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水晶振動子をトランスデューサとするe-Nose型ニオイセンサ(2)

橋詰 賢一(はしづめ けんいち)
(株)アロマビット
最高技術責任者
橋詰 賢一

4 アロマビット製e-Nose型ニオイセンサ

アロマビット社は創業時よりe-Nose型ニオイセンサに特化して開発及び製品化を進めている。弊社では上記のトランスデューサのうち最も歴史が長く、電子部品としても成熟している水晶振動子と将来の超小型化・低価格化を視野に入れたFET・CMOSの二種類に着目し、これらをニオイセンサとして有効に利用するための感応膜開発および測定されるパターンデータの解析と匂い判定技術を中心に技術開発を行っている。
図-3にアロマビットで開発、販売している水晶振動子型およびCMOS型のセンサモジュール製品の写真を示す。図に示したように、水晶振動子型はセンサ表面に吸着した分子の重量の測定、CMOS型は吸着により生じる感応膜上の電気的変化を測定するという意味で、それぞれ体重計と体組成計のような概念的な違いがあるが、いずれも異なる感応膜に対するニオイ分子の親和性の違いを読み取りパターン化するという点では同じ原理のセンサである。

図-3 アロマビット製ニオイセンサ及びそれぞれの動作原理の違い
図-3 アロマビット製ニオイセンサ及びそれぞれの動作原理の違い

水晶振動子型ニオイセンサ用の吸着膜は創業時より先行して開発していたこともあり、現在は40膜をお客様にご提供している。40膜すべてを搭載した匂い分析装置 Aroma Coder V2 も上市している。(図-4)

図-4 Aroma Coder V2
図-4 Aroma Coder V2

このAroma Coderを用いて様々なニオイ物質を測定し、レーダーチャートの形で表現した結果を図-5に示す。相違がわかりやすくなるように選抜した28膜としているが、アンモニアとアミン、アセトアルデヒドとプロピオンアルデヒドが一定の類似性を示すことから、Aroma Coderを用いた匂いのパターン化が一定の有用性がることがわかる。
また、これらの物質を例に取ると、アンモニアやトリメチルアミンなどの高極性物質においてはCMOS型ニオイセンサでも十分な感度を有する感応膜の開発に成功しているが、酢酸エチルやトルエンなどの低極性物質に関しては今のところ水晶振動子型のセンサ向けの吸着膜が進んでおり、現状では水晶振動子型センサが一歩先行しているという状況である。
ただしCMOS型の感応膜の開発も順調に進んでおり、膜の種類という視点ではここ2年ほどで両方とも同程度の感応膜のラインナップが準備できると考えている。

図-5 Aroma Coderを用いたニオイ物質のパターン化
図-5 Aroma Coderを用いたニオイ物質のパターン化

5 最後に

これまで述べてきたようにe-Nose型ニオイセンサはその仕組が最初に提唱されてから既に60年にもなる古い概念のセンサである。また、水晶振動子デバイスも大変歴史が長く成熟した技術であり、こうした完成度の高い2つの技術を組み合わせることでデジタル化の困難であった嗅覚という感覚をデータ化できる可能性を持つセンサである。
21世紀に入ってからこのようなアプローチでいくつものスタートアップが製品化・事業化を目指して開発を進めてきたが、近年のビッグデータ解析技術や人工知能技術の発展に伴って多次元で表現される匂いパターンデータをAIの助けを借りて用意に利用できる環境が整ってきた。この環境下で上記のように完成度の高いe-Nose型ニオイセンサ技術と組み合わせることで様々な社会的なニーズに答えることができる可能性が飛躍的にましていると考えている。
弊社においても、このような匂いのパターン化・デジタル化の技術に対して期待されている用途分野は業界を問わず多岐にわたっている。図-6にはそれらのうち、弊社が把握しているいくつかの産業界における用途の例を示す。
これらの他にも、匂いのデジタル表示、健康管理や病気検知など無数の応用が期待されている。

図-6 e-Nose型ニオイセンサの用途の一例
図-6 e-Nose型ニオイセンサの用途の一例


【著者紹介】
橋詰 賢一(はしづめ けんいち)
株式会社アロマビット 最高技術責任者

■略歴

  • 1983年日本カーリット株式会社中央研究所入社 主として電子材料・機能性化学品の開発に従事
  • 1991年ERATO吉村π電子物質プロジェクト研究員 ファインカーボン・テーラードカーボンの基礎研究に従事
  • 1999年ノキア・ジャパン株式会社ノキアリサーチセンター入社 リサーチマネージャおよびプリンシパル・サイエンティストとしてプリンタブルエレクトロニクス、バイオマテリアルおよび5感通信技術の研究を行った
  • 2008年Invention Development Fundにて材料技術・環境技術・エネルギー技術担当ディレクターとして10年先を見越した技術開発テーマの策定と知財化を行った
  • 2014年株式会社アロマビット最高技術責任者

JVCケンウッド、水上バス「エメラルダス」にて、通信型ドライブレコーダーを活用した実証実験

 (株)JVCケンウッドは、Marindows(株)と共同で、東京都観光汽船(株)が運行する水上バス「エメラルダス」において、通信型ドライブレコーダーを活用した船舶の安全な運航を目指す実証実験を実施した。
 本実証実験では、自動車・バイク向けの技術・ノウハウにより、コストを抑えて手軽な設置を実現した通信型ドライブレコーダーを使用。「エメラルダス」の操舵室に2台のカメラを設置して、前方を180°以上の広角で撮影し、本機を船舶の運航に活用できることを確認した。

<実証実験の背景と目的>
 同社は、長年培ってきた映像・光学技術と車載技術の融合により、ドライブレコーダーには欠かせない高機能・高信頼性・高画質録画を実現し、自動車保険やライドシェア、トラック運送業界など、さまざまな分野との連携により、個人/企業向けに通信型ドライブレコーダーを核とするテレマティクスソリューションの提供を推進している。
 近年、国土交通省が小型の遊覧船などを対象にドライブレコーダーの設置を義務づける方針を固める※1など、自動車だけでなくさまざまな乗り物(モビリティ)においても万が一のために映像を記録する気運が高まっている。一方、従来の船舶用として市場展開されている記録カメラは高額なものが多く、導入しやすい製品が求められていた。そうした状況を受け当社は、風雨や塵・埃などにさらされる環境下での使用に対応できる防塵・防水仕様※2の通信型ドライブレコーダー(モビリティカメラ、2023年1月18日報道発表)を船舶向けにカスタマイズ。テクノロジーで海事産業の課題解決と発展に取り組むMarindowsと協働し、海外からの観光客など利用者が急増し、より一層の安全な洋上運行の実現を目指す東京都観光汽船の協力のもと、同社の水上バス「エメラルダス」にて、実証実験を実施することとなった。

※1:国土交通省 知床遊覧船事故対策検討委員会 旅客船の総合的な安全・安心対策(令和4年12月22日) https://www.mlit.go.jp/maritime/content/001580159.pdf
※2:JIS防塵保護等級6級・防水保護等級7級(IP67)相当

<実証実験の内容と今後の取り組み>
 本実証実験では、自動車・バイク向けの技術・ノウハウによりコストを抑え、手軽に取り付けできる、同社製の防塵・防水仕様※2の通信型ドライブレコーダーを船舶向けにカスタマイズして使用した。操舵室に2台のカメラを取り付け、180度以上の広い画角で前方の映像を撮影して、船舶特有の運行時の撮影や位置情報などのデータ取得、各種機能の動作などを検証。船舶でも運用可能であることを確認できた。
 今後は、結果を分析して実用化を目指すとともに、ドライブレコーダーとしての機能だけではなく、洋上運行特有のソリューションの開発に向けた検討を予定しているという。同社は、価格面や設置面での導入障壁を抑えることで、大型船から小型船まで幅広い船舶で安全な洋上運行への貢献を目指し、通信型ドライブレコーダーの普及を進め、新たなテレマティクスソリューションとして展開する。

<実証実験の概要>
・実験期間:2023年7月26日から8月31日まで
・対象船舶:東京都観光汽船 水上バス「エメラルダス」 (乗船人数:約100名)
 https://www.suijobus.co.jp/ship/emeraldas/
・対象航路:浅草~お台場海浜公園間
・検証事項:・船舶特有の運行時の映像録画 (波、船のすれ違い、橋げた近くでの運行など)
      ・データ取得(位置情報など)  
      ・各種機能の動作 など

ニュースリリースサイト(jvckenwood): https://www.jvckenwood.com/jp/press/2023/0915-01.html

小野測器「DX・スマートファクトリー化」を促進するデジタル回転計TM-4000シリーズ

(株)小野測器は、デジタル回転計のラインアップをリニューアルし、「TM-4000」全4シリーズを2023年9月14日より順次発売開始する。

 同社は1954年の創業以来、電子計測器の製造および販売を行ってきた。また同年には、国内初となるジェットエンジンの回転数を計測する回転計を開発。航空分野をはじめ、二輪・四輪車、建設機械、自動車部品業界等、様々な分野において、デジタル計測機器のパイオニアとして技術・研究開発のサポートを行ってきた。
 昨今では、家電製品や運搬・工作機械、発電装置などの産業機械の分野で、あらゆる回転機器が使用されている。その回転速度を正確に計測、制御することは、生産性や効率化を阻害するロスを最小限に抑えることに繋がる。
同社は、「TM-4000」シリーズを市場投入することで、多様化する回転速度計測へのニーズに対応しながら、家電製品や運搬・工作機械の分野における「DX・スマートファクトリー化」の実現をアシストするという。

■新製品4つのポイント
・従来機種の機能と性能を継承しつつ、高精度、高応答化を追求
・有機ELディスプレイを採用
・オプション機能としてEthernet通信に対応
・様々な活用シーンに対応した機能ラインアップを用意(10月順次リリース予定)

ニュースリリースサイト:https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/whats_new/press/23_09_14.htm#

日本ペイント、日光市の自動運転実証実験に特殊塗料「ターゲットラインペイント」提供

日本ペイント・インダストリアルコーティングス(株)は、この度、栃木県日光市で行われる自動運転実証実験に、自動運転用特殊塗料「ターゲットラインペイント」を提供する。本実証実験は、2023年9月21日~2023年10月4日の期間、日光国立公園内に位置する赤沼車庫~千手ヶ浜間の約9.3キロのコースを自動運転バスが走行する。

本実証実験は、栃木県が実施する2025年度に自動運転システムを導入した県内路線バスの本格運行を目指す、「栃木県ABCプロジェクト」の一環※1で取り組むもの。

今回、同社が提供するターゲットラインペイントは、自動運転用の特殊塗料である。車両に搭載したセンサが、路面に塗装されたターゲットラインペイントを認識・追従することで、安定した自動走行を行なう。また、本実証実験の環境下のように樹木等が生い茂り、衛星測位システム(GNSS)が入りにくい場所でも、自己位置を見失わず安定した走行を実現することが可能である。

日本ペイントグループは、今後も様々な場所でターゲットラインペイントの展開拡大を目指し、塗料技術を生かした自動運転の普及へ貢献していくという。

■実証実験概要
 走行コース  :日光国立公園内の赤沼車庫と千手ヶ浜を結ぶ約9.3キロの区間
 実施期間   :2023年9月21日~2023年10月4日(9月23日(土)と9月28日(木)は運休)
 運賃     :大人(中学生以上)500円・小児(6~12歳)250円
 自動運転レベル:レベル2

ニュースリリースサイト(nipponpaint):
https://www.nipponpaint-holdings.com/news_release/20230913_01_1/

デジタルツイン技術×MR技術で日本国内初の教育研修を実現

 DataMesh(株)は、(株)ネクスコ東日本エンジニアリングが群馬県高崎市に拠点を有する、ネクスコ東日本エンジニアリング テクニカル・トレーニングセンター(以下:テクニカル・トレーニングセンター/略称:TTC)※1において、技術者育成の課題解決を目的に、デジタルツイン技術、MR技術※2を活用した教育研修用ツールの開発支援を行った。

 ETC設備、トンネル非常用設備をデジタルツイン技術で3Dデータとして再現し、MR技術の活用により現実空間上に3Dデータを重畳させた教育研修は、日本国内初の取組みであるという。

※1 テクニカル・トレーニングセンター(略称:TTC)について
所在地:〒370-1203 群馬県高崎市矢中町21-2
「施設設備と土木構造物のメンテナンスに関する技量向上」を目的とし、テクニカル・トレーニングセンターでは実際に高速道路上で使われているETC設備や土木構造物のカットモデルなどの実物を使用しメンテナンスや故障対応等の実践的な教育・訓練を行っている。

※2 MR技術について
MR技術は、Mixed Reality(複合現実)技術の略称。現実世界と仮想世界を融合させることができる技術。

ニュースリリースサイト:https://www.datamesh.co.jp/news-release/4078/

アラヤ、西松建設と計測用装置の自動運転化を実現 〜山岳トンネル工事における建設機械の自動化に〜

(株)アラヤは、西松建設(株)と共同で、計測用装置『Tunnel RemOS-Meas.(トンネルリモスメジャー)』*1の自動運転化を実現した。
 アラヤは建設現場における自動化技術の実装を推進している。今回、西松建設が取り組んでいる山岳トンネル工事の切羽作業の無人化において、各種建設機械の遠隔化・自動化技術構築システムの一つにあたる計測用装置に、アラヤの自動化技術を組み込んだという。

■背景
 山岳トンネルの施工では、切羽(きりは)における岩盤の崩落事故に対する安全性向上や若手入職者の減少による労働力不足に対する生産性向上が課題となっている。この対策の1つとして、特に過酷な環境下である切羽近傍で従事する現場技術者や作業員の立ち入りを不要とする切羽作業の無人化(建設機械の遠隔化・自動化)が求められている。
 このような背景から、西松建設では山岳トンネルの施工に使用する各種建設機械の遠隔化・自動化技術『Tunnel RemOS(トンネルリモス)』の構築を進めている。これまでは、切羽から離れた場所より建設機械を遠隔操作する“遠隔化“技術を中心に開発を進めてきたが、そこにアラヤが得意とするAIやSLAM*2等の技術を組み込み、建設機械の“自動化”を加速させていく。
 そしてこの度、自動化技術の開発の第一歩として、山岳トンネル工事の計測作業を遠隔操作で行うための装置『Tunnel RemOS-Meas.(トンネルリモスメジャー)』の自動運転化技術の開発や現場試行を行った。これにより、駐機場所から切羽までの装置の移動が自動化されるため、これまでに必要とされていたタブレットによる遠隔操作が不要となる。

■概要
 今回開発した自動運転化技術は、SLAMにより駐機場所と切羽の間の装置の移動を自動化する。
 計測用の装置には複数のカメラやLiDAR*3やカメラ、制御用PCを搭載している。LiDARで取得したトンネル壁面や周辺環境の点群データを基に、制御用PC内のSLAMソフトで自己位置の推定を行い、側壁と一定の距離を保ちながら駐機場所と切羽の間を自動運転する。また、周囲の建設機械や人、切羽等もLiDARで検知するため、障害物との衝突の危険性を察知し停止・回避するだけでなく、ゴールとなる切羽地点への到着・停止も可能。駐機場所においては、事前に設置したARマーカーをカメラで視認することで、良好な精度で駐機・出発を行う。なお、装置の走行や計測作業はタブレットを用いた遠隔操作による制御を基本とし、画面上で設定を切り替えて自動運転を行う。
 切羽写真の撮影等、日々行われる定常的な計測作業の際に自動運転を活用することで、装置の移動操作が不要となり、労働生産性の向上が見込まれる。また、今後は本開発のノウハウを他の各種建設機械の自動化に活用することで、切羽作業の無人化の早期実現が期待される。

■補足
*1 カメラによる切羽写真の撮影やスキャナによる出来形計測といった切羽近傍における計測作業を遠隔化するために、西松建設株式会社とジオマシンエンジニアリング株式会社が開発した装置。
2021年5月19日西松建設ニュースリリース:
山岳トンネル工事における計測作業を遠隔で行う『Tunnel RemOS-Meas.(トンネルリモスメジャー)』を開発-トンネル切羽近傍の計測作業の無人化-
*2 SLAM(Simultaneous Localization And Mapping):距離センサやカメラで取得したデータを基にして、自身の位置の推定(Localization)と地図の作成(Mapping)を同時に(Simultaneous)行う技術。
*3 LiDAR(Light Detection And Ranging):レーザー光を照射し、物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を基にして、物体との距離、方向、性質等を測定する技術です。自動運転等に用いられる。

ニュースリリースサイト(araya):https://www.araya.org/publications/news20230913/

ST、車載・産業機器の堅牢性向上や寿命延長に、最大175°C動作が可能な低ドリフト・高精度オペアンプ

STマイクロエレクトロニクスは、幅広い温度範囲(-40°C~175°C)において高い精度と安定性を発揮する車載グレードのオペアンプ「TSZ181H1」およびデュアル・オペアンプ「TSZ182H1」を発表した。これらの製品は、高い最大動作温度により、過酷な環境や長期間のミッション・プロファイルが求められるアプリケーションに最適とのこと。

両製品は、きわめて低い入力オフセット電圧(25°Cで3.5µV)および入力バイアス電流(25°Cで30pA)を備えている。これらのパラメータは、広い温度範囲に渡り、きわめて低いドリフトを示す。最大入力オフセット電圧は25°Cで70µV以内、全温度範囲で100µV以内に規定されている。また、最大入力バイアス電流は25°Cで200pA以内、全範囲で225pA以内。

TSZ181H1およびTSZ182H1は、幅広い動作温度範囲を備えているため、車載・産業アプリケーションの過酷な環境に耐えることができる。ダイ温度が低い場合は、長期間のミッション・プロファイルのICが要求されるアプリケーションにおいて、より長時間の動作が可能。両製品は、AEC-Q100規格に準拠し、HBM(人体モデル法)で4kVのESD(静電破壊)耐圧を備えている。

また、両製品ともに高精度・広帯域のセンサ・インタフェースにおいて優れた性能を提供する。高精度の信号処理にも較正なしで使用できるため、最終製品の製造工程を簡略化しながら、標準的なオペアンプより高い精度を確保できる。3MHzのゲイン帯域幅と、わずか1mA(5V駆動時)の動作電流により、優れた速度対電力比が得られる。両製品ともに幅広い電源電圧範囲(2.2V~5.5V)で動作するように設計されているため、レール・ツー・レールの入出力が可能で、使用可能なダイナミック・レンジをきわめて広く使える。

両製品は現在量産中で、SOT23-5パッケージまたはSO8パッケージで提供される。単価は、TSZ181H1が約1.58ドル、TSZ182H1が約2.66ドル。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001326.000001337.html

AI潅水施肥システムの「ゼロアグリ」大阪府池田市の先進農福連携農園に導入

(株)ルートレック・ネットワークスは、大阪府池田市細河地域に開設された先進農福連携農園(※1)にて、同社の開発するAI潅水施肥システム「ゼロアグリ」を導入し、同市が推進する農福連携(※2)の取り組み及び細河地域の活性化を支援していくという。

同社は、パイプハウス向けのスマート環境制御機器としてAI潅水施肥システム「ゼロアグリ」をこれまで全国の生産者に約370台提供し、農業における生産性向上や収益向上に貢献してきた。また、2021年より(株)クボタが運営する「クボタインキュベーションファーム(※3)」に参画し、アスパラガスやミニトマト栽培のスマート化実証を推進している。

池田市は、植木の四大産地の一つとして知られる細河地域が抱える「植木需要の減少や農家の高齢化などによる離農」への対策として、ハウスでのミニトマト栽培において、AI やIoT を活用したスマート農業に農福連携を組み合わせた新たなビジネススキームの構築に取り組むとともに、その他の地域への展開による地域活性化をめざしている。

同社は、ゼロアグリを池田市に開設される先進農福連携農園に導入することにより「AIによる潅水施肥の自動化」を行い、「クボタインキュベーションファーム」の各パートナー企業と共に本取り組みを支援していくとのこと。

※1) スマート農業と農福連携を組み合わせた農業を実現する農園
※2) 障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取り組み
※3) https://www.kubota.co.jp/news/2021/management-20210712.html

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000060692.html

構造物の高速振動を簡単・高精度に計測する圧縮センシングを用いた新手法

(株)構造計画研究所と広島商船高等専門学校 商船学科 加藤由幹助教の共同研究成果が,オランダ エルゼビア社の論文誌『Mechanical Systems and Signal Processing』に掲載された。
 また、日本機械学会が主催する「Dynamics and Design Conference 2022」における本研究成果の発表が、この度、2022年度機械力学・計測制御部門 部門一般表彰:オーディエンス表彰を受賞した。
 圧縮センシングと呼ばれるデータサイエンス技術とデジタル画像相関法(DIC)を組み合わせた新技術により、高価な高速度カメラを用いることなく構造物の高速振動の分析を実現するという。

■ 本リリースの要点
① モノづくりの現場における振動計測の常識を変える、簡単・高精度に計測を実現する新技術を開発
② 同成果が著名論文誌『Mechanical Systems and Signal Processing』に掲載され、
 また日本機械学会のオーディエンス表彰を受賞
③ 国内での特許も出願済みであり、今後は自動車業界での実用化を皮切りに、
 電力や航空宇宙など他業界への展開を想定
■ 背景
 自動車などの輸送機器、回転機械、配管など多くの人工物は絶えず振動にさらされており、振動がそれらの性能や製品寿命、安全性を大きく左右する。そのため、設計・製造・維持管理といった現場においては振動の計測が不可欠である。
 これらの現場では、加速度センサと呼ばれる接触式センサを用いて計測を行うことが一般的だ。しかし、センサは手作業で貼り付ける必要があり、設置や配線等にかかる手間と労力が課題となっていた。また、複雑形状を持つ対象物や、センサの質量が対象に影響するような軽量または柔軟な構造物は計測が困難だった。さらに、空間的な振動の把握が難しいことから製品の性能や安全性を低下させるリスクがあった。
 一方、デジタル画像相関法(DIC)と呼ばれる画像計測技術と高速度カメラを用いることで、センサを貼り付けることなく、高速で振動する対象物の変位やひずみを非接触かつ面的に計測することが可能となる。しかし、高速度カメラそのものが非常に高価かつ大型であるため導入のハードルが高く、また画素数が低いため高速な微細振動を計測できないといった多くの制約が残る。同社は2017年から同技術を活用した事業開発に取り組んでいるが、その中でこうした振動計測の現場における課題を認識した。

 上記の課題を解決し高速かつ高精度な振動計測を実現するため、この度、広島商船高等専門学校 加藤由幹助教との共同研究を通じて、DIC技術に圧縮センシングと呼ばれるデータサイエンス技術と特殊な撮影方式、およびその数学モデルを組み合わせた新手法であるCompressed Sensing DIC技術を開発した。

■ 実現できること
 圧縮センシングとは、少数のデータからより複雑な情報を抽出するデータサイエンス技術です。MRI などの医療機器分野で用いられているほか、電波天文学の分野におけるブラックホールの可視化などでも実用化されている。
 この技術と既存のDIC技術を組み合わせることで、低速度の撮影画像から高速度の情報を復元するCompressed Sensing DIC技術を開発し、低速度カメラを用いた高速現象の振動計測を実現することに成功した。これにより、従来の課題であった解像度と撮影速度のトレードオフを解消し、高解像度かつ高速な画像振動計測が可能になる。

 本技術は特殊な専用のハードウェアは必要なく、一般的な小型・軽量カメラに、既製品の信号制御装置とストロボ光源を追加するだけで、ソフトウェアで高速な振動計測を可能にする。これにより、従来技術と比較して大幅に機材のコストを削減しながら、手軽に高精度な計測を実現することが期待できる。将来的に、超高解像度カメラを利用した超高分解能な振動計測だけでなく、低価格カメラを利用した画像振動モニタリングシステムの実現も期待される。
 現時点では 1200 万画素の単眼またはステレオカメラを用いた 10fps(1 秒間に 10 枚撮影)の撮影条件で、10μm 以下の微細な振動(参考:髪の毛は 40μm 程度)に対して、撮影速度を大きく超えた 3000Hz超の振動が計測できることを実験とシミュレーションで実証している。

※本成果は2022年5月に国内特許を出願済み、および2023年5月にPCT出願済み。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000023284.html

住友重機械、JAXAのX線分光撮像衛星「XRISM」の観測装置開発に参画

 住友重機械工業(株)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した「X線分光撮像衛星XRISM(クリズム)」に搭載されている2つの観測装置「軟X線分光装置Resolve(X線マイクロカロリメータ)」と「軟X線撮像装置Xtend(X線CCDカメラ)」の開発に携わった。本衛星は、2023年9月7日、種子島宇宙センターよりH-IIAロケット47号機にて打ち上げられた。

・Resolveは、X線が素子に当った際にごくわずかに温度が上がることを利用して、エネルギーの大きさを測る観測装置である。これにより、観測対象のX線天体の温度や組成などを非常に精密に計測することができる。
 この装置にあるセンサ部分のエネルギー分解能を高めるためには、0.05K(マイナス273.1℃)の極低温に冷却する必要がある。NASAが開発した断熱消磁冷凍機とともに、同社の超流動液体ヘリウムタンク(※1)、2段スターリング冷凍機(※2)、4Kジュールトムソン冷凍機(※3)およびそれらの駆動エレクトロニクスを含む冷却システムが使用された。

・Xtendは、可視光の望遠鏡と同じように、天体から届くX線を捉えて画像を撮影することができる。検出器の感度を上げるために、160K(約マイナス110℃)に冷却される必要があるため、同社の1段スターリング冷凍機(※4)とその駆動エレクトロニクスが使用されている。

・XRISMは、X線で宇宙を観測することにより、宇宙の成り立ちと宇宙に潜む物理現象を解明することを目指しており、同社の冷却システムを含むResolveとXtendには、これまでは見えなかった新しい宇宙の発見が期待されているという。

同社はこれまで60年にわたり、極低温技術の開発を進めてきた。今回の冷却システムは、培われた技術を余すことなく投入することで、コンパクトで信頼性の高い冷却システムを実現することができたとのこと。今後も科学衛星、惑星探査機および宇宙ステーションの搭載機器を手掛けるなど、宇宙開発に多くの技術貢献を続けていくとともに、さらなる技術力の向上を目指す。

(※1)断熱容器の中に超流動液体ヘリウムを保持し、1K(約マイナス272℃)で冷却できる。
(※2)宇宙用に特化し、冷却対象を20K(約マイナス253℃)まで冷却ができる。
(※3)冷却対象を4K(約マイナス269℃)まで冷却が可能。
   2016年に打上げられたX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)にも採用された。
(※4)宇宙用に特化し、冷却対象を80K(約マイナス193℃)まで冷却ができる。

ニュースリリースサイト:https://www.shi.co.jp/info/2023/6kgpsq000000mqls.html