旭化成エレとSAL、自動車用高電圧アプリにおけるeFuseの技術検証成功

 旭化成エレクトロニクス(株)と欧州のエレクトロニクスおよびソフトウェアベースのシステムの研究機関であるSilicon Austria Labs GmbH(以下「SAL」)は、炭化ケイ素(SiC)を用いたパワーデバイスを利用した高電圧アプリケーションにおける電子ヒューズ(eFuse)技術の共同技術検証に成功した。
 得られた検証結果より,このeFuse 技術は自動車に搭載される充電器 (On Board Charger:OBC)などのシステムの安全性を大幅に向上させ、部品やメンテナンスのコストを削減できる可能性があることが示された。

◆背景
 電気自動車をはじめとした高電圧アプリケーションでは、高効率化を進めるため、これまでのシリコン(Si)材料のものから、SiCや窒化ガリウム(GaN)といった次世代の半導体材料を用いたパワーデバイスへの切り替えが進んでいる。
 これらの次世代パワーデバイスを使用するシステムでは、過電流が発生したときにデバイスを保護し、コストのかかるメンテナンスを回避するため、これまでよりも高速にシステムをシャットダウンさせる必要がある。これらの理由から、これまで過電流対策として使用されてきた機械式ヒューズよりも、高速応答性で優位なeFuseが求められている。
◆共同技術検証について
旭化成エレクトロニクスはSALと共同で技術検証を行い、このたび、機械式ヒューズを用いた従来の保護システムの課題を解決するeFuseシステムを開発した。同社が本年2月に発表したコアレス電流センサー「CZ39シリーズ」はその応答時間が100nsと非常に短く、また高精度であることが特長だが、本製品をeFuseに用いることで、過電流を即座に検出しシステムの高速なシャットダウンを実現する。
 このeFuseソリューションは、OBCなどSiCやGaNベースのパワーデバイスを搭載した次世代の高電圧EVシステムで求められる過電流および短絡保護機能を提供する。さらに、eFuseを電流センシングにも活用することで、システムに流れる電流も効率的に調整することができるため、システム全体の部品点数を削減することが可能であるという。  同社は、本年6月に開催されるPCIM Europe 2024(開催地 : ドイツ・ニュルンベルク)にて、SALとの共同研究の成果について詳細を発表する予定。

プレスリリースサイト:https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2024/el240529.html