7)Y. Mizuno, N. Hayashi, and K. Nakamura, “Distributed Brillouin Sensing Using Polymer Optical Fibers”, Chap. 5, in H. Alemohammad, Opto-Mechanical Fiber Optic
環境内でのロボットの自律移動でしばしば用いられるセンサに(スキャン式)レーザーレンジファインダ(LRF: Laser Range Finger)、LiDAR(Light (Imaging) Detection and Ranging)がある。光を用いた距離計測には、三角測量型(前述のPSDセンサ、カメラ複数台によるステレオビジョン、パターン光源とカメラによるアクティブステレオビジョン等)と、(レーザ)光を飛ばして反射してくるまでの時間を計測するTime of Flight (ToF)型に大別される。より以前から利用されてきた超音波を用いた距離計測(超音波厚さ計も同系統手法)は、超音波を短時間出して反射してくる音を計測するToF型であるが、音が3×10の2乗[m/s]のオーダであることに対して、光は3×10の8乗[m/s]のオーダであるため、光のToFでは距離分解能を得るために時間分解能が非常に要求される。たとえば、1[ns](=1[GHz]の周期)の間に光は0.3[m]進む。言い換えれば、1[ns]単位で計測しても、往復150[mm]の分解能しか出ない。光学系の工夫や光出力を上げることで、数十[m]の測定が可能な一方で分解能を出しにくいが、これも半導体技術の進歩で高性能化しつつ手が届きやすくなってきたセンサである。スキャン式LRF、LiDARは光の送受部とともに、回転するミラーや振動するミラーなどを備え、装置から扇形に(一般に面状(1次元スキャン)に、ものによっては空間に(2次元スキャン))様々な方向に対して計測し、装置を起点とした空間の限界(壁や物体)までの距離が計測できる。これを処理することで周囲の障害物や、近づいてくる人間、作業対象の形状を得ることができるほか、ロボットの移動に伴って順次重ね合わせていくことで地図を作り、その地図上での自身の位置も推定するSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)手法の代表的なセンサでもある(以前はSLAMというとLRFが前提であったが最近はカメラを用いるビジュアルSLAMの研究が盛んである; カメラのほうが低コスト)。また、受光・距離(時間)計測部をカメラ画素のようにアレイ状に並べることで、同時に多点の距離計測を可能とするものも発達しつつある。ただし、これらは環境の明るさに打ち勝つだけの光をこちらから出す必要があり、直射日光下での運用には、屋内に比べて制約がある。単なるカメラは環境から受け取るだけの「受動的な:パッシブな」センサであることに対して、超音波、光のToFはこちらからも環境に働きかける「能動的な:アクティブな」センサであり、測定できることは広がるが、環境負けしないことが必要となり、またアクティブセンサ同士の干渉しないような配慮も必要である。
一方でレートジャイロは応答性は十分に得やすいが、「角速度」のセンサであるため傾斜角を得るには積分する必要があるが、角速度のゼロ点がわずかでもずれていると、それが積分で蓄積して角度計測値が時間とともにずれていき、制御の基準たり得ない。そこで両者を組み合わせることが一般的で、ジャイロで応答性を、加速度センサで安定性を確保する(20年以上に渡ってこの構成を使っているが、ジャイロセンサの性能が随分上がりジャイロ単独でも持つ時間は伸びた)。これが、半導体のMEMS技術の発達とともに、小型化、高精度高分解能化、計測の多軸(2,3軸)化、さらには地磁気センサまで含めたワンチップ化(IMUセンサ: Inertial Measurement Unit, 慣性計測装置)となってきた。前述のようにジャイロの長時間安定性の不足を鉛直軸は加速度センサで補うが、方位角の補正を地磁気によるわけである。加えて、これらのセンサの統合手法の研究も進み、センサに処理コンピュータを内蔵し、各センサ値から姿勢角そのものを出力するようにしたセンサもある(驚くべきことに数百円で買えるものもある)。このIMUセンサの発展の影にはゲーム機やスマホへの採用があるといえる。コントローラを振ったときの動作計測、スマホ類もその傾斜などを画面に反映させるために使用しているが、スマホで使うということは数が出て、小型化低コスト化およびスマホCPUとの接続性が望まれ、急激に進歩した。ロボット系のために作られたわけではないであろうが、我々もその恩恵にあずかっている。また、この発展はドローンにも直結しており、「ドローンはスマホの技術で作られている」という不思議な説明を耳にすることがあるが、制御を可能にする高性能マイコン、姿勢計測のための小型IMUセンサ、小型GPSや通信モジュールの転用という意味ではある意味正しい(が、やはりいろいろと別物である)。
6) H. Lee, N. Hayashi, Y. Mizuno, and K. Nakamura, “Slope-assisted Brillouin optical correlation-domain reflectometry: proof of concept,” IEEE Photon. J. 8, 6802807 (2016).