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2020年度「しずおか自動運転Show CASEプロジェクト」実証実験に参加

アイサンテクノロジー(株)は、2020年度「しずおか自動運転Show CASEプロジェクト」において、静岡県賀茂郡松崎町にて実施される自動運転実証実験に参加する。

【実証の目的】
西伊豆沿岸地域は鉄道がなく、移動手段はバスと自家用車のみとなっており、静岡県内においては過疎化・高齢化が進んでいる地域となる。現在は町自主運行バスが毎時1本程度の割合で運行しているが、乗務員不足等の問題で継続運行が困難となっている。 今回の実証実験を通じて、生活拠点と集落をつなぐ運行により過疎地域における生活環境の改善と、新たなライフスタイルを補完する自動運転走行による安全な移動サービスの実現の可能性を検証するという。

【実証実験の内容】
・乗用車タイプによる、自動運転(LV2)による自動走行の実施
・対向車の情報を車両に提供し、運行車両情報との連動を検証
・道路地物の情報(樹木、電柱、ガードレール等)を地図情報に搭載し、車両の円滑な運行を検証
・車内にモニター等を設置し、センサ情報や高精度3次元地図の状況等を映し、自動運転の見える化を検証

【使用車両】
 レクサスRX
【実施スケジュール】
 2020年11月17日(月)~11月20日(金)4日間のテスト走行
 2020年11月24日(火)~12月4日(土)10日間の自動走行 ※2020年11月29日(日)は運休日

【実施内容及び役割】  ※画像参照
 ※アイサンテクノロジーはダイナミックマップ基盤(株)の委託先として参画
 (株)ティアフォー、損害保険ジャパン(株)はアイサンの委託先として参画

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000050415.html

ON Semi、エネルギー効率を重視するモータ開発キットを発表

オン・セミコンダクターは、1kW未満から10kWを超えるアプリケーションに向けて、より効率的なモータ制御ソリューション開発を促進する、先進的で柔軟なモータ開発キットを発表した。

先進国が発電・消費する電力の半分以上を占めるのが電気モータ。これらの大部分はAC誘導モータであり、平均効率はわずか44% である。効率を向上させるために、モータドライブの設計者は、これらのタイプや他のタイプのモータがすべての負荷条件下でどのように動作するかを理解し、変動する条件をインテリジェントに補正する必要がある。オン・セミコンダクターのモータ開発キットは、エネルギー使用の改善における緊急のニーズに対応するという。

このモータ開発キット(Motor Development Kit、MDK)は、ユニバーサルコントローラボード(Universal Controller Board、UCB)に接続される、数多くのパワーボードの1つで構成される。パワーボードは、高圧集積モジュールから低圧ディスクリートMOSFETまで、オン・セミコンダクターのさまざまなモータ駆動用インバーターソリューションを具現化している。UCBは、任意のパワーボードとインタフェースする共通の制御プラットフォームで、さまざまなタイプのモータ、およびさまざまな出力レベルでの代替のモータ制御技術を評価できるとのこと。

インテリジェントなモータ制御には、柔軟でプログラマブルな手法が必要である。UCBは、ザイリンクス社(Xilinx,Inc.)のZynq®-7000SoCファミリをベースとしている。この強力なデバイスは、2つのArm® Cortex™-A9プロセッサコアとFPGAファブリックを集積し、ソフトウェアとハードウェア構成の最適な組み合わせを提供する。また、このボードには、10チャネルの差動ADC、12のPWMチャネル、および構成可能な多数のデジタルペリフェラルが搭載されている。通信ポートには、USB、JTAG、UART、ギガビットイーサネットPHYなどがある。

効率的なモータ制御は、オン・セミコンダクターが最も注力する分野の一つ。同社は、豊富な経験とディスクリートデバイス、インテリジェントパワーモジュール(Intelligent Power Module、IPM)、トランスファーモールドパワーインテグレーテッドモジュール(Transfer Mold Power Integrate Module、TM PIM)の大きなポートフォリオを生かすことで、効率を向上させている。MDKは、その専門知識と技術を結集して、電気モータを利用するあらゆるアプリケーションで、より優れたエネルギー効率を実現するソリューションの迅速な開発を可能にするという。

オン・セミコンダクターのMDKは、可変速モータ・インバータソリューションを評価するための「すぐに使える」エクスペリエンスを提供する。これを可能にするためにMDKはモジュール型エコシステムとして構成されおり、それにはUCBと、クラス最高のパワーコンポーネントを使用して開発された多数のパワー評価ボードが含まれている。ソフトウェア開発のサポートは、Vivado® Design Suite for High-Level Synthesisという形態でザイリンクス社から提供される。UCBは、ザイリンクス社のオープンソースプロジェクトであるPYNQを介しPythonを使用してプログラムすることもできるとのこと。

MDKは現在、2つのモータパワーボードをサポートしている。ひとつは、最大1kWのモータ駆動に適したSECO-1KW-MCTRL-GEVB、もうひとつは最大4kWのモータ駆動に適したSECO-MDK-4KW-65SMP31-GEVB。これらのパワーボードはいずれもオン・セミコンダクターのIPM技術を利用しており、2020年第4四半期に利用可能になる。オン・セミコンダクターのTM PIMテクノロジーを用いた、最大10kWのモータを駆動するように設計されたモータパワーボードは、2021年第1四半期に販売予定。今後さらなるパワーボードと拡張された設計サポートがMDKエコシステムに追加される計画だとしている。

プレスリリースサイト(onsemiconductor):
https://www.onsemi.jp/PowerSolutions/newsItem.do?article=1000825

新型コロナウイルス迅速抗体検査キット 研究用として発売

ロシュ・ダイアグノスティックス(株)は専用の装置を使わずに、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のIgG抗体およびIgM抗体を同時に検出する研究用試薬「SARS-CoV-2 Rapid Antibody Test RUO」を2020年11月12日に日本で発売すると発表した。

「SARS-CoV-2 Rapid Antibody Test RUO」は、指先などから採取した少量(20μL)の血液を用いて血中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のIgG抗体、IgM抗体を同時に検出する研究用試薬。専用の装置は必要なく、約10分で結果が得られる。IgG抗体とIgM抗体、それぞれの抗体の有無について識別したい場合や、静脈採血が困難な場合での使用が期待できる。本品はロシュが世界的な販売代理店契約を締結している SD Biosensor Inc.(SDバイオセンサー)との提携によるもので、2020年7月28日にCEマーク対象地域で発売されたとのこと。

〔製品概要〕
(1)製品名
 SARS-CoV-2 Rapid Antibody Test RUO

(2)特徴
・イムノクロマト法により新型コロナウイルスのIgG抗体、およびIgM抗体を検出する。
・専用の測定装置は不要。血液をキットに滴下すれば10分後に結果が得られる。
・指先などから採取した毛細管全血(20μL)のほか、血清、血漿(それぞれ10μL)も使用可能。

〔SDバイオセンサーについて〕
 SDバイオセンサーは、革新的な技術を駆使した体外診断用製品を提供している企業。2010年に設立され、血糖値、糖化ヘモグロビン、コレステロールの診断薬の販売をグローバルに展開しているという。

プレスリリースサイト(roche-diagnostics):
https://www.roche-diagnostics.jp/ja/media/releases/2020_11_11.html

小型レーザー距離計「M3」【距離・面積・体積・ピタゴラス測定】をGLOTURE.JPで販売

(株)Glotureは、小型レーザー距離計「M3」を自社のECサイト(GLOTURE.JP)にて2020年11月10日より販売開始する。

【自由自在に測れる レーザー距離計「M3」】
レーザー距離計「M3」は高性能センサーを内蔵し、長さ、面積、体積、水平角度測定など、さまざまな用途の測定に最適。充電式でわずか25gと軽量。ポケットに入れて持ち運びできる。

● 2点間の距離、長さ測定(部屋の縦横の長さなど)
● 複雑な計算なしで面積・体積を測定できる
● 巻尺を使わなくても子どもの背丈を測定できる
● 200MaHバッテリーで一回充電すれば一年間使用可能
● 測定範囲0.05–40m 誤差±2mm
● 暗闇でも見やすいOLEDディスプレイ
● 僅か25gでポケットに入れて持ち運べる

販売価格(全て税別表記) ¥5,980

製品サイト(gloture): https://gloture.jp/products/m3-laser

電動工具の開発を簡略化するプラグ・アンド・プレイ型のBLDCモータ制御用開発ボード

STマイクロエレクトロニクスは、リチウムイオン・バッテリ(最大56V)で動作するプラグ・アンド・プレイ型の3相ブラシレスDC(BLDC)モータ制御用開発ボード「STEVAL-PTOOL1V1」および「STEVAL-PTOOL2V1」を発表した。
これらの製品は、家庭用 / ガーデニング用のコードレス電動工具の開発に貢献するという。

「STEVAL-PTOOL1V1」および「STEVAL-PTOOL2V1」は、STの高集積3相BLDCモータ・コントローラ「STSPIN32」をベースにしており、小型、低スタンバイ電流をはじめ、電動工具で求められる要件に対応する。ロータ位置検出のためのホールセンサを使用した120度通電ファームウェアも提供されるため、トルク・リップルを抑えて電力効率を最適化することもできるという。

STEVAL-PTOOL1V1は、2セル(7.4V)から6セル(22.2V)までのリチウムイオン・バッテリ・パックで駆動する工具に対応し、70 x 30mmの基板面積で最大15Aの連続駆動電流を実現する。スタンバイ電流は1µA未満。このボードの心臓部には、STの3相BLDCモータ・コントローラ「STSPIN32F0B」が使用されており、32bitマイクロコントローラ(マイコン)STM32F0*、3相ハーフブリッジ・ゲート・ドライバ、電圧レギュレータ(12Vおよび3.3V)、電流センス・アンプに加え、調整可能な過電流保護(OCP)や貫通電流保護、減電圧ロックアウト(UVLO)などといったパワー段の保護機能が搭載されている。
STEVAL-PTOOL1V1のパワー段には、STの60V Nチャネル・パワーMOSFET「STripFET F7」が採用されている。

STEVAL-PTOOL2V1は、8セル(29.6V)から15セル(55.5V)までのバッテリ・サイズに対応し、最大19Aの連続駆動電流を実現可能。STの3相BLDCモータ・コントローラ「STSPIN32F0252」で制御され、3相250Vゲート・ドライバ、STM32F0*マイコン、コンパレータを搭載し、高速かつ柔軟性に優れたOCP機能を提供する。堅牢な設計のSTSPIN32F0252は、出力ピンが-120Vまでの負電圧スパイクに対する耐性を持っているため、電動工具の信頼性の向上に貢献する。STEVAL-PTOOL2V1は、バス電圧検出機能を内蔵し、基板面積は77 x 54mm。パワー段には、STの80V Nチャネル・パワーMOSFET STripFET F7が採用されている。

両製品ともに、速度調整用のポテンショメータ、トリガおよび回転方向設定用の入力、サーマル・シャットダウン、パワー段出力の逆バイアス防止用の保護機能が搭載されています。また、冷却装置を実装済み。

また、コードレス電動工具だけでなく、1シャント制御による3相BLDCモータを搭載するあらゆるバッテリ駆動機器に使用可能。

STEVAL-PTOOL1V1は約41.00ドル、STEVAL-PTOOL2V1は約69.00ドルで入手可能。STEVAL-PTOOL1V1用のファームウェア「STSW-PTOOL1」と、STEVAL-PTOOL2V1用のファームウェア「STSW-PTOOL2」は、ウェブサイトから無償でダウンロードできるという。( https://www.st.com/ja/motor-drivers.html )

* STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標。STM32は米国特許商標庁に登録されている。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001102.000001337.html

-90℃までリアルタイムにモニタリング可能な露点計を新たにラインナップ

 ボールウェーブ(株)は顧客よりご要望の高かったミドルレンジの微量水分計を新たにラインナップに加えた。FalconTrace Platinum(FT-400WT)は露点 -90℃(0.1ppmv)まで測定可能で、低露点からの微量水分の上昇を1秒で測定できる高速応答性を有す。これまで測定が難しかった産業ガス中の水分子量が短時間に変化する様子を、インラインでリアルタイムに把握することができるようになった。品質モニタリングツールとして製品開発や製造に役立てて頂きたいとしている。

 半導体デバイスの急速な高集積化・微細化に伴って、製造工程で使用される材料ガスの残量水分を1ppmv以下に抑える事が要求されている。 しかし、これまでの微量水分計は応答速度が遅く製造ラインの品質管理には不十分だった。
 FalconTrace Platinumはボールウェーブのコアテクノロジーである「ボールSAWセンサ※1」を用いた微量水分計。ボールSAWセンサは、これまでの物理学の常識を超えた球上のSAW の長距離伝搬現象を利用した高速・ 高感度なガスセンサであり、センサ本体が直径 3.3mmの小さな水晶球であるため、半導体製造ライン、リチウムイオン電池製造ラインなどに容易に導入することができる。またセンサ本体の応答速度が速くセンサセルの体積も小さいため、水分量の変動にも1秒以内で反応し正しい値をモニタすることができるとのこと。

 微量水分計「FalconTraceシリーズ」は、ppmv(100万分の1)からppbv(10億分の1)オーダーの微量水分が計測可能。高速・高性能版「FalconTrace」と、小型で製造工程に容易に導入可能な「FalconTrace mini」の二製品に加えて、今回新たにミドルレンジモデルとなる「FalconTrace Platinum」をラインナップして、産業ガス、半導体製造装置およびリチウムイオン電池メーカー等、様々な製造業に対して受注を開始したという。

※1 球状弾性表面波(SAW: Surface Acoustic Wave)を用いたセンサ

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000038635.html

AIが交差点におけるヒヤリハット度を算出、 金沢モデルの安心安全対策の構築を目指す

金沢工業大学工学部情報工学科 中沢実教授の研究室では、AIセンサーの社会実証実験を令和2年11月10日(火)7時00分から8時00分まで、金沢市内の四十万町交差点で行う。

中沢実研究室では2019年度より金沢市市民生活AI技術等促進事業の一環で、「市民の安全安心を提供する画像・音声認識を用いたAIセンサーシステム」の開発と実証実験に取組んでいる。

当システムは、最先端のAI技術を活用した画像認識技術と音響認識技術をマイコンに搭載したAIセンサユニットからなる。自動車やトラック、バス、バイク、自転車、人をリアルタイムに捉えることができるほか、エンジン音やブレーキ音、子供の声などの音がどの場所からどの音が生じているか把握することが可能。
(画像:画像認識では自動車などをリアルタイムに捉えることが可能)

画像認識を用いて車の交差点への進入速度と退出速度、車間距離を計測し、音響認識により急ブレーキやエンジン音の変化と方向を認識することで、交差点におけるヒヤリハット度の算出を目指す。

児童の登下校時は、地域の方々のボランティアによるスクールサポート隊が交差点等に立ち、児童を守る活動が行われているが、高齢化が喫緊の課題として指摘されている。

自身もスクールサポート隊の一員として活動する中沢教授は「交差点におけるトラブルが全国的に頻発する中、AIを使った金沢モデルの安心安全対策を構築し、提供していければうれしい」と語っているとのこと。
当実証実験は(株)日本海コンサルタントの協力のもと、実施するという。

ニュースサイト(下野新聞):https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/380538

オールインワン、マルチゾーン対応のダイレクトToF測距センサを発表

 STマイクロエレクトロニクスは、ToF(Time-of-Flight)測距センサ「FlightSense™」に、世界初の64ゾーン対応製品である「VL53L5」を追加した。同製品は、シーンを個別のエリアに分割することで、イメージング・システムにおいてきわめて高度な空間認識を実現するという。

 VL53L5は、940nm垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emission Laser)光源、VCSELドライバを集積したシステム・オン・チップ(SoC)、単一光子アバランシェ・ダイオード(SPAD:Single Photon Avalanche Diode)の受光アレイ、低消費電力32bitマイクロコントローラ、および先進的なファームウェアを実行できるアクセラレータで構成されている。また、STのすべての FlightSense ToF測距センサと同様にクラス1認証を取得しているため、コンスーマ機器において目の安全を確保しつつ、搭載することができる。
小型モジュールとして提供されるVL53L5は、受信開口部にある光学素子が64の測距ゾーンを形成し、さまざまな新機能やユース・ケースを実現するとのこと。

 FlightSenseファミリのToF測距センサには、垂直統合型の製造モデルが採用されている。最先端の12インチ・ウェハ工場(フランス、クロル)において独自の40nmシリコン・プロセスでSPADウェハを製造し、アジアの自社工場(後工程)で全ての組み立てを行う。この製造アプローチを通じて、きわめて高い品質と信頼性を確保している。
 STのToF測距センサはこれまで、さまざまなスマートフォンやPCの主要プラットフォームに採用されてきた。そのため、VL53L5を用いて製品を開発する顧客は、STとプラットフォーム・サプライヤ各社の強力なパートナーシップを活用することができる。AndroidおよびWindows機器のドライバも、FlightSense製品向けに幅広く提供されている。VL53L5は現在量産中で、すでに数百万個がスマートフォンおよびコンピュータの主要メーカー向けに出荷されているという。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001099.000001337.html

ADAS/自動運転用センサの世界市場規模は2025年に2兆4千億円に成長

(株)矢野経済研究所は、ADAS/自動運転用キーデバイス・コンポーネントの世界市場の調査を実施し、ADAS/自動運転で搭載されているセンサの市場概況、技術動向、自動車部品メーカの搭載動向を分析した。ここでは、2025年までの世界市場規模をセンサ種類別に予測し、公表している。

1.市場概況
2019年におけるADAS(先進運転支援システム)/自動運転用センサの世界市場規模は、メーカ出荷金額ベースで1兆3,602億円に達しており、2017年から拡大基調が続いている。AEB(自動緊急ブレーキ)の標準搭載が日米欧各国で進んでおり、中国においても急速に搭載車種が増加している。このため、車両の前方を検知するレーダ(77GHzミリ波)やセンシングカメラの出荷数量が拡大しており、2019年におけるレーダの世界市場規模は4,608億円、カメラは8,086億円であった。
2020年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、世界の新車販売台数が大幅に落ち込むために、日米欧中各国のADAS搭載車両の市場規模も縮小し、特に減少幅が大きいのが欧州、米国で20%以上の落ち込みとなる見込みである。このため、2020年のADAS / 自動運転用センサの世界市場規模は、前年比18.3%減となる1兆1,112億円になると予測する。

2.注目トピック~センシングカメラの高機能・高性能化が進展
車両のフロントに搭載されて、前方を認識するセンシングカメラの高機能・高性能化が次のステージに入っている。2019~2020年にかけての注目されるトピックは「3眼カメラ」「CIS(CMOSイメージセンサ)の高画素化」の2点である。
3眼カメラは、2019年に市場投入された自動化レベル2+車両に採用されており、視野角(FOV)52度の標準カメラに、望遠カメラと広角カメラを1モジュール化したものである。望遠 / 広角カメラを追加することでカメラの検知範囲が格段に広がり、先行車両の加減速やカットイン(割り込み)、道路形状を、早めに認識することでスムースな加減速と自動操舵によるハンズオフを実現している。
※ハンズオフの作動条件に応じては、3眼カメラだけでなく、高精度地図やV2X(Vehicle to X)通信機能が必要である。
一方、CISの高画素化については、1.7MピクセルCISを採用したセンシングカメラの搭載が始まっている。従来の1.3Mピクセルから1.7Mピクセルにすることで、FOV52度から100度に広角化し、交差点におけるAEB(自動緊急ブレーキ)機能を実現している。さらに、2Mピクセルを搭載したステレオカメラの採用も始まり、今後は実現する運転支援機能や、車両セグメント / グレードに応じて、CISの高画素化とカメラタイプの使い分けが加速する見込みである。

3.将来展望
2025年のADAS / 自動運転用センサの世界市場規模は、メーカ出荷金額ベースで2兆4,808億円に成長すると予測する。2020年は新型コロナウイルスの影響を受けて、一時的に市場はマイナス成長となるが、2021年からは回復基調に戻り、2025年に向けてADAS装着率は日米両国が90%、欧州80%、中国で70%を超えるために、ADAS用レーダ、センシングカメラの出荷数量が堅調に推移する見通しである。
また、自動化レベル2+の搭載車両の拡大がセンサの市場規模拡大をけん引する。レベル2+の高速道路限定ハンズオフ(手放し)機能の採用が高級車を中心に始まっており、これから2023年にかけて主要自動車メーカにおいて市場投入が活発化する。 レベル2+ではハンズオフを実現するために、フロントに長距離レーダ、センシングカメラを配置するだけでなく、前後左右に短距離レーダを搭載してフロント/リアの検知範囲を広げている。このため、レベル2+搭載車両の拡大が、短距離レーダの出荷数量を押し上げることになる。2024~2025年にかけては、CMOSプロセスによる短距離レーダのコストダウンが進むために、レベル2+は低速ハンズオフを中心に中級車まで設定車種が拡大する見込みで、2025年におけるレーダの世界市場規模は8,505億円に達すると予測する。
(以上、矢野経済研究所)

ニュースサイト:https://newscollect.jp/article/?id=693311584484918369

弾性波フィルタとは何か-FBARやSMRをわかりやすく、詳しく解説(1)

東北大学 大学院
工学研究科ロボティクス専攻
教授 田中秀治

1. 最大のMEMS製品:BAWフィルタ

 フランスのエレクトロニクス市場・技術調査会社Yole Développmentが、毎年、MEMS売上企業ランキングを発表している。最近3年の首位は米・Broadcomである[1-3]。Broadcomの製造しているMEMSは、唯一、BAW(Bulk Acoustic Wave)フィルタである。最新の2019年のランキング[3]では、5位に米・Qorvo、19位に米・Qualcomm-RF360、21位に太陽誘電が入っているが、これらの企業のMEMS製品もほぼ全てBAWフィルタだと言ってよい。なお、この種の調査報告で「RF MEMS」と書かれているものは、ほぼ全てBAWフィルタである。BAWフィルタはMEMSとして聞き慣れないかもしれないが、押しも押されもせぬ最大のMEMS製品である。ここでは、このBAWフィルタについて説明しよう。

BAWフィルタがMEMSとして慣性センサや圧力センサほど知られていないのも無理はない。ここで私は(Yole Développmentもだが…)BAWフィルタをMEMSとして扱っているが、実はこれはMEMSコミュニティで発案、開発されたものではない。主に超音波コミュニティの貢献によるものだ。BAWデバイスが最初に発表されたのは1980年であり、本学の中村僖良先生ら、米・United Technologies Research CenterのThomas W. Grudkowski氏ら、および当時、米・University of Southern CaliforniaにいたKenneth Meade Lakin先生(2012年に他界)らから独立に発表された。ただ、中村先生のBAWデバイスは、センサイト・プロジェクト委員長である江刺正喜先生の支援があって試作されたことを付記しておこう。

2. FBARとSMR:2種類のBAWデバイス

上述の3つのグループにから最初に発表されたのは、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)と呼ばれるものである。図1 (a)に示すように、FBARは金属電極で挟まれた圧電膜が自己支持された構造を有し、膜厚方向に共振する。BAWデバイスにはもう1つ、図1 (b)に示すSMR(Solidly Mounted Resonator)と呼ばれるものがある。これは、金属電極で挟まれた圧電膜が膜厚方向に共振することは同じであるが、それが自己支持される代わりに音響ブラッグ反射器(音響インピーダンスの高い膜、低い膜を交互に積層したもの)で支えられている。ちなみに、Broadcomと太陽誘電はFBARを、QorvoとQualcomm-RF360はSMRを採用している。

図1 BAWデバイスの構成:(a) FBAR、(b) SMR

FBARは基板への振動エネルギーの漏れを抑制しやすく、Q値を高くしやすい。一方、SMRは基板への熱放散がしやすく(Txフィルタにはワット級のパワーが入る!)、また、微小隙間と脆弱な構造がないため、DFR(Dry Film Resist)を用いた低コストパッケージングが適用できる[4]。なお、DFR(Dry Film Resist)を用いたパッケージングはSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタにも適用されている。

3. BAWフィルタに求められる性能

BAW・SAWフィルタは、図2に示すように複数の共振子を梯子状に繋げて構成できる。これはいわゆるラダーフィルタと呼ばれるものである。とにかくフィルタであるから、通したい周波数域ではできるだけ損失(挿入損失)が少なく、それ以外では信号をできるだけ通さない(減衰量が大きい)方がよい。挿入損失と減衰量は原理的に共振子の性能による。図2を見ればわかるように、共振子の共振時と反共振時のインピーダンスの比(インピーダンス比)が大きいと、良い特性のフィルタを実現できる。つまり、通すところと通さないところの差が大きい方がよいということである。インピーダンス比は、共振子のQ値をQ、電気機械結合係数をk2effとすると、r(k2eff Q)2と表されるから(比例係数rはFBARではr=(8/π2 )2)、k2effとQが大きい共振子が必要になる。

図2 BAWフィルタの構成と性能指標

その他の性能指標はどうだろうか。スマートフォンなどに用いられる通信用バンドの数は50を下らない。バンドによってその通過域の幅(バンド幅)が異なるが、図2からわかるようにバンド幅は、おおざっぱに言うと、共振と反共振の周波数差によって決まる。そして、共振と反共振の周波数差はk2effに比例するから、バンド幅に応じた適当なk2effが必要である。実際には、k2effが大き過ぎて困るというより、足りなくて困ることが多い。バンド幅の広いバンド、たとえば、5Gバンドのn77(3.3~4.2 GHz)、n78(3.3~3.8 GHz)、およびn79(4.4~5.0 GHz)では、弾性波デバイスだけでは足りない分をインダクタで補ってやらなければならない。もちろん、その分、性能は劣化する。

カットオフの急峻さも大事である。たとえば、バンド2はTx(1.85~1.91 GHz)とRx(1.93~1.96 GHz)の間の余裕(ガードバンド)はたった20 MHzしかない。ガードバンドが狭いPCSバンド2とバンド3は、1990年代、実用化されたばかりのFBARフィルタの応用先に最適で、FBARの躍進をもたらした。バンド25(1.85~1.995 GHz)に至っては、ガードバンドは15 MHzしかない。そして、カットオフ急峻さを決めているのはQ値である。

4. BAW共振子の性能指標

以上のことから、まず、BAW・SAW共振子のk2effQを高くできればよいということになる。BAW共振子に限って言えば、k2eff2は圧電薄膜の圧電性によって決まる。使われている圧電薄膜は最も一般的にはAlNであり、広めのバンド幅を要するときにはScAlNが用いられる。Scの量を増やしていくと、Al + Scに対するScの比が40%強に達するまで、圧電性は強くなる。現在、Sc 20%程度までは技術的に問題なく、Sc 30%程度の成膜もOrbotech-SPTSやEvatecの量産スパッタ装置で可能である。なお、ScAlNは産業技術総合研究所九州センターの秋山守人さんら、デンソーの加納一彦さん、勅使河原明彦さんらが見出した材料で、その特許はこの分野でとりわけ価値の大きいものとなっている。

一方、Q値は振動エネルギーの損失によって決まる。そもそもQ値は、蓄えられたエネルギーを周期毎に失われるエネルギーで割っものと定義される。FBARを考えると、振動膜は宙吊りにされているものの周囲で基板に支持されており、そこから振動エネルギーが漏れる。空中浮遊のマジックのようにはいかないからだ。これをアンカーロスと呼ぶ。今、仮にアンカーロスを十分に小さくできたとしよう。そのとき、振動膜の外周では振動エネルギー、つまり音響波が反射しているはずである。そうすると、反射波と進行波が干渉して、定在波が生じうる。その結果、図3に示すように、共振と反共振以外の不要なピーク(スプリアス応答)が生じる。図2からわかるように、スプリアス応答があると、それがフィルタ特性の乱れとして現れてしまう。

図3 FBARのスプリアス応答

次回に続く-

[1] 田中秀治, BroadcomをMEMS売上高トップにしたデバイスとは, 日経xTECH, 2018/07/09, https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/00727/

[2] 田中秀治, 2018年MEMS売上高ランキング、トップ30には日本の11社, 日経xTECH, 2019/6/14, https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/02364/

[3] 田中秀治, 2019年MEMS売上高ランキングTOP30、日本企業は9社に減少, 日経xTECH, 2020/9/1, https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04517/

[4] 田中秀治, MEMSのウエハーレベルパッケージングの基礎 第3回 スマホで激増のBAWフィルター、両面実装や2階建化が必須に, 日経xTECH, 2020/8/24, https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01267/00060/



【著者紹介】
田中 秀治(たなか しゅうじ)
東北大学 大学院工学研究科 ロボティクス専攻 教授

■略歴
1999年3月 東京大学大学院工学系研究科産業機械工学専攻博士課程修了
1999年4月 東北大学大学院工学研究科助手
2013年8月 同教授
2004年1月~2006年3月 JST研究開発戦略センターフェロー
IEEE Fellow 日本機械学会フェロー