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液位センサについて ガイドパルス式レベル計 GW100形(2)

(株)ノーケン
マーケティング部
河村 啓介

4.ガイドパルス式レベル計 GW100形

弊社が新製品として2019年4月にリリースしたガイドパルス式GW100形は、簡単な操作で幅広い用途にご使用いただける接触式の液位センサである。

4.1動作原理

GW100形は、時間領域反射率測定法(TDR;Time Domain Reflectometry)を採用している。プローブ(ロッドまたはワイヤー)上端から先端に向けて発信された高周波信号は、プローブに沿って進み、測定物表面で反射する。反射した信号はプローブを逆行し、センサで受信される。センサは発射してから受信するまでにかかった時間をレベルに換算し出力する。(図7参照)

図7 TDRの仕組み

ガイドパルス式はプローブに沿って伝搬している高周波信号を利用して計測しているので、非接触式の超音波式及びマイクロウェーブ式で考慮しなければならないビーム角の問題はなく、小形タンクや障害物の多いタンクなどで液位を計測できる。
またフロート式と異なり、ガイドパルス式レベル計はフロートのような稼働部がなく、測定液の粘性や付着物の影響を受けにくい点もメリットである。

4.2 GW100形の特長

写真1 GW100形プローブ種類

GW100の主な特長は次の通りである。

  • ゼロ点、スパン点、プローブ長の設定のみで完了するクイックスタート機能を搭載。
  • プローブのバリエーションはロッド、ワイヤー、PFAチュービング、サニタリーの4タイプ。(写真1)
  • 稼働部がなく、高粘度の液位の計測に向いている。
  • 比較的付着の影響を受けにくい。
  • 堅牢なつくりで耐久性に優れている。

弊社のレベル計は主としてPA分野への納入事例が多く、厳しい現場環境で使用いただくことを考慮に入れ製品開発を行った。
弊社としてGW100形は、自信をもってお客様に推奨できる製品に仕上がっていると自負している。

4.3 GW100形と他の液位センサとの比較

ここでGW100形と、これまで述べてきた他の液位センサとを比較し、双方のメリットを整理したいと思う。

〇GW100形のメリット

  • 計測長やプローブ長を容易に変更することができる。
  • 実液投入が不要な上、3ステップの簡単な設定で稼働する。
  • 結露、付着の影響を受けにくい。
  • 機器校正が不要。
  • 測定液のべーパー、発泡、結露の影響を受けない。
  • タンク内障害物の影響を受けにくい。
  • メンテナンスが不要。

〇他の液位センサのメリット

  • プローブ形状、防爆仕様など、対応できるバリエーションが豊富。
  • 計測レンジが長い。
     静電容量式 MAX.10m
     圧力式(投げ込み式) MAX.100m
     超音波式 MAX.30m
     マイクロウェーブ式 MAX.20m
  • 超音波式、マイクロウェーブ式は、液中にプローブを挿入する必要がなく、使用上接液させたくない場合に有利。

このように、液位センサは方式によって一長一短である。
GW100形は簡単な設定で立ち上がり、付着、発泡、結露や障害物などの厳しい条件下でも使用できる液位センサである。一方で他方式の液位センサは、計測レンジが長く、バリエーションの豊富な点がメリットであり、それぞれの特長を踏まえた上で適切な機種選定が必要である。

4.4 GW100形の用途例

次にGW100形の具体的な用途例をご紹介したいと思う。前述したようなGW100形の特長が活かせる現場として、汚水、排水処理設備での用途が比較的多い。

(1)セラミックスメーカー A社様

  • 用途:付着性及び腐食性のある廃液計測(写真2)
  • GW100形導入前
     ケーブルタイプのフロートスイッチで液面検知。
     腐食性のある廃液によってケーブルが劣化し都度交換を余儀なくされていた。
     付着性が高いため他のタイプの液位センサの使用が困難だった。
  • GW100形採用機種 ワイヤータイプ GW100NW形(写真3)
  • GW100形導入後
    ワイヤーへの付着はあるものの、液位測定に影響なし。
    SUS製ワイヤーであるため劣化はなく、都度交換の手間が解消された。
写真2 廃液の付着状況
写真3 GW100NW設置状況

(2)酒造会社 B社様

  • 用途:酒造排水の液位検知(写真4)
  • GW100形導入前:弊社 超音波式レベル計 QS1000形
     排水の温度が高く蒸気が発生する上、超音波式レベル計の発信部が結露し動作不安定になっていた。
  • GW100形採用機種 ロッドタイプ GW100NR形(写真5)
  • GW100形導入後
     GW100形は、蒸気とそれに伴う結露の影響を受けなくなったため、動作不安定が解消した。
写真4 排水からの蒸気発生状況
写真5 GW100NR設置状況

排水・廃液処理用途だけではなく、GW100形は製造工程内でも採用されている。

(3)食品メーカー C社様

  • 用途:豆腐原料の液位検知(図8)
  • GW100形導入前:全高1.3m程の比較的小形タンクで、タンク内部に攪拌機が複数ある上に、測定液から蒸気が発生している測定環境だった。食品原料であることから、お客様は非接触式を希望されたが、計測を阻害する要因が多いためGW100形を推奨し、納入した。
  • GW100形採用機種
    ロッドタイプ GW100NR形
図8 豆腐原料タンク図

・GW100形導入後:タンク壁や攪拌機の羽根などから100mmほど離れた取り付けだったが、双方からの影響はなく安定して液位計測ができた。豆腐原料からの蒸気や結露についても特に支障はなかった。

このような食品、飲料メーカー向け用途の他、化学メーカーや水処理メーカー向けでPFAチュービングタイプによる薬液計測用途などでも実績を上げている。

5.ガイドパルス式レベル計 次期モデルについて

現在弊社はGW100形に続き、次期モデルの開発に着手している。
次期モデルの主な特長は下記の通りである。
・小形ハウジング仕様
・現場表示付き
・接点出力を搭載
GW100形は大形タンクやピットなどプラント設備で主に採用いただいているが、小形タイプのガイドパルス式を次期モデルとして追加することで小形機器や産業機械装置への設置が可能となり、より幅広くお客様のお役に立つことができるものと考えている。
弊社はガイドパルス式レベル計 GW形を、お客様がより多くの場面で選択していただけるように仕様のバリエーションの拡充を今後とも進めていく予定である。

6.おわりに

液位センサなどのレベル計は設備や機器の制御には不可欠な計器である。”正常に動作して当たり前”の計器であるがゆえに、動作不具合を起こした際の設備に及ぼす影響は大きい。
今回は液位センサについてご紹介したが、弊社は粉粒体計測も含めたレベル計全般を製造、販売している。また、SIEMENS AG(ドイツ)とシーメンス株式会社との3社の販売提携を結んでおり、レベル計以外の工業計測器(電磁流量計、ガス分析計など)の販売、及びシーメンス社製PLCによる制御システム構築など、その事業範囲をさらに拡げている。
弊社はより高品質の製品及びシステムをお客様に提供し、お客様のご要望にお応えできるよう、今後とも努めて参りたい。



【著者紹介】
河村 啓介(かわむら けいすけ)
株式会社ノーケン マーケティング部

■略歴
・1987年4月 能研工業株式会社(現・株式会社ノーケン)に入社
       名古屋営業所に配属
       外勤営業として勤務
・2019年4月 マーケティング部に異動  現職

GxPでの高度な要求に応える環境モニタリングシステム「testo Saveris」新発売

 (株)テストーは、2020年10 月16日、環境モニタリングシステムである「testo Saveris」(サベリス)を新発売した。

【testo Saveris新発売の背景】
 今までのSaverisシリーズでは、対応しきれなかった広範囲の通信が、testo UltraRange(920MHz)が加わり実現可能となった。ワイヤレステクノロジーで建物内部を広範囲にカバーし、確実にデータ転送をする。
GxPの厳しい規制とモニタリングが必要とされる業種の様々な異なるアプリケーションに対応すべく、環境条件をモニタリングするための包括的なソリューションは、厳しい規制要件を常に確実に満たすサポートをするという。

【testo Saverisの主な特長】
センサ、ソフトウェア、サービスまとめてトータルサポート
・サーバー(またはPC)、ロガー、ベースの3階層の冗長化による安全なデータ保存、測定データの自動保存と定期的な文書作成
・ 稼働中でも数秒でプローブ交換でき、デジタル監査証跡でプローブ交換も記録
・ 21 CFR Part 11およびEU GMP Annex 11の要件に対応しているCFRソフトウェアバージョンを含めた2バージョンのソフトウェアで全ての測定データを高速分析
・ 既存の通信インフラ (WLAN, LAN) に統合、もしくは testo UltraRange (920MHz)ワイヤレステクノロジーを利用
・ 専門的なトレーニングを受けたサービスチームによる個別のプラニング、ドキュメンテーション、システムクオリフィケーション、ソフトウェア検証およびサポート。運用中のシステムのサポート、サービス、校正および検証の実施

このモニタリングシステムは利用者の希望、環境等により組み合わせやレイアウト等を含めて個別に提案をしている。内容や価格はお問い合わせのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000026085.html

GA-ASI、遠隔操縦無人機シーガーディアンの飛行実証を日本で開始

米ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ社(General Atomics Aeronautical Systems、Inc.、以下:「GA-ASI」)はアジア航測株式会社と協業し、青森県八戸市においてGA-ASI製の遠隔操縦無人機MQ-9B SeaGuardian®(以下:シーガーディアン)を用いた海上保安庁向けの飛行実証を開始した。

今回のシーガーディアンの飛行実証では、海上での救助や取締りなどを含む海上保安業務において、遠隔操縦無人機の有効性を検証する。これは2018年の長崎県沖合並びに2019年にエーゲ海で実施したデモフライトに続くもので、大きなマイルストーンとなるもの。使用されるシーガーディアンは全天候に対応し、民間の国内及び国際空域での運用が可能とのこと。

シーガーディアンのシステムには、マルチモードの海洋表面探査レーダー、逆合成開口レーダー(ISAR)、船舶自動識別装置(AIS)、光学・赤外線HDビデオカメラなどが装備されている。これらのセンサを活用することで、数千平方海里にわたる範囲でリアルタイムでの船舶の探知・識別が可能になる。また、レイセオン製のSeaVue海洋表面探査レーダーでは、水上の目標物の自動追尾のほか、AISとレーダーで探知した目標の相関を算出することができるという。

シーガーディアンはあらゆる天候においても高い性能を発揮できる機体であり、無人航空機における標準化仕様であるNATOの耐空性要件(STANAG-4671)を満たした型式認証を取得している。民間空域での柔軟な運用を実現する技術として、滞空型遠隔操縦無人機市場に革新をもたらしているとしている。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000032724.html

磁石の力で浮き上がる360°浮遊型ディスプレイ『DAVINCI』特設サイト公開

(株)マグファインは、様々な磁石関連製品の開発や製造、コーティング、加工、販売などを手掛ける磁石専門企業。同社が、これまでに培った磁石に関わる技術を結集させ生み出したものこそ、磁気浮遊ディスプレイ。この度商品名を、空を夢見た人類史上最高の芸術家の名でもある『DAVINCI』とし、特設サイトを本日10月16日(金)より公開した。
 “重力という制限から解き放ち、すべての想像力をさらなる高みへ”というコンセプトの通り、お気に入りのスニーカーや大切に育ててきた盆栽、コレクションしているフィギュア等、『DAVINCI』に乗せるものすべての、今まで見ることの出来なかった新たな景色を届けるとしている。

■『DAVINCI』浮遊の秘密
 磁石の中でも最強レベルの磁力を誇るネオジム磁石を、土台と浮遊台それぞれのパーツとして採用し、ネオジム磁石が持つ強力な反発力によって、最大約7cm(荷重0gramsの場合)という磁気浮遊ディスプレイのなかでは最高レベルの浮遊高度を実現した。
 そして、土台に搭載された高精度デジタルセンサが浮遊台のバランスを読み取り、それに応じて土台の上下左右に設置された電磁コイルから磁場を発生させ、磁力を精密にコントロールし、安定した浮遊を可能にしているという。

■『DAVINCI』特設サイト
<『DAVINCI』ビジュアルコンセプト>
 特設サイトでは、“浮遊”と“回転”、そしてそれらによってもたらされる“想像力”という『DAVINCI』が与えてくれる価値をレオナルド・ダ・ヴィンチに関わる作品をモチーフとしたビジュアルで表現している。ギャラリーコーナーでは、それらのビジュアルをPC用とスマホ用の壁紙としてダウンロードできるとのこと。

『DAVINCI』特設サイト:https://www.magfine.com/lev/

Kebbi Airにコロナ対策、検温ソリューションが登場、11月1日より正式発売

NUWAロボティクスJAPAN株式会社より、検温ソリューションを11月1日より正式に発売を開始する。

◇使いやすく、精度の高い検温ソリューション
この検温ソリューションは、自社開発の検温デバイス(NUWA Ocular)と自社開発のアルゴリズム・ソフトウェアにより、安価で使いやすいUIを実現。コミュニケーションロボットならではの、カスタマイズ可能なアナウンス機能や、誤差の少ない検温機能、自動補正機能など、下記の様なユニークなソリューションとなっている。
1)デュアル検温システム搭載(サーマルカメラと、精度の高い赤外線センサを搭載)
2)自動補正機能搭載(環境温度センサと赤外線センサによる自動補正機能)
3)顔認識機能
4)マスク着用検知機能
5)アナウンス設定機能(簡単にアナウンス内容も変更が可能)
6)再検温機能(体温が閾値を超えた場合、誤診を避けるため、自動的に赤外線センサで再検温を行う機能)
7)通知機能、レポート機能(設定した条件での即時通知機能、デイリーレポート機能)
8)他アプリケーションとの連携機能(APIの提供)

◇様々なシーンにて利用可能な検温ソリューション
特徴としては、顔認識、検温、マスク着用検知を同時に行い、検温異常値、マスク不着用の場合に、アナウンスし、管理者にメール、LINEで即時通知を行うことが可能で、事務所、幼稚園、学校、介護施設等での利用に適している。(LINEの場合にはメッセージ量の上限あり)
検温異常値の場合、赤外線センサによる再検温をすることにより、誤診を避ける機能がある。

又、より精細な検温が必要な場合には、赤外線センサを利用してより精度の高い検温、同時にマスクの着用有無のチェックも可能で、より精細な検温が必要なクリニックの受付などでの利用に適している。(医療用のデータとしては使用不可)

レストラン、ショップなど、不特定多数のお客様の検温の場合には、顔認識をせず、同時に3名程度の検温とマスクの着用チェックを行うことが可能で、検温異常時やマスク不着用時の場合、アナウンスで知らせる。

さらに、検温ソリューションのAPIを準備しているので、Kebbi Airにて展開が進められている、受付ソリューション(介護施設、病院、幼稚園・保育園、事務所向け)などに検温機能を組み込んだり、その他、様々なソリューションに検温機能を組み込むことにより、複合的なソリューションとして、Kebbi Airを使うことが可能という。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000056095.html

ARスマート・グラスの開発を加速させるLaSAR™ Allianceの設立

STマイクロエレクトロニクスは、拡張現実(AR)スマート・グラス・ソリューションの開発と普及を促進する「LaSAR™ Alliance」(Laser Scanning for Augmented Reality)を設立したことを発表した。主要な技術開発企業、サプライヤおよび製造メーカーで構成されるLaSAR Allianceの設立メンバーは、ST、Applied Materials社、Dispelix社、Mega1社およびOsram社。

LaSAR Allianceは、1日中着用できるARスマート・グラスの開発に取り組んでいる。このようなARスマート・グラスには、小型・軽量で消費電力を抑えつつ、良好な視野角(FoV)と広いアイボックスを実現するという技術的課題があり、メンバー各社は、STが開発したレーザー・ビーム・スキャニング(LBS)ソリューションをベースとするNear Eyeディスプレイにより、これらの課題に対応することができるという認識のもとLaSAR Allianceを設立したという。

LaSAR Allianceには、ARスマート・グラスを開発する上で基盤となる要素がすべて集約されており、STのMEMSマイクロ・ミラー・プラットフォームおよびBCDプロセス(※)における専門技術、Osram社の小型照明光源、Applied Materials社とDispelix社の先進的なウェーブ・ガイドといった製品をMega1社の小型光学エンジンに集積する。これにより、スタイリッシュかつ機能性に優れ、快適に装着でき、アプリケーションに応じて重要な情報を提供するARスマート・グラスの開発が実現する。LaSAR Allianceのミッションは、ARスマート・グラス・アプリケーションの迅速な開発、採用、量産に必要なあらゆる重要技術の開発、入手、サポートを促進することとしている。

(※) BCD(BIPOLAR-CMOS-DMOS)プロセスは、パワー半導体分野における主要な技術。STは、1980年代半ばより、この画期的な技術の開発を続けている。BCDプロセスは、高精度のアナログ信号処理機能向けバイポーラ、デジタル設計向けCMOS(相補型金属酸化膜半導体)、電力および高耐圧素子向けDMOS(二重拡散金属酸化膜半導体)という3つの異なるプロセス技術の優位性をワン・チップに集積する。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001091.000001337.html

3Dビジョンセンサを用いたフラットケーブル高速挿入ロボットシステムの受注を開始

クラボウ 環境メカトロニクス事業部は、同社のロボット用高速3DビジョンセンサKURASENSE(クラセンス)を用いた「フラットケーブル高速挿入ロボットシステム」を開発し、2020年10月19日から受注を開始する。
本システムによって、従来はロボットへの置き換えが困難であった、家電製品、ゲーム機、タブレット・パソコンなどの電子機器の組立て製造工程におけるフラットケーブルの挿入作業の自動化が可能となり、生産性向上や品質向上に貢献するとともに、製造現場での非接触を実現するソリューションを提供するという。

<クラセンスとは>高速な3Dスキャンと認識技術によって人間の「目」と「脳」の役割を果たし、不定形物を見たままに認識できるクラボウの高速3Dビジョンセンサおよびそのシステム

1.開発の経緯
近年、ロボットによる工程の自動化ニーズが高まっているが、ケーブルや電線など形状の定まらない対象物を扱う作業工程においては、ロボットによる自動化が進んでいないのが現状である。現在の一般的なセンサは、硬く形状の決まった定形物しか認識ができず、形状が一定ではなく曲がったりねじれたりするケーブルなどの柔軟物や不定形物は認識できないため、それらをロボットにハンドリングさせることは困難だった。クラボウはこの問題を解決すべく、外観検査装置などの開発で培った高速画像処理技術と3D計測技術を生かして、柔軟物・不定形物の認識を可能とする3DビジョンセンサKURASENSEの開発を進め、2020年にケーブル認識用に特化したKurasense-C100を完成させた。
そしてこの度、3DビジョンセンサKurasense-C100に、産業用多関節ロボットおよび、コネクタ挿入などの作業時の力加減を制御する力覚センサを組み合わせることで、コネクタへフラットケーブルを高速かつ正確に挿入するという従来のロボットにはできなかった作業を実現するシステムを開発し、受注を開始したとのこと。

2.フラットケーブル高速挿入システムの概要
本システムは、高度な力覚制御技術を持つセイコーエプソン(株)(以下エプソン)の協力体制のもと開発したもので、当社の3DビジョンセンサKurasense-C100と、エプソン製の産業用多関節ロボット(C4-A601S)および力覚センサ(S250N)で構成されている。Kurasense-C100がフラットケーブルの三次元形状を高速に計測し、ロボットに把持位置および挿入ポジションを指示。ロボットハンドでケーブルを把持後、力覚センサによりミクロン単位の誤差を微調整し、フラットケーブルをコネクタへ挿入。また、力覚センサが挿入後の半嵌合(不完全なはまり具合)を検出することで導電不良等を防ぎ、製品品質を向上させる。従来の3Dビジョンセンサには必要であった事前の形状登録(パターンマッチング)を必要とせず、KURASENSEの独自アルゴリズム処理によって、形の定まらないフラットケーブルの形状を瞬時に認識して把持し、ロボットに的確な作業指示を出すことができるという。

【主な特長】
① 高速・正確なケーブルハンドリングが可能
高速なKURASENSEのビジョンセンサと高精度なエプソン製力覚センサの組み合わせにより、向きや形状が変化するフラットケーブルをわずか 2.2秒(注※)ほどで掴み高速でコネクタへ挿入できる。
注※ 特定のテスト条件下での、ロボットがフラットケーブル検出位置へ移動してからハンドで把持するまでの時間
② 事前の3Dモデル登録(パターンマッチング)が不要
従来の3Dビジョンセンサはパターンマッチング方式だが、KURASENSEは独自のアルゴリズム処理で3Dモデルの登録が不要。
③ 対象物の色の識別が可能
カラーセンサを使用しているため、ケーブルの色によって異なるハンドリングを行うなどの制御が可能。

3.販売価格
システム販売価格 2,000万円~(税抜) ※仕様やシステム構成については別途お問い合わせのこと
【最小システム構成例】
・ケーブル認識用高速3Dビジョンセンサ Kurasense-C100:1台
・産業用ロボットおよびロボットハンド:2台
・力覚センサ:1台
・安全柵、ワークホルダー:一式

4.販売目標
2024年度:10億円

5.今後の展開
現在、フラットケーブルの他にも、電線、ハーネス、コネクタ付きケーブル、光ファイバーなど多様な線状物のハンドリングに関する自動化の引合いを受けており、また、電子機器の小型化に伴いより緻密で高精度な作業内容が求められており、今後はそれらに対応するシステム開発に取り組む。ウィズコロナの環境下、自動車や家電、電子機器など幅広い業界でのケーブル配線作業の自動化へ貢献を進めると同時に、海外市場への販売展開も予定しているとのこと。

ニュースリリースサイト(kurabo):https://www.kurabo.co.jp/news/newsrelease/20201015_992.html

世界最大規模の住空間向けAI開発用マルチモーダルデータセット「Home Action Genome」

 パナソニック(株)と米国のStanford Vision & Learning Lab(SVL)は、世界最大規模*1の住空間向けAI開発用マルチモーダルデータセット*2「Home Action Genome」を構築し、研究者向けに公開した。また、本データセットを用いた行動認識アルゴリズムの開発コンペティション「International Challenge on Compositional and Multimodal Perception(CAMP)」を行う。
「Home Action Genome」は、住宅内における人の日常行動を模したシーンを、カメラや熱センサなど数種類のセンサを用いて撮影・計測したデータセット。データには、各シーンにおける人の行動内容を表すアノテーション*3が含まれている。

<データ入手方法およびCAMPへの参加方法>
下記サイトよりご確認のこと。
CAMPホームページ:https://camp-workshop.stanford.edu/

今まで公開されている住空間向けデータセットは、音声や映像のデータが主体で規模が小さいものが主流だった。今回、パナソニックのデータ計測技術とSVLのアノテーションノウハウを掛け合わせることで、世界最大規模の住空間向けマルチモーダルデータセットを実現した。 AI研究者は、本データセットを機械学習の学習用データとして用いることができるとともに、住宅内の人をサポートするAI研究に活用することができる。
同社は、一人ひとりのくらしが日々良くなっていく「くらしアップデート」の実現に向けて、今後もデータセット公開を通した共創などにより、住宅分野向けAIの開発を加速していくとしている。

*1:2020年10月15日現在、住空間向けマルチモーダルデータセットとして(当社調べ)
*2:複数種類のセンサを同期させて計測し、作成したデータ
*3:データに対して人によって付与された意味情報

プレスリリースサイト(panasonic):
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2020/10/jn201015-1/jn201015-1.html

MOTION LIB、模型用小型モータで力触覚を伝送する技術を提供

モーションリブ(株)は、 汎用力触覚ICチップ「AbcCore」により、低価格な模型用小型モータ使って力触覚を伝送をする技術を開発した。

リアルハプティクス(※1)による力触覚を有する遠隔操作は、人間が入れない危険環境の作業代行や、職人による官能検査、あるいは製造・保守業務のリモート化など、産業用途において幅広く活用検証が進んでいる。しかしながら、これまでリアルハプティクスを適用した装置を構築するためには、高価格なサーボモータが必要となり、装置製作が高コストになる傾向にあった。
今回開発した技術(以下、本技術)を利用することで、低価格な模型用小型モータを活用できるため、力触覚を有する装置を低コストに構築することが可能となる。これにより、目下応用研究開発が大きく進んでいる産業分野にとどまらず、家電・ホビー・エンターテイメントなど幅広い⺠生分野においても、低価格な普及型製品への適用可能性が広がるという。

なお、本技術は模型用小型モータの力触覚制御をベースとしているため、モータ2台を使った力触覚伝送はもとより、モータ単体を使った力加減の計測・制御についても利用可能。
本技術は、リアルハプティクス技術協議会(※2)の加盟企業との共同研究開発の中で提供を開始するとのこと。

※1 リアルハプティクスとは、慶應義塾大学で発明された、アクチュエータの力加減を自在に制御することができる技術。この技術により、力センサレスで力触覚を伴う「計測可視化・分析」「遠隔操作」「ロボット自動化」「感触の再現・VR」が可能となる。
※2 リアルハプティクス技術協議会:リアルハプティクスを利用し、新たなビジネスの立ち上げ及び促進を目的とし、慶應義塾大学が運営する産学連携の協議会。

プレスリリースサイト(motionlib):https://www.motionlib.com/assets/press/PR20200005.pdf

シュトゥットガルト空港、ドライバーレスの完全自動駐車の受け入れ準備を推進

ボッシュ、メルセデス・ベンツ、および駐車場運営会社のApcoaは、将来、シュトゥットガルト空港にドライバーレスの完全自動駐車システムを導入し、自動駐車を通じて空港におけるストレス軽減に貢献したいと考えている。そのため、ボッシュとメルセデス・ベンツは共同開発を進める自動バレーパーキング(AVP)システムを営業運用に向けて整備する。

新型のメルセデス・ベンツSクラスは、将来のインフラ協調のAVPに必要な技術を備える世界初の量産車として、すでにAVPに対応している。利用者は、Sクラスの車がスマートフォンのコマンドを受信し、予約済みの駐車スペースに車両が自動的に進むことを可能にする同社のシステム「インテリジェントパークパイロット(INTELLIGENT PARK PILOT)」に対応する車両側の設定をオプションとして購入することができるとのこと。

自動駐車サービスの商用化に向けたパイロットテストは、シュトゥットガルト空港のP6駐車場にて実施する。ここでは、Sクラスに搭載された車両技術が、ボッシュのインテリジェントなインフラおよび駐車場運営会社のApcoaが提供するデジタルプラットフォームAPCOA FLOWとどのように連携するのかを、全社がテストする予定。このプラットフォームにより、駐車プロセス全体がチケットレスかつキャッシュレスとなる。 現在、空港の駐車場では、自動バレーパーキングサービス計画のパイロットテストに向けて準備が進められている。シュトゥットガルト空港での新型Sクラスを用いたパイロットテストを通じて、車両、インフラ技術、および駐車場運営会社の間の連携が円滑に行われ、利用者のために最適化されているかを確認するという。

プレスリリースサイト(bosch):https://www.bosch.co.jp/press/group-2010-02/