これは、車載用途に最適化されたボッシュ初となるLiDAR(Light Detection And Ranging)と言えるとのこと。自動運転(SAEレベル3~5)に対応した走行には、レーザー光による距離測定技術が必要不可欠だが、同社の新しいセンサは、高速道路でも市街地でも、長距離、近距離の検知が可能だという。ボッシュでは、規模の経済性を活かすことで高度な技術の価格を抑え、マスマーケットに対応したいと考えているとしている。
3.3 使用機器
脳波計の測定装置は株式会社デジテックス研究所のPolymate(AP1532NS)を用い、サンプリング周波数は2[kHz]で測定を行った。またハード側のフィルタ処理として、LPF(ローパスフィルタ)を600[Hz]、HPF(ハイパスフィルタ)を0.5[Hz]とし、ソフト側のフィルタ処理としてノッチフィルタを50[Hz]とした。測定部位は、先ほど述べた国際10-20法に基づき、19chで測定を行った。ここで、右耳朶の電極をリファレンス電圧として、2点間の電位差を測定した。
課題測定で用いる音楽再生機器は、ハイレゾ対応機器としてSony社のNW-ZX2と、従来の圧縮音源の再生機器としてSony社のNW-S784を比較対照として用いた。また、今回はSony社のハイレゾ対応のヘッドフォンMDR-1A を再生機器に接続し、音楽聴取を行った。
本実験で使用した2種類の音源は、Miles Davisの”So What”と、Stevie Wonderの”You Are The Sunshine Of My Life”を用いた。”So What”は、24[bits]、192[kHz]のPCのサンプリング音源とし、”You Are The Sunshine Of My Life”のハイレゾ音源は24[bits]、96[kHz]のPCのサンプリング音源で演奏させた音源である。
フラクタル工学、カオスニューラルネットワーク、液晶の物理学に関する研究に従事。
著書に「Chaos and Fractals in Engineering」(World Scientific)、「カオス・フラクタル感性情報工学」(日刊工業新聞社)等がある。
2016年4月より、大学発ベンチャー企業である株式会社TOFFEEを設立し、代表取締役を兼務。
平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞(科学技術振興部門)。
2.1 見た目と触覚の風合いの違い[1]
同じ布を見たときと触れたときでは、人が感じ取る風合いが異なるかというテーマで実験を行った。
実験に用いた布は、市場に流通するブラックフォーマル用の黒色織物20種類である。
実験1では、評価者に目隠しさせて視覚情報を遮断し、触知覚で風合いを評価させた(図2 ( a ))。実験2では、布に触れないようにさせて触知覚情報を遮断し、視覚で風合いを評価させた(図2 ( b ))。
評価者は、消費者を想定して、性別が偏らず、幅広い年齢層となるように大学生9名(年齢≦23),大学院生11名(23≦年齢≦26),大学事務職員10名(年齢<63)の計30名(男女各15名)の協力を得て実施した。
(a)触ったときの評価評価(実験1)(b) 見た目の風合い評価(実験2)
図2 風合い評価の様子
風合い評価に用いた形容語は、様々な材質感の評価で用いられる4つの感覚(a.温冷感,b.硬軟感,c.粗滑感,d.乾湿感)とした。つまり、温冷感は「つめたい-あたたかい」,硬軟感は「かたい-やわらかい」,粗滑感は「滑らかな-粗い」,乾湿感は「乾いた-湿った」である。
実験1および実験2の結果、a.温冷感(図3 ( a )参照)、b.硬軟感については、見た目と触れたときに感じる風合いの評価が一致した(r=0.869、r=0.661)。つまり、見た目で「あたたかい」と感じられる織物は、実際に触ったときも「あたたかい」と評価されたことを意味しており、「やわらかさ」についても同様であった。ここで,「あたたかい」と評価された布は、羊毛繊維でつくられた織物であり、「やわらかい」と評価された布は、「細い糸」で作られた織物であった。
一方、c.粗滑感(図3 ( b )参照)、d.乾湿感については、見た目と触れたときに感じる風合いの評価が一致しなかった(r=0.220、r=0.003)。つまり、見た目で「粗い」と感じられる織物が、触ったときに「粗い」と評価されるわけではなかったことを意味しており、「湿った」についても同様であった。ここで,触ったときは、たて糸とよこ糸の交絡数が多い織物が「粗い」と評価されたが、見た目では、太い糸で作られた織物が「粗い」と評価された。
この実験を通じて、温冷感や硬軟感を判断する手掛かり(評価基準)は、見た目と触ったときで一致するが、粗滑感や乾湿感では異なっていることが分かった。
そこで実験では、生産者側の評価者として、ブラックフォーマル織物の開発、または、設計、製造、流通、販売のいずれかの業務に8年間以上従事した経験をもつことを条件に13名(以下、専門評価者)の協力を得た。一方、消費者側の評価者として、専門的な知識を有しない大学生10名(以下、一般評価者)の協力を得た。
評価に用いた織物は、市場で流通する婦人用ブラックフォーマル織物の中から、繊維素材(絹繊維、トリアセテート繊維、ポリエステル繊維)と組織(梨地織、二重織)が異なる6種類を選定し、これらの試料を統一した光源環境で観察し、外観の印象を主観評価した。
専門評価者、および一般評価者における視覚的風合いの評価構造を図4 ( a )、および( b )に示す。専門評価者の評価構造は、中位層に4つの概念(「巨視的な明るさ感」、「硬軟感」、「微視的な明るさ感」、「粗滑感」)が区分された。また、4つの概念のうち3つ(「巨視的な明るさ感」、「硬軟感」、「微視的な明るさ感」)が見た目の風合いの善し悪しに影響を与え、「巨視的な明るさ感」を強く感じる織物では「高級感」を感じにくいが、「硬軟感」や「微視的な明るさ感」を強く感じる織物では「高級感」を感じやすいことがわかった。これは、使い込んだ学生服の織物に鏡面的な光反射(テカリ)が観察されると低級に感じるが、深みのある黒色の中にきらめくような輝きをもつ布には高級感を感じるという我々の経験則と一致する。
参考文献 1) 丸弘樹,長島有一,金井博幸,西松豊典,視覚・触知覚的風合い評価を誘引する織物の性質に関する基礎的研究,Journal of Textile Engineering,63(5),2017 2) 丸弘樹,齋藤奨司,金井博幸,西松豊典,黒色織物における視覚的風合い評価プロセスの客観的表現,Journal of Textile Engineering,63(5),2017 3) 丸弘樹,齋藤奨司,金井博幸,西松豊典,専門家および非専門家における黒色織物の視覚的風合い評価構造モデル,Journal of Textile Engineering,62(6),2016 4) 小林茂雄,風合いの評価法,繊維工学,26 ( 2 ), 16-22, 1973 5) Hiroyuki Kanai, Mika Morishima, Kentaro Nasu, Toyonori Nishimatsu, Kiyohiro Shibata, Toshio Matsuoka, Identification of principal factors of fabric aesthetics by the evaluation from experts on textiles and from untrained consumers, Textile Research Journal, 81 ( 12 ), 1216-1225, 2011
■略歴
1972年京都大学工学部高分子化学科卒業
1974年同大学院(修士)工学研究科高分子化学専攻修了
1988年同工学博士(繊維工学)
1974年東芝総合研究所化学材料研究所
1980年大阪信愛女学院短期大学を経て
1986年から金沢大学助教授教育学部
1995年同教授。被服科学、テキスタイル科学担当。ニュージーランド羊毛研究所(WRONZ)、ニューサウスウェールズ大学、アグリサーチ社客員研究員を経験。
日本繊維製品消費科学会論文賞(2001)、日本繊維機械学会論文賞(2002)、Holden Medal for Education (The Textile Institute, UK, 2019)を受賞。日本繊維機械学会フェロー(2010-)。
2015年3月金沢大学定年退職。
同年4月からカトーテック(株)技術顧問、現在に至る。