オムロン株式会社
小田 利彦
3 メタデータを活用する
クラウド上で登録・管理されたメタデータを、利用場面に応じてどのように活用するかを紹介する。
3.1 ユニットを選定する
ユニットは、観測する対象や使用する環境、要求品質などに合わせ、センサの種類、電源の種類、通信方法の種類などを柔軟に組み合わせるが、こうした判断を支援するためにメタデータを用いる。
たとえば、センサユニットの温度範囲、耐水性、耐湿性のメタデータから使用環境にマッチしているかどうか、あるいは総合精度、サンプルレートや応答時間などのメタデータから要求されるデータ品質を満たしているかどうかを自動判別することが可能になる。
3.2 クラウド上で行うデータ処理を自動化する
センシングトレインからクラウドに送信されるデータは、センサのアナログ値がそのままAD変換されたデジタル値が送信される。そのため、クラウド上で温度や湿度、CO2濃度などの物理量に変換しなければならない。この変換では、センサユニットのメタデータに含まれる物理量変換式の情報を用いることで、プログラムにより自動的にデータを変換でき、続いて温度補正も同様に行える。
さらに、センサユニットの計測値範囲のメタデータから、異常値を検知・除去することやサンプルレートのメタデータから欠損値を補完することなどデータクレンジングの処理も自動化が可能となる。
3.3 データを検索する
クラウド上にセンシングデータがビッグデータとして集積されるようになると、そこにあるデータを様々な目的で活用しさらにデータビジネスを創出することが行われるようになる。そうした時に、利用目的に合ったセンシングデータを見つけるために、いつどこでどのような観測を行ったのか?どのようなセンサを使ったのか?データはどのような形式なのか?こうした情報はメタデータに含まれる情報であり、そこから検索に利用するデータカタログを作成することができる。
3.4 センシングデータの信頼性を評価する
センシングデータの信頼性を評価するために、センサの校正が適切な時期に行われていることを校正の規定周期や実施日のメタデータから判断する。また、信頼があるセンサが使われているのかという判断には、製造したメーカ名や型式、性能値に関するメタデータを確認する。さらに、センシングデータのデータ品質の判断にも、前述した総合精度、サンプルレートや応答時間などのメタデータを利用できる。
上記のように、メタデータをセンシングデータに付随させることで、時間が経ったセンシングデータでも探し出して利用することができ、また第3者がセンシングデータを入手して多様な用途に活用が可能となるため、データの再利用性や付加価値を高めることができる。
4 メタデータのライフサイクル
メタデータはクラウドサービス上で登録されて管理される。ユニットのメーカやセンシングトレインを購入したユーザがメタデータを登録し、データ利用するユーザがメタデータを参照するという、メタデータのライフサイクルについて説明する。
4.1 メタデータの設計
ガイドラインでは、よく使われる共通性の高いメタデータを予め定義しており、基本的にはその仕様に基づきメタデータを作成すればよい。
しかし、ユニットメーカがユニット製品の特徴や性能について独自にメタデータに追加したい、あるいはユーザが個別の観測環境に関する情報を追加したい場合がある。その場合、ガイドラインで示すメタデータ仕様の拡張方法に従い、追加部分を設計することになる。独自のデータ項目を追加した場合は、データの名称に対して意味定義や参照する規格を語彙辞書としてWeb公開して、そのURLをメタデータに記述することを推奨する。
4.2 メタデータの登録
メタデータを登録するタイミングについて図5に示す。ユニットメーカは、ユニットを開発するとSUCS標準準拠の認可を申請する。この時に、ユニットの製品仕様をユニットメタデータとして登録する。
また、ユニットを購入してセンシングトレインを作製したユーザは、データ送信先のクラウドに接続するため、センシングトレインをクラウドに登録する。その際に、センシングトレインに関する情報をセンシングトレインメタデータとして登録する。
センシングトレインから送信してクラウドに蓄積されたデータは、他のユーザとデータを共有あるいは連携する範囲をデータセットとして定義する。その際に、データセットに関するメタデータをセンシングデータセットメタデータとして登録する。さらにセンシングトレインによる観測に関する情報も観測メタデータとして登録する。
4.3 メタデータの参照
クラウドサービスのDBに登録されたメタデータは、ユーザからブラウザによる閲覧やアプリからのAPIアクセスで取得できる。メタデータは作成者にとって機密性が高い情報を含む場合があり、クラウドサービスでは他のユーザに提供するデータ範囲や権限をコントロールする。
4.4 メタデータの変更
ユニットメーカは、ユニットの製品仕様を変更すると、それに対応するユニットメタデータも変更してバージョンを上げる。
センシングトレインユーザは、センシングトレインを使用している間に、センサユニットの追加や交換などを行うと、センシングトレインメタデータのユニット構成情報を変更する必要がある。
4.5 メタデータの削除
メタデータは、基本的に削除されることはない。メタデータのバージョンが上がっても過去のバージョンを参照するセンシングデータが存在する可能性があるためである。
5 関連する技術規格
SUCSコンソーシアムにおけるメタデータのデータモデルやフォーマットの検討では、(一社)データ社会推進協議会で議論されているセンシングメタデータの定式化の取り組み[3]を参考にしている。そこでは次の2つの国際的な技術標準を参照しており、SUCSのメタデータの相互運用性を図れるよう考慮している。
5.1 Sensor Model Language [4]
この技術標準は、Open Geospatial Consortiumで策定されており、すべてのコンポーネントを入出力・変換があるプロセスとしてモデル化して、センサデータのアプリケーションに特化するプロセス記述言語であり、センサなどのコンポーネントをクラスとプロパティによって表現するモデルで構成されている。
また、相互運用性のために人のみならず機械によって完全に理解され解釈できるようにするセマンティック対応として、データ要素の値は、データの表現、意味説明、構造、品質に関する情報を合わせて提供する仕様となっている。
SUCSのメタデータでは、ユニットのクラスやプロパティは、基本的にSensor Model Language をベースにしている。
5.2 Semantic Sensor Network Ontology [5]
W3CとOGCが共同で取り組んでいる、センサによる観測活動、外界に動作を加えるアクチュエーション、サンプリングなどで使われる語彙を定義するオントロジの標準化である。SUCSのメタデータでは、ここから観測活動、観測対象、観測特性の語彙を導入している。
商標
※1 SUCSは、SENSPIRE®※2 Universal Connecting System(センスパイア自在連結システム)の頭文字を採ったものである。(一社)次世代センサ協議会の商標登録である。
※2 SENSPIREは、センサの発展進化系を表すSensor×Inspireの造語であり、(一社)次世代センサ協議会の商標登録である。
参考文献
- QUDT:https://www.qudt.org/doc/DOC_VOCAB-UNITS.html
- DCAT2.0:
https://www.w3.org/TR/2020/REC-vocab-dcat-2-20200204/ - データ社会推進協議会公開資料、ホワイトペーパー センシングデータのためのメタデータ策定の基準化に向けた提案
https://data-society-alliance.org/survey-research/metadata-for-sensingdata/ - SensorML: Model and XML Encoding Standard,
https://portal.opengeospatial.org/files/?artifact_id=55939 - Semantic Sensor Network Ontology,
https://www.w3.org/TR/2017/REC-vocab-ssn-20171019/
【著者紹介】
小田 利彦(おだ としひこ)
オムロン株式会社イノベーション推進本部 DXビジネス革新センタ
データ社会推進協議会 技術基準検討委員会センシングメタデータTGリーダ
次世代センサ協議会 SUCSコンソーシアム幹事
■略歴
大阪大学基礎工学部卒
日本シュルンベルジェ株式会社で油層解析システムの開発に従事
株式会社リコーで事務機器システムなどの開発に従事
オムロン株式会社で駅務機器システムなどの開発に従事
SUCS適用領域とユースケースのイメージ(2)
新井 康祐
4. センサ・AIが拡張する世界
センサ・ネットワークに限らず新規ビジネスは通常、「課題の普遍性が高く、解決の難易度が低い」、図4の右下から始まる。普遍性が高ければ市場が大きく、解決の難易度が低ければ投資が少なくてすむからだ。
しかし、右下の領域は、参入障壁が低いので、やがて競争相手が増えて市場が飽和する。
すると、次に狙うところは 「普遍性が高く、難易度がやや高い(図の上方向)」 か 「普遍性がやや低く、解決の難易度が低い(図の左方向)」、いずれかの方向に進んでいくことになる。次第に、ここから先は市場が小さすぎて投資を回収できない、ここから先は難易度が高すぎて投資を回収できないという 「経済合理性の限界」 に直面する。(出所:山口周「ビジネスの未来」)
この限界を超えてゆくものの一つが「センサ・AI」であり、2つの方向が考えられる。
4.1 テクノロジー進化で難課題を解決:図の上方向へ伸びる。
地球温暖化への対策検討に活用される地球シミュレーション、交通事故撲滅や買い物弱者支援のための自動運転、難病・感染症に対抗する創薬などはこれまで実現が難しかった。しかし、センサ・AIのテクノロジー進化によって道が開かれつつある。
4.2 データ活用で多様性社会を実現:図の左方向へ伸びる。
認知症高齢者や障がい者サポートでは医師や職員が個々に診察・電話問診できれば良いのだが、それはなかなか難しいという。これからはAI・データ分析によって全ての人々の個人に合わせたサービス提供が可能になりつつある。
これまでは質と量がトレードオフの関係だったので平均値的なサービスしか届けられなかった。例えば、血圧の基準値も、学会のガイドラインでは140/90mmHgが高血圧の基準とされている。けれども、そもそも血圧の基準値を性別、年令に関係なく一律に考えてよいのかという考えもある。
5 テクノロジー進化で難課題を解決:従来取得困難だったIoTデータの取得
高度IT、IoT 社会が進むことにより人々のライフスタイルも大きく変化し、価値観も多様化してきた。日本はより豊かになる一方で、「少子高齢化対策」「地球環境維持」などの社会課題を抱えている。
これらに対してセンサ・AIで解決策を求める方向がある。従来のセンシング技術では困難であったデータを取得することで、例えば、インフルエンザや新型コロナウィルスを検知出来れば対策を早期に講じることが可能になり、その結果ウィルス拡散を未然に防ぐことが出来るようになる。また、設備・インフラの維持管理を行っていた作業にて、従来のセンサでは取得できない様な僅かな測定データを取得できれば、大きな故障や事故の発生を未然に防ぐことができるようになる。
これらのIoTデータは以下のように区分できる。
(1) Society 4.0での人間による入力データ 例えば、購入履歴・リコメンド、SNS、グルメ情報、フェイクニュースなどであり、IT 企業を中心として膨大な情報が蓄積、利用されている。 (2) Society 5.0でのセンサなどを介して収集されるIoT データ 例えば、カーナビでのGPSデータや製造機械に設置したセンサから出力される振動データ、スマホのカメラで撮影されてクラウドに収集される画像データなどが挙げられる。 (3) Society 5.0でも現在の技術では取得できていないIoTデータ ヘルスケア分野では、微少なバイオマーカーの検出が出来れば、尿や血液等からガンや心臓病の予兆検知が可能となり、社会課題を解決すると同時に新たな産業を生み出す可能性も高い。このように、現状の技術では取得困難なデータを取得し利活用することが社会課題の解決に必要である。
例えば、人生100年社会を実現するためのヒトの僅かな体調変化情報や、道路・トンネル・橋梁など社会インフラの点検での微妙な音の変化や触覚変化情報を取得可能なセンサを開発できれば、社会課題解決を大きく前進できる。
これを実現させるためにSUCSがサポートできる領域がある。SUCSのA/D変換・無線通信・電源の各ユニットは多種用意されるので、実証実験のためのユニット開発を気にせずに、センサ部の開発に集中できる。また、新規センシング項目を、複数種センサの組み合わせで実現する場合にもSUCSが役に立つだろう。
6. データ活用で多様性社会を実現:センサを活用した予知防災・減災社会
豪雨が発生した際に、土砂災害によって住民の生命・身体に危害が生ずるおそれがある区域は、土砂災害警戒区域/特別警戒区域併せて111万カ所に及ぶ。(令和2年3月末現在)。
起伏が多い日本の国土では土砂災害の危険性はいたる所に存在しており、現場状況の迅速かつ的確な把握のためにはセンサを可能な限り増やしていくことが必要である。
応用地質株式会社は、地面の傾斜の変化をキャッチする表層傾斜計(クリノポール)や河川の氾濫を監視する冠水センサ(冠すいっち)を設置し、センサから得られたデータをクラウド上で集約している。この2つのセンサデータに雨量などの気象データを加えることで、斜面の崩落によって発生する土砂災害、増水によって発生する河川氾濫の危険度を判定する。
斜面の変化をセンシングする表層傾斜計による危険度判定では、同じ変位量でもその地点の地形・地質・標高データなどによって崩落危険度の評価が大きく変わるので、熟練技術者がデータ分析・総合判断して、地点ごとに、危険度判定となる変位量閾値を設定している。また、センサの設置でも、崩落のきっかけとなる地点を見つけ出すのに熟練技術者の知見やノウハウが必要で、地形を読み解く高度なスキルを持つ技術者が設置最適地点を抽出している。
このような、地形などの多様な環境条件によって、その対応が異なる仕事を人手だけに頼るのには限界が出てくる。
(応用地質提供)
(応用地質提供)
同社では、これら技術者が抽出した結果や考え方のプロセスを教師データにして機械学習のアルゴリズムを開発した。これによって、熟練技術者による人手による作業と比べ、約100分の1の時間で地点抽出が可能になり、一次スクリーニングとしては十分な再現率と適合率になっているそうだ。
地形など地点ごとの個々の環境に応じた土砂災害の予知は、条件が多様で 属人的で 課題の普遍性が低く 経済合理性の限界にあるかに見えるところを、センサ・AIを駆使して乗り越えた好事例といえる。(出所:スマートIoT推進フォーラム【ここに注目!IoT先進企業訪問記(55)】センサを活用した予知防災・減災の実現をめざす応用地質地質:https://smartiot-forum.jp/iot-val-team/mailmagazine/mailmaga-20211022)
7.センサ・ネットワークへのSUCS活用
ここまで、センサ・ネットワークの展開を「解決の難易度」と「課題の普遍性」の2軸で見てきた。
「i. テクノロジー進化で難課題を解決」では、社会課題を解決するため、微少ウィルス検知、微少ガス検知など従来取得困難だったIoTデータ取得が求められていることを例示した。それが新たな産業を生み出すと考えられており、実現のためにSUCSがサポートできる領域があることを示した。
「ⅱ. データ活用で多様性社会を実現」では、多様な環境条件をのもとでの予知防災・減災に取り組まれている応用地質(株)の事例を紹介した。地形・地質・標高など地点ごとの個々の環境条件に応じた土砂災害の予知は、一見 普遍性が低いように思えるが、同社はセンサ・AIを駆使して経済合理性の限界を乗り越えている。また冠水・雨量など他のセンサ情報を組み合わせて土砂災害、河川氾濫の危険度を判定しており、SUCSのような多様性にマッチングのある機能が適しているようだ。
IoTは多様なユーザの使い方やニーズ、事情に合わせて、ITシステムとして実現されることで価値を生む。市場でIoTの普及が強く求められ、ライフスタイル・人々の価値観の多様化が進む中で、画一的な大量生産・大量消費のスタイルでは立ち行かない。社会の変化に伴い、センシングも“変化”してくる。
これからは、ヒトの健康維持、複雑な五感の知覚機能、複数の環境要素を組み合わせた、複雑で多様なデータ取得が求められてくる。そしてSUCSのような多様性に富んだセンサ・ネットワークとソフトウェア(AI)との融合が求められると考える。
おわりに
以上、「SUCS適用領域とユースケースのイメージ」を考察した。新技術SUCSが社会課題解決の一助になることを期待する。
参考文献
- 今後のセンシングは如何に進化するのか 小林彬:https://sensait.jp/20360/
- IoT&ビッグデータ時代におけるセンサ・センシング技術を探る 小林彬 環境試験技術報告 第 14 回試験技術ワークショップ
- ビジネスの未来 山口周 プレジデント社
- スマートIoT推進フォーラム【ここに注目!IoT先進企業訪問記(55)】センサを活用した予知防災・減災の実現をめざす応用地質 稲田修一:https://smartiot-forum.jp/iot-val-team/mailmagazine/mailmaga-20211022
【著者紹介】
新井 康祐(あらい やすひろ)
次世代センサ協議会SUCSコンソーシアムWG2リーダ
■略歴
2022年 次世代センサ協議会入会、現在に至る
DNP、工場の自動化を支える「エンコーダディスク」の開発・製造に新規参入
大日本印刷(株)は、産業用ロボットなどの位置や移動方向、回転角度などを検出する電子部品(エンコーダ)で使用する「エンコーダディスク*1」の開発・製造に新規参入する。
*1 DNPのエンコーダディスクについて→
https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/20168731_1567.html
エンコーダディスクは、微細な目盛り(スリット)が刻まれた円板(ディスク)である。エンコーダの内部に搭載し、ディスクに反射または透過した光を各種センサが感知して電気信号に変換することで正しく移動・回転しているかどうかを検出・制御する。小型化、強い反射強度、高品質なエンコーダが求められているなか、DNPはディスプレイ製品で培った技術を活用して、エンコーダの小型化を可能とする金属反射型ディスクを提供する。また、強い反射強度となる高反射材やクリーンルーム、自社開発の検査機を活用することにより、高品質なエンコーダディスクを提供し、お客様のニーズに対応するという。
【DNPが製造するエンコーダディスクの特長】
1.さまざまな素材・型式に対応したエンコーダディスクを提供
DNPは顧客企業の多様なニーズに応じて、ガラスやステンレス(SUS)、樹脂基板など、さまざまな素材で製造するエンコーダディスクを提供する。透過型、反射型の「ロータリーエンコーダ」、「リニアエンコーダ」などに対応できる。
2.DNP独自の工法・技術により高い性能・信頼性を実現
DNP独自の切断工法で、より割れにくい「ガラス製のエンコーダディスク」やディスクに部分的なひずみがない「金属製のエンコーダディスク」を提供する。また、透明の保護膜や高反射材を薄膜塗布することで、コーティングしない製品と比較して反射強度を約1.5倍*2にしたエンコーダディスクの提供も可能である。これらの製品により、エンコーダディスク設置時の衝撃への耐性を高めるとともに、エンコーダディスクに照射する光源の消費電力の低減などにつなげていくとのこと。
*2 保護膜や高反射材をコーティングしないDNP製のエンコーダディスクと比較した場合
3.大型装置による大量生産が可能
大型装置でエンコーダディスクを多面付けして製造するため、顧客企業のニーズ等に合わせて大量生産することが可能である。また大型のディスクを製造することも可能。DNP独自の切断工法と製品の自動検査装置により、高品質のエンコーダディスクを提供する。
ニュースリリースサイト(dnp):https://www.dnp.co.jp/news/detail/20168957_1587.html
ST、高性能超音波スキャナの小型化・簡略化に貢献する高集積の高電圧ドライバ
STマイクロエレクトロニクスは、リニア・ドライバとパルス・ドライバを集積し、クランプ回路、スイッチング回路、診断回路を内蔵した超音波IC「STHV200」を発表した。
同製品は、医療用および産業用スキャナの簡略化、小型化、部品点数の削減に貢献するという。
3Aのリニア出力と2Aのパルス出力を備えるSTHV200は、医療用の高性能なカート型超音波エコーシステム、産業用の非破壊検査(NDT)装置、圧電トランスデューサの駆動などのアプリケーションに最適である。リニア回路とパルス回路は、それぞれが2チャネルを備えており、同じ高電圧出力ノードを共有することで、アプリケーションに応じて最適な出力を柔軟に選択できる。STHV200は、体内組織の撮像といったアプリケーションにはパルス波を、血流などの動的な測定には連続波を使い、臓器の健康状態や腫瘍の診断には組織の固さを調べるエラストグラフィを使って動作させる。
各リニア・ドライバは、4つのプログラム可能なゲイン・レベルを使って、出力信号を180Vppまで調整できる非反転オペアンプである。各チャネルは、ノイズと高調波を低減するように最適化されており、最大ゲイン設定で20MHz、最小ゲイン設定で25MHzまでの動作が可能。両チャネル共、ダイオード不要の出力回路設計になっており、歪みが抑制されている。同時に、グリッチの混入を抑えるために専用回路を使ってターンオン / ターンオフ時間を高速にしたため、ニアフィールド画像を取得できるようになる。
パルス出力のチャネルは、ハイサイド・トランジスタとローサイド・トランジスタの両方で最大2Aの飽和電流をプログラム設定できるハーフブリッジ・ドライバである。プログラム設定には、SPI端子を利用する。生成される出力電圧は200Vppまで変化させることができ、スイッチング波形のエッジを微調整することで、パルス波と連続波、およびエラストグラフィ・モードにおいて性能と消費電力を最適化できる。真のゼロクランプ回路も内蔵されているため、出力ノードを強制的にグランドに直結させることができる。
さらに、STHV200は、循環電流をクランプするためのフリーホイール保護ダイオードを内蔵しているため、誘導性負荷やアンチ・メモリ回路など、クランプ状態の間にすべての内部ノードを放電する場合に有効である。出力短絡保護機能も内蔵されており、出力ピンが短絡した場合でも危険な状態を回避する。IC全体のチェック機能および自動診断機能も内蔵・追加されているため、安全動作条件を確保できる。
STHV200は現在量産中で、48ピンのQFNパッケージ(7 x 7mm)で提供される。単価は約30.00ドル。
詳細については、ウェブサイト
(https://www.st.com/ja/switches-and-multiplexers/sthv200.html?icmp=tt33742_gl_pron_jun2023)
を参照のこと。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001317.000001337.html
ウェザーニューズとオムロン、新型気象IoTセンサ「ソラテナPro」を開発
(株)ウェザーニューズとオムロン(株)は、新型気象IoTセンサを開発、ウェザーニューズより「ソラテナPro」として7月5日から発売する。
「ソラテナPro」は、気温・湿度・気圧・雨量・風向・風速・照度の7つの要素を1分毎に観測する小型の気象IoTセンサ。「ソラテナPro」は、センサ開発を得意とするオムロンと予報精度No.1*1の技術を誇るウェザーニューズが、両社の強みを活かして共創し開発した。同製品は、オムロンのセンシング技術によって雨風のセンサの性能を高めており、災害リスクが高まる雨量50mm/h、風速50m/sの大雨・強風を観測することができる。
ウェザーニューズは、「ソラテナPro」を3,500万ダウンロードのお天気アプリ「ウェザーニュース」と連携し、SaaS型の新たなソリューションとして展開する。これにより、観測データと天気予報や雨雲レーダー、停電リスク予測など有料機能を含む様々なコンテンツを「ウェザーニュース」アプリ1つでシームレスに確認できる。また、観測された気温・雨量・風速が設定値を超えた場合は、プッシュ通知で知らせることで、災害リスクの検知と迅速な対応に役立てられる。さらに、PC版も用意しており、過去の観測データをダウンロードして当時の気象と被害状況を分析することも可能である。
「ソラテナPro」は、高性能のIoTセンサで現場の気象を見える化し、アプリを通して気象の変化をすばやく伝えるため、農業・建築・ドローン・物流・スポーツ・電力・食品小売・アパレルなど業界を問わず企業の安全対策や生産性向上などに活用できる。ウェザーニューズとオムロンは、「ソラテナPro」を通してデジタル化社会の促進や災害リスクの低減を支援することで、持続可能な社会づくりに貢献するとしている。
*1 予報精度No.1: 株式会社東京商工リサーチ調べ(2023年6月発表)https://jp.weathernews.com/news/43535/
ニュースリリースサイト(omron):https://www.omron.com/jp/ja/news/2023/07/c0705.html
アイエンター、「AI 魚体サイズ測定カメラ」新機能リリース
(株)アイエンターは、養殖業作業の1つである魚体サイズの測定をAIカメラで行う「AI魚体サイズ測定カメラ」の新機能をリリースする。
AI魚体サイズ測定カメラは、養殖業者が魚体サイズを測定する際の作業を効率化し、魚を傷めたり斃死させてしまうリスクの軽減や、計測データをWeb管理画面に集約しグラフ表示させることが可能なシステム。この度、より現場の課題解決に貢献できるよう開発を行い、新機能として以下の二点について発表した。
1)ケーブル24m版のスタンダード版カメラ開発
魚体サイズ測定カメラのスタンダード版はケーブルの長さが10mだったが、新たに24m版のカメラを開発した。従ってより水深が深い生け簀の環境でもスタンダード版カメラを使用することが可能となる。
2)ブリの魚体重換算式の開発
高知大学の深田教授との共同研究を通じて、ブリの魚体重を導き出すための換算式を開発した。この換算式は、ブリの尾叉長と体高のデータを基に作成され、AI技術を活用して高い精度で魚体重を予測することができる。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000022582.html
TOPPAN、ボトル内の液体を検知するNFCタグラベル開発
凸版印刷(株)は、開封検知機能を持つセキュアセンシングNFCタグを2017年1月から展開し、高級ワインなどに採用されている。
この度、セキュアセンシングNFCタグの新ラインナップとして、静電容量(※1)式センサ機能を搭載しボトルなどの容器内の液体の残量を非接触で検知できるNFCタグラベルを開発。2023年8月より、化粧品業界、医療・医薬品業界、酒類業界などに向けて全世界で提供を開始する。
このNFCタグラベルは、凸版印刷がこれまで培ってきた独自のアンテナ設計技術を活かし、NFCアンテナと液体検知回路を組み合わせたもの。一対の電極回路をラベル内に形成し、容器の表面に貼付したNFCタグラベルをスマートフォンで読み取ることで、容器内の静電容量の大きさから液体の有無や残量を検知することができる。
本製品の活用により、ユーザーは中身の見えない容器の残量確認が簡単にできる。また、導入企業は、消費者に対して使用状況に応じたコンテンツ提供や追加購入の誘導などのカスタマーエンゲージメントサービスを提供することも可能になる。
▮本製品の特長
・専用装置が不要で、スマートフォンを用いた手軽な液体検知
通常、静電容量の仕組みを用いて液体検知をする場合は静電容量を測定する専用装置が必要である。本製品は静電容量信号入力を有したNXP®Semiconductors製の革新的なNFC用ICチップであるNTAG® 22x DNA StatusDetectを採用。ここに、凸版印刷が持つ独自のアンテナ設計技術を活かして、NFCタグラベルにNFCアンテナと容器内の液体を検知可能な回路を組み合わせることで、スマートフォンを用いた手軽な液体検知を実現した。また、スマートフォンからの電磁誘導により自己発電し電流が流れるため、電源は不要で読取りすることが可能。
※正しく液体を検知する為には使用する容器の材質、厚み、液体の種類ごとに事前の評価が必要。また、容器の材質が金属の場合は、検知をすることができない。
・専用アプリがなくても液体検知が可能
本製品は、NFC対応スマートフォンをかざすだけで、ICチップ内部のNDEF(NFC Data Exchange Format(※2))データを専用のアプリ不要で読み込むことができる。具体的には、NFCタグにスマートフォンをかざした際に測定された液体検知データを含むURLを生成することができ、Webブラウザ上で情報を確認することが可能である。
・真贋判定や商品情報の提供も可能
NFCタグを読み取ると、ID情報を読み取るだけでなく、演算による認証情報も取得する。認証情報は読み取りプロセスごとに異なり、クラウド上でその演算結果を判定するため、高いセキュリティ性を保有している。また、同じNFCタグを何度読み取っても、応答するURLが変化することでURLのコピーや拡散などは無効となるため、商品の真贋判定にも活用が可能である。さらに、表示されたページにキャンペーン情報などのコンテンツを掲載することもできるという。
▮価格
1枚60円~/100万枚製造時
※用途に応じたカスタマイズを行う場合は別途見積り。
▮用語解説
※1 静電容量
離れて配置された2つの導電体からなる電極間において、どの程度の電荷が蓄えられるかを表す量である。英語ではキャパシタンス(capacitance)と呼ぶ。
※2 NDEF(NFC Data Exchange Format)
NFCの普及を推進するための業界標準団体NFC Forumが規定する、NFCデバイス同士が情報交換するための共通データフォーマット。
ニュースリリースサイト(toppan):https://www.toppan.co.jp/news/2023/07/newsrelease230705_1.html
日本材料技研、ジアミン化合物およびこれを用いた高屈折率樹脂に関するライセンス契約
日本材料技研(株)は、このたび、JSR(株)および東京工業大学との間で、ピリダジン、硫黄を含有するジアミン化合物およびこれを用いた高屈折率樹脂に関するライセンス契約(以下「本契約」)を締結した。
本契約の対象となる材料は、JSRと東京工業大学の上田充名誉教授・同大学物質理工学院の安藤慎治教授らが共同で行った研究から見出された3,6-ビス(4-アミノフェニレンスルファニル)ピリダジン(以下「本モノマー」)およびこれを用いたポリマーである。本モノマーは高屈折率の付与に寄与するピリダジン骨格と硫黄原子を有しており、高屈折率、高耐熱なポリマーの原料になる。また、本モノマーはテトラカルボン酸二無水物と重合することによりポリイミドとすることができ、組み合わせるテトラカルボン酸二無水物等に応じて、透明性や高屈折率、低複屈折、耐熱性を付与することができる。同社では、本契約によって取得した独占的通常実施権を活用し、光学用樹脂材料メーカー等に対して本モノマーを供給することで、早期の事業化を図る。
同社では、これまでにダブルデッカー型シルセスキオキサン、トリシクロデカン構造を有するVSTCDなど、高屈折率や耐熱性、透明性を有する樹脂材料の工業化に取り組んでいる。車載用途や情報通信用途におけるセンサやカメラ、通信モジュールなどの高機能化に向け、レンズやプリズム、光導波路などに用いられる透明樹脂に対する市場ニーズは急速に拡大・多様化している。同社では、今後も革新的な光エレクトロニクス関連材料の製品化に対して積極的に取り組むという。
また同社は、2018年3月に東工大メンバーシップ会員(旧名称:東京工業大学産学連携会員(第Ⅰ種))として登録し、東京工業大学により発明された素材関連技術の事業化を検討している。本材料は、2018年9月に共同研究契約を締結した負熱膨張材料BNFO、2020年2月に独占的通常実施権許諾契約を締結したVSTCDに続き、東京工業大学の研究成果について同社が事業化を目指す3つ目の案件となるとのこと。
ニュースリリースサイト:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000052040.html
SUCSが要求される背景と狙い(1)

一般社団法人次世代センサ協議会会長
小林 彬
はじめに
SUCSの語は聞きなれていない方が多いと思うが、次世代センサ協議会(以下JASST)が提唱する新しいセンシングフレームワークのことで、
SUCSとは:
SENSPIRE Universal Connecting System(センスパイア自在連結システム)の頭文字を採ったものである。
昨年10月にSUCSコンソーシアム(以下SUCS CS)がJASST内に立ち上げられ、鋭意検討が進められている。
SUCSでは、センシングシステムを構築する第一段階として、センサ、AD変換器、自立電源、通信部、の4つのユニットの連結で実現する場合を想定し、各ユニットには様々な機能・性能のものがラインアップされることを前提とする。この点、センシングシステムは、各ユニットからそれぞれ目的に合ったモノを選択し、その組合せの連結で実現されることになる。
一方、市場には様々なセンサ、AD変換器、自立電源、通信部が提供されているが、それらの仕様や構成等はそれぞればらばらで統一が取れておらず、その結果、そのまま相互に連結してシステムを構成することは難しい。
状況を改善し、目的のセンシングシステムを誰でも簡単に構築することが可能となるようにするには、ばらばらな仕様や構成等を揃え、ユニット間接続仕様の標準化を適切に進め、連結するだけでシステムが構築できるようにすることが肝要である。(図1参照)

以上の観点から、SUCS CSはユニット間接続仕様の標準化と標準化規定の基礎となるガイドラインの作成を初期目標とし、現在多面的に活動している。
1.SUCSが要求される背景
SUCSが要求される背景には、センサ技術、センシング技術への大きな期待がある。すなわち、IoT、Society5.0、DX化等が叫ばれ、出発点となる必須情報を拾い出すための基盤技術として、センサ技術、センシング技術の重要性があり、その最大限の活用により世の中が変革出来るとの期待が一つの大きな背景である。
この場合、拾い出すべき情報は何処にどんな形で存在しているのかを改めて冷静に見直すことが大切である。これまでセンサ技術の活用は主として製造技術の自動化・オートメーション化の中で進められてきたが、今後は、製造業分野の枠を遥かに超え、農林水産業、社会インフラの維持管理、アミューズメント業界等、非製造業分野・行政的分野にまで及ぶと考えられ、ここには、膨大で潜在的なセンシングニーズが広く・深く存在している。
様々に考えられる隠れた潜在的ニーズの一例として、密・換気のモニタリング用に、例えばCO2センサ等を活用する適用先の可能性について考察したものが図2である。(図2参照)

種々の交通機関や一般家庭を始めとして、講義室・教室、映画館やコンサートホール、居酒屋等飲食店など、全国、津々浦々、幅広い適用・導入先が想定され、必要とされるセンサ類の個数を積算すれば膨大な数になることは明らかである。密・換気のモニタリング用センサの他にも、多様なセンシングニーズがあることは容易に想像でき、膨大なセンシング市場を開拓することを目指すべきである。
それらを丹念に掘り出し、具体的に顕在化させその活用を円滑に進めてゆくことが重要であるが、その為の開発体制の整備が何より必要である。
この意味ではIoTということ以上にSoT:Sensor of Things つまり様々なシステムにセンサを利用し有用なデータを拾い上げ活用する考えが求められる。このためのセンシングフレームワークがSUCSであり、SUCSが要求される重要な背景である。
2.センシングシステムが世の中を変革する
前項で触れたようにセンシング技術は、今後新しい分野に急速に進出しようとしている。
ただし、センシング技術のみが孤立して進出する分けではない。様々な分野で世の中を活性化させるために新システムの開発が構想されることに連携するもので、新システムが生み出す価値の創造により、世の中を進化させることが目指される。
この場合、新システム開発ということは、これまでにない機能の創出、向上した性能の実現を意味するが、センシング技術は、実際に新機能・性能が提供されていることを客観的に確認する(計測する)役割を果たすことになる。
従って、新システム開発による世の中の変革に伴い、これまでに無い新しい測定項目や評価項目が続々と現れて来るので、それらへの円滑な対応としてのセンシングシステム開発体制の整備が要求されるのである。SUCSの目指す狙いの一つが此処にある。
なお、分野により、どのように測定項目や評価項目が変わるのかを製造業分野(例えばプロセス産業)と非製造業分野(例えば道路橋梁の維持管理分野)を対比させて示したものが図3である。

以上、新しい機能・性能を持つシステムを実現するためには、実現したことを確認するための新しいセンシングシステムの開発が不可欠であって、新センシングシステムの開発なくして新システムの開発は有り得ない。
この意味で、新センシングシステムの開発は世の中を変革することに連動すると言える。
「センサを制する者はシステムを制する!」の言葉もあり、重要な考え方ではある。
3.オンラインビッグデータの時代
「ビッグデータ」の時代の到来に指摘されるように、利用すれば有効な情報が至る所に眠っているとされる。しかし、言われている割には、それらの大部分が未だ顕在化されていない。その理由は、データを拾い・集め・活用するにつき、連携した全体的仕組みが充分整備されていないからである。
言うまでもなく、データを拾い挙げる役割はセンサにあり、特にオンラインでの扱いを考慮すればセンサは必須で、先に指摘したSoTの認識を徹底しなければならない。一方、データを集めることに関してはIoTが普及されつつあり今後も更なる進展を期待したい。
他方、集められたデータを総括的に分析・処理し、様々な意思決定プロセスに効果的に活用することが究極の目的の筈であるが、この点充分な議論が進められているかは疑問である。
AIに期待することに異論はないが、AIのシーズからの議論が多く、ニーズに即した分析手法の開発が必要なのではなかろうか。
利用する元の情報が同じであっても、立場の違いにより微妙に活用する仕方は異なり、それに即してマスカスタマイズされたインデックス化に留意することが重要である。(図4参照)

図4に見られるように、SoT、IoT、AIの連携において、SoTは活用すべき情報の出発点となるデータを拾い出す役を果たすが、そもそもその種のデータがなければ情報の活用は始まらず、本来情報システム成立の鍵は此処にある。
SUCSは情報の民主化を目指し、多くの関係者が、求める情報を拾い出すセンサ系を容易に実現することができるよう、できるだけ簡便なセンシングフレームワークを提供することを狙いとし、オープンイノベーションを目指している。
次回に続く-
【著者紹介】
小林 彬(こばやし あきら)
東京工業大学 大学院理工学研究科 機械制御システム専攻 教授
東京工業大学 名誉教授
次世代センサ協議会 会長
■略歴
昭和44年03月 東工大理工学研究科博士課程修了(制御工学専攻)、工学博士
昭和44年04月 東工大工学部 助手 (1969.04)
昭和50年08月 東工大工学部 助教授 (1975.08)
昭和62年12月 東工大工学部 制御工学科 教授 (1987.12)
平成5年4月 東工大工学部 制御システム工学科 教授 (1993.4.)
平成6年4月 東工大総合情報処理センター教育・研究専門委員会委員
平成12年4月 東京工業大学 大学院理工学研究科 機械制御システム専攻
平成13年4月~平成15年3月
東京工業大学 保険管理センター所長
平成17年03月 東京工業大学 大学院理工学研究科 定年退職 東京工業大学名誉教授
平成17年04月 大学評価学位授与機構客員教授
平成17年04月 帝京平成大学現代ライフ学部教授
平成22年04月 帝京平成大学現代健康メディカル学部教授
平成24年03月 帝京平成大学定年退職
■賞罰
昭和48年08月 計測自動制御学会学術論文賞受賞
昭和55年08月 計測自動制御学会学術論文賞受賞
昭和61年07月 計測自動制御学会学術論文賞受賞
平成5年5月 日本ファジィ学会;著述賞。「あいまいとファジィ」
電気学会編、オーム社発行(1991)
平成4年10月 (社)日本産業用ロボット工業会;工業会活動功労者賞
平成8年07月 計測自動制御学会フェロー受称
平成17年08月 計測自動制御学会学術論文賞受賞
平成15年10月 東京都科学技術振興功労者賞
平成23年10月 経済産業省産業技術環境局長
SUCS センシングトレインの標準化(1)
1.はじめに
(一社)次世代センサ協議会では2021年10月にSUCS®※1(ザックス)コンソーシアムを立ち上げ、以下のビジョン&ミッションを掲げ新しいIoTセンシングフレームワークの社会実装に向けての鋭意活動を行っている。
Vision & Mission
すべての人が安全・安心で利便性の高い生活を送れ、
幸福感に満ちた世界をつくるため
多様なセンサデータを簡便に且つ高いコストパフォーマンスで
使うことができるセンシング系を提供する。
技術開発本部基幹技術部
古川 洋之
現在SUCSコンソーシアムでは、本SUCS特集の最初の報告でも紹介があった図1に示すSUCSフレームワークにより、センサ、AD変換、通信、電源の4つのユニットの組み合わせによるSUCSセンシングトレイン(以下センシングトレイン)とサイバー空間の様々なメタデータの活用により、進化し持続可能なIoTセンシングシステムが無数に生まれる世界を実現するために活動を行っている。
本稿で、SUCSの標準化の第一弾であるSUCS1.0ガイドラインのフィジカル空間側のセンシングトレインの標準化技術について解説を行う。なお、SUCS1.0のガイドラインは2023年6月末にリリースしており、詳細はSUCSコンソーシアムのホームページにて公開予定となっているので、詳細情報は本稿末尾のURLにアクセスし閲覧いただきたい。
2.SUCS誕生の背景
詳細の技術説明に入る前にSUCSの考えが生まれた背景を紹介させていただく。近年、サイバー空間側の演算の高性能化と通信の高速化およびストレージの大容量化によりハードウェアのソフトウェア化が急速に進んでいる。ハードウェアの役割は無くなるのではないかと危惧する声も少なくないが、実際にはサイバー空間で取り扱えるデータはデジタルデータのみであり、フィジカル空間上の物理量をアナログ信号に、アナログ信号をデジタル信号にするまでの役割は必然的にハードウェアが担うことになる(図2)。それを踏まえIoTセンシングシステムにおけるフィジカル空間のハードウェアのソフトウェア化を突き詰めていった結果は、図1に示すように最終形態としてはセンサ、AD変換、通信、電源の4つの機能のハードウェアが残る。
ここで図3に示す様にセンサ、AD変換、通信、電源の4つの機能を独立させた機器(以下ユニット)とし、接続の標準化を行うことにより各社のユニットの接続が可能となる。各ユニットのラインナップが充実した暁には、様々なユニットの中から最適なユニットを選択することで必要とするセンシングトレインが実現できる。これがSUCSの考え方の第一歩である。
次に、SUCSではセンシングトレインでの機能を必要最小限としているため、AD変換直後のデジタルデータをセンシングトレインからサイバー空間のクラウドに送信している。その結果、最も情報量が多いセンシングデータをクラウドで扱うことが可能となる。クラウドではAD変換データに対して単位変換や補正式を使って物理量に変換し、スマートフォンなどを使って可視化情報を確認することができる。この単位変換や補正式はセンサユニットのメタデータとしてメーカがクラウドに事前に登録している情報を使用している。このメタデータの活用がもう一つのSUCSの重要な技術である。
即ち、センシングトレインとメタデータを活用したクラウドサービスが中心技術となり、新しいセンシングフレームワークとしてSUCSの誕生に至った。
なお、本稿ではセンシングトレインの接続標準化に関する説明を行うものとし、メタデータおよびクラウドサービスに関する標準化の説明は本特集の次の論文にて紹介されるが、メタデータに関しては上記以外に各ユニットの様々な情報や観測データへの拡張と標準化を行っているのでご確認いただきたい。
3.センシングトレインの接続標準化
センシングトレインを簡便に構築するために図1と表1に示す4つのユニット間のアナログ信号、デジタル信号、電源の3カ所の接続に対する電気的・機械的な接続およびデジタル信号のI2C通信の標準化を行っている。
機械的接続の標準化としてSUCSコネクタとしてUSBコネクタの様に接続が簡単で強度を有するコネクタを採用している。ユニット同士のコネクタ接続によりユニットの交換も簡単となり、トライ&エラーを繰り返すことで様々なユニットを試すことができアジャイル開発に有効となる。
なお、多チャンネル計測用のAD変換ユニットの利用も可能であり、SUCS1.0では最大8個のセンサユニットの接続に対応している。
次回に続く-
商標
※1 SUCSは、SENSPIRE TM※2 Universal Connecting System(センスパイア自在連結システム)の頭文字を採ったものである。(一社)次世代センサ協議会の登録商標である。
※2 SENSPIREは、センサの発展進化系を表すSensor×Inspireの造語であり、(一社)次世代センサ協議会の登録商標である。
【著者紹介】
古川 洋之(ふるかわ ひろゆき)
アズビル株式会社 技術開発本部基幹技術部
次世代センサ協議会社会 インフラ・モニタリングシステム研究会委員
次世代センサ協議会 SUCSコンソーシアム幹事
■略歴
- 1989年04月山武ハネウェル株式会社 入社(現アズビル株式会社)
温度調節器、地震センサなどの製品開発および遠隔遮断システムのプロジェクトリーダを経て、現在SUCSに関する研究に従事している - 2017年07月~次世代センサ協議会社会インフラ・モニタリングシステム研究会委員
- 2021年10月~SUCSコンソーシアム幹事





