3.2 移動センサの1つのかたち「セコムドローン」
セコムは民間防犯用としては世界初となる自律型小型飛行監視ロボット「セコムドローン」を開発した4)。広い敷地を有する施設の監視において不審な車両や人の追跡・確保に役立つ情報を的確に取得する目的で、レーザーセンサなどの地上配置の外周警備システムと連動し、侵入検知後に自律飛行を行い不審な車両や人を追跡・撮影する。(図3)
自律的に移動できるという特徴を活かし、セコムドローンに搭載したカメラから、車両であればナンバーや車種、人であれば顔や服装などを的確に撮影できる。固定設置のカメラでは、対象物までの距離や遮蔽物との位置関係によっては見えにくいケースも生じるため、機動力を有するセコムドローンにより証跡性を格段に高めることができる。証跡性の高い映像がセコムの管制センターに送信されることで、より高品質なセキュリティが提供可能となる。セコムドローンは「誰が(何が)」「どこで」をより詳細に把握する上で有効なセンサである。
移動するセンサとしての強みは、セキュリティに留まることなく、防災やメンテナンスなど様々な分野で威力を発揮する可能性を秘めている。
次週に続く-
参考文献
4)「セコムドローン」のサービス提供を開始 https://www.secom.co.jp/corporate/release/2015/nr_20151210.html
【著者略歴】
徳見 修(とくみおさむ)
セコム株式会社 IS研究所 センシングテクノロジーディビジョン
サブディビジョンマネージャー
1990年、セコム株式会社入社、IS研究所配属。
以降、バイオメトリクス、人数計測、侵入検知、行動認識などの画像認識や、カメラ、距離センサ、ロボットなどセンシング技術の研究開発に従事。
2003年、開発プロジェクトのリーダー。
以降、画像/センサ系研究グループのリーダー、サブマネージャー、主任研究員を経て2018年4月より現職。