佐藤 眞平
1.はじめに
光学式モーションキャプチャはエンターテインメント向けの機器として、
・アクターの動きのデジタル化
・オブジェクトの位置姿勢のデジタル化
ツールとして、拡く利用されてきた。
そして昨今のVR/ARなどにおける高精度トラッキングシステムとして、主にロケーションVRの施設を中心として用途の拡がりを拡大している。
基本的にはマーカーと呼ばれる反射体を人体やヘッドマウントディスプレーなどの対象に貼付し、そのマーカーをカメラによる三角測量により、位置測位を行う原理である。我々は長らくその計測原理に基づき、より高精度な3次元トラッキングシステムとして利用できるよう、システムの改善を行ってきた。その結果として、類を見ない3次元位置測位システムとしてのシステム化を実現した。それによる用途の拡大は従来のそれと比較して、飛躍的に拡がる可能性を持つ。モーションキャプチャ応用技術の進化として、本編に記す。
2.位置測位システムの特徴
空間における位置を検知する位置測位システムには、様々な手法がある。
現在、世の中にある代表的な位置測位システムと計測原理、精度等を以下に記載する。
・GPS
原理:複数の人工衛星との距離より測位
精度:2-5m程度
環境:屋外
測位範囲:衛星が届けばどこでも
・Wifi
原理:アクセスポイントからの電波強弱と到達時間により測位
精度:5-10m程度
環境:屋内
測位範囲:50m程度
・ビーコン
原理:発信機からの電波強弱と到達時間により測位
精度:0.5-10m
環境:屋内
測位範囲:10-100m程度
・IMES
原理:衛星と同等の信号を発信する送信機にあらかじめ緯度経度やフロア情報等の位置情報を持たせ、端末でその情報を読み取る方式
精度:5m程度
環境:屋内
測位範囲:10-15m程度
・UWB
原理:電波到達の時間により測位。基地局と端末の時刻同期とnsレベルの高速サンプリングにて電波方式の測位技術では一番の精度を持つ
精度:5-10cm程度
環境:屋内
測位範囲:10m程度まで
・SLAM
原理:移動体に搭載したセンサにより環境の特徴点を検出し、登録された地図情報を参照に自己位置を推定
精度:1-2m程度
環境:屋内、屋外共に可能
測位範囲:300m程度まで
・モーションキャプチャ
原理:画像位置測位による三角測量
精度:0.1-1mm程度
環境:屋内(屋外も可)
測位範囲:100m程度まで
上記の比較により、モーションキャプチャが位置測位システムとして精度が非常に高いことは上記にてご理解頂けると思う。
更に
・サンプリング周波数の高さ(200Hz以上 低サンプリングも可)
・遅延の少なさ(5msec程度)
・位置と同時に姿勢(ベクトル)の算出
・複数対象の位置を同時に測位
を実現しており、位置測位システムとしての用途を拡げている。
3.モーションキャプチャが最高精度の位置測位システムとなる理由
モーションキャプチャシステムは運用面、機能面にて以下の特徴を挙げることが出来る。
・非接触で多点の高精度計測
・運用の手軽さ
・対象毎にシステム構築が可能な柔軟性(カメラ配置等)
電波ノイズ等も考慮が不要で、運用面でも他と比較し、優位性を持つことから、今後の拡がりが期待できる。
4.第三者評価による精度評価
我々はモーションキャプチャシステムの保証制度を刷新し、JCSS (Japan Calibration Service System)標章付き校正証明の発行に対応した。本サービスはモーションキャプチャシステムで初めてJCSS 標章付き校正証明に対応し、計測における信頼性向上に貢献し、トレーサビリティの担保を可能としている。
・取組の背景
新しい計測手法として精度に対する信頼性や保証の仕組みを整えている過程で、当社はトレーサブルな計測に向けて一般校正での校正器による校正サービスを実施してきた。そして、産業の国際化に伴い、ISO 9000 やIATF 16949 取得など品質管理への取り組みが盛んになってきていている中、本システムにおいてもより信頼性が高い保証制度への対応が課題となっていた。
・本制度の効果
当社は、長年に渡り、モーションキャプチャによる工業計測を実施し、一般校正を積み重ねたことにより、第三者機関による客観的な評価を受け、国際的に信頼性の高いJCSSの保証制度による証明が可能となった。その結果、ご利用者様に対して、トレーサビリティの担保をサポートできるようになった。
※JCSSについて
JCSS とは、日本における計量法に基づく「計量法トレーサビリティ制度」です。本制度は、「計量標準供給制度」と「校正事業者登録制度」から成り、独立行政法人製品評価基盤機構(NITE)により校正事業者登録制度として運営されている。本制度は、APAC(アジア太平洋認定協力機構)及びILAC(国際試験所認定協力機構)の相互承認(MRA)への参加により、国際的に信頼性のある証明として扱われている。また、本制度による証明書は、米国(NVLAP、A2LA)、英国(UKAS)、ドイツ(DKD)、オーストラリア(NATA)などが認定した校正機関の発行する証明書とも同等になる。
※精度保証の取組みについて
我々は測定精度の信頼性や保証に向けて、国家計量標準機関として計量標準および関連した計測技術の開発を行う産業技術総合研究所 計量標準総合センターからの技術支援を受け、光学式3D計測における精度保証の取組みも行なっている。新しい計測手法である光学式3次元計測において、既存のISO規格への適用性の検証及び光学式3D計測に適した検証方法を起案し、保証の仕組みづくりや規格化に向けた取組みを行なっており、信頼性の高い精度結果が得られている。
次回に続く-
【著者紹介】
佐藤 眞平(さとう しんぺい)
アキュイティー株式会社 代表取締役 CEO兼CTO
■略歴
専門分野:画像処理、3次元計測、モーションキャプチャ
東北大学大学院医工学研究科博士課程後期単位取得退学
1998-2008年 画像処理ベンチャーにて技術営業として顧客要件実現及び新規商品開発職に従事
2008-2011年 大手広告代理店デジタルビジネス開発業務に従事
2011-2015年 専門商社にて新規事業開発マネージャとして新規事業及び商品開発
2015年 オプティトラック・ジャパン株式会社創業
2019年 アキュイティー株式会社へ商号変更
モーションキャプチャ技術とその応用分野(1)
モーションキャプチャ事業部 執行役員
石原 範子
1.モーションキャプチャとは?
モーションキャプチャは人やモノの動きをデジタルデータにする技術で、CGキャラクターのアニメーション付け、スポーツ選手の動作解析、ロボットやドローンのリアルタイム制御など様々な分野で活用されている技術である。
モーションキャプチャシステムはその方式の違いにより、光学式・慣性式・ビデオ式などがある。
1.1 光学式システム
光学式モーションキャプチャシステムは複数台のカメラを使ってマーカーの位置をトラッキングするシステムである。位置精度が高く、現在最も幅広い分野で活用されている。
OptiTrackモーションキャプチャシステム基幹ソフトウェアMotiveの画面(右)
1.2 慣性式システム
慣性式モーションキャプチャシステムは、体に装着した慣性センサから得た加速度・角速度・方位の情報を骨格モデルに当てはめることで体の動きを計測するシステムである。
慣性式モーションキャプチャシステムは、体に装着した慣性センサから得た加速度・角速度・方位の情報を骨格モデルに当てはめることで体の動きを計測するシステムである。
図2 NANSENSEモーションキャプチャシステムを装着した人物とNANSENSE Studioソフトウェア画面
1.3 ビデオ式システム
ビデオ式モーションキャプチャシステムは複数台のカメラを使って人の動きをトラッキングするシステムである。マーカーレスでも計測が可能で、精度を求めるときにはマーカーを付けて計測することもできる。
1.4 モーションキャプチャシステム方式の違いによる比較
| 光学式 | 慣性式 | ビデオ式 | |
|---|---|---|---|
| 仕組み | 複数の赤外線カメラで対象に取り付けたマーカーの位置を計測。 | 対象に取り付けた慣性センサの姿勢を計測。 | 複数のビデオカメラで対象のシルエットを読み取る。 |
| 位置精度 | 〇 | △※1 | △ |
| リアルタイム性 | 〇 | 〇 | △ |
| キャプチャ対象 | 人、物 | 人 | 人、物 |
| キャプチャ人数※2 | 複数可能 | 1人 | 複数可能 |
| 専用空間 | 必要 | 不要 | 不要 |
| セットアップ | カメラ設置、スーツ・マーカー装着 | スーツの装着 | カメラの設置 |
| 弱点 | 遮蔽物によるマーカーの欠落 | 磁場の影響によるデータの歪み | 背景色と同化することによる誤認識 |
※1 ソフトウェアにも依存。 ※2 1システムあたりで同時にキャプチャできる人数。 表1 モーションキャプチャシステム方式による比較表
2.様々な分野で活用されるモーションキャプチャシステム
モーションキャプチャシステムは古くは人体の動作計測(スポーツ、歩行、リハビリテーションなど)などで使用されるようになり、より手ごろな価格で入手できるようになると、物体の動作計測・制御(精度検証、ドローン制御、ロボット遠隔操作など)、VR・AR・MR(シミュレーション、教育、VRアトラクションなど)、CGアニメーション(ゲーム、アニメ、映画など)など様々な分野で活用されるようになった。
2.1 人体の動作計測
歩行分析やスポーツ選手の体の使い方など人の動きを解析するためにモーションキャプチャシステムが使用されてきた。伝統芸能や人間国宝など後世に残したい技術を伝承するために三次元化された人の動きをデジタルアーカイブする、あるいは工場の作業者の負担を無くすラインの設計を検討するため、データを収集するなどでも活用されている。
2.2 物体の動作計測
リアルタイムで遅延なく計測できるようになり、モーションキャプチャはドローンやロボットアームのリアルタイム制御でも使用されるようになった。また人体以外の動作計測として動物の動作計測の事例もある。
2.3 VR・AR・MRでの応用
VRゴーグル、体験者の手、道具などの物体にマーカーを付け、その三次元的な位置・姿勢リアルタイムにVR空間へ反映するのにもモーションキャプチャシステムが使用されている。
の物体と同じ現実世界の物体を操作する様子。
全身のみならず、手指の繊細な動きもキャプチャできるグローブタイプのモーションキャプチャシステムを使用し、VR空間でシミュレーションすることもできる。この事例では、位置精度が高く、また遅延なく計測できなければ実現できないコンテンツである。
2.4 CGアニメーションでの活用
ゲーム・映画等のCGアニメーションをアニメータが手付け作業すると莫大な時間がかかる。短期間でより多くのアニメーションを制作するためモーションキャプチャシステムが使用される。
次回に続く-
【著者紹介】
石原 範子(いしはら のりこ)
株式会社スパイス
モーションキャプチャ事業部
執行役員
■略歴
2003年、株式会社スパイス入社。モーションキャプチャシステムがエンターテイメント向けに使用され始めた黎明期よりユーザーとしてシステムを使用してきた同社に入社後、20年にわたりモーションキャプチャの輸入販売に従事。光学式・機械式・慣性式など数多くの方式のモーションキャプチャシステムを取り扱い、一部製品については製品開発にも参加。
アイシン、「子どもの車内放置検知システム」の実用化に向け、刈谷市と実証実験を開始
(株)アイシンは、刈谷市が推進する「刈谷スマートシティ」の取り組みの一環として、刈谷市および市内の幼稚園など3つの施設と連携し、「子どもの車内放置検知システム」の実証実験を開始した。
※画像「実証実験のイメージ」(写真は実際に運営するバスとは異なる。)
昨今、乗用車や施設の送迎バスにおいて車内に取り残された子どもが熱中症で亡くなる事故が後を絶たず、世界的に重大な社会課題となっている。また、このような痛ましい事故を防ぐために、国内外で装備義務化への動きが加速している。
今回の実証実験では、子どもを送迎する施設のバスに、①センシングによる検知・通報、②運転手に点検を促す仕組み、③園児自ら救助を求める「助けてボタン」 の3つの手段を組み合わせた専用システムを装備し、実際の運用を検証しながら実用化に向けたさらなる改良や精度の向上に繋げる。
同社が社会課題解決に向けて開発を進める「子どもの車内放置検知システム」は、要となるセンサに薄型ミリ波レーダーを採用しており、対象物を把握する解像度が非常に高いことが特徴。
センサから得られた情報は、対象物の位置を示すドットデータとして集積され、子どもが呼吸する時のわずかな胸の動きを検知し生体反応としてとらえることで、子どもとそれ以外のものを的確に識別することができる。
今後同社は、本システムを後付け可能な商品として販売していくことを検討しており、必要な場所にはやく適切に届け、安全・安心な社会づくりに貢献することをめざしていくとのこと。
■公式企業サイト 関連記事:明日の“笑顔”を守りたい。
~間近に迫る実用化「子どもの車内放置検知システム」~
https://www.aisin.com/jp/aithink/innovation/blog/005653.html
【実証実験概要】
<対象施設、車両及び実証期間(予定)>
(1)学校法人大和学園 刈谷大和幼稚園
①システム設置車両:幼稚園バス1台
②実証期間(予定):2022年12月14日(水)~2023年1月31日(火)
(2)名古屋カトリック学園 暁星幼稚園
①システム設置車両:幼稚園バス1台
②実証期間(予定):2023年1月11日(水)~2月24日(金)
(3)刈谷市立しげはら園
①システム設置車両:送迎バス1台
②実証期間(予定):2023年1月6日(金)~2月24日(金)
<実施における関係者の役割>
(1)刈谷市 全体調整、フィールド提供
(2)株式会社アイシン システム開発、設置・保守・撤去
(3)対象施設 設置するバスの提供、システムの運用
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000112940.html
福岡市『箱崎商店街』で人流分析の実証実験を開始
オプテックス(株)は、FUKUOKA Smart EAST推進コンソーシアム(九州大学、UR都市機構、福岡市、福岡地域戦略推進協議会)と連携し、『箱崎商店街』における人流分析の実証実験を、2022年12月22日より開始した。
●背景と目的
箱崎商店街は筥崎宮を中心に広がる、昔ながらの商店街である。九州大学移転等で環境が大きく変わるなかでも、独自のデジタルマネー施策などの先進的な取り組みを行い、新しい賑わいを生み出している。現在100店舗を超える加盟店で運営されている。
本実証実験では商店街内の人の流れや店舗流入数を収集。にぎわいを感覚ではなく数値として把握する。また加盟店舗への情報提供を行い、店舗の枠を超えた施策検討やコミュニケーションの活性化に活かされる。
●実証期間
2022年12月22日(木)~2023年2月28日(火)
●実施概要
商店街内の5店舗に「OMNICITY®(オムニシティ)」を使用してもらい、通りと店舗の人流データを取得する。メディアセンサとWi-Fiセンサを商店街の広範囲に設置することで、各店舗の来店行動分析を行うだけでなく商店街全体の人流傾向の把握を試みる。尚、自動ドアセンサを用いた人流・来店分析は国内で3例目、九州では初めての取り組みであるという。
実施主体:オプテックス(株)
支援主体:FUKUOKA Smart EAST推進コンソーシアム(九州大学、UR都市機構、福岡市、福岡地域戦略推進協議会)
協 力 :箱崎商店連合会
ニュースリリースサイト(optex):https://www.optex.co.jp/news/2022/1222.html
IoT向け通信回線の管理・運用を簡便化するMEEQ APIサービス提供開始
NoCode IoT/DX Platform『MEEQ(ミーク)』を提供しているミーク(株)は、MEEQ APIサービスを開始した。
MEEQ APIは、これまでMEEQコンソールでしかできなかった回線の発注やデータチャージ・利用停止などの操作、データ利用量や利用料金などの情報取得が可能になるWebAPIである。これを応用することにより、企業や行政機関・自治体が運用しているシステムにSIMの情報を連携することや、MEEQ SIMを利用したサービスを提供している事業者がエンドユーザー向けの独自のコンソールを用意するなど、様々なニーズに合わせたサービスの展開や運用が可能になるという。
◆MEEQ APIの主な特徴
◇取得できる情報
・SIM回線
通信状態・発注日・利用開始日・製造番号/ICCID・プラン・データ量・IPアドレス・アクティベート期限
・管理情報
利用料金・申込内容
◇操作できる項目
・ユーザーアカウント
検索・作成・削除
・SIM回線
発注・解約・交換・データチャージ・一時停止/再開・グローバル固定IPアドレス設定
◇データ形式
・JSON (REST API)
◆MEEQ APIの費用
◇初期費用
・MEEQ API 工事費用 55,000円(税込)
◇月額費用
・MEEQ API 運用費用 22,000円/月(税込)
※10万リクエスト/月まで、かつ、10リクエスト/秒までの費用。
◆MEEQ APIの利用例
◇自社で利用しているセンサシステムに連携
・各種センサからのデータを集積するIoTの仕組みを運用している企業がMEEQ APIを導入することにより、センサから得られるデータだけでなく、通信状態や利用量の監視なども一元管理できる自社システムの実現が可能。
◇ネットワーク機器のレンタルサービスを展開
・MEEQ SIMとMEEQ APIを導入することにより、事業者がシステムを構築し通信量などを把握できるユーザー向け画面や、機器の返却があると回線を一時停止するような仕組みを構築することが可能。
ニュースリリースサイト(meeq):https://www.meeq.co.jp/news/20221222/
メインマーク、ICT先進技術を活用した法面、急斜面等の崩落危険予知の計測
メインマーク(株)はグループ会社であるメインマーク・ストラクチュアル・コンサルティング(株)と藤沢市、埼玉大学との産学官連携により進めている研究において、体感できない微振動も感知できるICTセンサを2022年12月9日・16日に藤沢市内に設置し、振動データの計測を開始した。ICTセンシング技術を活用し法面の災害予兆を検知する取り組みは全国で初めてという。
■背景
近年、地球温暖化や気候変動を背景とした豪雨などの自然災害が増加している。政府は、災害から国⺠の命と暮らしを守るために国土強靭化をはじめとする防災・減災対策の取組みを進めている。
地方自治体においては、老朽化が進んだ道路法面や橋梁、土砂災害の危険度が高い公園緑地や山林の急斜面等で、豪雨などによる土砂崩れや橋梁の落橋事故が発生し、住⺠の安心安全を確保することが求められている。
■共同研究の目的と内容
ICTセンシング技術を活用し法面、急斜面の変化を計測することで、災害予兆を遠隔管理・把握し、防災・減災に役立てる保険商品やサービス開発について検討している。
土砂災害などによる被害を最小限に抑えるための備えに貢献し、人命を守る。また、管理者側の安全確保や業務の効率化に加え、減災対策の突発的な支出を保険で補填することで経済的合理性の向上を目指す。
2022年12月9日に藤沢市内道路沿いの法面にICTセンサ9機、16日には公園内の法面に6機を設置し、振動の計測を開始した。収集したデータはクラウド上に保存し、法面の変化の有無を分析する。2024年3月末まで研究を進め、災害の予兆が検知できるか検証していく。
崩落の直接的な原因となる豪雨や地震による大きな振動だけでなく、体に感じない微振動も含めたデータを収集し分析できることが本研究の最大の特⻑で、地盤情報の分析を通じて災害の予兆となる変化を検出し、防災・減災につなげていきたいとしている。
■本研究の体制
研究名称:ICTセンシング技術を活用したインフラ(法面、急斜面等)における台風や豪雨などによる災害発生の予兆検知および予兆を踏まえた防災・減災に資する保険商品の開発の検討
研究体制:損害保険ジャパン(株)
朝日航洋(株)
メインマーク・ストラクチュアル・コンサルティング(株)
藤沢市
国立大学法人埼玉大学
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000044633.html
アクアフュージョン、養殖魚自動尾数カウントシステム「MagicCounter」の全国販売
(株)AquaFusionは、養殖生簀の魚の尾数を自動でカウントする「MagicCounter」(以下、マジックカウンター)を12月19日より全国で販売を開始した。
●分養時に生簀間を移動した魚の数を自動でカウント
養殖漁業では、生簀内の養殖魚の密度を適切に保つため、養殖魚が成長すると、元の生簀から他の生簀に魚を移す「分養」という作業を行う。分養を正確に行い、生簀内の密度を生育に適した状態に保つためには予定した個体数を確実に分養する必要がある。しかし、移動する養殖魚の個体数を目視で把握することには限界があり、正確に分養することができずに作業のやり直しが発生することが多く、養殖漁業における大きな課題の1つとなっていた。
マジックカウンターは、生簀と生簀の網を繋いでつくった魚道(通過枠)に超音波の送受波器を設置することで、通過する魚の個体数を海中でカウントするとともに、洋上でリアルタイムに確認できるシステム。リアルタイムで生簀間を移動した魚の数を自動カウントする事ができるため、分養を正確行うための重要な情報を作業者に伝える事ができ、作業の大幅な効率化が可能である。
●誤差10%以内の高精度な尾数把握を実現
従来、生簀の中の魚の確認は水中カメラを利用した方法が主流だった。しかし、カメラでは魚の重なりや海中のにごりなどの環境要因により正確な計測が困難である。そのため当社は、超音波式での計測方法を採用し、当社独自技術「FINE Technology」(高頻度超音波送信センサと、魚体識別アルゴリズム:特許取得済)を応用することで、水質の影響を受けず、魚が密集した状態でも魚1匹1匹を個体識別し正確に個体数をカウントする事を実現した。
また、超音波を使った方法も海中をくまなくセンシングするには非常に大掛かりな装置が必要となり、コスト的に製品化が難しい状況だった。しかし、新たな特許出願中の技術により、部分的に海中を計測すれば、非計測のエリアも含めた全体の個体数を正確に推計することに成功し、製品化を実現(特許出願中:特願2022-189848)。現時点の計測誤差は平均約10%以内で、分養を実施するうえで十分な精度を確保している。
●操作は簡単。通過尾数を音声でお知らせ
マジックカウンターの使い方はとても簡単。機器をセットしたら、PCでアプリを起動しボタンを押すだけで簡単に計測する事が可能である。表示画面は余計な情報をそぎ落とし尾数のみを表示。PCを機器本体に収納して使う事も可能。
また計測した魚の尾数をステップ毎(200尾~1,000尾の間で設定可能)に音声で知らせる機能もあり、計測中に他の作業をする事も可能。
●各生簀に合わせ、導入からアフターサービスまで手厚くサポート
養殖業者様ごとに生簀の形や大きさ、分養の方法は異なる。同社は導入前に必ずカウンセリングを行い、利用客の生簀や魚種にあった機器の微調整を行い納品する。また、機器導入後も1年間無料(実地・遠隔)でサポートを行ない、より精度の高い計測が実現できるようサポートするという。
ニュースリリースサイト(aquafusion):https://newsrelea.se/Gbk3MA
日本ペイント、万博会場の自動運転実証実験へ「ターゲットラインペイント」を提供
日本ペイントホールディングス(株)のグループ会社で主に工業用塗料の製造、販売を手掛けている日本ペイント・インダストリアルコーティングス〔以下、同社〕は、大阪市高速電気軌道(株)〔以下、Osaka Metro〕が行う2025年大阪・関西万博会場への来場者輸送に向けた自動運転の実証実験にターゲットラインペイントを提供する。
「ターゲットラインペイント」は自動運転車両に搭載されるLiDARセンサが認識できる特殊塗料で、塗装されたペイントを認識・追従することで自動走行を実現している。また、走行経路に塗装するだけで自動運転用のインフラ整備が可能となるため、導入コストやメンテナンスコストの削減が見込めるほか、GPSが入りにくい場所での自動運転を可能にする。更に、アスファルトと同化しやすい色のため、ペイントが道路の路面標示を誤認させるリスクがなく、公道での塗装も可能となる。
国土交通省と経済産業省の共同設置による「自動走行ビジネス討論会」は、2025年度ごろまでに自動運転レベル4※のサービスを40ヵ所以上で実施するとの目標を掲げている中、同社は、今後も塗料分野で培った技術を活かし、「ターゲットラインペイント」の提供を通じて、自動運転の普及と課題解決に貢献するという。
※自動運転レベル1:自動ブレーキなどの運転支援
自動運転レベル2:部分的な自動運転
自動運転レベル3:条件付自動運転
自動運転レベル4:限定された場所での完全自動運転
自動運転レベル5:完全自動運転
【実施期間及び走行コース】
(1)12月16日~12月23日 ※(12月17日除く)
コスモスクエア駅⇔舞洲実証実験会場間
(2)1月25日~1月26日
コスモスクエア駅⇔舞洲転回地間の公道
(3)1月27日、1月30日、1月31日
桜島駅⇔舞洲転回地間の公道
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000315.000007223.html
dSPACE、新しい車載4Dセンサのテスト用レーダーターゲットシミュレーション製品
高さ、距離、速度などの情報を含む環境データを個別に選択して正確に取得することが可能な高分解能レーダー向けのセンサやソリューションは、自動運転車両の開発において重要である。
dSPACE GmbHはそのため、2つのレーダーターゲットを高分解能で正確にシミュレートできるシステムを備えた車載4Dセンサのテスト用レーダーターゲットシミュレーション製品のラインナップを拡大した。新しいDARTS 9040-GTを使用すると、ターゲットの分離に関する厳しい要件に適合し、より少ない労力とコストで容易かつ効率的にテストを行うことが可能なレーダーシステムを開発することができるという。
超高分解能なレーダーシステムにおいて、ターゲット分離性能を検証することは複雑かつ手間のかかる作業である。dSPACE Automotive Radar Test System(DARTS)9040-GTは、このようなテストケースに最適な製品であり、77 GHz帯および79 GHz帯(Eバンド全体)に対応する5 GHzの瞬時帯域幅を用いて2つのターゲットを高分解能で正確にシミュレートする。このような作業の際には、従来は2つのDARTS 9040-Gを使用したテストセットアップが必要だったが、DARTS 9040-GTでは、十分にテストされたDARTS 9040-Gテクノロジによって1台で2つのターゲットをシミュレートする。dSPACEは2020年後半に発表したDARTS 9040-Gにより、分解能と信号の品質に対する要求の厳しい4Dセンサのテストにおける新たな標準を打ち立てた。
DARTS 9040-GTは、異なる角度から接近する、または距離は異なるが角度は同じ地点にある2つのレーダーターゲットを分離してテストすることができる。
DARTS 9040-GTのデモおよび評価は2023年1月に開始される予定。
ニュースリリースサイト(dSPACE):
https://www.dspace.com/ja/jpn/home/news/dspace_pressroom/press/new-darts-9040-gt-radar-target.cfm
凸版印刷、量子機械学習に関する論文が『EPJ Quantum Technology』に掲載
凸版印刷(株)は、次世代コンピューティング技術の取り組みとして、量子機械学習に関する研究を推進している。このたび、製造データを含む複数のデータセットを用いた、古典および量子機械学習の学習モデル構築過程に関する論文が2022 年12月15日公開の英国Springer Nature 社の国際科学誌『EPJ Quantum Technology(イーピージェー クオンタムテクノロジー)』(※1)(オンライン)に掲載された。
▮ 論文について
タイトル:Performance of quantum kernel on initial learning process
(量子カーネルの初期学習過程における性能)
著者名: Takao Tomono*(友野孝夫), Satoko Natsubori(夏堀智子)
URL: https://doi.org/10.1140/epjqt/s40507-022-00157-8
掲載誌: 国際科学誌『EPJ Quantum Technology』(発行:英国 Springer Nature 社)
▮ 研究の背景
量子コンピュータは様々な産業に大きな変革をもたらす革新的な技術と期待され、その実用化に向け、ハードウエアやソフトウエアなどの開発が推進されている。
近年、ICTの進化によって日々生み出されるビッグデータが、AIによって分析・予測されているが、AIによる分析・予測の正確さはデータの量・質・特性とAIの学習状況に左右され、データの前処理とパラメータの調整に時間を要する。効率的な分析・予測が求められている中で、AIに量子コンピュータを利用することにより、学習速度や学習性能のさらなる向上が期待されている。
製造現場のDX化においては、IoT機器や各種センサが活用されている。特に画像を用いた品質検査ではAIを用いた機械学習が導入され、適切な学習モデルを生産現場に適用することが求められており、そのためには、少量の学習データで学習モデルを構築できる手法の開発が期待されている。
凸版印刷はこれまで培ってきた量子技術を活かした量子機械学習の研究を行っており、このような課題に対し、このたび製造データを含む複数のデータセットを用いて、古典と量子の機械学習モデルを各々構築した結果、両者の学習モデル構築過程に有意差があることを証明できたとのこと。
▮ 本論文の概要
本論文では、量子と古典の機械学習における、学習モデルの構築過程の差異を明らかにする手法を提案した。本手法を、当社工場の製造工程に適用した結果、量子と古典の学習モデル構築過程に有意差があることがわかった。本手法を活用することで、対象となるデータセット毎に、古典機械学習と量子機械学習の適正を迅速に判断することが可能になる。
▮ 今後の展開
凸版印刷は、量子機械学習を、製造だけでなく、品質検査や出荷検査、物流などの工程に展開し、実データを用いた検証を進め、量子機械学習の可能性を探り、次世代のデジタル社会の実現に貢献するとしている。
※1 『EPJ Quantum Technology』、量子技術の理論的および実験的進歩を対象とし、一次研究論文を扱う、オープンアクセスの電子ジャーナル。
ニュースリリースサイト(TOPPAN):https://www.toppan.co.jp/news/2022/12/newsrelease221216_1.html
