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産学官連携による市内一級河川樋門のIoT遠隔監視制御システムの開発

アドバンテックテクノロジーズ(株)、(株)ジェー・フィルズ、および福岡大学 工学部 電子情報工学科 大橋研究室は、直方市が行った公募型プロポーザル「直方市遠隔監視制御型樋門管理システム調査検証業務」の受託者に決定した。
この委託業務は、2021年3月19日までに、直方市内の遠賀川河川域の樋門を遠隔監視・制御するための現況調査、およびシステムの開発と検証を行うものである。

アドバンテックテクノロジーズはAI、IoTシステムの迅速な導入を可能とする「Advantech Edge+」 プラットフォームを本件に採用。 ジェー・フィルズは、自社が特許を有する「手動樋門制御技術」を活かす。 福岡大学 大橋研究室は、水位・水流を非接触・遠隔でセンシングする基礎研究を活かし、これらの技術を「Advantech Edge+」と連携する事で、このプロジェクトを短期間で実現する。
このシステムは、将来的に5GやAI(人工知能)の技術も取り込むことで、近年の地球温暖化の影響で顕在化してきている河川氾濫による災害リスクを極小化できるシステムとなるように取り組むとしている。

〔委託業務内容〕
 直方市 遠隔監視制御型 桶門管理システム 調査検証業務 (市内一級河川 (遠賀川)を対象)
 ■調査検証項目
 1.市管理樋門の現況等の調査検証
 2.市管理樋門の状況の遠隔監視等に関する調査検証
 3.遠隔地からの市管理樋門の自動開閉操作に関する調査検証
 4.持続可能な遠隔監視制御システム等の構築
 5.直方市が所有する樋門における遠隔監視制御システムの試作品等の作成
 6.提案するシステムの導入や運用に関する検討
 7.提案するシステムの発展性及び横展開に関する検討
 8.調査検証結果の取りまとめ

〔委託期間〕
 2020年12月15日から2021年3月19日まで

〔委託業務体制〕(役割)
 ■アドバンテックテクノロジーズ(株)
 ・市からの業務委託代表
 ・対象樋門の現地調査
 ・遠隔監視と電子制御の試行
 ・実証実験の実施
 ・実用に向けた課題・計画の取りまとめ

 ■福岡大学
 ・遠隔監視型の水位・流速・流向測定技術の研究と試行
 ・実証実験の実施
 ・実用に向けた課題・計画の明確化

 ■(株)ジェー・フィルズ
 ・既設樋門に対する自動制御技術の検討と試行
 ・実証実験の実施
 ・実用に向けた課題・計画の明確化

〔システム概要〕(画像)
 ■以下3つのシステムとその間を接続する通信インフラからなる統合システムを開発
 ・樋門を操作するために必要なギアユニット、IoTユニット、および各種センサの機能を持つ樋門現場のエッジシステム
 ・樋門現場からの情報を蓄積し、分析する機能を持つクラウドシステム
 ・管理センターより簡単に樋門現場の状態を把握できるダッシュボード、および簡単に樋門操作が可能なユーザインターフェースの機能を持つ管理システム

ニュースリリースサイト(advantech):https://www.advantech-tj.co.jp/topics/6936

AIで意識不明などの状態を検知し機械を緊急停止させるシステム

(株)アトラックラボは、重機や農機に簡単に取り付けられる操縦者監視システムを開発した。

「Deadman Switch」は、小型のデプスカメラとAI処理で操縦者の状態を監視する機械の安全装置の一種で、重機や農機具の操縦中に、操作者が意識不明などの事態に陥った時や、不用意に運転位置を離れた際に自動的に機械を停止させるなどして事故を防止する装置。
この装置は、運転席の前にカメラを設置し、AIで頭の位置と目を認識し、正常な位置に頭が無い時や、目が開いているかなどを判定し装置を停止させたりすることができるシステム。
作業内容により、異常状態の定義をカスタマイズして提供するとのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000058.000052796.html

光ファイバセンサ技術の概要と研究動向(1)

東京工業大学
科学技術創成研究院
教授 中村 健太郎

1.光ファイバセンサって何だ?

1970年にコーニング社が伝送損失20 dB/kmの光ファイバを実現したのが実用的な光ファイバ通信の幕開けと言ってよいであろう。その後、理論限界程度までのより低い損失の実現がなされ、また、光ファイバ通信に適した半導体光源の開発も進んだ1)。この光ファイバを、通信ではなく計測やセンシングに利用することもそのころから始まっている。従って、光ファイバセンサ技術の始まりは1970年代であるが、当時は冷戦時代であり、潜水艦探知用の高感度な水中音響センサ用途の開発が米国を中心に盛んであった。一方、光ファイバが低損失(0.2 dB/km程度)なことを利用した長距離測定が可能であること、1本の光ファイバに沿って10 kmを越える距離の分布的連続測定や多点測定が測定点に電力供給せずにできること、電磁ノイズの影響を受けないこと、電気絶縁性・防爆性が高いことなどにより、温度分布、ひずみ分布、電力設備の電流測定などのためにさまざまな原理が考案され、それらの民生応用が発展した2-4)
光ファイバ温度分布センサはトンネルや化学プラント、工場などの温度管理、火災検知に有効である。ひずみ分布測定は、河川管理、斜面管理、橋梁保全、パイプラインの管理など土木分野でさまざまな応用が進んでいる。土木構造物の施工時への利用も始まっている。石油・ガスの採取現場、風力発電装置の管理などの応用も海外を中心に行われている。また、長い光ファイバをコンパクトなコイル状にし、超高感度な回転速度センサ応用も進展した。MEMS振動ジャイロでは実現不可能な高い感度は宇宙応用、航空応用、高度な姿勢制御などには欠かせない技術となっている。
このように、一口に光ファイバセンサと言ってもさまざまあるが、1月から2月にお送りする解説群では主に温度やひずみの分布を測定するものを中心としている。1月には光ファイバに沿って連続的に分布測定ができるセンサについて、2月には多点型のセンサについて紹介する予定である。本稿では、総論として、光ファイバセンサ技術全体を俯瞰し、また、これまでの研究開発動向を概説する。具体的な原理や応用については次号以降の解説にご期待いただきたい。

2.光ファイバセンサの種類と原理

2.1 光ファイバセンサの分類

光ファイバセンサはいくつかの概念で分類することができる。その1つは図1のように空間分解能の有無で分ける方法である。完全な分布型は光ファイバケーブルに沿って任意の位置の温度なりひずみなりを知ることができ、光ファイバセンサの最も重要な特徴を有している方式である。多点型は光ファイバケーブルに沿った複数の離散点で感度を有する方式である。空間分解能の無いものは、ファイバコイルを用いたジャイロや電流センサ、音響センサである。

図1 光ファイバセンサの分類

以上のセンサは全て光ファイバ自身をセンサとしたものであるが、光ファイバの端部に特別なセンサ機構を設けた単点型センサもある。これは、光ファイバは単なる信号伝送路である。これらを図2にまとめる。

図2 各種光ファイバセンサの構成

2つ目の分類法は、検出原理によるものである。これは光の位相によるか、光の強度によるか、あるいは光の波長によるかなどで分類できる。光の位相を用いると極めて高感度なセンサとなる。光ファイバジャイロや水中音響センサなどがこれに属し、光の干渉を用いて光位相のわずかな変化を検出する。光ファイバに光を入れると、多くの光はそのまま光ファイバの中を伝搬してゆくが、一部は後方に散乱される。この後方散乱光には、後述のように3つのものがあり、それぞれの強度や周波数の性質を用いた温度やひずみのセンシングが行われる。また、ある波長だけを反射する構造を光ファイバコアに作った光ファイバブラッググレーティング(FBG)は多点型のセンサとして応用例が非常に多い。

2.2 光ファイバセンサの原理

ここでは、分布型と多点型のセンサについて、それらの原理を概説する。光ファイバに光を入射すると、図3のような後方散乱光が生じる。光ファイバのわずかな非均一性により入射光と同じ波長(同じ周波数)の散乱光が発生するのがレーリー散乱である。パルス光を入射して、そのパルスが戻ってくるのに要する時間と光ファイバ中の光速からやまびこの原理で散乱光が発生した位置と光量を知ることができる。これを装置化したものがOTDR(Optical Time-Domain Reflectometry)であり、光ファイバの故障個所の検査など通信メインテナンスに広く用いられている。光ファイバの曲げ損失なども検知できるので、古くからセンシング応用も行われている。近年、レーリー散乱光の位相の変動の分布を測定する技術が開発され、分布型音響センサ(DAS, Distributed Acoustic Sensor)として注目を集めている。極めて高感度な振動検出が可能であり、通信用の既設ファイバを利用した地震波の観測などの報告例が増えており、今後の活用が期待される。

図3 光ファイバ中で生ずる散乱光

一方、入射光と10~11 GHz周波数がずれたものがブリルアン散乱である。これは伝搬光とそれに波長の合った音響波との相互作用で発生するもので、弱い散乱であるが、光ファイバに加わる引っ張りひずみに応じて周波数が変わるので、ひずみ測定に応用される。0.1%のひずみで50 MHz程度の周波数変化が生じる。1℃当たり1 MHzほどの温度感度もある。光パルスのもどり時間から位置を割り出すものがBOTDR(Brillouin OTDR)として装置化されている。ブリルアン散乱スペクトルの幅(約30 MHz)のためにパルス法では空間分解能を上げられないので、光源に周波数変調をかけた連続光を用いる光相関領域反射法(OCDR, Optical Correlation-Domain Reflectometry)や光周波数領域反射法(OFDR, Optical Frequency-Domain Reflectometry)が考案されている。OCDRでは入射光の周波数を正弦波状に変調して、光ファイバ上のある区間の一点だけで定常的な干渉を起こすことを利用して位置を知る方法である。OFDRは入射光の周波数を鋸歯状波変調すると散乱点までの距離に応じて干渉信号の周波数が異なることを利用するもので、レーダーやライダーでも使われている方式である。これら2方式も製品が存在する。
ラマン散乱は光ファイバの構成分子の熱振動によるもので、入射光に対して10数THzずれている。温度によって強度が変化することを利用して、分布型の温度センサとして古くから応用されている。数~10 kmの距離にわたって空間分解能1 mで1℃程度の温度分解能が得られるものが標準的である。
以上は、通常の光ファイバケーブルをそのまま用いるものであるが、光ファイバコアに軸方向に微細な周期構造を作ったファイバグレーティングを用いると多点センサを構成することができる。特に、図4のように、ブラッグ反射を起こす500 nm程度の周期の数100~1000対のわずかな屈折率変調を作ったFBG(Fiber Bragg Grating)を用いたセンサが多数製品化されている。軸方向に延ばすと主にこの周期が変わり、反射波長が変化する。これによってひずみセンサとして応用できる。
通常のシリカガラスファイバに書き込んだFBGでは、100万分の1のひずみに対して1.2 pmの波長変化を生じる。温度に対しても感度を有し、その値は12 pm/℃程度である。図2(2)のように、周期の異なる複数のFBGを1本の光ファイバ中に書き込めば、光波長によってセンサを識別する波長多重方式の多点センサとして用いることができるのが特徴である。利用できる光波長のバンド幅などを考慮して、1本の光ファイバで20~30点の多点測定が可能である。同じ波長のFBGを多数用いてOTDRなどで各FBGの情報を得ることも考案されている。多くの光ファイバセンサについて言えることだが、ひずみ感度と温度感度をいかに分離して利用するかが応用上の要点であり、いくつかの方法が考案されている。

図4 FBG(ファイバブラッググレーティング)

次回に続く-

参考文献

1) 末松安晴, 伊賀健一, 光ファイバ通信入門, オーム社, 1982年.

2) 藍光郎監修, 次世代センサハンドブック, I編, 9章, 2008年

3) 保立和夫,村山英晶監修, 光ファイバセンサ入門,光ファイバセンシング振興協会, 2012年.

4) 光ファイバセンシング振興協会ホームページ:http://www.phosc.jp/index.html



【著者紹介】
中村 健太郎(なかむら けんたろう)
東京工業大学 科学技術創成研究院 教授

■略歴
1992年 東京工業大学大学院総合理工学研究科 博士課程修了 博士(工学)
同年 東京工業大学精密工業研究所 助手
同大学大学院総合理工学研究科・講師、精密工学研究所・助教授を経て2010年1月より同研究所・教授
2016年4月より現職
応用物理学会光波センシング技術研究会委員長 (2014~2016年)、日本音響学会会長(2015~2017年)、光ファイバセンシング振興協会理事長(2015年~)、 日本学術振興会フォトニクス情報システム第179委員会委員長 (2016年~)など

生産性・品質向上、設備保全の革新を実現する分布型光ファイバ温度センシング(1)

横河電機(株)
平井 剛

1. はじめに

分布型光ファイバ温度センシングを用いた温度監視は、敷設した光ファイバケーブル内に光パルスを入射し、ケーブル内に発生した散乱光を利用して温度分布を測定するもので、ケーブルを敷設した箇所の温度を連続的に測定できることから、広範囲な温度監視で火災検知等の防災面への活用だけではなく、新型コロナウィルス感染対策のため広範囲のリモート監視への活用も高まっている。
プラントを含む重要施設などは、設備の老朽化、人員削減、ノウハウの未継承などが運用や操業上のリスクとなっており、防災のため温度監視のニーズは高まっている。
当社は、分布型光ファイバ温度センサとして、2011年には中距離タイプの「DTSX200」、2014年には長距離タイプの「DTSX3000」、2018年には火災検知を主とした「DTSX1」を発売した。同シリーズは、バイオマスペレットや石炭を運搬するベルトコンベアの異常発熱の検知、非在来型の石油・天然ガス井戸内の温度変化の測定、パイプラインやタンクにおける高温・低温の液体・ガスの漏れ検知、化学リアクタの生産性・品質向上、機器故障、設備異常に起因する事故を回避するための設備保全などに活用されている。
近年では防災に加え、DXをキーワードとした生産性・品質向上、設備保全への活用例が増加しているが、防災アプリケーションにはない高度な要求があるため、当社独自技術を用いて対応している。以下、生産性・品質向上、設備保全の最新事例を紹介する。

第1図. 線形熱感知器「DTSX1」

2. リアクタ内部温度状況の監視(生産性,品質向上)

プラントでは様々な要因により、導入時に計画された生産性や品質を維持することが難しいケースが見受けられる。
例えば、リアクタ内部の化学反応で製品を生産する工程があるが、第2図のように一般的なリアクタは数メートルごと、一つの方向のみにポイント型の温度センサが設置されているのみである。

第2図. リアクタに設置された温度センサ

この温度センサだけでは、リアクタ円周方向の特定の一方向のみ、かつ高さ方向では数メートルごとの温度しか確認することができない。
実際のリアクタ内部では、反応状況によりリアクタ円周方向での温度変化に加え、高さ方向での温度変化も生じることもあり、温度分布の不均一が生産性や品質に影響を与えるケースがある。第2図の温度センサ設置では、その不均一を捉えきることはできず、設置された3つの温度センサがたまたま同一温度を示していた場合、リアクタ内部の温度は全て同一と判断されることもあり、生産性や品質に何らかの異常があった場合でも、温度変化による反応状況は異常調査の対象から除外されることにもつながり、真の原因に辿り着くことが難しく、その解決のための期間に発生する生産の損失、費やす工数などの負担は小さくない。

それに対し、分布型光ファイバ温度センシングでは、第3図の通り、光ファイバケーブルをリアクタ表面にらせん状に敷設する。リアクタ表面温度のデジタル化により、リアクタ内部温度の不均一(第4図)を推定することで、生産性・品質に何らかの異常が見られた場合、リアクタ表面と内部の温度相関との因果関係から、原因調査の大きな手掛かりとなる。この温度データを運転指標とすることで、生産性と品質向上に大きく貢献している。

第3図. リアクタに設置された光ファイバケーブル
第4図. 温度不均一がデジタル化されたイメージ
(画像をクリックで拡大)

この場合に取得される温度データであるが、一般的な分布型光ファイバ温度センシングで起こりうる事象として、実際の温度とは違う測定結果が出ることがあり、これにより原因調査を難しくすることがある。これは分布型光ファイバ温度センシングの装置内部回路のリンギング、ひずみ、応答などの要因が挙げられるが、当社のDTSXシリーズは複数の知財化された独自技術の組み合わせなどにより、これらを排除している。
例えば、長きに亘り光・高周波計測で培った技術で光素子、トップアンプの歪み低減により、第5図のような卓越した過渡応答特性を実現している。また、独自の温度校正技術(特許5152540、特許5975064)やキーコンポーネントに付帯するA/Dコンバータの改善技術(特許5467521)により、優れたリニアリティ特性を実現している。

第5図. 過渡応答の例

今回のリアクタの生産性・品質向上は、上記複数の当社独自技術を搭載しているDTSXシリーズのみで実現できた事例である。
今後これらの事例にAIを活用し、現在の生産性・品質向上の運転指標としての活用から、生産性・品質向上を実現するプロセス制御への活用を進めるべく準備を始めている。

次回に続く-

参考文献

1) 足立, ”プラント活用が急速に広まる光ファイバ温度分布センサ”, 計測技術, Vol.42, No.12, 2014, pp.32-36

2) 佐藤, “プラント活用が急速に広まる光ファイバ温度センサとその実績例”, 計装, Vol.57, No.4, 2014, pp.59-64

3) 福澤, “光ファイバ温度分布センサ活用の新提案”,計測技術,Vol. 43,No. 2,2015,p. 43-47

4) 福澤, “高度活用が広がる光ファイバ温度センサDTSXのソリューション”, 横河技報

5) 大矢,福澤, “プラント設備の火災リスク対策に適した線形熱感知器”, 計測技術,

商標:
DTSXは横河電機式会社の登録商標である。
その他、本文中に使われている会社名、製品名は横河電機株式会社、および各会社の登録商標、または商標である。



【著者紹介】
平井 剛(ひらい つよし)
横河電機株式会社
IAプロダクト&サービス事業本部 インフォメーションテクノロジーセンター
ITC営業統括部 マネージャ

■略歴
2000年 横河電機株式会社 入社。主に光半導体事業に従事。
2012年 分布型光ファイバ温度センサ事業に異動、現在に至る。

持続可能な社会インフラを支える分布型光ファイバ歪みセンサ(1)

沖電気工業株式会社
小泉 健吾
(村井 仁、山口 徳郎)

1.はじめに

分布型光ファイバ歪みセンサは、1990年代から研究されてきた技術であるが広く普及はされなかった。その主な理由としては、計測装置が高価格であることと、測定対象構造物への光ファイバ取付が厄介であること、さらには、測定データから構造物の健全度を診断する解析技術が未成熟であったことなどが挙げられる。しかしながら、近年の持続可能な「長く使える社会インフラ」への要求の高まりと、AI技術の急速な進歩により、IoT×光ファイバセンサとしてその価値が再び注目されている。歪みセンサに限らず分布型光ファイバセンサは、敷設した光ファイバの全長に渡って様々なデータを大量に取得できるため、AI技術との親和性も高く、これまでにない高い付加価値を生み出す可能性を秘めている。歪みセンサとして着目すると、その活躍の場は橋梁、トンネルなど大型建造物のヘルスモニタリングであり、従前の定期点検の高度化はもとより、常時監視、故障予兆保全といったより高度な管理体制への展開も期待される。これらの実現に向けては、構造物のその時々の状態を的確に捉えるリアルタイム性も欠かせない技術要素になるであろう。一般に、分布型光ファイバ歪みセンサはその原理上、測定精度とリアルタイム性(測定時間)は二律背反の関係にあり、その両立は難しい。また、一口に光ファイバ歪みセンサといっても、様々な特長を持った方式があり、どの様な物理量を重視して測定するかモニタリングのポリシーによって最適なものを選択することが重要であろう。
本稿では、分布型光ファイバ歪みセンサの概要、種類について解説した後、筆者が取り組んでいるリアルタイム分布型光ファイバセンシング技術について紹介する。

2.分布型光ファイバ歪みセンサとは

光ファイバ中で発生した変化の分布を連続して測定する代表的な方式として、光が光ファイバ中を伝搬する過程で発生する後方散乱光(入力光と逆方向に散乱された光)を使用するものが挙げられる。その模式図を図1に示す。

図1 光ファイバ中で発生する散乱光

光ファイバのある区間で外部から歪み、温度、振動などの物理的な変化が与えられると、後方散乱光の強度、位相、周波数、偏波が反応する。つまり、この光の変化量を上手く検出、解析することにより、光ファイバに加わる物理的な変化を把握することができる。また、後方散乱光にはいくつかの種類があり、計測対象の物理量により、どの散乱光を検出するかが変わってくる。光ファイバ中の主な散乱現象は図2に示すレイリー散乱、ブリルアン散乱、ラマン散乱の3種類に分けられ、各散乱光は光ファイバ中の温度、歪み、圧力などに対する応答の挙動が異なる。そのため、計測目的に合わせて適切な散乱光を測定することで、様々な用途に適用することが可能である。例えば、分布型光ファイバ歪みセンサでは自然ブリルアン後方散乱光(以下,単にブリルアン散乱光と呼ぶ)が利用できる。ブリルアン散乱は、光が伝搬する媒質中に存在する音響波(媒質の密度,屈折率の揺らぎ)との相互作用によって生じる散乱現象である。光ファイバの場合、ブリルアン散乱は、音響フォノンと光の相互作用であり、入力光の搬送波周波数から約11 GHz(音響フォノンのエネルギー相当)離れた周波数を有する散乱光を生成する。光ファイバの歪み、温度変化は,光ファイバの伸び縮みとして捉えることができ、伸び縮みに応じて屈折率が変わると音響波(音響フォノン)の周波数(エネルギー)も変わるので、ブリルアン散乱光に周波数シフトが生じる。一般に、光ファイバの歪み、温度変化に対するブリルアン周波数シフト(BFS: Brillouin Frequency Shift)の応答係数は、それぞれ0.058 MHz/ 、1.18 MHz/℃であることが知られており1,2)、BFSを計測することにより、光ファイバに与えられた歪みや温度変化を知ることができる。

図2 散乱光の種類

さて、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry)は、分布測定の中で最も代表的な方式である。光ファイバに光パルスを入射し、その入射時間と後方散乱光が受光器で検出されるまでの遅延時間から光ファイバの位置を算出する。一般にOTDR装置と言えば、レイリー散乱光の強度分布を測定するものであり、インサービスでの損失測定や破断検知手段として光ファイバ通信網の保守に広く利用されている。
一方、ブリルアン散乱光を利用した分布測定は、OTDR方式を利用して1993年に日本から初めて発表された3)。ブリルアン散乱光とOTDRを組み合わせた方式はBOTDR (Brillouin OTDR)と呼ばれ、ブリルアン散乱光の利得スペクトル(BGS: Brillouin Gain Spectrum)を解析してBFSを算出する。BOTDRの基本構成を図3(a)に示す。BOTDRは送信部、光ファイバ計測部、受光部で構成される。送信部は連続(CW: Continuous Wave)光を出力する半導体レーザ(LD: Laser Diode)と、LN強度変調(IM: Intensity Modulator)などで構成し、光パルスを生成する。光ファイバ計測部ではサーキュレータを介して光パルスを被測定光ファイバ(FUT: Fiber Under Test)へ入射し、ブリルアン散乱光成分を取得する。ブリルアン散乱光自身の周波数は約194.4 THzであるので、LDから分岐されたLO (Local Oscillator)光とヘテロダイン検波することにより、電気信号で観測可能な約11 GHzの中間周波数に変換する。電気信号に変換されたブリルアン散乱光は電気スペクトルアナライザ(ESA: Electrical Spectrum Analyzer)を使用してBGSが測定される。ここで、受信時間が光ファイバ中の距離に対応するため、およそ数 ns毎に連続したBGSを取得することになる。図3(b)にBOTDRで測定されるBGSの取得データのイメージを示す。光ファイバ中に歪み、または温度変化が与えられた場合、その位置に対応する時間のBGSはシフトして観測されるため、BGSのピーク周波数をトレースすることにより、BFSを求めることができる。

図3 BOTDRの基本構成と測定イメージ

3.分布型光ファイバセンサの種類について

前節では代表的な分布型光ファイバ歪みセンサとしてBOTDRを紹介したが、当然それ以外にも様々な測定方式が提案されている。分布型光ファイバ歪みセンサの測定方式の分類を表1に示す。測定方式には、時間領域(Time Domain)の他にも周波数領域(Frequency Domain)、相関領域(Correlation Domain)があり、また、光を片端から入射する方法(Reflectometry)と両端から入射する方法(Analysis)の2種類があり、測定方式と入射方法を組み合わせて合計6種類に分類される。これらの技術は、測定レンジ、測定精度、空間分解能、測定速度の各性能指標に対してそれぞれ一長一短があるため、測定対象に合わせて適切な方式を選択する必要がある。
例えば、BOTDR(A)は数十kmと長い距離を測定可能であるに対して、空間分解能は1m程度である。一方、BOFDR(A)、BOCDR(A)はBOTDR(A)と比較して測定レンジは短くなるが、数mmの空間分解能で測定が可能である。

表1 分布型光ファイバ歪みセンサの測定方式の分類
T: time F: frequency C: correlation
R: reflectometry BOTDR BOFDR BOCDR
A: analysis BOTDA BOFDA BOCDA

次回に続く-

参考文献

1) T. Horiguchi et al., “Tensile strain dependence of Brillouin frequency shift in optical silica fibers,” IEEE Photon. Technol. Lett., Vol. 1, no. 5, p. 107 (1989).

2) T. Kurashima et al., “Thermal effects on the Brillouin frequency shift in jacketed optical silica fibers,” Appl. Opt., Vol. 29, no. 15, p. 2219 (1990).

3) T. Kurashima et al., “Brillouin optical-fiber time domain reflectometry,” IEICE Trans. Commun., vol. E76-B, no. 4, pp. 382-390 (1993).



【著者紹介】
小泉 健吾(こいずみ けんご)
沖電気工業株式会社 イノベーション推進センター センシング技術研究開発部

■略歴
2013年 東北大学大学院工学研究通信工学専攻 博士課程修了
2014年 沖電気工業㈱ 入社

その他、様々な光ファイバセンサ(1)

(株)レーザック
町島 祐一

これまで紹介されてきた分布型温度センサや分布型歪みセンサは光ファイバセンサの代表格であるが、他にも様々な光ファイバセンサがある。FBG(Fiber Bragg Grating)センサは光ファイバに特殊な加工を施すことで歪みセンサまたは温度センサとして作用する。また、光学的な干渉法を用いることで高感度な振動センサが実現できる。さらに最新の動向として分布型の振動センサ(1本の光ファイバにおいて連続的に振動センサ部を設けることができる)も開発されている。また、光ファイバが石英ガラス製である場合(アクリル製のプラスチック光ファイバと区別して)、数百℃までの「耐熱性」を付与できたり、細径ゆえに「材料への埋め込み」が可能である。
本稿では、その他様々な光ファイバセンサと題して、当社が取り組んでいる4つの光ファイバセンサ技術を紹介する。

1.  多点・分布型センシング…飛行中の航空機翼の応力モニタリング

輸送機の中でもとりわけ高い安全性が求められる航空機では、機体ヘルスマネジメント技術として運用中の荷重応力全般、すなわち飛行中の作用歪みと着陸後の残留歪みを追跡することが重要と言われている。ここでは、実航空機の試験飛行における、光ファイバ歪みセンサによる応力モニタリングを事例紹介する。
光ファイバによる連続分布型の測定原理には、ブリルアン散乱を用いたもの、レイリー散乱を用いたもの、FBG(ファイバーブラッググレーティング1))を用いたもの等がある。また、検波の手法もパルス光を用いた時間領域法や干渉を用いた周波数領域法等がある。
光ファイバ歪み分布センサを航空機翼の下面に施工し、離陸中の歪みを計測した様子が図1である2)。この場合、約8メートルの区間で約1mm毎に約8000点の歪み値を取得しており、機体に近い部分に大きく荷重歪みが作用し、その値は金属製の翼で1000με以下の弾性領域であることが見て取れる。この場合は健全性が維持されていると解釈され、こうした分布歪み計測は風力発電機のブレードやタワー、また車体・船体等の変形モニタリングにも応用が可能である。

図1 離陸時の航空機の翼変形(縦軸が歪み:με、横軸が位置:メートル)

【計測原理】
本計測で使用した歪み分布計測の原理を概説する。1本の光ファイバ上に多数設けられたセンサの位置を、何らかの手法で識別しなければならないが、FBGの場合、反射波長の違いで認識する波長多重、反射時間の違いで認識する時間多重、ここで紹介する光の干渉周波数で認識する光周波数多重(OFDR計測法)がある。光周波数多重の最大の特徴は1mm以下の空間分解能を達成できる点である。
OFDR計測法(正式名称は、光周波数領域反射計測法、Optical Frequency Domain Reflectometry)に用いられる光学系のシステム例は図2の通りである。光学系は、波長可変光源(Tunable Laser)、受光器(Detector)、全反射終端(R)、FBGセンサ(FBG)から構成される。全反射終端とFBGセンサは干渉系を構成している。波長可変光源の波長を連続的に変化させ、各波長における反射光強度を受光器で計測する。

図2 OFDR計測法

FBG上の微小区間からの反射光は、ある波長の光のみを強く反射するため、波長可変光源の光波数kとその反射光強度の関係は、図2下段右のような形となる。また、ピークを示す光波数kは,FBG部でのひずみの大きさに依存して変化する。ここで、光波数kと波長λは以下の関係を有する。

一方、FBG微小区間からの反射光と、全反射終端Rからの反射光は光路差2nLiを有する。ここで、nは光ファイバの屈折率を表す。これら2つの反射光は干渉を起こし、この干渉光強度の直流成分を除いた変動成分は、光波数kに依存して、以下のように表される。

前述した二つの作用により、受光器で検出される光強度は、図2下段左に示すように、光波数kに対してある周期とピークを持った形で変化する。つまり、次式のような形で表される。

ここで、RFBG(k)はFBG内微小区間の反射特性を表す光波数(波長)の関数である。この受光器で検出される信号の周期から光路差Li、つまりFBG内微小区間の位置を、またピークを示す光波数kからひずみの値を計測することが可能となる。FBG全体としては、光路差Liつまり周期が異なる波形の和として光強度が観測されることとなる。この方式を用いることで、1mm以下の間隔で連続的に歪みを検出したり、数百点の歪みを1ラインで計測することが可能となる(図3)。

図3 OFDR法の特徴

2.  耐電磁ノイズ性・耐雷性…AE(Acoustic Emission)法による亀裂モニタリング

人間の耳にも聞こえない超音波帯域で発生するマイクロクラック(微小亀裂)を捉えることは材料劣化の予兆検知として意義がある。特に、高い電磁ノイズ環境であったり、可燃性ガスに満ちている箇所(防爆環境)では従来の電気式AEセンサは使用が難しいため、このような場合に光ファイバによるAEモニタリングは有効な手段である。
本事例ではガラス繊維強化プラスチック(GFRP)の一軸引張破壊試験において光ファイバAE法で取得したデータを紹介する。脆性材料では一般に、最終破断に向かってAEの発生頻度は急激に増え(図4)、また微小亀裂の連結によってその周波数は徐々に低下する(図5)。AE法はこうした脆性材料の亀裂進展監視の他にも、活性腐食の検知や回転機の軸受の摩耗検知、また変電所における漏電検知等にも用いられている。

図4 AE発生数
図5 AE周波数

【計測原理】
本計測で使用した光ファイバによるAE計測の原理を概説する。従来のセラミック素子を利用した圧電型のセンサと同等の性能を持っている。
測定に際しては、下図に示すように光ファイバ線の一部を被計測物に固着する。この固着部がセンサ部になり、被計測物が振動するとセンサ部もその振動(面内歪み)に併せて伸縮する。そして、固着部の一端から周波数fの光波を入力している場合、入力端から出力端までの経路内に存在するある瞬間のレーザ光の波数は一定であることから、経路長が伸縮すれば波長が伸縮する、すなわち、伝播速度は一定であるから周波数がfだけ変化する。これをレーザードップラ効果と呼び、他端から出力される光波の周波数はf-fとなる。この周波数変調量fは光ファイバの伸縮、すなわち被計測物の変位量の変位(歪み)速度に比例する。したがって、この周波数変調量を検知することができれば、速度計として被計測物の振動を捉えることができる。

図6 光ファイバドップラセンサ

光ファイバが伸縮する際に、ファイバ内のドップラ効果により生じる周波数変調は下式で示される。fはセンサ部で生じる周波数変調、λは光波の波長、dL/dtは光ファイバの変位速度である。

上式に示すように、周波数変調fと変位速度dL/dtは比例関係となる。ここで負の符号は、変位速度の増大により光の周波数が低下することを意味している。この周波数変調fは光ヘテロダイン方式を用いて検出され、周波数/電圧変換器(FV変換器)によって電圧V に変換される。
周波数変調fdを検知するためのレーザードップラ振動計システムを図7に示す。光源(Light source)から入射された周波数fのレーザ光は、センサ回路と計測回路に分波される。センサ回路では、計測対象物の振動によってファイバ部が微小伸縮すると、それに伴いファイバの光路長が時間的に変動する。その結果、レーザ光には光路長の時間的変化であるdL/dtに比例した周波数変調fが生じ、センサから出力されるレーザ光はf-fとなる。一方、計測回路ではAOM(周波数変調器)により周波数fM (80MHz)の基準光を加えf+fMに変調される。そして、センサ回路からのレーザ光と計測回路からのレーザ光の周波数の差fM+fが導かれ、検知器(Detector)でfが検出され、周波数/電圧変換器(FV)で電圧値に変換される。

図7 光ファイバドップラセンサ検波回路

次回に続く-

参考文献

1) http://www.lazoc.jp/technical/principle/000219.html

2) Daichi Wada, Hirotaka Igawa et al., Flight demonstration of aircraft wing monitoring using optical fiber distributed sensing system, Smart Materials and Structures, 2018 (accepted)



【著者紹介】
町島 祐一(まちじま ゆういち)
株式会社レーザック 代表取締役社長

■略歴
2002年 株式会社レーザック創立 以来、光ファイバセンシングの研究開発、現場実装に携わる
光ファイバセンシング振興協会理事



株式会社レーザック
〒124-0002 東京都葛飾区西亀有1-5-3
http://www.lazoc.jp

2024年の産業用センサ(環境センシング関連)世界市場規模を1兆4,540億円と予測

(株)矢野経済研究所は、産業用センサ(環境センシング関連)世界市場を調査し、種類別や参入企業各社の動向、将来展望などを明らかにした。

1.市場概況
近年、環境問題への取り組み活発化やIoT技術の進展、産業機器の高性能化などの流れの中で、環境センシングに対する注目度は高まり、産業用センサの需要が拡大しつつある。本調査は主に各種環境を計測する産業用センサの中から6種類のセンサを対象とした。2020年の産業用センサ(環境センシング関連)世界市場規模を、メーカー出荷金額ベースで前年比92.3%の1兆1,360億円と予測する。
6種類の構成比をみると、ガスセンサが最も大きく、出荷金額(2020年)全体の約35%を占めている。次いで磁気センサは約20%、以下UVセンサ、環境光・調光センサ、微粒子計測・PMセンサ、湿度センサの順となっている。

2.注目トピック 車載用磁気センサの動向
近年、車載用センサの搭載数が増加しており、リードスイッチを含めると2019年には大衆車クラスでも1台当たりの搭載数が平均75個前後(ブラシレスDCモーター用ホール式センサは除外)に達したものと推計する。そのうち、50%以上が磁気センサとみなされるが、これにブラシレスDCモーター用の磁気センサを含めると、1台当たりの磁気センサの搭載数は60個以上に達する。
車載用磁気センサのタイプ別内訳はホール式センサの比率が高く、金額ベースでも全体の59.2%(約610億円)を占めている。以下、MR式センサが同26.2%(約270億円)、リードスイッチが同10.7%(約110億円)、フラックスゲート式センサが同3.9%(約40億円)となっている。

3.将来展望
今後、環境意識が高まる中で環境センシングへの需要は拡大すること、IoT関連技術に加え、車載用や産業用機器の高性能化が実現することなどから、2024年の産業用センサ(環境センシング関連)世界市場規模を、メーカー出荷金額ベースで1兆4,540億円に達すると予測する。すでに1兆円を越える大きな市場であるが、2019年から2024年までのCAGR(年平均成長率)は3.4%になる見通しである。

種類別にみると、成長率が一番高い磁気センサの2019年から2024年までの年平均成長率は5.6%に達する見通しである。ガスセンサ市場は、車載用や産業機械用の高精度化要請に対応して、さまざまな新型製品が登場する見込みで、2023年頃から新たなステージに移行すると思われる。
一方で、2019年から2024年までの年平均成長率が最も低いのはガスセンサで、2.0%である。ただ、ガスセンサは市場規模としては6市場中一番大きく、4,000億円を超えている。また、「2030年までに地球温暖化ガスを1990年比で40%削減する」目標を掲げた2016年のパリ協定の影響により、製造業全般でCO2監視ニーズが高まり、既にCO2センサの需要は世界的に増大している。また、車載用センサの分野でも排ガス規制が一段と強化される中で、環境汚染ガスの代表例とされる窒素酸化物(Nox)の排出量を低減する排ガス用酸素センサやNoxセンサの需要が増大して、大きな市場を形成するようになっている。

○調査要綱
1.調査期間: 2020年5月~11月
2.調査対象: 産業用センサ(環境センシング関連)の生産・販売・取扱企業や技術研究機関
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、ならびに文献調査を併用

<産業用センサ(環境センシング関連)市場とは>
本調査における産業用センサ(環境センシング関連)市場とは、主に各種環境を計測する産業用センサの中から、湿度センサ、ガスセンサ、微粒子計測・PMセンサ、環境光・調光センサ、UVセンサ、磁気センサの6種類を対象とし、メーカー出荷金額ベースで算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>
1.湿度センサ:組込用製品(湿度/温湿度センサ素子、湿度/温湿度センサモジュール)、設置用・外付用・携帯用製品(湿度/温湿度計、湿度/温湿度変換機)、露点計(静電容量式、鏡面冷却式、塩化リチウム式、光学式)2.ガスセンサ:一般ガスセンサ(電気化学方式、半導体方式、NDIR方式、接触燃焼方式他)、車載用走行系ガスセンサ(ジルコニウム式酸素センサ、同Noxセンサ)3.微粒子計測・PMセンサ:パーティクルカウンター、PMセンサ(組込用)・粉塵計 ・ダストモニター、粒度分布測定装置(レーザー回析・散乱方式、画像解析方式、動的光散乱方式他)4.環境光・調光センサ:LCD制御用センサ、照明制御(調光)センサ、車載用環境光・調光センサ 5.UVセンサ(組込ユニット+筐体入検出器・測定器):ガラス管系素子、半導体系素子 6.磁気センサ(センサ素子、センサIC、センサモジュールレベル):ホール式センサ、MR式センサ、その他(リードスイッチ、MI式とフラックスゲート式)

プレスリリースサイト(矢野経済研究所):https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2613

宇宙開発のインフラを構築するJAXA認定ベンチャー「SEESE(株)」設立

持続可能な宇宙経済の実現とその成長に向けて、宇宙開発をよりシンプルにすることをミッションに官公庁・民間企業・大学機関等への各種サービス提供を目的とする「SEESE(株)」(シーズ)が、2020年12月に設立された。


【設立背景と思想】
SEESEは、内閣府主催の宇宙ビジネスアイデアコンテスト「S-Booster 2019」にて最終選抜・JAXA賞受賞を受け、そのアイデアの具現化を第一歩とした上で、我が国の宇宙開発・産業振興を加速度的に支えていくために設立された。加えて2020年11月にはJAXAベンチャー(※)に正式認定され、各官公庁・関連民間企業からの更なる注目も集めている。
近年、全世界にて衛星コンステレーションの構築に向けて小型衛星の製造・打ち上げ機数が急増しており、我が国もその世界的な動きの一翼を担っている。一方で、打ち上げられた小型衛星たちのうち約50%がそのミッションを達成できずに、打ち上げ前もしくは打ち上げ後の異常発生、分損ないしは全損によりその命を落としている。
また、ここ数年で宇宙・衛星関連産業に多額のリスクマネーが流入しており、同領域への取り組みにアクセルを踏み込む大企業や、複数の関連ベンチャーが出現している。各企業がかける製造原価に留まらない多額の投資に対するリターンを確実なものにさせるためにも、環境試験標準から衛星開発〜打ち上げ環境を改めて整備することが要請されていると考える。
通信・観測衛星の開発あるいはその取得データの活用等、アプリケーション側にばかり目が向けられている現況において、同社は輸送や環境試験、人材・部品・資金調達等のインフラストラクチャー側の構築を行うことで、持続可能な宇宙経済の土壌を形成していくという。

【サービス概要】
これまで複雑な上に分離していた環境試験プロセスを1つにつなげるために、6 in 1の環境試験ワンストップサービスをWeb上にて段階的にユーザへ提供していくとしている。(画像)

なお、本サービスは茨城県、関連省庁からの支援・協力を受け、その開発・全国浸透・デファクト化を推進していく予定となっているとのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000071841.html

法人向け安全運転支援クラウドサービス「Drive Cloud+」を提供開始

セイコーソリューションズ(株)は、、法人向け安全運転支援クラウドサービス「Drive Cloud+(ドライブクラウドプラス)」を新たに開発し、2020年12月25日より提供を開始する。本サービスは、三菱オートリース株式会社にて採用され、同日より運用が開始される。
今後、リース会社やレンタカー会社、そのほか多くの車両を管理している企業などに向け、サービスを展開していくという。

「Drive Cloud+」は、セイコーソリューションズがテレマティクス分野で長年培った自動車メーカー向け車載端末をはじめとするM2M機器の開発・製造や、IoTデバイスからクラウド基盤、アプリケーションの豊富な開発実績を基に設計・開発したサービス。

本サービスは、さまざまなセンサが搭載されたドライブレコーダーからLTE回線でクラウド上にデータを自動収集し、運転状況を詳細に見える化することにより安全で効率的な運転管理を支援する。
車に設置されたドライブレコーダーが急な速度変化や急ハンドルなどの危険運転を感知すると、記録された動画と紐づけてクラウドサーバーに自動で検知内容を送信する。管理者は、Webブラウザー上のダッシュボードから状況を確認・把握できるため、運転手ごとに正確で公平な安全運転指導が可能。
また、最新の技術であるADAS(Advanced driver-assistance systems)に対応し、危険な車間距離を計測し警告するほか、設定条件以上の車線変更をヒヤリハット相当の運転とみなし、運転日報にて管理者へ報告。さらに、現在位置・移動履歴管理機能や車両予約機能、エコドライブ機能などを活用し、業務の効率化や車両の有効活用、省エネをはかることも可能。運転者の判別は、車両予約、ICカード以外にも、スマートフォンアプリ認証や運転者顔認証など、多彩な認証機能が利用できるとのこと。

なお、「Drive Cloud+」は、購入とレンタルが選べる料金プランを設定し、さまざまな企業での導入/継続利用を促進する。

同社は、「Drive Cloud+」でMaaS市場のさまざまなニーズに対応し、より安全で効率的な運転管理が実現できるサービスを提供するとともに、これからも安心・安全なクルマ社会作りに貢献していくとしている。

<法人向け安全運転支援クラウドサービス「Drive Cloud+」概要>
【提供開始日】
2020年12月25日
【販売価格】
お問合せのこと。
【対象】
リース会社、レンタカー会社、多くの車両を管理している企業など
【主な特長】
・運転データの自動収集機能
・高機能なダッシュボード
・多彩な運転者認証機能
・Full HDの高精細な動画データ
【主な仕様】
ドライブレコーダーが取得する運行データ
・ヒヤリハット動画
・常時録画映像
・加速度(Gセンサ)データ
・位置情報(GPS)
・車速情報(GPS)
・車間距離情報(ADAS)
・車線変更情報(ADAS)

システム動作環境
・対応OS:Windows 10
・対応ブラウザ:Microsoft Edge,Google chrome,Firefox(2001年度対応予定)

※告知なく仕様が変更になる場合あり。
※本文中に記載されている製品名などは各社の商標または登録商標。

ニュースリリースサイト:https://www.dreamnews.jp/press/0000228646/

光源の有無に左右されず夜間遠方撮影や画像認識が可能な車載用FIRカメラシステム

(株)JVCケンウッドは、これまで培ってきた映像技術を生かして、光源の有無に左右されることなく夜間の遠方撮影や画像認識が可能となる車載用FIR(遠赤外線)カメラシステムを新たに開発した。

<車載用FIRカメラシステムの概要>
JVCケンウッドは、ビデオカメラやドライブレコーダーなどで市場から高い評価を得ている映像技術を生かし、太陽光や街灯などの光源の有無に左右されることなく、夜間の撮影や画像認識が可能となる車載用FIRカメラシステムを新たに開発した。これにより、夜間など人の目には見えづらいシーンにおいても、視認性が高い映像の記録を実現するだけでなく、人物や物体などを検出して警告することができるため、ドライバーへのより一層の安全・安心の提供が可能となるとのこと。

このたび開発した車載向けFIRカメラシステムは、夜間運転時の警告システムとしての活用や自動運転時の車載用カメラとしての展開を目指す。また、建設現場や工事現場などで使用される業務用車両への搭載や、車載用途に限らず夜間の視認性向上技術の需要が高い監視カメラなど、あらゆる分野に対して提案していく。そのため、それぞれの分野の市場特性に応じたシステムラインアップの拡充や、他のセンシングデバイスと組み合わせたシステムの構築など、新たなカメラソリューションとして今後も開発を進めるという。

<主な特長>
1.独自の画像補正技術により遠赤外線画像の高画質化を実現
 遠赤外線センサメーカー大手であるLynred社のマイクロボロメーターセンサ(QVGA 320×240 12μm)を用い、同社協力のもと開発した独自アルゴリズムの画像補正技術を搭載することで、遠赤外線画像の高画質化を実現。カメラ部は、住友電気工業(株)と共同開発した車載用小型レンズユニットの搭載により、レンズ保護窓レスを可能とし、小型化を実現しながらも耐衝撃性や耐候性を確保した。
また、カメラユニットを小型化(37×37×39mm)することで、全面投影面積が少なくスペースの限られた車両前面にも搭載が容易となった。信頼性においても、10万kmを超える走行試験を実施し、降雪地や寒冷地などでの信頼性も確保した。

2.独自開発の認識システムにより遠方の人物認識が高精度で可能
 車載用FIRカメラシステムとして最も有効な機能である、夜間の人物を認識し警告を行うシステムを搭載した。認識エンジンには独自技術を用いて開発した軽量アルゴリズムを搭載。高価な画像認識専用CPUを使うことなく、汎用CPUに認識システムとカメラシステムを同時に実装することが可能となり、ECU※システムの簡略化と低コストを実現した。また、認識システムとカメラユニットの開発を並行して行うことで相互に成果を上げ、個々の開発レベルを高めることで、100mを超える遠方人物認識が可能となった。
※:Electronic Control Unitの略

3.人物だけでなく動物の検出にも対応
 このたび搭載した認識アルゴリズムは、検出用の辞書を切り替えることで動物認識にも対応でき、人物と動物という異なる対象物を一つのアルゴリズムで検出することを実現。この認識システムは、車載分野だけでなくセキュリティ関連やヘルスケア用途などさまざまな分野への転用が可能という。

ニュースリリースサイト(jvckenwood):
https://www.jvckenwood.com/jp/press/2020/12/press_201223_1.html