日本では,圃場への様々なセンサ導入を目的とする研究開発プロジェクトが世界に先駆けて1997年から2005年まで実施された。この中で,2001年に世界初の農業用センサネットワークであるフィールドサーバ(FS)が開発されるなど,世界をリードする形で「スマート農業」の要素技術が開発された。
EUでは2011年から5年計画の農業分野を含むFI-PPP(Future Internet Public-Private Partnership)プログラムが実施された。その特徴は,「スマート農業」などの実証に必要な,次世代インターネット技術のアプリケーション開発/普及を支えるソフトウェアモジュールの集合体(データ管理,IoTデバイス管理,ビッグデータ分析機能などの基盤ソフトウェア)の分野共通の研究開発を行うFIWAREにある。FI-PPPでは,EUのPAは,「ICTを核とし消費者起点(マーケットイン)で,生産だけでなく経営や市況などあらゆるデータを基に,農業全体(生産・輸送・販売)の効率化を目指す農業でPAもその一部に含まれる」と定義される「スマート農業」に発展的に移行している。さらに現在は,2017年に開始されたIoF(Internet of Food and Farm)2020によるスマート農業起点のフードシステムの実証実験が始まっている。
日本では,2006年以降,前プロジェクトを引き継ぐ農業ICTプロジェクトはしばらく実施されず,2014年のSIPプロジェクトでようやく大規模稲作圃場を主たる対象とする本格的な「スマート農業」プロジェクトが開始され,2019年現在では,SIPの第2フェースとして,EUを後追いする形で「スマート農業」を起点とするフードシステムを対象とするプロジェクトが開始されている。