようなコミュニケーションにおいて、pLED側の研究者も多くの情報に触れることで、大学の中だけでは生まれることの無い新たな研究のアイデアに結び付く可能性もあり、有意義な情報交換の機会となっている。また、図3(上)で示したように、pLEDより研究に関する情報を発信し、これらに対して企業等より問い合わせをいただく場合が多いが、一方で、社会人として企業で働く徳島大学の卒業生から直接問い合わせをいただくケースもあり、このような繋がりの重要性を感じることも多い。



次回に続く-



「徳島大学におけるイノベーション ~多様な産学連携の推進~」
 3章:CO.TOKUSHIMAの活動(1)

 

徳島大学 研究・産学連携部 地域産業創生事業推進課
徳島大学 高等教育研究センター学修支援部門 創新教育推進班 徳島大学i.school

3.1 CO.TOKUSHIMAの目的

 徳島大学では、「共創」を示すコ・クリエーションの醸成を目的に徳島発のイノベーション創出の手法確立を推進する事業として「CO.TOKUSHIMA」を設置している。地方人材の活用と未来の創出に向け、徳島大学の学内、地域産業界および徳島県をはじめとした県下自治体・地域それぞれに対しコミュニケーションの知見と場を提供するとともに、各組織を結ぶ連携・協働の対話を促進することで、地方人材によるイノベーション創出の土壌を形成するため、以下の3つのミッションに取り組んでいる。

(1)地域課題と大学のシーズを題材とした、徳島発のイノベーションを生み出すワークショップ手法の確立
(2)対話の手法を地域に根づかせるための大学を起点としたファシリテーション人材育成と大学全体にファシリテーションの基盤・体制づくり
(3)徳島大学内にニーズ発イノベーション創出のための体制づくり

3.2 ミッション実現に向けた活動・成果

 CO.TOKUSHIMAでは、徳島大学教職員・学生・企業・地域に向け、事業支援のためのビジョン作成やチームビルディング、研究・産学連携・地域支援のアイデア発想、人材育成のためのイノベーション教育と、テーマに合わせたさまざまな対話の場やワークショップを提供している。具体的には、地方大学・地域産業創生交付金事業応募に向け、産官学金のステークホルダー50名を集め開催したビジョン作成ワークショップ「徳島の「光」で創造的超高齢社会の将来を明るく照らす」(図1(左))をはじめとして、これまでにCO.TOKUSHIMAが企画したワークショップは合計89回、参加者3773名(累計)、参加企業数64社(累計)、参加高校数17校(累計)に上る。
 ワークショップの手法としてはフューチャーセッションやグラフィック・ファシリテーションといった専任ファシリテーターの強みを活かしたものに加え、東京大学i.school(現在は一般社団法人日本社会イノベーションセンター:JSIC)が開発した「破壊的イノベーション」を起こすための思考プロセスを体系化したワークショップ「イノベーションワークショップ」や、前述のスタンフォード大学発「バイオデザインワークショップ」といった先進的なイノベーション創出アプローチ手法も取り入れている。

3.3 CO.TOKUSHIMAのワークショップの事例

・内閣府交付金事業「次世代ひかりトクシマ」事業支援ワークショップ
1)『徳島の「光」で創造的超高齢社会の将来を明るく照らす』
 2018年4月6日、4月19日に開催したワークショップ「徳島の「光」で創造的超高齢社会の将来を明るく照らす」では、「徳島にはどんな未来が必要か?」というテーマの未来志向のワークショップ“ フューチャーセッション”を行い、事業関係者を広く集めてアイデアを抽出し、「創造的超高齢社会」とは”高齢化を、すべての人が幸せになるチャンスに変える社会”であると定義してビジョンを作成。このビジョンを元に内閣府交付金事業に申請し、採択された(図1(右))。

「徳島の「光」で創造的超高齢社会の将来を明るく照らす」ワークショップ
ワークショップから生まれたビジョン
図1 (左)「徳島の「光」で創造的超高齢社会の将来を明るく照らす」ワークショップ
(右)ワークショップから生まれたビジョン

2)「フューチャーサーチで導く 未来共創ワークショップ」
 2021年7月5日、7日に開催した「フューチャーサーチで導く 未来共創ワークショップ」では、内閣府交付金事業に参画する産学金官36名のステークホルダーが過去、現在、および未来の様々な視点からダイアログ(対話)を行った。このダイアログを整理することで、参加者の共通の価値(コモングランド)を見いだし、これに基づいて将来のビジョンを描くことで、未来共創のイメージを具体的に共有することができた。

図2 「フューチャーサーチで導く 未来共創ワークショップ」
図2 「フューチャーサーチで導く 未来共創ワークショップ」


次回に続く-



「徳島大学におけるイノベーション ~多様な産学連携の推進~」
 4章:高等教育研究センター 学修支援部門 創新教育推進班(イノベーションプラザ)の活動(1)

 

徳島大学 研究・産学連携部 地域産業創生事業推進課
徳島大学 高等教育研究センター学修支援部門 創新教育推進班 徳島大学i.school

4.1 創新教育推進班(イノベーションプラザ)

 近年、世界経済の環境変化が激しさを増し、日本の産業競争力低下が懸念される中、大学にはその変化に対応できる人材の育成が期待されている。急速にグローバル化が進む世界において、技術力と製品化で世界を先行していた日本が再び勢いを取り戻すためには、経験のない課題や問題に対しても的確に物事を捉える課題発見力や、それを解決するための自主性や探求力、独創性、表現力等を備え、デザイン思考によりイノベーションを創出できる人材の育成が不可欠である。
 そこで徳島大学では、イノベーション教育に関連する学内資源を集約した「イノベーションプラザ」を設置し、「創造」「自主」「共創」の理念を基に、今までにない新しいアイデアを生み出し、社会の様々な課題を解決できる真のイノベーション人材の育成を目指している。これを実現するため、学生の創造性とアントレプレナーシップを育成するイノベーション教育手法と学習達成度評価法を開発するとともに、その成果を学内外に情報発信することで、イノベーション教育の推進を支援している。これらの目的を達成するため、イノベーションプラザには次の3つの担当を用意している。
 「イノベーションデザイン担当」は、イノベーションの基盤である課題の探索と解決のための新規アイデア創出を支援している。2018年4月には産学連携による課外活動「イノベーションチャレンジクラブ」を発足させ、徳島にいながら東京や大阪などに本社機能を持つ企業のリアルな課題に対し、デザイン思考で課題解決を目指す課外活動に取り組み、2018年から2020年までの3年間で、延べ79名が活動を行ってきた。これらの活動は、現在「徳島大学i.school」の活動へと受け継がれている(詳細は本特集号「3章 CO.TOKUSHIMAの活動」を参照)。
 「イノベーション創成担当」は、学生の自主・共創の精神を養成し、学部学科の分野を横断する自主的なプロジェクト活動を支援している。具体的には、プロジェクト活動の計画・実行に関する助言、活動場所や発表機会の提供、目標の達成度評価、活動成果の発信などを行っており、学生は「自らを創成する」ことを目的に様々なテーマに取り組み、また、地域貢献として子ども達を対象にした科学イベントや企業との交流なども行っている。所属人数は2019年度156名(8プロジェクト)、2020年度132名(7プロジェクト)、2021年度195名(7プロジェクト)、2022年度223名(6プロジェクト)と、全学部から学生が参加し、活動している。
 2022年度は、徳島初の電車走行を目指す阿波電鉄プロジェクト(図1)、ゲーム制作を通して専門技術や社会人基礎力の習得向上を目指すゲームクリエイトプロジェクト、鳥人間コンテスト滑空機部門への出場を目指す鳥人間プロジェクト(図2)、自作燃料でのハイブリッドロケットの製作打上を目指すロケットプロジェクト(図3)、災害時救助のためのロボットの技術開発などを競うレスキューロボットコンテスト2022で「消防庁長官賞」を受賞したロボコンプロジェクト(図4)、学生のよりよい大学生活を目指すアプリ開発プロジェクト(仮)の6プロジェクトが活動している。この中で2018年度からスタートした鳥人間プロジェクトでは、活動4年目となる2021年に、念願の初出場を果たした。

図1 電車走行を目指す阿波電鉄プロジェクト
図1 電車走行を目指す阿波電鉄プロジェクト
図2 鳥人間プロジェクト
図2 鳥人間プロジェクト
図3 ロケットプロジェクト(2020年に打ち上げたTRP-HR10 EDDY号)
図3 ロケットプロジェクト(2020年に打ち上げたTRP-HR10 EDDY号)
図4 ロボコンプロジェクト「とくふぁい!」
図4 ロボコンプロジェクト「とくふぁい!」

 「社会実装担当」は、後に示す大学産業院と連携し、学生生活から生まれたアイデアの実社会への実装に向けた取組みを支援している。ビジネスコンテスト参加支援として、学生に対してプレゼンテーションや申請書類作成のサポート、徳島県外で開催されるコンテストの交通費や参加費の補助を行っている他、学生の社会実装活動を支援する助成事業「仁生イノベーショングラント」を平成28年度より実施している。その他にも、学生の取り組みを徳島県内で活躍する企業代表者に知っていただく機会を創出し、参加学生のアントレプレナーシップ醸成を目指す「徳島ネットワーキングピッチ」や、学生のクラウドファンディング支援など、幅広い支援を行ってきた。クラウドファンディングについては、学生プロジェクトからは4つ、イノベーションチャレンジクラブからは1つのプロジェクトが実践し、すべてのプロジェクトで目標を上回る金額を達成した。
 これらの取組の中で生まれた徳島大学発ベンチャーである株式会社KAIは、 2021年3月に開催された「Japanビジネスデザイン全国発見&発表会η(イータ)2020-2021」において、女性起業家大賞、ナイスビジネス賞を受賞した。
 イノベーションプラザでは、これらの担当を通して、アイデア創出から自主的プロジェクト活動による実践活動、社会実装までの一貫した実践的イノベーション教育を目指した活動を続けており、着実に成果を挙げている。



次回に続く-



NextDrive、家庭向け行動変容型節電プログラムの実証プロジェクトに参画

NextDrive(株)は、コスモ石油マーケティング(株)が 会津若松市で開始する行動変容型の節電行動誘引実証実験「瞬時電力見える化・節電実証プロジェクト」にHEMS(Home Energy Management System)サービスを提供し、参画する。

NextDriveの提供するゲートウェイ「Cube J」とモバイルアプリを利用したIoEプラットフォームに備わった電力使用量の即時可視化と利用者への通知機能を活用し、需要家が電力需要の変化を体感することで節電に対する気付きを得ることができる。
これまで節電行動を促す取り組みは、その成果を確認するまでに時間がかかり、利用者の行動に対するリアルタイムでのフィードバックが非常に困難だった。そのため、利用者の継続的な節電行動に対する動機づけが難しくなるなどの課題を抱えていた。
「Cube J」とご家庭のスマートメーターを接続することで、瞬時電力値を30秒間隔で把握可能となり、また、任意の消費電力しきい値を設定することで超過時にアプリへの通知を行なう。
利用者は自身が行なった小さな節電行動の結果を、すぐさまアプリで確認することが可能となる。

今回の実証プロジェクトにあたり、NextDriveのIoEプラットフォームを活用することで、コスモ石油マーケティング、会津若松市ならびにスマートシティプロジェクトAiCTコンソーシアムが構想していた節電プログラム実証を準備期間わずか1ヶ月程度という短期間で実現することができた。
NextDriveでは脱炭素化の推進やエネルギー価格高騰を背景として引き続きニーズの高まるエネルギーマネジメントシステムの高度化に注力していくという。

「瞬時電力見える化・節電実証プロジェクト」の詳細は、コスモ石油マーケティングのプレスリリースを参照。
https://com.cosmo-oil.co.jp/press/p_220830/index.html

■HEMS/IoEゲートウェイ「Cube」
機能性に優れているだけでなく、シンプルなデザインと小型サイズが特徴のHEMS/IoEゲートウェイ。コンセントに挿すだけで利用でき、センサ・カメラなどのデバイスと併用すると、スマートフォンで気軽に電力可視化と家電の遠隔操作などが可能となる。
「エコーネットコンソーシアム」が制定した、国際通信プロトコルECHONET LiteのAIF認証(Application InterFace認証)を取得。
優れたデザインに贈られるグッドデザイン賞を受賞(2017年度)。
サイズ:48mm × 48mm × 43mm
電源:AC 100〜240V 50/60Hz
無線通信規格:Wi-Fi (802.11 a/b/g/n/ac) / Bluetooth Low Energy (BLE) 4.2 / Wi-SUN (Rohm BP35 C0)

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000045698.html