異なる緯度に生育する植物が感受性の異なる環境センサを持つことを発見

 岡山大学 資源植物科学研究所の池田啓准教授らのグループは、光環境や気温が異なる場所に生育する植物が、光や温度に対する感受性の異なる環境センサ(フィトクロム)を持つことを世界で初めて発見した。
本研究成果は5月4日、英国の植物学雑誌「New Phytologist(電子版)」で公開された。

 植物は、周囲を取り巻く光環境や気温を感知するセンサとしての役割を持つタンパク質を用いることで、環境に適応して生きるための生理現象を制御している。本研究成果は、日本列島と北極周辺という、生育環境が大きく異なる場所に生育する植物の生理特性や進化を調べることで、異なる環境に生育する植物が、感受性の異なる環境センサ(フィトクロム)を進化の中で獲得したことを明らかにしたとのこと。

 本研究成果は、植物が地球上のさまざまな環境に適応し、多様化を遂げた仕組みを、植物の生理現象を制御する分子機構の観点から理解できるようにする基盤を構築する。また、あらゆる農作物に対して、栽培環境に最適な性質を持つ植物をデザインできる汎用性のある技術を新たに創出することにつながる発見だとしている。

プレスリリースサイト(okayama-univ.): https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id829.html