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モフィリア、静脈での本人認証を可能にする薄型フィルムセンサを開発

(株)モフィリアは、フランスのISORG 社と共同で、厚さ1mm程の薄型フィルム状のセンサ(以下;本センサ)によって静脈認証を可能にする技術を開発した。

従来の静脈認証プロセスにおいては、光学レンズを使用してイメージセンサに集光しているため、安定した静脈画像を撮るには数センチ程度の焦点距離を必要としてきたが、今回は、ISORG社の持つ高いOPD(有機発光ダイオード+ TFTバックプレーン)技術と光学制御、それに当社の独自静脈認証技術を組み合わせ、極薄での認証を可能にした。これにより、ウェアラブル端末やモバイル機器、その他IoTデバイス等、様々なモノ、シーンでの静脈認証が可能となり、活用の場が飛躍的に拡がるものと期待される。

本センサの特長として、当社独自の反射散乱方式※1 により、静脈に照射する近赤外LEDをフィルムセンサと同一平面上に配置できるので、より多様な製品展開が可能である。既に、複数のメーカーとの協業を進めており、早ければ1年内の商品化を目指す。また、本センサを搭載するデバイス形状や用途により、センサの大きさや性能、その他様々な要望にも柔軟に対応するという。

静脈認証とは、人によって全く異なっている静脈のパターンを使って個人を正確に特定する方法である。フィルム状にした指紋センサは既にスマートフォンや医療機器などで使われて久しいが、指紋による認証は偽造されるリスクがあるほか、ウェット、乾燥や加齢といった指自体の環境変化の影響も受けやすく、また、顔認証については登録への抵抗感、SNSなどインターネットから写真を抜粋、加工しての悪用、その他プライバシー問題が顕在化されている。それに比べて、人為的に変化を加えることが難しい皮膚の内部情報を使う静脈認証は最も安心で利便性の高い生体認証方式と言われ注目を集めている。
 
※1 反射散乱方式
ソニー株式会社で開発された独自の認証方式で、LEDから発光された近赤外光を静脈にあて、体内で散乱した光を効率的に撮像し静脈を読み取るもの。 LEDの光を斜めに指静脈に当てて撮像しているため、平面での配置を可能にしたことが特徴。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000115123.html

自動車・車載機器向け「大型製品の高濃度オゾン試験サービス」開始

OKIグループの沖エンジニアリング(株)〔以下OEG〕は、6月9日に「大型製品の高濃度オゾン試験サービス」を開始する。ゴムやプラスチック、塗料、繊維などの有機材料を使用した自動車部品・車載機器のオゾン耐性評価を必要とする企業をお客様とし、従来のオゾン試験サービスと合わせて23年度5,000万円の売り上げを目指す。

オゾンは自然大気中に存在する無色の気体で、強力な酸化作用を有し、屋外で使用されるゴム、プラスチック、塗料、繊維などの亀裂やひび割れを発生させる原因の一つである。eモビリティ化により採用が増加しているLiDARセンサやカメラを搭載した車載機器は、自動車外部の露出した箇所に設置されることが多く、オゾンに対する耐性評価が求められる。

耐性評価のための試験は従来、対象部品や機器を構成する有機材料を小さなテストピースにして行うのが一般的であった。しかしながらeモビリティ化の進展の中で、部品の大型化やセンサ、カメラなどのユニット化とともに構造の複雑化が進み、材料ごとのテストピースではなく実際の部品をそのまま使用した試験を行いたいというニーズが増加している。また、お客様独自の試験条件として、オゾン濃度が高い環境下での加速試験(注1)や劣化確認の要望も増えている。

OEGでは、以前からテストピースを使用したオゾン試験に対応してきたが、こうしたニーズを受け、このたび、大型製品の試験や高濃度での試験に対応する体制を整えた。新たに導入した大型オゾン試験機は、1,000mm x 1,000mm x 1,000mm、床耐荷重50kgの試験槽を有し、自動車用タイヤ(注2)を切断することなくそのまま試験することが可能である。このサイズのオゾン試験設備を備えた受託試験所は、国内でOEGのみである(注3)。またお客様のご要望に合わせて、高濃度(最大200ppm)オゾン環境下での試験にも対応する。

OEGは上記のオゾン試験サービスに加え、実体顕微鏡やデジタルマイクロスコープでの表面観察による劣化状況の確認、走査型電子顕微鏡を用いたクラックやひび割れの状態の拡大観察など、試験後の構造や組成の変化の評価・解析にもワンストップで対応するという。

用語
注1:加速試験
 試験品を実使用環境より過酷な条件(高温、高湿、高電圧など)下に置いて、意図的に劣化を促進させて製品寿命を検証する試験。
注2:自動車用タイヤ
 幅220×直径750mm程度以下のもの。これ以上のサイズはご相談のこと。
注3:2023年6月時点。OEG調べ。

プレスリリースサイト(oki):https://www.oki.com/jp/press/2023/06/z23013.html

“自己位置推定システム with Vision-based Navigation Software”を販売開始

キヤノンITソリューションズ(株)〔以下キヤノンITS〕は、AGVやAMRに搭載して幅広い用途に活用できるVisual SLAMソリューション“自己位置推定システム with Vision-based Navigation Software”を2023年6月7日より販売開始する。

【背景】
昨今、超スマート社会の実現に向けた取り組みのひとつとして、AGV(Automatic Guided Vehicle=無人搬送車)やAMR(Autonomous Mobile Robot=自律移動ロボット)、ドローン、人や物体などを認識して駆動するサービスロボットを活用した工場や物流、商業施設などでの自動化や無人化が進められている。
これらの高度な自律性を持つロボットには、移動や動作に必要な周辺環境情報を的確に取得するため、眼の役割を果たす仕組みの精度が重要である。
この度キヤノンITSでは、位置姿勢計測や地図作成機能をもつ高精度なキヤノンのソフトウエア「Vision-based Navigation Software」と、HMS社製産業用AIスマートカメラ「SiNGRAY Stereo Pro」を組み合わせて提供するサービスロボットソリューション“自己位置推定システム with Vision-based Navigation Software”を販売開始する。

【特長】
キヤノンITSは、30年以上にわたり、カメラ、画像処理ボード、ソフトウエアを組み合わせた画像処理ソリューションをさまざまな製造現場に提供し、お客さまの抱える課題を解決してきた。
“自己位置推定システム with Vision-based Navigation Software”の提供にあたっても、AGVやAMRなどの開発に必要なプログラム開発やステレオカメラでの評価をサポートし、お客さまの検証から実装に至るプロセスの短縮を支援するという。

ニュースリリースサイト(canon):https://www.canon-its.co.jp/news/detail/202300607image.html

データ連携社会とセンシング(1)

森口 誠(もりぐち まこと)
森口 誠

三田典玄 森口誠〔一般社団法人センサイト協議会 理事〕

本文はソフトウエア技術者が主導して進んでいるデジタル社会にむけた取り組みに、いちセンサ技術者が関わるようになり見えてきた課題について整理したものです。 従って、ソフトウエアを専門とされる方から見ると言葉や内容が定義どおりに見えない場合があることあらかじめお断りさせて頂きます。
あえて、デバイスになじみのある方に寄った表現を使っているケースがあります。 また、デジタル社会にむけた取り組みは多岐に渡っていますが、その中でセンサデバイスに関わる側面に焦点をあてています。
厳密な定義や取り組みの全貌はできるだけ参照を記載するので、詳細は参照から確認いただけたければ幸いです。

1 はじめに デジタル社会

昨今、デジタル社会に向けてとかDXを活用などといった言葉を頻繁に耳にする。
デジタル社会の一つの理想像としてあらわしたのが政府の掲げる「Societ5.0」である。
(図1、図2)

画像出典:内閣府「Society5.0」より/図1 情報社会からデジタル社会(Siciety5.0)へ
画像出典:内閣府「Society5.0」より
図1 情報社会からデジタル社会(Siciety5.0)へ
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html

図2デジタル変革時代のICTグローバル戦略懇談会(第2回)資料
図2 デジタル変革時代のICTグローバル戦略懇談会(第2回)資料
実世界のデータをサイバー空間で価値化して実世界に返す。
実世界のデータをいかに適切に負荷なく処理できるか。人が介在するようだと追いつかなくなる。
出典:https://www.soumu.go.jp/main_content/000613942.pdf

しかし、デジタル社会とはどんな社会なのだろうか?デジタル社会形成基本法1)によると「デジタル社会」を、「インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信するとともに、先端的な技術をはじめとする情報通信技術を用いて電磁的記録として記録された多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会」と定義する。
一見するとデジタル社会の前段階である情報社会にもそのまま当てはまるように見える。
しかし、「多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用する」という表現に違いが表現されている。この変化から生まれる価値には大きな差が生じる。(図3)
現在、世界中のあらゆるところにデータは存在する。しかし、どこにどのようなデータを知ることは簡単ではない。さらにそのデータがどのように作成されたのか、データを生成する仕組みがどのような物なのか、データの欠落はどのように処理されているか知ることは困難である。膨大なデータは存在し、その中には活用したいデータも存在しているかもしれない。しかし、そのデータにたどり着けない。つまり、現状では、すでにあるデータを十分活用できていない。またデータを見つけ出せても、誤ったデータだったため、間違った結論を導きだすこともありうる。デジタル社会においては、データ連携基盤や生成されたメタデータ(データそのものではなく、データに付記する付帯情報のこと)にデータ処理するために必要なメタデータを標準化し、データ連携基盤を介して解析の目的にあったデータを見つけ出し、活用できる社会となる。一度構築した仕組みは自動化することも可能であり、人手を介さない仕組みが構築される。
また、誰でもデータ連携基盤を通じてデータを取得することができるようになるようデザインされている。少なくともSociety5.0や欧州委員会ではそのように謳っている。そして、その結果として新たな価値を創造し、新たな事業を起こすような社会になると考えられる。
センサはデータの生成を行うエッジを構成し、エッジで付記されるメタデータはデータ活用においてスムーズなデータ連携や健全なデータ取引のために必要となる。

図3 情報社会とデジタル社会におけるデータ活用者からみたデータの流れ
図3 情報社会とデジタル社会におけるデータ活用者からみたデータの流れ

ここではデータ連携社会においてセンサに求められる要件を3つの観点で整理し、それぞれの現状について整理する。

  • 1)データ連携するためにセンサデータに付与するメタデータの整備、標準化
  • 2)センサデータ取得する仕組み構築を容易にする規格の標準化
  • 3)取得データの多様化に対応し、社会実装を促進するセンサ記述のデジタル化

2 データ連携するためにセンサデータに付与するメタデータの整備、標準化

データが連携する社会にはデータを利用・活用したいユーザ(データ活用者)とそのデータを生成するデータ生成者を結ぶ仕組みが必要になる。 スーパーシティ構想(図4)を例にとるとサービスを提供する業者は必要なデータをデータ連携基盤にアクセスして取得し、解析し、サービスにつなげる必要がある。そのためにはデータ提供者は利用者誰もが同じ理解を得るような語彙で語られる必要がある。

図4 スーパーシティの構成(出典:内閣府「スーパーシティ」構想
図4 スーパーシティの構成(出典:内閣府「スーパーシティ」構想
出典:https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/supercity/supercity.pdf

データ活用者がデータを探しだして、自分の求めているデータかどうか確認し、データを入手することができる仕組みが必要になる。
そのためにはデータにはデータ以外に様々なメタデータを付帯する必要がある。センサデータもその例外ではない。

具体的にはざっと以下の3種に分類することができる。
データを探し出すための検索用のメタデータ、データ活用者がデータを利用することができるかどうかを判断する品質に関するメタデータ、取引やデータ生成者の権利を保護するための取引に関わるメタデータである。(図5)

図5 メタデータとデータカタログ/データカタログはデータの目録(イベントリ)検索メタデータはデータカタログが規定する語彙で定義することで、データ提供者とデータ活用者の間の齟齬を回避する
図5 メタデータとデータカタログ
データカタログはデータの目録(イベントリ)
検索メタデータはデータカタログが規定する語彙で定義することで、データ提供者とデータ活用者の間の齟齬を回避する

2-1 検索用メタデータ

データを探し出すための検索用のメタデータはデータ活用者と生成者で共通に認識された識別符号のルールにのっとって記載されることが必要である。
これらの語彙や符号はデータカタログと呼ぶ目録で整理される。
同じ語彙でも産業や技術領域により、定義や用法が異なるので、実用上メーカー毎、産業毎などの単位で語彙が定義、整理され使用されてきた。しかし、産業横断的にデータを活用しようとすると標準的な語彙定義を基盤として、その語彙定義に翻訳するなどして、認識を合わせる必要がある。この標準語彙は日本においてIMI (Infrastructure for Multilayer Interoperability:情報共有基盤) 2)において共通語彙基盤3)として制定させ、普及に努めているが,十分に認知され活用されているとは状況である。
さらにこのような語彙をベースにデータカタログが整備され、検索しやすいように記述されている必要がある。
現状ではWebの標準化団体であるW3C (The World Wide Web Consortium)4)がWEBで活用するために策定されたDCAT (Data Catalog Vocabulary)5)が代表的なカタログである。これはよりデータ連携に対応できるよう、拡張が進んできている。日本においてはデータ社会推進協議会 (DSA)6)が世界の動向、特にW3Cの構造をとりいれ、互換性をもたせつつ日本の考えが実装されるようにデータカタログ(図6)の検討と実装を進めている。

図6 データ項目定義のクラス図/データ社会推進協議会 データカタログ作成ガイドラインV3.1 P14より
図6 データ項目定義のクラス図
データ社会推進協議会 データカタログ作成ガイドラインV3.1 P14より
出典:https://data-society-alliance.org/wp-content/uploads/2023/03/230331-D97-DataCatalogGuidelineV31-gl-tecst.pdf

語彙にしろ、データカタログにしろ、標準仕様のものは各業界など個別の領域で使用するには使い勝手が悪い。業界特有の定義や、慣用的な使い方と標準語彙やカタログと乖離があるからである。そのため各領域毎にデータカタログが整備され、活用されるのが普通である。
しかし、従来からの暗黙にルールや慣習に従ってデータカタログを整備すると標準のデータカタログと接続することが困難になる。これは産業間横断でデータ連携するデータ共通基盤につながりにくいことを意味する。
こういった接続性の問題を解消しつつ自らの使用に適したデータカタログの策定ができるように、データ社会推進協議会ではデータカタログの作成についてガイドラインを公開し、接続性の良いデータカタログの普及に努めている。

2-2 品質メタデータ

また実際に探し出したデータが解析や制御に使えるものか、データ品質を確認する必要がある。このデータの品質特性は例えばISO/IEC 250127)(JIS X25012)において「定義されている。
注意すべきはこれはデータ解析を目的とするデータサイエンティストの定義するデータ「品質」であり、センサ技術者の考えるデータ「品質」とが異なることである。
基本的にセンサ技術者にとってはセンサデータが真値に近いデータをどの程度出力できるかという観点で捉えるが、データ解析者にとって重要なのは解析に使えるデータがどの程度届いているかである。具体的にISO/IEC 25012に規定されているデータ品質モデル特性(表1)を考えてみる。

表 1−データ品質モデル特性 ISO/IEC 25012
表 1−データ品質モデル特性 ISO/IEC 25012

例えば「精度Precision」、センサでは精密度(ばらつきの範囲)を表す表現であり、ガウス(正規)分布で収束しているほど良いとのイメージである。

図7 センサ技術者と、ISO/IEC 25012の精度
図7 センサ技術者と、ISO/IEC 25012の精度

一方ISO/IEC 25012では、データの総数のうち、基準を満たす(解析に利用できる)データの割合と定義されている。精度=要求された精度をもつデータ値の数/データ値の総数となる。
また「正確性」はISO/IEC 25012では、意図した概念や事象をどの程度正しく表現できてるかであり、構文や意味的な正確性の二つの局面を持つ。
例として以下のような事例が記載されている。

「詳細記入の欄が構文上正確なレコードの数」/レコードの数

これはあくまでも正しくデータ解析に使用できるかという観点からのデータ品質である。
一方、センサ一般では真値との誤差のことを言う。記述の状態については対象ではない。

さらに「一貫性」の場合、「特定の利用状況において,矛盾がないという属性及び他のデータと、首尾一貫しているという属性をデータがもつ度合い」と定義されている。これはデータの利用に関するデータであり、センサでは、データを生成した瞬間にこのような定義は対象の外にある。

このようにデータサイエンティストの定義するデータ品質はあくまでも解析に使用できる数値の羅列かどうかであって、センサが正しく機能する(ノイズも含めて正しく検知・変換する)ことで真値に近いデータを出力することを目的とするセンサ技術者の考える品質とは差が生じている。
データ連携を目的とするデータ生成においてはセンサデータ品質を客観的に(ある特定の目的のためでなく)伝える必要があり、ISO/IEC 25012では十分表現できない。
例えばカメラによる画像を用いたセンサにおいて、データ活用者の目的が人流センシングであった場合、人流データのみをデータとして挙げていくことになる。しかし、各個人の行動、天候情報、車の通行状態などなど多くの情報が内包されているが捨てることになる。
また圧力センサ・加速度センサなどセンサを複合して、様様な解析を行うような使い方はすでに多くなされているが、そのセンサ出力を違った組み合わせで使いたいニーズも確実に存在する。
画像や複合センサはわかりやすい例だが、加速度センサの振動情報なども同様な情報を持っている。しかし、このようなことを表現できるような整備が必要あるが、現状その解が明確になっていない。

2-3 取引に関するメタデータ

取引に関わるメタデータはデータ連携の仕組みが経済的に成立し、社会に実装できるかどうかという意味で重要である。
この意味で必要なメタデータはデータ連携する仕組み作りの活動の中で検討されている。エッジ側にいるセンサとしては、いかに負荷が少なく、データ生成者の権利を保護し、データ連携に参加できる仕組みに貢献できるかが観点となる。
データの取引を含めたデータ連携する仕組みとしては日本においてはDATA-EX(図7)、ヨーロッパにおいてはGAIA-X8)(図8)の取り組みが代表的である。GAIA-Xは欧州委員会のもと、データ連携に関わる包括的な概念であり、仕組みである。産業横断でデータ活用するためのプラットフォームFIWARE9)やデータ連携するための技術基盤としてのIDSA10)がベースとして単一でシンプルなデータ取引市場を成立させようとしている。DATA-EXとGAIA-Xは協業協定を結んでおり、相互にデータが連携することを目指している。データの連携の仕方やルールは固まっていないようだが、日本側のデータ構造はデータカタログがW3CのDCATを参照するなど、基本的な構造は欧州主体で整備された世界標準を基盤としており、相互連携のハードルは比較的低い状態といえる。

図8 DATA-EXで目指す異業種データ連携コンセプト(出典:DSA)
図8 DATA-EXで目指す異業種データ連携コンセプト(出典:DSA)
出典:https://data-society-alliance.org/about/vision-mission/

図9 GAIA XのX-Model
図9 GAIA XのX-Model
出典:https://gaia-x.eu/gaia-x-framework/

また産業分野におけるデータ連携の取り組みは日本においてはインダストリアルバリューチェーンイニシアティブ (IVI)11)が進めている企業間オープン連携フレームワーク (CIOF: Connected Industries Open Framework)12)が存在する。これは2023年4月から商用ベースでの活動に移行し、定着を目指している。
CIOFが持つ共通辞書を介することにより、誤りのない取引をおこなうこと、データの授受はソフトウエア上でおこない、人が介在しないようにし、権利を保護すること、一方でデータの売買の契約は人が介在しておこなうことを特徴としている。

図10 IVIのデータ連携プラットフォーム CIOFのアーキテクチャー(IVI提供)
図10 IVIのデータ連携プラットフォーム CIOFのアーキテクチャー(IVI提供)
出典:https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2103/15/news064.html

CIOFを通じ企業の持つデータを共有することで、ものづくりの革新を目指している。
例えば、数十年故障しないような装置、しかし、これが止まると数か月生産に与える装置の故障データを共有、活用できるようになると、データ購入業者は機械故障予知につながり、装置の停止を最小限にすることができる。この停止期間回避に価値が生まれ、取引価格に反映される。



次回に続く-





【著者紹介】
森口 誠(もりぐち まこと)
○オムロン株式会社
 デバイス&モジュールソリューションカンパニー 技術統括部 要素技術部
 モジュール技術開発グループ
○一般社団法人センサイト協議会 理事

■略歴
・1993年 東京理科大学 理工学部電気工学科卒業
 同年オムロン株式会社入社
 加速度センサデバイス、RF-MEMSスイッチなどの開発に関わる
・1998年より 東北大学未来科学技術共同研究センター研究員として半導体開発・製造プロセス開発に従事。
・2003年より NEDOのMEMS関連の各プロジェクトに参画
・2009年から 新規事業創出担当
・2017年から データ連携をベースとしたエッジ戦略検討
・(一社)センサイト協議会・センシング技術応用研究会・(一社)次世代センサ協議会員
・データ社会推進協議会員
・電子情報通信学会・電気学会員

キヤノン、SPADセンサーの論文がウォルター・コソノキー賞を受賞

キヤノンは「ウォルター・コソノキー賞(Walter Kosonocky Award)※1」を5月25日に受賞した。ウォルター・コソノキー賞は、イメージセンサ業界最大規模の学術研究団体IISS※2が過去2年でイメージセンサの飛躍的進歩に貢献した論文として、世界中のあらゆる学会や論文誌の中から1件選定する賞であり、イメージセンサ研究に関する国際的な賞である。
今回ウォルター・コソノキー賞を受賞したのは、半導体デバイス技術分野で最も権威のある国際学会IEDM※3において2021年に当社が発表した世界初※4の320万画素SPADセンサーの論文※5である。

SPADセンサーは、画素に入ってきた光の粒子(以下、光子)を一つ一つ数える仕組み(フォトンカウンティング)を採用している※6。また、1つの光子を100万倍程度に増倍し、大きな電気信号を出力する。CMOSセンサーは、溜まった光の量を測定する仕組み(電荷集積)で、集めた光を電気信号として読み出す際に画質の低下を招くノイズも混ざってしまうが、SPADセンサーは光子の個数をデジタル的に数えるため、読み出す際にノイズが入らず、暗い所でもわずかな光を検出し、ノイズの影響を受けずに被写体を鮮明に撮影できる。また、光子が画素に到達した時刻を非常に高い精度で認識できるため、対象物との距離を高速・高精度に測定できる。このような特長を生かして、自動運転や医療用の画像診断機器、科学計測機器などに用いるセンサとして幅広い活用が見込まれている。

キヤノンは、SPADセンサーのフルHDを超える高解像度や、わずかな光をとらえられる高感度性能に加え、高速応答の特長を生かして、自社のセキュリティー用ネットワークカメラでの活用などを通じて、社会の変革やさらなる発展に寄与するとしている。

※1 デジタルカメラなどに使用されるCCDイメージセンサーの発明者である故ウォルター・コソノキー氏を記念して1997年に創設された賞。
※2 International Image Sensor Society(国際イメージセンサー協会)の略。
※3 International Electron Devices Meeting(国際電子デバイス会議)の略。
※4 SPADセンサーにおいて。(キヤノン調べ)
※5 論文タイトル:3.2 Megapixel 3D-Stacked Charge Focusing SPAD for Low-Light Imaging and Depth Sensing
 論文掲載URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/9720605
※6 SPADセンサーの仕組みやCMOSセンサーとの違いの詳細は、下記URLのキヤノンテクノロジーサイトを参照。
 URL:https://global.canon/ja/technology/spad-sensor-2021.html

ニュースリリースサイト:https://global.canon/ja/news/2023/20230601.html

北陽電機、3D LiDAR(測域センサ)の開発で 米国ルモーティブ社との協業





北陽電機(株)は、独自のソリッドステートスキャン技術を持つ米国のスタートアップ企業ルモーティブ社と、産業用アプリケーションでの使用を狙った次世代の高度な3D LiDARの商品化に向けて、共同開発を進めている。

北陽電機は2004年に国産では初めてサービスロボットの環境認識のための革新的な超小型測域センサ(LiDAR)を開発し 搬送機器をはじめ様々な市場にも利用が拡大し、独創的な機械的、光学的設計は20年近くにわたって市場で成功を収めてきた。

ルモーティブ社は、液晶偏向特性を利用し、駆動部分(メカ)を一切使用せずに、レーザービームの照射方向を変えることが出来る、独自のビームステアリング技術LCM(Light Control Metasurface)チップの開発に成功し、量産可能な生産技術によりモジュールとして供給を開始している。また、LiDARモジュールのリファレンスデザインも提供しており、顧客の市場投入を促進している。

今回、ルモーティブ社との協業により、ルモーティブ社のLCM技術を使用した3D LiDARを共同で開発し、北陽電機のLiDAR製品設計技術を融合することで、市販向け製品として量産化を行う。
この製品により、従来のメカ方式のスキャン技術では実現できなかった革新的なアプリケーションを実現するとともに 今後、LiDARの利用拡大が見込まれるAGV/AMR、サービスロボット等のアプリケーションを中心とした事業拡大を狙っていくという。

この共同開発による新型3D LiDAR(測域センサ)は、量産型製品としては2024年1月より販売を開始する見込みだが そのプロトタイプ(製品名:YLM-X001)として、2023年7月より供給を開始する。
主な仕様は以下の通り。

検出距離   :  0.1 m ~ 10 m(反射率10%)
視野角(FoV) :  120°(H) x90°(V) ※
 ※ V(垂直)方向の視野角(FoV)はソフトにより変更可能。
距離精度   :  距離x0.5% 
解像度    :  最大VGA(640x480) (デフォルトはQVGA)
角度分解能  :  最大0.188°(デフォルトは0.375°)
フレームレート: 10 Hz以上
サイズ: 119mm(W) x 85mm(D) x 79mm(H) (プロトタイプ 製品YLM-X001の場合)
【製品URL】  https://www.hokuyo-aut.co.jp/search/single.php?serial=213

ニュースリリースサイト:https://www.hokuyo-aut.co.jp/topics/detail.php?id=255

FUJI、愛知県武豊町と健康見守りシステムの実証試験を開始

(株)FUJIは、愛知県武豊町と連携し、武豊町内に住む独居高齢者を対象とした生活行動の見守り、迷い人の可能性検知の効果測定を目的とする実証試験を2023年6月から開始する。この実証試験は約20名の参加者規模で、期間は約4ヶ月間実施するという。

今回の実証試験は、2022年度「ガバメントピッチ」(主催:関東経済産業局 共催:中部経済産業局等 協力:東海北陸厚生局等)にて地域・社会課題の発掘と解決に向けたマッチングが行われ、FUJIが開発を進める健康見守りシステムと、武豊町が抱える高齢者の自立した生活維持における課題解決をしたいという両者の思いが一致して実現したものである。今後FUJIは積極的な社外連携を進め、健康寿命延伸のための健康見守りシステムの実現と発展に取り組むとしている。

■健康見守りシステムとは
FUJIは移乗サポートロボットHugに続く介護・ヘルスケア向け製品として、自宅で暮らす独居高齢者向けの健康見守りシステムの開発を進めている。
自宅内での生活行動をデータ化することで、高齢者本人や、そのご家族でも気付くことが難しい小さな変化を捉えることができる。
“いつもと違う”小さな変化を捉えることで早期のフレイル検知と予防的介入に繋げ、自宅における自立した生活維持をサポートする。

■健康見守りシステムの特徴
 ◆人感センサ、ドアセンサにより生活行動をデータ化(トイレ利用、屋内移動、睡眠、外出など)
 ◆蓄積されたデータからAI分析にて生活行動の可視化と変化点の抽出
 ◆変化点を抽出後、クラウド経由でスマートフォンなどへプッシュ通知可能

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000101249.html

Waqua、SIH国際ビジネスコンテスト2023アジア太平洋大会に優勝

(株)Waquaは2023年05月に一般社団法人SDGs Innovation HUB (SIH)が主催する「SIH国際ビジネスコンテスト2023」において、「小型分散海水淡水化装置によるスマートウォーターグリッド社会の実現」プロジェクトがアジア太平洋大会で優勝、10月~11月に開催予定の本選進出が決定した。
(https://sih.earth/news/363)

●SIH国際ビジネスコンテスト
 SDGs達成につながる新たな事業のアイディアやビジネス企画を立案して貰う国際的なビジネスコンテストであり、日本・アジア太平洋予選は、およそ22~30チームが参加し、その中からWaquaが優勝に選ばれた。
入賞したWaquaを含め5チームは10月~11月開催の本選進出が決定した。

●Waquaが目指す「小型分散海水淡水化装置によるスマートウォーターグリッド社会の実現」
 Waquaの製品である水を循環させる小型装置は、持ち運び可能なサイズと省電力(100V)の性能を生かして、あらゆる現場で活躍している。その機器を繋ぎ、更に既設設備にセンサを取り付けることでスマートグリッドの構築が可能となり、水の地産地消が実現できる。そうすれば、水を遠くから運搬する必要もなくなり、エネルギー削減と脱炭素につながる。Waquaはこの社会の実現に向けて国内・世界中に水のマイクロインフラの拡充を目指すとのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000038521.html

みなとみらいにて「海洋ロボット夜の祭典」を開催

自動制御に関する国際的な学術団体であるIFAC(International Federation of Automatic Control)の国際会議IFAC2023が7月に横浜で開催される。

IFAC2023 Industrial Group (Marine System Subgroup)はその開催期間中の7月12日(水)にみなとみらいを会場として海洋ロボットを使ったパフォーマンスを繰り広げるというイベントを予定している。


主催:IFAC2023 Industrial Group (Marine System Subgroup)
協賛:IEEE-OES日本支部(予定), MTS日本支部(予定),株式会社三菱総合研究所
協力:日本丸財団,JAMSTEC
後援:神奈川大学 海とみなと研究所(予定),その他打診中
日時:2023年7月12日(水)15:00 開場、19:15 開演
場所:みなとみらい・日本丸メモリアルパーク(シーカヤックパーク)

申し込みは不要:誰でも自由に観覧可能.
問い合わせ先: (国研)海洋研究開発機構 吉田(yoshidah@jamstec.go.jp)・阿久津

〔プログラム〕
    15:00  開場: 展示・ビデオ上映
    16:00  
    17:00  
    18:00  プレイベントDJ・GEEK BOY
    19:00  海洋ロボット夜の祭典
         #1 水中ドローン演技
         #2 水上パフォーマンス
         #3 自律ロボット演技
    19:45  トークショー
    20:00   #4 海中からのCO2回収
         #5 自律ロボット演技
    20:20  フィナーレ・表彰式
    20:30  閉会

イベント案内サイト(ifac):https://www.ifac2023.org/program/citizen-forums/marine-robots/

送迎用バスの置き去り防止装置「icuco®eyes」発売開始

 icucoは、保育園でお昼寝中の子どもをセンサで見守り、寝姿勢を自動記録するicuco®touch&careを開発。
現在リリースしている午睡チェックセンサ「icuco®touch&care」、園管理システム「icuco®book」に加えて今回内閣府の定めたガイドラインに適合する、送迎用バスの置き去り防止装置「icuco®eyes」の発売を開始した。

 近年、保育所の利用者数の増加に伴い、保育士の負担が増えていることから保育所での事故は増加傾向にあり、2021年に全国の保育所や幼稚園、放課後児童クラブなどで子どもが死亡または重傷を負った事故は、前年比332件増の2347件となり、2015年以降で最も多い結果になっている。
 また、送迎用バスでの園児の置き去り事故が社会問題になっており、2023年4月から送迎用バスに置き去り防止装置を設置することが義務化された。
 icucoは、「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」に適合する安全装置を提供することで園児の安全を守るとともに、保育施設での業務の効率化を目指すという。

●「icuco®eyes」
 自動車部品メーカー発の企業、icucoが提供する高い品質基準で設計された「icuco®eyes」は人の目、センサの目、カメラの目の3つの目で見守り見落としゼロを追求した送迎用バスの置き去り防止装置である。

 「icuco®eyes」は、バスを利用する園児の安全を見守ると共に、乗車・降車のチェック業務を効率化するサービス。送迎用バスの置き去り防止装置とともに専用アプリを使うことで園児の乗車・降車記録を簡単に行える。記録はデータで残り、チェック帳票も自動作成されるので保育士の業務負担を大幅に省力化することが可能。

【「icuco®eyes」の特徴】
1)自動車部品メーカー発の企業が提供する高い品質基準で開発されたサービス
「icuco®eyes」は、icucoの保育サービス事業で蓄積された知見と自動車産業の技術を融合し開発されたサービス。
自動車部品メーカー発だからこそできる実際のバス使用環境下でのテストを通過した装置を提供する。

2)園児の乗車・降車記録、車内確認記録をスマホアプリで簡単に帳票化
 園児の乗降車チェックと車内チェックは、標準装置のスマホアプリ(icuco for nanny)を利用することで簡単に電子記録化することが可能。
いつものチェック業務を行うだけで自動で帳票が作成されるので事務業務を大幅に省力化することが可能である。

3)登降園、連絡帳などの園管理システム「icuco®book」と連携し、園業務をトータルで効率化
 「icuco®eyes」はクラウド時代において保育領域でイノベーションを起こすことを目的とした業務オートメーションスイート「icuco®book」と連携することが可能。登降園や連絡帳との連携はもちろん、園と保護者にバスの運行情報を知らせる機能も付いている。

▶内閣府認定の補助金の対象商品
「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」の降車時確認式に適合している。

※こども家庭庁,送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のリスト
 (https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/list)

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000043967.html