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センサの早わかりONLINE集(1)

現在では、調べ物をする際に当たり前のようにネットが活用されています。
書店に単行本を調べに行くのは昔の話。センサに関してはかなり範囲が広くなりますが、これは便利だというサイトもあります。
WEB上でも詳しい用語解説を行っていたり、中には簡単な実験が体験出来るサイトもありますので、今回センサイトではそんなお役立ちサイトをピックアップしてみました。
覗いてみたら悩みが解決する事もあるかもしれません。

1.「光センサゼミナール」 運営:コーデンシ(株)
フォトダイオード/フォトトランジスタ/発光ダイオード/フォトインタラプタ/エンコーダ/LEDについて、自社で扱っている商品の原理や特性を丁寧に仮設しているサイト。企業のサイトだがセンサの基本的な知識は習得できる。
http://www.kodenshi.co.jp/seminar/

2.「DEVICE PLUS」 運営:ローム(株)
Raspberry Pi や Arduino と光センサを使って電子工作を実際の製作体験をレポートするサイト。他にロボットの製作やドローンの記事なども掲載している。
https://deviceplus.jp/tag/%e5%85%89%e3%82%bb%e3%83%b3%e3%82%b5%e3%83%bc/

3.「FA技術サポート FAセンサ・システム用語解説」 運営:パナソニック(株)
光電センサ/レーザセンサ/ファイバセンサ・圧力センサ・近接センサ・流量センサ・変位センサ、その他に関する用語解説をしているパナソニックのサイト
https://www3.panasonic.biz/ac/j/service/tech_support/fasys/idx_glossary/index.jsp

4.「日経クロステック」 運営:(株)日経BP
素人向けというよりは、もう一歩業界向けのICT関係情報を掲載。日経新聞社系列、情報が長期間載っている場合もある。
https://tech.nikkeibp.co.jp/top/it/

5.「ものづくりニュース」 運営:(株)アペルザ
「モノ作り」に特化した情報サイト。アマチュア向けの情報が多い。
https://news.aperza.jp/

6.「ITメディア」(AI分野)  運営:アイティメディア(株)
主にAI関係の新規事情などの情報があるサイトだが、ソフトバンク系列なので、同系列の情報が多い。
http://www.itmedia.co.jp/news/subtop/aiplus/

7.「gigazine ギガジン」 運営:(株)OSA
IT系の情報・ニュースサイトだが、新製品などでIoT関係も多く、海外の情報にも強い。
http://gigazine.net/

8. ワイヤード日本語版  運営:(同)コンデナストジャパン
主にニュース系の最先端技術を素人に優しく解説するサイト。
https://wired.jp/

次週に続く—

各社の光センサ関連製品

ケイエルブイ 近赤外分光センサモジュール
超小型 近赤外分光センサモジュール NIRONE

<製品写真>

NIRONE Sensor
NIRONE Device

<製品説明>
Spectral Engines社のNIRONEは、MEMS型ファブリペロー技術を採用した近赤外分光センサである。近赤外分光センサは、研究用途では幅広く用いられているが、大きさとコストの面から産業界での実用化は一部の装置に限られていた。
Spectral Engines社のNIRONEは、MEMS技術を用いることにより、高性能で超小型、低価格化を実現することができた。これにより、従来の分光器では不向きだった携帯機器や、IoT用途の大量生産が求められる用途などへの導入にも応用が期待できる。

NIRONEは近赤外分光測定に必要な部品を全て搭載

■NIRONE Sensor:近赤外分光センサモジュール
25x25x17mmの超小型サイズであり、重さはわずか15gにもかかわらず、高い性能を有している。コンパクトで堅牢なモジュールの中に2つの光源を内蔵、さらに、組み込み用インターフェースにも対応しており、食品、農業、製薬、その他の市場の生産ラインへの組み込みにも適したモジュールである。

特長
・超小型 25×25×17mm、軽量:約15g
・高感度
・光源内蔵
・データ取得、データ保存、ランプ光量制御可能

主な仕様
タイプNo. NIRONE S1.7 NIRONE S2.0 NIRONE S2.2
波長範囲 1.3 ‒ 1.65μm 1.55 ‒ 1.95μm 1.75 ‒ 2.15μm
波長分解能(FWHM) 14 ‒ 18nm 16 ‒ 22nm 20 ‒ 26nm
検出器 InGaAs(単一素子)
内蔵光源 2タングステンバキュームランプ
ランプ寿命 >40,000時間
波長ポイント 512ポイント(最小ステップ0.1nm)
波長切り替え時間 1ms
SNR > 10,000(typ.平均化なし)
波長温度応答(max.) 0.1nm/°C
動作温度範囲 10..+50°C(結露なし)
消費電力 < 1.1 W(peak)/ < 300mW(nominal)
光学インターフェース マイクロ反射光学素子/SMAコネクタ
電気インターフェース Supply Voltage 5V
UART(3.3V
I2C(3.3V)
and digital trig in/out(3.3V)
機械インターフェース Mountable on PCB. Two M2 screws and PCB connector.
PCB area of 25 x 25 mm2 needed
サイズ
(幅 x長さ x高さ)
25x25x17.5mm3
重量 15g

■NIRONE Device:Bluetooth内蔵 近赤外分光センサデバイス
NIRONE Deviceは、NIRONE Sensorが組み込まれたポケットサイズのワイヤレス近赤外反射測定装置である。Bluetoothでスマートフォンやタブレット端末などの携帯機器とワイヤレスで接続し、近赤外の分光測定を簡単に行うことができる。

特長
・測定が早い(typically in seconds)
・Bluetooth
・スペクトルデータをモバイルアプリケーションで簡単に表示
・SDK

<応用範囲>
水分測定、食品(食品品質、成分分析)、薬品、繊維
IoT、スマート農業、スマート家電

問合せ先
ケイエルブイ株式会社
現住所 〒101-0041 東京都千代田区神田須田町1-2
移転先住所: 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町1-1 
※(2018年8月27日からの移転先住所です。)

TEL: 03-3258-1238 FAX: 03-3258-5689
E-mail: toiawase@klv.co.jp
URL: https://www.klv.co.jp

エレファンテック、生体電極・電気化学センサ製造開始

プリンテッド・エレクトロニクス技術で新しい基板の作り方を推進し、FPC「P-Flex™」の製造を展開するエレファンテック株式会社は、生体電極、電気化学センサの製造を開始すると発表した。

◇インクジェット基板で作る生体電極


生体電極は、心電図(ECG)、脳波(EEG)、筋電図(EMG)などを計測する用途に使われる電極で、電極にはいくつかの種類があるが、特に“モニタ用としては長時間安定に使用することができ,かつ皮膚と電極との間の分極電圧の低い銀塩化銀(Ag / AgCl)電極の使用が望まれる.” ※1 とされている。

P-Flex™で作る Ag / AgCl 生体電極は、銅配線であるため電極までの抵抗値が銀ペースト等に比べて低く部品実装も可能という利点があり、さらに弊社のインクジェット技術を用いた製造によって下記のメリットがある。
・Ag / AgCl ペースト塗布部分以外は型が必要ないので、短期間にリーズナブルな価格で製造可能。
・中小ロット生産に向いている。
・基材はPETフィルムとポリイミドフィルムから選択することができる。
・Ag / AgCl ペーストの材料の比率調整にも対応可能で、イオントフォレーゼ向け試作等にも対応できる

 ※1石山 陽事, 生体信号計測用センサに求められる性 能, 医機学 Vol.80,No.1(2010), p.21.

◇P-Flex™ PET で作る電気化学センサ


電気化学センサとは、酸化還元電位を利用して状態を知ることができるセンサ。環境、水質分析では、水に含まれる銅やヒ素、水銀の測定などに利用される。また、バイオセンサのトランスデューサー部として血糖値、乳酸、尿糖センサなどに使われている。

P-Flex™で電気化学センサを製造することによって下記のメリットがある。
・線抵抗値の低減。
・金電極を金フラッシュ(金めっき)で作れることによる金ペースト印刷に比べたコストメリット。
・吸水性のない PET ベースなので吸水によるセンサ感度トラブル低減、フローセルなどにも使用可能。
・小ロット生産対応が可能である。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000036441.html
エレファンテックのサイト:https://www.elephantech.co.jp/

自動車の正確な測位と制御をサポートする新しい車載用MEMSセンサ

STマイクロエレクトロニクス(ST)は、先進的な車載ナビおよびテレマティクス・システムにおいて、超高精度のモーション・トラッキングを実現する車載用6軸モーション・センサASM330LHHを発表した。

自動運転を実現するには、自動車の継続的かつ正確な位置情報が必要となるが、先進的な推測航法アルゴリズムにおいては衛星信号の受信が途切れた場合でも、ASM330LHHのセンサ・データを利用することにより、正確な位置を計算することが出来る。そのため、高層ビル群、トンネル内や地下、駐車場、山林など衛星信号の受信が困難な場所を走行中でも測位することが可能となる。

先進的で低ノイズ、かつ温度安定性に優れているASM330LHHは、電子料金徴収システム、遠隔診断、eCall(緊急通報システム)アシスタンスなど、高い信頼性が必要とされるテレマティクス・サービスにも応用可能。この6軸モーション・センサが検知する高精度の慣性データは、先進的な自動運転システムの要求にも対応するとしている。

Magneti Marelli社においては、ASM330LHHを先進的なテレマティクス・システムに採用した。今後このシステムは、世界的な自動車メーカー各社が発売する様々な自動車に、純正品として搭載される予定とのこと

◇ASM330LHHの特徴

・最高105℃の動作温度範囲により柔軟性が向上し、自動車のルーフに設置されたスマート・アンテナ内部やエンジン・ルーム近辺など、高温になる場所への電子制御ユニットの設置が可能
・超低ノイズにより、測位をセンサのみに依存する場合でも、積分誤差を最小化し優れた測定分解能を実現
・高い線形性と内蔵の温度補正機能により、動作温度範囲全域にわたり外部補正アルゴリズムが不要
・クラス最小の消費電力に加え、バッテリ使用が必須となる場合でも電力制御を最適化できる機能を搭載
・車載規格であるAEC-Q100に準拠
・ST独自の実績あるThELMA(※注) MEMSプロセス技術により、同一シリコン・ウェハへ3軸加速度センサと3軸ジャイロ・センサを集積し、優れた歩留まり、品質および信頼性を実現
・STの130nm HCMOS9A技術を使用し、2つのセンサの信号チェーンをワンチップに集積するインタフェース・チップ
・リファレンス設計に加え、STのTeseo(TM)衛星測位モジュール、関連ソフトウェアを提供。Teseo III GNSSレシーバ・チップセットに内蔵されているASM330LHH対応の推測航法アルゴリズムが自動ナビゲーションに最適な高精度の出力を実現
・車載モジュールの小型化へ貢献する小型・薄型パッケージ(3 x 2.5 x 0.83mm)
・リードレスLGAパッケージ

(※注) Thick Epitaxy Layer for Micro-gyroscopes and Accelerometers(ThELMA) は、厚さの異なるポリシリコン層を組み合わせて構造および配線を形成する表面マイクロマシニング・プロセス


ニュースリリースサイト:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000885.000001337.html

「傾斜地レモン栽培」×「IoT」連携による実証実験

株式会社エネルギア・コミュニケーションズ(エネコム)は7月31日、(一社)とびしま柑橘倶楽部と連携し、傾斜地におけるレモン栽培の「見える化」など労働生産性向上などに向けてIoTを活用した実証実験を開始した。

現在レモン生産者の高齢化などにより、国内の安心安全なレモンの安定的な生産が難しい状況となっているほか、レモン生産量が国内1位の広島県における生産の中心は島しょ部で傾斜地でも多く栽培されている。
そんな中、とびしま柑橘倶楽部では、大崎下島を含む地区のレモン生産者と一体となり、レモンの生産・流通や6次産業化などによる農業経営の安定化を目指している。

エネコムと、とびしま柑橘倶楽部は連携し、これまで取り組んできた ICTの知見や経験を活かし、傾斜地レモン栽培において「レモン栽培環境・プロセスの見える化」による労働生産性向上や、レモンの高品質化につながる「生産者ノウハウ(匠の技)の継承」を支える仕組みづくりに関して、各種センサやLPWAネットワークなどIoTの有効性について実証実験を行う。

エネコム ニュースリリース(pdf):
http://www.enecom.co.jp/info/news/2018/20180731.pdf

IoTで路面状況を「見える化」路面検知システムの開発と実証実験

株式会社村田製作所は、IoTを活用した低コストで効率的な道路保全と自動運転社会への貢献を目指し、独自のセンサ情報と画像技術を組み合わせた高精度な路面検知システム(以下、「本システム」)を開発し、実証実験を開始する。

本システムは一般車両に搭載することができ、ジャイロセンサ、加速度センサ、ショックセンサやマイクなどから得られるデータをもとに、さまざまな環境下において、道路の老朽化度合いなどの路面状況を「見える化」することで、効率的な道路保全を実現するプラットフォームである。たとえば、道路管理者である自治体などは、これらの情報を得ることにより、道路の状況を把握し、道路保全の効率化と行政サービスの向上を図ることができるようになるという。

また、凍結など天候とともに変化する路面情報は、自動運転社会に必要とされる高精度マップにおいても必須の情報となる。本システムから得られた情報をリアルタイムに提供することにより、自動運転社会に貢献することも構想中。現在、本システムの事業化に向け、さらなる社会実証実験などを計画している。

今後、本システムにより得られた情報を有効活用する方法についても検討を進め、新たなサービスの創出や社会インフラサービスへの貢献を目指すとのこと。
なお、2018年7月より京都府宇治市にて本システムの社会実証実験を開始している。

ニュースリリースサイト:
https://www.murata.com/ja-jp/about/newsroom/news/product/others/2018/0730

ALSI、期間レンタル型「IoT FastKit 」に新機能追加 7月30日より提供開始











 アルプス システム インテグレーション株式会社(ALSI〔アルシー〕)は、期間レンタル型オールインワンパッケージ「IoT FastKit™」に新機能を追加し、2018年7月30日より提供開始することを発表した。
 「IoT FastKit™」は、アルプス電気のセンサネットワークモジュールを活用した、期間レンタル型のスターターパックです。実際の利用シーンを想定した「シナリオ」と呼ばれる管理機能と、様々なデータを取得することができる「センサ」や、「IoT Gateway」などの必要な機器・サービス一式が含まれ、申し込み時に利用したいシナリオを選択していただくことで、シナリオが予め設定された状態で届き、すぐに利用を開始することができる。

これまでの「IoT FastKit™」では、センサネットワークモジュールで温度や湿度、加速度、地磁気、UV、照度などのデータを収集し、そのデータをクラウド上にアップすることにより、データの分析と課題改善に役立てることができる仕組みになっていた。今回、提供を開始する新機能では、データを収集しアップするだけではなく、データのインプットを行うことで、その後のアクションにつなげることができる情報発信を実現した。

その手段として、シナリオラインナップに「メッセージキューブ」を追加。「メッセージキューブ」の中にはセンサが内蔵されており、キューブ(立方体)の6つの面に予め設定した内容に合わせ、離れた場所にいる人に対してメールやメッセンジャーにメッセージを送ることができる。 例えば、会議に参加している人がキューブの面を上に向けるだけで、飲み物のオーダーやタクシーの送迎希望を出すなど、文字の入力や音声による通話をせずに、メッセージキューブを使って簡単に情報を発信することができる。企業だけではなく、飲食店や宿泊施設、病院、介護施設など、様々な活用シーンに対応することができ、幅広いIoTの検討ニーズに対応することができるようになったという。

ニュースリリースサイト:https://www.jiji.com/jc/article?k=000000036.000025498&g=prt

IoT時代のキーデバイスMEMSセンサ(5)

江刺正喜
(東北大学 マイクロシステム融合研究開発センター)

5. 触覚センサネットワーク (センサ + ネットワーク)

工業用ロボットは使われるが、介護ロボットはあまり使われない。これはロボットが接触したことを認識できずに危険であり、人と一緒に活動しにくいためといえる。これを解決するためにロボットの体表面に触覚センサを分布させる研究を行ってきた。図16の上は1990年に開発した共通2線式触覚センサネットワークである15)。2本の線に複数の触覚センサが接続されており、共通線は電源供給だけでなく、触覚センサを選択したり、流れる電流(Ip)からその情報を読み出したりする働きがある。図16の下には触覚センサの構成、図17には実際の動作例を示した。共通線の電圧を図17の上のように変化させて特定の触覚センサを選択する。図16下のようにクロック信号とアドレス信号を取り出し、アドレス信号を4ビットのシフトレジスタに入れる。これを設定アドレスと比較して一致すればスイッチ信号(Vs)で、その触覚センサが選択され、荷重に対応して電流Ipが変化して、出力信号が得られる。これをそれぞれのセンサに対して繰り返す。このように一つずつ読み出すシステムは「ポーリング」と呼ばれるが、その欠点はリアルタイムで無いことである。本来はロボットが接触したことをリアルタイムで検出する「イベントドリブン」であることが望ましい。当時研究室でCMOS集積回路を自前で製作していた16)。しかしその集積度は1000トランジスタ(Tr)/チップが限界であった。1990年当時でも企業では100万Tr/チップであり、我々の研究室の1000倍であった。現在では100億Tr/チップであり、100万倍の違いがある。このため我々は、1990年以来CMOS集積回路を自前で製作することを断念した。

図16. 共通2線式触覚センサネットワーク
図17. 共通2線式触覚センサネットワークの動作例

その後はLSIファウンダリに依頼して製作した高集積CMOSLSIを用い、「イベントドリブン」の触覚センサネットワークを開発している。これでは図18のように、2mm角のネットワーク用集積回路の上に容量型力センサがあり、触覚としての力による静電容量変化を検出する。集積回路からは貫通配線を通して裏面に接続されたフレキシブル基板の共通バスに接続されている17)。この触覚センサネットワークの動作例を図19に示してある。4本の共通バスは電源線(VDD, GND)と信号線(SIG+, SIG)からなり、インターネットなどと同様なパケット通信ネットワークを形成している18)。すなわち接触を検出したセンサは、そのアドレスや荷重データのパケット信号を送出する。45MHzのクロックでこれを高速に行う、リアルタイムのシステムになっている。数十のセンサがつながった共通バスはリレーノードに接続され、複数のリレーノードからロボットのホストPCに割り込みが生じて、接触が検知される。リレーノードは接触で始まる非同期信号からクロック信号を生成する機能などを有している。

図18. 触覚センサネットワーク用センサ
図19. オンデマンドパケット通信ネットワークの動作例

文献
15) S. Kobayashi, T. Mitsui, S. Shoji and M. Esashi, Two-lead tactile sensor array using piezoresistive effect of MOS transistor, Technical Digest of the 9th Sensor Symposium (1990) 137-140

16) 江刺正喜,「半導体集積回路設計の基礎」(1986) 培風館

17) M. Makihata, S. Tanaka, M. Muroyama, S. Matsuzaki, H. Yamada, T. Nakayama, U. Yamaguchi, K. Mima, Y. Nonomura, M. Fujiyoshi and M. Esashi : Integration and packaging technology of MEMS-on-CMOS capacitive tactile sensor for robot application using thick BCB isolation layer and backside-grooved electrical connection, Sensors and Actuators A, 188 (2012) 103-110

18) 室山真徳, 巻幡光俊, 中野芳宏, 松崎栄, 山田整, 山口宇唯, 中山貴裕, 野々村裕, 藤吉基弘, 田中秀治, 江刺正喜, ロボット全身分布型触覚センサシステム用LSIの開発, 電気学会論文誌E, 131, 8 (2011) 302-309

IoT時代のキーデバイスMEMSセンサ(4)

江刺正喜
(東北大学 マイクロシステム融合研究開発センター)

4. 静電浮上回転ジャイロ (センサ + 回路 + アクチュエータ)

高精度に2軸の角速度や角度を検出できる静電浮上回転ジャイロが1952年にイリノイ大学で開発された12)。その構造を図12に示してある。原子力潜水艦の場合に、水中では人工衛星からのGPSの電波を受信できないが、この静電浮上回転ジャイロを用いることによって高精度な航行制御が可能になった。この場合直径5cm程の金属球が、浮上用電極との間の静電容量と外部コイルによる共振特性を利用した受動回路により真空中で浮上する。球の重心は中心から僅かにずれて偏心しており、それを利用し毎分12,000回転させる。

図12. 原子力潜水艦用静電浮上回転ジャイロ
図13. ディスク型静電浮上回転ジャイロ

図13はMEMS技術で開発されたディスク型静電浮上回転ジャイロである13)。シリコン板の上下にガラス板が陽極接合してあり、内部で直径5mmの円盤が浮上して回転する。空気の粘性による摩擦を無くするため内部を真空にしている。このために真空中で接合し、また接合時にガラスが分解して発生する酸素ガスを吸着する目的で非蒸発型ゲッタを入れてある。ガラスの内側に電極を形成してあり、円盤と電極との間の静電容量から円盤の位置を検出し、電極に電圧を印加して静電引力を発生させる。これを全方向で行って円盤を浮上・回転させる。回転速度は毎分10,000回転で、浮上のための電圧から3軸加速度、また円盤の回転軸に垂直な2軸の角速度を測定できる。しかしこの構造では円盤を横方向に動かすのに、電極の重なりを変化させる静電アクチュエータを使用しているため大きな駆動電圧(±30V)が必要である。そのためこれを改良したリング型静電浮上回転ジャイロが開発し実用化された。

リング型静電浮上回転ジャイロは図14に示すように外径1.5mmのシリコンリングが浮上し、毎分74,000回転する14)。これは真空にしたパッケージに入れて使用される。電極間隔が変わる方向に静電引力を発生させることで、駆動電圧を減らすことができる。このリング型静電浮上回転ジャイロの制御回路には、図15に示すような高速ディジタル制御を使用する。加速度検出と角速度検出の分解能は、それぞれ2μm/s2、0.01deg/sで高い性能を示す。このようにMEMS技術で小形化し、静電容量型センサやディジタル制御および静電アクチュエータを組み合わせている。

図14. リング型静電浮上回転ジャイロ
図15. リング型静電浮上回転ジャイロ用制御回路

このリング型静電浮上回転ジャイロは、高速ディジタル制御を用いるため消費電力が大きく携帯機器などには適していない。また高速回転で使うために立ち上がりに時間がかかる欠点があり自動車などにも使いにくい。このため東京の地下鉄などの走行中の車体の動きを計測する、モーションロガーに使用されている。

文献

12) H. W. Knoebel, The electric vacuum gyro, Control Engng, 11, 2 (1964) 70-73

13) K. Fukatsu, T. Murakoshi, K. Minami and M. Esashi, Measurements of electrostatic force and capacitance for electro-statically levitating inertia measurement system, Technical Digest of the 15th Sensor Symposium (1997) 39-42

14) T. Murakoshi, Y. Endo, K. Fukatsu, K. Sigeru, S. Nakamura and M. Esashi, Electrostatically levitated ring-shaped rotational-gyro/accelerometer, Jpn. J. Appli. Phys., 42, Part1 No.4B (2003) 2468-2472

IoT時代の光ファイバセンサー(4)

梶岡 博
((株)グローバルファイバオプティックス 代表取締役)

4.3 FOG応用グルコースセンサー

本節では筆者が現在開発中のFOGを応用したグルコース濃度センサーの開発経緯について紹介する。読者が新たな光ファイバセンサーを開発する際の参考となれば幸いである。
グルコースなどの糖は旋光能がある。すなわちグルコース液に直線偏光を入射すると伝搬後に偏光面が濃度に比例して回転(旋光)する。筆者はFOGを応用して旋光度からグルコース濃度を測定することを以下のように考えた。

直線偏光は左右円偏光に分解できる。
左右円偏光にθの位相差があればその合成は方位がθ/2回転した直線偏光となる。
FOGは左右両回りの光の位相差を測定するセンサーである。
FOGを伝送する偏光モードは2つの固有偏光モードの一つの直線偏光である。
FOGループの中に検体のグルコースを設置し、グルコースを伝搬する左右両回り光をそれぞれ左右円偏光とし、かつFOGを構成するPMFには一つの直線偏光を伝搬させる。

図4.5 光旋光計のセンサー部の偏光展開

もし(5)を実現する光学系が実現できれば旋光度をFOGで計測できる。上に述べた(1)、(2)は光学の基礎事項である。やはり何事にも基礎の勉強は大切である。
図4.5に上記の(5)を実現する光学系と偏光展開を示す。以下簡単にこの光学系の動作を説明する。
図面の左方向から入射した縦方向の直線偏光の偏光方位は45度回転ファラデー素子によって45度回転する。従って検体には右円偏光が入射する。検体の両側にあるλ/4板のF(進行軸),S(遅相軸)は一致しているのでλ/2板として作用する。従って45度ファラデー素子によって回転した偏光方位は180度回転し、その後段に設置されたもう一つの45度ファラデー素子によって縦方向の直線偏光となって対向するPMFに入射される。反対方向から出射した直線偏光も同様に検体に左円偏光として入射されその後対向するPMFに縦方向の直線偏光として入射する。以上により上記(5)が実現する。

このようにファラデー素子のような非相反な光学素子を使うことで(5)を実現することができた。このように考案した旋光計のブロック図および実験系の写真をそれぞれ図4.6と図4.7に示す。また図4.8および図4.9に測定結果を示す。図4.8、図4.9はそれぞれ検体長10cm、2mmの場合のグルコースやフルクトースの濃度を測定したものであり、測定結果は基準濃度とよく一致した。

図4.6 FOG方式旋光計の測定系のブロック図
図4.7 旋光計測定系の写真
図4.8 グルコースとフルクトースの濃度の測定例
図4.9 検体長2mmの場合のグルコース濃度の測定結果

4.4 FOG応用旋光計の応用

弊社は呼気中のグルコース濃度を測り血糖値を捉える血糖測定法を開発中である。人の呼気中のグルコース濃度に関しては、海外の研究により血糖値と強い相関関係があることが判明している。呼気中のグルコース濃度は血中に比べるとかなり低く他の旋光物質の影響の除去など課題は多いがFOGとして高精度型を用いれば十分測定可能なレベルである。FOG方式旋光計のもう一つの応用例はSMFの偏波分散(PMD)の測定である。PMDは図4.5でλ/4板を省略すれば測定できる。前述したように当初PMFはコヒーレント光通信用に開発が開始された。しかし現状はSMFが使用されている。現状のコヒーレント光通信においては受信部のデジタル信号処理(DSP)で電気的に偏波補償をしている。現状の光ケーブルのPMDは0.2ps/√km以下と規定されている。もしPMDがほぼ0のSMFが実現できたら現状のコヒーレント光通信の受信部のDSPにどのような効果を及ぼすであろうか?現状問題視されている電力消費量など軽減できないであろうか?筆者は丁度30年前のOFC1988で”Analysis of Drawing-induced Stress and Loss Mechanism in Dispersion-Shifted Single-mode Fibers” (論文番号WI3)と題した論文を発表した。SMFのビート長(偏波分散と逆数の関係)と内部応力の関係を実験的に検討したもので偏波分散が小さいほど構造欠陥損失が小さいことを明らかにした。今回開発したFOG方式PMD測定方法では10cm程度の長さのSMFでアト秒オーダーのPMDまで測定できる。将来PMD~0のSMFを開発する際の評価用ツールとして役に立つかも知れない。

おわりに

「IoT時代の光ファイバセンサー」というタイトルで原稿をお引き受けしたがビッグデータの解析やAIの専門家でない筆者としてはタイトルに即した内容になったかどうか自信がない。光ファイバセンサーが今後IoT時代で普及するには、センサーの低コスト化と高精度化のみならずモノがヒトの場合の高度なセンシングシステムを手本としてビッグデータ化とAIの適用方法をさらに高めていくことが必要である。
センサーは文字通り千差万別であり、すべての光ファイバセンサーについて言及することは不可能なので本稿では基本的なことがらだけを紹介させていただいた。ところでIoTはあらゆるモノにセンサーが付くのでセンサーに強い日本にとってはチャンスという意見がある。しかしいつの時代も技術開発競争は厳しいので油断は禁物である。IoT時代ではセンサーの開発のみならず、ビッグデータやAIを使いこなすことが重要であることを見てきた。IoTの神髄はやはり生産性向上と効率化であろう。AIが進歩すると人の仕事はますます減って暇になると思われる。しかし考え方を変えれば我々には非効率なことをする時間が増えるともいえる。新しい光ファイバセンサーを開発することはかなり非効率である。何度も試作を繰り返し無駄な時間を費やすからである。本稿では筆者の発明したFOG方式旋光計の開発経緯と今後期待される応用について紹介させていただいた。その際光学の基本的な知識は大いに役に立った。新規な光ファイバセンサーを武器にIoT時代を生き抜くためにはやはり人材が鍵だと思う。若い技術者の皆さんにはどうか基礎をしっかり勉強され所属する機関の先端レベルまで早く追いつきそこから先の未踏分野を体力で開拓していただきたい。技術の伝承と発展は企業の存続の鍵である。本稿が読者の皆様にIoT時代の光ファイバセンサーを開発する一助となれば幸いである。

(完)