STマイクロエレクトロニクスは、アナログ入力の車載用D級オーディオ・アンプ「HFA80A」を発表した。同製品は小型・高効率で部品点数の削減に貢献し、車載向けに最適化された負荷診断機能および優れたEMC特性を備えているという。
HFA80Aは、2MHzの定格PWM周波数を備え、LC出力フィルタの前段のデバイス内部でフィードバックをかけるため、LC出力フィルタを目標性能に合わせて最適化し、部品コストの削減や小型化を実現する。スペクトラム拡散方式により、CISPR 25規格への準拠が容易で、スナバ回路やダンピング・ネットワークなどのEMCフィルタを追加する必要も無い。
HFA80Aは、最大4 x 49W( 2Ω負荷 / 14.4V駆動時 )出力が可能で、全高調波歪率( THD )は 0.015%( Typ.@ 1W/4Ω )の低歪である。また、低出力ノイズおよびクロストークに優れ、電源リップル除去比も80dB( 4Ω負荷、1W / 1kHz出力時 )と高性能なため、クリアでパワフルなサウンドを実現する。
40kHzまでのフラットな周波数特性により、ハイレゾ・オーディオのための広い再生周波数帯域を確保できる。出力LCフィルタを最適化することで、80kHzまで周波数特性を拡大することも可能である。また、低遅延設計のため、ノイズ・キャンセリングのように低遅延性能が重視されるアプリケーションにも最適。
車載向けに特化した負荷診断機能は、特別に開発されたノイズ耐性アルゴリズムに基づいており、異常な負荷状態および負荷変動を検出できる。チャネルごとの独立したDC / AC負荷検出、起動時の短絡検出、しきい値を設定できる過電流保護などが内蔵されている。さらに、入力信号電圧のDCオフセット検出や、BTL出力間の出力電流オフセット検出、4種類の温度警告を選択できる過熱保護機能も備えている。
HFA80Aに搭載された設定可能な専用ピンは、新たな負荷診断情報が生じた時にホスト・マイコンに信号を送り、ホスト・マイコンとの通信が簡略化されるため、CPUの負荷軽減に貢献する。同製品の機能制御と負荷診断データにはI2Cバス・インタフェースを介してアクセスでき、バックアップ・モードではI2C制御が失われた場合でもアンプの動作を継続できる。さらに、デジタル・アドミッタンス・メータ( DAM )機能が搭載されているため、外付けの追加接続ツールやセンサなど不要で接続されたスピーカのインピーダンスをチェックすることができ、より柔軟性の高いさまざまな機能の開発をサポートする。
HFA80Aは、現在入手可能で、放熱用の露出パッドを備えた小型LQFP48Lパッケージ( 7 x 7mm )で提供される。単価は、1000個購入時に約4.80ドル。
プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001405.000001337.html