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パナソニック「自律搬送ロボット HOSPI(R)」の新モデル受注開始

パナソニック(株)(以下、パナソニック)は、機能向上した新型HOSPI(ホスピー)、ならびにサイネージを3面搭載した「HOSPI Signage(サイネージ)」の受注を開始する。また、搬送容量を拡大した「HOSPI Cargo(カーゴ)」についても、 2019年7月より受注を開始する予定とのこと。

パナソニックは、病院内の薬剤や検体を人手に替わって、自動で搬送する「病院内自律搬送ロボットHOSPI」の販売を2013年10月より開始し、国内4病院、海外1病院に導入してきた。今回、機能向上した新型HOSPIに加え、これらの病院導入実績などで培ってきた自律移動技術をベースに、新たな移動型の情報提供手段として、サイネージ搭載HOSPIを開発した。移動型サイネージでは固定型サイネージに比べ視認率もアップする実証結果が出ており、更なる注意喚起や宣伝効果が期待できる。今後想定されるインバウンド増加に伴い、空港やショッピングセンターなど、案内や告知が必要な公共空間での利用をターゲットにしている。また、搬送ロボットについても、搬送効率の向上を目指し、現行HOSPIの機能拡張、及び搬送容量をアップした「HOSPI Cargo」をラインナップする事で、利用者の多様なニーズに対応していくという。

<主な特長>
1. 27型FHD LCDパネルを最大3面搭載。自己位置情報よりコンテンツ切換可能(HOSPI Signage)
2. 搬送容量大幅アップ(HOSPI Cargo)と巡回機能(全システム)を搭載し、搬送効率を向上
3. 後方センサー搭載により走行安定性を向上(全システム)

<追加オプション機能>
遠隔操作機能、遠隔コミュニケーション機能(TV会議システム搭載)、顔振向き機能

・HOSPIはパナソニック株式会社の登録商標です。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003461.000003442.html

IoTを牽引する広域センサネットワークLPWA の最新動向と将来展望(3)

千葉大学 名誉教授 阪田史郎

3.セルラーLPWA

3.1 4GのLPWA(LTE版LPWA)

携帯電話網の標準化を行う3GPP(ThirdGenerationPartnershipProject)は、4Gの仕様検討を2008~2014年に行い、一旦標準化を終了した。その仕様は、3Gの通信を高速化したMBB(MobileBroadBand)と呼ぶサービスのみであった。
一方で、SigfoxやLoRaが2015年からヨーロッパ中心に携帯電話網のデータ通信市場を奪い始めたため、3GPPは2015年末に4Gに関する標準化の議論を急遽再開した。スウェーデンのエリクソンとフィンランドのノキアが中心となって4G向けのLTE版LPWAを2016年3月に規格化した。携帯電話網史上で初めて、高速化以外を目的とした仕様が規格化されたことになる。

表3.1 LTE版LPWAの仕様概要

LTE版LPWAの仕様には、より高性能のLTE-MまたはeMTC(LTE-MのMはMachine、eMTCは3GPPでの呼称でenhancedMachineTypeCommunications)と、低性能のNB-IoTの2種類がある。前者はCat.M1、後者はCat.M2またはCat.NB1(Cat.はCategory、NBはNarrowBand)と記されることもある。表3.1にLTE版LPWAの仕様の概要を示す1),2)

省電力化について、2つの仕様ではともにeDRX(extendedDiscontinuousReception)とPSM(PowerSavingMode)の2つの方式によりセンサの消費電力を抑える。eDRXは、センサのデータ着信間隔を延長する方式で、ネットワークからセンサにアクセス可能である。PSMは、センサ主導で着信確認の間隔を延ばす方式で、ネットワークからセンサにアクセスできない。
世界各国の通信事業者は、LTE版LPWA規格化直後の2016年半ばに一斉に開発に着手し、2018年初頭には、中国や北欧等においてLTE版LPWAの一部の仕様を採用したサービスを開始している。特に、4Gの普及率が低くこれまで携帯電話に関して後進国と言われてきた中国は、携帯電話網においてはより革新的な(LoRa、Sigfoxの性能、機能により近い)NB-IoTを強力に推進している。
国内では、KDDIが2018年にLTE-M(eMTC)、ソフトバンクが同年にLTE-M(eMTC)とNB-IoT、NTTドコモが2018年にLTE-M(eMTC)、2019年にNB-IoTのサービスを開始している。

(1)LTE-M(eMTC)
従来の4Gの高速通信サービス(MBB)では50RB(ResourceBlock。1RBは180kHz)を制御単位とするのに対し、LTE-M(eMTC)では6RBを制御単位として1.08MHzに狭帯域化し、繰返し送信を導入している。約1Mbpsを確保できるため、音声通信やウェアラブルデバイスなどセンサが低速度で移動するIoTサービスでの利用を想定している。既存の基地局を用いて、LTE-M(eMTC)によるIoT向けサービスとMBBを同時に提供する。通信方式の概要を図3.1に示す。

図3.1 LTE-M(eMTC)の概要

(2)NB-IoT
LTE-M(eMTC)の1/6の1RBを制御単位として180kHzに狭帯域化し、繰返し送信を導入している。スマートメータや農場、プラント、駐車場、マンホール、エレベータ・エスカレータ、自動販売機、ゴミ収集場などの決まった場所に設置されるモビリティが不要なセンサを主対象としている。通信方式の概要を図3.2に示す、ガードバンドを除く送信周波数帯域で運用するインバンドモード、送信周波数帯域のガードバンドで運用するガードバンドモード、専用帯域で運用するスタンドアロンモードの3種類の通信モードを規定している。

図3.2 NB-IoTの概要

次週に続く-

参考文献

1)S.Sakata、”EmergingLPWAasacoreofIoT-OverviewandPerspective、”Wireless TechnologyPark(WTP)、2017.5

2)阪田史郎、”LPWAの現在と未来、”MDB技術予測レポート(日本能率協会総合研究所)、2018.2

【著者略歴】

1972年早大理工電子通信卒。1974年同大学大学院理工学研究科修士卒。同年NEC(日本電気)入社。
以来、同社研究所にてインターネット、マルチメディア通信、モバイル通信の研究に従事。工学博士。
1996-2004年同社研究所所長。1997-1999年(兼)奈良先端科学技術大学院大学客員教授。
2004-2014年より千葉大学大学院教授。同大学では、ユビキタスネットワーク、IoT/LPWA、5Gネットワークの研究に従事。2014-2019年同大学グランドフェロー。
2019年より同大学名誉教授。IEEE Fellow, 電子情報通信学会フェロ―、情報処理学会フェロ―。
情報処理学会では、理事、監事歴任に加え、山下記念研究賞受賞、マルチメディア通信およびモバイル通信に関する先駆的研究に対し功績賞受賞。
電子情報通信学会では、理事、評議員(2期)歴任に加え、ユビキタスネットワークに関する先駆的研究に対し顕彰功労賞受賞。
総務省より、災害支援のための無線マルチホップネットワークに関する研究業績に対し総務省関東総合通信局長賞受賞、他受賞。
情報通信ネットワークに関する単著書4、共著書40。
http://sakatashiro.com/で詳しく紹介。

Sigfoxネットワークの概要および実用事例(3)

京セラコミュニケーション
システム(株)
LPWAソリューション事業部
宮下純一

6.ビジネスモデルと国内ユースケース

Sigfoxサービスは、オペレータとパートナー企業のエコシステムで成り立っている。国内におけるパートナー企業は2019年4月時点で440社を超え、さまざまなプロダクトが誕生している。

6.1アセットトラッキング

GroupePSA社は、SigfoxとIBMのIoTソリューション「Track&Trace」によってコンテナの位置を追跡できるようにした。これにより、サプライヤと工場間のコンテナローテーションの最適化を実現し、生産ラインのインシデント低減など、さまざまな効果を生み出している。また、ルイ・ヴィトン社の旅行鞄追跡用のデバイス「Echo(エコー)」は、小型のトラッキング端末により、世界各国の主要空港で旅行鞄が無事に到着したかを確認することができる。これにより、ロストバゲージのリスクを最小限に抑えることができる。

国内においても、スポーツ自転車の盗難防止・追跡が可能になる株式会社ネクストスケープの「AlterLock」、ランドセルに入れることで児童の行動をスマートフォンで見守ることができる株式会社ハムステッドの「KinseiGPS」、車両や資材などモノの位置を見える化する株式会社ワイズ・ラブの「Xeye(クロスアイ)」など、位置測位に強いSigfoxの特長を活かしたサービスが次々に誕生している。

6.2設備監視

日本電気株式会社と株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズは、2019年4月より遠隔でLPガスメーターの情報を提供するサービスを全国のLPガス販売事業者向けに展開開始した。LPガスメーターの指針データを遠隔から網羅的、かつ高頻度、低コストで収集し、LPガス配送業務効率化ソリューションを提供している。
ダイキン工業株式会社は、産業用空調機のフロン排出抑制法を背景に保守メンテナンスの効率化サービス「アシスネットサービス」において、室外機にSigfoxデバイスを取り付け、定期的なデータ取得を可能にしている。また、ゼロスペック株式会社は、灯油タンクの残量検知デバイスを開発し、北海道など寒冷地における灯油補充の社会問題を解決するソリューションを提供している。

他にもオプテックス株式会社のスマートパーキングやIoT看板センサ、積水マテリアルソリューションズ株式会社のIoTゴミ箱、CACH株式会社の構造物を監視するワイヤレスひずみモニタリングシステムなどがリリースされている。

6.3バックアップ・ブロードバンド

最近では、ユーザのインターネット接続環境にとらわれず、予備電池のみで長期にわたりデータ送信ができるSigfoxの特長を活かした、バックアップ回線としてのニーズが高まりつつある。
フランスの携帯電話事業者FreeMobile社は、新型のTVセットトップボックス「Freebox」にSigfoxをビルトインした。災害・障害時に「Freebox」の既存接続が切れた場合においても、アラート通知などのサービスを継続可能にするためである。また、火災・侵入警報器および駆け付けサービスを提供するSecuritasDirectVerisureGroupが、主回線となるGSMセルラーネットワークに障害が発生した場合に備えて、Sigfoxネットワークをバックアップ回線として利用するセキュリティシステムをスペインで100万台導入している。

この他にも多くのソリューション、Sigfox対応製品があるが、詳しくは、京セラコミュニケーションシステムのホームページに掲載している。
(https://www.kccs-iot.jp/) 

次週に続く-

【著者略歴】

宮下純一(みやしたじゅんいち)
京セラコミュニケーションシステム株式会社
LPWAソリューション事業部
LPWAソリューション部
LPWAソリューション課課責任者

2005年京セラコミュニケーションシステム株式会社入社、研究部配属。
以降、広域無線LANシステム、地デジ中継局FRCワイヤレスリンクシステム開発、自治体向けソリューションの開発普及、人工知能の活用によるセキュリティシステム開発、画像認識サービスLabellioの活用、顔認証システムの開発普及に従事。
2019年1月、Sigfoxネットワークの日本展開を加速させるため、技術責任者としてLPWAソリューション部に異動。

LoRaWANネットワークの概要と利用事例紹介(3)

(株)エイビット 開発部
古川勇一郎

水位の計測には超音波センサを用いることとした。これは、水圧式センサに比べセンサ自体の価格が安いためである。電源は内蔵一次電池のみでソーラーパネル等の外部電源は不要としコストを削減した。長期運用を実現するため通信方式はLoRaWANを採用し、通信時の消費電力を抑えると共に総合的な低消費電力となるようチューニングを施した。また、センサ・通信部・アンテナ・電源を一体とした軽量・コンパクトな筐体のため、設置コストも大幅に削減することが可能である。

本プロジェクトでは、監視する河川の上流・中流・下流の3箇所に水位計を設置し増水の傾向を把握することとし、注視すべき中小河川等を5河川選定、大学構内の砂防ダムを含む市内合計15箇所に水位計を設置した。 またLoRaゲートウェイは、弊社社屋や市役所、河川近くの学校等の建屋屋上に合計11箇所設置した。LoRaWANの電波到達範囲を考えると1河川にLoRaゲートウェイ1つで足りるが、LoRaゲートウェイに障害が起きた場合でも水位データを取り続けられるよう、冗長化するために監視河川数より多く設置することとした。尚、河川や橋梁等に水位計を設置するには、そこを管理している担当所管への届出と許可が必要なことを付け加えておく。

市役所屋上に設置したLoRaゲートウェイ

次週に続く-

【著者略歴】

1996年 3月 日本電子専門学校電子音響工学科卒業
1996年 4月 株式会社東洋リンクス入社 マイコン関連開発業務に従事
2009年 1月 株式会社エイビット(技術部)入社
2017年 5月 総務省実証事業「八王子防災プロジェクト」に従事

西菱電機、手軽だが本格的な「IoTスターターキット2」販売開始

西菱電機(株)(以下「西菱電機」)は、2019年5月15日より、西菱電機が提供する業務アプリケーションプラットフォーム「Seiryo Business Platform」上で利用できる、IoTスターターキット第2弾の販売を開始した。
「IoTスターターキット2」は、自動シャットダウン機能を搭載した産業用ゲートウェイと、7種類のセンサーがセットで提供され、さらに1年間のIoTサービス利用料込となっている。本格的にIoTを始めたい方、自社のニーズに合わせてセンサやソフトウェアのカスタマイズができる拡張性が欲しい方、必要なものが全てそろったキットで手軽に始めたい方に、最適という。(画像:スターターキット2 製品イメージ)

■特長
・産業用IoTゲートウェイ(GW-01)
 -自動シャットダウン機能を搭載することで、万一の停電時にもデータと機器を保護する。
 -ゲートウェイ正面に設置されたLEDにより、システムの状態を視覚で確認できます。
 -センサーユニットやI/Oユニットが直接IoTゲートウェイに接続できる。
 -IoT無線に適した電波を通しやすい筐体。
・センサーブロック
 -7種類のセンサーから、最大3種類のセンサーを組み合わせて利用できる。

■提供内容
<構成>
・センサーブロック本体(ACアダプタ付き)
・センサーユニット7種類(温湿度、照度、電流、反射、距離、加速度、CO2)
・IoTゲートウェイ本体ユニット(ソフトウェアインストール済、ACアダプタ・microSDカード付き)
・拡張HUB
・I/Oユニット
・サポート

<サービス>
下記、1年間のIoTサービス利用料込
・IoTダッシュボードの利用
・データ送信周期 10秒以上

<価格>
・180,000円(税抜)

<備考>
・「Seiryo Marketplace」(購入可能サイトhttps://marketplace.seiryoelectric.com

ニュースリリースサイト:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000034925.html

IoT Plug and Play対応したIoTセンサ・モジュールを発表

STマイクロエレクトロニクス(以下ST)は、すべてのユーザがIoT機能を活用する事ができるIoTセンサ・モジュール「SensorTile.box」を発表した。このセンサ・モジュールにより、データを収集し、センサ情報を簡単にクラウドに送信する手法を短時間で理解することができるという。

このプラグ・アンド・プレイ型のIoTセンサ・モジュールは、 Bluetooth(R) Low Energyを使ってスマートフォンと簡単に接続できるため、歩数計、アセット・トラッキング、環境モニタなどのようにセンサ機能を確認することができる。
SensorTile.boxは、経験豊富な設計者向けに、開発者モードとエキスパート・モードを備えており、グラフィカル・ウィザードの使用や独自の組込みプログラムの作成により、洗練されたアプリケーションを簡単に開発することができるとのこと。

使いやすさに加え、一般消費者やIoTの初心者からエキスパートまで、幅広いユーザが利用できる点が魅力のSensorTile.boxは、スマート機器を簡単にクラウドと接続してデータの収集・解析を行える、Azure IoT Central向けの新しいデモ用プラットフォームとして活用できる。

SensorTile.boxは、モーション、コンテキストおよび周辺環境を検出するSTの各種MEMSセンサを、IP54準拠の堅牢なプラスチック・ケース(57 x 38 x 20mm)に統合している。このモジュールは、 STのウェブサイト(https://www.st.com/ja/evaluation-tools/steval-mksbox1v1.html?icmp=tt11317_gl_prom_may2019)またはSTの販売代理店から、6月初旬に提供が開始される予定。

商用モジュールおよび関連サービスは、 STの認可パートナー企業であるFAE Technology社より提供される。詳細については、https://fae.technology/en/を参照のこと。

ニュースリリースサイト: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000967.000001337.html

オムニビジョン、車載向け裏面照射HDR CMOSセンサを発表

米OmniVision Technologies, Inc.の日本法人であるオムニビジョン・テクノロジーズ・ジャパンは,自動車向けとしては初となる裏面照射(BSI)技術を採用したCMOSイメージセンサ「OV10640」と,専用コンパニオンプロセッサ「OV10640」を発表した。2014年6月にサンプル出荷を開始し,同年第4四半期に量産に移る。

「OV10640」はドライバー・アシスタンス・システム(ADAS)向けに開発された1/3インチのCMOSセンサ(パッケージサイズ 7.4×7.2mm)で,120dBのハイダイナミックレンジ(HDR)と130万画素の解像度を有し,毎秒60フレームのRAWデータを出力する。感度は同社現行のHDRセンサ「OV10635」の3.65V/Lux-secの2倍以上になるとしている。動作保障温度は-40~+105℃。

通常HDR映像は,画面の明るい部分と暗い部分にそれぞれ露出を合わせた,2枚以上の写真を合成することで実現するが,この方式の場合,各写真を順番に撮影するために被写体が移動すると合成した写真にブレが生じることがある。特に高速で走行する自動車では,ADASで用いる画像認識データとして適さない場面も予想される。

今回発表した「OV10640」では,こうした時間差を抑える技術を用いており「同時に2枚の画像を取得する」(同社シニアFAE福田英寿氏)ことができるという。技術の詳細については公表できないとしているが,常に同時の画像が取得できるのかについては「一定の明暗差を超えると時間差が発生するもこともあるが,一般的な使用条件では問題ない」(福田氏)という。

同社は2013年に約14億ドルを売り上げているが,このうち50%程度をスマートフォンやタブレットのカメラが占めている。自動車向けは10%程度で,これは業界シェア20%程度だとしている。同社では今後,自動車向けイメージセンサ・カメラ市場は大きく伸びると見ており,2014年で5,500万台だった市場は,2020年には1億7,000万台になると予測。重要なマーケットとして力を入れていく。



ニュースサイト「OPTRONICSOnline」: http://www.optronics-media.com/news/20140513/22195/

JDI、曲げても割れないフレキシブル指紋センサを開発

ジャパンディスプレイ(株)(以下JDI)は、当社の持つ静電容量式ガラス指紋センサの技術とフレキシブルディスプレイの技術を融合させ、曲げても割れない静電容量式フレキシブル指紋センサを開発した。

JDIは、現在量産中のガラス指紋センサをさらに活かし、大きなサイズのセンサ、商品デザイン性を高める透明なセンサなどの開発を進めている。 この度、指紋センサを形成する基板に数十ミクロンの極めて薄いプラスチックを用いることで、薄くて軽く、曲げても割れないフレキシブルな指紋センサを実現したとのこと。

個人認証付きスマートカード等でより信頼性の高い個人認証を行うためには、指全体を検出可能な大きなサイズの指紋センサを搭載する必要があるが、シリコン製指紋センサでは、カードが湾曲した際に割れてしまうことを避けるためにセンササイズに制約がある。 JDIのフレキシブル指紋センサは、シリコン製指紋センサでは実現できない大面積化が可能なため、セキュリティ強化の対応がしやすくなるとしている。

スマートドアロックや個人認証付きIoT(Internet of Things)機器は、JDIフレキシブル指紋センサの柔軟性を活かして曲面形状を容易に形成することができ、デザイン性に特長をもった商品にすることが可能。また、プラスチック基板を採用しているため、落下衝撃による基板の割れが無くなり、ポータブルタイプの機器にも最適という。

◇製品の概略仕様
 センサ方式   : 静電容量式
 有効センササイズ: 約10.5mm × 約14.0mm(約0.7型)
 階調数     : 256

ニュースリリースサイト(JDI):https://www.j-display.com/news/2019/20190509.html

数量カウント補助システム「めばかり君」を販売開始

東京エレクトロン デバイス(株)(以下、TED)は、作業台に部品を載せる、広げる、カメラで撮影する、の3つのステップで、微小・軽量部品の数量カウントを行うシステム「めばかり君」を開発し、 2019年5月14 日より販売する。

■「めばかり君」について
本製品は、画像処理技術を用いることで、作業台に部品を載せる、広げる、カメラで撮影する、の3つのステップで、微小・軽量部品の数量カウントを行うシステム。
従来の測定における誤差の原因であった重さを測定する方法とは異なり、対象物の外観の特徴をあらかじめ登録しておき、カメラで撮影した対象物の特徴と比較することで対象物を認識して数えるので、微小・軽量部品でも短時間で正確に数えることが可能だという。
操作が簡単なので担当者の育成の必要がなく、作業時間の短縮や作業の標準化につながり、作業内容がログとして残せるので、ミスカウントがあった場合の改善策が立てやすく、トレーサビリティの確保も実現する。
また、特定の部品向けの専用機でないため、ユーザーのニーズに応じて、さまざまな部品に対応できるとのこと。

■「めばかり君」の特徴
・画像処理で部品をカウントすることで、重さによる誤差を排除
・作業台に部品を載せる、広げる、カメラで撮影する、の3つのステップで簡単に数量カウントが完了
・「かんたん設定」モードで部品登録も簡単
・作業画面には画像処理結果がリアルタイムで表示され直感的な操作が可能な管理画面を実現
・作業履歴を簡単に確認できる履歴ビューアーを搭載

価格は170万円(税抜き)。本体及び設置・立ち上げ等の費用を含む。
TEDは、物流フローで数量カウントが必要となる、部品製造工場、物流センター、製品製造工場などへ販売活動を行うとしている。

製品サイト(TED):
https://www.inrevium.com/product/imageprocessing/mebakari-kun/

IoTを牽引する広域センサネットワークLPWA の最新動向と将来展望(2)

千葉大学 名誉教授 阪田史郎

2.独自仕様のLPWA

独自仕様のLPWAは、サービス開始時期により、2015年以前にサービスを開始し先行したLoRa、Sigfox、FlexNetと、後発として新規参入し2018年以降にサービスが開始されているEnOcean Long Range、ソニー製LPWA、Weightless-P、ZETA等に大きく分けられる。これらの中で、LoRa、Sigfoxは他を大きく引き離し、実証実験が多く実施され、実サービスも始まっている。

2.1 LoRa

名称の由来はLong Rangeで、ネットワークは仏Cycleo社、デバイスは米Semtech(仏Cycleoを買収)が開発、2014年にサービスを開始、2015年に LoRaアライアンスを2015年に設立した。LoRaアライアンスには2019年4月末現在550社以上が参加している。
‘オープン性’が特徴で、免許不要のサブギガヘルツ帯(国内では920MHz)を使用し、通信距離は見通しで約10km、都市部では約2kmでリンクバジェット154dBの通信が可能、通信速度は200~10kbps、利用帯域幅は500~125kHz、最大パケットサイズは256byteである。
LoRa変調は、従来レーダーやソナーなどで使われてきたチャープ信号を用いたチャープ拡散方式である。チャープ信号は、一定時間内で周波数が単調増加または単調減少する信号で、チャープ拡散方式では、チャープ信号をベースチャープ信号として、時間軸方向にサイクリックシフトして信号多重し、周波数拡散を行う。PSK(Phase Shift Keying)が正弦波の位相変調であるのに対し、LoRa変調はチャープ信号の位相変調といえる。FSK(Frequency Shift Keying)と比べて、同程度の通信速度では約8dB優れた感度で、妨害波干渉にも耐性をもつため、FSKよりも長距離の通信が可能である6),7)
LoRaはセンサとゲートウェイ間のみの通信機能を提供するため、携帯電話網と共存可能である。海外では、既にオランダ、韓国で国全体、インドでは2017年末には人口4億人の地域をカバーしている。国内では、ソラコムが2017年初頭に商用化開始後、NTTドコモとソフトバンクも同年に相次いでサービスを開始している。

2.2 Sigfox

2009年に仏Sigfox社が開発、2012年にサービスを開始した。1910年代の第一次世界大戦における潜水艦の通信技術を基にしている。国内では920MHzを使用し、通信距離は都市部以外で30~50km、都市部では3~5km、通信速度は10~1kbps、各センサから1日最大140回、最大12byteのメッセージの送信が可能である。 ‘通信方式のシンプルさとグローバル展開力’が特徴で、少量のデータを送信するセンサに適し、他のLPWAよりも相対的に低消費電力、低速でカバー領域も広く、基地局数が少なくできる。通信モジュールも基地局もハードウェアはシンプルにでき、低コスト化が可能である。
通信方式の詳細仕様は非公開であるが、変調方式は、低消費電力、ノイズに強い性質を持つBPSK(Binary PSK)を利用したUNB(Ultra NarrowBand、100Hz。干渉波の一部のみ影響)と呼ぶ技術で低速通信を実現する。さらに、周波数ホッピングの信号多重により周波数ダイバーシチ、複数回フレーム転送により時間ダイバーシチ、同報通信により空間ダイバーシチを得ることで、耐干渉性、耐障害性を実現する8)
センサ群から基地局までのLPWAの部分、さらにクラウドを構成するネットワークサーバまでを含めたネットワークシステムとして提供する。このため、事業的には携帯電話網と競合する。国内では、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)がサービスを展開し、2019年3月末には人口カバー率95%に達している。

2.3 FlexNet

米国のSensus社がページャの技術を基に開発し、2013年頃から主に米国、英国においてスマートメータリングの実績がある。変調方式はFSK、280MHz帯を用い400mW の送信出力で、最大伝送速度10kbps、最大伝送距離約20km、国内でも水道のスマートメータリングの実験を行っている。

2.4 後発のLPWA

LoRaとSigfoxに対しては大きく出遅れたが、表2.1に後発の独自仕様LPWAをまとめて示す。各LPWAの特徴を下線で示す。

表2.1 後発の主な独自仕様LPWA
EnOcean Long Range ソニー製 ELTRES
概要 ・独シーメンスからスピンアウトして
 設立されたEnOcean社が開発、
 狭域センサネットワークEnOceanの
 LPWA版。
・家電の開発で蓄積されたデジタル信号
 処理技術、高周波アナログ回路技術に
 より、都市部でも良好な通信が可能。
特徴、
通信性能等
・920MHz帯、送信出力10/20mW、
 通信速度を1kbps程度に抑え、
 高利得のアンテナを用いることで、
 見通しで3~4km(最大6km)、
 ビルの林立する都市部でも
 300~400mの通信が可能。
・ソーラーパネルなどを用いたエナジー
 ハーベストにより、電池交換不要。
・920MHz帯、障害物のない見通し通信で、
 100km以上の遠距離通信に成功。
 時速100km/hの高速移動中でも安定的
 な通信を確認。
 高精度な波形合成により送信・受信の
 周波数とタイミングを補正。
・1日2回の位置情報送信で、
 コイン電池1個で1年間動作。
・通信方式はETSI(欧州電気通信標準化
 機構)でLPWAの標準の一つに採用。
応用、
商用展開等
・NTTとの実証実験成果を踏まえて、
 2017年にサイミックス(長野県茅野市)
 が、長距離気象センサシステムを製品化。
・NTT東日本はこの製品を用いて、
 農業の ‘見える化’ ソリューションを販売。
 2018年末に茨城県の養鶏場に導入。
・IoTクラウドプラットフォームToamiを
 提供する日本システムウェア(NSW)と
 連携。
・牛の起立困難状態(狂牛病)を検知し
 スマートフォンに通知するシステムを
 開発。
・NTTドコモと住友林業は林業従事者の
 安否確認・事故検知ソリューションを
 実験。
Weightless-P ZETA
概要 ・英国のWeightless SIGが2015年に策定。
 台湾のユービック社が技術開発・標準化を
 推進。
・英国ZiFiSenseが開発。
 最大4ホップのマルチホップ通信により
 地下やトンネルの中でも途切れない。
特徴、
通信性能等
・920MHz帯、下り最大100kbps。
 下りの高速性は、センサのファームウェア
 更新で優位。同時接続数はLoRaの
 約10倍。
・TDMA/FDMAをベースに、
 搬送幅12.5 kHzの狭帯域通信、
 周波数ホッピング、電力制御技術などに
 より、高信頼性を保証。
 電池寿命5~10年。
・欧州仕様では、都市部で2km、
 郊外で5kmの通信が可能。
・920/429MHz帯、超狭帯域(UNB:
 Ultra Narrow Band。チャネル帯域幅は
 0.6k~2.0kHz)による多チャンネルでの
 通信が可能。
・通信速度は100~50kbps。
・通信距離は22m~10km。
・マルチホップ通信により障害時の
 迂回路設定が可能。
・双方向での低消費電力通信で電池寿命
 5~10年。
・NB-IoTの約1/20、LoRaの約1/5の低価格
 初期費用。
応用、
商用展開等
・街灯やガス栓の遠隔制御などの
 スマートシティ、工場(FA)、
 展示場での中古車管理などを対象として
 2018年に製品化。
・中国では、インフラ監視、マンホール
 監視、街灯制御、工場内ロボットアーム
 制御などで利用。
・国内では、テクサー、凸版印刷、
 京都高度技術研究所は、
 京都スマートシティ化実験実施。
 宮崎県ではチョウザメの養殖、
 広島県では果樹園の温湿度監視でも実験。

次週に続く-

参考文献

6)阪田史郎、”無線通信の話,” 電気書院、2015.12

7)阪田史郎、嶋本薫編著、”無線通信技術大全” リックテレコム、2007.2

8) 阪田史郎, “M2M無線ネットワーク技術と設計法,” 科学情報出版, 2013.5.

【著者略歴】

1972年早大理工電子通信卒。1974年同大学大学院理工学研究科修士卒。同年NEC(日本電気)入社。
以来、同社研究所にてインターネット、マルチメディア通信、モバイル通信の研究に従事。工学博士。
1996-2004年同社研究所所長。1997-1999年(兼)奈良先端科学技術大学院大学客員教授。
2004-2014年より千葉大学大学院教授。同大学では、ユビキタスネットワーク、IoT/LPWA、5Gネットワークの研究に従事。2014-2019年同大学グランドフェロー。
2019年より同大学名誉教授。IEEE Fellow, 電子情報通信学会フェロ―、情報処理学会フェロ―。
情報処理学会では、理事、監事歴任に加え、山下記念研究賞受賞、マルチメディア通信およびモバイル通信に関する先駆的研究に対し功績賞受賞。
電子情報通信学会では、理事、評議員(2期)歴任に加え、ユビキタスネットワークに関する先駆的研究に対し顕彰功労賞受賞。
総務省より、災害支援のための無線マルチホップネットワークに関する研究業績に対し総務省関東総合通信局長賞受賞、他受賞。
情報通信ネットワークに関する単著書4、共著書40。
http://sakatashiro.com/で詳しく紹介。