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マクニカ「音声によるマイクロ・ロボットタクシー呼び出し」の社会実験実施

(株)マクニカは、PerceptIn Japan(同)(以下パーセプティン)、(株)コトバデザインと共同で、「音声によるマイクロ・ロボットタクシー呼び出し」の社会実験を、「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」にて実施する。

この「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ(平城宮跡PSC)」は、国土交通省の施策として、平城宮跡歴史公園(奈良県奈良市)で2019年より開始している。この社会実験の結果等を踏まえ、公園サービスの充実を目指し、自動運転の実⽤化へ向け、奈良や⽇本各地のまちづくりにおけるマイクロ・ロボットタクシーの社会実装に取り組むという。

昨年の「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」において、マクニカはパーセプティンと共同で、来場者の回遊性の促進やアトラクションとしての集客力の検証及び商用サービスを提供するための運用面や技術面の課題抽出を目的に、自動運転のモビリティ実証実験を実施した。その結果、社会実装に対する大きな期待が確認できた反面、いくつかの課題が明らかになった。
その⼀つは、路線バスのように時刻表に基づいて定められたルートを運⾏するのではなく、オンデマンドで利⽤できるモビリティサービスへのニーズが⼤きいものの、特にマイクロ・ロボットタクシーサービスのメインターゲットである⾼齢者にとって、スマートフォンのアプリでの呼び出し操作が難しいということ。そこでこの度、コトバデザインの対話エージェントとの⾃然な会話で、誰でもが簡単に呼び出しができる仕組みを開発し、社会実験を実施することになったとのこと。

■社会実験の概要
平城宮跡歴史公園の朱雀⾨ひろば(朱雀⼤路)に、病院やスーパーや駅などの仮想のスポットを設定し会話端末を設置。その会話端末と会話をすることによって、⾃動的にマイクロ・ロボットタクシー(macniCAR-01)が迎えに来る。呼び出した⽅が乗⾞し、⾞内のタッチパネルで認証を⾏うと、⾃動運転で指定した⽬的地に向かうという。

◇日  程 : 2021年1月28日(木)~2021年1月31日(日) 合計4日間
◇時  間 : 10時~15時 雨天の場合は中止となる場合あり
◇走行ルート: 平城宮跡地の朱雀門ひろば 大宮通り寄りスペース
◇自動運転車両: ⼆⼈乗りの超⼩型モビリティ「macniCAR-01」
(セイフティドライバーが同乗するので、試乗はお⼀⼈)
◇実施内容と検証:
・会話での呼び出しの体験価値(アンケート)
・⾃動で迎⾞を含む⾃動運転⾞の乗⾞体験の価値(アンケート)
・対話エージェントの認識精度

本社会実験について、同社では、自動運転実験車両「macniCAR-01」の提供及び同車両を活用した運行企画立案、運行管理並びに実験車両のオペレーションの役割を担い、パーセプティンは自動運転システム、コトバデザインはロボットを使用したAI会話端末との会話により車両を呼び出し目的地まで移動できる予約システムを提供する。
また、本実験を通して、マクニカは自動運転における運行面、技術面の課題を検証し、自動運転の実用化に向けて本地域に最適なソリューションサービスモデルの検討を関係者間で実施していくとしている。

ニュースリリースサイト(macnica):https://www.macnica.co.jp/business/maas/news/2021/135677/

凸版印刷とインフィック、センシング×AIで介護業務を支援

 凸版印刷(株)とインフィック(株)は、少子高齢化の進行により介護従事者が不足しているという社会課題に対して、センシングとAIを活用した介護業務支援システム「LASHIC+」(ラシクプラス)を開発。
2021年1月20日より販売を開始した。

 「LASHIC+」は、温度・人感等のセンシングが可能な簡易センサと、それらの取得情報を統合解析できるAIにより、プライバシーを保護した状態で施設入居者の行動を把握することが可能。また、取得したデータをAIが学習することで、施設入居者の普段とは異なる行動(異常行動)を検知し、介護従事者に向けてアラート発報をすることができる。これにより、個々人の入居者に合わせた必要十分なアラート発報による介護従事者の業務負荷を軽減する。また、入居者の状態を可視化することで生活スタイルなどの中長期的な変化の可視化を実現する。また本システムは、インフィックが展開する高齢者生活支援見守りプラットフォームLASHICと連携が可能とのこと。

 なお、本ソリューションは提供開始に先立ち、インフィックのグループ法人である(株)まごころ介護サービスの介護施設「まごころの家*馬渕(静岡県静岡市駿河区馬渕)」に導入されている。

▮開発の背景
 近年、少子高齢化の進行による介護需要が拡大しており、それに伴う介護従事者数の不足が喫緊の社会課題となっている。このような中で凸版印刷は、ICTを活用し介護業界の課題を解決することを目的とした、介護事業者・入居者(被介護者)・その家族の3者のコミュニケーションを円滑化する事業「トライアングルハート支援事業(以下 本事業)」を2017年度より推進。介護施設での実証実験等の実施によるデータ取得を実施してきた。
 このたび凸版印刷とインフィックは、本事業内のコアシステムとして、センシングとAIで介護業務を支援するシステム「LASHIC+」を開発。簡易センサによる情報取得とAI学習により、施設入居者個々人に合わせた異常行動を検知、介護従事者の業務負荷軽減に貢献するという。

▮「LASHIC+」の特長
・施設入居者のプライバシーを担保した状態で行動把握が可能
 「LASHIC+」は、温度・湿度・照度・人感・ドア開閉等を検知する簡易センサを利用した入居者の行動把握が可能なシステム。カメラ等の映像を取得する方法とは異なり、プライバシーを侵害することなく入居者の行動を正確に把握することができる。
・個々人に合わせた異常行動の検知が可能
 「LASHIC+」は、個人ごとに収集したセンシングデータをAIが学習することで、入居者一人ひとりにとっての異常状態を検知することが可能です。それにより、不必要・不十分なアラート発報による介護業務負荷を削減します。
・簡易にシステムの導入が可能
 「LASHIC+」で使用する簡易センサ群は、追加施工の必要なく、居室への後付けが可能。またセンサ設置後、特殊な作業の必要はなく、一定期間の自動データ取得により、個々人に合わせた異常行動を検出する。

▮価格
・初期導入費:27,000円~/部屋
・月額ライセンス費:4,200円~/部屋

▮今後の目標
 凸版印刷は、「LASHIC+」の展開を中心に、介護業界の課題を解決する「トライアングルハート支援事業」を推進する。また「LASHIC+」の特長である、簡易取り付け可能かつ安価なセンサの利用により、施設介護や地域包括ケアを見据えた在宅介護の領域へ展開を進め、2022年度までに関連受注を含め10億円の売り上げを目指すとしている。

ニュースリリースサイト(TOPPAN):https://www.toppan.co.jp/news/2021/01/newsrelease210120_1.html

ams、AEC-Q102およびISO26262準拠のVCSEL投光イルミネータを発表

amsは、TARA2000-AUT製品ファミリーに属する新しい自動車用VCSEL(垂直共振器面発光レーザ)投光イルミネータのプレリリースを発表した。
この製品は、業界で初めてAEC-Q102車載品質規格とISO26262機能安全規格の認証を取得する製品とのこと。

TARA2000-AUT製品は、自動車の次世代運転支援および自動運転技術をサポートする、2D NIR画像処理または3Dタイムオブフライトセンシングに基づいた新しい光学式インキャビンセンシング(ICS)システムに最適という。

運転中にドライバーが注意を払って運転しているかどうかを追跡するドライバー・モニタリング・システム(DMS)では、照明領域(Field of Illumination: FOI)全体に分布された高い光出力により、1台のTARA2000-AUTイルミネータで複数の低出力エミッタを置き換えることができる。これにより、自動車メーカーはスペースを節約し、部品数およびコストを削減できます。940nmを中心としたピーク光出力と非常に狭いスペクトル幅を持つTARA2000-AUTは、自動車メーカーが太陽光の干渉に対する高い耐性を容易に実現し、監視システムの性能と信頼性の向上を可能にするとのこと。

また、同製品は超広角FOI品も用意しており、ドライバーと同乗者の両者が使用するジェスチャーセンシングアプリケーションで優れた応答性を提供。広角FOIバージョンは、シートベルトを着用すべき同乗者を検知したり、ベビーシートや子供の同乗者の検知によりエアバッグの自動調整を可能にするなど、インキャビンモニターシステムにも適している。これらのシステムは駐車中の車内に残された子供やペット、物の検出にも役立つ。光学式インキャビンモニターの導入は、そういった深刻な危害に発展する可能性を防止することができるという。

■信頼できる統合型サプライチェーン
製品の主要な要素を第三者に依存することなく大量生産を可能にするamsのVCSELイルミネータの垂直統合型製造モデルは、自動車メーカーに信頼を提供する。TARA2000-AUTは、amsが自社で設計・製造するVCSELエミッタと、ams独自のマイクロレンズアレイ技術を採用して製造された光学ディフューザーを組み合わせたもので、すべてが1つのモジュールに統合されている。
VCSELエミッタの特性にマイクロオプティクスを適合させることで、イルミネータは長方形型の均一なビームを生成します。この厳密にコントロールされた照明プロファイルとFOIは、2Dおよび3Dシステムで使用されるIRイメージセンサの視野にマッチし、反射光信号の強度と完全性を向上させるとのこと。

■製品オプション範囲
TARA2000-AUTイルミネータ製品ファミリーには、2つの波長オプションがある。
・CMOSイメージセンサで最大感度を必要とするシステム向けの850nm
・太陽光による干渉と赤見えを回避するための940nm

選択する波長に基づき、TARA2000-AUTは超狭角、狭角、超広角のFOIが利用可能。 TARA2000-AUT投光イルミネータはサンプル注文できる。
詳細な技術情報やサンプルを希望の場合は、 https://ams.com/TARA2000-AUT を参照。

ニュースリリースサイト:https://www.dreamnews.jp/press/0000229779/

ウイルスに有効な深紫外線LEDを搭載した大型空気清浄機販売開始

ナイトライド・セミコンダクター(株)は、令和3年2月上旬より、適用面積90平方メートルで、病院やホテルのロビー、劇場、ライブハウス等の大空間で使用できる、大型UV除菌消臭器LEDPURE (エル・イー・ディ ピュア)AF1(エー・エフ・ワン)の販売を開始する。
※LEDPURE™は、紫外線UV-LEDによる、除菌、消臭、蚊取りといった機能を表す登録商標。

この度発売するUV除菌消臭器LEDPURE AF1は、好評を博しているLEDPURE UV除菌消臭器シリーズの機能を大幅に高めたもので、花粉を除去するプレフィルター、PM2.5以下の超微細粒子を除去するHEPAフィルター、更に、臭いを分解する光触媒フィルターを大面積化した他、光触媒に照射してニオイの元を分解する波長365nmのUV-LEDを48灯、HEPAフィルターの表面に捕獲したウイルスに有効な波長275nmの深紫外UV-LEDを16灯搭載し、効果を大幅に高めた。
また、風量調整を強・中・弱、お休みモードの4段階とし、タイマーで運転時間を設定できるほか、ランプの点灯で、HEPAフィルターの交換時期を知らせる機能を追加した。

◆製品の主な特徴
1.高いウイルスへの効果
コロナウイルス229Eで効果を実証済の波長275nmの深紫外線UV-LEDを16個搭載し、HEPAフィルターで捕獲したウイルスに高い効果を発揮。

2.高い消臭能力
波長365nmのUV-LEDを48灯搭載し、光触媒フィルターに担持した二酸化チタンに照射することで、酸化力の強いOHラジカルを発生させ、ニオイの元を分解、消臭します。分解反応はフィルター表面で起きるため、オゾン、塩素等の人体に有害な物質をまき散らすことがなく、小さなお子供や妊婦、高齢者にも安全

3.風量調整機能
風量を強・中・弱、お休みモードの4段階に切り替えることができるので、おやすみの時は弱、即座に対応したいときは、強と言ったように、状況に合わせて、使い分けることができる。これ1台で90㎡のお部屋に適用。(但し、部屋の状況による)

4.フィルター交換時期をお知らせ
HEPAフィルターの交換時期をランプが点灯して教えてくれる。

5.キャスターで移動も楽々
幅380mm×奥行380mm×高さ853mmと大型で、重量は18.5kgだが、キャスター付きで、押して楽々移動できる。(ストッパー機能付き)

6.低消費電力で薬剤詰め替え不要
UV-LED方式なので、消費電力は180Wと低消費電力で、薬剤の詰め替えも不要、1日24時間使用時の電気代は、116.64円/日と大変経済的。

7.販売ルートと価格
弊社LEDPURE専用サイト若しくは、アマゾンショップに於いて販売。
希望小売価格:180.000円(税別)
年間販売目標数量: 1万台

8.参考URL
LEDPURE™は、神奈川県医師会のホームページに於いて、安全、安心な方法として紹介されている。
ナイトライド・セミコンダクター株式会社 http://www.nitride.co.jp
LEDPURE専用サイト http://www.ledpure.jp
かながわコロナ通信 | 公益社団法人神奈川県医師会
​正しい感染対策をしていますか? http://kanagawa-med.or.jp

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000030186.html

新日本無線、多摩川精機と共同開発の車載対応レゾルバ励磁アンプ NJU7870 サンプル配布

新日本無線(株)は、ハイブリッド自動車や電気自動車等で用いられるモータ軸や回転シャフトの角度検出センサであるレゾルバ励磁回路の設計容易化、実装基板やECU※1の小型化、軽量化及び信頼性の向上を実現する、低電圧駆動向けレゾルバ励磁用アンプ NJU7870のサンプル配布を開始した。
※1 ECU : Electronic Control Unit(電子制御ユニット)

概要
 ハイブリッド車や電気自動車など環境対応車に必要不可欠な駆動モータは、高精度な角度検出や高い安全性が求められ、モータ軸や回転シャフトの角度検出センサであるレゾルバが中核的な役割を果たす。このレゾルバシステムには、レゾルバとレゾルバ信号をデジタル信号に変換するR/Dコンバータ、レゾルバに励磁信号を出す励磁回路が必要となる。
 新日本無線は、レゾルバ・R/Dコンバータでの圧倒的な高シェアで市場実績のある多摩川精機(株)と共同開発を行い、高機能なレゾルバシステムとして成立するレゾルバ励磁用アンプNJU7870を開発したとのこと。

特長
1. レゾルバ励磁に最適化された、電圧入力、電流出力の励磁回路により設計の手間を激減
 従来のディスクリート構成にて電圧入力・電流出力(電流制御方式)の励磁回路を構成する際、レゾルバはL負荷であることから回路設計の複雑度が増し、簡易的な手計算と実測が合わない等の課題があり、所望の特性を得るために設計労力を必要とした。
 NJU7870は、差動電圧入力、差動電流出力の励磁回路を集積化し、レゾルバ駆動に最適な回路特性を実現。
 所望の電流振幅に応じた差動電圧信号を入力するだけの非常にシンプルな使い勝手の良いICに仕上げており、従来のディスクリート回路設計での課題であった設計工数の大幅な削減に貢献する。

2. 励磁回路を2回路搭載する事により、広範囲のレゾルバシステムに対応
 さらに、NJU7870は差動電圧入力・差動電流出力回路を2回路搭載しています。各回路の遮断を外部より制御可能とし、1相励磁や2相励磁方式等、各種レゾルバ方式との組合せが可能となる。
 また、ディスクリート構成では実現困難な各相の高精度な特性マッチングを実現し、2相励磁方式のレゾルバシステムにおいて、モータの角度検出の高性能化に貢献する。

3. 小型パッケージSSOP16に集積化し、最小の外付け部品により基板の小型化を実現
 NJU7870は小型パッケージSSOP16に搭載し、外付け部品点数は電源端子に接続するコンデンサのみ。従来のディクリート回路構成よりも大幅な実装面積の縮小化に貢献する。
(従来のディクリート回路構成より90%削減:新日本無線調べ)

製品機能
・動作電圧 (2.4V to 5.5V)
・差動電圧入力・差動電流出力
・トランスコンダクタンス (13.5mAP/VPP typ.)
・動作温度範囲 (Topr= -40ºC to +125ºC)
・消費電流 (4mA typ.)
・サーマルシャットダウン回路内蔵
・外部制御シャットダウン機能搭載
・外形 (SSOP16)

アプリケーション
 角度検出センサ(レゾルバ励磁)

サンプル/生産予定
・サンプル配布中
・生産2021年4月より量産予定

ニュースリリースサイト(新日本無線):https://www.njr.co.jp/news/2021/semi_20210118-NJU7870.html

光ファイバセンサ技術の概要と研究動向(2)

東京工業大学
科学技術創成研究院
教授 中村 健太郎

3.光ファイバセンサの研究動向

光ファイバセンサの研究動向を学術文献の発行件数から見てみよう。以後示すデータは、2020年11月末に文献データベースWeb of Scienceで筆者が検索したものである。まず、’fiber sensor’を検索語にして5年間毎の発行論文数を調べた結果が図5である。

図5 5年間毎の光ファイバセンサ関連論文の発行数

検索語を’optical fiber sensor’としても、総数は減るが、傾向は変わらなかった。1990年代から増え始め、現在でも増加が止まらない様子がみてとれる。図中には、1971年から2020年までの総論文数のテーマ別内訳を円グラフで示した。FBGセンサが半数を占めることがわかる。ブリルアンセンサ、ラマンセンサ、DASが同数程度ずつある。ジャイロに関する論文も同じくらいの数である。これらのテーマ毎に5年間毎の論文数をみてみたのが図6である。

図6 テーマ毎の論文数の推移

テーマの流行りすたりがあると予測したが、結果はどれもほぼ同様に伸びていることがわかった。よく見ると、ジャイロは1996~2000年に小さなピークがある。ジャイロとハイドロホンは1970年代後半から論文が出ているが、その他のものは1990年まではほぼ0である。続いて、被測定量毎の論文数を整理したものが図7である。縦軸の単語を含む1976~2020年の論文の総数として表している。温度が最も多く、次いでひずみである。圧力、化学量、ガスも一定数あることがわかる。
なお、以上の調査は、センシング手法の名称(FBG等)や被測定量の単語(Strainなど)を検索語として検索した結果なので、必ずしもそれが論文の主題になっていたかどうかは判別できていないことに注意して頂きたい。

図7 被測定量毎の論文数

国ごとの論文数を調べることはしなかったが、実感として、ここ10年間の中国からの論文が急増している。光ファイバセンサはいくつかの国際会議のテーマとなっているが、光ファイバセンサに特化された最も権威があって歴史も長いのが、International Conference on Optical Fiber Sensors(通称OFS)である。表1のとおり、1983年の第1回(ロンドンで開催)から今日まで続いており、規模が年々拡大している。2018年秋に第26回がスイス・ローザンヌで開催され、参加者数600名、論文数371であった。企業展示も30件程度と盛況であった。中国からの参加者や論文が多いが、英国、ドイツなど欧州勢も堅調であり、企業展示には欧州のベンチャー会社が多かった。風力発電、鉄道などへの応用があるようである。2020年6月に第27回が米国で開催予定であったがCOVID-19のために延期されている。現在のところ、2022年秋には日本で開催される予定である。

表1 光ファイバセンサ国際会議(OFS)の開催状況5-6)

4.まとめと展望

光ファイバセンサはその特徴を生かして土木用途を中心に利用が広がりつつあるが、実応用のためには、目的に応じた光ファイバの敷設方法の開発、解析装置の低コスト化が課題である。土木応用に加えて、高層建物への応用も期待される。土木・建築インフラ、プラント、工場の管理目的では、センサから時々刻々吐き出される大量のセンシングデータの処理・管理方法も課題である。曲げ分布の正確な測定ができるようになると、配管メインテナンスや内視鏡への応用の道が開けると考えられる。10 m以下の長さの応用には、自動車、機械の開発現場での潜在的需要があるが、それぞれ個別に追加の技術開発が必要なことが多い。比較的ユーザーが増えている分野では標準規格化の動きが国内外である。多くの方に光ファイバセンサの特長を知っていただき、有意義な利用が広がることを期待している。

参考文献

5) 田中哲, OFS-25(第25回光ファイバセンサ国際会議)報告, 第59回光波センシング技術研究会講演論文集, LST59-17, pp. 115-120, 2017年.

6) 田中洋介, 第26回光ファイバセンサ国際会議(OFS-26)報告, 第62回光波センシング技術研究会講演論文集, LST62-17, pp. 125-131, 2018年.



【著者紹介】
中村 健太郎(なかむら けんたろう)
東京工業大学 科学技術創成研究院 教授

■略歴
1992年 東京工業大学大学院総合理工学研究科 博士課程修了 博士(工学)
同年 東京工業大学精密工業研究所 助手
同大学大学院総合理工学研究科・講師、精密工学研究所・助教授を経て2010年1月より同研究所・教授
2016年4月より現職
応用物理学会光波センシング技術研究会委員長 (2014~2016年)、日本音響学会会長(2015~2017年)、光ファイバセンシング振興協会理事長(2015年~)、 日本学術振興会フォトニクス情報システム第179委員会委員長 (2016年~)など

生産性・品質向上、設備保全の革新を実現する分布型光ファイバ温度センシング(2)

横河電機(株)
平井 剛

3. ベルトコンベアローラ異常早期検知(設備保全)

電力、鉄鋼、紙パ、自家発、IPPプラント等におけるバイオマスペレット、石炭、ウッドチップ等の搬送ベルトコンベアでは火災事故が頻発しており、広大な監視対象において火災発生場所の特定がリアルタイムで可能というその特徴から、当社の分布型光ファイバ温度センサを用いた火災検知システムの導入が多く行なわれてきている。
さらに近年では、ベルトコンベア火災が主にローラ故障からの異常発熱に起因するということに着目し、ローラ異常発熱の早期検知により、火災発生自体を防止するという考え方も広がり、ベルトコンベア設備保全の革新が進んでいる。
特にこのアプリケーションへの要求度が高いのは海外のマイニング市場である。第6図にあるように、国内とは比較にならない広大な敷地に超長距離を無人で運転するベルトコンベアがある。

第6図. 広大なマイニングエリアと超長距離ベルトコンベア

何らかの異常が確認され、現地に到着するまで長期間必要なエリアもあり、コンベアローラの異常により突発のラインストップは、数億円規模の売り上げや機会の損失につながる。また複数のマイニングエリアを所有する資源メジャーでは、DX化として設備状況を一括監視するだけではなく、どこからでも情報共有可能とすることで効率化が求められている。
これらの課題に当社DTSXシリーズは、コンベアローラの異常発熱を検知し、突発のラインストップを回避し売り上げ、機会損失を回避するだけでなく、あらかじめ修繕計画を立てられることで大幅なメンテナンスコスト削減が可能との評価を受けている。社内外で必要な情報を共有できるクラウド化にも対応するなど、当社の大型システムJOBの提案・遂行能力も高く評価されている。

第7図. マイニングコンベアのローラ異常検知導入例

仮にコンベアローラの発熱が100℃まで上昇した場合、これらローラへ非接触で得られる温度変化は5℃程度である。一般的な分布型光ファイバ温度センシングでは、測定器本体の周辺温度変化により測定結果が3~4℃程度ドリフトすることがあり、本事例のように5℃の温度変化の場合は、異常として捉えることができない。現実的には1℃程度の温度再現性が必要となるが、これを当社独自技術で実現をしている。例えば、DTSX本体の周囲温度に非常にセンシティブな光素子特性をハード、ソフトの両面で作りこみ補正を行い、またDTSX本体に内蔵された温度基準部のドリフト特性を補正している(特開2012-52952)。これによりDTSX本体の周辺温度が大きく変化しても、その影響が測定結果に出ないことから、膨大な数量のコンベアローラの設備保全に使用されている。第8図はDTSX本体の設置環境温度が-50~+70℃まで大きく変動(青破線)しているにもかかわらず、測定結果は1℃以内に収まっている(赤線)当社DTSXシリーズの実測データである。

第8図. DTSX本体の周辺温度変化と測定結果

これら独自技術を実現してきた背景は、製品の開発当初から石油・ガスの井戸内部温度測定のアプリケーションにおいて、1日の中でも温度変化の非常に大きい屋外の井戸付近にDTSXを設置し、井戸内部の温度測定を行ってきたことが挙げられる。顧客であるオイルメジャーからの著しく厳しい要求を満たすために、当社独自技術として上記技術を確立してきた。これら技術をベースに当社は数十~数万個/JOBのローラ異常発熱検知システムを当社客先に導入した実績を複数有している。

4. データセンタの設備保全

プラント以外にも、データセンタといった重要な施設への適用も広がっている。近年クラウドサービスの伸びに伴い、データセンタの建設が増加している。ITおよび通信分野に関する調査や分析を行っているIDC Japanが2020年7月に発表した、国内データセンタ事業者のデータセンタ投資予測によると、データセンタ建屋、電気設備、冷却システムなどの新増設の投資額調査によると、データセンタの新増設投資は2020年に急増し、それ以降も同程度の投資規模が継続する見込みとしている。
データセンタの要となるサーバには電源の安定的な供給が24時間365日必要とされており、その大容量の給電には、電源ケーブルではなく、バスバーと呼ばれる板状のアルミや銅を接続する手法で行われている。

第9図. 銅製バスバー

大電流の流れるバスバーを露出しての運用は危険なため、バスダクトと呼ばれるダクトに収納することで安全に運用が行われている。

第10図. 建屋内に施工されたバスダクト(提供:共同カイテック株式会社)

バスバーの接合部分が緩むことにより接触抵抗が増加し、事故に発展するケースもあり、その損失は非常に大きい。そのための接合部分の点検を実施しているケースが殆どである。しかし接合部分は例えば3~5mごとに存在するため、規模によるが一つの建屋内に1km程度のバスダクトが設置される場合、接合部分は単純計算で200~300か所となる。この膨大な接合部分の主な点検手法は、接合部分に温度で変化するシールを貼り付けておき、1年に1回の点検時に、シールの変色を目視確認し、その後に手書きで記録を残す方法や、点検者がハンディタイプのサーモカメラや放射温度計を手に持ちながら巡回する方法もある。前者の場合は点検者による見落としや記録の記載ミスの可能性や、後者の非接触方式は人により結果が異なることもある。両者に共通の点検の課題としては以下が挙げられる。①点検サイクルは1年に1回程度と長く、リアルタイムに定量的な監視データが取得できない。②天井裏などの環境も多く、点検作業そのものが危険で過酷である。つまり事故発生の代償は大きいが、その点検にも非常に多くの課題がある。
分布型光ファイバ温度センシングでは、バスダクトに光ファイバケーブルを敷設することで、バスダクト全長の温度分布をリアルタイムで監視することが可能となる。また電気を使用していないため、電磁ノイズの影響を受けず正確な温度監視が可能となる。それに加え上述の当社独自技術により、早期に細かな温度変化を捉えることで、万が一温度異常が発生した場合、発生場所を特定できるため、計画的な修繕、迅速な初動、点検負荷軽減といったメリットがある。
また、収集したデータは当社のデータロギングソフトウェア「GA10」を使用することで、工場内や敷地内に分散設置されているDTSXも含めたさまざまな機器とEthernetネットワークを介して接続し、監視・記録が可能となり、第11図のようにPCへの一元化により、今後益々増えるデータの監視・記録業務の効率化によりユーザの負担軽減に寄与している。

第11図. データロギングソフトウェアGA10

また、GA10では大量のデータをロギングしている運用中に、異常発生個所の位置や温度の情報がポップアップで表示される機能も搭載され、更には第12図のように、Eメールによりアラーム発生を通知できるので、仮に新型コロナ対策でオペレータを最小人数で運用し、オペレータが別件で席を外している場合でも、タイムリーな通知により迅速かつ確実な初動に貢献できる。

第12図. GA10のEメールによるアラーム送信

5. おわりに

本稿では、従来の防災対策に加え、生産性・品質向上、設備保全の革新に最適な分布型光ファイバ温度センシングDTSXシリーズとその適用事例を紹介した。市場から求められる技術的要求は、今後益々高くなると想定しており、今回その一部を紹介した当社独自技術を軸にさらなる高度化を図り、顧客価値を提供してゆく所存である。

参考文献

1) 足立, ”プラント活用が急速に広まる光ファイバ温度分布センサ”, 計測技術, Vol.42, No.12, 2014, pp.32-36

2) 佐藤, “プラント活用が急速に広まる光ファイバ温度センサとその実績例”, 計装, Vol.57, No.4, 2014, pp.59-64

3) 福澤, “光ファイバ温度分布センサ活用の新提案”,計測技術,Vol. 43,No. 2,2015,p. 43-47

4) 福澤, “高度活用が広がる光ファイバ温度センサDTSXのソリューション”, 横河技報

5) 大矢,福澤, “プラント設備の火災リスク対策に適した線形熱感知器”, 計測技術,

商標:
DTSXは横河電機式会社の登録商標である。
その他、本文中に使われている会社名、製品名は横河電機株式会社、および各会社の登録商標、または商標である。



【著者紹介】
平井 剛(ひらい つよし)
横河電機株式会社
IAプロダクト&サービス事業本部 インフォメーションテクノロジーセンター
ITC営業統括部 マネージャ

■略歴
2000年 横河電機株式会社 入社。主に光半導体事業に従事。
2012年 分布型光ファイバ温度センサ事業に異動、現在に至る。

持続可能な社会インフラを支える分布型光ファイバ歪みセンサ(2)

沖電気工業株式会社
小泉 健吾
(村井 仁、山口 徳郎)

4.IoT化に求められる分布型光ファイバセンサ

冒頭でも述べたように、持続可能な「長く使える社会インフラ」を実現するために、IoT×光ファイバセンサがその一助となることが期待されている。社会インフラに適用するセンサには、(1)長距離区間の連続的な計測、(2)大空間の3次元計測、(3)長期間のメンテナンスフリー、(4)過酷な条件下での耐環境性が求められる。これらの要件を全て満たすセンサとして、以前より光ファイバが有用であると考えられているが、より高度な管理体制を実現するためには、リアルタイム性と高分解能化の両方が求められていると言える。
しかしながら、前節で述べたようにブリルアン散乱光の計測方式には一長一短があり、リアルタイム性と高分解能を両立することは難しい。特に、測定時間はブリルアン散乱光を用いた測定では共通の課題だと言える。その理由は、ブリルアン散乱光が非常に微弱であるために平均化処理が必須であることと、BGSを測定するために周波数掃引の時間を要することが挙げられる。もちろん、複雑な計測方式を組み合わせ実現することは可能であるが、装置コストが増加するため、社会インフラを管理する立場からすると当然ながら好ましくない。
我々は、このリアルタイム性と高分解能を両立するために、自己遅延ヘテロダイン(ホモダイン)検波を採用した新方式のBOTDR装置を開発した4,5)。図4(a)に我々が開発したSDH-BOTDR(Self-delayed Heterodyne(Homodyne) BOTDR)の基本構成を示す。本方式の特長は、FUTからのブリルアン散乱光自身を自己遅延検波するという受信方法である。通常のBOTDRでは、BGSを測定する必要があるため、その測定時間は光パルスの繰り返し周波数、平均化回数、および周波数掃引回数によって決定される。これに対して本方式では、FUTからのブリルアン散乱光自身を自己遅延検波することよって周波数掃引時間を省略することに成功した。図5にSDH-BOTDRの測定イメージを示す。SDH-BOTDRでは、ブリルアン散乱光自身を2分岐して遅延検波することにより、ブリルアン散乱光の周波数変化がビート信号中の位相変化として観測される。この位相変化は位相比較により直接抽出できるため、周波数掃引を必要とせずにBFSを直接算出することが可能である。また、検波方法にはヘテロダイン型(図4(b))と、ホモダイン型(図4(c))の両方が適用可能である。
さらに、本方式は送信光パルスを狭窄化することで高分解能化にも寄与する。一般に、BOTDRでは空間分解能がパルス幅に依存しており、高分解能化にはパルス幅の狭窄化が最もシンプルな手法となる。しかし、通常のBOTDRではパルス幅の狭窄化に伴いBGSのスペクトル線幅が増大するため、ピーク値の判別が困難になり、測定精度の著しい劣化につながる。これに対して、本方式ではブリルアン散乱光自身を2分岐して干渉させることにより、パルス幅に依存しない位相情報の取得ができる。つまり、本方式では自己遅延検波を用いて高速化と高分解能化の両方を実現することが可能となる。

図4 自己遅延検波によるBOTDR
図5 SDH-BOTDRの測定イメージ

5.分布型光ファイバセンサのインフラモニタリング適用事例について

現在、我々はモニタリングシステム技術研究組合(RAIMS: Research Association for Infrastructure Monitoring System)に参画しており、最先端のモニタリングシステムの早期実用化を目指している。本研究は、内閣府のSIP/インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」の一環として国土交通省が実施する「社会インフラへのモニタリング技術の活用推進に関する技術研究開発」委託事業研究の成果である。RAIMSでは、インフラ管理の現状とモニタンリグ技術とを融合させるために、要求性能把握、システム化、劣化機構との対応検証、現場実証、基準化・標準化の提案などを行っている。本節では、RAIMSの実施している現場実証実験の一つである橋梁モニタリングについて紹介する6)
橋梁における分布計測では、歪み分布からひび割れの進行や橋梁全体のたわみを診ることができる。これらは橋梁の健全度を表す重要な指標であり、定期的にモニタリングを実施することで橋梁の健全度を定量的に評価することが可能となる。現在実施している橋梁モニタリングの計測対象は、既設の連続鋼鈑桁橋のプレキャストPC 床版の継目部である。このPC床版と継目部に対して図6に示すように光ファイバを敷設して、定期的に歪み量を測定しデータベース化するとともに、高速測定による動的評価も行っている。図7(a)は2019年11月から2020年8月までに測定した分布歪み波形を示している。グラフ中の矢印が継目部の位置であり、この位置での変化が重要となる。このような計測結果を収集し、データベース化することで、橋梁の劣化具合を把握し、診断への判断材料としている。また、図7(b)は歪み空間分布の変動履歴を表している。カラーバーは歪み量に対応しており、大型車両通過時に大きな歪みが生じた場合、継目部の歪み量が変化する。これにより動的な継目部の挙動を把握することができる。

図6 PC床版への光ファイバ敷設の模式図
図7 PC床版の分布光ファイバ歪み測定結果

6.おわりに

近年では、光ファイバセンサから取得される大量のデータを使ったAIの活用事例も増えてきており、社会インフラのIoT化が徐々に現実化してきている。しかしながら、社会インフラの状態を診断するために必要となるデータはまだまだ不足している。そのため、分布型光ファイバ歪みセンサによる大量のデータを蓄積し評価指標として精緻化していくことにより、劣化の原因や過程のより詳細な解析、さらには寿命予測の精度向上等、高度な管理体制に資するものと期待する。

参考文献

4) K. Koizumi et al., “High-speed distributed strain measurement using Brillouin optical time-domain reflectometry based-on self-delayed heterodyne detection,” ECOC2015, P.1.7 (2015).

5) K. Koizumi et al., “High-speed and high-spatial resolution BOTDR based-on self-delayed detection technique,” OFS-26, TuE17 (2018).

6) 岩村英志 他,“実橋梁における高速光ファイバーセンサーを用いたモニタリング技術活用の検討”土木学会第73回年次学術講演会,CS9-012 (2018).



【著者紹介】
小泉 健吾(こいずみ けんご)
沖電気工業株式会社 イノベーション推進センター センシング技術研究開発部

■略歴
2013年 東北大学大学院工学研究通信工学専攻 博士課程修了
2014年 沖電気工業㈱ 入社

その他、様々な光ファイバセンサ(2)

(株)レーザック
町島 祐一

3.  材料への埋め込み性…積層材料と光ファイバを一体化させたスマート材料

石英ガラス製光ファイバは直径0.2mm程度であり、強化プラスチック等の積層材への埋め込みによって構造材料とセンサを一体化させたスマート材料の成形が可能である。図8はコンポジット(CFRP;炭素繊維強化プラスチック)に光ファイバ歪みセンサを固着し、4点曲げ試験を行った様子である。対比的に配した歪みゲージとの相関性も確認されている。

図8 埋め込み光ファイバセンサの4点曲げ試験

【計測原理】
本計測で使用したFBG波長多重型(WDM;Wavelength Division Multiplexer)の計測原理を概説する。FBGを用いたWDMシステムの基本構成(図9)は反射光、透過光の両方を利用することができる。光源にはLED、SLD、ASEのような広帯域光源を利用する。構造モニタリングにFBGセンサを使用する場合、反射光を観測するシングル・エンド方式をとることが多い。

図9 FBG計測の基本原理

4.  耐熱性と分布性…耐熱光ファイバによる温度分布・振動分布センシング

材料的或いは原理的な制約から、一般に電気式センサは150~200℃程度が温度上限となる場合が多い。これに対して、石英ガラスは融点が約1000℃と格段に高く、高温でのセンシングへの期待が高い。ここでは試験的に550℃までの耐熱性を確認した事例を紹介する。計測には分布型温度計測システム(DTS;Distributed Temperature Sensor)及び分布型振動計測システム(DVS;Distributed Vibration Sensor)を用いた。図11に試験概観、図12に試験系、図13に温度データ、図14に550℃時の振動データを示す。いずれも1本の光ファイバで分布的にデータを取得している。なお、ここで使用した光ファイバは金コーティングされた光ファイバ素線をSUS管に内挿したものである。

図11 試験概観
図12 試験系
図13 温度データ
図14 550℃における振動分布データ(特定点での2秒間振動、1kS/s)

【計測原理】
本計測で使用した振動分布計測の原理を概説する。なお、光ファイバによる分布型温度計測(DTS)は広く普及している技術であり3)、ここでは割愛する。
1本の光ファイバ上に作用する振動を分布的に検出するには、一般にC-OTDR(Coherent-OTDR)という技術を用いる。振動分布検知用途のC-OTDRはDAS(Distributed Acoustic Sensor)、或いはDVS(Distributed Vibration Sensor)とも呼ばれている。振動分布センシングに用いるC-OTDRにはレーリ散乱光の位相変動を検知する方式が一般的である。レーリ-散乱光の位相を検知するC-OTDRの構成例を示す(図15)。

図15 位相を検知するC-OTDR例

参考文献

3) 光ファイバセンシング振興協会発行「光ファイバセンサ入門」基礎編 その3-19
http://www.phosc.jp/cms/index.html?key=19_ROTDR%E3%81%AE%E8%A8%88%E6%B8%AC%E6%B3%95&c=9



【著者紹介】
町島 祐一(まちじま ゆういち)
株式会社レーザック 代表取締役社長

■略歴
2002年 株式会社レーザック創立 以来、光ファイバセンシングの研究開発、現場実装に携わる
光ファイバセンシング振興協会理事



株式会社レーザック
〒124-0002 東京都葛飾区西亀有1-5-3
http://www.lazoc.jp

ゲート・ドライバとGaNパワー・トランジスタを集積した非対称型トポロジ向けのSiP

STマイクロエレクトロニクスは、 シリコン・ベースのハーフブリッジ・ゲート・ドライバと、 2つのGaN(窒化ガリウム)パワー・トラジスタを集積した世界初のSiP(システム・イン・パッケージ)「MasterGaN(R)」に、 非対称型トポロジ向けの新製品であるMasterGaN2を追加した。 同製品は、 2個の非対称型GaNトランジスタを搭載し、 ソフト・スイッチングや動的整流コンバータ・トポロジに適したGaNソリューションを提供するという。

MasterGaN2に搭載された2個の650Vノーマリー・オフ型GaNトランジスタは、それぞれオン抵抗(RDS(on))が150mΩと225mΩで、最適化されたゲート・ドライバが結合されている。そのため、一般的なシリコン・ベースの製品と同様に、簡単に使用することが可能。先進的な集積技術とGaN特有の優れた性能を組み合わせることで、アクティブ・クランプ・フライバックなどのトポロジにおいて、さらなる効率向上、小型化、および軽量化を実現するとのこと。

MasterGaNは、 2個のGaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)と高耐圧ゲート・ドライバを1パッケージに集積しており、必要な保護メカニズムをすべて内蔵している。 また、 マイクロコントローラ、DSPユニット、FPGAなどのコントローラ、およびホール・センサといった外付け部品に簡単に接続可能。 ロジック入力は3.3V~15Vの信号と互換性があるため、回路設計を簡略化による部品コストの削減や、実装面積の小型化、および組立工程の効率化に貢献し、これにより、アダプタや高速充電器の電力密度が向上するという。

GaN技術は、USB-PDアダプタやスマートフォン充電器の高速化を実現する。MasterGaNは、一般的なシリコン・ベースのソリューションと比較して、充電器とアダプタで最大80%の小型化と70%の軽量化、および3倍の充電速度を実現するとのこと。

MasterGaN2は、 ローサイドおよびハイサイドの減電圧ロックアウト(UVLO)、ゲート・ドライバのインターロック、専用シャットダウン端子、および過熱保護などの保護機能を内蔵している。また、高電圧パッドと低電圧パッドの沿面距離が2mmを超える高電圧アプリケーションに最適なGQFNパッケージ(9 x 9 x 1mm)で提供されるという。
MasterGaN2は現在量産中で、 単価は1000個購入時に約6.50ドル。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001127.000001337.html