5.光センサーの応用 6)
本文の中で何度か記しているが光センサーはありとあらゆるところに設置されている。ここではいくつか紹介する。
1)家庭内などの身近な機器への利用
現代の家屋の中では電気製品、電子機器が多数使用されている。その多くの機器、装置には光センサーが搭載されている。主に赤外線のセンサーである。たとえはテレビ、オーディオ機器、照明機器、エアコンなどに搭載されている。
2)ATM、券売機
家庭内でなくても一歩家を出れば我々の生活のいたるところで光センサーは使われている。例えば、現金自動預け払い機(ATM)ではカード検知、紙幣検知、内部機構検知で光センサーが活躍しているし、釣銭機ではカード検知、硬貨検知に使われている。券売機では硬貨検知、切符検知、紙幣検知などで光センサーが使用されている。
3)オートフォーカス(AF)
センサーの分類でも記したが三角測距方式のオートフォーカスには光センサーが使われている。オートフォーカスの方式は主に被写体輝度を一次元CCD(電荷結合素子)又はCMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサーで、位相差検出にてAFを実現するパッシブ方式と、赤外LEDを被写体に向けて投光し、その反射光を位置検出用受光素子で受光することで三角測距を行うアクティブ方式の2通りがある。
4)果実糖度検査
果物類の糖度検査にも光センサーが使われている。果実を傷つけず糖度が測定できるので需要が増えている。この光センサー選果機は果実非破壊品質測定装置とも呼ばれ、果汁の中に溶けている糖分や酸の成分が多いほど光の屈折率が大きくなるという原理を応用して糖度を測定している。リンゴの糖度・酸度・果実内部検査でも使用されている。
5)屋内人感センサー 7)
ロッカー、化粧室、トイレなどに入ると人感センサーのより照明が点灯する。人のいないときは照明を消しており省エネに大変貢献している光センサーである。
6)天文学への応用 3)
画像を記録する手段として古くは写真乾板に天体画像を記録していたが、1990年台には電荷結合素子(CCD)が使われるようになった。
6.おわりに
光センサーについて簡単に概観した。光センサーは毎日使用しているテレビやオーディオ機器から宇宙観測装置まであらゆるところで活躍している。このように多くの場所、装置に搭載さえている大きな技術的要因は受光素子よりもむしろ光源側であるLEDの発展によるものが大きいのではないかと思われる。1962年に赤色LEDが発明されて以来、周知のとおりLEDの発展は素晴らしい。この光源側の進歩がなければ今日のようにあらゆるところで光センサーが利用されるには至らなかったのではないか。言うまでもなく受光素子である半導体デバイスの進歩も素晴らしい。今後のIoT化、ロボット化に向けて更なる需要拡大は明白であり、低価格化、小型化、高性能化に向けて進歩が続くであろう。そしてより快適で安心・安全な生活に大きく寄与してくれることを期待してやまない。
参考文献
3) フリー百科事典「光検出器」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E6%A4%9C%E5%87%BA%E5%99%A8)
4) 光電センサー技術解説 オムロン技術資料(https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/43/2/)
5) 太陽電池 谷辰夫編 パワー社 (2008)
6) 多彩な用途に広がる光センサ 東芝レビュー Vol.55 No.1 (2000)
7) ここまでできる「センサ応用照明システムの現状と課題」加藤潤一、入江吉治、照明学 会誌、第80巻、第6号(1996)