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TED、「Cassia BLTキット for Azure」の販売を開始

東京エレクトロン デバイス株式会社(横浜市神奈川区、代表取締役社長:徳重 敦之 以下、TED)は、長距離Bluetooth Low Energy(BLE)通信、複数BLEデバイスの同時接続とセンサー情報の見える化を低コスト、省電力で簡単に実現する「Cassia BLT(Bluetooth Long range IoT)キット for Azure」を2018年10月2日より販売する。

(*1:3G/LTEはSIMのご契約と専用のUSBドングルが別途必要。ご使用可能なUSBドングルについてはお問合せのこと。)

今回販売する「Cassia BLT キット for Azure」は、BLEデバイスのマルチセンサー情報をBluetoothルーター、インターネット経由でMicrosoft Azureに収集・可視化できるIoTシステム構築キットである。

Cassia Networks社の Bluetoothルーターは、見通しの良いところで最大300メートル離れたBLEデバイスとの通信が可能で、1台のBluetoothルーターで最大40個のBLEデバイスの同時接続ができることで、これまでスマートフォン、タブレットを経由してクラウドに接続する際の通信距離、接続台数の制約を緩和する。さらにCassia Networks社提供の IoTアクセスコントローラを活用することで、複数のBluetoothルーターと接続されたBLEデバイスを一元管理する。

また、このキット専用に開発したMicrosoft AzureのIoT Hubダイレクトメソッドを利用したCassia Router Manager(Windowsアプリケーション)で、BluetoothルーターのIoT Hubとの接続初期設定、BLEデバイスの追加登録、削除、個々のセンサー情報の送信間隔設定などをGUIで設定可能。
これらのことから、BLEデバイスのセンサー情報を見える化するIoTシステムの構築を低コスト、低消費電力で実現できるとのこと。


ニュースリリースサイト:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000010609.html

オプテックス、セキュリティ強化に向け屋外警戒用侵入検知センサのラインアップを拡充

オプテックス株式会社(本社:滋賀県大津市、代表取締役社長:上村 透、以下「オプテックス」)は、国際イベントを契機に国を挙げたセキュリティ強化に対応すべく、屋外警戒用侵入検知センサのラインアップを拡充し、10月より発売を開始する。
今回発売する製品「屋外警戒用侵入検知センサ「BXS」「VXS」「HX」シリーズ」は、建物内部に侵入される前に侵入者を検知し、即座に警報システムに通知されるため、犯罪の事前防止を実現するセキュリティ対策製品の一つとして効果を発揮する。

建物の外周や敷地における屋外警戒により、建物に入られる前に侵入者を抑止するセキュリティ対策は、欧米では広く普及している。昨今、日本においても、さまざまな凶悪事件やイベントなどの開催時の犯罪防止の強化にむけたセキュリティのニーズが高まっている。オプテックスでは、既に海外で多くの実績のある「屋外警戒用侵入検知センサ「BXS」「VXS」「HX」シリーズ」を国内にも投入し、屋外における侵入経路や多様な設置環境に合わせたラインアップでこれらの社会課題に対処していくという。
■ 製品の特長としては
1.屋外でも確実な侵入検知を実現できる高いセンシング性能
2. 監視カメラとの連動による監視効率の向上
3. さまざまな設置場所を想定したセンサラインアップで外周警戒を強化
 等が挙げられる。

ニュースリリースサイト:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000012195.html

周辺環境計測システム「XenoLidar」

世界初のTrue-solid-state型マルチビーム方式LiDAR
周辺環境計測システム「XenoLidar」

ベルギー・XenomatiX N.V.(以下、XenomatiX社)製の周辺環境計測システム「XenoLidar」は、自動車のルーフなどに取り付け、レーザーを照射し反射光を検知することで周辺環境を測定する、高精度な光学センサーです。世界で初めて※1LiDARにマルチビームを採用したTrue-solid-state型マルチビーム方式のLiDARとして特許を出願中です。可動部分と回転機構を持たないため、壊れにくく、かつ自動車へ導入する際には設置場所の自由度が限りなく広がります。さらに、数千本のレーザー照射により一度に多くのターゲットをより高速で高分解能に検出でき、XenomatiX社独自のレーザー技術により、昼夜・天候を問わず、小さな対象物においても200m先まで正確に検知・計測します。対象物の位置情報、車両との距離情報、移動情報など、様々な情報が取得できます。

※1 True-solid-state型マルチビーム方式LiDARとして。2018年8月27日時点。東陽テクニカ調べ。

◆「XenoLidar」の特長◆

・True-solid-state型
 可動部分、回転機構を持たないため、小型で壊れにくく、設置場所の自由度が広がる

・3D点群データと2D画像のリアルタイム取得
 2つのデータ取得により、対象物の高精細な判別が可能

・200mの距離計測能力
 20%の反射率で測定が可能で、昼夜・天候問わず正確な計測を実現

・マルチビーム方式
 160,000点/秒(50Hzデータ出力)と高速で高空間分解能な計測が可能

◆アプリケーション例◆
1. オブジェクトトラッキング
車両や人、建物など一度に多くの対象物を追跡できます。車両と各対象物との距離も正確に測定することができ、移動している対象物の速度を算出することも可能です。

オブジェクトトラッキングの例

2. 走行可能エリア(フリースペース)検出
通行する人や車両、車道と歩道の道幅、その他様々な対象物を「XenoLidar」で認識することにより、自動運転車が走行可能なエリア(フリースペース)を高速・高空間分解能で検出することが可能です。

フリースペース(緑色)検出の例

◆公道での実測例◆
「XenoLidar」は、3D点群データだけではなく同時に2D画像を取得することが可能で、対象物の判別がしやすくなります。下図は、3D点群データと2D画像を合成した公道での実測例で、自転車がこちらに近づいてくる様子が分かります。 点群の色の違いは対象までの距離を表し、青色の点は近くを、赤色の点は遠くを表しています。

公道での実測例(時系列順、3D点群データと2D画像の合成)

◆仕様◆

システム仕様
最長測定距離 200m(20%反射率で測定可能)
水平方向の測定範囲 30°
垂直方向の測定範囲 10°
3Dデータ水平方向分解能 0.12°
3Dデータ垂直方向分解能 0.12°
2D画像水平方向分解能 0.02°
2D画像垂直方向分解能 0.02°
データ出力レート 50Hz
レーザークラス Class 1
3Dデータポイント数 160,000点/秒
2Dデータポイント数 500Mbit/sec
ピクセル数 0.8Mピクセル
3D測距精度 1%以内
最短測定距離 <5m
データインターフェース
データ出力 Ethernet
データフォーマット(2Dデータ) BMP
データフォーマット(3Dデータ) XPC
タイムスタンプ XenoLidar, CAN, 外部トリガ信号受信時刻
CANインターフェース OBD II, DB9
システムサイズ
センサーサイズ 幅17cm×奥行き12cm×高さ8cm
センサー重量 1.5kg
コントローラーサイズ 幅21.5cm×奥行き26cm×高さ8cm
コントローラー重量 4.2kg
動作環境
動作温度範囲 0 – 40℃
保管温度 -40 – 100℃
湿度 10 – 90%(結露なきこと)
IP 保護等級 IP65
電源情報
供給電源 12V DC
消費電力(センサー部) 25W
消費電力(コントローラー部) 100W

★本件に関するお問い合わせ先★
株式会社東陽テクニカ 機械制御計測部 水戸部 涼太(みとべ りょうた)
TEL:03-3245-1242(直通) E-mail:ele2@toyo.co.jp
周辺環境計測システム「XenoLidar」紹介ページ:
https://www.toyo.co.jp/mecha/products/detail/xenolidar.html
(関連製品)路面形状計測システム「XenoTrack-RT」紹介ページ:
https://www.toyo.co.jp/mecha/products/detail/xenotrack_rt.html

自動車用センサ(1)

千葉工業大学 教授 室 英夫

自動車用センサという言葉が世間の注目を集めるようになったのは多分1970年代のエンジンの電子制御に関連した部品としてではないかと思う。当時排ガス規制への対応のために多くのセンサからの情報をもとにマイクロコンピュータにより最適な燃料噴射や点火時期を計算してアクチュエータを制御するような電子システムが開発され、それにともない様々なセンサが用いられるようになった。この頃カーエレクトロニクスという言葉がよく使われるようになり、自動車が従来の機械からメカトロニクスのシステムへと変貌していったというような印象を受けたことが思い出される。但し、センサはよく「千差万別」と言われるようにその内容が検出対象やシステムによりかなり異なり、必要とされる技術が多岐にわたるために一義的に述べるのは容易ではないように思う。本稿では著者の自動車用半導体センサの研究開発の経験をもとに「自動車用センサとは何か」というテーマと関連する事柄について、以下4回にわたって記述していきたいと思う。

1.自動車用センサの特徴

最初に自動車用センサの特徴について述べたいと思う。一般に自動車用センサの要件としては次の3点がよく挙げられる1)

1)小型,軽量 
2)高い信頼性(温度,振動,EMI)
3)低コスト

自動車用センサの仕様/・価格を家電用及び産業用のセンサと比較した例を表1に示す。これらの値は代表的なものを挙げてあるだけで全ての場合に当てはまるわけではないが、全体としての傾向が示されているように思う。自動車用センサは近年の携帯機器やウェアラブルエレクトロニクスほどではないが、設置型の機器と比較するとより小型・軽量化が求められ、1980年代のエレクトロニクス勃興期に従来の機械式から電子式へと大きく変貌していった2)。この電子化において大きな役割を果たしたのが半導体チップの中で微小な機械構造体を実現するMEMS (Micro Electro Mechanical Systems) 技術であり、これについては第3回でもっと詳しく述べていきたいと思う。またセンサを含む電子部品の小型化には表面実装や小型パッケージなどによる実装技術の進歩が大きく貢献している。

表1 自動車用センサと他分野のセンサの比較

自動車用センサは家電用や産業用と比較して使用環境が飛びぬけて過酷であり、また自動車用電子部品は10~20年という極めて長い製品寿命を要求される。これを満足させるために長期の信頼性試験を行うことが自動車用センサ開発の大きな課題となっている。最近のセンサの傾向として、メカ部のMEMS化や信号処理LSI内蔵による高機能化といった半導体素子の占める比重が高くなっており、センサの信頼性試験も半導体の試験にセンサ固有の試験を追加するような構成となっているものが多い。自動車用半導体の信頼性試験については代表的なものとして米国における規格化の団体AEC(Automotive Electronics Counsil)が規定しているIC用の信頼性試験仕様Q100が参考になると思う。この中では対象のICをその使用温度範囲によって5つのグレードに分けて、試験内容を規定している。例えば、最も厳しい使用温度範囲-40~150℃の”grade 0″では温度サイクル試験は-50⇔150℃で2000サイクルと規定されている。特に高温環境下で使用されるセンサについては必要とされる信頼性試験期間が極めて長くなり、その開発期間(Turn Around Time)を短くすること重要な課題となっている。

さらに自動車用センサの信頼性を考える上で重要なポイントとしては、それが故障したときに電子システムに及ぼす影響を極力抑えるように構成することがある。一般に自動車用部品の開発においてはFMEA(Failure Mode and Effect Analysis)を用いて、いろいろな故障モードの影響を検討し、重大度、発生頻度、検出度の総合評価をもとにその結果を設計にフィードバックする手法が取られている。センサについてもこれらの結果により形状・ピン配置・材料などについて見直すことがある。

全体として自動車用センサを家電用や産業用と比較すると、精度は家電用と産業用の中間的な値だが、使用環境は両者よりもずっと厳しく、数量的には大量に使用されるものの価格は家電用並みに低く抑え込まれているとまとめることができる。次回以降では自動車用センサの具体的な中身について述べていきたいと思う。

参考文献

1) 室英夫、「自動車におけるセンサ技術」、平成19年電気学会全国大会論文集、3-S22-4 (2007)

2) 西敏夫 監修、「表面・界面技術ハンドブック」(NTS)、第3編第6章第2節 自動車用センサ、pp.559-567 (2016)

次週に続く―

自動車搭載センサによるドライバ状態のモニタリング(1)

オムロン(株)技術・知財本部 センシング研究開発センタ
木下 航一

1.自動運転時代に求められるドライバモニタリング

近年、運転中のドライバをセンシングする技術への関心が高まってきている。この目的のひとつとして、ドライバ起因による交通事故を未然に防止することが挙げられる。統計によれば、日本における交通事故発生件数は2004年をピークとして減少しているものの、2018年の交通事故死傷者数は約58万人を超えており、依然として高い発生件数で推移している1)。事故原因の分析によると、発見の遅れ、判断の誤りなど、事故直前のドライバの行動・状態が不適切であることが要因の75%を占めている2)。そのため、ドライバが運転に適切な状態であるかをセンシングし、その状態に応じてドライバへの働きかけができれば、多くの事故を未然に防止できると考えられる。

一方、今後実用化が期待される自動運転においても、ドライバ状態をセンシングするニーズは高い。自動運転はその自動化段階によってレベルが定義されており、SAEインターナショナルによる5段階のレベル分けが一般的に使われることが多い。近年の自動運転関連技術の開発状況および自動車業界動向等から、自動運転の実用化は段階的に進展すると考えられており、当面の間はレベル0~2が主流を占めると予想される。レベル2までの自動運転においては、自動運転中もドライバが運転の安全に責任を持つこととなり、周辺状況や運転状態を監視することが求められる。また、道路環境や交通状況が自動運転システムの想定範囲を超える場合など、自動運転から手動運転への急な変更要請も発生することが想定され、そのような場合に備えてドライバは常に運転に即座に戻れる状態である必要がある。こういった状態を担保するため、ドライバ状態をモニタリングする機能が重要となる。
本稿ではドライバ状態を高精度に認識するためにわれわれが近年開発した3)「ドライバ運転集中度センシング技術」を例に取り上げ、自動車に搭載したセンサによってリアルタイムにドライバ状態をセンシングするための手法について解説する。

2. 運転集中度センシング技術の構成

図1に本センサによるドライバ状態認識の処理の流れを記載する。カメラから得られた画像列に対して認識処理が適用される。認識処理は大きく分けて3つの要素から構成されており、まず顔画像センシング技術を適用することにより顔の局所的な情報を取得する。同時にConvolutional Neural Network(以下CNN)4) を用いドライバの姿勢に相当する特徴を取得する。そしてこれらの出力を統合し、再帰型ニューラルネットワークの1種である、Long Short-Term Memory(以下LSTM)5)を用いて、時々刻々変化するドライバ状態の遷移を認識する。以下各要素について概要を述べる。

図1 ドライバ運転集中度センシング技術の構成

参考文献

1) 平成30年警察白書 統計資料、警察庁ホームページ

2) 平成12年交通事故統計データ、 (財)交通事故総合分析センター

3) 日向匡史ほか,”自動運転時代におけるドライバモニタリング技術”、OMRON Technics, Vol.50 No.1, 2018.

4) Y. Lecun, L. Bottou, Y. Bengio and P. Haffner: “Gradient-based learning applied to document recognition”, Proceedings of the IEEE, 86, 11, pp. 2278-2324(1998).

5) S. Hochreiter and J. Schmidhuber: “Long short-term memory”, Neural Computation, 9, 8, pp. 1735-1780(1997).

次週に続く―

車載LiDARの最新の動向(1)

1 自動運転技術への取り組みが活発化

最近,各種の自動走行移動サービスの実現に向け,米国をはじめとして,自動運転に関する技術開発が世界各国で目覚ましく活発化している。Google社が自動運転機能を乗用車(トヨタ・プリウス)に搭載して初めて高速道路を走行したのは2009年であるが1),その後に同社は,着々と技術蓄積を進め,2016年10月末には,自動運転モードでの公道での走行距離が2.23 百万マイル(約3.6百万km)に達した2)。同社が現在公道で走行させている自動運転機能搭載車は,レクサスRX450h SUV24台及びプロトタイプ車34台である。

またTesla 社は,2016年10月19日,同社が販売する全車両への自動運転機能の搭載を同日から実施すると発表した3)。また,Uber 社は,2016年9月14日,米国ペンシルバニア州ピッツバーグで,選ばれた顧客向けに「自動運転車」の配車サービスを開始した4)。ドイツでは,Audi 社が2017年中に自動運転機能を搭載したA8 を発売する予定である5)。日本では,2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け,自動走行システム実用化の加速を図るべく,戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「自動走行システム」の一環として,2017年9月頃から2019年3月にわたり,「自動走行システム」の大規模実証実験を実施することが,内閣府から2016年11月15日に発表された6)

NHTSA(米国運輸省・道路交通安全局)は,自動運転車の開発と普及による交通安全の加速を図るべく,メーカーが自社製品を公道で走行させる前に満たす必要のある15項目の基準を盛り込んだ自動運転車に関する指針7)を,2016年9月20日に正式に発表した。NHTSAは,加速・操舵・制御及び運転環境の監視などを,ドライバーとシステムのいずれが行うのかという観点などから,これまで自動制御システムをレベル1からレベル4までの4段階で区分していたが,2016年9月に発表された上記の指針では,SAE(自動車技術者協会)が策定したレベル5までの5段階の区分を採用した。なお,SAEによる自動運転車に関するガイドの初版の発行年月は2014年1月であるが,2016年9月にはその改訂版8)が発行された。

表1 SEAによる自動運転レベルの分類の概要 8)
運転環境の監視 自動運転レベル 名称 定義の概要
ドライバー 0 手動運転 注意喚起のサポートはあるが,ドライバーがすべて運転操作
ドライバー 1 運転支援 加速・操舵・制御のいずれかをシステムが行う状態
ドライバー 2 部分的自動運転 加速・操舵・制御のうち複数をシステムが行う状態
システム 3 条件付き自動運転 すべての運転操作をシステムが行うが,
システムが介入を要請したときはユーザーの適切な対応が必要な状態
システム 4 高度な自動運転 システムがユーザーに介入を要請したときに,
ユーザーが適切に対応できなくても,
システムが対応してすべての運転操作を行う状態
システム 5 完全自動運転 システムがすべての運転操作を行う状態

2 自動運転レベルの分類と自動運転に必要と想定されるセンサーの市場予測

表1 に,SAEによる自動運転レベルの分類の概要を示す。詳しくは,原資料8)を参照されたい。これによれば,レベル2まではドライバー側に運転環境監視の責任がある。レベル2のシステムは,部分的自動運転システムであって自動運転システムの範疇には含まれない。レベル3 からは運転環境監視の責任がシステム側にある自動運転システムとなるが,緊急時への対応などに応じていくつかのレベルが分かれている。自動運転という場合には,どのレベルに相当するのかによってユーザーに必要な対応などが異なるので注意が必要である。

自動運転レベルに応じて,必要となるセンサーモジュールの種類及び個数は異なる。また,自動運転システムを開発しているメーカーごとに,システムの設計思想が異なっているため,必要となるセンサーの種類及び個数も異なる。例えば,Ford 社の自動運転用テスト車には,レ-ダーやカメラのほかに4 台のLiDARが搭載されている9)が,Tesla社が市販している自動運転機能搭載車には,多数のレーダーやカメラは搭載されているものの,LiDARを搭載する予定は現在のところないらしい10)。自動運転レベルに必要と推定されるセンサーモジュールの種類並びに個数に関するYOLE Development 社による市場予測の一例を表2に示す11)。なお,センサー技術は日進月歩であり,またセンサーのコストダウン率はセンサーごとに異なるので,将来に必要となるセンサーの種類及び個数は,現在想定されているものと大幅に異なる可能性があるので,この点留意する必要がある。

表2 自動運転レベルに必要と推定されるセンサーモジュールの種類並びに個数 11)
センサーの種類 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4 レベル5
超音波 4 8 10 10 10
長距離用レーダー 1 1 2 2 2
近距離用レーダー 1 4 6 6 6
長距離用カメラ 2 2 4
周辺用カメラ 4 5 5 5
立体カメラ 1 1 2
マイクロボロメーター 1 1 1
ライダー(LiDAR) 1 1 1
自律航法センサー 1 1 1
合計 6 17 29 29 32

Goldman Sachs社は,運転支援及び自動運転機能に係わる各種の構成要素に関する2015年から2050年にかけての長期にわたる詳しい市場予測を報告している12)。これによれば,運転支援及び自動運転機能に関する市場規模は,2015 年は約28.9 億ドルであるが,2020年,2030年,2040年及び2050年には, それぞれ約275億ドル, 約1,970 億ドル,約3,130 億ドル及び約3,120億ドルになると推定されている。運転支援及び自動運転機能に係わる各種構成要素のうち,カメラ,レーダー及びLiDARに関する市場規模の予測値を抜き出し,図1にそれらの推移をグラフにして示す。これによれば,LiDARの普及はレーダーよりも数年遅れるが,2035 年以降のLiDARの市場規模は,レーダーのそれよりもかなり大きい。

図1 運転支援及び自動運転に必要とされる各種のセンサーの市場規模推移12)

レーダーは,レベル2のシステムでも大きなニーズあると想定されているのに対して,LiDARはレベル3以降のシステムでないとニーズがあまり大きくならないと想定されている。このためLiDARの普及はレーダーよりも遅れるが,LiDARの単価がレーダーの単価よりも一般に高価であるため,自動運転レベルの高いシステムが普及するようになる2030 年頃になると,LiDARの市場規模が急増するものと考えられる。

表3 に,各種センサーの機能・性能を相互比較した例を示す13)。各種センサーにはそれぞれ一長一短があるので,これら各種センサーを組み合わせてセンサーフュージョンを行うことにより,センサー単独では足りなかった機能・性能を補うことができ,自動運転に最適なシステムを構築できる。

表3 各種センサーの機能・性能別相互比較(5段階評価:5がベスト)13)
機能・性能 LiDAR レーダー 可視カメラ 超音波
近傍の物体検知 2 4 2 5
測定距離 4 4 5 1
分解能 4 3 5 2
暗い場所での動作 5 5 1 5
明るい場所での動作 5 5 4 5
雪・霧・雨の際の動作 3 5 2 5
色彩/コントラスト 1 1 5 1
検出速度 4 5 2 1
センサーの寸法 1 5 5 5
価格 1 5 5 5

参考文献

1) https://www.google.com/selfdrivingcar/where/

2) Gohttps://www.google.com/selfdrivingcar/reports/ogle self-driving car project monthly report, October 2016,
https://www.google.com/selfdrivingcar/reports/

3) https://www.tesla.com/blog/all-tesla-cars-being-produced-now-havefull-self-driving-hardware

4) http://jp.autoblog.com/2016/09/20/uber-self-driving-cars-pittsburgh/

5) http://www.audi.ca/ca/web/en/vorsprung-durch-technik/content/2016/03/piloted_driving.html

6) 内閣府:「自動走行システム」の大規模実証試験の実施について,(2016. 11. 15)
http://www8.cao.go.jp/cstp/kaisaiannai/20161115sipadus.pdf

7) NHTSA (National Highway Traffic Safety Administration), U.S.
Department of Transportation:”Federal Automated Vehicle Policy – Accelerating the next revolution in roadway safety,” Sept. 2016.

8) SAE International:”Surface vehicle recommended practice,” J2016, Sep. 2016.

9) http://www.wired.co.uk/article/ford-driverless-cars-test

10) https://electrek.co/2016/11/02/tesla-no-plan-for-lidar-self-driving-cars/

11) Yole Development:”What does the future of automotive market hold?”, Presented at the CAR-ELE Japan, January 2016.

12) Goldman Sachs:”Monetizing the rise of autonomous vehicles,” Cars 2015, Vol. 3, Sept. 17, 2015.

13) https://cleantechnica.com/2016/07/29/tesla-google-disagree-lidarright/

■Recent Trends in LiDARs for Automotive Applications
■Kumihiko Washio
■Paradigm Laser Reasearch Ltd.
ワシオ クニヒコ
所属:㈲パラダイムレーザーリサーチ 取締役社長

(月刊OPTRONICS2017年2月号より転載)

次週へ続く―

村田製作所、IoTを活用した建設現場の作業者安全モニタリングシステムを開発

村田製作所と戸田建設は共同で、建設作業者の健康状態などを遠隔地からリアルタイムに把握することができるヘルメット取り付け型センサデバイスを用いた作業者安全モニタリングシステムを開発した。
2016年度より開発を始めた同システムは、トライアルをすでに3か所の建設現場で実施しており、2019年春より本格的な量産の開始を予定している。

同システムは、建設現場の作業者の生体情報をリアルタイムに取得することで、熱ストレスレベル(※1)を把握することができる。健康状態を見える化することで現場監督者が適切な管理を行い、作業者の安全の確保をより確実に行うことができる労働環境の実現を目指す。
同システムに用いるセンサデバイス(トップ画像)は、既存の作業用ヘルメット(ミドリ安全(株)社製推奨)に装着できるように設計しており、作業の邪魔にならない装着感を実現。また、ヘルメットを装着するだけで生体・環境情報を取得できるため、このほかにウェアラブルデバイスを新たに身に着ける必要はない。

センサデバイスはヘルメット内部の生体情報測定部(※2)と、作業者周辺の外部環境情報測定部で構成されている。それらの情報を、特小無線(※3)を利用してゲートウェイに送り、クラウドで独自の判定アルゴリズムにより解析を行う。
その結果、危険と判断された場合は事務所や現場監督にアラートが通知される。このアラートシステムは建設現場だけではなく、プラントや工場、鉄道保全、電気工事など、作業者がヘルメットを装着する現場でも利用できる設計となっている。

※1 熱ストレスレベル:周辺の環境、パルスレート、活動量を計測して、総合的に判断する独自のパラメータ。診断を行うものではない。 ※2 生体情報測定部:Elfi-Tech社製(イスラエル)のソフトウェア技術と村田製作所のハードウェア設計技術との組み合わせによって、非接触で精度の高い生体情報の計測が可能。 ※3 特小無線:特定小電力無線局。免許を要しない小電力無線局。

ニュースサイト(IoT NEWS):https://iotnews.jp/archives/108029

キヤノン、グローバルシャッター機能を搭載したCMOSセンサを発売

キヤノンは、グローバルシャッター機能を搭載し、 高速で移動する被写体をゆがみなく正確に撮像することが可能なCMOSセンサーの新製品“3U5MGXSMAA(モノクロ)/3U5MGXSCAA(カラー)”を2018年10月1日より発売する。
本製品は、グローバルシャッター機能を搭載し、高速で移動する被写体をゆがみなく正確に撮像することが可能なCMOSセンサ。工場でベルトコンベア上の部品を検査するカメラやドローンに搭載する空撮用カメラなど、産業用途のニーズに対応する。

■ グローバルシャッター機能を搭載
高速移動する被写体を撮影するような産業用途などにおいては、ローリングシャッター方式のCMOSセンサーでは、画素行ごとに順次露光するため、信号読み出しにわずかな時間差が生じ、被写体がゆがんで撮像されることが課題とされている。本製品は、全画素を同時に露光するグローバルシャッター方式を採用しているため、高速で動く被写体もゆがみなく正確に撮像することが可能。工場でベルトコンベア上の部品を検査するカメラなどへの活用に適している。

■ 高フレームレートと低消費電力を両立
本製品は、全画素読み出しでフレームレート最大120fpsを実現しているため、高速移動する部品などの検査用途に適している。一般的に、高フレームレート時には消費電力の増加が懸念されるが、キヤノン独自の回路技術により、低消費電力を実現している。これにより、ドローン撮影などバッテリー駆動時でも長時間使用することが可能。また、消費電力が少ないことにより、放熱のためにカメラ筐体(きょうたい)の体積を大きくする必要がなく、カメラ筐体の小型化にも寄与するとのこと。

■ 産業用途で求められる多彩な機能
本製品は、任意の領域を最大8領域まで選択し、読み出す情報量を削減することで、フレームレートを上げることができるROI(Region of Interest)機能を搭載している。また、外部からの信号により露光のタイミングを制御することができる外部トリガー露光制御機能も搭載しており、例えば、工場の生産ラインで部品の検査をする際に、被写体が特定の位置を横切ったタイミングで露光し、撮像することができる。さらに、水平・垂直反転機能により、カメラを天井などに逆さに設置した場合でも、センサーの信号読み出し向きを切り替えることで、センサー内で見やすい向きの画像にして出力することができ、 PCなどの負荷を軽減することが可能である。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000355.000013980.html

「SENSOR EXPO JAPAN 2018」 開幕













センシングに関する専門展示会「SENSOR EXPO JAPAN 2018」が本日9月26日(水)~9/28日(金)の日程で東京ビッグサイトにおいて開催される。
センサ・コントロールとその応用技術、機器、システム、ネットワーク、情報が一堂に集結する。
併催企画として以下のようなイベントも行われる。
◆基調講演◆ロボット特別セミナー◆AI特別セミナー◆次世代センサフォーラム
(展示コーナーおよび技術発表コーナー)◆ JASST 30周年記念特別展示
◆次世代センサ総合シンポジウムなど。
基調講演をはじめ、無料で参加できるコンファレンス等もある。

以下の展示会も同時に開催されている
・SUBSEA TECH JAPAN 2018 / 第3回 海洋産業技術展
・JIMA2018 / 第9回 総合検査機器展
・INTERMEASURE2018 / 第28回計量計測展
・地盤技術フォーラム 2018

イベントサイト「SENSOR EXPO JAPAN 2018」: http://www.sensorexpojapan.com/

国土交通省、自動運転車のセンサーや電子制御装置の検査手法確立に向け検討会

国土交通省は自動運転車などによる事故を少なくするため、車両に搭載された電子制御装置の異常を自己診断して記録する装置を活用した検査手法の検討に、本格的に乗り出している。
まず「車載式故障診断装置(OBD)」と呼ばれる装置を搭載し、センサーなどの構成部品の異常を検知することで、自動ブレーキや自動車線維持機能が安全に機能するか判別できるようにする方針で、検討会を継続的に開いていく。
国土交通省はこの検討に向けた検討会を2017年12月に設置した。第6回検討会は2018年9月26日に開かれる予定だ。

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