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[PR] 発光を必要としないステレオカメラシステム『SceneScan』

ドイツNerian社の「SceneScan」はFPGA処理によるステレオカメラシステム。
「SceneScan」は、ステレオカメラとステレオマッチング画像処理により、 リアルタイムで視差マップ画像の取得ができます。従来のデプスセンサーとは異な り、ステレオビジョンは、可視光または近赤外の発光を必要としないパッシブ技術で ある。
これにより屋外、遠距離測定、他のセンサーとの併用、水中などでも、3次元測定が 可能となり得るとのこと。

〇特徴としては以下の通り。
・FPGA高速処理
・SGM(Semi-Global Matching/セミグローバルマッチング)方式採用
・プロセス部及びカメラ分離型(市販のUSB3.0カメラとの組み合わせ可能)
・速度:VGAサイズで100Ffps
・専用ステレオカメラ「Karmin2」(基線長 10cm、25cm)

取扱い企業:(株)ナノシード 
製品サイト:https://nanoxeed.co.jp/product/streo-vision/

東陽テクニカ、自動運転車用センサ「XenoLidar」(特許出願中)を販売開始

(株)東陽テクニカは、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転システム向け LiDAR の開発・製造を行うベルギーの XenomatiX N.V.(以下、XenomatiX 社)の、周辺環境計測システム「XenoLidar」を本日より販売開始する。

「XenoLidar」は、自動車のルーフなどに取り付け、レーザーを照射し反射光を検知することで周辺環境を測定する高精度な光学センサ。

LiDAR にマルチビームを採用した True-solid-state 型マルチビーム方式の LiDAR として、特許を出願中。可動部分と回転機構を持たないため、壊れにくく、かつ自動車へ導入する際には設置場所の自由度が広がる。

さらに、数千本のレーザー照射により一度に多くのターゲットを検出でき、昼夜・天候を問わず、小さな対象物においても 200m 先まで検知・計測する。

リリースサイト(東陽テクニカ):https://www.toyo.co.jp/files/user/corporate/doc/release/180905_XenomatiX_XenoLiDAR_66148.pdf

マウザー、スマート機器向け、TI社製HDC2080湿度および温度デジタル・センサの取り扱いを開始

最新の半導体及び電子部品の幅広い品揃えと新製品投入(New Product Introduction: NPI)を行う、ネット販売商社のマウザー・エレクトロニクス(Mouser Electronics、以下: マウザー)は、テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments、以下: TI)社のHDC2080湿度および温度デジタル・センサの取り扱いを開始した。HDC2080センサは、小さなパッケージで高精度、低消費電力を実現し、モノのインターネット(IoT)や環境監視をはじめとする幅広いアプリケーションに最適である。

マウザーより購入可能な、TI社のHDC2080湿度および温度デジタル・センサは、静電容量式ベースのセンサで、内蔵の加熱素子により水分や結露を放散する。本センサには、複数のデジタル機能が内蔵されており、プログラム可能な入力スレッショルドを使用することにより、マイクロコントローラが常時システムを監視しなくても、アラートやシステムのウェークアップを行える。HDC2080は低消費電力であり、マイクロコントローラからの入力がなくても測定を開始できるので、マイクロコントローラをディープ・スリープ・モードに設定できる。本センサは高性能で、湿度精度±2%(標準)と温度精度±0.2℃(標準)を提供する。

HDC2080は、自動測定モードを内蔵しており、湿度および温度測定を自動的に開始し、電力バジェットの制約の厳しいアプリケーションにおいて高効率な性能を実現。バッテリで動作するシステム用に設計されており、1.62V~3.6Vの電源電圧範囲をサポートする。本センサは、-40℃~+85℃の動作温度範囲を備え、家電、スマートホーム機器、スマートサーモスタット、HVACシステム、インクジェットプリンタなどのアプリケーションで安全に使用できる。

HDC2080湿度および温度デジタル・センサは、HDC2080EVMでサポートされている。スを搭載したプラグアンドプレイ・プラットフォームであり、HDC2080センサおよびPCの間の通信を容易に可能にする。モジュールに搭載されたソフトウェアは、湿度および温度データをグラフィカルにロギングし、またモジュールは、センサの設定レジスタへのアクセスを可能にする。

詳細については、www.mouser.com/ti-hdc2080-digital-sensor からご覧頂きたい。

ニュースリリースサイト: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000034430.html

「Raspberry Pi PoE HAT」の国内販売スタート(LANケーブル給電)

Raspberry Pi (ラズベリーパイ)の国内総代理店である アールエスコンポーネンツ株式会社は、「Raspberry Pi PoE HAT」の国内正式販売を明日(9月4日)より開始する。

「Raspberry Pi PoE HAT」(RS品番:173-5595)は、ラズベリーパイ最新モデルRaspberry Pi 3 Model B+用のPoE用拡張ボード。PoE(Power over Ethernet)とはイーサネットケーブルを通じて電力供給と通信を行う規格のことで、ACアダプタを使うことなくラズベリーパイに充分な電力を供給することが可能である。また、ボード中央にあるファンはラズベリーパイのプロセッサの温度を最適化し、安定動作を実現する。

Raspberry Pi は名刺サイズのシングルボードコンピュータで、子供向けのプログラミング教育から電子機器のプロトタイプや業務用システムのプラットフォームまで世界中の幅広い分野で利用されている。

近年ラズベリーパイをIoTシステムのセンサ端末として使うことが増えているが、例えば屋外や天井裏などコンセントから離れた場所に設置する場合、電源用コンセント増設のため電気工事士の資格のある業者に施工を依頼する必要があった。
今回のPoE HATを用いると、一般的なイーサネットケーブルで約50m、さらに延長機器を利用すれば数百メートル先のラズベリーパイに電力供給ができ、ケーブルの届く範囲であれば電気工事を行うことなく自由にセンサ端末設置が可能。
<また海外でラズベリーパイを使う場合でも、電圧やソケット形状を気にせずイーサネットケーブルだけで動作させることができる。

さらにPXEネットワークブート機能と併用することで、より安全で信頼性の高いシステムを構築したり、シンクライアント端末として運用したりすることができるようになる。

ニュースリリースサイト(IOTニュース):https://iotnews.jp/archives/106415

センサイト・キュレーション「ロボットセンサの最新動向」(1)

センサイト・キュレーションの今月のテーマはロボットです。ネットでも関心の高い、ロボットとセンサおよび関連知識について情報を得ることが出来るサイトをご案内します。

1.「ロボット基礎技術」 運営:東北学院大学 熊谷研究室
センサイト・WEBジャーナルの今月の著者でもある 熊谷正朗教授の講義の為のサイト、分かり易く各項目を解説していてロボットの基礎的な事は網羅している。講義にも用いているとの事で、じっくり見ると無料でロボット工学の授業を受けられるに近いのかもしれない。
http://www.mech.tohoku-gakuin.ac.jp/rde/

2.「石川妹尾研究室」 運営:東京大学 石川妹尾研究室
研究室のホームページ。「センサフュージョン」「ダイナミックビジョンシステム」「システムビジョンデザイン」「アクティブパーセプション」等のテーマについて研究しており、多数の受賞の実績がある。たくさんの動画や用語解説集なども掲載されており、大学の研究室に関心の無い人でも見どころの多いサイト。
http://www.k2.t.u-tokyo.ac.jp/index-j.html

3.「ROBOT Shop」 運営:ロボショップ(株)
ロボットに関わる通販サイト。かなり様々なロボット制作の為のキットを揃えている。センサをはじめ、多種多様なパーツ・部品も購入できる。
https://www.robotshop.com/jp/ja/

4.「ロボスタ」 運営:ロボットスタート(株)
ロボットの紹介を中心にAIやIoTの情報を紹介しているロボット情報Webマガジンサイト。 出資企業にロボットメーカーが入っており、コミュニケーションロボットの情報が多い。
https://robotstart.info/

5.「TDK ロボットセンサソリューション」 運営:TDK(株)
TDKの取扱いセンサ製品を分類して解説しているサイト。品目が多いためたくさんの種類のセンサを見ることが出来る。会員登録をすると技術者のインタビューを見ることが出来るサイトなども用意されている。
https://product.tdk.com/info/ja/pr/sensor/industry/index.html

6.「Panasonic よくある質問」 運営:パナソニック(株)
Panasonicの製品に関するQ&Aサイトだが、ロボット掃除機のどこにどんなセンサがついているのかがよくわかるサイト
http://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/27884/related/1

7.「産業用ロボット-センサ」 運営:(株)ダイヘン
企業取扱いの産業用ロボットの各センサについて仕様などを掲載しているページ
https://www.daihen.co.jp/products/robot/sensor/

8.「ロボティクス サポート サービス」 運営:(株)日立システムズ
人間とロボットのこれからますます近くなる関係性を重視して、そのほとんどをサポートすべく立ち上げたサイトで、人の精神のケアなどを中心とした「ホスピタリティ」・人間の業務の負担軽減をする「サポーティブ」・人が出来ないことを行う「アクティブ」の3つのテーマに沿ってサポートをしていくポータルサイト。ドローンの運用管理も含んでいる。
https://www.hitachi-systems.com/ind/robotics/index.html

9.「TEPIA 先端技術館」 運営:(一社)高度技術社会推進協会
子供たち向けに、「プログラミングでセンサ付きのロボットを動かそう」等や、他の技術教室などを開いて先端技術を教えるためのポータルサイト
https://www.tepia.jp/its

10.「茨城県 ロボットイノベーション戦略」 運営:茨城県
いばらきロボット実証試験・実用化支援事業のサイト。つくば研究所のある茨城ではロボットの実用化に力を注いでいることが分かる。公募の項目もあるが、本年については終了している。
https://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/kagaku/kenkyu/robot/jissyoushiken_20161202.html

次週に続く―

「介護ロボットにおけるセンサ活用例」

<製品名>ロボットアシストウォーカーRT.2

図1 ロボットアシストウォーカーRT.2

製品概要
RT.ワークス株式会社は、高齢者の自立支援・活動範囲拡大支援・運動能力の維持向上、介護従事者の負担軽減といった進む超高齢社会からの要請に応えるため、ロボット技術を活用した手押し車型の電動アシスト歩行支援機器「ロボットアシストウォーカーRT.2」を開発し、販売している。
RT.2は、ハンドルの操作状態や車体の速度、加速度、角速度などを検知するセンサ群を備える。これらのセンサ群から得られる情報により、路面状況や人の動きに合わせた独自の歩行アシストアルゴリズムを開発した。このほか、外出歩行で疲れた時のための休憩用いす、荷物を載せることができる荷物カゴ、車のトランクに積載するための折り畳み機構、音声による注意喚起(おしゃべり機能)といった便利なユーティリティーを備える。
またRT.2は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「ロボット介護機器開発・導入促進事業」の採択を受けて先行開発・販売しているRT.1の技術を搭載し、よりコンパクトにした製品となっている。また、介護保険制度の福祉用具貸与対象となっており、多くの要支援・要介護認定の方々にご利用いただいている。

構成と機能(特徴)
本製品の主な構成としては、コントロールボックス内にバッテリーと制御基板(6軸ジャイロセンサ搭載)と操作パネルを、ハンドル部に静電容量タイプの把持センサを、後輪2輪にモータ回転検出センサをそれぞれ搭載している。
把持センサは、使用者がハンドルを握っているかどうかの状態を検出し、6軸ジャイロセンサは、路面の傾斜や車体の速度、加速度などを検出し、モータ回転検出センサは、モータの回転数、回転方向などを検出している。

図2 RT.2の機能と特徴

RT.2は、前述のセンサ群からの情報を基に図2に示すように、上り坂では路面の傾斜角度に合わせて自動的にパワーアシストし、下り坂では同様に適切なブレーキがかかるようになっている。また、左右方向に傾いた路面では重力によって低い方向へ進もうとするのを抑制し、利用者の意図に沿って直進できるように左右のモータを独立に制御する(片流れ防止)。更に、坂の途中で手を放すと自動的に停止する機能や、利用者がつまずいたり突進性の歩行をした場合に急加速度を検知すると自動的にブレーキがかかるようになっている。このように、利用者は電源を入れるだけで従来の歩行器と変わらない使い勝手で、RT.2が状況に応じて歩行支援を行うため、より安心・安全に歩行することができる。これにより、高齢者の自立支援・活動範囲拡大支援・運動能力の維持向上に役立つものと言える。

主な仕様
名称 RT.2(アールティーツー)
型番 RT2-01RD(レッド)/RT2-01CG(シャンパンゴールド)
サイズ 幅55cm×奥行74cm×高さ(ハンドル高さ)72.5cm~85cm

重量 9kg

電源 リチウムイオンバッテリー(専用充電器付属)
動作時間 連続動作4時間
充電時間 3時間
実用登板性能 縦断勾配12%(傾斜7度)/横断勾配5%(傾斜3度)
積載重量 最大5kg

使用者体重 最大100kg

防水性能 防雨型(IPX3 規格準拠)
TAISコード 01560-000003 介護保険貸与対象
希望小売価格 118,000円(税抜)

介護ロボット(移動支援)の今後の動向
 先行開発・販売しているRT.1では、3G回線を利用したネットワーク機能を搭載しており、GPSの位置情報から外出先の位置確認(見守り)や機器が転倒した場合に関係者への緊急通知(メール自動送信)が可能となっている。よりコンパクトさを求めたRT.2ではこれらのネットワーク機能を非搭載としたが、後にオプションで追加が可能な構成としている(発売時期は未定)。今後はネットワークにつながることを前提とした製品やサービスが増えるものと思われ、その機能やサービスに応じてどんな情報(データ)をどんなセンサで取得しどう活用するか、新たな開発が必要になってくるであろう。
 また、介護ロボットの場合、主な利用者が高齢者であるため、安全性の確保については極めて重要である。RT.2では安全性を担保するために、生活支援ロボットの国際安全規格であるISO13482の認証を取得済である。一方使い勝手という点では、より単純なインタフェースが求められ、高齢者の思考や動作に適合させたユニバーサルデザインが必要になってくる。更なる安全性の確保と利便性の追求において、センシング技術と制御技術がキーテクノロジーとなるのは間違いない。

問合せ先
RT.ワークス株式会社
TEL: 06-6975-6650 FAX:06-6975-6651
E-mail: contact@rtworks.co.jp
https://www.rtworks.co.jp/

ロボットセンサの基礎知識(1)

東北学院大学工学部
機械知能工学科 教授
熊谷正朗

はじめに

ロボットはメカトロニクス機器のカテゴリーの一つである。明確な境界はないが、単なるメカトロにはセンシングをほとんど伴わない電子制御や、スイッチ類などによる単純な検出に基づくシーケンス動作なども含まれることに対して、ロボットではアナログ的な状態量を計測して、それと数学的な原理に基づく制御・判断をして動作することが多い。たとえば、以前からある産業用ロボットは各関節のモータの単軸の制御の上に、手先を望ましい位置・姿勢にもっていくための関節角度の計算理論がある。また、装置としては単純な掃除ロボットも、掃除機がよかれと思う方向に走行するために底面の駆動車輪を数学的に連動して走行させるという点で、車輪移動ロボットである。自動運転自動車は一般にはロボットと呼ばれていないが、非常に高度な自律・自立型の車輪移動ロボットであり、ドローンも複数のプロペラの推力を同時に調整することで運動性を確保する飛行ロボットの一種である。現実的には「ロボット」として世の中に認識されているものは「原理的なロボットっぽさ」を備えた上で、「ロボット」という名前をつけられ、かつ世の中に「ロボット」と認知された(「そんなものはロボットではない」とは思われていない)ものであると言える。(余談であるが、この認知のため、「ロボット」になるかどうかは、最初に目新しいものを世に出すときに「ロボット」と名付けるかどうかが重要であると思われ、電子レンジが「全自動調理機能付きオーブンレンジ」になるか、「料理ロボット」になるか、気になっている)

以上の観点から、ここでは、名前としての「ロボット」ではなく、「技術的な意味でロボットっぽいもの」(以下、単にロボット)のセンサについて概要を述べる。

ロボット用センサの傾向

上述のように、ロボットのセンサは、産業用のシーケンサ・PLCに接続するOn/Off接点型のセンサとは異なり、アナログ的な値、連続的な値を扱うことが一般的である。これは、ロボットにかかわる状態をそれらのセンサで得て、制御式や判断則に与えるためである(図1)。制御式の場合は、一般には、その連続値のまま演算を進め、ハードウエアに出す指令も連続値による出力操作である(ハードに近い下位レベルでは電圧・電流等、中位では関節角度・速度、上位では位置姿勢など)。

図1 センサ系の構成

対して判断に用いる場合は、連続値としての出力する場合もあるが、いわゆる「判断」の場合には最終的に何らかの2値化処理を行い、OK/NG、動作モードの遷移、緊急停止、などの判定をすることが多い(たとえば、近年生産設備で一般化している画像による判断システムも、画像処理の段階までは連続値であるが、最終的には一致判定などのOK/NGで出す;そもそも画像処理は「ロボットの目」をつくる意図のあった研究分野でもあった)。なお、ここでいう「連続値」は厳密には連続ではない。メカトロ全般にセンサ信号をコンピュータに取り込む段階などでなんらかのデジタル化をしており、その時点で離散化している(値が飛び飛びになる)(※ロータリーエンコーダのように原理的に離散的な場合もある)。その離散化を十分に細かくすることができれば、その前のセンサの分解能が十分で、その後の数値計算で十分な分解能(桁数)を確保していれば、連続値と見なしうる、という意味である。

この観点で対比されるセンサの例を一つあげる。小型の距離測定(測距)センサにPSD測距センサと呼ばれるものがある。これは、PSDという、ある程度の長さ・面積をもち、どこに光が当たったかを測定できる光センサと、光源、光学系を組み合わせたセンサモジュールで、三角測量の原理を用いてセンサ前方の対象物からの反射光によって距離を測定するセンサである。このセンサの主要なモデルの一群は「ある距離を境に」On/Offの出力がでる形式であり、センサ前に「ものがあるかないか」を判定する(たとえば、男子トイレの自動水栓に使われているようである)。一方、本来はアナログ計測をしているセンサであり、アナログ電圧で距離に応じた出力が出るものもラインナップされ、ロボットの簡易的な障害物距離センサや、ロボットコンテスト用ロボットなどにしばしば使用されている。

次週に続く―

著者
熊谷正朗(くまがいまさあき)
東北学院大学工学部 機械知能工学科 教授
略歴:
2000年 東北大学大学院工学研究科修了、博士(工学)。同年 東北大学助手。2003年東北学院大学講師、助教授、准教授を経て、2013年教授。2008年より仙台市地域連携フェローを兼任。
主にメカトロニクス、ロボット系の講義を担当し、仙台市地域連携フェローでも「基礎からのメカトロニクスセミナー」を実施。

「ロボットの神経に期待される超高速分布型ファイバーセンサー」(1)

水野 洋輔1), 李 熙永1) , 林 寧生2), 福田 英幸3), 中村 健太郎1)
(1 東京工業大学, 2 東京大学, 3 ファナック(株))

1.はじめに

近年、高度経済成長期に集中的に建設されたインフラ(ビルやトンネルの内壁、ダムやパイプライン、橋梁、さらには飛行機の翼や風車の羽根など)の経年劣化や地震等の自然災害による損傷が社会問題となっており、これらの構造物に光ファイバーを埋め込み状態を監視するシステムの重要性が高まっている。そのため、光ファイバーに沿った任意の位置で歪(ひずみ)の大きさや温度を測定できる「分布型光ファイバーセンサー」(図1)を実現しようと種々の取り組みが行われている1)

図1. 分布型光ファイバーセンサーの概念
図2. ブリルアン散乱に基づく歪・温度計測の原理

センシング原理となりうる光ファイバー中の散乱現象として、レイリー散乱やラマン散乱が知られている。これらの現象を応用した分布型センサーは、実装が比較的容易であるが、散乱光の強度情報を利用するため安定性・精度が低かった。そこで、我々を含むいくつかの研究グループは、光ファイバー中の超音波と光の相互作用である「ブリルアン散乱」を利用した分布型センサーに着目している。ブリルアン散乱による反射光は、光ファイバー中の微弱な超音波によってドップラー効果を受け、周波数が「ブリルアン周波数シフト(BFS)」と呼ばれる量だけ下がることが知られている。このBFSは光ファイバーに印加された歪の大きさや温度に比例して変化するため、BFSを測定することでそれらを決定することが可能となる(図2)。この手法は、散乱光の強度ではなく周波数を利用するため、安定性・精度が高いのが特長である。
歪や温度の位置情報は、光パルスを入射して反射光が届く時間差から位置を分解する時間領域法が一般的である2)

一方、これまでに我々は連続光の相関を制御することで位置分解を行う相関領域法「ブリルアン光相関領域反射計」(BOCDR)を提案した3)。この手法は、(1) 光ファイバーの片端から光を入射するだけでの動作(光ファイバーが破断しても動作が継続・構造物に敷設する際の自由度が高い)、(2) 片端光入射法として世界最高の6mmの空間分解能、(3) 他の分布センサーと比較して低コスト、などの利点を併せ持つことから、精力的に研究が推進されてきた。

BOCDRについては、これまでの研究で種々の成果が得られているが、現状ではサンプリングレートは19 Hzが最高であり、結果として分布測定に比較的長時間(数10秒~数分)がかかるという問題があった4)。この問題を解決すべく、我々は2016年に、ブリルアン散乱スペクトル(BGS)の形状解析に基づく超高速BOCDRを2種類提案した5,6)

本記事では、「位相検波BOCDR」5)と「傾斜利用BOCDR」6)と呼ばれる2種類の超高速BOCDRを紹介する。本システムにより、防災・危機管理技術としてのBOCDRの応用範囲が広がり、生活の安全性向上に寄与するとともに、ロボットの新たな「神経」としての応用も期待できる。

(※月刊OPTRONICS 2017年12月号より転載)

参考文献

1) K. Hotate, “Fiber distributed Brillouin sensing with optical correlation domain techniques,” Opt. Fiber Technol. 19, 700 (2013).

2) T. Kurashima, T. Horiguchi, H. Izumita, S. Furukawa, and Y. Koyamada, “Brillouin optical-fiber time domain reflectometry,” IEICE Trans. Commun. E76-B, 382 (1993).

3) Y. Mizuno, W. Zou, Z. He, and K. Hotate, “Proposal of Brillouin optical correlation-domain reflectometry (BOCDR),” Opt. Express 16, 12148 (2008).

4) Y. Mizuno, Z. He, and K. Hotate, “One-end-access high-speed distributed strain measurement with 13-mm spatial resolution based on Brillouin optical correlation-domain reflectometry,” IEEE Photon. Technol. Lett. 21, 474 (2009).

5) Y. Mizuno, N. Hayashi, H. Fukuda, K. Y. Song, and K. Nakamura, “Ultrahigh-speed distributed Brillouin reflectometry,” Light: Sci. Appl. 5, e16184 (2016).

6) H. Lee, N. Hayashi, Y. Mizuno, and K. Nakamura, “Slope-assisted Brillouin optical correlation-domain reflectometry: proof of concept,” IEEE Photon. J. 8, 6802807 (2016).

次週に続く―

ロボットと光技術の融合へ―光センサー・システムの高度化が重要(1)

―日本のロボット開発の現状をどのように見ていらっしゃいますか?

東京大学 石川正俊

日本のロボット開発は随分と進んでいますが,ロボットを議論する際,産業用ロボットとそれ以外のロボットとに分けて考えないといけません。産業用ロボットでは、プレイバックで同じ動作を繰り返すというものから対象物の状況を把握してそれに合わせて動作する方向へと進んでいます。
そのキーとなるのは、センサーとアクチュエータの高速化です。センサーでは,1/1,000秒(1ms)で高速にデータを出力させるのがポイントの一つとなっています。ロボット用サーボモーターのサンプリングレートでよく使われるのは1ms,2ms,5msあたりですが,このサンプリングレートに合わせたデータを入れるのが要求側の最速値となっています。これに対応してきたのは,これまで力センサーや角度センサーでした。これに対して画像を用いたセンサーはそこまで達していませんでした。それが今では1/1,000秒という高速にデータを処理することができるようになっています。これを搭載した高速・高精度,かつフレキシブルな動作を行なう産業用ロボットがこれからの姿になるでしょう。
一方,AI(人工知能)と関連したロボットがあります。ヒューマノイド型であったり、AIによっていろんなことができたりするロボットです。これらはエンターテイメントをはじめとして応用範囲を広げてはいますが、研究開発段階のものが多く,実際に使えるものとしては実現されているものは多くありません。その理由は,精度など信頼性に問題があるからです。

これをAIの問題ととらえると、人間的な動きをするという考え方がその一つにあります。これは私の考えですが,人間的な動きをするというのがロボットではなくて、ロボットというのは機械システムとして本来の働きをしなければならないと思っています。産業用ロボットは物理的な速度限界はあるものの,動作スピードは速いですが、AI系のロボットは遅いのです。これだと機械システムの性能を無駄遣いしているのではないかと思ってしまいます。では、速度限界に近づけるにはどうしたら良いかということになりますが,その答えは知能を高速化させるということになります。これはなかなか大変なことだろうとは思います。

(月刊OPTRONICS 2017年12月号より転載)

次週に続く—

光ファイバセンサの国際会議&ワークショップ、開催


『The 26th International Conference on Optical Fiber Sensors(OFS-26))は、 2018年9月24(月)から9月28日(金)まで、アルプスの麓レマン湖岸にあるローザンヌ(スイス) で開催される。
OFS国際会議は、センシングやイメージングのための光技術、光ファイバ技術、導波 光学技術、システム技術等の最も最新の科学的な進歩を議論する国際会議である。 OFS国際会議は、1983年にロンドンで開催されて以降、ほぼ18ヵ月おきに開催されて いる。
長年にわたって、光ファイバセンシングおよび光波センシングに関する最新技術のプ レゼンテーションと情報交換という重要な役割を果たし続けている。

OFS26のホームページはこちら:
 https://www.ofs26.org/page-143739.html
会議全体のスケジュールはこちら:
 https://www.ofs26.org/cms/lang/en/pid/150449



また、『第3回 再生可能エネルギーに関する日独ワークショップ』が、10月17日(水)-19日(金)に、TEPIAホール(港区北青山)にて開催される。
「PartII-Advanced Energy Technologies」では、環境省による5年間のプロジェクト(蓄熱プラント)に関する議論も行われる。

『第3回再生可能エネルギーに関する日独ワークショップ』の詳細は: 
  http://biz.knt.co.jp/tour/2018/10/jgw_re/outline.html