リブレット形状を航空機に大面積施工し、燃費改善効果を計る飛行実証実験を開始

 オーウエル(株)は、日本航空(株)〔以下「JAL」〕、(国研)宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)と共に、航空機の燃費改善によるCO2排出量削減を目指し、同社独自の“塗膜形成技術”を活用したリブレット技術(※1)を用いて機体外板の塗膜上に約60㎠のリブレット(※2)を施工した航空機(ボーイング737-800型機)による飛行実証試験を2022年7月より進めてきた(※3)。

 同社の施工方法による機体は、2023年4月時点で施工後約1,900時間、2023年6月時点で施工後約2,300時間が経過し、十分な耐久性を有することが段階的に確認されているが、このたび、航空機外板への大面積施工が完了し、実際の燃費改善効果の検証を進めることとなった。

(※1)“塗膜形成技術”を活用したリブレット技術(Paint-to-Paint Method)
 既存の塗膜上に、水溶性モールドで塗膜に凹凸を形成する手法(画像)
(※2)リブレット
 サメ肌形状によって水の抵抗が軽減されることにヒントを得て考案された微細な溝構造。航空機の飛行時の空気の流れに沿って機体外板に微細な溝構造を形成することで、飛行時の抵抗を軽減することができる。
(※3)2023年2月28日付プレスリリース
『JAL、JAXA、オーウエル、ニコン 世界初、塗膜にリブレット形状を施工した航空機で飛行実証試験を実施』
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00965/f661175d/0487/484e/970a/43ebffe3b2da
/140120230228519308.pdf

 航空機の大面積への施工を実現するためには、(1)水溶性モールドの大型化、(2)大型化に伴う施工技術の確立、といった課題を解決したうえで、(3)施工箇所・面積を評価する必要があり、同社はJAL、JAXAと共同で最適な方法を検証してきた。
(1)水溶性モールドの大型化(オーウエル)
①水溶性モールドの量産を見据えた材料および製造工程の見直し
②現場施工を可能とするフィルム構成に改良
(2)大型化に伴う施工技術の確立(オーウエル、JAL)
①施工現場である整備格納庫の気温および湿度の影響を調査し、最適な要件を確定
②水溶性モールドを機体に施工する際の専用ツールの考案・作成
③機体に施工する作業者によるトレーニング
(3)施工箇所・面積の評価(JAXA)
①空力シミュレーション、風洞試験を行い、機体抵抗低減の効果を算出

これらの工夫や検証を実施した結果、航空機外板への大面積の施工が可能と判断し、2023年11月、ボーイング737-800型機の国内線航空機1機(JA331J)の胴体下部に、合計約25㎡のリブレット形状を施工することに成功した。

引き続き、同社はJAL、JAXAと共同で今回の大面積に施工したリブレット形状の耐久性、美観性、および燃費削減効果を確認していくとともに、来年度以降、より燃費削減効果の高い国際線機材へのリブレット形状の施工を展開することで、更なるCO2排出量の削減に取り組むとしている。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000131440.html