ドライバーモニタリングシステムのプロトタイプが完成

住友理工(株)は、自動車(トラック、バスを含む)など各種モビリティが走行する際の振動環境下でも、座るだけでバイタル(心拍・呼吸)、体動情報などの情報を取得できる「ドライバーモニタリングシステム」の開発を進めていたが、このたび、シートに設置できるプロトタイプが完成したと発表した。

自動車業界では現在、カメラやレーダーなどによって走行時の安全性や快適性を高める研究開発が盛んに進められている。これらに加えて、走行中に発生する振動環境下でも、乗員のバイタルデータが計測できる本製品を使用することによって、人々の安全な移動に、より一層貢献できると考えている。特に、乗員自身が気づかないような心拍や呼吸の微細な動きをセンサで捉えられるため、システムを通じて乗員の体調変化にいち早く気づくことにつながり、乗員の健康管理や交通事故の未然防止など、さまざまなサービスへの応用が期待されるという。
※就寝時などにベッドやマットレスに設置してバイタルデータを取得できる「体動センサ」(医療機器認定)は2019年よりモニター販売を実施中。

<ドライバーモニタリングシステムの仕組みと目的>
本製品は、当社独自開発の柔軟で電気を通す特殊なゴム材料「スマートラバー(SR)」を用いたセンサ。シートに設置するだけで、座面に伝わる微弱な振動を検知し、独自のアルゴリズムで心拍数や呼吸数、体動情報を推定することが可能。スマートフォンや各種ゲートウェイなどを介して通信することによって、クラウド上で状態推定解析を行うことが可能なアプリケーションやサービスへの活用を想定している。
従来、自動車走行中は路面やエンジンからの振動が大きく、心拍数や呼吸数を推定するのは困難だった。同社では100名以上の被験者の協力により、実車評価を延べ5,000km以上実施。アルゴリズムの改善を繰り返すことで、心拍数、呼吸数の推定精度が格段に向上した(悪路など、異常時を除く)。
現在、「先進安全自動車(ASV)技術の実用化による交通事故削減に向けたガイドライン」などの策定が推進されており、乗員状態検知の重要性が高まる中、本製品は、座るだけで乗員のバイタルデータを取得できるのが特長である。
将来的には、眠気を感知した際にアラートを出したり、異常時対応システムに発展させたりすることで、安全性向上につながる。さらに、バスやトラック、タクシーなどの事業者による安全な運行管理にも寄与できる可能性も考えているとのこと。

<プロトタイプ概要>
発売時期 今夏より、企業向けモニター販売予定
仕様   寸法(縦×横):600mm×375mm(付属部除く)
     厚み(着座部):約35mm
     出力データ(推定値):心拍数・呼吸数・体動情報
     通信規格:Bluetooth Low-energy
電源   車内シガーソケットなど(5V、2.4A以上)

ニュースリリースサイト(住友理工):
https://www.sumitomoriko.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2021/03/n51910569.pdf