(株)インフォコーパス(以下 インフォコーパス)は、ユニバーサルIoTプラットフォーム「センサーコーパス」(以下センサーコーパス)の新たなライセンス体系として「センサーコーパス・パーソナルエディション」の提供を2019年2月15日より開始すると発表した。
現在IoTは企業利用が主な用途となっており、センサーコーパスも企業向けのIoTプラットフォームとして広く利用されている。
このたび新たに提供を開始する「センサーコーパス・パーソナルエディション」は、閲覧などの機能に制限した個人向けのライセンスであり、デバイスに組み込む形で提供する。通常のライセンスと比べてコストを大幅に抑えることができるライセンス体系となっており、契約期間についても個別に柔軟に対応が可能。
「センサーコーパス・パーソナルエディション」を利用することで、コストに厳しい中小規模や個人事業主にも、自社デバイスのIoT化を気軽に検討ができるという。
提供される機能は以下の通り
・センサーデータをSensorCorpusクラウドサービス上に送信
・センサーデータの可視化画面をWebブラウザにて提供
・可視化画面からセンサーデータのダウンロードが可能
正式英語名:SensorCorpus Personal Edition
対応製品にロゴがシールとして貼付される。(左上の画像)
「センサーコーパス・パーソナルエディション」は、センサーコーパス認定デバイス*1)にバンドルされる形で提供される。第一段として、株式会社ビット・トレード・ワン様が提供するRaspberry Pi Zero をベースとして各種センサを搭載したIoTスターターキットに1年間のライセンスを組み込んだ「買えるIoT」シリーズとして2019年3月より提供を開始するとのこと。
*1)「センサーコーパス コネクトパートナー」プログラムにて、センサーコーパスとの接続確認済みと認定(SC Connect認定)されたデバイス。
センサーコーパスについて : https://www.sensorcorpus.com/
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000023593.html
オン・セミ、小電力のIoTアプリケーション向けRSL10センサ開発キット
オン・セミコンダクター(株)は、RSL10センサ開発キットを発表した。このキットは、最先端のスマートセンサ技術を搭載したIoTアプリケーションを開発する技術チーム向けに、包括的なプラットフォームを提供するために設計されており、業界最小電力の Bluetooth Low Energy無線を用いることで実現したという。
RSL10センサ開発キットは、高度に集積されたRSL10システム・イン・パッケージ(RSL10 SIP)とBosch Sensortec社の低電力センサ製品シリーズを組み合わせたもの。この開発プラットフォームでは、定常光、揮発性有機化合物(VOC)圧力、相対湿度、および温度を含め、9 DoF(Degrees of Freedom)の検出と環境のモニタが可能。また、ユーザー・プログラム可能なRGB LED、3個のプログラム可能なプッシュボタン式スイッチ、64キロビットのEEPROMと併せて、超低ノイズのデジタルマイクも組み込まれているとのこと。
開発者は、RSL10センス&コントロール・モバイルアプリケーションを使用することで、RSL10センサ開発キットに接続して、センサのモニタや、キットの機能の評価を行える(設定不要オプション)。また、このアプリは、センサデータをアップロードするための複数の商業用クラウドプラットフォームもサポートしているという。
関連情報と資料(WEB):
◇ IoTプロトタイピング・プラットフォーム
https://buff.ly/2tnceYx
◇ センサ開発キット
https://buff.ly/2tn8aHX
◇ RSL10センサ開発キット(RSL10-SENSE-GEVK)
https://buff.ly/2tkS0Pb
◇ ビデオ: 超低電力 Bluetooth® Low Energy メッシュノード
https://buff.ly/2S1Nsav
◇ ブログ:モノのインターネット向け低電力センサテクノロジ
https://buff.ly/2thQvBs
ニュースリリースサイト:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000035474.html
NTT-AT、安心安全で効率的なガスパイプライン点検を提供
NTTアドバンステクノロジ(株)(以下 NTT-AT)は、Picarro, Inc.(以下 Picarro)が開発した「車載型ガスパイプライン点検サービス」(以下、本サービス)の日本国内での提供を開始したとのこと。
NTT-ATは、日本の道交法や電波法を遵守して運用するため、本サービスを構成する車載型メタンガスセンサ「Surveyor(サーベイヤー)」(画像)と、データを保存し解析するクラウドサービス「P-Cubed(ピーキューブド)」のカスタマイズを行い、昨年11月より帝石パイプライン(株)において、法定点検の補完としてそれらの運用が開始されたとしている。
■サービスの概要等
(1)点検の仕組み・特徴
本サービスは、車のバンパーに設置された取込口から走行時に空気を取り込み、トランクに設置されたCavity-Ring Down方式のレーザガスセンサまで搬送して空気中のガス濃度を計測する。このセンサは車の最大走行時速65kmでも、空気中のメタンガス濃度をppb(*)[mol/m3]オーダーレベルで高感度に計測可能で、従来の徒歩による計測方法に比べ、短時間でかつ高感度に点検できる。また、車を走行しての点検であるため、雨や雪などの悪天候時でも点検を実施することが可能。
(2)計測データの提供
Surveyorのメタンガス計測結果は、同時に計測した車の位置や風向風速などとともに、P-Cubedにアップロードされ解析される。P-Cubedは、風が吹いた際のメタンガスの挙動を考慮して計測結果を分析し、ガスリーク地点が存在すると推定される領域を提示する。また、メタンガスに含まれるエタンガスの含有率から、メタンガスが天然ガス由来のものなのか、農地や腐敗物などから発生したものなのか、あるいは自動車の排気ガスなのか判別することが可能。これらの計測・分析結果は、インターネットを通じて、計測中の車内やオフィスのPCやタブレット上にリアルタイムに表示されるとのこと。
(*)ppb (parts – per – billion): 10億分の1
※SurveyorおよびP-CubedはPicarro, Inc.の登録商標。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000023654.html
介護施設を対象とした、「スマート見守りサービス」の実証実験を開始
東京電力ホールディングス(株)(以下「東電HD」)とOrigin Wireless Japan(株)(以下「オリジンワイヤレス」は、2月12日より介護施設を対象とした「スマート見守りサービス」の実証実験を開始した。
最大の特長は、最新のセンサ技術の導入等により、介護施設の各居室の利用者の「動作や呼吸の状況の検知・通知」が可能となること、また、特段の工事が不要で、簡単に導入できることにあるという。
オリジンワイヤレスが開発したWi-Fiセンサ技術(TRM: Time Reversal Machine(wirelessAI))を応用した端末「Origin-Bot」を各居室内のコンセントに設置することで、Wi-Fi電波の変化の状況から、居室内での動作や呼吸の状況をリアルタイムに検知することが可能となる。
これら各居室内の検知データは、東電HDの持つ屋内通信技術により、新たなLAN回線を要さず、既設の屋内配線を利用したデータ通信を可能としており、介護スタッフの皆様にリアルタイムで、利用者の状態を確認することが出来る。
両社は、このたびの「スマート見守りサービス」の実証実験を通じて、介護施設の利用者の安全を見守ることで、利用者様の転倒や離床時の転落などの「危険察知」、介護スタッフの皆様の「負担軽減」に寄与できるものと考えているとのこと。
ニュースリリースサイト:http://www.tepco.co.jp/press/release/2019/1512687_8709.html
OKIと前田建設、光ファイバーの計測高速化により橋梁モニタリングの適用範囲を拡大
沖電気工業(株)(以下 OKI)と前田建設工業(株)(以下 前田建設)は、このたびOKI独自の光ファイバーセンシング技術(SDH-BOTDR方式(注1))の計測高速化により、ワンストップで鉄筋コンクリート橋梁のライフサイクル全般にわたり適用することが可能なモニタリング技術を開発した。前田建設の進めるインフラ維持管理の効率化実現を目指し、両社では、本技術を用いた実環境での実証実験を2019年上期に開始する予定とのこと。
鉄筋コンクリート橋梁のモニタリングにおいては、ひび割れ発生箇所の検知、剛性低下やクリープ(注2)による振動状態やたわみ量の把握などが必要だが、経年劣化の過程において着目すべきモニタリングの指標が異なってくるため、一つのモニタリング技術ではすべての指標に対応することができず、指標ごとに適したモニタリング技術を選定・適用する必要があった。
これに対し、前田建設は独自のノウハウをもとにモニタリングシステムを組み込んだインフラ運営フローを設計し、OKIは独自の光ファイバーセンシング技術を用いて、高い計測精度を維持しつつ高頻度なデータ取得を実現した。これらにより、インフラのライフサイクルのなかで発生するさまざまな種類の劣化に対するモニタリングにおいて、一般的にインフラの耐用年数とされる50年ほどの長期にわたる対応を1種類の計測器だけで実現し、トータルコストも大幅に削減されるという。
両社は現在、前田建設の保有する実験施設において、接着材料の促進耐候性試験により長期的な接着性能を確認するとともに、光ファイバーを設置した鉄筋コンクリート試験体に対する疲労載荷試験により鉄筋コンクリートの挙動に対する計測性能の検証を行っている。
この検証結果を踏まえ、2019年度に供用路線の実橋に光ファイバーを設置し、実環境でのデータ取得を開始する予定。本技術の効果が実証されることによって、橋梁の劣化予測精度が向上し、最適なタイミングで修繕工事を行うことが可能になるとしている。
(注1):SDH-BOTDR方式
・BOTDR(Brillouin Optical Time Domain Reflectometry:ブリルアン光時間領域反射測定法)は、光ファイバーに光パルスを入射したときに発生する後方散乱光の1つである「ブリルアン散乱光」の周波数が温度や歪みに比例して変化するという特性を利用した従来の光ファイバーセンシング手法。
・SDH-BOTDR(Self Delayed Heterodyne -BOTDR:自己遅延ヘテロダインBOTDR)は、OKI独自の新技術(特許取得済)により、「ブリルアン散乱光」の周波数の変化を電気信号の位相シフトに変換して捉えることで大幅に測定時間を短縮した新たな光ファイバーセンシング手法。
(注2):クリープ
コンクリートに持続的に荷重が作用すると、時間とともに変形が増大する現象。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000260.000017036.html
2キロまで測定できる地上型3Dレーザスキャナ「PENTAXS-3200V/S-3075V」発売
TIアサヒ(株)は2000mまでの長距離測定が可能で、災害対応やインフラメンテナンスに最適な地上型3Dレーザスキャナ「PENTAXS-3200V/S-3075V」を発売したとのこと。
主な特長は次の通り
●長距離測定能力
・S-3200V測定可能範囲:2,000m、750m、250mを切替え
レーザ反復レート:最大500kHz(250m選択時)
・S-3075V測定可能範囲:750m、250mを切替え
レーザ反復レート:最大500kHz(250m選択時)
長距離測定能力を持ちながら、近距離についても高密度な点群データの取得が可能。
●1回で4つのリターン信号が得られる、安全で高効率なクラス1レーザシステム
●屋外でも使いやすい高視野角の5.7インチカラー液晶パネル、感圧式タッチスクリーン。
●測量機ユーザーにも分かりやすく、事前に測定計画を作成して本体に取り込んだ上で、測定現場では対話形式で位置を確認し、後視点法、後方交会法で機械点座標を記録して測定を始めるのも可能。
●記録した点群データを効率的にカラー化するため、画素数5メガピクセルのカメラを2個内蔵。水平方向全周の撮影を行う場合でも、9カ所のみの撮影で短時間のうちに完了。
●1周波GNSS受信機(単独測位用)、2軸傾斜センサ、コンパスを内蔵。位置情報を利用して、測定計画のデータ通りに作業を行うことが可能。位置・姿勢情報はスキャンデータとともに記録。
●データ処理用ソフトATLAScan
ATLAScanの標準モジュールであるWorksは、測量計画、スキャナとの接続・制御、点群処理(レジストレーションを含む)などの機能を備えている。
Worksモジュール上で動作するオプション・モジュールには以下のものがある。
・WorksPro:フィーチャー抽出、メッシュ生成、3Dモデリングなどの機能をサポート
・Photo :外部カメラの操作、外部カメラからの画像データ処理をサポート
・Mobile :GNSS/INSシステムと組み合わせた2Dスキャナとしての使用をサポート
カメラからの画像データや点群データをATLAScanで処理・生成した、点群、メッシュ、CADなどの各種データは、E57、PTC、LAS、PLY、RUP、TXT、PTS、DXFといったさまざまなフォーマットで出力が可能。
●内蔵センサ(GNSS、2軸傾斜センサ、コンパス)の情報を使った評定用ターゲット不要の自動プリレジストレーションをはじめ、測量現場において後視点法や後方交会法で求めた機械点座標を用いたジオリファレンス、バンドル調整法を利用したファイン・レジストレーションなどを行うことができる。
●高精度のデータ収集を可能にするスキャン性能
最密ピッチ [2点間の間隔] :0.2mm@10m
距離 正確度 1σ:5mm@100m
距離 繰返し精度 1σ:4mm@100m
最大スキャン範囲 鉛直/水平:120(-45~+75)度/360度
最小角度ステップ 水平 :20μrad/0.0011度
最小角度ステップ 鉛直 :12μrad/0.0007度
●2個のLi-ionバッテリが装着でき、最大で約2.5時間の運用が可能。
●高い耐環境性能により、幅広い環境下で使用可能。
動作温度範囲 -20°C~+50°C
湿度 95%結露しないこと
防塵・防水 IP64(防塵・防滴)
製品リリースサイト:http://www.pentaxsurveying.com/news.php?news_id=81
センサイト・キュレーション「インフラ関連センサ」(2)
センサイト編集部
9.「SIP『インフラ維持管理・更新・マネジメント技術』」 運営:科学技術振興機構
「戦略的イノベーションプログラム(SIP)」のテーマのひとつとして、様々な分野のセンサ・測定を利用してインフラの維持・管理・更新・マネジメントの技術研究開発の成果を発表しているサイト。最終結果報告の段階である。
http://www.jst.go.jp/sip/k07.html
10.「インフラ変位モニタリング」 運営:宇宙航空研究開発機構
衛星のセンサによる宇宙からの観測データでのモニタリングが掲載されているサイト解析の事例も紹介されている。
https://www.eorc.jaxa.jp/earth_observation_priority_research/infrastructure/
11.「未来都市」 運営:東京都市大学 総合研究所
東京都市大学の研究を紹介しているサイトで、インフラ領域の部分について紹介されている。
https://futurecity.tokyo/category/infrastructure/
12.「道路橋梁・道路トンネルのモニタリングシステム市場予測」
運営:(株)シード・プランニング
しばらく前ではあるが、2022年までのインフラモニタリングシステム市場の規模予測をした市場調査会社のレポートの要点が掲載されている。
http://www.seedplanning.co.jp/press/2013/2013110801.html
13.「TELESCOPE Magazine」 運営:東京エレクトロン(株)
しばらく前ではあるが、2022年までのインフラモニタリングシステム市場の規模予測をした市場調査会社のレポートの要点が掲載されている。
https://www.tel.co.jp/museum/magazine/japanese_spacedev/151009_report02_02/04.html
14.「Cyber Government Online」 運営:日立グループ
日立グループによる自治体ICT応援サイトとして運営されている。自治体や公共団体のインフラ管理やモニタリングについての記述へのリンクと自社製品の紹介を兼ねて紹介している。
http://cgs-online.hitachi.co.jp/contents/321_1.html
15.「Sensors and Switches in Mobile Ceanes」 運営:Honeywell社
Honeywell社の製品紹介サイトだが、建設で役立つクレーン車のどこにどんなセンサ・スイッチが設置されているかが一目でわかるページ。
https://sensing.honeywell.com/honeywell-sensing-sensors-switches-mobile-crane-flyer-009586-6-en.pdf
16.「Business & Technology」 運営:オムロン(株)
オムロンのいわゆるリクルーティングサイトであるが、項目ごとに解説している六つのうちの一つが「社会インフラの健康状態を見守る」となっている。
https://www.omron.co.jp/recruit/business/technology/social.html
次週に続く―
インフラ保守におけるレーザーの役割とは(2)
(ウエハン フミアキ)
◆上半文昭(ウエハン フミアキ)
鉄道総合技術研究所 鉄道力学研究部 構造力学研究室 研究室長
東京大学生産技術研究所および鉄道総合技術研究所ユレダス開発推進部地震防災研究室で、鉄道の早期地震検知警報システム、災害予測・復旧支援システムの研究を担当の後、平成13年より鉄道力学研究部構造力学研究室で、鉄道構造物の災害対策、維持管理、鉄道車両の走行安全性向上などに関わる研究開発に従事。
本記事で紹介した「構造物検査用遠隔非接触振動計測システムの開発」で平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(開発部門)等を受賞。博士(工学)。
─レーザーはどのように使うのですか
提供:鉄道総研
レーザーを使って構造物の振動を遠隔位置から非接触測定することによって、大型の土木構造物の検査を効率化、安全化する技術を開発しています。使っているのはLDV、いわゆるレーザードップラー振動計です。LDVを屋外環境で使用すると、風や地盤の振動などでLDV自身に揺れが生じて測定精度が低下してしまいます。そのような問題を克服するための改良を施して現場向けの計測システムを開発しています。
我々がこのような課題に取り組む背景には、度重なる自然災害、昨今深刻な問題になっている構造物の老朽化、少子高齢化による検査技術者の不足の問題があります。
非接触振動測定システムの開発の発端は、1995年の兵庫県南部地震に遡ります。私はその地震の復旧調査に参加したのですが、激しく損傷して大きな余震が来たら倒壊してしまうかもしれないような高架橋の上や下で、私も含め多くの関係者が懸命に復旧活動を行ないました。
なるべくそうした危険な場所に近づかないで高架橋の健全度を調査したり、近づかざるを得ない作業者には倒壊の危険を早期に知らせたりするような装置があれば、災害後の検査や復旧工事を安全化することができます。そこで、高所や被災箇所などの危険箇所に近寄らずに構造物の健全度を調査できるものを作ろうと思い開発したのが、レーザーを用いた非接触振動測定システムです。このシステムを用いて簡単で安全、効率的で客観的な構造物の健全度評価技術を作るのが目標です。
─具体的にはどのような測定を行なうのでしょうか
提供:鉄道総研
鉄道は道路と違い、時刻表通りに重量や車両の長さが分かっている列車が走っています。列車をある程度既知の荷重として橋梁の桁や橋脚などを測定できるので、鉄道では古くから振動測定で構造物を検査する技術が開発されてきました。例えば、橋梁上を列車が走る時の桁の振動を測定して、その振幅から橋に劣化や損傷が発生していないか、列車の乗り心地が悪化していないかを調べることができます。
大きな橋梁の振動を測定する場合は、振動計の設置に危険でコストもかかる高所作業が必要です。線路内に立ち入るための事前調整や保安にも手間とコストがかかります。それらを無くすためにも、離れたところからレーザーを当てるだけで振動を測定できる技術が有効です。
列車による振動以外に、重さ約30kgの重りを構造物にぶつけて起こした衝撃振動や、平時の極微小な地盤振動である常時微動などを測定して、構造物を検査することもあります。
衝撃振動は、重りをぶつけて発生させた構造物の自由振動応答を利用してその健全度を評価します。一方、常時微動というのは何もしていないときの振動です。遠い場所で稼働する工場や、走る自動車、風や水の流れなどの様々なものを振動源として、地盤はミクロン以下のオーダーですが地震が発生していない時にも常に揺れています。この常時微動によって橋梁などの構造物も常に揺すられており、その振動を測ることで構造物を検査することができます。この極めて微小な構造物の常時微動を、屋外環境で測定できるようにするために、我々はLDVに改良を施しました。
提供:鉄道総研
測定された振動から構造物の健全度を評価する指標として、揺れの「振幅」、「固有振動数」、「振動モード」などを使います。例えば、周囲をがっちり固定されている橋脚に重りをぶつけると小刻みに早く揺れ(小振幅、高振動数)ますが、周囲を固定していた土が水流などで削られて基礎が露出し、支持が弱まった橋脚に重りをぶつけると大きくゆっくり揺れる(大振幅、低振動数)というイメージを直感的に理解できると思います。また、地震で橋脚の中央部に大きな損傷が発生すると、揺れの形(振動モード)がまっすぐな振り子状から、くの字に曲がったような形状になることがイメージできると思います。振動を測って分析し、このような指標を求めることで、構造物の劣化や損傷に伴う剛性の低下の有無や損傷の発生位置を調べます。
次週に続く-
(月刊OPTRONICS 2017年10月号より転載)
展示会レポート 「センサとヘルスケアIT」-ケアショー・ジャパン2019を見て-(2)
・(株)シーエーシーは非接触型バイタルセンシングソフトウェア「リズミル」で映像脈波抽出技術によりパソコンやモバイル機器のカメラ撮影で心拍数を計測し、健康状態を管理するアプリケーションを実際のデモを行いながらの展示であった。(写真1)
https://www.cac.co.jp/product/rhythmiru/
・(株)フューチャーインクは山形大学発のベンチャー企業で、プリンタブルエレクトロニクス向けのインクを扱っているが、関連の技術から圧電による「バイタルセンサシート」を開発し、椅子やベッドに敷いて振動から脈波・呼吸・音声などを検出するデバイスを開発品として紹介していた。(写真2)
http://www.futureink.co.jp/products/
・(株)早稲田エルダリーヘルス事業団では歩行能力評価ツールとして歩行解析デバイス「AYUMIEYE」 として、子供の手のひらにすっぽり収まるサイズの3次元センサを身に着け、そのデータから、推進力・バランス・リズム・歩幅・歩行速度など、対象者がまっすぐ歩けているか、歩き方に偏りが無いかなどを分析し、アドバイスするシステムを展示していた。(写真3)
http://www3.gehealthcare.co.jp/ja-jp/event_and_news/news_and_initiatives/2016/press02
・パナソニックは少し離れた介護産業展/保険外サービス展にブースがあったが、データ分析型ケアマネジメント支援サービスとして「みまもり安心サービス」を展示していた。
これは部屋に設置したドップラーセンサによりその部屋にいる人間の動きや睡眠状況などを把握し、異常を検知するシステムである。オプションではエアコンも合わせて温度センサによる室温把握、さらに遠隔操作を行うという、どちらかといえば介護施設向けのサービス。(写真4)
http://mimamori.apc.panasonic.com/
・東北大学では文部科学省のCOI(センターオブイノベーション)プログラムの中の一つ「COI TOHOKU」として、研究課題や開発についての紹介をしていた。その場で応対してくれた佐藤啓壮特任講師によると、「未知のスーパーセンサでは無く、今あるセンサを組み合わせても出来ることがまだまだある。」という考え方をもとに、通常の生活の中から様々なセンサで身体の状態をはかり、日常人間ドックとして健康管理等に役立つことを進めており、”人生100年時代”に向けて研究開発を続ける考えを話して頂けた。
展示ブース内では熱中症予測センサの実証実験などを紹介していた。(写真5・6)
http://www.coi.tohoku.ac.jp/
ざっと気になった出展ブースについて駆け足で紹介したが、介護・医療・ヘルスケア分野に関してセンサおよび周辺システムは大変重要な位置を占める。次の機会にもう少し詳しい解説等ができればと考えている。
土木と光技術のいま(2)
(センサイト 企画運営委員)
●構築物メンテナンスの前に「欠陥発見」
こういった日本の土木業界全体を取り巻く状況に鑑み、ICT技術と光技術を使って、人手不足を補う、という試みが多くのゼネコン等の業者で試みられている。特に、トンネルや橋といった公共物の補修のための事前の調査というのは熟練者の高度な技術が必要な分野であり、この分野でのICT/IoTの利用技術は、現在、ゼネコンやその子会社等を含めた会社の「レッド・オーシャン」になりつつある。
ポイントは人間の熟練者のように「非破壊で構築物のクラック等の経年変化による欠陥を発見・特定し、記録する」というところである。たとえば、高速道路の橋脚などのコンクリート構築物を写真撮影し、画像処理を行うことにより、内部のひび(欠陥)等を発見し、写真画像上でマーキングする、などの技術である。これらの技術に関係する情報の多くで、特に高度なものは、現在技術を有する各社の企業秘密に関するものが多く、なかなか表面には出てこないが、Googleなどの検索エンジンで「コンクリート構築物 クラック 画像 計測」などのキーワードで検索すると、それでも多くの研究や試み、計測機器に関する情報が得られる(クラックとはひび割れのこと)。基本的に、熟練者であっても、人間の目で見てわかることは、ほとんどが画像処理で明確化でき、熟練者ほどの目を持っていなくても、可視化できることが多い。
●可視化できる「クラック」とできないクラック
一方で、可視化できるクラックは、多くの場合、当然のことながら、構築物の表面のものに限られ、目視でできることの域を出ないものが多い。しかし、最近では不可視光領域までの画像を取得し、特殊な画像処理技術を使うことにより、クラックの深さまでもが明確にわかる技術が注目されている。「光」も可視光を超える領域のものであれば、より多くの情報を含んでいるからだ。
また、この分野での大きなトレンドは光だけではなく、超音波や電磁波利用の技術も多い。また、現在老朽化が始まっているコンクリート構築物はRC構造(いわゆる鉄筋コンクリート構造)のものが多いのだが、この「鉄筋」がコンクリート内で錆びるなどで、建物の強度を脆弱なものにしていることも非常に多く、特に電磁波などを使っての、コンクリート内の鉄筋の調査をする機器は非常に多く開発され、実用に使われている。基本的に「可視化できるクラック」は、画像処理で行い、「可視化できないクラック」は、電磁波や超音波などを使う探査を行う。
著者紹介
三田 典玄(みた のりひろ)
サイバーセキュリティ、コンピュータ言語、インターネット、IoT専門家。
2019現在 日本フォトニクス協議会知財戦略専門部会事務局長 センサイトプロジェクト企画運営委員
2013~2015 韓国・慶南大学・コンピュータ学科教授。専門:サイバーセキュリティ
2002~2004 経済産業省・産業技術総合研究所・ティシュエンジニアリング(再生医療)研究センター 特別研究員
1996~1997 東京大学・先端科学技術センター 協力研究員
その間、(株)シグマコーポレーション/(株)シースターコーポレーション/技能五輪 国内大会・世界大会の情報技術職種委員/台湾新聞/ジョルダン(株)/(株)プライムネット等
次週に続く-
