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バックパック型3次元マッピングシステム「SEAMS(シームス)」販売開始

アイサンテクノロジー(株)は、(株)マップフォーが開発をした、バックパック型3次元マッピングシステム「SEAMS(シームス)」の販売を開始した。

SEAMS(Small,Easy & All-around Mapping System)は、バックパック型の本体に、3DLiDARやカメラ、各種センサを搭載し、歩きながら周囲環境(全周360度)の3次元点群データを取得するシステム。SLAM技術※を用いているため、GNSS による位置情報が得られない場所でも、正確な位置情報を取得できる。

※SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)とは、レーザー点群から環境地図を作成するのと同時に特徴点をマッチングして自己位置推定する技術の事で、屋内などの環境でも自己位置推定を行うことができる。

【製品の概要】 本システムは、マップフォーが自動運転の分野で培った技術より開発した三次元点群計測機を用い計測を行うことができる。
●3D LiDAR、IMU、GNSS、カメラを搭載
●場所を問わず、計測可能
●耐振動性
●軽量
●コンパクト
●直感的なUI
バックパック型の為、車両が進入できない狭路や、走行が難しい場所でも、歩行することで安全に計測をすることが出来る。また、計測機器の設置が困難な場所や、人の往来が激しい都市部などの計測にも有効である。

【製品の特長】
●SLAM技術を採用している為、衛星不可視状態でも計測できる。屋内、工場等の施設の計測も可能。
●機動性が高く、車両の乗り入れが出来ない場所での計測も可能となり、従来のモービルマッピングシステム、固定式レーザースキャナーとは違った計測機として活用できる。

また、アイサンテクノロジーの点群編集システム「WingEarth(ウイングアース)」を用いることにより、データ収集から地図作成までトータルで業務を支援する。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000050415.html

世界最高レベルの解像度レーザー光切断プロファイルセンサ「Gocator2600」シリーズ

(株)リンクスは、2022年7月28日より、一体型センサとしては世界最高レベルの解像度を誇るレーザー光切断プロファイルセンサ「Gocator(ゴケイター)2600」シリーズの提供を開始する。

リンクスは、2015年より、世界を代表する3次元センサのメーカーであるカナダのLMI Technologies(エルエムアイテクノロジーズ)社と、日本国内市場におけるGocatorシリーズの独占販売契約を締結している。
そして日本市場において、光切断プロファイルセンサである 「Gocator 2000シリーズ」と、縞投影エリアセンサである「Gocator 3000シリーズ」を販売してきた。

今回、新たに提供を開始するレーザー光切断プロファイルセンサ「Gocator2600シリーズ」は、1ラインあたり4200ポイントのスキャンが可能で、広い視野範囲で精密な3D測定を行うことができる。また、これまでは、複数台並べて撮影していた場合であっても、1台のセンサで複数台分をカバーすることができるようになる。
さらに、「Gocator 2600」シリーズは、特に電気電子部品の製造現場やアセンブリ検査でその効果を発揮する。例えば、プリント基板の外観検査においては、基板上で小さなパーツまで鮮明に捉えることができる。
また、幅広いコンベアを流れる食品の製造ラインでは列ごと撮影し、内蔵の計測ツールで各々の体積やサイズを計測することができる。建材や自動車ボディなど大型の対象物では、これまで複数台のセンサを組み合わせて検査していた工程を1台に減らすことで、システムもシンプル化し、トータルでの開発コストの削減につながる。加えて、複数台センサによる撮影で課題となるレーザー干渉を考慮する必要がないため、スキャン速度が改善されるとのこと。
「Gocator2600」シリーズは、主に、食品製造業界や自動車製造業界、住宅・ビル建材業界への導入を目指すという。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000064798.html

STのエッジAI開発ツールが機械学習および推論機能搭載MEMSセンサに対応

 STマイクロエレクトロニクスは、機械学習ライブラリ開発用ツール「NanoEdge AI Studio」を拡張し、インテリジェント・センサ・プロセッシング・ユニット(ISPU)搭載のMEMSセンサに対応させたことを発表した。これにより、NanoEdge AI Studio独自の機能が拡充され、ISPU内部で追加学習できる異常検知用のAIライブラリを設計できるようになるとのこと。

NanoEdge AI Studioを使用することで、マイクロコントローラ(マイコン)やISPU搭載センサなど、さまざまな製品に推論機能を実装し、アプリケーションの消費電力を大幅に削減することができる。ISPUを内蔵した常時オンのMEMSセンサは、異常を検知した場合のみマイコンを起動させることで、超低消費電力でイベント検知を実行可能である。

NanoEdge AI Studioは、包括的なエンド・ツー・エンドの自動化ワークフローを提供し、異常検知、分類、回帰といった高度なAIアルゴリズム開発の大幅な簡略化に貢献する。マイコンやセンサに学習機能を実装することで、利便性や効率が向上するだけでなく、実装前の学習に必要な大量のデータセットが不要になる。また、インクリメンタル学習もサポートしているため、部分的に学習させたAIモデルの補完にも柔軟に対応できる。

NanoEdge AI Studioで生成したライブラリは、 Arm® Cortex®-M0 を搭載するエントリ・レベルのマイコンから、 Cortex-M7搭載の高性能マイコンまで、あらゆるSTM32マイコンで動作させることができる。新たに対応したISPU内蔵センサには、最新の6軸MEMSモーション・センサ「ISM330ISN」が含まれる。

NanoEdge AI Studioの最新バージョンは、2022年6月末にリリースされた。組込みAI開発において、専用ハードウェア、ソフトウェア、ツール、サンプル・コード、および開発者向けの技術サポートとトレーニングを組み合わせた独自のサポートを提供する。
NanoEdge AI Studioは、ISPUの製品番号を指定してライブラリを作成することもできる。同ツールは、STのウェブサイトから入手可能。STのセールス・オフィスまたは販売代理店までお問い合わせのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001250.000001337.html

ams OSRAM、新しいMira220グローバルシャッターイメージセンサ

ams OSRAMは、バーチャルリアリティ(VR)ヘッドセット、スマートグラス、ドローン、その他の民生用および産業用アプリケーション向けの最新2D/3Dセンシングシステムに求められる低消費電力特性と小型化を実現した、220万画素グローバルシャッター可視光・近赤外(NIR)イメージセンサを発表した。

新規開発されたMira220は、パイプライン型高感度グローバルシャッターイメージセンサ、Miraファミリーの最新製品。ams OSRAMは、Mira220に裏面照射(BSI)技術を採用し、デジタル/リードアウト層の上にセンサ層を重ねた積層チップ設計を実現した。これにより、Mira220をわずか5.3mm×5.3mmのチップサイズパッケージで生産することが可能になり、スマートグラスやVRヘッドセットなど、スペースに制約のある製品の設計をより自由に最適化できるようになる。

このセンサは、優れた光学性能と超低消費電力の動作を兼ね備えている。Mira220は、高いS/N比に加え、多くの2Dおよび3Dセンシングシステムで使用される940nmのNIR波長において、社内テストで38%に達する高い量子効率を実現している。NIRイメージセンサを必要とするストラクチャードライトやアクティブステレオビジョンなどの3Dセンシング技術は、視線や手の追跡、物体検出、深度マッピングなどの機能を実現する。Mira220は、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)製品、ドローンやロボット、無人搬送車などの産業用アプリケーション、スマートドアロックなどの民生用デバイスにおける2Dまたは3Dセンシングの実装をサポートする。

Mira220の高い量子効率により、開発者は2Dおよび3Dセンシングシステムでイメージセンサと共に使用される近赤外線照明装置の出力電力を削減し、総消費電力を削減することができる。Mira220は、スリープモードでわずか4mW、アイドルモードで40mW、フル解像度および90fpsでセンサの消費電力が350mWと非常に低消費電力であることが特徴。Mira220は、システムの低消費電力化を実現することで、ウェアラブル機器やポータブル機器のメーカーが、より小さなバッテリーでスペースを節約したり、バッテリー駆動時の動作時間を延長したりすることを可能にする。

優れた画素技術
Mira220 は、高度な裏面照射(BSI)技術により、2.79μmの画素サイズで非常に高い感度と量子効率を実現している。有効解像度は1600px×1400px、最大ビット深度は12bit。センサは1/2.7インチの光学サイズで提供される。

このセンサは、外部トリガー、ウィンドウイング、水平または垂直ミラーリングなどのオンチップ機能をサポートしている。MIPI CSI-2インターフェースにより、プロセッサやFPGAとのインターフェースが容易。I2Cインターフェース経由でオンチップレジスタにアクセスし、簡単にセンサの状態を設定できる。

デジタル相関二重サンプリング(CDS)と行ノイズ補正により、優れたノイズパフォーマンスを実現する。

※本プレスリリースは、2022年7月14日にオーストリア・プレムシュテッテンで発表したプレスリリースの抄訳版。

プレスリリースサイト:https://www.dreamnews.jp/press/0000263039/

地温計測とAI未来予測で、最適な土壌環境へ「NileBank」

(株)ナイルワークスは、農業DXを推進している。農業現場における様々なデータを計測し、AI技術を活用した分析ソリューションの開発を進めている。


▮地温計測が、消毒効果の判断材料に
病原菌が死滅するのに必要な温度条件は様々だが、多くの菌が死滅するためには、一定時間以上、地温40℃以上が続く必要があると考えられている。太陽熱消毒(※)の際、センサにより、継続的に地温・気温を計測することで、病原菌に対する消毒効果や期間を判断する材料につながる。

※太陽熱消毒とは―
太陽熱エネルギーにより地温が上昇することで、病原菌や雑草の種子などを死滅させる防除技術。土壌の微生物相を残したまま消毒することができ、農薬の使用量・コスト削減にもつながる。

▮地温・気温・気象・土質データを組み合わせ、AIで未来を予測
ナイルワークスでは、2021年より、ビニールハウスでの太陽熱消毒、およびピーマン栽培におけるデータ利活用の実証実験に取り組んでいる。太陽熱消毒においては、センサで地温を計測することにより、消毒効果や期間の判断に役立つことが分かった。さらに、センサで計測した地温・気温と、気象や土質データを組み合わせ、土壌環境の詳細な分析モデルの開発を進めています。AI技術で未来をシミュレーションすることにより、資材選定などの栽培計画に活かすことができる。また、様々な土壌パターンでシミュレーションすることが可能であり、それぞれの状況に応じた肥沃な土づくりや環境負荷の軽減に貢献できるとしている。

▮「NileBank(ナイルバンク)」でデータ管理 ― トライアルキャンペーン実施 ―
センサで計測した地温・気温などのデータは、ナイルワークスが展開するデジタル農業プラットフォーム「NileBank」に蓄積。農業における各種データをデジタル情報として一元管理できるサービスである。煩雑で手間のかかるアナログ管理から脱却し、クラウド上で必要な情報をスムーズに閲覧することができる。リアルタイムで、関係者と情報共有することも可能なので、営農指導にも活用できる。
なお、技術を体感して貰うために、数量限定で「NileBank」のトライアルキャンペーンを実施中。

プレスリリースサイト(nileworks):https://www.nileworks.co.jp/news/press/20220722-22.html

エレクトロスピニング法で紡いだ酵素糸メッシュでガス成分の直接可視化に成功

 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 センサ医工学分野の三林教授と飯谷助教の研究グループは、早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科 武田教授の研究グループとの共同研究で、非侵襲に疾患診断や代謝評価を行うための「生体ガス計測用の新規バイオセンサ用酵素メッシュ」を開発した。
 酵素や補酵素を含んだ水溶性高分子溶液をエレクトロスピニング法により繊維化することで、通常は溶液中で活性を示す酵素を、乾燥した「エレクトロスピニング酵素糸」中で用いることが可能となり、生体ガス計測用バイオセンサの実用化の促進が期待できる。
 この研究は文部科学省科学研究費補助金ならびに生体医歯工学共同研究拠点、大川情報通信基金研究助成、三菱マテリアル株式会社—早稲田大学理工学術院包括協定研究助成、早稲田大学特定課題研究助成費、JST・SCORE 大学推進型の支援のもとで行われた内容で、その研究成果は、国際科学誌Biosensors and Bioelectronics(バイオセンサーズアンドバイオエレクトロニクス)に、2022年6月7日にオンライン版で発表された。


プレスリリースサイト(tmd.ac):https://www.tmd.ac.jp/press-release/20220720-2/

ポータブル型ガス検知用カメラ「EyeCGas」シリーズの販売開始

 2022年7月、(株)アイ・アール・システムは、イスラエルのOpgal Optronic Industries社製品の取り扱いを開始した。
 カーボンニュートラルへの各社の取り組みが活発化する中、プラントやパイプラインにおける、目視では確認できないガス漏れをカメラで検知する最新技術への期待が高まっている。OPGAL社が開発したガス検知用カメラ「EyeCGas」シリーズは、無色透明なメタンやプロパンなどの可燃性ガスや、一酸化炭素やアンモニアなどの有毒なガスを可視化することが可能で、安全対策として大きな効果が期待されるという。
【製鉄、石油、発電プラントへの活用】
 「EyeCGas」シリーズは、製鉄や石油、発電プラントにて使用、製造されているガスの中でも、温室効果や可燃性、有毒性をもったガスの検知を目的としている。ガスの検知は固定設置型のセンサやポータブル式のガス検知器を用いて行われてきたが、それらの方法ではセンサや検知器にガスが接触しないと検知出来ないため、 作業員が危険なガスが発生しているエリアに立ち入らざるを得なかったり、漏洩箇所の特定に時間がかかったりといった課題があった。
 しかし、ガスをカメラで可視化することでガスを遠隔から検知し危険なガスを事前に察知でき、また、ガスの漏洩箇所を容易に発見することが可能となった。

【専用ソフトで漏洩ガスの定量化】  ガス検知用カメラ「EyeCGas」で撮影した映像を基に、専用ソフトウェア「EyeCSite」で漏洩ガスの流量や濃度を計測することが可能。漏洩ガスを定量化することは、危険度や設備修復の目安の把握において有力な助けになる。

【製品概要】
名称     Opgal Optronic Industries社製「EyeCGas」シリーズ

検知可能ガス EyeCGas2.0:メタン、プロパン、ブタンなどの炭化水素系、二酸化炭素(要フィルター交換)等
       EyeCGas CO:一酸化炭素など
       EyeCGas MINI:アンモニア、六フッ化硫黄など

寸法     EyeCGas 2.0、EyeCGas CO:幅130×奥行230×高さ110mm
       EyeCGas MINI:お問い合わせください

重量     EyeCGas 2.0:2,600g
       EyeCGas CO:2,300g
       EyeCGas MINI:お問い合わせください

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000064714.html

ドローン搭載型ガス検知用カメラ「OGI640」の点検サービス開始

 2022年7月、(株)アイ・アール・システムは、ドローン搭載型のガス検知用カメラ「OGI640」によるガス漏れ箇所を発見するサービスの提供を開始した。
 カーボンニュートラルへの各社の取り組みが活発化する中、プラントやパイプラインにおける、目視では確認出来ないガス漏れを上空からカメラで検知する最新技術への期待が高まっている。本カメラはメタンやプロパンなどの無色透明な可燃性ガスを可視化することが出来、安全対策として大きな効果が期待されるという。

【製鉄、石油、発電プラントへの活用】
 「OGI640」は、製鉄や石油、発電プラントにて多く使用、製造されているメタンなどの炭化水素系ガスを検知する。ガスの検知は固定設置型のセンサやポータブル式のガス検知器を用いて行われてきたが、それらの方法ではセンサや検知器にガスが接触しないと検知出来ないため、作業員が危険なガスが発生しているエリアに立ち入らざるを得なかったり、漏洩箇所の特定に時間がかかったりといった課題があった。
 しかし、ガスをカメラで可視化することでガスを遠方から検知出来るため、危険なガスを事前に察知すること、また、ガスの漏洩箇所を容易に発見することが可能となった。

【DJI社製のMatriceシリーズに簡単接続】
 本カメラは中国の大手ドローンメーカーであるDJI社製のMatriceシリーズ向けにカスタマイズされており、Matriceのポートに接続することでドローンからの電源供給を受け、カメラ映像をドローンの映像伝送システムにのせて地上へ伝送することが出来る。

【製品概要】
名称     LinkedAll Products社製「OGI 640」
対応ドローン Matrice 300 RTKなど
検知可能ガス メタン、プロパン、ブタンなどの炭化水素系ガス
サイズ    幅71×奥行148×高さ73mm
重量     約1,150g
画素数    640×512
焦点距離   25mm
検知波長   3.2~3.42μm

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000064714.html

セルラー通信式浸水センサ( KAMEKER3 )を石川県小松市で試験運用開始。

石川県小松市は、2022年7月から「道路冠水の可能性があるアンダーパス」「排水ポンプ施設」「住宅地内の重点監視水路」など3カ所にセルラー通信式浸水検知センサ(KAMEKER3)を設置し、水害発生時に職員の初動対応を迅速に行うための試験運用を開始した。

■展開背景
近年、日本全国で水害が多発しているなか、各自治体では危機管理型水位計等の機器設置が進められています。しかしながら、これらの機器は設置工事費を含めると1基数百万円になるものが多く、主要な河川等の限られた場所にのみ設置されているのが現状である。
亀岡電子が京都府福知山市で実施した市民へのヒアリング調査によると、「大きな河川の水位や、離れた場所の防災カメラ映像を見ても自分事にならず直接避難に繋がらない」「行政から河川水位情報や防災カメラ映像が提供されているが、ホームページを開いてわざわざ見る人は少ない」「もっと身近な場所の浸水情報を直接知らせてくれるようなセンサがあれば欲しい」という声が聞かれた。セルラー通信式浸水検知センサ(KAMEKER3)はそのような市民のニーズに応える形で、河川ではなく「冠水しやすい道路」や「住宅近くの水路」など、住民にとってより身近な場所の浸水を知らせるための「シンプルで安価なツール」として開発された。

■セルラー通信式浸水検知センサ(KAMEKER3)の特徴
KAMEKER3は、河川の水位を測るセンサではなく、内水氾濫時に早期に浸水する道路脇や、住宅近くの水路脇に設置することで、住民の避難に直結する「より身近な浸水情報」を提供するための商品である。
1.シンプルな機能
・浸水を検知したいポイントにセンサを固定するだけ。システムに関する知識や電気的な専門知識は不要。
2.圧倒的低価格
・他の防災用センサの10分の1程度のコストで導入可。
・ランニングコスト不要で5年間使用できる。
3.土木工事が不要
・乾電池式、セルラー通信式なので、電源引込工事、ネットワーク配線工事が不要。
4.LINEでアラート通知
・専用アプリではなく、広く普及しているLINEを活用。
5.浸水情報を地図上で見える化
・浸水している場所が地図上で赤く表示される。
6.市販の乾電池で2年以上稼働
・市販の単三電池3本、単四電池2本で2年以上稼働。※停電の影響なし。

■小松市における用途
1.アンダーパスの浸水状況を確認するために設置。
2.雨水が滞留しやすい小規模河川に設置されている排水ポンプの正常稼働を確認するために設置。
3.住宅地内の重点監視水路の危険水位を確認するために設置。
 小松市では、浸水を警戒する各地点に防災カメラを設置しているが、大雨時に複数のカメラを監視し続けることは運用上難しいという課題があった。今回、既に防災カメラが設置されている浸水警戒地点のうち3カ所にセルラー通信式浸水検知センサ(KAMEKER3)を設置した。設置したセンサから発信する浸水を知らせるLINE通知と同時に防災カメラ映像も確認できるようになるため、有事の初動対応がより迅速に行えることが期待されている。今期については、試験運用として市役所職員にのみ通知する方法で運用される。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000060321.html

ボールSAWセンサの原理(2)

ボールウェーブ(株)
取締役研究開発本部長
東北大学 名誉教授
山中 一司

3. ボールSAWセンサ

 図3(a)のボールSAWセンサの原理を示す。2,3) SAWの自然なコリメートビームは球の大円に沿った有限幅の円環状領域の中を伝わり、減衰せずに多数回周回する。伝搬経路上の感応膜への分子の吸収によるSAW伝搬特性の変化が周回ごとに積算されるので、50-100周後に検出すると、従来の弾性波センサより著しく高感度になる。図3(b)は直径1mmの水晶球を用いたボールSAWセンサの電子顕微鏡写真である。
 SAWセンサでは、高周波パルスで励起されたSAWが、ガス分子を吸収して弾性特性が変化した感応膜を通る際、振幅や位相が変化する性質を利用する。SAWのガスによる音速と減衰の変化は、

で表される。ここで、ms:薄膜の質量面密度、G’:薄膜の複素剛性率の実部、G”:その虚部、h:薄膜の厚さ、Rs:薄膜の面抵抗、εs:基板の誘電率、cm:質量負荷の比例定数、c_ve:粘弾性効果の比例定数、K:電気機械結合係数、V:基板の音速である。
 式(4)式の右辺第1項は質量負荷(mass loading)と呼ばれ、ガス分子の吸着による薄膜(または基板表面)の質量増加がSAW音速の低下をもたらすことを表す。SAW素子で共振子を構成するととなり、この感度はで表される。ST-cut 水晶基板のSAW共振子において、感度S=-1.32(Hz-cm2/μg)となることが知られている。この感度は水晶のQCMの感度と同程度だが、0=97MHzの場合、周波数変化の検出限界が1Hzとすると、質量負荷の検出限界は80pg/cm2となり、最高周波数が10MHz程度の一般的なQCMより極めて高感度である。これは高周波化が容易でないQCMにくらべ、100MHz程度の高周波化が容易なSAWセンサの利点である。
 式(4)の右辺第2項は弾性効果(弾性負荷; elastic loading)であり、ガス分子と感応膜(表面層)の相互作用(可逆的物理吸着、化学吸着)により、薄膜(表面層)が固くなると音速が増加することを表す。式(5)の第1項は、薄膜の粘弾性が増加して減衰が増加することを表す。
 式(4)の右辺第3項および式(5)の右辺第2項は、電気音響(Acoustoelectric;AE)効果を表す。一般に、圧電基板ではSAWによる歪みのため電界が発生し、分極電荷を引き戻そうとするが、これは見かけの弾性率向上をもたらす(圧電硬化)。しかしガス分子の吸着・吸収により薄膜の導電性が向上すると、電流が流れて圧電硬化を緩和し、弾性率を減少させて音速を低下させる。また、この電流によるエネルギー損失のためSAWの減衰が増加する。

図3ボールSAWセンサ (a)原理図 (b)電子顕微鏡写真
図3ボールSAWセンサ (a)原理図 (b)電子顕微鏡写真

 また感度が高いため、感応膜を薄くできるので、従来のSAWセンサより応答時間も顕著に短い。さらに、振幅応答が使いやすく、弾性波と分子の相互作用の多様性により振幅と位相が異なるメカニズムで変化するので、これらを使い分けることにより、計測対象以外のバックグランドガスの計測も可能になる。

4.ボールSAWセンサの解析

 ボールSAWセンサでは、周回の途中で散乱等による波形の変形が起きにくいので、多重周回する波形が精密に計算できる。IDTの構造や感応膜の物性と厚さを取り込んで、周回波形を計算する式が導かれている。6) すなわち、すだれ状電極(IDT)で発生した周回数nのバースト信号波形は

である。として、全波形をの実部で計算できる。ここで、L=2πα は球の周長、VR はゼロ周波数の音速、C は定数、A(k) はIDTのアレイ因子、kは波数、S(ω) は電気回路の周波数特性、 は角周波数、K0 はIDTによる波数の設計値、ΔV は電極や感応膜による音速分散(周波数依存性)の大きさ、は位相速度、α は減衰定数である。
 式(6)は、球の無回折伝搬により1周しても波面が保存されることを利用して、回折や反射の影響を省略できることが背景にある。反射損失を低減し3倍周波数の高調波を発生できるダブル電極IDTを用いた2周波数素子の図4(a)の測定波形と、図4(b)に示す計算波形を比較する。直径10mmの水晶素子に水素感応膜として厚さ40nmのPdNi膜を形成した結果、周波数分散が発生して39周目の波形では3次高調波が基本波より約1μsの群遅延を示す挙動が高精度に再現されている。

図4 SAWの周回波形(φ10mm水晶素子39周目)
図4 SAWの周回波形 (φ10mm水晶素子39周目)
(a)測定結果 (b)計算による再現


参考文献

  • 2) Yamanaka K, Ishikawa S, Nakaso N, Takeda N, Sim, D, Mihara T, Mizukami A, Satoh I, Akao S, Ebi Y, Tsukahara Y 2006 Ultramultiple roundtrips of surface acoustic wave on sphere realizing innovation of gas sensors IEEE Trans UFFC 53 793–801.
  • 3) 山中一司 2015 ボールSAWセンサを用いたガス中微量水分計測 応用物理 84, 218-223.
  • 6) Yamanaka K, Singh KJ, Iwata N, Abe T, Akao S, Tsukahara Y, Nakaso N. 2007 Acoustic dispersion in a ball-shaped surface acoustic wave device Appl. Phys. Lett. 90 214105


【著者紹介】
山中 一司(やまなか かずし)
ボールウェーブ(株) 取締役研究開発本部長
東北大学名誉教授

■略歴
1975年 東京大学工学部物理工学科卒業
1977年 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了(物理工学専攻)
1978年 通商産業省工業技術院機械技術研究所研究員
1987年 工学博士(東北大学)
1987年 カナダNRC工業技術研究所訪問研究員(兼任)
~88年
1997年 東北大学教授
2015年 東北大学名誉教授
2015年 ボールウェーブ株式会社取締役
現在に至る

超音波による材料評価・非破壊検査の研究および弾性表面波センサの研究に従事。1999年NEDOプロジェクトにて軸受球の非破壊検査の研究中に球の弾性表面波の自然なコリメートビームを発見、科学技術振興調整費研究にてボールSAW水素センサ、CRSETにて携帯型ガスクロを研究開発。1997年応用物理学会論文賞、2008年文部科学大臣表彰、山崎貞一賞受賞。東北大学名誉教授。