はじめに
海洋生物は、広大な海で何をしているのだろうか。生物の行動を把握する基本は、目視による直接観察である。しかし、地球表面の70%を占め、平均深度が3800mである広大な海で、自由に鉛直・水平方向に移動する海洋生物をスキューバーで追跡し、観察することは困難を極める。
バイオロギング(Bio-logging)は、生物にデータロガー(以下、ロガー)を取り付け、生物自身の行動や生理状態、経験する環境などを時系列データとして記録する手法である。このため、人間が直接観察できない広大な環境で自由移動する生物の行動を観測することができる。
バイオロギングの用語は、バイオ(生き物)とロギング(記録する)を組み合わせた和製英語である。2003年に国立極地研究所で行われた第1回国際バイオロギング科学シンポジウムで内藤靖彦博士(国立極地研究所名誉教授)によって提唱され、国際的に定着した。バイオロギングは手法でもあり、1つの学術分野としても大きな発展を遂げており、2017年には、バイオロギング科学の国際的な相互協力や発展を目的とし国際バイオロギング学会が発足した。
バイオロギングでは、計測器によってはじめて観測ができるため、計測器の開発が研究の成否を左右する。Biologging Solutions Inc.は京都大学での研究成果をもとに設立した、国内でバイオロギング機器の開発・販売する会社である。設立者自身が研究者であるため、国内外の最新のニーズを踏まえた機器開発やコンサルティングを行うことができるのが強みである。
近年、ネイチャーポジティブの実現に向け、生態系を評価するツールの重要性がますます高まっている。バイオロギングは、「人間目線」ではなく、「生物目線」で生態系や環境を評価できるツールである。このため、生物にとって本当に重要な環境を知ることできる究極の手法である。本稿では、上記も踏まえ、Biologging Solutions Inc.が開発・販売する機器の中から最新の機器とその応用先を紹介する。また、いかに計測器が発展しても、生データだけでわかることは少なく、データを解析する必要がある。このため、現在、開発・運用しているデータ解析基盤としてのクラウドシステム(LoggLaw CloudおよびBiologging intelligent Platform)を紹介する。
1.ハイドロフォン搭載型ビデオロガー
水中では、音は光と比べ物にならないほど遠くまで届く。空中では音速は1秒間に330m程度だが、水中では概ねその4.5倍、1秒間に1500m伝わる。光に比べればはるかに遅いが、伝達距離が長く影響は即時的である。多くの海洋生物は音をよく利用しており、音に敏感である。例えば、水中探査や、コミュニケーション、威嚇、繁殖などに音を利用している。
近年、音の暴露による生物への影響は多く報告されている。海中には様々な人工的な音源がある。なかでも最も数が多いのは、船舶である。海運に伴い船舶から発せられる音がクジラや魚がコミュニケーションできる距離を縮め、場合によっては繁殖にも影響を及ぼしている可能性が指摘されている。
一方で、海中には自然に発生する雑音も存在する。主要な音源は、沿岸域から絶え間なく発せられるテッポウエビなどのパルス音である。気象や海象によっても水中音が生じる。降雨による広帯域音は、海表面から海中に放射される。荒天で波が砕け発生した泡からも広帯域音が発生する。
以上のように水中音は、人工音・自然音・生物音で構成され、それらの様相は水中サウンドスケープと呼ばれている。水中音をモニタリングすることで、生物多様性や、騒音レベルなど様々な情報を収集することができる。
これまでに水中音を観測できる水中音レコーダーはよく利用されてきているが、水中音だけを観測しても何から発生した音なのか、どのような環境で発生した音なのかわからないことが多々ある。そこで、水中音と同時に、映像を長期計測可能な、ハイドロフォン搭載型ビデオロガーLoggLaw CAM(図1)を開発・販売している(世界初・当社調べ)。本ロガーは生物装着用として小型モデル、環境設置型としての拡張バッテリーモデルの2種類で構成される。
生物装着した場合、生物が経験する実際のサウンドスケープや、生物目線で重要な音環境を明らかにすることができる。拡張バッテリーモデルの場合、深度500m耐圧にて、連続100時間以上、音と映像を同時に観測することができる。音と映像が同期しているため、解析の際に時刻同期の手間が不要になる。実際にウミガメに装着し得られた映像の例を図2に示す。また動画の例は以下に公開している。
次回に続く-
引用文献
- Kays, R., Crofoot, M. C., Jetz, W., & Wikelski, M. (2015). Terrestrial animal tracking as an eye on life and planet. Science, 348(6240), aaa2478.
【著者紹介】
野田 琢嗣(のだ たくじ)
Biologging Solutions Inc. 京都R&Dセンター 最高技術責任者
■略歴
バイオロギング測器を開発するBiologging Solutions Inc.の共同設立者・最高技術責任者。岐阜県出身。2008年3月京都大学農学部卒業。2012年9月京都大学大学院情報学研究科、博士後期課程を修了。日本学術振興会特別研究員(DC及びPD)を経て、現職。博士(情報学)
小泉 拓也(こいずみ たくや)
Biologging Solutions Inc. 京都R&Dセンター 代表取締役
■略歴
経歴:バイオロギング測器を開発するBiologging Solutions Inc.の共同設立者・代表取締役。愛媛県出身。2006年3月トランスパシフィックハワイカレッジ卒業。2008年3月カリフォルニア大学サンタクルーズ校 環境学部卒業。2011年3月京都大学大学院情報学研究科 修士課程を修了。
次世代映像技術「空中映像・空中ディスプレイ」の開発(1)
取締役研究開発部長
前田 有希
1.はじめに
サイエンス・フィクションの作品では何もない空中に映像を表示しているシーンが度々登場する.このような空中映像・空中ディスプレイは長年、実現が待ち望まれてきたが、近年の光学技術の進歩により量産可能な製品が登場しており、市場導入が進みつつある.特に、応用製品である非接触空中スイッチ・空中タッチディスプレイは指が直接装置に触れることが無く、手指衛生性が保たれることが期待されており、感染症の接触感染対策として期待されている.株式会社パリティ・イノベーションズでは空中映像のコア技術となる「2面コーナーリフレクタアレイ」を世界で初めて実現した空中映像表示素子「パリティミラー」の開発を行ってきた1-4)。本稿では、パリティミラーによる空中映像表示の原理、および非接触空中スイッチへの応用などの最新の開発状況について解説する.
2.パリティミラーによる空中映像結像原理
パリティミラーは2 面の垂直鏡面が直行配置された状態、すなわち2面コーナーリフレクタを、等間隔で平面内にアレイ配置した構造となる「2面コーナーリフレクタアレイ」である。2面コーナーリフレクタアレイは2通りの実現方法があり、
Ⅰ.矩形開口の垂直側壁を反射面とする
Ⅱ.透明材料により作られた凸状の直方体を反射面として用いる
が挙げられる.現在のパリティミラーは主にⅡ.を用いており、本稿では後者について説明する。図1に俯瞰視点の模式図を示す.図1中の2面コーナーリフレクタの寸法は一例であり,所望の光学特性に合わせて設計・変更可能である.垂直鏡面に金属反射膜等は設けられておらず,全反射により光線は反射される.また,製造工程における必要性から垂直鏡面の反対側にはテーパー面が設けられており,テーパー面は空中映像の結像に用いることはできない.
図2(a)に示すように,パリティミラーを上面方向から見たとき,2面コーナーリフレクタに入射した光線の一部は各垂直鏡面で 1 回ずつ,合計 2 回反射されて出射する.このとき光線の入射角度Φinと出射角度Φoutの関係は,
Φout = Φin -(2θ - 180°)(1)
となる.従って,θが 90°のときΦout = Φinとなり,入射光の面内成分が反転される.図2(b)に示すように各2面コーナーリフレクタで上述の反射が起きることにより,光線は光源と同じ位置に集光,結像する.
一方,図3に示すように側面断面方向から見ると,底面から入射した光線の一部は垂直鏡面で反射されて頭頂部から出射することで,光源と面対称な位置に集光・結像する.なお,簡単のため図3では光線の入射時および出射時の屈折は省略して描いている.
これらを合わせて考えると,図4に示すように,光源の面対称位置に空中映像が結像される.2面コーナーリフレクタアレイは光線を細かく分割して1点に集めているため波面レベルで結像しているわけではないという点に注意が必要である。人の目で見て空中映像と認識させる目的においては光線の分割を十分細かくする必要があり、隣り合う2面コーナーリフレクタのピッチは、例えば300μm程度など十分細かく設定する必要がある。ただしピッチを細かくしすぎると、光が狭い矩形開口を通り抜けることになるため、回折による広がりの影響を受け、いわゆる“画像ボケ”に繋がる。2面コーナーリフレクタアレイを含む空中映像光学系による点像広がりに関する解析はいくつかの文献で報告されている5-7)。
次に、実際の使用場面を考えると、天井灯などの環境光が存在することが一般的である。この場合、図5(a)に示すように2面コーナーリフレクタアレイの素子表面、特に溝部分で乱反射が発生し、空中映像のコントラストを低下させる.この対策として、図5(b)に示すように、溝部分に入る光を吸収する遮光マスクを設けることによりコントラスト低下を防ぐことができる。ただし、遮光マスクは2面コーナーリフレクタアレイの側壁における全反射を阻害するものであってはならない。輝度計による計測結果では, 図5(b)は図5(a)と比べて約3倍のコントラスト値を得ることができ,オフィス照明環境程度であれば問題なく空中映像を観察することができる.
パリティミラーは上述の2面コーナーリフレクタアレイ構造を樹脂成形で実現したものである。図6に示すように、本稿執筆時点では最大で380mm角サイズの成形に成功しており,13インチ程度の液晶ディスプレイなどの光源を映像ソースとして用いることができる.全体的に黒色をしているのは、前述の遮光マスクを設けているためである。
次回に続く-
参考文献
- 前川聡ほか,“微小 2 面コーナーリフレクタアレイを用いた面対称結像光学素子: 実像を結像する「鏡」,”映像情報メディア学会技術報告 30, pp. 49-52 (2006)
- S. Maekawa et al., “Transmissive Optical Imaging Device with Micromirror Array,” Proc. SPIE 6392, 63920E (2006).
- S. Maekawa et al., “Advances in Passive Imaging Elements with Micromirror Array,” Proc. SPIE 6803, 68030B (2008).
- 前田有希,“2面コーナーリフレクタアレイによる空中ディスプレイ,”映像情報メディア学会誌, Vol. 75, No. 2, pp.194 – 197 (2021).
- S. Yokoyama et al., “Imaging Characteristics of Array of Dihedral Corner Reflectors by Use of Gaussian Beam Decomposition’,” Proc. of IDW’10, pp. 1249-1250 (2010).
- 仁田功一ほか,“コーナーリフレクターアレイ結像素子の結像特性における素子形状の影響”,3 次元画像コンファレンス 2012 講演論文集, pp. 164-167 (2012).
- Norikazu Kawagishi et al., “Aerial image resolution measurement based on the slanted knife edge method,” Opt. Express 28, 35518-35527 (2020).
【著者紹介】
前田 有希(まえだ ゆうき)
(株)パリティ・イノベーションズ 取締役研究開発部長
■略歴
2015年3月 大阪市立大学大学院 工学研究科 後期博士課程 電子情報系専攻修了
2015年4月 株式会社パリティ・イノベーションズ 入社
パリティミラーを用いた空中映像表示技術の研究開発に従事。
一般社団法人 日本光学会 情報フォトニクス研究グループ所属(産学官連携担当幹事)
伸縮導電伝送路とMEMSを利用した障害検知(1)
代表取締役
古田 兼三
1. はじめに
“ICT”,“IoT”が一般に認知されてから、かなり時間が経過した。スマートメーター、トラッキング(位置情報通知)デバイスなど、多くのデバイスが身近で使用されている。しかし100万個デバイス@km2、ボタン電池で10年稼働までは、新たな技術イノベーションが必要な現状である。一方で高齢化、インフラの老朽化などの社会課題は、早急な対応も求められている。弊社は5Gの同時多数接続と低遅延・高信頼性技術の両方を活用した新たなアプリケーションを検討している。その具体実装として、橋梁の予知保全に関して検討中の内容を紹介する。
センシングとして加速度センサと伸縮センサを用いる。伸縮センサは、伸縮性のある導電伝送路の抵抗値変化量より伸縮量を求める。また同じ線路をI2C伝送路としても使用する。
2. インフラ管理(橋梁の予防保全)1)
インフラ老朽化により、橋梁・トンネル・法面保全は、社会インフラの維持に不可欠である。国土交通省をはじめ、産官で積極的な研究・取り込みがより活発してきている。一方で人材不足、予算確保の困難さがある。
・ 保全が必要な橋梁(国内): 72万箇所
その中で50年超える橋梁割合: 43%@2023, 50%@2030,67%@2033
今後、急速に増加するメンテンナンスが必要なインフラに対して、事後保全から予防保全にシフトが求められている。今回は橋梁の予防保全に関して、検討してみた。
橋梁(トンネル・法面)の点検
土木技術者より近接目視検査および打音検査、触診検査が行われてきた。近年はICT技術を活用した以下のような検査方法が開発され、実装されている2),3)。
・画像検査方法:ドローン、インフラドクターカー
また継続的なモニター技術も多く開発され実装されてきている。
・光ファイバーモニタリング4)
・傾斜センサおよび振動センサ
・ひずみセンサ
各点検方法の特徴を図に示す。国土交通省は、国民会議の運用5)、点検支援技術性能カタログ公開6)などで普及を推進している。また新しい技術への取組も行われている。
3. 複数IoTデバイスから(複数センサ+エッジAI+LPWA無線)@一つのIoTデバイスへ
近年、河川水位管理には簡易なIoT水位センサを複数個所に設置して、点から面への管理にシフトしてきている。橋梁などの広い面積を管理する場合でも、複数のIoTデバイス(振動センサ)が設置されてきている。さらに性能向上とコスト低減の方法として、一つのシートに複数センサを設置する方法を提案する。一つのシートにすべてを実装することで多くのメリットがある。
・不要なデータ送信の削減(点のデータ群でなく、面のデータを送信する)
・センサ間の差異を容易にチェックできる。補正による精度アップ。冗長性の向上
・トータル施工(取付)工数の削減
・複数のセンサと制御部は、有線での接続(安定かつコストダウン)
※この接続用伝送路自体にセンシング機能を持たせる
伸縮伝送路(MEMSとのI2C通信+伸縮センシング)
新たに開発された導電インクを伸縮性のあるウレタン材に印刷している。以下の伝送路の基本性能の評価を行った。複数の異なる特性素材があるが、まず1種類を評価した。
・評価材料:長さ100mm, 10ライン(ライン幅:0.6mm 線間スペース:0.4mm)
・抵抗値は伸縮により変化するが、線形でない。またヒステリシスは大きい
・伸縮0%~50%で導通(DC~100KHz)。大きな減衰なし
・周波数を上げると波形の歪む(インピーダンスのマッチングは行っていない状態)
シート内で制御部とMEMSセンサをI2Cで接続することは十分に可能と思われる。
一方、抵抗変化量より伸縮量を検知するには、素材および線幅・厚み等の調整が必要である。
以下、基礎評価の一部を紹介する。
次回に続く-
参考文献
- 持続可能なインフラメンテナンスに向けた新技術の活用促進に係る取り組み
松實嵩博, 建設マネジメント技術, 2022年8月号 - トンネル点検支援技術の性能カタログ作成における技術検証、伊藤 良介
JCMA一般社団法人日本建設機械施工協会 機関誌 建設機械施工 Vol.73 No.83, 2022年8月 - 国土交通省におけるインフラメンテナンスの取組
~持続可能なインフラメンテナンスの実現に向けて~
原田駿平、建設マネジメント技術, 2022年8月号 - 光ファイバひずみセンサ建設分野向けマニュアル」の紹介
特定非営利活動法人 光ファイバセンシング振興協会、センサイト特集号 2022年3月号 - インフラメンテナンス国民会議 WEBページ
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/im/、国土交通省 - 点検支援技術性能カタログ(橋梁・トンネル) 令和4年9月
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/inspection-support/、国土交通省
【著者紹介】
古田 兼三(ふるた けんぞう)
TSTジャパン(株) 代表取締役
■略歴
1982.3 同志社大学工学部電気工学科卒
1982.4 株式会社SCREENホールディングス(旧大日本スクリーン製造株式会社)入社
イギリス・ドイツ現地法人勤務
1999TUV Product Service Japan入社 EMC技術者
2004太陽誘電株式会社入社 EMCセンター、BQTF(Bluetooth認証ラボ)運用
BLE〈Bluetooth Low Energy〉規格策定などに従事
2011Southco(アメリカの機械部品メーカー)入社。 日本の現地法人立上
2014積水マテリアルソリューション株式会社入社。 IoT商品開発および普及・教育
2020.3 積水マテリアルソリューション株式会社を定年退職
2020.8 TST Sistemas,S.Aの日本現地法人設立。代表取締役就任。
東北電力に「高感度有機フィルム振動センサデバイス」を導入
ダイセルグループのパイクリスタル(株)は、BIPROGY(株)〔旧:日本ユニシス(株)〕
と、同社が開発した「高感度有機フィルム振動センサデバイス」を東北電力(株)の上越火力発電所に納入した。
上越火力発電所に導入された「高感度有機フィルム振動センサデバイス」は、発電所内のポンプなどの回転機器に設置することで、機器の振動データを一定間隔で検出し、内部メモリにデータを蓄積する。また、無線通信により、蓄積データを非接触で簡単に取得できる。
振動データの検出には、同社独自技術である有機半導体の歪みに対する特性を活かしており、従来のセンサデバイスと比較して6倍以上の感度で振動を検出することができ、機器の異常兆候をより早期に検出することが可能。
更に、従来のセンサデバイスと比べ低コストでの導入が可能で、一つの機器に複数のセンサデバイスを設置することも容易に実現できる。従って、多点でのセンシングにより、得られたデータの信頼性向上が図れる。
「高感度有機フィルム振動センサデバイス」は、東北電力(株)およびBIPROGY(株)が取り組む「火力発電所における設備パトロール業務を、ロボットや AI 技術等により自動化させるシステム」に使用されており、今後、実務を通じて性能の向上等、より良いシステム構築に向けて支援していくとしている。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000118.000035577.html
コディアック・ロボティクス社、 商用トラック車両に自動運転技術を導入
Vicor Corporation(以下:Vicor)は、自動運転技術を開発するコディアック・ロボティクス社(以下:コディアック)が、Vicorの電源モジュールを採用したと発表した。
●重要なセンサの厳しい要件に対応するVicorの電源ソリューション
コディアックは、自動運転トラックの電源システム設計で、妥協が許されない3つの領域を特定した。信頼性、効率、健全性のモニター機能である。そして、Vicor (Vicor Corporationのカスタム設計子会社であるVicor Power Systems) との提携を決めた。高電力密度・高性能の電源システムを設計するためのVicorの電源モジュールは、自動運転システムに最適だからである。
コディアックの電源システムには、Vicorの電源モジュールBCM6123、PRM、VTMが使われており、12V、24V、48Vの電源バスを作り、センサに給電している。すべての電源モジュールは、VicorのSM ChiP(Converter housed in package)であり、極めて小型で信頼性と効率の高い電源を構成できる。
Vicorの設計サポートを受けて、システム内のすべてのコンポーネントの電源を制御できるようになり、コディアックのすべてのセンサの電圧と電流のモニターから、コンポーネントの健全度を最適な状態にできるようになった。コディアックのプラットフォームには4つの基本の電源バスがあり、特定のセンサ、アクチュエータ、プロセッサに接続する必要がある。各々の電源出力は、独自のCANバスを介してモニターされ、個別に制御される。さらにVicorによって、車庫に駐車中にトラックをコンセントにつなぐ、48Vシステムのバッテリー充電器が実現した。エンジンが稼働していないときでもAC電源からバッテリーの充電ができるため、メンテナンスやエンジニアの作業を屋内ですることが可能。Vicorの48Vシステムを導入したことでコディアックのトラックでは、電源ケーブルを細くすることで軽量化と省スペースが実現し、大電力を扱えるようになった。
●商用の輸送とトラック運転手の未来に大きな変化をもたらす
商用の輸送は軽視されがちだが、世界経済の安定のために欠かせない。今まさにコディアックは、自動運転によってトラック輸送の信頼性と効率を高めることで、業界に革命を起こそうとしている。
多くの業界アナリストは、商用の長距離トラック輸送が、高速道路で自動運転の技術を広く適用する最初の事例になると考えているという。
ニュースリリースサイト(vicor):
https://www.vicorpower.com/ja-jp/press-room/kodiak-robotics-autonomous-long-haul-transportation
不二サッシ、「アルミカーテンウォール内蔵型センサー・アラートシステム」の研究・開発
不二サッシ(株)では、(国研)防災科学技術研究所が取り組む「10層鉄骨造オフィス試験体による建物の動的特性評価実験」において、産官学が連携して推し進める「アルミカーテンウォール内蔵型センサー・アラートシステム」の研究・開発に参画している。
今回、地震による建物の被災状況を即時に可視化するシステムの実証を目的として、実際のオフィスビルを再現した試験体に同システムを実装し、巨大地震にみられる震度7クラスの地震波を加振する公開実験を行うことになった。
「アルミカーテンウォール内蔵型センサー・アラートシステム」とは、地震時に建物の変形度合いを計測し、アルゴリズムにより被災状況を推定し、推定した結果は、即時に“アラートシステム”に送信され発光表示し、被災状況を可視化する。
このシステムの開発にあたっては、コロナ禍前より防災科学技術研究所をはじめ、名古屋大学、文化シヤッター(株)、そして同社とともに産官学が連携して推し進めてきた。
今回の実験で同社は、カーテンウォールのエンジニアリングメーカーとして、カーテンウォールにLEDを組み込んだ光建材商品を利用した “光アラートシステム” の設計・製作・施工を担当している。
【実験概要】
防災科学技術研究所 実大三次元振動破壊実験施設「E-ディフェンス」を活用し、鉄骨構造体のほぼ全面にカーテンウォールを設置した10層鉄骨造オフィスビルを再現した中規模建物を試験体とし、様々なレベルと特性の地震動で加振を繰り返し、センサシステムにより建物の地震応答を計測する。
別途、試験体に設置した変位計や加速度計の計測結果と、センサシステムで取得した地震応答を比較し、センサシステムの測定における妥当性評価を行うと同時に、計測結果をアラートシステムへ即時に送信し、LEDの発光状況を観察し動作検証を行う。
なお、推定した被災状況と実際の被害を比較するため、内装材などの非構造部材も設置する。
これらの実験を通じてセンサとアラートシステムの評価・検証を行うことで、社会実装への推進につなげる。
【公開実験日】
2023年2月17日(金) 11時30分 受付開始 (12時00分 受付締切)
【実験場所】
国立研究開発法人防災科学技術研究所 兵庫耐震工学研究センター
〒673-0515 兵庫県三木市志染町三津田西亀屋1501-21
【対象】
報道機関、研究機関、建設関係者、防災関係者
※一般の方への公開は行っておりません。
実験の詳細については、以下の国立研究開発法人防災科学技術研究所のホームページをご参照のこと。
https://www.bosai.go.jp/hyogo/
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000040866.html
移動燃焼源(自動車)から排出される温室効果ガスの実測ソリューションの実証実験
(株)テックシンカーはUXアクセラレーションプログラム2022において、熊本県 山都町とユナイテッドトヨタ熊本(株)と協働して、「車両のCO2算定サービス」の実証実験を2023年2月上旬から実施する。本実証実験は、「燃料ベース手法」と「距離ベース手法」を組み合わせた測定方法を採用し、IoTデバイスとWEBアプリを通じて走行距離と燃料使用量をモニタリングすることで、排出量を実測ベースで算出する。
■実証実験概要
1. 燃料ベース手法と距離ベース手法を組み合わせた実測値により、正確に排出量を算出する
企業・組織は、活動ごとの排出量の測定・検証や対外アピール等を行うために、正確性が高いデータ/算定手法を採用する必要がある。本実証実験は、自動車の移動燃焼源の排出量算出の精度を最大化するため、GHG プロトコルが推奨している燃料ベース手法と距離ベース手法を組み合わせた測定方法を採用する。こうした2つの算定アプローチを組み合わせることで、CO2は燃料使用量から、またCH4及びN2Oは移動距離から「実測ベース」で算定することが可能となり、より正確に排出量を推計できる。また、データ取得の負担を軽減するため、IoTデバイスとWEBアプリを活用して活動量データ(下記)を収集する。
●主な活動量データ:実際の走行距離、燃料使用量等
●データ収集ガイダンス:走行距離の自動測定、燃料領収書の登録等
2. IoTデバイスで走行距離を取得
シガーソケットを利用して手軽に設置可能なGPSトラッカーとデータ通信用のSIMカードを用いて、車両の走行データを取得する仕組みを構築する。車のシガーソケットに設置するだけで利用できるデバイスを用いることで、現場の負担を軽減することが狙い。また、デバイス自体には通信用モジュール、GPS、加速度などのセンサが内蔵され、車両の位置情報を可視化することができる。
3. WEBアプリで燃料使用データを取得
燃料使用データは、WEBアプリを通じて使用量を記録する。スマホを通じて入力した情報を排出量の算出システムに取り込みやすいデータ形式にすることで、現場の情報入力の手間を最小化する。WEBアプリは予めダウンロードする必要はなく、インターネット(ブラウザ)より簡単に利用することができる。
■実証実験のスケジュール
期間(予定):2023年2月上旬~2023年3月下旬
実測車両数(予定):山都町の所有車両10台
■UXアクセラレーションプログラム2022について
UXアクセラレーションプログラム2022では、熊本県の半導体・自動車関連産業に続く「第3の柱」として、新たな産業の創出を目指すUXプロジェクトを推進している。熊本県内企業の多様な事業領域、豊富な経営資源と全国のスタートアップの特徴ある技術・サービスを結びつけるオープンイノベーションにより、新たな事業・サービスを創出し、地域経済の活性化に寄与することを目指す。
▼ホームページ:https://unidge.co.jp/project/ux_accelerationprogram2022
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000098041.html
Panasonic、世界最高感度のハイパースペクトルイメージング技術を開発
パナソニック ホールディングス(株)は、世界最高感度*1でハイパースペクトル画像*2を撮影する技術を、医療や宇宙探索の分野で活用が進む圧縮センシング技術*3を用いて開発した。本技術により、肉眼では判別できないわずかな色の違いを、従来のカラーカメラ*4と同様の操作性で識別できるようになり、画像分析・認識の精度向上が可能になる。こうしたハイパースペクトル画像撮影を実証した世界初の研究成果として、ベルギーの研究機関であるimecとの連名で英国科学雑誌「Nature Photonics」のオンライン版に2023年1月23日に掲載された。
<概要>
画像認識技術の進化に伴い、画像データを産業的に利用し効率化・省人化・省エネルギー化を可能にする、マシンビジョンの応用が広がっている。マシンビジョンでは画像をコンピュータで認識するため、人間が知覚できない情報、例えば連続的な色変化(スペクトル情報)を用いた解析が可能になる。スペクトル情報をもつ画像はハイパースペクトル画像と呼ばれ、マシンビジョンの応用範囲を拡大する役割が期待されている。
従来のハイパースペクトル画像撮影では、プリズムなどの光学素子や、特定の色(波長)の光を選択的に通すフィルタが用いられていた。しかし、これらの方法は光を波長ごとに分けて検出するため、波長の数に反比例して光の利用効率、つまり感度が低下するという物理的な制約があった。そのため、撮影時には晴れた日の屋外に匹敵する明るさの照明(照度10,000ルクス以上)が必要となり、操作性・汎用性に難があった。
今回開発したハイパースペクトル画像撮影技術では、観測データを“間引く”ことで効率的に取得し、演算処理で“間引かれる前”のデータを復元する、圧縮センシング技術を応用した。これは、医療現場でのMRI検査やブラックホール観測でも使われている手法である。複数波長の光を通し画像データを適切に“間引く”特殊フィルタをイメージセンサ上に搭載し(図1)、独自のデジタル画像処理アルゴリズムによりデータを復元した。ソフトウェアが色を分ける機能の一部を担うことで、従来技術の課題であった波長数と感度の制約を突破した。これにより、世界最高感度のハイパースペクトル画像撮影、さらには室内照明(550ルクス)下での動画撮影を実現した。
今後は本技術の活用により、色情報に基づいて高精度に画像分析・認識を行う新たなセンシングソリューションや、高感度なハイパースペクトル画像撮影技術によるマシンビジョン用途の拡大を、パートナーとの共創も検討しながら目指すとしている。
<特長>
1. 複数波長の光をランダムに通す特殊フィルタを用いた観測データの“間引き”取得により、物理的制約を超えた感度向上が可能
2. 世界最高感度(従来比約10倍)のハイパースペクトル画像撮影により、室内照明(550ルクス)で鮮明な撮影を実現
3. 独自のアルゴリズムでフレームレート*5を動画レベル(>30fps)に向上し、カラーカメラ並みの操作性でスペクトル情報の取得を実現
<用語説明>
*1:2023年1月26日時点。
*2:光の波長ごとに取得された画像の中で波長数が4以上のものをマルチスペクトル画像、さらに波長数が概ね10以上のものをハイパースペクトル画像と呼ぶ。
*3:少ない観測データからより多くの信号を復元する手法。観測対象データがある表現空間(例えば周波数空間)では偏った分布になるという性質(スパース性)を利用する。MRIの高速化技術に応用されているが、近年ブラックホールの観測にも使われた。
*4:赤、緑、青の三種類のフィルタをイメージセンサ上に搭載し、三色の比率で色を表現するカメラ。デジタルカメラやスマートフォン搭載のカメラはほぼこれにあたる。
*5:動画が1秒あたり何枚の画像で構成されているかを示す指標で、fps(frames per second)という単位で表される。一般的なテレビ映像は30fpsである。
プレスリリースサイト(panasonic):https://news.panasonic.com/jp/press/jn230126-1
コクヨ、「文具のIoT自販機」の実証実験を開始
コクヨ(株)は、IoT 化された自動販売機(以下、IoT自販機)での文具の購買体験を行う実証実験を開始する。IoT自販機は1月31日(火)に羽田エアポートガーデン内に開業する直営店「KOKUYODOORS(コクヨドアーズ)」の店内に設置し、第1弾として7種類の商品を販売する。なお、IoT自販機(※)を活用した文具専用販売は国内初の事例となるという。
※ (株)ブイシンク製「スマートマート」
コクヨの文具は、利用客の使い心地を追及しながら、機能・品質・ラインナップをユニークに進化させてきた。その奥深さの伝達や目的買い以外の利用客との偶発的な出会いを目的として、IoT自販機を採用した。
無人での自動販売機能により、低オペレーションでお客様との接点創出を実現するだけでなく、一般的な自販機とは異なり、ペットボトルなど飲料品の形状やサイズに囚われないノートなど文具としての幅広いラインナップが販売可能になる。デジタルサイネージと大型のタッチパネル液晶を搭載しているため、見た目だけでは伝わりにくい文具の魅力を、リアルな端末でありながらECサイトさながらに画像や動画を用いて直感的に分かりやすく表現できるとともに、多言語での対応も可能である。また、付属のカメラセンサで取得した購入者の性別年代情報(※)を今後の商品企画や販売企画へ活用することも想定している。
※ 個人情報は取得しない。
販売商品は、国内外で人気のある文具を詰め込んだ「スペシャルボックス」や、利用客のニーズに応えて多様に進化を遂げたキャンパスノートやテープのりなどの違いが楽しめる「マニアセット」、何が出てくるかわからない「シークレットセット」などを用意している。オリジナルの紙袋に入った状態でIoT自販機から出てくることや商品が出てくるまでの待ち時間を動画で演出するなど、購買体験そのものを楽しんでいただける工夫を凝らしている。
今後は商品ラインナップや設置場所の拡大など、検証を重ねながら新たな購買体験を生み出していくとしている。
■ 設置場所
ショップ名: 「KOKUYODOORS(コクヨドアーズ)」
オープン日: 2023年1月31日(火)
所在地 : 東京都大田区羽田空港二丁目7番1号 羽田エアポートガーデン 2F
アクセス : 京急線・東京モノレール「羽田空港第3ターミナル」駅直結
店舗面積 : 25坪営業時間 : 10:00~20:00(当面)
定休日 :施設(羽田エアポートガーデン)の休業日に準ずる
ニュースリリースサイト(KOKUYO):
https://www.kokuyo.co.jp/newsroom/news/category_other/20230123cs.html
ミツフジ、着るだけで心電図を計測・記録「着衣型携帯心電計PS201-01」
ミツフジ(株)は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づき、心電図を計測・記録する着衣型携帯心電計(一般的名称:長時間心電用データレコーダ、販売名:着衣型携帯心電計PS201‐01、医療機器認証番号:304ADBZX00115000)の管理医療機器(クラスII)認証を取得した。
「着衣型携帯心電計PS201‐01」は、トランスミッター、着衣型センサー※1(スマートウェア)、スマートフォン、アプリ、AC充電器がセットとなっており、同社が独自に開発した銀めっき導電性繊維AGpossを電極として編み込んだ着衣型センサの外ポケットにトランスミッターを装着し、下着のように着用して、データ保存・転送機であるスマートフォン※2を携行するだけで、いつでも、どこでも、誰でも簡単に、日常生活において心電図測定が可能※3である。2023年2月より販売を開始する。
【製品概要】
販売名:着衣型携帯心電計PS201‐01
医療機器認証番号:304ADBZX00115000(認証日:令和4年11月29日)
サイズ(本体):幅33mm×高さ57mm×奥行12mm
重さ:25g
附属品:
・※1着衣型センサー(販売名:シャツ型心電用電極 、医療機器認証番号:13B2X10377000004)
・※2測定用スマートフォン:Android(下記アプリのダウンロードが必要)
・着衣型簡易心電計管理アプリ“wearable Holter ECG management”
・※3心電図解析および診断機能は無し
・本体用AC充電器
価格:35万円(税抜)
購入方法:info@mitsufuji.co.jp
製造所:東京レーダー藤岡事業所
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000020122.html
