日本財団オーシャンイノベーションプロジェクトの取組み(2)

日本財団 海洋事業部
辰野 誠哉

2.「日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアム」について

日本財団は、本コンソーシアムでの取組みを通じ、海洋開発技術者育成に関する企業ニーズの把握と大学教育とのマッチングを図るとともに、大学及び個別の企業のみでは実施することが難しい教育、実習等を、企業や公的研究機関の協力を得て広く国内外で実施することにより、海洋開発技術者の育成体制の構築を目指している。

図1 コンソーシアムの活動の全体像

図1に示すのは、本コンソーシアムの活動の全体像である。「海洋開発を理解する!・海洋開発に携わる日本の企業と交流する!(理解増進事業)」、「国際性を身につける!(海外派遣支援事業)」、「知識・経験を身に付ける!(知識・知見習得事業)」、「より実践的な知識・経験を身に付ける!(リカレント教育事業)」の4本柱で取組みを進めている。
対象は大学生・大学院生および若手の社会人技術者である。具体的に、学生対象の取組みに関しては、海洋開発産業の魅力を伝えるためのセミナーや、海洋掘削船「ちきゅう」、洋上風力発電施設、石油・ガス生産施設等において海洋開発の技術を学ぶ現場体験型のセミナーを開催したり、海外大学のサマースクールや海外企業へのインターンシップへの派遣を積極的に実施している。また、これらセミナーやスクールに参加した学生に対して「履修証明書」を発行し、企業の方がリクルート等をする際に、学生が何を学んだかを「見える」仕組みとしている。さらに、サマースクール等に参加した学生を「日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアムフェロー」として認定し、同輩、後輩たちに海洋開発産業の魅力を伝える役割を担っていただいている。一方、社会人対象の取組みに関しては、海外の専門家によるワークショップ、セミナーを開催し、技術者の実践的な知識習得を図っている(図2)。

図2 コンソーシアムの活動の具体例

次週に続く-

【著者略歴】
辰野 誠哉(たつの せいや)
日本財団 海洋事業部 海洋開発人材育成推進室 アドバイザー

2015年 東京理科大学大学院 理工学研究科 機械工学専攻修了。
2016年 国土交通省 入省
2016年-2018年 国土交通省 海事局 海洋環境政策課
内航船の省エネ化、次世代船舶(LNG燃料船、自動運航船)の推進等に従事
2018年 現職