東芝、レベル4以上の高度自動運転の実現に貢献するLiDAR向け受光技術を開発

東芝は、ソリッドステート式LiDAR向けに新たな受光技術を開発した。
従来困難だった超高感度受光デバイスSiPM(注)の小型化を可能にし、高解像度と長距離測定性能の両立を実現した。SiPMは、微かなレーザーの反射光を高感度に検出することが可能で、LiDARの長距離測定に適した受光デバイス。

従来のSiPMでは、一度光を検出した受光セルは一定時間応答ができなくなるといった物理上の特性があり、漏れなく光を検出するためには非常に多数のセルを搭載することが必要だった。今般、SiPM上に受光セルを再起動させるトランジスタを搭載することで、受光セルが応答できない時間を短縮することに成功した。これにより、少ないセル数でも効率よく光を検出できるようになり、SiPMの大幅な小型化を実現した。小型SiPMを用いることで、限られたパッケージ面積内に多数のSiPMを配列することができ、高解像度化を図った。

また、本受光技術は、市販のレンズと組み合わせて使用することができ、利用用途によって生じる複雑なカスタマイズが不要。乗用車、バス、作業車など、多様な車種への搭載が容易となり、今後、ドローンやロボットへの搭載も期待できる。
同社は、本技術を、市販のレンズを用いたシステム構成において実装し(図)、高解像度を保ったまま、ソリッドステート式において従来比4倍となる200メートルの長距離測定性能を達成した。

同社は6月16日(日本時間)にオンライン開催された半導体回路国際会議VLSIシンポジウムで本技術を発表したとのこと。

(注)SiPM (Silicon Photo Multiplier):
   1光子を受けると、100万電子に変換する光検出デバイス。サイズ~100µm角

ニュースリリースサイト(TOSHIBA):https://www.toshiba.co.jp/rdc/detail/2007_01.htm