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ボールSAW水素センサの開発(2)

ボールウェーブ(株)
取締役事業本部長
竹田 宣生

3. 微量水素に対する応答時間

 次にボールSAW水素センサの微量水素応答の立ち上がり時間と立下り時間を評価した。代表的な水素に対する遅延時間変化の応答波形が図6である。水素濃度が高いほど立ち上がり、立ち下りとも応答が早いことがわかる。

図6 代表的な水素に対する応答波形
図6 代表的な水素に対する応答波形

Tips: 立ち上がり時定数の算出

 単一時定数τを有するステップ応答の立ち上がり波形は 1 – exp( -t/τ) と表すことができる。微量水素応答のようなガス混合においても、瞬時にガス導入を行うことができればきれいなステップ応答を示し、左図のような相対的な波形変化の立ち上がり部分を対数で表すと右図のような線形関係となるので、時定数τを算出することができる。ちなみに10%―90%立ち上がり時間は2.2τとなる。立下りについても同様にして算出できる。

 遅延時間の立ち上がり時間の水素濃度依存性とセンサ温度依存性を図7(a)及び(b)にそれぞれ示した。ただし、応答時間は応答の10%-90%の値とした。立ち上がり時間は、おおよそ水素濃度の1/2乗に反比例して小さくなり、また、センサ温度が高いほど小さくなる。
 前述図1においてのボールSAW水素センサの応答時間は減衰率による値であったが、より水素感度が高い遅延時間変化でも同様な応答速度が確認できた。ボールSAW水素センサは、より高感度な遅延時間応答においても従来の平面SAW水素センサや電気抵抗式水素センサと比べて約一桁高速であると言ってよい。

図7 立ち上がり時間
図7 立ち上がり時間

 同様にして、遅延時間の立ち下がり時間の水素濃度依存性とセンサ温度依存性を図8(a)及び(b)にそれぞれ示した。立ち下がり時定数も立ち上がり時間と同様に水素濃度が高く、センサ温度が高いほど小さい。

図8 立ち下がり時間
図8 立ち下がり時間

 このような応答時間は、感応膜中での水素拡散が律速していると考えられる。拡散係数は応答時間に逆比例すると考えられるので、応答時間τの逆数は次のように表すことができる。

 ここで、NH2は水素濃度(ppbv=nmol/mol)、Eaは活性化エネルギー(J・mol-1)、Rは気体状数(J・K-1・mol-1)、Tは絶対温度(K)である。
 前述図7および図8に示した応答時間の逆数をアレニウスプロットして、絶対温度の逆数に対する傾きから活性化エネルギーを求めると、立ち上がり時間に対して49.6kJ/mol、立下り時間に対して48.0kJ/molとほぼ同等の値となった。このことは、立ち上がり時間、立ち下がり時間ともに同じ物理現象(感応膜中の水素の拡散)に支配されていることを示唆している。

4. まとめ

 Pd-Pt合金を感応膜とする80MHz/240MHzの2周波ボールSAW水素センサで、遅延時間変化を測定することにより水素濃度約6ppbvの検出限界が得られた。この値は、前報のボールSAW水素センサより2桁以上高感度で、既存センサ中の最高感度と考えられる。また、その応答速度は、減衰率を測定した前報のボールSAW水素センサと遜色がなかった。今後は、水素を用いた漏洩検出等への応用展開を図る。




謝辞
この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業(JPNP14012)の結果得られたものである。



【著者紹介】
竹田 宣生(たけだ のぶお)
ボールウェーブ株式会社 取締役事業本部長

■略歴
1985年:東北大学大学院工学研究科修了、工学博士。(株)大日本科研技術顧問。
1985年-1986年:新技術開発事業団創造科学推進事業特別研究員で専門は半導体デバイス、プロセス。
1988年-1994年:東北インテリジェントコスモス構想(株)小電力高速通信研究所コミュニケーションデザイン研究室室長兼任
1986年-1997年:(財)半導体研究振興会研究員、
1997年:Ball Semiconductor社入社。
2000年-2010年:米国ベンチャーBall Semiconductor社上席副社長として一貫して微量水分センサをはじめとするBall SAW Sensorの開発に携わる。
2006年-2010年:Ball Semiconductor社と大日本科研(株)のジョイントベンチャーであるINDEXテクノロジーズ(株)執行役員としてマスクレス露光技術分野の開拓にも携わる。
2010年-2012年:東北大学未来科学技術共同研究センター客員教授、
2010年-2012年:カナダのベンチャーAiscent Technologies社CTO、
2012年-2014年:中国ベンチャーAMLI社技術顧問、
2012年-2014年:東北大学大学院工学研究科産学連携研究員
2014年-2016年:東北大学大学院工学研究科非常勤講師、
2014年-2016年:株式会社メムス・コア技師長としてMEMSセンサ受託開発に従事。
現在、ボールウェーブ株式会社 取締役事業本部長

ボールSAW微量水分計(2)

ボールウェーブ(株)
代表取締役社長
赤尾 慎吾

3. 減衰変化の周波数差分を用いたバックグランドガス補正

 広い範囲の露点−100 ℃から0 ℃の水分応答の実験2)において、遅延時間変化は−100 ℃から−60 ℃においては減少し、−50 ℃で飽和し、−40 ℃から0 ℃で増加することが分かった。この振る舞いは水分の低濃度領域ではシロキサンの弾性硬化7)と、水分の高濃度領域ではセンサ表面への質量負荷によって説明できる。一方、SAWの減衰係数は露点−70 ℃以下では感度が低いが、全水分濃度領域で単調増加である。減衰係数はメカニズムの違いにより周波数依存が異なるため、大きな利点がある8)
 図2に示す温度変化を補償する際に、温度そのものも同時に算出される。露点が−60 ℃から−10℃の範囲では、飽和して2値化するSAWの遅延時間変化ではなく、水分量の測定に減衰係数を利用することができる。しかし、減衰係数はバックグランドガスに影響されるため、バックグランドガスの組成を決定し、組成変動を補正する必要がある。
 SAWの減衰係数は周波数の2乗の関数である粘弾性減衰と1乗の関数である漏洩減衰の和で表わされる。ここでも温度変化の補償と同様にボールSAWセンサに2つの周波数を同時励振させることで減衰係数から粘弾性因子と漏洩因子を分離して計算した8,10)。ここで粘弾性因子は水分濃度、漏洩係数は比熱比と分子量からなるガスパラメータの関数となる。
 SAWの気体への漏洩減衰は

 で与えられる9)。ここでMは分子量、Pは圧力、は定圧定積比熱比である。
2つの周波数12におけるSAWセンサの減衰 α1α2を測定し漏洩因子

を測ると、これを用いて、水分濃度に依存せずガスの組成を反映するガスパラメータ

が求められる。ただし、

で、α は電極散乱などの素子減衰、yはその周波数依存性の指数、lは伝搬距離である。
 図4にバックグラウンドガスを窒素として露点を変化させ、設定露点と粘弾性因子の関係をプロットした。これを粘弾性因子から露点を求める校正曲線とする。

図4 粘弾性因子の検量線
図4 粘弾性因子の検量線

 天然ガスパイプラインにおけるバックグランドガスの濃度変化を模擬するため,発生露点を−60 ℃に設定し,空気 → 窒素 → メタン → 80 %メタン/20 %エタン → 50 %メタン/50 %エタン → メタン → 窒素 →空気の順序でバックグランドガスを切り替えた。この間、ボールSAWセンサの減衰係数を80 MHzと240 MHzの周波数を用いて12秒間隔で測定した。図5に、粘弾性因子と漏洩因子を示す。図5(a)では、粘弾性因子はほぼ一定であった。図 5(b)では、バックグラウンドガスの含有量の変化に伴い、漏洩因子が明確に変化していることがわかる。漏洩係数からバックグランドガスのガスパラメータを推定することができるため、この測定はパイプラインの状態監視に有用である7)

図6 粘弾性係数(a)と漏洩係数(b)の変化
図6 粘弾性係数(a)と漏洩係数(b)の変化

 水分発生器を用い同じ手順を繰り返し、露点を10 ℃間隔で−70 ℃から−30 ℃まで発生させた。次に、この検量線を様々なバックグラウンドガス適用し、得られた微量水分の露点を設定した露点と比較した。図5.13 に様々なバックグランドガスについて、基準露点からの測定誤差を示す。この実験において、露点の誤差は1 ℃ FP以内であった。
 この結果は、バックグラウンドのガス成分の組み合わせが変わっても、バックグラウンドガス毎に校正の必要がないことを検証したことを示す。また、例えば天然ガス中のメタン、エタン、二酸化炭素、窒素などのバックグラウンドガス成分の組み合わせが変化しても、ボールSAW TMAは窒素バックグラウンドガスに対して1回の校正で正しい微量水分濃度を得られることを明確に示したといえる。

図7 様々なバックグランドガスによる露点誤差
図7 様々なバックグランドガスによる露点誤差

 ボールSAW 微量水分計の応答速度を評価するために、飽和水蒸気を注入した後のFPを測定した11)。図8(a)に実験のセットアップとボール SAW 微量水分計のディスプレイを示す。注入量は 1 mL、バックグランドガスの流量は100 mL/minである。図 8(b)は飽和水蒸気を注入した後の露点の時間変化を示している。露点は1 秒以内に−70 ℃ から5 ℃ へとすぐに上昇し、その後 10 分で徐々に減少した。緩やかに減少しているのは、パイプ内面に吸着していた水が徐々に脱着したためである。ピークの拡大図を図 8(c)に示す露点10 %から90 % (−70 ℃から−10 ℃)に変化するのに要した応答時間はわずか0.64 秒であり、これまで報告された微量水分計の中で最も短い応答時間であった。

図8 ボール SAW 微量水分計の高速応答性。(a)実験セットアップと装置ディスプレイ (b)露点の時間的変化、(c)ピークの拡大図。
図8 ボール SAW 微量水分計の高速応答性。
(a)実験セットアップと装置ディスプレイ
(b)露点の時間的変化、(c)ピークの拡大図。
ボールSAW微量水分計 FalconTrace シリーズ

ボールウェーブでは、これまで紹介したボールSAWセンサおよび補償技術を用いた微量水分計の商品群としてFalconTracdeを販売している。

FT-700WT:「超」微量水分計測を実現したシリーズ最上位機種 露点−110 ℃から−20 ℃までのワイドレンジを計測
露点計測に加え、バックグラウンドガス※の組成(平均分子量相当)も%レベルで検出
※バックグラウンドガス:水分量の計測対象となるガス
天然ガスから高純度ガスまで、この1台でカバー

FT-700WT

FT-400WT: ミドルレンジでのリアルタイム計測を可能にした中位機種 露点−90 ℃からの変化を1秒以内で計測、リアルタイム制御系の計測に最適
装置組み込み型への変更も可能※

FT-400WT

FT-300WT: 高速応答性はそのままに可搬性を重視した小型汎用機種 露点−70 ℃からの変化を1秒以内で計測、リアルタイムな計測システムにも対応
重量2 kgと軽量・小型、対象エリアへの持ち運びが容易

FT-300WT

まとめ

 本稿では、ボールSAW素子表面に微量水分に応答するシリカ感応膜を設桁微量水分計の原理を補償技術に重点を絞り報告した。最初に半導体製造等の最先端プロセスで求められる超微量水分領域でのセンサ応答について述べた。次に、遅延時間変化の周波数差分を用いた温度補償技術と振幅変化の周波数差分を用いたバックグランドガスの補正法を説明した。最後にこれらのアルゴリズムを実装したボールSAW微量水分計であるFalconTracesシリーズを紹介した。このような高度な水分計は先端半導体製造では歩留まりやスループットの改善に、また、天然ガスのパイプラインシステムの品質管理では天然ガス混合物中の微量水分の測定に寄与することが期待できる。



参考文献

  • 2) S. Hagihara, et. al :Jpn. J. Appl. Phys.57 (2014) 07KD08.
  • 7) A. Witkowski, et al: J. Press. Vessels Pip. 166 24 -34 (2018)
  • 8) K. Yamanaka, et al: Jpn. J. Appl. Phys. 58 (2019) SGGB04
  • 9) A. J. Slobodnik, Jr., J. Appl. Phys., 43, 2565 (1972).
  • 10) N. Takeda, et al: Meas. Sci. Technol. 31 (2020) 104007.
  • 11) T. Iwaya, et al: Meas. Sci. Technol. 31 (2020) 094003.


【著者紹介】
赤尾 慎吾(あかお しんご)
ボールウェーブ株式会社 代表取締役社長

■略歴
1997年 東邦大学理学部物理学科卒業
1999年 筑波大学大学院理工学研究科修了
凸版印刷株式会社入社総合研究所配属。
2009年 東北大学大学院工学研究科材料システム工学専攻博士課程後期終了
東北大学未来科学共同研究センター客員准教授
2014年 東北大学未来科学共同研究センター特任准教授として参画
2015年 ボールウェーブ株式会社設立、代表取締役社長
現在に至る

ボールSAWセンサを用いた超小型ガスクロマトグラフの開発(2)

ボールウェーブ(株)
研究開発本部
岩谷 隆光

4. 検出限界の推定

 化合物の濃度はクロマトグラムのピーク面積と相関を示す。図4のBS2のクロマトグラムにおけるピーク4~7は重なっていたので、クロマトグラム特有の非対称なピークを表現できるHaarhoff-Van der Linde (HVL)の関数7)を用いてフィッティングして各ピーク面積を推定した。HVLによりクロマトグラムのピークは、次式に示す時間tの関数として表現できる。

ここでα0はピーク面積、α1はピークの中心値、α2はピーク幅、α3はピーク歪みに関する係数である。図4のBS2のクロマトグラムに式(1)を適用して各ピークを推定した結果を図5に示す。図5(a)の黒線はクロマトグラムの元データであり、赤線は図5(b)に示す推定した各ピークを積算した結果である。フィッティングの精度を表すr2係数は0.995だった。同様に0.1~2 ppmvの試料ガスを分析したクロマトグラムに対しても各成分のピーク形状を推定し、そのピーク面積を得た。

図5 重なったピークの推定 (a)元データ(黒線)と推定ピークの合計(赤線)(b)HVLでフィッティングした推定ピーク
図5 重なったピークの推定 (a)元データ(黒線)と推定ピークの合計(赤線)
(b)HVLでフィッティングした推定ピーク

 以上のように、各化合物のピーク面積を評価して、サンプル濃度の検量線を作成した。図6に代表例としてジクロロメタンとo-キシレンの濃度とピーク面積の関係を示す。ピーク面積はサンプルガスの捕集量に依存するため、捕集量250 mlで規格化してプロットした。検量線は、原点を通る2次関数の最小二乗法で導出した。 検出限界濃度(low detection limit; LDL)は、ブランク試験における疑似的ピーク面積の標準偏差σを用いて導かれる。疑似的ピークを近似的に三角形と考え、σをブランク試験におけるセンサ応答の標準偏差δと各化合物のピーク半値幅fwhmの積で定義した。

このように定義した3σと検量線の交点から各化合物におけるLDLを算出したところ、図6に示すように、ジクロロメタンのLDLは0.028 ppmv、o-キシレンのLDLは0.005 ppmvだった。同様の手順で各化合物について推定したLDLを表2に示す。全ての化合物において推定したLDLは、SMACsの定める最も低い許容濃度よりも十分に低かった。したがって、開発したLGCは宇宙機における環境ガスモニタリングに適用できる可能性が示された。

図6 検量線と検出限界の推定 (a)ジクロロメタン (b)o-キシレン
図6 検量線と検出限界の推定 (a)ジクロロメタン (b)o-キシレン
表2 SMACsとLGCのLDL推定値
表2 SMACsとLGCのLDL推定値

5. 手のひらサイズGC

 LGCを試作した技術を応用して、ボールSAW GCの製品プロトタイプである図7に示す手のひらサイズGC“Sylph”を開発した8)。本GCは、1つのカラムとセンサのシンプルな構造であり、キャリアガスラインも一体化した。濃縮器の吸着剤としてTenax TAを約10 mgを充填した。カラムは固定相にPEGを塗付した長さ30 mのUltraALLOY®(フロンティア・ラボ)をφ27 mm長さ65 mmの円筒状に巻いて小型化したソレノイドカラムを用いた。ボールSAWセンサには感応膜としてPDMSを成膜した。

図7 手のひらサイズGC ”Sylph” (a)外観 (b)内部構造
図7 手のひらサイズGC ”Sylph” (a)外観 (b)内部構造

 本プロトタイプを用いて、醸造飲料である日本酒の香気成分を分析した。サンプルとして銘柄の異なる本醸造酒A,B,Cと吟醸酒D,E,Fを用意し、各日本酒のヘッドスペースガスを73 ml/minで0.9分間捕集した。カラム温度は40℃で5分間保持した後、10℃/minで140℃まで昇温した。本醸造酒Aと吟醸酒Dのヘッドスペースガスのクロマトグラムを図8に示す。各ピークの成分は1: 酢酸エチル、2: エタノール、5: 水、6:酢酸イソアミル、8: イソアミルアルコール、9: カプロン酸エチル、11: カプリル酸エチルと同定された。ピーク3,4, 7および10は未同定である。

図8 日本酒のヘッドスペースガス分析
図8 日本酒のヘッドスペースガス分析

 各銘柄のクロマトグラムから得られた日本酒の香気成分において、本醸造酒に特徴的な本醸造香である酢酸イソアミル(H)、吟醸酒の主吟醸香であるカプロン酸エチル(G1)および副吟醸香であるカプリル酸エチル(G2)のピーク面積を図9に示す。Hは、本醸造酒A~Cと吟醸酒Dで比較的多く、本醸造酒Bは特に豊富に含んでいた。G1は本醸造酒A~Cに比べて吟醸酒D~Eで豊富に含まれて、吟醸酒Eで最も多かった。本醸造酒Bと吟醸酒Eは、同じ酒造メーカーの銘柄であるが、それぞれ本醸造酒と吟醸酒に特徴的な香りを豊富に生成するように制御していると推察される。
 また、吟醸酒Dは他の銘柄と異なり、主吟醸香のG1に加え、本醸造香のHと副吟醸香であるG2も豊富に含んでいた。この銘柄は本醸造酒用の酵母と吟醸酒用の酵母を併用したと言われるが、吟醸酒EやFと異なり副吟醸香G2も豊富に含むことは、酵母の選定のみではなく、醸造過程の他の技術にも基づく可能性がある。日本酒醸造において、これらの香りを生成する技術は重要な課題であり、これらの成分を醸造現場で随時分析できることは、醸造産業における製品開発、技術の向上や品質管理において有用と期待される。

図9 各銘柄の主要な香気成分のピーク面積の比較
図9 各銘柄の主要な香気成分のピーク面積の比較

6. まとめ

 本稿では、ボールSAW GCに関する最近の研究成果について述べた。宇宙探査イノベーションハブの共同研究において試作した超小型GCは、有人宇宙環境における多種類の有害ガスを許容濃度より十分に低い検出限界で分析できた。今後は、より実用的な条件で動作できるよう改良を進め、将来的には宇宙での実証実験を目指していきたい。また、製品プロトタイプとして開発した手に平サイズGCの“Sylph”は、日本酒のヘッドスペースガス分析より各銘柄の特徴的な香りの違いを評価できた。本機は、食品分野に関わらず、現場での多種類のガスの分析に貢献できると期待できる。なお、Sylphは2021年から原理検証のためのプロトタイプの提供を開始している。



参考文献

  • 7) P. H. Haarhoff and H. J. Van der Linde, “Concentration Dependence of Elution Curves in Non-Ideal Gas Chromatography,” Anal. Chem., Vol. 38, No. 4, 1966, pp. 573-582.
  • 8) S. Akao, T. Iwaya T. Okano, N. Takeda, Y. Tsukahara, T. Oizumi, H. Fukushi, T. Tanaka, M. Sugawara, T. Tsuji, A. Takeda, K. Suzuki, S. Miyagawa, and K. Yamanaka, “Odorant analysis of sake using a palm sized ball SAW gas chromatograph,” Proc. 42nd Symp. Ultrasonic. Electronics, 2021, 3Pb2-3.


【著者紹介】
岩谷 隆光 (いわや たかみつ)
ボールウェーブ株式会社 研究開発本部

■略歴
2010年3月 東北大学工学部材料科学総合学科卒業
2012年3月 同大学修士課程修了
2012年4月 株式会社LIXIL入社
2019年1月 ボールウェーブ株式会社入社、現在に至る

PASCO、暮らしの安全をまもるIoTインフラ遠隔監視サービス

(株)パスコは、人工衛星や航空機、ドローン、専用車両、船舶などに搭載したセンサを活用して計測し、経年変化などの分析結果から、社会課題の解決に向けたサービスを提供している。

 このたびパスコは、老朽化が危惧されるインフラの1つである道路橋の監視に有効なIoT技術を用いたセンサと、本センサを活用したIoTインフラ遠隔監視サービス「Infra Eye(インフラアイ)」を開発した。本サービスは、センサのレンタル・メンテナンス、データ通信・データ閲覧サービスを含めた定額制サービスとして、2023年4月より提供を開始する。

■背景
 高度経済成長期に集中的に整備された道路橋やトンネル・河川・上下水道・港湾などのインフラは、急速な老朽化が危惧されている。インフラの老朽化対策は国を挙げて取り組む社会課題の一つであり、効果的な維持管理・更新が求められている。インフラの中でも、道路橋は約73万橋もあり、そのうち約55%が2030年3月には建設後50年以上経過すると言われている。(※1)
 道路橋の安全確保のため、道路管理者には5年に1度の法定点検に加え、目視などによる巡回監視も求められている。2019年2月には、道路橋定期点検要領に道路橋の点検結果による措置として「監視(モニタリング)」が明確に位置づけされた。しかしながら、職員不足の問題や管理区域が広く、巡回のための移動やこれに係る時間が道路管理者にとって大きな負担となることが懸念されている。
 ※1:国土交通省 第28回社会資本メンテナンス戦略小委員会資料より(2022年4月)

■IoTインフラ遠隔監視サービスについて
 本サービスは、自社開発したセンサを道路橋の桁端部と橋台をまたぐ形で設置し、遊間離隔(※2)を24時間センサで計測・記録する遠隔監視サービス(※3)。計測結果は、インターネットを介して、毎日、管理者のもとに提供するとともに、日常的な変位量を越えた値を計測(※4)した際には、自動で利用者にメールを発信する。(特許及び意匠出願中)
 本サービスでは設置するセンサをレンタル提供とし、初期費用(設置費込み)と定額費用による契約方式を採用する予定(※5)。定額費用には、センサのレンタル料、通信料、センサの故障修理、メンテンナンス、計測結果が確認できるWebシステムの利用料をパッケージにする予定である。
 ※2:桁と橋台の胸壁や桁同士がぶつかって損傷が起きないよう設けられる隙間の幅
 ※3:本サービスは橋梁全体の健全性を知らせするものではない
 ※4:一定期間計測し日常的な変位の値を確認し、しきい値(境界値)を設定(センサごとに設定)
 ※5:本発表時点では価格未定

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000027890.html

NACS-JとNikon、AIを使った動物画像の自動検出アプリを共同開発

日本自然保護協会(以下、NACS-J)は、(株)ニコンと事業連携し、センサーカメラで撮影した画像から動物を自動検出するアプリを共同開発した。

本アプリの開発は、NACS-Jが取り組む野生動物のモニタリング調査において、数万枚におよぶセンサカメラの画像データから、動物が写っている画像と写っていない画像を目視で判別するのにかかっていた膨大な時間の短縮を目指したもの。2021年4月から行った実証実験では、「動物が写っていない」とアプリが判別した画像の検出精度は、99.6%を達成した。
 これにより、画像データの仕分けに要していた労力と時間の大幅な削減を実現した。この結果を踏まえ、2022年4月からは本アプリを活用する対象地点を増やし、さらなる労力削減と作業効率化に努めるという。

NACS-Jは、全国の活動地で自然環境のモニタリングを実施している。モニタリングでは、センサカメラを使った動物の調査も実施しており、撮影枚数が年間で数万枚に及ぶ活動地もある。

センサカメラは熱を発する動物の動きに反応して撮影するものだが、風による植物の揺れなどに反応して、動物が写っていない写真を撮影することが多くある。これまで撮影した写真に動物が写っているかどうかの判別は、人の目でチェックしており、膨大な労力と時間を要していた。

NACS-Jとニコンは2018年6月から、センサカメラ画像に対する動物検出技術の共同研究をスタートした。ニコンは、NACS-Jが群馬県みなかみ町で取り組む生物多様性の復元と持続的な地域づくりを目指すプロジェクト「赤谷プロジェクト」の活動を2006年から継続的に支援している。ニコンが同社らしい協力の方法を模索するなかで、NACS-Jから協力を打診したことをきっかけに共同研究をスタート、今回のアプリの開発に至ったとのこと。

ニュースリリースサイト:https://www.nacsj.or.jp/partner/2022/07/31203/

ST、消費電力と測距性能が大幅向上の次世代マルチゾーン対応ダイレクトToF測距センサ

 STマイクロエレクトロニクスは、スマートフォンのカメラ管理および拡張現実(AR) / 仮想現実(VR)に最適なFlightSense™ ToF(Time-of-Flight)測距センサ「VL53L8」を発表した。
同製品は、多くの主要コンポーネントが大幅に強化されており、従来製品と比較して大きく向上した測距性能(あらゆる屋内ゾーンで最大4m)を実現している。また、一般的な条件下での動作における消費電力が半減している。

VL53L8は、Metalenz社との協力によって開発された世界初の光学メタサーフェス技術により、単層でより多くの光を光学システムに集めるとともに、複数の機能を提供することができる。そのため、スマートフォンなどの機器の小型化に貢献すると同時に、新たなセンシング方式を実現することができる。

VL53L8は、スマートフォンやタブレットの前面 / 背面カメラをはじめ、スマート・スピーカやAR / VR / MR機器などのパーソナル電子機器向けアクセサリに最適である。前面カメラ・アプリケーションには対象物の追跡やジェスチャ認識が含まれ、背面カメラ・アプリケーションには、レーザー・オートフォーカス、カメラ選択、タッチ・ツー・フォーカス、フラッシュ調光が含まれる。VL53L8は、低照度条件においてもこれらの機能に大きなメリットを提供する。また、屋内外での検出やスマート・フォーカス・ブラケティング、コンスーマ用LiDARなど、深度マッピングが求められるアプリケーションにも最適である。

技術情報

VL53L8は、940nmの高出力VCSEL(2)光源、VCSELドライバを集積したシステム・オン・チップ・センサ、SPAD(3)の受光アレイ、低消費電力32bitマイクロコントローラを集積したセンサ・モジュールで、送信 / 受信開口部にメタサーフェス・レンズ技術を採用している。「VL53L5」と同様に、16(4 x 4)または64(8 x 8)のマルチゾーン測距に対応し、安定した高精度の測距性能を実現する。

VL53L8は、VL53L5を含むSTの従来製品で実現されたイノベーションをさらに発展させた次世代のToF測距センサ。高効率の回折光学メタサーフェス・レンズ技術を採用しており、STのクロル工場(フランス、300mm工程)で製造されている。前世代より高性能の新しいVCSELドライバに高効率VCSELを組み合わせているため、同等の条件でVL53L5から大きく向上した測距性能を達成、または消費電力を半減することができる。この性能は、同じ視野角と出力測距ゾーン(60fpsで4×4または15fpsで8×8)を維持したままで実現されている。単一のリフロー型コンポーネントで提供され、1.2Vおよび1.8VのI/O互換性を備えているとともに、ホスト・プロセッサに要求される負荷が従来製品と比べて大幅に軽減されている。これにより、簡単にシステム統合を行うことができる。

VL53L8は、STのすべてのFlightSense ToF測距センサと同様に、IEC 60825-1 Class 1認証を取得している。先進的なレンズ取外し検出システムを備えているため、コンスーマ機器において目の安全を確保することができる。

VL53L8は、現在先行顧客向けに提供を開始している。価格およびサンプル提供については、STのセールス・オフィスまたは販売代理店までお問い合わせのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001244.000001337.html

ST、センサ内部でのAI学習を実現するMEMSモーション・センサを発表

 STマイクロエレクトロニクスは、インテリジェント・センサ・プロセッシング・ユニット(ISPU)を搭載した、新しいMEMSモーション・センサ「ISM330ISN」を発表した。同製品は、学習済みデバイスとともに高度な処理機能をエッジ周辺からエッジ内に移行し、オンライフ時代の実現に貢献するという。

ISM330ISNは、状態や動作を検出する常時オンの6軸MEMSモーション・センサ。組込みAI機能を使用することで、サイズや消費電力において、きわめて優れた性能・精度を実現する。IoT機器や産業機器に最適で、予知保全用の状態モニタ機器、バッテリ駆動のアセット・トラッキング機器、ロボットなどの産業アプリケーションにおいて、応答時間の短縮やバッテリ寿命の延長に貢献する。

ISM330ISNには、AI機能が組み込まれているため、IoT機器が外部マイクロコントローラ(マイコン)に接続することなく、センサ内部で先進的なモーション検出機能を処理することができ、システム全体の消費電力削減に貢献する。ISM330ISNは、センサ・チップ上に機械学習アプリケーションに最適化された専用プロセッサであるISPUを集積している。これにより、センサとマイコンを1パッケージに集積する場合と比べて、実装面積および消費電力を約50%削減している。

ISPUは、STのオンデバイス学習ソリューション用ソフトウェア・ツール「NanoEdge AI Studio」を使用してプログラミングすることができる。STM32マイコンにおける組込みAIアプリケーション実装で幅広く使用されている NanoEdge AI Studio がISPUにも対応し、最適化された機械学習ライブラリを簡単に自動生成できるようになった。また、データ・サイエンスに関する専門知識が無くても、最小限のデータとわずか数クリックの操作で、ISPU内部にAI学習機能を組み込んだ異常検知用ライブラリの設計も可能。

ISM330ISNは、革新的なAI機能を備えつつ、従来と同じサイズのパッケージ(3 x 2.5 x 0.83mm)で提供される。そのため、既存の回路基板レイアウトを変更することなく、低コストかつ迅速に製品をアップグレード可能。
ISM330ISNは、STの10年間の長期製品供給保証プログラムの対象製品。 システムの設計者や製造者に長期的な製品供給を保証している。

ISM330ISNは、2022年後半に量産が開始され、STのウェブサイトまたは販売代理店で提供される予定である。単価は、1000個購入時に約3.48ドル。ISPU用に設計されたライブラリを作成できるNanoEdge AI Studioは、STのウェブサイトから無償で入手可能。STのセールス・オフィスまたは販売代理店までお問い合わせのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001246.000001337.html

ルートレック、Kubota Incubation Farmのトマト養液栽培スマート実証に参画

 (株)ルートレック・ネットワークスは、オープンイノベーションを活用したクボタの実証農場「Kubota Incubation Farm」におけるハウス栽培のスマート化の取り組み(以下本取り組み)に参加している。この度、昨年のアスパラガス栽培のスマート化実証に続き、トマト栽培のスマート化実証にも「養液栽培の排液量の最小化と再利用」をテーマに参画する。


■「Kubota Incubation Farm」におけるハウス栽培のスマート化の取り組みについて
 本取り組みは2021年7月に、(株)クボタ、inaho(株)、(株)オプティム、(株)ルートレック・ネットワークス、(株)レグミン、(株)関東甲信クボタの6社で開始した、ハウス栽培のスマート化に向けた実証実験である。参画企業各社が保有するロボットやAI等を活用した自動化ソリューションを持ち寄ることで、潅水(水やり)、施肥、防除(病害虫の予防・駆除)、収穫といった各栽培工程で収集するデータを相互利活用できる実証環境を構築し、新たなソリューションの開発を目指している。

■今回のスマート化実証の概要
 ハウスでのトマト栽培は、半年以上に亘って収穫期が続くため、生育を良い状態に保ち続けることが大切である。このため、状況に応じたきめ細かい水・肥料やり、防除などの管理作業を行う必要があるが、その多くは農家の知識と経験、そして手作業に依存している。今回のスマート化実証においては、パートナー企業が持ち寄る先端技術を活用し、トマト栽培のスマート化ソリューションを開発する。また、農家の軽労化や栽培の最適化に加え、農業における環境負荷低減などにも取り組んでいく。

■同社の本実証での取り組み
 ゼロアグリは、AIを用いた潅水施肥の自動化を行い、作物に必要な最小限の水と肥料の供給を行うことが可能。この機能により、農家の軽労化や栽培の最適化による農業経営の改善に加えて環境負荷低減(減肥による温室効果ガスの低減)にも貢献する。

 今回のスマート化実証において、ゼロアグリはトマトの隔離培地による養液栽培における「排液量の最少化と再利用」の栽培モデルの実証を主に行う。

 養液栽培は、水管理の均一性と土壌病害の軽減が可能となる一方で、培土中で保水しきれず発生する余剰排液(トマトの場合は潅水量に対して平均20~30%)分の資材消耗と、排液放流による水質汚濁などの環境破壊の問題が顕在化している。この余剰排液率の最少化とそれに対応した潅水・排液管理方法の確立を目指し、高騰する肥料コストの抑制、及び発生した余剰排液の再利用による環境負荷軽減に取り組むとのこと。

■ゼロアグリとは
 センサ情報や気象情報を元に作物にとって最適な潅水量と施肥量をAIが判断し自動で供給することができる、IoT技術を活用した潅水施肥システム。自動化による大幅な省力化、潅水施肥の安定による作物の収量および品質の向上、減肥効果等の実現が可能。2015年より国内外への本格出荷を開始し、現在全国の農家・農業試験場にて累計300台以上導入されているという。

ニュースリリースサイト(routrek):https://www.routrek.co.jp/news/kubotaincubationfarm-tomato/

KELK、温度差5℃から動作する 電池レスIoT振動センサーデバイス

(株)KELKは、、エネルギーハーベスティング(※1)により、わずか5℃の温度差(※2)から動作する新製品の電池レスIoT振動センサデバイス『熱電EH振動センサーデバイス KELGEN(ケルジェン) SD KSGD-SV』を発表した。

 新製品は、モーターに置くだけで、排熱により上昇したモーター表面の温度と外気との温度差5℃から自己発電で動作し、回転機器の振動をセンシングする。速度RMSタイプのKSGD-SV8では、温度差5℃の条件下において、45分間の蓄電後に測定を一回実施する(表1)。
従来の温度差10℃から動作する製品に比べ、大幅に小さな温度差で動作する電池レスIoT振動センサデバイスは、間欠動作の回転機器や大型のモーターなどからの排熱による、より小さな温度差で自己発電し、安定して振動を測定する。また、コールドスタート時の測定開始時間を短縮する。

■電池レスIoTデバイスによる設備モニタリングシステム
 設備の老朽化や熟練保全技能者不足が進む設備の保全において、突発的な故障による機会損失の防止と修繕費用や点検費用の削減のため、センサにより測定したデータを活用した故障予兆の検知により、適切なタイミングで設備の保全を行う予知保全(CBM ※4)が求められている。特に、設備故障原因の約半数を占める回転機器においては、異常発生後の早い段階に現れる振動の異常を検知する設備モニタリングシステムによるCBMが求められています。しかし、設備モニタリングシステムの初期費用と運用費用の課題によりCBMは普及が進んでおらず、多くの設備において保全員による巡回点検が続いている。
 KELKは、モーターに置くだけで、わずか5℃の温度差から動作する、配線工事と電池交換が不要な 電池レス『熱電EH振動センサーデバイス KELGEN SD KSGD-SV』と、汎用PC上でビッグデータの統計演算とグラフ化を高速に実行する『設備状況見える化ソフトウェアSDM-Plus』をシームレスにつなげる設備モニタリングシステム『KELGEN SDシステム』により、IoTデバイスによる設備モニタリングシステムの初期費用と運用費用を大幅に低減した。『KELGEN SDシステム』は、設備保全のCBM化と保全員による巡回点検の削減を推進し、設備保全の生産性向上に貢献するという。

■KELGEN SDについて
 周囲の環境からのエネルギーハーベスティングにより動作する電池レスIoT振動センサ『熱電EH振動センサーデバイス KELGEN SD KSGD-SV』は、日本プラントメンテナンス協会が主催する2020年の TPM優秀商品賞 開発賞、および、モノづくり日本会議(※5)と日刊工業新聞社が主催する2020年の“超”モノづくり部品大賞 電気・電子部品賞を受賞した。

※1 エネルギーハーベスティング:EH。環境発電。環境中の微小なエネルギー(熱,光,振動,電波,等)から電力を得る技術。
※2 温度差: KELGEN SD電源部の受熱側の表面温度と、無風状態での雰囲気(外気)温度との温度差
※3 エンベロープ処理:振動波形の振幅成分を包絡線(エンベロープ:Envelope)で外挿し、振幅の外形を取り出す処理方法。高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)することで、衝撃波の周波数分析ができる。
※4 予知保全(CBM):Condition Based Maintenance。設備の劣化状態を把握・予知して部品の交換や整備を行う状態基準保全。予防保全に比べ約10%のメンテナンスコスト削減、設備のダウンタイム削減等の効果がある (出典:米国エネルギー省 Operations & Maintenance Best Practices)
※5 モノづくり日本会議:日本のノづくり産業の発展・競争力強化を図ることを目的とした約2000社が参加する経済産業団体。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000060621.html

国内初となるスマート保安(電気保安分野)の技術カタログを公開

 独立行政法人 製品評価技術基盤機構〔NITE〕は、電気設備の定期点検や異常有無の確認などを最新の技術を用いて効率化・高度化できる新たな技術を掲載したスマート保安技術カタログ(以下「技術カタログ」という。)をHP上で公開した。

 今回、第1号案件『高圧絶縁設備の常時監視(技術区分:IoTセンサー)』としてカタログに掲載した保安技術は、特別高圧受電設備に対し各種センサーを用いて絶縁状態等を通信にて常時監視することができる技術である。本技術は、学識経験者等から構成されるスマート保安プロモーション委員会において、従来の電気設備保安技術を代替できるものとして技術評価が終了している。このため、本技術を使用する電気設備需要家は、これまでの停電年次点検を1年に1回から3年に1回に延伸することが可能となり、年間の保安点検費用を大幅に削減することが可能になる。
 NITEは今後も、スマート保安プロモーション委員会で代替性・実効性・経済性などを確認した有用なスマート保安技術を「技術カタログ」としてとりまとめ、関係業界等に対してスマート保安技術の普及啓発活動を行っていくとともに、行政事務の効率化や規制の見直しに繋がる提言を積極的に行っていくという。

スマート保安のサイト(NITE):https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan.html