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ST、大規模なIoT機器管理を進化させる新規格に対応した組込みSIM

STマイクロエレクトロニクスは、eSIM(組込みSIM) IoT導入向けの新しいGSMA規格に適合したeSIM「ST4SIM-300」を発表した。SGP.32として知られるこの新規格は、セルラー・ネットワークに接続されるIoT機器の管理を簡略化する特別な機能を取り入れている。

 eSIM for IoT(SGP.32)は、既存のeSIM M2MやeSIM Consumer規格とは異なり、現在のIoT導入ニーズに合わせて策定されている。STのST4SIM-300は、リモートSIMプロビジョニング(RSP)の自動化の強化、多数のIoT機器のSIMプロファイルの簡単な管理、物理的なSIMカード交換を不要にするネットワーク・プロバイダのリモート切り替えといった機能をサポートしている。また、最新の5G規格に準拠しており、ユーザ・インタフェースが限られた機器の導入や、低消費電力広域ネットワーク(LPWAN)対応機器の導入を簡略化する。

ST4SIM-300 eSIMは、現在サンプル提供中で、スマート・メータやGPSトラッカ、アセット・モニタ、リモート・センサ、ウェアラブル医療機器など、幅広いIoT機器に最適なWLCSPパッケージをはじめとする各種フォーム・ファクタが用意されている。

ST4SIM-300には、STのEAL6+認証済みセキュア・マイクロコントローラが搭載されており、セキュリティを考慮して設計されている。GSMA IoT SAFEアプレットに対応しているため、エンド・ツー・エンド通信にセキュア・エレメント機能を簡単に追加できる。また、IoT機器開発者向けに、拡張性に優れたセキュリティを設計でサポートしている。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001395.000001337.html

関西大学、福井大学、名城大学、アークエッジ・スペース、超小型人工衛星「DENDEN-01」を共同開発

 関西大学化学生命工学部の山縣雅紀 准教授、福井大学産学官連携本部の青柳賢英 特命准教授、名城大学理工学部の宮田喜久子 准教授(株)アークエッジ・スペースらの共同研究グループで開発する10cm×10cm×10cm(1Uサイズ)の超小型人工衛星「DENDEN-01」が完成し、2024年6月4日に国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構筑波宇宙センター(JAXA)への引き渡しが完了した。


■要旨
・関西大学、福井大学、名城大学、アークエッジ・スペースが共同で開発した革新的エネルギー技術実証衛星「DENDEN-01」が完成し、JAXAへの引き渡しが完了
・固-固相転移型潜熱蓄熱材を活用した超小型人工衛星の電源温度管理手法など今後の超小型衛星の高性能化に貢献するさまざまなエネルギー技術の軌道上実証を行う
・今秋にアメリカより国際宇宙ステーションに向けて打ち上げ、その後宇宙空間へ放出

 超小型人工衛星は電力や質量、サイズの制限がありまた熱容量も小さいため、宇宙空間の急激な温度変化の影響を受けやすく、安定した電力供給に課題があった。本衛星では、温度が変化すると物質の結晶状態が変化し、この過程で熱を吸収または放出することができる「固-固相転移型潜熱蓄熱材(SSPCM)」を活用した電源温度安定化装置はじめ、今後の超小型衛星開発に貢献する複数のエネルギー技術および高負荷ミッションの軌道上実証を行う。

■DENDEN-01の機能および軌道上試験内容
 DENDEN-01では次に挙げる電源システムに関わる複数のエネルギー技術実証と、高品質で安定な電力を活かした高負荷ミッションに挑戦する。
① 固-固相転移型潜熱蓄熱材(SSPCM)を活用した電源温度安定化デバイスの軌道上実証
② 超小型衛星に適した民生リチウムイオン電池の採用と軌道上特性評価
③ 高精度電力状態推定方針及び推定則の実証/電力状態推定値を基準としたシステムシミュレータを用いた運用計画系の実証
④ キューブサットに最適化した宇宙用IMM3J太陽電池ガラスアレイシートの動作検証
⑤ 宇宙用ペロブスカイト太陽電池モジュールの軌道上デモンストレーション
⑥ 超小型S帯通信機の実証および送受信
⑦ 920MHz特定省電力送受信機※8を利用したよるストアー・アンド・フォワード(S&F)※9通信技術の実証
⑧ 超小型ハイパースペクトルカメラ※10による撮影およびオンボードでのデータ解析処理

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000073065.html

「タニタ暑さ指数管理サービス」を7月10日から提供

 (株)タニタは、「タニタ暑さ指数管理サービス」の提供を7月10日に開始する。本サービスは、任意の地点に設置した黒球式暑さ指数センサで計測したデータを専用サーバーに自動送信し、パソコンやスマートフォンのブラウザー上でいつでもどこからでも確認できるのが特徴。離れたところにいる管理者が広域にわたる複数地点の暑さ指数を一括で把握することで、包括的な暑熱対策を実践することができる。計測したデータは暑さ指数センサに内蔵したモバイルデータ通信機能で送信するため、暑さ指数センサを設置するだけでサービスを利用でき、無線ネットワーク等の構築は不要である。学校や保育所、建設や製造、運送の作業現場、スポーツ施設や公園など大人数が利用する複数地点の熱中症リスクを管理することが必要な法人に向けてサービスを提供するとのこと。

 昨年の世界の平均気温は観測史上最も高くなり、「地球沸騰時代」という表現で警告されるほど夏の暑さは厳しくなっている。昨年の日本国内の熱中症による救急搬送人員数は9万1467人で調査開始以来2番目に多くなった。※1こうした熱中症リスクの上昇に備え、環境省と気象庁は従来の「熱中症警戒アラート」より一段高い危険度を示す「熱中症特別警戒アラート」を新設し、本年度から運用を開始している。

 本サービスは、各地点に暑さ指数センサを設置し、計測したデータをパソコンやスマートフォンのブラウザー上で一括表示する。※2計測・表示する項目は「暑さ指数」「気温」「湿度」「黒球温度※3」で、計測した暑さ指数から「日常生活における熱中症予防指針」や「運動に関する指針」に基づく6段階の注意レベルを色やアイコンで知らせる。計測データを一覧で確認できるページの他に、地図画面では注意レベルを示すアイコンをマッピングし、各地点の暑さ指数を直感的に把握できるようにした。また、本サービスはアラートメール機能も備えている。暑さ指数28℃以上、31℃以上、33℃以上の3つの注意レベルから選択して設定すると、その値に達した際に自動的に知らせる。これにより、管理サイトを確認することなく暑さによる健康への危険が高まっていることに気づけ、対策を取ることができる。この他、管理サイトでは、地点ごとの計測結果の推移をグラフで表示。蓄積したデータを基に今後の暑熱対策の検討や計画策定に利用できる他、対策効果の確認にも活用できる。

 本サービスで使用するのは、モバイルデータ通信機能を備えた全天候型の黒球式暑さ指数センサ「TC-350」。日本産業規格で定められる電子式湿球黒球温度(WBGT)指数計JIS B 7922:2023クラス2に準拠した暑さ指数センサで、日射や地面からの照り返しによる輻射熱を計測し、屋内外問わず、炎天下でも正確な暑さ指数を計測する。また、悪天の屋外で使用することから、IP66※4の防水防じん性能を備えた。通信方式はSIMカードによるモバイルデータ通信で、Wi-Fiなどによる無線インターネット通信環境がない屋外や複数施設にまたがる広域での暑さ指数の管理に活用できる。給電には専用の組電池を用いるため、屋外でコンセントがない場所でも使用できるとのこと。

※1消防庁による令和5年5月から9月の全国における熱中症による救急搬送人員の累計。
※2一括表示するのは契約法人が設置した暑さ指数センサのデータのみ。
※3黒色の球の中心温度で、日射や地面からの照り返しによる熱を計測している。
※4JIS(日本産業規格)で定められた電気機器内への異物の侵入に対する保護等級の一つで、IP66は強風による粉じんが内部に入らず、豪雨でも浸水の恐れがない防じん防水性能等級である。

プレスリリースサイト:https://www.tanita.co.jp/news/2024/0624/19216/

アスザックと長野農試場の「クロップナビ」コムギ赤かび病の発生予察に貢献

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 アスザック(株)P&D事業部と長野県農業試験場が共同開発した「クロップナビ」が、長野県内のコムギ赤かび病の発生予察に貢献していることについての記事を2024年6月24日に同社ホームページで紹介した。

■コムギ赤かび病とは
 赤かび病は糸状菌(かび)の一種に起因する麦類の重要病害で、主にコムギやオオムギ等の穂に感染する。本病は、麦の出穂期から開花最盛期(大麦は穂揃期)に雨が多く、気温が高く経過すると発生しやすくなる。長野県北信地域の一部の栽培圃場では、すでに初期病斑が確認されている。また、赤かび病菌はかび毒であるデオキシニバレノール(DON)を産生することから、適切な防除対策が必要である。デオキシニバレノール(DON)とは、人畜に対して有害な毒素を発生するかび毒で、摂取すると悪心、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、めまい及び発熱といった急性症状を引き起こすことがある。

~背景~
 令和5年12月に、岩手県産ナンブコムギから基準値を超える「かび毒」が検出された。この小麦は県内外の給食やふるさと納税の返礼品にも使われており、因果関係は不明だが、給食を食べた児童や生徒が体調不良を訴えて病院を受診するなど大きな問題になった。その後、令和6年4月に滋賀県でも「麦類赤かび病多発のおそれ」として病害虫発生予察注意報が出され、長野県も令和6年6月3日に長野県農政部と長野県病害虫防除所から「病害虫発生予察注意報」が発令されている。

■クロップナビとは
 アスザック(株)と長野県農業試験場が2007年にイネの「いもち病」の発生予察として共同開発した機器。測定したい農地に直接置いて、気温・降水量などの気象データや土壌成分値などの土壌データを収集し、作物の生育やいもち病などの予防に活用されている。また、通信機能をつけることで測定したデータをWEB上で確認出来るので、わざわざ現地に向かわなくても農地の管理が出来る。

 コムギ赤かび病の感染予測については、約9年前に長野県農業試験場で発生予測の理論式が考案され、そのプログラムがクロップナビに搭載された。現在はコムギ赤かび病の発生予測のために県内5地点にクロップナビが設置されて観測をしている。今回の長野県農政部・病害虫防除所からの注意報も、クロップナビで観測したデータを基に発令されている。
 また、クロップナビがコムギ赤かび病の発生しやすい好適条件日を観測し知らせることで、農家の皆さんは適正なタイミングで農薬散布し防除対策をとることができるという。

プレスリリースサイト:https://www.atpress.ne.jp/news/399174

フリアー、交通データを統合し、効率的な管理と意思決定を実現するCascadeソフトウェア

 フリアーシステムズ(株)は、最大300台のFLIRトラフィック検知器から得られる未加工の交通データ、事故記録、道路アラートを実用的なインサイト(洞察)に変換するソフトウェア「FLIR Cascade」を発表した。フリアーシステムズの統一されたアプローチにより、交通管理者は、歩行者、自転車利用者、ドライバーの安全性を向上させつつ車両を走行させるために、より迅速で、より多くの情報に基づいた意思決定を行うことができるという。

 現在設置されている主要なトラフィック管理プラットフォームと相互運用できるように設計されたCascadeのオープン・インフラストラクチャー・アプローチは、監視制御およびデータ取得(SCADA)システム、ビデオ管理システム(VMS)、その他の交通管理ソフトウェアなどの必要不可欠なプラグインを活用する。Cascadeでは、交通管理者や救急隊員が素早く確認できるように、インシデントの高解像度ビデオクリップを簡単に表示できる。また担当者は、Cascade内でカスタムフィルターやカスタムアラートを生成することが可能で、交通状況の管理や道路緊急事態への対応を効率化し、意思決定サポートを強化する。

 FLIR Cascadeは、オンプレミスのソリューションとしても、PCやウェブブラウザからネットワーク接続経由でアクセスできるクラウドソリューションとしてもライセンスが提供され、交通管理者のニーズやあらゆる規模の既存のシステムインフラに適合するために必要となる柔軟性を備えている。包括的なビデオ管理のために、Cascadeは専用のUVMSプラグインを介してFLIR United VMSとシームレスに統合し、一体感のある効果的なソリューションを実現する。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000027932.html

東京理科大ら、固体酸化物燃料電池のアノード電極材料として応用可能な薄膜を開発

▮研究の概要
 東京理科大学 先進工学部物理工学科の樋口 透教授、山田 庸公講師、同大学大学院 理学研究科応用物理学専攻の野竹 剛氏、門脇 勇優氏、三菱ケミカル株式会社の高柳 真博士らの研究グループは、プロトン伝導性固体酸化物燃料電池(PC-SOFC)のアノード電極材料として優れた性能を有するBaCe0.4Pr0.4Y0.2O3-δ薄膜(BCPY薄膜)の開発に成功した。また、開発した薄膜の各種分析を行い、300 ℃で10-2 S·K/cm以上の伝導性を示すことを実証し、電極表面で高い反応活性を誘発する正孔-プロトン混合伝導性が生じていることを解明した。

 近年、環境への負荷が小さく、高効率な固体酸化物燃料電池(SOFC)や固体高分子型燃料電池(PEFC)に使用される電解質・電極材料に関する研究が盛んに行われている。しかしながら、これらの燃料電池は作動時間、動作温度、用途の面で課題が多く、より低温で優れた性能を有する燃料電池の開発が強く求められてきた。そこで本研究グループは、これまであまり着目されてこなかった燃料極側のアノード電極材料に着目し、過去の豊富な知見に基づいた新たな電極膜の開発を行った。

 本研究では、RFマグネトロンスパッタ法によりAl2O3 (0001)基板上に新規物質BaCe0.4Pr0.4Y0.2O3-δ薄膜(BCPY薄膜)の薄膜を作製することに成功した。成膜直後のBCPY薄膜とウェットアニール処理(水蒸気雰囲気中での熱処理)後のBCPY薄膜中の酸素空孔率をX線吸収分光法と欠陥化学分析によって定量的に評価し、正孔-プロトン混合伝導性について調べた。光電子スペクトルの結果、酸素イオンサイトに形成されたO-H結合ピークが観察され、プロトン伝導性が示唆された。また、価電子帯上端とフェルミ準位のエネルギー差が活性化エネルギーに近いことから正孔伝導性が生じることが示唆された。以上の結果から、ウェットアニール処理後のBCPY薄膜が300 ℃で10-2 S·K/cmを超える表面正孔-プロトン混合伝導性を示すアノード電極材料として適用できることを明らかにした。

本研究成果をさらに発展させることにより、中温域で作動し、従来よりも高性能なPC-SOFC開発への貢献が期待されるとのこと。

▮研究の要旨とポイント
・300~600 ℃の中温域で作動する電気化学反応ベースのプロトン伝導性固体酸化物形燃料電池(PC-SOFC)は、新たな再生可能エネルギーとして期待されている。
・PC-SOFCのアノード電極材料として応用可能な新規物質BaCe0.4Pr0.4Y0.2O3-δ薄膜の開発に成功した。
・300 ℃で10-2 S·K/cm以上の優れた伝導性を示すこと、電極表面で正孔とプロトンの混合伝導性が生じることを明らかにした。
・本研究をさらに発展させることにより、作動時間、耐久性、出力などの課題を克服した新たな燃料電池の開発が期待される。

本研究成果は、2024年6月18日に日本物理学会英文学術雑誌「Journal of the Physical Society of Japan」にオンライン掲載された。

プレスリリースサイト(tus.ac.jp):https://www.tus.ac.jp/today/archive/20240420_9498.html

人の暮らしをさり気なく見守る自律移動型対話ロボットIndy(2)

川西 康友(かわにし やすとも)
理化学研究所 情報統合本部
ガーディアンロボットプロジェクト
川西 康友

4. 多種のセンサを用いた環境認識技術

 電力・計算性能の関係で,高度な環境認識処理をロボットに搭載したPCで処理することは難しい.そこで,ロボットに搭載したPCではデータの圧縮のみ行い,外部のサーバへとWi-Fi経由でデータを送信して処理するように実装した.図 4に示す認識機能により,何の物体がどこにあり,「誰がどこで何を話し,何をしているか」を3次元的に理解することができる.以下,詳細について述べる.

図 4 周囲環境認識システム
図 4 周囲環境認識システム

4.1 視覚センサによる周囲認識技術

 視覚(RGB-D)センサからは2次元のカラー画像および深度画像が得られる.この情報をもとに,我々は,物体追跡,人物認識,人物姿勢推定,指差し対象推定,物体間の関係(シーングラフ)推定を統合した周囲環境認識システムを構築している.
 物体認識はYOLOv8をベースとした物体検出器を用いて物体の名前と2次元画像中における領域を得て,各物体をBoT-SORT[4]により物体する.また,深度画像を参照してカメラから各物体までの距離を算出することにより,カメラ座標系での3次元位置を求める.そしてロボット(Keigan Ali)に搭載したLiDARによって算出された自己位置推定結果をもとに,世界座標系での物体位置を算出することで,「どこに何があるか」を3次元的に理解することができる.

 近年の物体検出技術は,検出したい対象カテゴリの集合を定義し,それらを含むデータとアノテーションの組を大量に用意して学習することにより,精度良く実現できるようになってきた.しかし,実際に事前に用意できる物体カテゴリ(既知物体)は実世界に存在する物体カテゴリ数のうちのほんの一部であり,実世界には学習データに含まれない物体カテゴリ(未知物体)が多数存在する.通常,学習データに含まれない物体カテゴリに属する画像中の物体は無視されるか,学習データ中のどれかの物体カテゴリであると誤って検出されてしまう.我々は,そのような誤りを避けるため,学習データに含まれていない物体は未知であると出力する,Open-set認識技術を導入している.

 また,物体の名前と位置だけではなく,本システムでは「机の上にコップが乗っている」,「人がパソコンを持っている」など物体同士の関係も推定する.これら物体同士の関係は「主語・述語・目的語」の組で表現される一方,各物体を頂点,各関係を辺とみることによりグラフ構造で表現できることから,物体同士の関係を表したデータはシーングラフと呼ばれており,それを推定することはシーングラフ推定と呼ばれている.我々は,シーングラフ推定をOpen-set認識へと拡張した,Open-setシーングラフ推定技術[5]を提案しており,「机の上に何か知らないもの(unknown)が乗っている」といった出力を可能としている(図 5).

図 5 Open-setシーングラフ
図 5 Open-setシーングラフ

 人の認識については,RGB-Dデータをもとに3次元姿勢推定することによって各人物の姿勢を推定し,頭部周辺から切り出した画像をもとに顔認識・顔向き認識をすることで,「誰が,どの様な姿勢で,どちらを向いているか」を認識する.また,人の意図を認識する一環として,人の指差し対象を推定する技術も実装している.指差し対象を推定するためには,人がどの方向を指さしているのか(指差し方向)の推定と,その先にある物体の特定が必要である.指差し方向の推定手法として,単一視点の映像から人の指差し方向を3次元ベクトルとして推定する手法[6]を提案している.それによって得られる3次元ベクトルと,人から各物体への3次元ベクトルとがなす角度をもとに,指差し対象を推定する手法を実装した.

4.2 聴覚センサによる音声認識技術

 ロボットが人と対話するためには,周囲にいるどの人が何を話しているのかを理解する必要がある.そこで,16chマイクロホンアレイを用いて音源分離[7]を行い,人物追跡と音源分離結果を統合して,人物の方向と音源方向が一致した場合に,その人物が発話していると判断する.そして,その方向の音声強調をして他の音声を抑制したうえで,Whisper-large-v2[8]による音声認識を適用する.これにより,「どの人が何を話しているか」を認識できる.

認識結果の例

 簡単ではあるが,図 6に,周囲環境結果の例を載せる.左上はシーングラフ推定結果の例であり,図中にクラス名は書かれていないが,関係を表す主語・述語・目的語がそれぞれ青枠,緑矢印,赤枠で表現されている.例えば,「人がシャツを着ている」などが表現されている.

図 6 環境認識結果の例
図 6 環境認識結果の例

左下は人物認識結果であり,検出した人物の姿勢と,認識した人物の名前が表示されている.ここで,既知のどの人物にもマッチしなかった人物はunknownとして表示されている.右側は,自己位置推定結果であり,ロボットの位置が,正しく環境地図内で推定できている.

5. おわりに

 理化学研究所ガーディアンロボットプロジェクトにおいて開発したロボットのひとつである,自律移動型対話ロボットIndyについて紹介した.Indyは,人に寄り添い,さりげなく支援することを目指したロボットである.本記事では,特に,主体的に行動を決定して動作するシステム及び,周囲環境認識に関して解説をした.

 現状のロボットは,まだ限定的なシナリオを選択しながら動作することしか出来ない.将来的には,人と同じレベルで周囲の環境や状況を理解し,素晴らしい気遣いで人の生活がスムーズになるよう支援してくれるようなロボットが一般家庭に普及し,我々の生活に寄り添って生活を豊かにしてくれることを期待する.



参考文献

  1. N. Aharon, R. Orfaig, B.-Z. Bobrovsky
    BoT-SORT: Robust Associations Multi-Pedestrian Tracking
    arXiv preprint arXiv:2206.14651, 2022.
  2. M. Sonogashira, M. Iiyama, Y. Kawanishi
    Towards Open-Set Scene Graph Generation with Unknown Objects
    IEEE Access, vol.10, pp.11574-11583, 2022.
  3. S. Nakamura, Y. Kawanishi, S. Nobuhara, K. Nishino
    DeePoint: Visual Pointing Recognition and Direction Estimation
    The 19th International Conference on Computer Vision, pp. 20577-20587, 2023.
  4. C.T. Ishi, C. Liu, J. Even, N. Hagita. (2016). “Hear- ing support system using environment sensor net- work,” IEEE/RSJ International Conference on Intel- ligent Robots and Systems, pp. 1275-1280, Oct., 2016.
  5. A. Radford, J. W. Kim, T. Xu, G. Brockman, C. McLeavey, I. Sutskever, “Robust Speech Recognition via Large-scale Weak Supervision.” International Con- ference on Machine Learning. PMLR, 2023.


【著者紹介】
川西 康友(かわにし やすとも)
国立研究開発法人理化学研究所
情報統合本部 ガーディアンロボットプロジェクト
感覚データ認識研究チーム チームリーダー

■著者略歴

  • 2006年京都大学工学部情報学科 卒業
  • 2008年京都大学大学院情報学研究科 修士課程修了
  • 2012年京都大学大学院情報学研究科 博士課程修了(京都大学博士(情報学))
  • 2012年京都大学学術情報メディアセンター 特定研究員
  • 2014年名古屋大学未来社会創造機構特任 助教
  • 2015年名古屋大学大学院情報科学研究科 助教
  • 2017年名古屋大学大学院情報学研究科 助教
  • 2020年名古屋大学大学院情報学研究科 講師
  • 2021年国立研究開発法人理化学研究所 チームリーダー
  • 2021年名古屋大学 客員准教授
  • 2022年奈良先端科学技術大学院大学 客員教授

現在に至る.

ロボットによる周囲環境認識及び,人物追跡・属性認識・行動認識などの人物画像処理に関する研究に従事.特に,認識器の学習データに含まれていない,認識器にとっての未知物体の認識に関する研究に注力している.

次世代ロボットの高度化と革新サービスを提供する「ロボットフォトニクス」(2)

村井 健介(むらい けんすけ)
産業技術総合研究所
関西センター産学官連携推進室
連携主査
村井 健介

2.2 フォトニクスによるロボットの高度化について

以下に、フォトニクスによるロボットの高度化に向けて、筆者が研究開発してきた「プラズモニックデバイス」を例に紹介する。金属中には自由電子があり、金属イオンと自由電子とが混在するプラズマ状態の一種であるといえる。自由電子によるプラズマ振動が金属の光物性を決めている。金・銀・銅・アルミなど導電性の高い金属材料の表面付近では、特殊な現象(プラズモン現象)が起こり、表面プラズモン共鳴(SPR; Surface Plasmon Resonance)や局在プラズモン共鳴(LPR; Localized Plasmon Resonance)によって、特定の波長の光が共鳴吸収される(図2,3, 表1参照)。

図2 表面プラズモン共鳴(SPR)の分散特性(波数kと周波数ωの関係)とプリズムによる共鳴条件
図2 表面プラズモン共鳴(SPR)の分散特性(波数kと周波数ωの関係)とプリズムによる共鳴条件
図3 全反射とM構造における表面プラズモン共鳴(SPR)の反射スペクトルと入射角と偏光依存性(黒は吸収、白は反射)
図3 全反射とM構造における表面プラズモン共鳴(SPR)の反射スペクトルと入射角と偏光依存性(黒は吸収、白は反射)
表1 表面プラズモン共鳴(SPR)の諸特性
材質 金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミ(Al)
伝播速度 光速に近い
減衰距離 5μm程度
寿命 数10fs程度
共鳴特性 反射率0.1%以下(-30dB以上)
角度幅 1°以下
波長幅 50 nm程度

 特に、表面プラズモン共鳴(SPR)13)では、金属薄膜への波長・入射角・偏光に敏感な共鳴吸収を示す。この吸収を制御すれば光センサに応用できることになるが、光によるSPRの励起はプリズムなどを使った全反射条件下で起こるためデバイス化にプリズムが必要であるという課題があった。しかし、多層膜構造に対するマトリックス法による反射スペクトルを予測した結果、デバイス構造をサンドイッチ構造(MIM構造、あるいはMGM構造)にすることで、プリズムが不要なデバイスが設計可能であることを見出している。14)(図4-7、表2参照)


図4 マトリックス法による多層膜構造におけるスペクトル反射率R
図4 マトリックス法による多層膜構造におけるスペクトル反射率R
図5 M構造、MI構造、MIM構造における反射スペクトルの入射角と偏光依存性(黒は吸収、白は反射)
図5 M構造、MI構造、MIM構造における反射スペクトルの入射角と偏光依存性(黒は吸収+透過、白は反射)
図6 MGM構造(上)とMIM構造(下)における反射スペクトルの入射角と偏光依存性(黒は吸収、白は反射)
図6 MGM構造(上)とMIM構造(下)における反射スペクトルの入射角と偏光依存性(黒は吸収+透過、白は反射)
表2 MIM構造とMGM構造の比較
名称 MIM構造 MGM構造
構造 Metal-Insulator-Metal Metal-Gap-Metal
基板 2(または1) 2
M層(M1, M2) 銀(Ag) 銀(Ag)
I層・G層 I層(シリコーンゴムなど誘電体) G層(空間)
保持方法 積層 両端固定
感度 △(I層次第) ○(G層:空間)
小型化 ×(ギャップ保持)
図7 MIM構造とMGM構造の模式図
図7 MIM構造とMGM構造の模式図

 共鳴する波長は、金属薄膜にサンドイッチされた媒質の屈折率や厚さによって制御できる(図8参照)。具体的には、屈折率や変位に数%の変化を与えることができればセンシングが可能となる。例えば、電気光学効果による屈折率を変化させて、光波長通信に応用することができる。あるいは、圧力や振動によって厚さを変化させて、変位センサや振動センサとすることができる。このデバイスは、反射光のスペクトル変化をセンシングすることになるので、電力供給が不要のデバイスとすることも期待できる。無電源のセンシングデバイスは、トンネルなどインフラ点検における歪みセンシングや打音検査など、長期的な変化をモニタリングする用途に向いている。

図8 MIM構造における誘電体層(I層)の膜厚と吸収スペクトルの関係
図8 MIM構造における誘電体層(I層)の膜厚と吸収スペクトルの関係

ここで紹介したプラズモニックデバイスによって可能となる光通信や光センシングがロボットの高度化に貢献することを期待している。

3.ロボットフォトニクスに向けた人材育成

 日本機会学会が編集した教科書「ロボティクス」15)には、ロボットには技術的側面と社会的側面があることが述べられている。技術的側面(シーズ)から観るとロボット工学は多くの工学分野が関係する統合型技術であるが、社会的側面(ニーズ)から観ると役に立つロボットはアプリケーションによって決まる要求仕様や作業特性によって実現できる。統合システムであるロボットの普及のためには、ロボット技術を通じて社会課題を解決する人材の育成が不可欠である。ロボット技術者には協調性や共創力が求められる。米国が提唱したSTEM教育(S:Science、 T:Technology、 E:Engineering、 M:Mathematics)にArtを加えたSTEAM教育は、世界的に推進されている共創的な取り組みである。日本でも、専⾨領域の枠にとらわれない多様な「知」が集うことで、「総合知(文理融合)」の人材育成によって共創力を生み出し、科学技術・イノベーションの⼒を⾼めることが期待されている。2025年に開催予定の大阪・関西万国博覧会は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をメインテーマとして、SDGsやSTEAM教育もテーマ事業である。

4.おわりに

 本稿では、次世代ロボットの高度化と革新サービスを提供する「ロボットフォトニクス」について紹介した。現在の人類は、(地球温暖化など環境問題、人口問題、食糧問題とともに、災害や紛争など)多くの社会課題を抱えたVUCAの時代にある。VUCAという言葉は、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの言葉の頭文字をとった造語である。VUCAの時代を切り拓くのは、共創的な取り組みであり、STEAM教育を通じたロボットフォトニクスの今後の進展に期待したい。


★謝辞
 本稿を執筆するにあたり、一般社団法人レーザー学会ロボットフォトニクス専門委員会をはじめ、公益社団法人レーザー技術総合研究所(レーザー総研)、特定非営利活動法人日本フォトニクス協議会関西支部(JPC関西)、近畿経済産業局、大阪大学レーザー科学研究所、国立研究開発法人産業技術総合研究所の関係者のご協力に深く感謝する。




★参考文献

  1. K. Kurosawa, R. M. Pierce, S. Ushioda, and J. C. Hemminger, “Raman scattering and attenuated-total-reflection studies of surface-plasmon polaritons”, Phys. Rev. B 33, 789 (1986).
    https://journals.aps.org/prb/abstract/10.1103/PhysRevB.33.789
  2. 「波長フィルタ、波長フィルタリング装置及び波長フィルタリング方法」(特許第4649595号)
  3. 教科書「ロボティクス」, (2011年11月, 日本機会学会編), ISBN:978-4888982085.


【著者紹介】
村井 健介(むらい けんすけ)
国立研究開発法人産業技術総合研究所 関西センター産学官連携推進室 連携主査
一般社団法人レーザー学会「ロボットフォトニクス」技術専門委員会 主査

■略歴

1987年大阪大学工学部精密工学科卒業。大阪大学大学院工学研究科精密工学専攻(前期)、電気工学専攻(後期)。大学ではプラズモンについて、大学院では大阪大学レーザー核融合研究センター(現在の大阪大学レーザー科学研究所)でエキシマレーザーやX線レーザーについて研究。レーザープラズマを利用した軟X線レーザーに関する研究で博士号を取得。
1995年工業技術院大阪工業技術研究所(現在の産業技術総合研究所関西センター)入所。入所後は、プラズモニクスやレーザープラズマなど、光と物質の相互作用の応用研究。内閣府総合科学技術会議や近畿経済産業局への出向時にロボット政策に関与。近年は産学官連携推進活動に従事。
博士(工学)。技術士(応用理学)。日本ロボット学会(RSJ)正会員。レーザー学会(LSJ)正会員、「ロボットフォトニクス」技術専門委員会主査。

サウンドスケープ観測システムの開発 Development of Sound Scape Observation System(2)

笹倉 豊喜(ささくら とよき)
(株)アクアサウンド 名誉会長
笹倉 豊喜

4. システムの評価

 試作したシステムの評価を52音種の音源を用いて実海域(石垣島名蔵湾)においてプレイバック実験で行った。水深約10mの海底に設置したSS録音機のハイドロフォンと水中スピーカー用ハイドロフォンを音響結合し、船上の音源サンプルを録音した録音機を再生する。975音源サンプルを1音源あたり20回ずつ再生しトータルで約6時間を要する。水中スピーカーから放音された音をハイドロフォンで受信しSS録音機内で、AI画像識別モデル音源分類アルゴリズムが実装された処理器で分類処理されその結果ログをSS録音機内に記録すると同時にその結果を水中通信を用いて海上に浮かぶ通信ブイに伝送する。さらに通信ブイからは無線通信で陸上のクラウドサーバーにその結果を転送する。

5. 実験結果

 プレイバック実験では、再現度、適合度、F値を測定した。混同行列の結果は、再現度72.7%、適合度83.0%、F値77.5%であった。正解率(再現度と適合度の調和平均)は72.6%であった。プレイバック実験の正解率がPCシミュレーションのそれよりも20.6ポイント低いのは、石西礁湖の海底設置状態では背景雑音が多いため分類精度が落ちるためである。

図6 プレイバック実験の分類精度
図6 プレイバック実験の分類精度

6. まとめ

 サウンドスケープ観測システムの開発を行い、ハードウェアの設計、音源分類アルゴリズムの構築と演算処理器へ実装し、試作機を製作して石西礁湖海域に持ち込み海上実験を行なった。その結果は5.項で述べたとおりであるが、当初の目標値に達している。水中の音風景(サウンドスケープ)をリアルタイムで配信することにより、これまでに想像すらできなかった新しい海洋の利用が拓けると同時にサステナブルな海の利用にもつながることを期待したい。


謝辞
本研究は防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度の支援を得て行なったものである。




【著者紹介】
笹倉 豊喜(ささくら とよき)
Toyoki Sasakura, Ph.D.
株式会社アクアサウンド 名誉会長

■略歴

  • 1973年古野電気株式会社入社
    同社在任中、主にソナー・魚探など超音波機器の開発に従事
  • 1984年戦艦大和探索に参加、東シナ海で発見
    舶用機器事業部開発部長を歴任
  • 1990年東京水産大学(現東京海洋大学)より水産学博士号授与
  • 1997年古野電気退社
  • 2010年東京海洋大学 客員研究員
  • 2012年株式会社アクアサウンド設立 代表取締役会長に就任(現在は非役員)
  • 2017年株式会社AquaFusion設立 代表取締役

現在に至る.

古野電気入社以来、一貫して魚群探知機、ソナーなどの水中超音波機器の研究開発に従事。2010年には東京海洋大学と共同開発で日本発小型ピンガー(超音波発信機で魚の体内に埋め込んで魚の行動を研究するデバイス)の開発に成功、現在多くの研究者が使用している。

水中・水上ドローンの普及促進を目的としたデモイベントの開催(2)

橋本 健(はしもと けん)
インフォーマ マーケッツ ジャパン(株)
事業推進部
橋本 健

4.デモ実施機器

本企画に賛同いただき、実際にデモンストレーションを行った機器と発表者を以下にて紹介する。

(1)水中ドローン「FINDi FF2」(図-4)
   発表者:株式会社FINDi/株式会社NJS

図-4「FINDi FF2」
図-4「FINDi FF2」

(2)水中ドローン「FIFISH Pro E-GO」(図-5)
   発表者:株式会社ジュンテクノサービス

図-5「FIFISH Pro E-GO」
図-5「FIFISH Pro E-GO」

(3)水中ドローン「CHASING M2 PRO MAX」(図-6)
   発表者:一般社団法人日本水中ドローン協会/
   株式会社スペースワン

図-6「CHASING M2 PRO MAX」
図-6「CHASING M2 PRO MAX」

(4)水上ドローン「AST-181」(図-7)
   発表者:エバーブルーテクノロジーズ株式会社

図-7「AST-181」
図-7「AST-181」

(5)水中ドローン「龍頭」(図-8)
   発表者:株式会社水龍堂

図-8「龍頭」
図-8「龍頭」

(6)水上ドローン「水上点検ドローン」(図-9)
   発表者:炎重工株式会社

図-9「水上点検ドローン」
図-9「水上点検ドローン」

5.実施結果

 定員は会議室の最大座席数である100名を設定していたが、募集開始から3日間で申込数が上回ってしまい、急遽デモのみの参加を受け付けるなどして収容数を増やした。それでもすぐに募集を打ち切らざるを得なくなってしまったため、展示会のプレイベントとしてのプロモーションが計画通りできなかったのは嬉しい誤算であった。しかし、反響の大きさから、まだまだ水中・水上ドローンは新たな需要を掘り起こして市場を拡大できる可能性があるという手ごたえを感じることができた。
 当日は天候にも恵まれ、8社・団体がデモを行い、計133名が来場した。前半のプレゼンテーションでは各社10分という短い持ち時間であったが、各機器の特徴や魅力、普及に向けた取り組み内容などを熱く語っていただいた(図-10)。後半、会場を移して実施したデモンストレーションではこれから導入を検討している方から、既に利用を始めているが、さらに活用を進めたい方まで、多様な参加者からの質問が日没まで途絶えることが無かった(図-11)。メディアの方々も熱心に各社製品のポイントを取材しており、特にWebメディアの「ドローンジャーナル」には後日、詳細なイベントレポート3)を掲載いただいた。機器ごとの特徴などについてはぜひそちらをご覧いただきたい。

図-10プレゼンテーションの様子
図-10プレゼンテーションの様子
図-11デモンストレーションの様子
図-11デモンストレーションの様子

6.今後の展望

 「海の次世代モビリティ」は汎用性が高いものも多く、イベントを通じて多くの方々の目に触れる機会を増やすことは、新たな需要開拓につながるため、普及促進にとって非常に重要と考える。特に今回の企画を実施したことで、海での利活用を考える場合には、現場に近い環境でイメージを膨らませることができる「リアルな体験」が有効であることを改めて実感することができた。今後も本企画を継続し、開催地も広げるなど拡大を進めていくことを計画している。
 引き続き、海事・海洋・港湾の技術に関わる方々のニーズを伺い、多様な企画を実施することで産業の発展に貢献していきたい。



参考文献

  1. 「ドローンジャーナル」(インプレス社)イベントレポート,2024.2.20(https://drone-journal.impress.co.jp/docs/event/1185861.html


【著者紹介】
橋本 健(はしもと けん)
インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社 事業推進部

■略歴

産業展示会の主催をはじめ、BtoBイベントの企画関連業務に従事しており、現在は「Sea Japan / Offshore & Port Tech」(https://www.seajapan.ne.jp/)と「バリシップ」(https://www.bariship.com/)を担当

千葉県出身。早稲田大学卒。2000年より新聞社に勤務し、センサや計測、測定、検査の専門展をはじめ、ものづくりを支える業界を対象に数多くの産業展示会の主催者業務に従事。その後、企業や団体の販促・PR支援業務、ITソフトウェア企業での企画業務を経て、2022年より現職。2015年に中小企業診断士登録。