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ローム、1kW級の高出力赤外レーザーダイオード「RLD8BQAB3」を開発

 ローム(株)は、距離測定・空間認識用LiDAR*1)を搭載する車載ADAS(先進運転支援システム)向けなどをターゲットに、高出力半導体レーザーダイオード「RLD8BQAB3」を開発した。ドローンやロボット掃除機、AGV(無人搬送車)やサービスロボットなど民生・産業機器分野向けからサンプル供給を開始するという。

 新製品は、3D ToFシステム*2)用いて距離測定や空間認識を行うLiDAR向けに開発された、超小型面実装タイプの125W×8ch高出力赤外レーザーダイオードアレイである。高放熱基板に設けたサブマウント*3)上に、1素子で8個の発光エリア(各発光幅300µm)を有する赤外レーザーダイオードを設置。パッケージの発光面には、面実装タイプレーザーダイオードとしては業界初※のクリアガラスを用いたガラスキャップを採用しており、樹脂封止品などで生じがちなダイシング時の傷による光散乱の心配もなく、高いビーム品質を実現する。各発光エリアはカソードコモンで配線されており、発光ポイント数を増やせる個別発光から、業界最高レベル※の1kW級超高出力同時発光まで、アプリケーションに合わせた照射方法の選択を可能とする。

 また、従来からロームレーザーダイオードの特長である、発光幅における均一発光強度や波長の低温度依存性0.1nm/℃(一般品は0.26~0.28nm/℃程度)も継承しており、アレイ化によるチャネル間の発光強度低下領域を狭くできるほか、バンドパスフィルター*4)による太陽など外乱光ノイズの影響の極小化が可能で、LiDARの遠方検知・高精細化に寄与する。

 新製品は、2024年8月よりサンプル対応を開始している。生産拠点は前工程がローム(株)、後工程がローム・ワコー(株)となる。どちらの工程も車載品質マネジメント規格のIATF 16949*5)を取得済みである。また、本製品は2024年度中での車載対応(AEC-Q102*6)準拠)に向けた準備も進めているとのこと。

*1) LiDAR(ライダー)
  Light Detection And Rangingの略で、ToFシステム(光源およびToFセンサやイメージセンサ)などを用いて構成され、周囲の状況をセンシングするアプリケーションのこと。
*2) 3D ToFシステム
  ToFはTime of Flightの略称で、光源となる光の飛行時間を測ることで距離を割り出し、空間をセンシングする手法。それを用いて3D(3次元)の空間認識・距離測定を行うシステムのこと。
*3) サブマウント
  熱伝導の高い材料で作られた表面が平坦な小さな板状の取り付け台。
*4) バンドパスフィルター
  特定の光の波長帯の信号だけを通過させるフィルターのこと。オプティカルデバイスにおいては、バンドパスフィルターの範囲が狭ければ、ピーク波長に近い光のみを効率的に取り出すことができるため、太陽光などの外乱光ノイズの影響を極小化でき、同じ距離であれば低消費電力化が、同じ光出力であれば距離の伸長が可能となる。
*5) IATF 16949
  IATFはInternational Automotive Task Forceの略で、自動車産業の品質マネジメント規格の一つ。国際標準規格であるISO 9001をベースに、自動車産業固有の要求事項が追加されており、IATF 16949に準拠することで、自動車メーカーやサプライヤーは、国際的な品質基準を満たすことができる。
*6) AEC-Q102
  AECはAutomotive Electronics Councilの略で、大手自動車メーカーと米国の大手電子部品メーカーが集い、制定された車載用電子部品信頼性規格。Q102は、特にオプトデバイスに特化した規格となっている。

プレスリリースサイト(rohm):
https://www.rohm.co.jp/news-detail?news-title=2024-09-25_news_laser-diode&defaultGroupId

準天頂衛星みちびきを利用した実証事業『適正な漁業操業に対するエンドースメント』

 2024年7月、オーシャンソリューションテクノロジー(株)は、内閣府と準天頂衛星システムサービス株式会社のみちびきを利用した実証事業において、採択されました。本事業のテーマは「インドネシア及びフィジーに於ける、信号認証サービスを用いた『適正な漁業操業に対するエンドースメント』及びMADOCA-PPPの測位精度検証と災害・危機管理通報サービスの利活用実証」である。本事業を通じて、持続可能な水産業の確立と漁業者の安全性向上を目指し、2024年10月にフィジー共和国で実証実験を開始する。

事業の背景
 世界の水産業において、適正な水産資源管理やIUU漁業(Illegal, Unreported and Unregulated漁業:違法・無報告・無規制漁業)の排除等による持続可能性の確立が課題となっている。IUU漁業に関与する漁業者の一部には、不正な位置情報(GNSS信号)を活用して当局の監視から逃れる行為が散見され、信号認証サービスの活用はこれらの対策として期待できる。
 また、漁業操業中の漁船の位置情報をより正確に知ることは、好漁獲が期待できる操業ポイントのより正確な記録や、同社が開発した漁業者支援サービス「トリトンの矛(※)」によるAIを活用した漁獲努力量の推定精度の向上につながり、操業効率の向上や水産資源管理へのデータ活用に貢献することが期待できる。加えて、地震や火山の噴火による津波の発生が想定される太平洋島嶼国地域において、携帯電波がつながりにくい洋上の漁船に、災害等に関する情報をリアルタイムに通知することは、漁業者の安全安心を高めることが期待できるという。

実証実験の内容
1. 現地洋上において、信号認証サービスを受信すること、受信した位置情報がクラウドサーバに格納されることを確認する。
2. 現地洋上において、高精度測位補強サービス(MADOCA-PPP)を受信すること、受信した位置情報がクラウドサーバに格納されることを確認する。
3. 現地洋上において、準天頂衛星みちびきの災害・危機管理通報サービス(災危通報)を受信することを確認する。また、受信した信号に基づいて、回転灯等の手段で船員へ情報を伝達できることを検証する。(検証には、試験データを活用)

※ トリトンの矛
 漁業者支援サービス「トリトンの矛」は漁業操業中の位置・速度・時間等のデータを収集し、これら情報をLTE(4G)通信網を経由してクラウドへ格納し、漁船の航跡を記録し、漁業者や行政機関に向け操業レビューを提供するサービス。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000096785.html

自動航行での橋梁床板部の詳細オルソ画像撮影で、0.1mmのクラック撮影の検証

 (株)ジャパン・インフラ・ウェイマークと、八千代エンジニヤリング(株)は、Skydio(同)の協力のもと、2024年6月17 日に多摩市の橋梁において、Skydio社のエンタープライズ向けAI 搭載自律飛行型最新式ドローン「Skydio X10(以下、X10)」を使用したGPSが入りにくい橋梁下部における自動航行での床板部のオルソ画像(※1)用の写真撮影およびオルソ画像による損傷状況の調査、解析を実施した。
X10 の自動航行撮影によって 0.1mm のクラックを判別できる精度での床版部のオルソ画像の撮影は国内で初めてのことという。

※1 オルソ画像:写真上の像の位置ズレをなくし空中写真を地図と同じく,真上から見たような傾きのない,正しい大きさと位置に表示される画像に変換したもの。
(出典:国土交通省国土地理院 https://www.gsi.go.jp/gazochosa/gazochosa40002.html)

▮背景と目的
 従来のSkydio 社ドローン SKYDIO S2+では、0.1㎜のクラックを撮影するためには、構造物に対し約50㎝まで接近しないと撮影できなかったため、手動飛行で撮影する必要があった。
 そのため、オルソ画像作成用の撮影を行う際には、パイロットの操縦スキルにより、撮影写真品質への影響が出やすく、撮影後のオルソ画像処理時において、想定していた品質を再現度高く確保することが難しいという問題が発生していた。
 今回、X10の高性能カメラおよび、SKYDIO 3DSCAN(※2)の2DCapture 機能(※3)を利用し、橋梁の下でのGPSが入りにくい環境において、隔離距離、ラップ率、範囲などをアプリ上で設定の上、自動航行により撮影を実施することで、1m以上隔離による自動飛行の安全性向上、パイロットの操縦スキルに依存しないオルソ画像作成に必要なラップ率を確実に満たす撮影の品質と再現性の向上、撮影時間の短縮による生産性の向上を実現することに成功した。

※2 Skydio 3D Scan:構造物を認識し,自動的・自律的に撮影しながら飛行する事ができる飛行支援ソフトウェア
※3 2DCapture:Skydio 3D SCANの機能の1つで,オルソ画像等を作成するための平面スキャン機能

▮実施内容
 多摩市の管理する橋梁において、X10+SKYDIO 3DSCANの2DCapture機能を用いて、対象となる構造物(中空床版橋底面)に対し、カメラを真上向きにした状態で、ラップ率(縦方向、横方向)、構造物までの隔離距離をアプリ上で設定し、自動航行による連続写真の撮影を行った。また、自動航行においては、構造物に対し、1方向だけでなく、クロス方向にも自動で写真撮影が実施できる設定を使用した。
 撮影後、まずは弊社保有の複数社のSfm解析ソフトを用いて、3次元データ化およびオルソ画像の作成を行った。 次に、そのオルソ画像を八千代エンジニヤリング社が AI 処理し、損傷の図化、ひび割れ幅の検出を実施し、0.1mm 未満のひび割れも検出できることを確認した。

【使用機材】
 ● SKYDIO X10 VT300-L(広角カメラ)
  - センサ Sony IMX989 1″ 50.3MP CMOS
  - 写真サイズ 8192×6144(約5000万画素)
 ● SKYDIO 3DSCAN
  - 2D Capture(ラップ率設定、対象物までの隔離距離設定、ジオフェンス設定)
 ● (株)ニコン・トリンブル SightFusion for Desktop

▮従来の手動飛行時と比較して、以下の事項を確認
1. アプリで撮影条件を設定した後は、自動で撮影できるため、ラップ率、撮影画角、方向を確認しながらの撮影が不必要となり、作業効率化と再現性の向上を確認
2. 同じ対象物を、時間を変えて撮影した写真でオルソ画像処理を行った結果、ほぼ同等のオルソ画像の作成を確認
3. 1m程度隔離距離を取れることによる自動航行による安全性向上を確認
4. 0.1mm以下のひび割れも含めたデータ取得を確認

プレスリリースサイト:https://www.jiw.co.jp/2024/09/18/2304/

SIPスマートインフラの概要(2)

岩波 光保(いわなみ みつやす)
東京工業大学
教授
岩波 光保

3.研究開発内容

 これらを背景として、SIP課題「スマートインフラマネジメントシステムの構築」のミッションを達成すべく、次の5つのサブ課題を設定して研究開発を行っている。

① サブ課題A「革新的な建設生産プロセスの構築」
 建設生産プロセスにおいては、国土交通省のi-Construction等の推進を通じて、ICT 施工等、設計・施工におけるデジタル技術の積極的な活用を進めてきたところであるが、建設現場の飛躍的な生産性・安全性向上を実現するため、施工の「自動化・自律化」に向けた技術開発に官民共同で取り組む。具体的には、建設生産プロセス全体の最適化を実現する自動化・自律化技術として、施工に必要なあらゆるデータをリアルタイムで集積・制御・処理するCPS(Cyber-Physical Systems)と、自動建設機械群による自動施工技術の開発を進める。また、水中・海中、降灰地域など人力では計測困難な箇所でのロボット等によるモニタリング・施工技術や、トンネル坑内などにおける危険作業を自動化・無人化するために必要な測位・通信・制御技術、環境に優れたインフラの建設技術などについて研究開発を行う。併せて国民や利用者にご理解頂くアウトリーチ活動や、大学・高専等の教育機関と連携して高度人材育成を実現する共用可能でオープンな研究開発環境の構築・運用に取り組む。

② サブ課題B「先進的なインフラメンテナンスサイクルの構築」
 インフラを健全な状態に保つためには、点検、診断、措置、記録のインフラメンテナンスサイクルを確実に運用していくことが必要である。インフラの損傷メカニズムを踏まえた信頼性の裏付けのある精緻な診断・評価・予測等を行い、予防保全の対応につなげていくことが重要である。このため、構造物の変状・予兆を示す把握すべき情報を明らかにするとともに、それらのデータを取得し、数値解析技術等を用いて、将来の劣化・損傷リスク、性能低下の程度を評価・予測し、精緻な診断により適切な補修・補強等を可能とする。さらに、これらの一連のサイクルを、インフラデータの共通基盤やデジタルツイン技術と連携してハイサイクル化することにより、維持管理プロセスのイノベーションの加速化を促し革新的な維持管理を実現する。補修・補強(措置)の段階においては3Dプリンティング技術や高機能・高耐久材料などを用いた工法の高度化を図る。これらに併せてメンテナンスに関する諸技術の有用性を国民や利用者が理解するためのアウトリーチ活動や、革新的な点検・診断・措置・記録技術を使いこなす人材育成・体制の整備を進める。

③ サブ課題C「地方自治体等のヒューマンリソースの戦略的活用」
 地方自治体所管のインフラの必要な機能とサービス水準を適切に維持していくため、総合的なインフラ維持管理のためのデータ活用の取組みとして、自治体職員の担い手確保のための教育環境のプラットフォームの整備など、地方自治体等のヒューマンリソースを最大限に活用するための人材育成の体制構築を図る。また、自治体職員の維持管理対応を効率化する現場で使いやすい技術開発、普及、活用の促進を、スタートアップを含む地方の中小企業と地方自治体との連携によって行う。また、地方自治体がインフラの維持管理に必要な知見や先進事例の共有を行う仕組みや、地方公共団体と地域の大学、高専が連携して人材育成を行う仕組みの構築を進めるとともに、インフラメンテナンス技術の有用性について国民の理解と参加を促進するアウトリーチ活動を行う。これらにより、全国レベルの共通基盤で多様なスキルを持つ人材の参入やリカレント、リスキリングを促進することで、労働力不足の解消と技術・技能レベルの質的向上を実現し、地方インフラの機能とサービス水準の確保に必要なヒューマンリソースの活用を可能にする。

④ サブ課題D「サイバー・フィジカル空間を融合するインフラデータベースの共通基盤の構築と活用」
 国土、地域、都市に関する高精細なデジタルツインの構築にあたっては、その扱うデータ量が膨大かつそれぞれのインフラを管理する多くの機関が関わっていることから、データプラットフォーム間のデータ連携、シミュレーションのためのモデル化やデータの入出力、デジタルツイン群の連携のためのデータ変換、データ統合技術と、それら一連のプロセスにおける自動化について研究開発する。また、構築されたデジタルツインを活用して、建設分野の生産性向上、事後保全から予防保全への移行・加速のための新技術を活用したメンテナンスの確立、国土・都市・地域づくりにおける総合的・分野横断的なDX、GXの推進など、これまでの課題解決につながるようなユースケースを設定してシミュレーションによる試行結果を検証し、現実にフィードバックすることで、様々なイノベーションを起こしていくことが必要である。当該技術開発にあたっては、防災、まちづくり、モビリティ等のインフラ分野に対象としているが、長期的には、自然環境、エネルギー、ウェルネス、教育、働き方等の他の分野が抱える社会課題の解決への寄与、快適性、経済性、安全性を兼ね備えた新しい都市(Society 5.0が目指す「未来のまち」)の創造等の社会全体の最適化が可能となることも目指す。

⑤ サブ課題E「スマートインフラによる魅力的な国土・都市・地域づくり」
 「未来のまち」の実現に向けて、国土・都市・地域空間とそこで展開される様々な社会経済活動を支えるインフラについて、well-beingや災害への強靭性を確保していくため、「グリーンインフラ」と「インフラ分野のEBPMによる地域マネジメント手法」に関する研究開発を行う。
 グリーンインフラについては、その効果に関するデータをデジタル化することにより、グリーンインフラに関する評価、調査、建設、維持等の一連の仕組みを構築する。
 インフラ分野のEBPMによる地域インフラ群マネジメントについては、地域や都市単位でハイサイクルのシミュレーションを行い、EBPMによる都市計画・まちづくりの合理的な施策決定に活用できるシステムを開発する。

4.まとめ

 今年度は研究開発着手後2年目となり、現在、各機関において精力的に研究開発が進められている。成果の社会実装を強く意識している点が特徴であり、研究開発の進捗については本課題のウェブサイトを参照されたい。



【著者紹介】
岩波 光保(いわなみ みつやす)
東京工業大学教授

■略歴

  • 1999年運輸省入省(港湾技術研究所構造部構造強度研究室研究官)
  • 2002年独立行政法人港湾空港技術研究所地盤・構造部主任研究官
  • 2004年英国Imperial College客員研究員
  • 2008年同 構造・材料研究チームリーダー
  • 2012年同 構造研究領域長
  • 2013年東京工業大学教授
  • 現在に至る

インフラマネジメント、海洋構造工学に関する研究に従事。2023年より、SIP課題「スマートインフラマネジメントシステムの構築」のサブプログラムディレクターを務める。2015年、2024年土木学会論文賞、2006年、2012年土木学会吉田賞【論文部門】、2009年、2019年、2021年日本港湾協会論文賞受賞。

光ファイバセンシング技術が拓くインフラの防災と未来(2)

川端 淳一(かわばた じゅんいち)
鹿島建設(株)土木管理本部
技術管理部長
川端 淳一

3. 光ファイバネットワークを活用したインフラモニタリングの将来像

3.1. 通信網利用と群管理への活用

 はじめに紹介したようにセンシング用の光ファイバは,通信用で使われている光ファイバ(シングルモードファイバ)と同じ種類であり,また,我が国の光ファイバ通信網は世界有数で国土をあまねく網羅している。これらを,相互に接続することができれば,計測器から光ファイバ通信網経由で遠隔地からインフラを巡回しながら監視することが可能となる。光ファイバは信号の減衰が小さく,長距離伝送が可能であることから,ひとつの計測器で数10㎞程度の計測範囲をカバーすることができる8)。現在,さらなる延伸化に向けた開発にも取り組んでいる。既存の通信網アセットを有効活用することで,現地へ赴くことなく,また現地電源設置は不要と言ったこれまでにない効率的なインフラモニタリングが実現でき,インフラを群として管理できるようになる。

3.2. 移動体追跡

 近年,DAS(Distributed Acoustic Sensing)やDVS(Distributed Velocity Sensing)と呼ばれる振動計測の取り組みが盛んである。DASも,通常の通信用光ファイバで実現可能で,kHz を越えるサンプリング周波数で,109オーダーのひずみ(伸縮)をとらえることができる。空間分解能は数メートル以上と大きく,また大きなひずみ変化をとらえることはできないが,非常に感度が高いことが特長である。例えば,道路沿いに光ファイバが敷設されれば,道路を通過する車両や歩行者からの振動をとらえることができる感度を有する。光ファイバ全長に沿って網羅的に得られる計測結果をもとに,車両の追跡などが試みられている9)。これまで紹介した事例が、主に定期点検や震災時BCPの用途であったのに対して、これは光ファイバセンサを平時に活用できる機能である。車両や歩行者その他の道路情報を把握できる光ファイバは,従来の道路の価値を向上する役割を果たしうる。

光ファイバを用いた交通流の見える化
光ファイバを用いた交通流の見える化

4. おわりに

 わが国の経済活動を支えるインフラは,道路や鉄道だけでなく,上下水道,ガス,電力,通信など多岐にわたり,それぞれは冗長性を確保しながらネットワークを構成している。こうした線状構造物を点検するうえで,光ファイバセンサは最適な監視手段のひとつと言え,その社会実装に必要な関連技術(光ファイバの設置技術,計測技術,データの評価技術など)が揃い,展開が進んでいる取組みについて実例をもとに紹介した。インフラの多くが高経年化している現在,わが国の生活と経済活動を支えるうえで,維持管理を効率的に行い,震災時における被害を最小限に抑えられるセンシング技術への期待が高い。また,それを現実化するためには単に構造物を維持するだけでなく,インフラ構造物の付加価値を増して社会を発展させ,ひいてはわが国の競争力を向上させるような取組が必要と考える。インフラ構造物に様々な,価値を新しく付加できる光ファイバセンサは,そのためのキーテクノロジーであると考えている。



参考文献

  1. 岡本圭司,今井道男,川端淳一,瀬尾昭治,山下明希,椎野直樹,伊藤靖之(2023),令和5 年度土木学会全国大会第78 回年次学術講演会,CS11-62.
  2. 川端淳一,永谷英基,那須郁香,今井道男,吉村雄一,辻 良祐(2023),令和5 年度土木学会全国大会第78 回年次学術講演会,CS11-58.


【著者紹介】
川端 淳一(かわばた じゅんいち)
鹿島建設(株)土木管理本部 技術管理部長

■略歴

  • 1986年早稲田大学 大学院 建設工学修士卒
  • 1992年筑波大学 工学研究科 工学博士
  • 1992年鹿島建設㈱ 技術研究所
  • 1999年~2000年英国 ケンブリッジ大学 工学部 派遣研究員
  • 2005年~2006年鹿島建設㈱ 名古屋支店 現場勤務
  • 2018年~鹿島建設㈱ 本社 土木管理本部

水中を見える化する水中光無線技術 ~水中LiDAR,水中光ワイヤレス通信~
Underwater optical wireless technologies for ocean and underwater visualization ~ Underwater Fusion Sensor and underwater optical wireless communication technology ~(2)

鈴木 謙一(すずき けんいち)
(株)トリマティス 代表取締役
鈴木 謙一

3.水中光ワイヤレス通信

3.1 水中光ワイヤレス通信装置の開発

 水中の光伝搬特性は,水の濁り(濁度),水中の浮遊物(懸濁物)などによる水中環境の違いや光送受信器の特性により大きく変わる.水中の損失は,波長、ビーム径,水域,さらには季節によって大きく変わるため,水中環境に合わせた光源の選択,バジェット設計が重要となる.水中を浮遊する懸濁物は,光ビームを散乱・屈折させるだけでなく,大きさによっては光ビームを完全に遮断する.また水のゆらぎは,光ビームの光軸の時間変動を生じさせ,光受信器の受光パワー変動,受光はずれを引き起こす.そのため,経路の複数化や有効受光径の拡大など不安定な通信状態に強い通信方式の検討が重要であり,それにはマルチビーム化,受光素子のアレイ化(マルチPD(Photo Detector))が有効である.また,水中環境の変化により,通信状態が大きく変わるため,誤り訂正やMIMO(Multi Input Multi Output)による通信状態の安定化や,高速同期機能による通信確立の高速化も重要である.以上を踏まえて,伝送速度1 Gbpsの水中光ワイヤレス通信装置を開発した.

図5 水中光ワイヤレス通信装置
図5 水中光ワイヤレス通信装置

 開発した水中光ワイヤレス通信装置を図5に示す.送信器ではピークパワー0.7Wで1GbpsのOOK(On-Off keying)信号で変調した波長520nmのLDを5個用いており,LDのオンオフにより送信パワー制御できるようにした.ビーム径は,水中での100mの距離で70cm以下になるよう調整したが,水中でビームの広がりから距離100mでのビーム径を見積もると50cm程度であった.受信器では,帯域1GHz,有効受光面積6.25cm2のPMTを4つ用いて有効受光面積を25cm2に拡大している.またPMTのオンオフにより有効受光面積,増倍率の制御により受信感度の制御を行っている.これらを変えることで,距離毎に最適な送受信レベル差に最適化することができる.また送受信器を耐圧容器に収容することにより,耐圧深度1000m,設計送受信距離120m(ロスバジェット60dB以上)の水中光ワイヤレス通信装置を実現した.

3.2 多目的プールにおける水中光ワイヤレス通信実験

 開発した水中光ワイヤレス通信装置を用いて行った水中光ワイヤレス通信実験について紹介する.まず縦横21m×21mのJAMSTECの多目的プールにおいて水中光ワイヤレス通信実験を行った.多目的プールにおける水中光ワイヤレス通信実験の実験系,およびその時のビーム軌跡を図6に示す.図に示すように,送信器から出力された光信号は,プール壁面に設置した光学ミラーにより4回反射され,水中を約108m伝搬した後に受信器に入力される構成で,108mの伝搬距離で信号の受信を確認した.この時のロスバジェットは,設計値に対してかなりのマージンを残しているため,さらなる延伸が期待できる.また図に示すように折り返した後のビーム軌跡が写真上で確認できている.

図6 多目的プールにおける水中光ワイヤレス通信実験
図6 多目的プールにおける水中光ワイヤレス通信実験

3.3 実海域における水中光ワイヤレス通信実験

 次に相模湾沖水深900mの海域で,水中光ワイヤレス通信実験を行った.実海域における水中光ワイヤレス通信実験の試験構成を図7に示す.開発した水中光ワイヤレス通信装置を,無人深海探査船 かいこうのランチャーとビークルに搭載し,ランチャーとビークル間で通信を行った(「かいこう」ランチャー深度802.9m,「かいこう」ビークル深度699.5m,通信距離102.5m(ランチャー,ビークル高度差)において試験パケット(誤りの無いパケットの受信確認)により受信を確認).ランチャーに対してビークルが徐々に潜航して行くことで,40mの距離から通信状態の確認(正常受信パケット数の確認)を行った.その結果,試験ポイント1において,約102.5mまでの距離で正常パケットの受信に成功した6)

図7 実海域における水中光ワイヤレス通信実験
図7 実海域における水中光ワイヤレス通信実験

3.4 伝送限界評価

 これまでの実験から,主に水中の光の伝搬損失,ビーム径の拡大による損失が伝送距離制限の主な要因となっていると考えられる.これらを反映して伝送限界式を求め,実海域での深海試験でパケット受信が可能であった距離での損失を,伝搬損失をパラメータとした伝送限界式による損失曲線上にプロットした.また伝送限界式による損失曲線とビットレート毎のロスバジェットによる伝送距離の評価を行った.これら伝送限界の評価を図8に示す.上段の図を見るとほぼ伝搬損失0.3dB/m~0.4dB/mの損失曲線の間に取得した損失データが分布していることから,試験時の伝搬損失は0.3dB/m~0.4dB/m程度と推測される.また開発した通信装置の実測値を用いると伝送速度1Gbpsの伝送距離は,伝搬損失0.4dB/mでも100m以上伝送可能と見積もられるので,開発した水中光ワイヤレス通信装置は,ほぼ設計通りの性能を発揮していると考えられる.
 一方理論計算により求めたPMTの受信感度に基づくロスバジェットでは,伝搬損失0.2dB/mの条件であれば1Gbpsで240m程度,100Mbpsで280m程度,10Mbpsで330m程度、1Mbpsで380m程度の伝送が可能であると見積もられた7).さらなる伝送距離の拡大にはロスバジェットの増大が不可欠であり,そのためにはマルチビーム化による送信パワーの増大や,受光径の拡大によるビーム径に起因する損失の抑制が重要となる.

図8 伝送限界の評価
図8 伝送限界の評価

4.今後の展望

 水中の見える化を実現するため,主に海洋資源や水中構造物の可視化データの取得とそのデータのリアルタイム転送を実現するため,水中LiDARや水中光ワイヤレス通信の研究開発を推進してきた.それに加え気候変動や海洋汚染の問題を受け,光を使った海中のCO2濃度や海洋マイクロプラスチック検出を行う水中環境LiDARの研究開発が期待されている.

図9 水中を見える化する水中光無線技術を用いた水中ネットワーク
図9 水中を見える化する水中光無線技術を用いた水中ネットワーク

 水中を見える化する水中光無線技術を用いた水中ネットワークのイメージを図9に示す.水中ロボットに搭載された水中LiDAR,水中環境測定LiDARにより,海洋資源や水中構造物の可視化データに加えて,水中環境データを取得することで,水中環境データをリアルタイムに地上で転送することで,様々な海洋環境問題への貢献を目指している.さらには既存の水中技術(音響,電磁波)それぞれの強みを生かして光と併用することで,頑強な水中の見える化のための水中ネットワークを実現を目指す.
 なお本研究の一部である水中光ワイヤレス通信技術の検討は,防衛装備庁が実施する「安全保障技術研究推進制度JPJ004596」の支援を受けたものである.



参考文献

  1. トリマティス×JAMSTEC共同プレスリリース(2022-01)
    https://www.trimatiz.com/jp/news/detail/?id=79
    http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20220126_2/
  2. Ken-Ichi Suzuki, Hiroki Okuzawa, Seigo Takahashi, Shojiro Ishibashi, “Long-distance and High-speed Underwater Optical Wireless Communication System ~Challenge to 1Gbps x 100m underwater optical wireless communication~”, URSI GASS 2023, paper D02-2-1, August 2023.


【著者紹介】
鈴木 謙一(すずき けんいち)
株式会社トリマティス 代表取締役,博士(情報科学)

■略歴
NTT研究所において超高速光伝送方式や光アクセスシステムの研究開発,IEEE802.3WG,1904WGにおいてPONの標準化に従事後,2019年株式会社トリマティス入社.水中LiDARや水中光無線通信技術の研究開発に従事.2024年4月より現職.OPTICA(前OSA),IEEE,信学会各会員.

日本ロボット学会「優秀講演賞」をThinkerの小山圭祐氏が受賞

 (株)Thinker(読み:シンカー)の取締役であり、大阪大学基礎工学研究科助教である小山圭祐氏が、日本ロボット学会(※1)2024年度表彰において、「優秀講演賞」を受賞した。
 日本ロボット学会の「優秀講演賞」は、ロボット分野の発展への貢献奨励を目的としたもので、前年度の学術講演会で発表された講演の中から特に優れた講演発表が選ばれ、その講演者に贈呈される。

 受賞対象となったのは、第42回学術講演会で発表した「反力と厚み調整が可能な触覚センサモジュールの開発」という講演である。この中で小山氏は、Thinkerが開発・提供する近接覚センサーの赤外線モジュールを用いた「密着度計測デバイス」について詳説した。1.5mm~20.0mmの範囲であれば0.1mmの分解能で計測できるという近接覚センサーの特長により、ヒトの肌とウェアラブルデバイスの密着度合いを計測する方法を提案。ウェアラブルデバイスの締め付け過ぎを予防できれば、より心地よい装着感を実現できること、かつ呼吸深さなどの生体情報の定量化が可能になることを発表した。
 小山氏はこれまでにも近接覚センサーの研究発表により、日本ロボット学会から3度の表彰を受けている。

※1 日本ロボット学会
 学問領域の進展を目指し、研究発表と技術交流の場を専門家に提供することを目的に1983年1月28日に創立。2019年12月現在、正会員、学生会員の数は約4,000名、賛助会員数は96団体。専門誌の発行、講演会やシンポジウムの主催、セミナーなどの企画・開催や各種賞の授賞を行っている。(学会サイト:https://www.rsj.or.jp/)

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000106143.html

超音波音響センサ&クラウド分析の生産設備等トライアル実証評価サービス

 損害保険ジャパン(株)とSOMPOリスクマネジメント(株)、(株)アニモは、日清紡マイクロデバイス(株)と、2022年2月から生産設備等の回転機器から発生する初期の超音波の異音を検知し、機器故障の早期発見につなげるサービス「音響診断AI化コンサルティング」※1の開発に取り組んできた。

 このたび、日清紡マイクロデバイスが誇る最先端の音響センサと振動センサを活用して超広帯域な音響や振動を自動的に収録し、アニモによるクラウドで分析する仕組みをパッケージ化した「レオセントキット powered by ANIMO Cloud」(以下レオセントキット)の開発に成功した。音(音響)データからその音響特徴量を分析、可視化することで、人の聴覚に依存しない異音検知や設備予兆保全、検査業務の省人化等を実現する。まずは、生産設備等の回転機器から発生する初期の超音波の異音を検知し、機器故障の早期発見につながる仕組みを広く体験してもらうため、SOMPOリスクを窓口としてレオセントキットの「トライアル実証評価サービス」を2024年9月から提供開始する。

※1 音響(超音波)センサーを活用した音響診断AI化支援 https://www.sompo-rc.co.jp/services/view/395

1.背景・目的
 生産設備のIoT化やAI化は以前から注目されているものの、コストや手間がかかるため、導入や利用に踏み切れていない企業も多いのが実情である。そのうえ、熟練技術者の高齢化や減少により、迅速な対策が求められている。レオセントキットは、これまでの振動センサでは捉えられなかった超音波帯域のデータを活用することで、機器の異常をいち早く察知することを可能にする。これにより、生産設備の保全がより効果的になり、社会的な課題の解決にもつながると考えられる。今後、多くの企業がIoT化やAI化を進める第一歩として活用できるよう、トライアル実証評価サービスの提供を開始するとのこと。

2.「レオセントキット powered by ANIMO Cloud」の概要(画像)
 日清紡マイクロデバイスの「アコースティックセンサー(音響センサ)※2」と、A/Dコンバータ※3、PC、モバイルルータなどを、アニモの「ANIMO Cloud ※4」を組み合わせたシステムを使って、これまで検知の難しかった超音波帯域の異常音や騒音環境下における異常音を検知することに成功した。さらに、遠隔サポートをオプションで利用することで、生産設備の無人監視が可能になるという。
 現在、日清紡グループにおいて、レオセントキットのアコースティックセンサーをポリッシュ機に取り付け、作業中のワークや機械異常について音響評価をしている。

※2 アコースティックセンサー
 超音波帯域に対応し、機器本体の音響を収録することも可能となる音響センサ
 https://www.nisshinbo-microdevices.co.jp/ja/products/featured-products/nm2101.html
※3 A/Dコンバータ
 音響などのアナログ信号をデジタル信号に変換(A/D変換)する装置。
※4 ANIMO Cloud
 クラウド環境に音響収録データ等を保存することで、音響特徴量などを分析する。
 https://www.animo.co.jp/cloud/

3.トライアル実証評価サービス(有償)について

名称:トライアル実証評価サービス
内容:超音波帯域までの音響データを収録し、簡易な解析結果やAI化の可能性などで今後検討すべき
   課題等を報告。
相談先:お問合せフォーム https://www.sompo-rc.co.jp/contact/form
    ・大カテゴリ選択⇒「火災・爆発」、中カテゴリ選択⇒「IoT/AI」
    ・お問い合わせ内容に「レオセントキット相談」とご記載のこと。

4.協業の効果
 従来の振動センサでは異常検知が難しかった重要機器の超音波帯域での異常を早期に検知できるようになる。例えば、風力発電設備のナセル※5内での音響センサを使った遠隔監視、広帯域を活用した設備故障の再発防止策や故障予兆サービスの提供など、新しい活用方法が増える。これにより、本サービスの利便性がさらに向上し、分析レポートの精度向上が期待できる。
 ※5 風力発電設備のタワー上部に取り付けられた機械室を指し、増速機や発電機等を収納している。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000423.000078307.html

JR横浜駅にて「駅からオトクに快眠チャレンジ」実証実験

○東日本旅客鉄道(株)〔以下JR東日本〕、沖電気工業(株)〔以下OKI〕、共同印刷(株)、ジオテクノロジーズ(株)、(株)ビーマップは、JR 東日本主催の「WaaS 共創コンソーシアム*1」による取り組みの一環として、「Wellbit™ Sleep*2」(ウェルビット・スリープ)を使った健康意識・行動の変化を検証する実証実験をJR横浜駅で実施する。
○本実証実験では「駅からオトクに快眠チャレンジ」キャンペーンを開催し、健康測定や、睡眠習慣改善サービスの提供、ヨガや瞑想体験を実施する。またアンケートにご回答頂いた方には、協力企業の商品や協力店舗で利用できるクーポンを提供する。

*1:「WaaS 共創コンソーシアム」は、Well-being な社会の実現に向けて、移動×空間価値の向上をめざすコンソーシアム。(https://www.jreast.co.jp/jrewcc/)
*2:利用者がLINEなどのスマートフォンアプリに日々の睡眠時刻や睡眠に関するアンケートを入力することで、パーソナライズされた行動アドバイスのメッセージを受け取ることができるクラウドサービス。OKIが独自開発した睡眠習慣改善サービス。

■「駅からオトクに快眠チャレンジ」実証実験の概要
 健康測定が睡眠や健康関連の商品・サービスに対する購買意欲にどれほど影響するかなどについて検証する。JR横浜駅にて健康測定を実施し、その結果をもとに、睡眠習慣改善サービスの利用や、スタジオでのヨガ・瞑想を体験して貰う。お客さまには、2週間経過後に再度健康測定を実施し、アンケートを行う。アンケートにご回答頂いた方には、駅周辺の協力店舗のクーポンを提供する。

■本実証実験の体制
 体制           企業名          役割
コンソーシアム主催企業:東日本旅客鉄道(株)  :本実証実験の企画、クーポン対象サービス選定支援

実証実験参加企業   :沖電気工業(株)    :本実証実験の企画、睡眠改善習慣サービスの提供
           :共同印刷(株)     :オンラインコンテンツ制作、オフラインでのイベント開催
           :ジオテクノロジーズ(株):トリマアプリによる被験者の人流解析
           :(株)ビーマップ    :システム開発、運営補助

協力企業      :JR東日本スポーツ(株)     :JEXER、Relaxeのサービス提供
          :(株)ルミネ          :ニュウマン横浜のサービス提供
          :(株)JR横浜湘南シティクリエイト:CIAL横浜のサービス提供

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000941.000017557.html

「V-MO」が日本海事協会の第三者認証「Innovation Endorsement」を取得

 旭化成エンジニアリング(株)は、舶用モーター向け状態監視サービス「V-MO™」が、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)より、革新的な技術とサービスに対する第三者認証である「Innovation Endorsement For Products & Solutions」を取得したと発表した。

 「Innovation Endorsement※1」は、海事および海洋産業における革新的な技術やソリューションを認証するための取り組みであり、「船舶」「製品・ソリューション」「プロバイダー」の3つのカテゴリーを対象とした制度である。今回は、舶用モーターに最適化された「V-MO」の状態監視技術や、船舶特有の振動環境下で状態監視を行うアルゴリズムなどが評価され、「製品・ソリューション(Products & Solutions)」のカテゴリーにて認証を取得した。
 今回の認証により、「V-MO」を搭載した船舶は、先進的なデジタル技術を備えた船舶に付与される船級符号の付記(ノーテーション)※2である“Digital Smart Ship”(Machinery Monitoring, Connected Ship, Shore Monitoring)※3を船級証書上に記載することが可能となるとのこと。

※1 「Innovation Endorsement」について
詳細は日本海事協会のサイトを参照。 https://www.classnk.or.jp/hp/ja/

※2 船級
 一定の条件を満たした船舶に対し、日本海事協会などの船級協会から付与される国際的な等級。船舶の売買や船舶保険などの取引基準となる。さらに特定の要件を満たした船舶には、それぞれ対応する船級符号の付記(ノーテーション)を付与することが可能となる。

※3 Digital Smart Shipについて 詳細については以下を参照。
日本海事協会 デジタルスマートシップガイドライン
 https://www.classnk.or.jp/hp/pdf/Rules_Guidance_public/techdoc/gl_digitalsmartships_j202211.pdf

プレスリリースサイト:https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2024/ze240912.html