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睡眠を可視化する「EMOOR SLEEP PILLOW」の先行予約販売

(株)エムールは、眠るだけで心拍数、呼吸数、体動データを可視化する次世代型まくら『EMOOR SLEEP PILLOW』の先行予約販売を、 2019年11月8日よりクラウドファンディングサイト「Makuake」で開始した。

このまくらは圧電素子センサとセンサ専用に開発した枕を組み合わせることで、従来のスマートフォンの加速度センサを使った睡眠計測アプリでは計測できなかった、睡眠時の「心拍数」や「呼吸数」といった情報を可視化した。また、計測の際の起動や設置の手間がないことから、毎日手軽に使い続けることができるとのこと。

【商品概要】
商品名/EMOOR SLEEP PILLOW (エムールスリープピロー)
一般販売予定価格/27,500円(税込)
センサ電源/3.7V・900mAh・リチウムイオン充電可能電池
センサ動作時間/連続使用で約15日間
ソフトウェアプラットフォーム/Bluetooth(R)4.0、Android4.3またはそれ以降のバージョン、iOS7.0またはそれ以降のバージョン
枕のサイズ/約40cm×62cm
枕の組成/表生地:ポリエステル100%表生地(ジャガード生地)、裏生地:ポリエステル100%(スエード調)
マチ部分:ポリエステル100%メッシュ、中材:ポリエステル100%(つぶわた)約1.2kg ※中わたをポケットから取り出すこと高さ調節可能
高さ調節シートの組成/中材:ポリウレタンフォーム(密度35kg/m3) 2枚、生地:ポリエステル100%

【Makuakeでのプロジェクト概要】
開催期間:2019年11月8日(金)〜 2020年1月20日(月)18:00まで
プロジェクトタイプ:All in型
プロジェクトページ: https://www.makuake.com/project/emoor13/
(超早割)400個限定の先行予約価格/16,500円(税込) ※一般販売予定価格の40%OFF
(早割)100個限定の先行予定数量/22,000円(税込) ※一般販売予定価格の20%OFF

(注※掲載画像はイメージ。仕様・デザインについては予告なく変更になる場合あり。)

makuakeプロジェクトサイト:https://www.makuake.com/project/emoor13/

4Gデータ通信のLED蛍光灯一体型の防犯カメラ、東急電鉄所属の全車両へ導入

 東急電鉄(株)は、2020年3月から車両内のセキュリティ向上を目的として、2020年7月までに東急電鉄所属の全車両(※1)へ、ソフトバンク(株)の4Gデータ通信に対応した、LED蛍光灯一体型の防犯カメラ「IoTube(アイ・オー・チューブ)」(以下「IoTube」)を順次導入する。鉄道車両への4Gデータ通信機能を備えたLED蛍光灯一体型の防犯カメラ導入は、鉄道業界初(※2)となるとのこと。

 IoTubeは、4Gのデータ通信によってカメラの映像データを送信して遠隔で記録映像を確認できるLED蛍光灯一体型の防犯カメラ。東急電鉄の協力の下、(株)MOYAIが特許技術(※3)に基づき開発したもので、ソフトバンクが販売および通信サービスの提供を行うという。

 東急電鉄とソフトバンクは、2019年5月末から6月末まで、大井町線の一部の車両でIoTubeの試験導入を行い、2019年9月から、田園都市線の一部車両でも試験導入を行っている。その結果、IoTube本体の強度や映像の撮影角度、設置場所におけるデータ通信のための電波強度などを確認できたことから、正式に導入を決定した。具体的には、1車両あたり4台(※4)の設置を基本として、2020年7月までに、全車両1,257両(2020年7月時点で所属予定)への導入を進める。

 同社らは、IoTubeの全車両への導入を通して、車両内の犯罪防止および利便性の高いサービスを追求し、セキュリティや顧客満足度の向上を目指すとともに、将来的には、IoTubeに多様なセンサを搭載しそのデータを活用することで、AI(人工知能)やIoTを融合した次世代型ネットワークカメラとして、不審物の自動検出など、新たなサービスや新規事業の創出を目指すとしている。

※1 こどもの国線を除く
※2 東急電鉄調べ。(2019年10月31日時点)
※3 特許技術は、(株)MOYAIの関係会社が保有するもの。
※4 池上線および東急多摩川線所属車両は1車両あたり3台設置、世田谷線所属車両は1車両あたり2台設置を基本とする。また既に防犯カメラ設置済みである田園都市線および大井町線所属車両は1車両あたり2台、池上線および東急多摩川線所属車両は1車両あたり1台を設置。

ニュースリリースサイト(東急電鉄):https://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20191106-1.pdf

キングジム、「扉につけるお知らせライト(無線タイプ)」TAL20 発売

(株)キングジムは、ライトの点滅とブザーで扉の反対側に人がいることを知らせる人感センサ付きライト「扉につけるお知らせライト(無線タイプ)」TAL20を2019年12月6日(金)より発売する。初年度販売目標数量は2万個。

 今回発売する「扉につけるお知らせライト(無線タイプ)」 TAL20は、本体同士を無線接続することで既存機種では設置できなかった厚い扉などにも設置でき、センサが人を検知すると、ライトの点滅とブザーで扉の反対側に人がいることを知らせる。本体はマグネット式で、扉を挟むように簡単に取り付けられるほか、付属の取付補助板を使用すれば、ネジや両面テープを使って鉄扉以外にも取り付けできる。また、電池寿命は約2年間※で、頻繁に電池交換する必要がない。
 本体の表示シートは、ドアでの使用を想定した「ドアに注意」シート、曲がり角など死角が発生する場所での使用を想定した「衝突注意」シートの2種類で、利用シーンに合わせて選択でき、また、1台のみで使用する「シングルモード」では、段差などの危険な場所での注意喚起や防犯などにも使用でき、さらに幅広いシーンで活用できるという。

キングジムでは、「扉につけるお知らせライト(無線タイプ)」TAL20をはじめとするオフィス環境を改善する新製品を通して、新しい市場の開拓を目指すとしている。

※1日あたり30回センサが感知した時。使用条件により異なる。

ニュースリリースサイト(キングジム) https://www.kingjim.co.jp/news/detail/208.html

TED、ams社と販売代理店契約、ADAS・自動運転システム向けセンサ製品販売

近年、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システムの世界市場規模は拡大の一途をたどっている。AEBS(自動ブレーキ)などADASの標準搭載の義務化の流れが各国で進み、自動運転においては自動運転レベルの高い車の実用化に向けた開発が行われており、今後も市場の堅調な拡大が見込まれる。ADASや自動運転システムでは、レーダーやカメラ、超音波、レーザー(LiDAR)などからのセンシング情報を元に周囲の状況を検知・認識を行うため、今後は車1台当たりのセンサ搭載個数の増加が見込まれる。

ams社は、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)2D/3DVision用近赤外レーザー照明、ADAS LiDAR用レーザー光源・ドライバ、回転角センサ、プロジェクション用のマイクロレンズアレイなど、小型で低消費電力のセンサ製品の開発・製造を行うメーカー。多くの最先端のセンシング技術を有しており、距離測定、位置測定、モーター制御、ドライバ認識、スマート照明など、複数の高感度のセンサを統合した車載システムの開発が可能である。

車載や産業機器分野に特に注力しており、カーエレクトロニクスで求められる厳格な安全性要件を遵守しているため、高性能と高信頼性を同時に満たす。ADASや自動運転など、今後一層電装化が進む高度な車載システムの開発を実現するとのこと。

TEDではams社の製品を、車載分野・産業分野向けに、今後3年間で30億円を目標に販売活動を行う。モジュールや基板の設計・量産受託により、お客様の開発工数削減、開発期間の短縮に貢献するとしている。

ニュースリリースサイト(TED):https://www.teldevice.co.jp/pro_info/2019/press_191107.php

NejiLaw、CASIOと共同でG-SHOCKの技術を搭載したIoTネジを開発

(株)NejiLawはカシオ計算機(株)と、配線不要な耐衝撃構造のIoTネジ「smartNeji(スマートネジ)」の共同開発を開始した。

このIoTネジは、精密応力センサ化技術を軸とするNejiLaw製の緩むことのないネジに、G-SHOCK※で培われたカシオ計算機の耐衝撃・耐振動性・低消費電力の技術を搭載する。
NejiLaw✕CASIO両社のオープンイノベーションによって、双方の技術的強みをかけあわせ、従来のねじ水準の堅牢性を有するマルチセンシング型IoTネジ「smartNeji」を実現する。smartNejiはネジ自体をマルチセンサ化することで、締結作業中の状態確認をはじめ、締結部における応力等の情報を無線収集し、接合部からのマテリアルバイタルサインともいうべき情報をとらえ、解析することで構造体全体の応力状態の把握を可能にするという。
同時に、政府の打ち出した「国土強靭化(ナショナルレジリエンス)政策」に資するべく、smartNejiを活用した、工場、プラント、発電所、送電網、水道網、ガス管網、鉄道網、道路網、自動車、大型車両、船舶、航空機、ロケット、ロボット、産機、建機、ビル建物、住宅家屋等の構造体の健全性を可視化する世界初のAIシステム「God Eyes」を開発するとしている。

※G-SHOCKは、カシオ計算機(株)の登録商標。

ニュースリリース(Nejilaw):http://www.nejilaw.com/pdf/NejiLawPR_smartNeji_20191106.pdf

BOSCHの二輪車向け安全運転支援システム カワサキが初めて採用


 ボッシュの二輪車向け安全運転支援システム「アドバンスト ライダー アシスタンス システム」がカワサキのモデルに採用され、2021年から量産を開始することが決定した。日本の二輪車メーカーによる、ボッシュのアドバンスト ライダー アシスタンス システムの採用が発表されたのは今回が初。

ボッシュのアドバンスト ライダー アシスタンス システムは
・ACC(アダプティブ クルーズ コントロール):交通の流れに合わせて車速を調整し、安全な距離を維持する。
・衝突予知警報:前走車との距離が危険なほど接近した場合対処しないことを検知すると、聴覚的、または視覚的な信号をライダーに送る。
・死角検知:レーダーセンサによりライダーから見えづらい位置にある対象物を確認し、ライダーの死角に車両が来た際には、ミラー等に視覚信号を表示する。
等の特徴がある。

◇包括的なセーフティコンセプト:Accident-free (交通事故のない)なモビリティに向けた3つのステップ
 ボッシュは、3つのステップにもとづき二輪車の安全性向上に貢献する技術の開発をしている。 1つ目のステップは、ABSやMSC(モーターサイクル用スタビリティコントロール)による車両安定性の向上。ABSは、日本をはじめ、EU、インド、台湾、ブラジル、中国といった国・地域で新型車(EUは新型車および継続生産車)への搭載が義務付けられているほか、オーストラリアについても2019年内の新型車への搭載の義務化が決定している。 2つ目のステップが、今回採用予定のサラウンドセンシング技術を活用したアドバンスト ライダー アシスタンス システム。 そして、3つ目のステップは、二輪車と四輪車の車車間通信や自動緊急通報システムに代表される、二輪車と周辺環境とのネットワーク接続である。この包括的なセーフティコンセプトにより、ボッシュはライディングの楽しみを損なうことなく、二輪車のライディングをさらに安全なものとする、新しいテクノロジーの開発を続けていくとしている。

ニュースリリースサイト(bosch):https://www.bosch.co.jp/press/group-1911-02/

サンワサプライ、圧力センサを搭載したBLEビーコンを発売

サンワサプライ(株)は、圧力センサーを搭載したBLEビーコン「MM-BLEBC6」を発売 した。

「MM-BLEBC6」は、圧力検知によってアドバタイズできるBLEビーコン。
 BLEビーコンとは、低消費電力のBluetooth Low Energyを使用し、人やモノの位置情報や状況を把握したり、特定したそれらに向け情報を伝達したりできるハードウェア。
 この製品は、搭載された圧力センサーに圧力が加わると、BLEで情報を送信することがでる。例えば、イスなどに設置することで着席した人数などが分かり、空席状況をマッピングすることができ、飲食店や図書館などの空席状況の確認に活用すれば、予約システムや客足管理との連携が可能になり、マーケティングや調査にも便利で、さらには人件費削減にも繋がるとしている。

 ビーコン本体とセンサ部分間のケーブル長は50cmあるため、センサ部分を座面のクッションの中に設置し、ビーコン本体は外に出して使用でき、電池交換などの管理が簡単。タイマー機能がついており、設定時間のみ稼働させることができるので、電池の消耗を抑えられる。動作死活監視用の電波をアドバタイズする機能を搭載しており、電池切れや故障による大きなトラブルに事前に対処することができるという。

 本製品は、iBeaconフォーマットにて構成されているため、スマートフォンのiBeacon仕様のアプリケーションで検知することができるとのこと。

ニュースリリースサイト(サンワサプライ):
https://www.sanwa.co.jp/news/201911/mm-blcbc6/index.html

ABLICの技術論文、Best Paper Awardを受賞

 エイブリック(株)以下:(ABLIC)は10月14日~16日までの会期でアメリカ、カリフォルニア州サンノゼで開催された「IEEE S3S Conference」(※1)において論文発表を行い、今回「Best Paper Award」を受賞した。

 今回発表した論文は、立命館大学との共同研究で、「150-nW(※2)FD-SOI Intermittent Startup Circuit for Micropower Energy Harvesting Sensor」と題して、ABLICのCLEAN-Boost®(※3)で使用されているキー・デバイスのスタート・アップ回路に関する内容で、低電圧かつ、低電力の発電源(Energy Harvester)のエネルギーを効率よく利用することが可能となる技術について論じたものである。
これまでは、利用が不可能であった、最低150nWから発電電力を蓄えることが可能で、その蓄えた電力を用いて、昇圧することで無線通信等あらゆるアプリケーションを利用可能とする、というもの。この技術を用いて水滴や細菌などから発生するごく小さな環境エネルギーを活用することで、今後全てのIoTデバイスで半永久的に電源を確保できる可能性が広がることを発表した。

(※1)「IEEE S3S Conference」について
IEEE(アイ・トリプル・イー)とは、アメリカに本部を置き、人類社会の有益な技術情報に貢献する世界最大の専門職団体。「IEEE S3S Conference」のS3Sとは、SOI-3D-Subthresholdの頭文字をとったもの。本カンファレンスは、主に、SOIデバイスやその回路、及び、3D実装などの技術に関する研究や開発の成果が発表されたり議論されたりする国際会議で、今年で45年目を迎える。
(※2)nW (ナノ・ワット):1W(ワット)の10億分の1ワット
(※3)CLEAN-Boost® について
これまでは電力として活用できなかった微小な環境エネルギーを蓄電・昇圧し、無線発信などを可能にするエナジーハ―ベストに最適なABLIC独自の技術。もともとはロッカーほどあったクオーツ時計の機構を「腕時計サイズ」にまで小型化し、わずかな電力で正確に時を刻むことができる、低消費、低電力型CMOS ICの技術開発がベースとなっている。
 参考URL:https://hub.ablic.com/cb

ニュースリリースサイト(ABLIC):
https://www.ablic.com/jp/semicon/news/2019/11/05/best-paper-award/

ロボットによる海洋計測(1)

長崎大学副学長・教授
山本 郁夫

1.はじめに

日本は四方を海に囲まれており、海洋まで含めた排他的経済水域EEZの面積は世界第6位、水域内の海の深さも含めた海水の体積は世界第4位である。海底鉱物資源、水産資源、海洋エネルギー資源等、海にはさまざまな資源が眠っており、それらを如何に活用するかで今後の日本の将来が決まると言っても過言ではない。海の資源の開発には、まず海の中を知ること、すなわち、海洋計測が必要であり、海洋計測項目は多種多様である。また、海は宇宙と同じく人が容易に踏み入ることができない極限環境の世界であり、調査のためには無人ロボットの活用に期待がかかる。そこで、本稿ではロボットによる海洋計測についての筆者らの取り組みについて説明し、併せて海洋エネルギー特区として長崎海洋エネルギー実証フィールドにて実施しているプロジェクトを紹介する。

2.ロボットによる海洋計測

ロボットによる海洋計測ニーズは多種多様である。1)ロボットの目的をきちんと定める必要がある。
うらしま等の大型長距離自律航走無人潜水機AUV(Autonomous Underwater Vehicle)では、多くのセンサが搭載できるスペースが潜水機内に確保できるため、テレビカメラ、ソーナー、CTD計、採水器など海中環境、地形計測のための多くのセンサを搭載して多目的な海洋計測が可能である。自律運動を可能とするために、位置計算用慣性航法装置、速度計、深度計、高度計、浮上時位置測定用GPS等運動計測用センサも搭載できる。しかしながら、小型の潜水機では搭載ペイロードに制限があるため、一目的ないし数目的に計測目的を絞る必要がある。
まず、画像による海中状況の計測ニーズがあり、センサとしてカメラと音響装置を用いる。図1、図2、図3に示す小型ROV(Remotely Operated Vehicle)では小型カメラを搭載し、LEDで海中を明るく照らしながら海中の目標物を画像にて計測する。例えば、図4に示す様な浮体式洋上風車の海中下コーン構造部の状況を画像にて計測するのに有効であり、図5に示すようにROVにて洋上風車コーン回りの環境や図6に示すようにコーン最下部の状況をリアルタイムモニタリングできる。
海中の電気伝導度、水温、圧力などの環境データの同時計測にはCTD計を用いるが、AUV、ROVのスペースとペイロードが確保できれば搭載できる。

図1 ROV SEABOT
図2 ROV SEABOTα
図3 ROV SUIBOT
図4 浮体式洋上風車
図5 ROVによる洋上風車コーン回りの環境観測
図6 ROVによる浮体式洋上風車最下部の観測

次週に続く-

参考文献

1) Ikuo Yamamoto,Practical Robotics and Mechatronics,IET (The Institution of Engineering and Technology, UK),Control,Robotics and Sensors Series 99,ISBN978-1-84919-968-1(2016)

【著者略歴】
山本郁夫(やまもと いくお)
長崎大学副学長・教授

1983年3月 九州大学工学部航空工学科卒、同大学院工学研究科修了、博士(工学)。
1985年4月 三菱重工本社技術本部、
2004年4月 海洋研究開発機構、
2005年4月 九州大学大学院総合理工学府教授、
2007年4月 北九州市立大学教授、
2013年4月 長崎大学教授、
2019年4月 同大学副学長。

GlobalScot(スコットランド名誉市民)、フランス国際賞受賞。
専門はロボット工学。実用的なロボットを世界に先駆けて開発することで定評がある。三菱重工業株式会社で10000m(10900m)無人潜水ロボットやB787主翼、JAMSTECで300km(317km)以上を自律で航走する水中ロボットを開発してきた。大学では小型飛行体や小型水中ロボット、本物そっくりにおよぐ魚ロボットを世界に先駆けて開発している。宇宙遊泳する魚ロボットも開発した。30年以上のロボット研究歴の中で英国、フランス、日本などでPractical Roboticsの創出法に関する本など多く執筆している。

水中ロボットの測位用センサ(1)

東京大学生産技術研究所
海中観測実装工学研究センター
特任助教 松田 匠未
東京大学生産技術研究所
海中観測実装工学研究センター
准教授 巻 俊宏

1.はじめに

近年、水中ロボットが普及しつつある。水中には水産資源や金属資源をはじめとした生活を支える資源が存在している。水圧や呼吸できないことが原因で人は水中に容易にアクセスできない。そのため水中ロボットは人の代わりに水中を調査するためのプラットフォームとして期待されている。しかし空のドローンのように手軽に水中調査を行えない。なぜならロボットが水中で自分の位置を測ることが難しいからである。自分の位置を測ることを「測位」と呼ぶ。またロボティクスの分野では「自己位置推定」とも言う。本稿では水中ロボットの測位センサを説明するとともに、我々の研究事例を紹介する。水中測位の難しさについては文献1)を参照されたい。

2.水中測位

水中での測位が難しい根本的な理由は電波が使えないことである。そのため陸上や空での測位に活用されているGPSも使用できない。空のドローンを気軽に使用できるのは、衛星の電波が届く限り地球上のどこでもメートル精度で測位できるGPSのおかげである。
また水中では視界も悪く、人が普段生活で頼りにしている視覚センサ(カメラ)も限られた条件でしか使用できない。水中の視界は外洋の綺麗な環境でも数10mであり、沿岸域では図1のように数10cmに満たないことも普通である。ダイバーはそのような海を「味噌汁のよう」と例える。また、海底近くで動き回ると海底の泥を巻き上げてしまい、陸上と異なり、一度巻き上げられた泥はしばらくの間あたりに漂い、ほとんど何も見えなくなる。また太陽光が届くのは数10m程度の浅い場所だけなので、それ以外ではライトが必要になる。ライトを使うと水中に漂う砂、マリンスノーやプランクトンなどからの反射によって遠くが見えないという問題も出てくる。
そこで水中において最も使用されるのが音波である。水中において音波は光より遠くまで届くので計測や通信手段として広く使用される。イルカも仲間とコミュニケーションしたり、餌を捕まえるのに超音波を使う。

図1 海中の写真の一例。2017年 平塚新港でのLEDマーカーの水中認識試験にて。LED間の距離は7.5cmである。数10cm先もぼんやりとしか見えない。

音波により周辺環境を計測するセンサをソーナーと呼ぶ。高価なソーナーはカメラに近い映像を取得することができるが、音波は波長が長いため一般に光よりも分解能が悪い。また生物や船舶、波浪等から来るノイズも多く、海底や水面、その他様々な反射が重なる(「マルチパス」と呼ぶ)。これにより検出したい信号がノイズや反射波に埋もれてしまう。また音速は水温や圧力、塩分濃度によって変化するため、音波はまっすぐ進まず、屈折してしまう。このように普段視覚に頼っている我々人間にとって、直感的に音響画像を理解するのは困難である。

次週に続く-

参考文献

1) 巻俊宏, “水中ロボットの測位の話,”
http://mt-utoa.webmasters.co.jp/learnocean/researchers/cat/rov.html

【著者略歴】
松田 匠未(まつだ たくみ)
2012年3月 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 海洋技術環境学専攻 修士課程修了 修士(環境学)
2012年4月~2015年3月 日本学術振興会 特別研究員
2015年3月 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 海洋技術環境学専攻 博士課程修了 博士(環境学)
2015年4月~2019年3月 東京大学生産技術研究所 特任研究員
2019年4月 東京大学生産技術研究所 特任助教
現在に至る

・所属学会
IEEE,日本船舶海洋工学会,海洋調査技術学会,日本ロボット学会
・受賞歴
2011年 MTS/IEEE OCEANS 2011 KONA Student Poster Program Second Place Awards
2014年 IEEE OES Japan Chapter Young Researcher Award 2014
・専門分野
知能ロボティクス,フィールドロボティクス,自律型海中ロボット(AUV),マルチロボットシステム,確率ロボティクス



巻 俊宏(まき としひろ)
東京大学生産技術研究所 准教授。

2003年東京大学工学部システム創成学科卒業。
2005年東京大学大学院工学系研究科環境海洋工学専攻修士課程修了、修士(工学)。
2008年東京大学大学院工学系研究科環境海洋工学専攻博士課程修了、博士(工学)。
同年4月東京大学生産技術研究所助教、同年10月〜12月ウッズホール海洋研究所(米国)客員研究員を経て、2010年4月より現職。
専門は海中プラットフォームシステム学。海のフロンティアを拓く岡村健二賞等を受賞。
IEEE, 船舶海洋工学会等の会員。