―センサイト コラム(2)― 「現場計測機器のラウンドロビン」

―センサイト コラム(2)―
「現場計測機器のラウンドロビン」

(一社)次世代センサ協議会
常務理事 島田 芳夫

計測センサが一般的な電子機器・部品と大きく異なるのはトレーサビリテイの確立にあると言える。

計測は国家標準さらには国際標準の下に厳密に管理されている。この仕組みによってデータの互換性が保証され、計測センサを使用するものは安心して数社にまたがるセンサの比較ができなおかつ交換が可能となる。
しかし現実の計測の現場となると少し様子は異なる。実際に現場で長期間連続で使用される計測センサには基本機能に加え各種周辺機能が付与されているために問題が起こる。

使用状況に適合するための各種ハウジング技術・センサの設置取り付け技術・センサ信号の増幅処理技術・ソフトウエアによるデータマイニング技術・計測データの通信技術などが付加されてはじめて現場対応の計測センサとなる。
このような付加機能(実際の応用にはこれが重要)は製造各社によって異なる場合が多く、現場製品としての互換性実現を阻んでいる。同じ機能の計測センサであっても製品としてみた時に、コネクタなどの接続技術、ソフトウエアの接続技術などが各社ごとであるため各社間における交換・接続ができない問題が多々見受けられる。

これは計測センサを使用する側によっては基本機能の保証以上に重要な課題であると言える。一度採用した企業の製品を途中で同類の他社製任に置き換える時に多くの労力が必要となる。
そこで、各社で製造されている同類の計測センサを集めて、定められた標準的な手法によって実際の比較計測を行い各社間の互換性をテストする(ラウンドロビン)機能を有する仕組みつくりを提案したい。この手法はアメリカなどでは広い範囲で一般的に行われている。

この仕組みを発展させ、計測センサの現場レベルでの相互交換性を実現する必要がある。 なお工業計器の分野では昔からこの概念が通用しており、現場計測センサとしての相互互換性が実現している。一方土木分野などで使われる計測センサには、まだ課題が多いと言えるであろう。