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REVORN、においを評価する指標「香度?」を商標登録

(株)レボーン(REVORN)が、「香り」を評価する概念、「香度?」の商標登録を完了した。
同社は、今回の商標登録を契機に、人間が感覚としてとらえている「におい」の“なんとなく”に科学的にアプローチし、新たな産業の創造を目指す。

【商標登録の概要】
商標名称:香度(コード、カオリド)
登録日:令和3年3月3日
登録番号:第6358514号
登録分類:第9類,第42類

■「香度?」とは
 「香度?」とは、香りの芳醇さを表す概念として、REVORNが造語したもの。未だ多くの謎に包まれる嗅覚のメカニズムを科学的に解明し、においを活用した社会課題の解決や今までにない新たな価値観を生み出すためには、必要不可欠な概念であるとREVORNは感じているという。
 一般的なにおいセンサで測定されるのは、においを生み出すそれぞれの分子の種類や濃度の測定に限られ、人間が嗅覚としてにおいをとらえる方法とは異なり、本来の意味でのにおい測定には至っていない。 そのようなにおいの成分測定だけではなく、人間がにおいをとらえるメカニズムの解明に取り組むREOVRNでは、従来の成分測定にはない、官能的な概念を組み込んだ「香度」という指標を新たな研究開発の方向性として業界内に浸透させ、ひいては一般的な概念として広めていくことで、においが持つ可能性をさらに開花させていきたいとしている。

プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000038832.html

羽田空港に無人決済システム店「ANA FESTA GO」がオープン

(株)TOUCH TO GO(以下、TTG)とANA FESTA(株)は、無人決済システムを活用した実用化店舗※「ANA FESTA GO羽田B1フロアギフト店」(呼称:エーエヌエー フェスタ ゴー)を羽田空港第2ターミナル地下1階に2021年8月27日(金)に開店する。同店は、TTG開発の無人決済システムを活用した国内初の空港ギフトショップ(土産店舗) 第1号店となる。なお、メインとなる販売する土産菓子は、価格帯別の「おすすめランキング」形式を採用する。

※無人決済システムを活用した実用化店舗・・・ウォークスルー型の店舗で、カメラなどの情報から入店した利用客と手に取った商品をリアルタイムに認識して、決済エリアに利用客が立つとタッチパネルに商品と購入金額が表示され、表示内容を確認して支払うだけで買い物ができる店舗を指す。

「搭乗前に、スピーディーな会計ができるお土産店舗を利用したい」、「非接触で会計を済ませたい」、「おすすめのお土産品の中から手間なく商品を選びたい」等、利用客のニーズは多様化している。そのようなニーズに応えるため、ANA FESTAとTTGは協業し、無人決済システムの活用と、ANA FESTA羽田全店の売上・販売数量データから「おすすめランキング」形式で洋菓子・和菓子を展開する同店をオープンすることとなった。
今回導入する無人決済システムにより、利用客が出口手前にある決済エリアに立つと、タッチパネルに購入商品と金額が表示され、交通系電子マネー等にて、スピーディーかつ非接触に、買い物をすることが可能。

店舗情報
店舗名: ANA FESTA GO羽田B1フロア店
所在地:東京国際空港第2旅客ターミナルビルB1F(東京都大田区羽田空港3-3-2)
営業時間: 08:00~20:00
支払方法: 交通系電子マネー、クレジットカード、現金
取扱品目: 菓子、ANAオリジナル商品(食品・雑貨)、弁当・飲料、雑貨

ニュースリリースサイト(anafesta):https://www.anafesta.com/information/274

SGST、ジャパンPGAゴルフクラブにて配膳ロボット「BellaBot」の実証実験を実施

(株)SGSTは、新型コロナウイルス対応として飲食店、レジャー施設、医療機関向けにロボットによる非接触サービス化の展開を進めている。
今般、国内8か所にゴルフ場を有する隨縁グループのジャパンPGAゴルフクラブ(千葉県君津市)において、レストラン内の配膳・下げ膳をメインとしてロボットの利用がサービスの向上に繋がるかどうかを検証するための実証実験(POC)を実施した。

【配膳ロボット「BellaBot」の概要】
Pudu Robotics社の開発したBellaBotは優れた障害物回避能力や移動能力を有する最新式配膳ロボット。4層構造の大型トレイ(最大負荷10Kg/トレイ)と親しみやすいデザインでレストランにおける配膳と下げ膳を安全かつ正確に行う。コロナ感染症の防止や人件費削減に高い効果を発揮するという。

【実証実験の概要】
隨縁グループは格式あるゴルフ場としての「サービス品質」を重視しており、ロボットの活用でサービスの更なる充実が実現できるかを確認する必要がある。主として「配膳・下げ膳」をロボットに担当させるが、クラブメンバーに受け入れて貰えるかについて検証し運用面での改善/調整に向けて協議していく。
期間:2021年8月6日~16日
場所:ジャパンPGAゴルフクラブ内レストラン
検証項目:
① 厨房とホールの間において汁物配膳が可能かどうか。
② 実際の運用面において、スタッフがロボットとうまく協働できるか。人手不足を補う効果があるか。
③ 従来の配膳ワゴンとの併用を前提に、ロボットが下げ膳の妨げにならないか。
④ ロボットの活用によりお客様とのコミュニケーションとエンタテイメントの品質向上が期待できるか。

【SGSTのロボットソリューションについて】
同社では新型コロナウイルス対応で疲弊する飲食店や医療機関スタッフの負荷軽減を目的として、AI搭載のロボットによる非接触サービス化を提案している。飲食店での配膳ロボットの活用で感染リスクの低減や人件費削減が期待できるだけでなく、医療機関における紫外線照射ロボットの活用で効率的な除菌作業を実現している。また、規模の大きい病院では、院内の案内係ロボットとしての活用も提案していくとのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000083716.html

TANOを使用した介護施設での体力測定業務効率化に向けた実証事業

TANOTECH(株)は、厚生労働省が推進する「介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム事業」において、SOMPOホールディングス(株)がプロデュースするリビングラボであるFuture Care Lab in Japanでの実証事業を開始する。

●実証事業の内容
TANOTECHが開発・販売する「非装着・非接触型の自立支援ツール TANO」を用いたレクリエーション業務の負担軽減に続き、介護現場での測定業務における職員と利用者の負担軽減を目的としたリビングラボ事業をFuture Care Lab in Japanで開始した。

施設での体力測定は、定期的に行う事で利用者の健康状態や体力を個人ごとに把握し、その後の健康維持の増進や介護予防運動を促すことを目的としている。
しかし、測定を行う際の準備・計測・記録・管理の流れは手順も多く、複数人の職員が長時間対応する必要があり、大きな負担となっている。

TANOはセンサを用いることで、これまでアナログで行っていた計測を自動化、簡素化するだけでなく、利用者別に発行されたIDを読み込むことで計測データを個人単位で集計できる。
データは自動的に蓄積されるため、入力の手間を削減することができ、管理業務の負担を軽減することも期待できる。

●体力測定効率化のための新機能「TANO CHECK」
今回の実証において、新たに体力測定業務の負担軽減に特化した「TANO CHECK」の開発を行う。
◆特徴1:TANOの既存機能をアレンジし、センサによる自動計測でメジャーいらずに
片足立ち、CS30、長座体前屈、5m歩行の自動計測が可能となる。
これまでアナログで行われていた計測作業が自動化できるだけでなく、非接触化も同時に実現。
◆特徴2:転記作業不要。データ入力が一元化
センサで測定した数値はその場でシステムに入力・記録できる。
FPテスト、ピークフロー、握力についても計測後に数値を入力することにより、紙に記入してからパソコンに同じ内容を転記するといった手間が無くなる。
◆特徴3:集計業務の効率化
TANO CHECKでは個人ごとに作成したIDのQRコードを発行し、ログインすることで個人単位で計測データを蓄積できる。
記録したデータはCSVファイルで出力することができるため、定期的な測定を行う事で利用者の傾向値を見ることができる。

これまでの体力測定は、職員が数名がかりで測定器を並べ、ご利用者を集めて計測し、記録し、入力するといった手順も多く負担の大きい作業だったが、TANO CHECKにより少数の職員で体力測定を行うことができるという。

同社はFuture Care Lab in Japanでの実証事業において、負担の大きい測定業務を気軽に行える環境づくりを行うとともに、現場での有用性や新たなニーズ・課題を見つけてアップデートし、国内における介護ロボットの普及促進、技術向上に寄与していくとしている。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000043268.html

NSSOLとフェアリーデバイセズ、作業現場の生産性・安全性向上推進のための協業開始

日鉄ソリューションズ(株)(NSSOL)とフェアリーデバイセズ(株)は、製造業をはじめとした作業現場を持つ企業に対する生産性・安全性の向上を目的としたIT支援において、協業を開始した。

両社は、2020年より現場支援に必要なアプリケーションやウェアラブルデバイスの提供に向けて共同で検討してきた。その中で、NSSOLが提供するIoXソリューション※1である現場の安全モニタリングソリューション「安全見守りくん」、遠隔作業支援ソリューション「ARPATIO(アルパティオ)」とフェアリーデバイセズが提供するウェアラブルデバイス「THINKLET」の適用性検証を行った結果、NSSOLは生産性・安全性のための適合デバイスとしてTHINKLETをラインナップに加え、8月16日からお客様への提供開始することを決定した。

NSSOLが提供する安全見守りくんは、2017年の販売開始よりこれまで日本製鉄をはじめとした、大規模なプラントを有する鉄鋼、金属、化学、重工業、電力、製紙を中心に30サイト・数万人以上の顧客に利用され、安全第一とした現場の作業支援を実現してきた。安全見守りくんは、作業者の動態検知、位置情報管理等の基本機能に加え、携帯ガスセンサ連携、Wi-Fiカメラ連携など、現場ニーズをもとにしたエンハンスを継続的に実施している。

また、ARPATIO(アルパティオ)は、スマートフォンなどを使い、作業現場の作業員・管理者間のコミュニケーションを強化するためのソリューション。映像、音声を活用し、遠隔からの作業指示や、現場の映像・資料共有を行うことができ、特にコロナ禍において三密回避のために有効なソリューションだという。

フェアリーデバイセズは、「Connected Worker Solution(コネクテッドワーカーソリューション)」として、現場作業に対するAI、音声認識による効率化、高度化に加え、それらを支えるDX基盤となるウェアラブルデバイスTHINKLETの開発を行ってきた。THINKLETは、ヒトとAIをつなぎ、機械との協働を実現する新しい形のウェアラブルデバイス。4GLTE/Wi-Fi、AIチップ、広角カメラ/高性能マイク、各種センサを搭載しており、装着者が見ているものや、聴いていることをリアルタイムにデータ化し、情報活用を可能とする。また頭ではなく頸部に装着することで、現場作業時の作業者への負担を軽減すると同時に、内蔵カメラでの安定的な一人称視点での撮影を可能とし、複数の高性能マイク制御とエッジ音響処理によって騒音下でのクリアな音声抽出が可能であるという特徴を持っているとのこと。

今回の協業で、NSSOLは安全見守りくんおよびARPATIOの適合デバイスにTHINKLETを加えることで、より広い現場の安全作業支援ニーズに応えることができるようになる。今後、フェアリーデバイセズがさらなるデバイスおよびMDMや音声AIなどのクラウドテクノロジーの開発・提供、NSSOLがフェアリーデバイセズ製デバイスを最大限に活用するアプリケーションを開発・提供することで、様々な現場作業の安全・効率化・高度化を推進していくとしている。

※1「IoXソリューション」について https://www.nssol.nipponsteel.com/ss/iox/

ニュースリリースサイト(fairydevices):https://fairydevices.jp/news_20210816

SDGsに向けたチリの取り組み

チリ国内のオリーブオイル生産や販売に携わる企業を集めた協会であるオリーブオイル生産者協会(ChileOliva)の取り組み

オリーブオイル生産者協会は、農業食品産業の国際的なリーダーとしてSGDsの活動を推進するプロジェクトに取り組んでいる。2011年には米国国務省の資金援助を受けた世界環境センター(WEC:World Environment Center、本部:米国ニューヨーク)参加の国際協力プロジェクトにより、クリーンな生産とエネルギー効率化のための試験的な取り組みを通じて、2011から持続可能性に関する事項の継続的な改善に向けた道を歩み始めた。

その後2013年には第1次クリーン・プロダクション協定(APL)を締結。定められた目標・行動を遵守することにより、経済省に属する持続可能性・気候変動庁から認証を受けられる仕組みである。2020年には第2次クリーン生産協定を締結し、気候変動の緩和・適応策の実施を通じて、オリーブオイルに携わる企業の持続可能性管理をさらに強化し、国の温室効果ガス削減戦略に貢献することを目指している。

チリ・オリーブオイル生産者協会(ChileOliva)の推進するクリーン生産協定(APL)で定める目標を実行し、それが認められた会員企業には、サステイナブルなオリーブオイル(Aceite de Oliva Sustentable)の認証マーク「AOS」が持続可能性・気候変動庁から授与される。AOS認証マークの目的は、企業の持続可能性管理を認識し、オリーブオイルに携わる企業のさらなる持続可能性管理の強化を奨励することにある。持続可能性を維持するための取り組みは製品に付加価値を与え、気候変動への適応に大きく寄与するとともに、温室効果ガス削減のための国家戦略にも貢献しているという。

AOS認証は、消費者はもちろん、オリーブオイルの生産・販売に携わる人たちにも厳しいサステナビリティ基準のもとで生産された製品であることを保証するものとのこと。

現行の第2次クリーン生産協定では、持続可能性管理をさらに強化し、国の温室効果ガス削減戦略に貢献することを目指した次の9つの目標が掲げられている。
1. サステナビリティ指標の策定とモニタリング
2. 労働者へのサステナビリティについてのトレーニング
3. エネルギー消費の削減と管理
4. 水資源の管理
5. 生物多様性、在来種、土壌の保守
6. 廃棄物ゼロを目指した循環型経済の促進
7. コミュニティへの貢献とQuality of Working Lifeの推進
8. カーボンフットプリントの定量化と検証
9. 生産者の責任としてのパッケージリサイクル

オリーブオイル生産者協会:http://www.chileoliva.cl/es/sustentabilidad/

シングルボードコンピュータの食品成分分析・環境測定への応用(2)

京都大学
大学院農学研究科 助教
小林 敬

3. QCM記録システムの製作と湿度計測への適用

QCM(Quartz Crystal Microbalance)は水晶振動子の振動数の変化を利用した微量天秤である2)。水晶発振器から発生するクロックの周期は水晶振動子の状態の影響を受ける。振動子に物質が吸着されると、重量増加により振動数が減少する。この減少の程度が吸着量に依存することから、ngオーダーの微量の物質の重量を計測できる。そのため、生体高分子(タンパク質など)の吸着現象の解析や相互作用の評価などに用いられる。

本装置も本格的なものは高価であり、容易な導入にはハードルがある。本稿では、SBCを用いて多チャンネルQCMを構築した例について紹介する。QCMは基本的には周波数カウンタである。そのため、単純な手法として1秒あたりのクロック数を数えることで結果が得られる。しかし、Raspberry Pi等のSBCを用いて直接これらの周波数を測定することは困難である。一般的なSBC上ではLinux系のオペレーティングシステム(OS)が実行されていることが多い。これらのOS上で実行されるプログラムはマルチタスクで実行されるため、OSの制御下にある。そのため、プログラム上で正確に1秒間を数えることは困難である。これは、OSによるタスク切替などにより、プログラム上で正確な時間経過を知ることが困難なためである。すなわち、OS制御の元では、周波数のカウントなど正確な時間計測を必要とするリアルタイム処理は行いにくい。

そこで、本稿ではその解決策の一つとして、ワンチップマイコンとSBCを併用する手法を採用した。ワンチップマイコンはマルチタスクなどが不可能であり、単機能である代わりに、正確な駆動クロックを与えるとクロック通りに時間に正確な動作をすることができる。すなわち、リアルタイム処理に向いている。そこで、両者の長所を生かし、マイコンで周波数をカウントし、SBCでカウントした周波数データをネットワークで取り扱える形に変換した。

以下で、システムの詳細を述べる。QCMは様々な測定に使用することができるが、ここでは、水分を吸着する湿度センサとしての可能性を検討した。ワンチップマイコンにはPIC12F675(Microchip Technology)を用い、周波数カウンタプログラムをアセンブラで作成して書き込んだ。なお、マイコンの駆動には、高精度の周波数で発振する恒温槽型水晶発振器(OCXO、SCOCXOVT-AV5、16.384000 MHz、多摩デバイス)を用いた。次に、QCM用水晶振動子(9 MHz、エッチング仕上げ、多摩デバイス)をQCM簡易発振回路(多摩デバイス)に接続し、センサ回路を構成した。センサからの発振信号をマイコンに入力し、発振周波数をカウントし、デジタルデータとした。これらを8チャンネル分用意することで、最大8個のデータを同時に取得することができるようにした。次いで、得られたデータをSBCでテキストに変換し、Webサーバによりネットワーク配信した。その際のデータフォーマットはHPLCと同様の形式とした。また、PCにおけるデータ収集は、上述のクロマトグラム処理ソフトを改変することなく流用した。

QCMを湿度センサとして動作させるために、水晶振動子にPVA含有活性炭懸濁液を塗布し、振動子上に十分量の水分子を吸着できる状態にした。この振動子を装備したQCMの発振器を環境試験器(SH-242、エスペック)中に設置し、庫内を25℃に保ち、相対湿度(RH)を30~70%の範囲で変化させた。その結果、湿度変化に応じて振動数の変化が観測できた(図3)。RH=30~50%においては、周波数変化は小さいものの、ノイズの少ないデータを得ることができた。一方、60%以上の湿度ではデータがばらつく傾向が確認できた。このように、特に低湿度においては再現性ならびに低ノイズのデータを得ることができ、QCMの湿度センサとしての特性を示すことができた。

図3 QCMによる湿度計測

4. おわりに

シングルボードコンピュータが安価で容易に入手できるようになった。一方で、分析機器のネットワークへの接続と運用は未だ発展途上にある。このような中、シングルボードコンピュータが新規開発機器にとどまらず、旧来からの機器のネットワーク対応に大いに貢献できると考えられる。そして、より広く、より多くのデータを容易に収集し、整理することができるようになれば、新たなデータ活用の展開が期待できる。



【著者紹介】
小林 敬(こばやし たかし)
京都大学 大学院農学研究科 助教

■略歴
1998年3月 京都大学農学部食品工学科 卒業
2000年3月 京都大学大学院農学研究科 修士課程修了
2003年3月 京都大学大学院農学研究科 博士後期課程修了
2003年4月 大阪市立工業研究所 研究員
2007年4月 京都大学大学院農学研究科 助教。現在に至る。
博士(農学)

感染症対策にも活用できる、シングルボードコンピュータを使った「密」センサ(2)

センサイト協議会
理事
三田 典玄

〔2〕現代の「センサ」と「新型コロナウィルス感染症」

ここ数年、日本政府の経済産業省では「Connected Industries」が大きな製造業などの産業構造改革の中心として語られて来ているのはご存知の通りです。IoTによる産業変革による経済成長の追求は、日本国政府でのデジタル庁発足とともに、多くの恵みを日本の産業にもたらすと言われており、関係各国からも期待されています。

特に、この2年は「新型コロナウィルス感染症対策」として、「三密(密閉、密集、密接)を避ける」ことがさけばれています。しかしながら、ワクチン接種の進展とともに、コロナ禍が忘れられているような場面も多々あり、特に2021年6月後半からは、再度の感染拡大も懸念されているのが現状です。そのため、ワクチン接種後と言えど、三密を避けること、マスクの着用などは必須、と言われています。要するに、一時は新型コロナウィルス感染症に対する緊張感があったものが失われており、場合によったら、危機的状況になる、と警鐘を鳴らしている感染症の専門家も増えて来ました(6月末時点)。この現況にあって、やはり多くの人が集まる状況が、特に都市部の繁華街や、飲食店等で知らず知らずのうちに、発生する場合があり、繁華街などを抱える自治体なども危機感を強めています。

そのため、多くの「三密を避けるためのIoT技術」も開発される様になりました。そのほとんどは、「人」の認識をカメラを使うなどの方式を取っており、今度はプライバシーへの配慮などが心配されています。また、新型コロナウィルス感染症の感染拡大とともに、産業も大きなダメージを受けており、より安価な「センサ」の需要が高まっています。これらの問題をまとめると、以下になります。

1.「三密」を発見し、関係各所に知らせるセンサが望まれている。
2.そのセンサは低価格で供給されることが必要である。
3.プライバシーへの配慮も重要である。

今回、ここでご紹介した「三密センサ」も、これらの条件に準じたものとして試作されました。

〔3〕現代の「センサ」と「ソフトウエア」「ネットワーク」

現代のセンサ技術は、センサのハードウエアは、各種、考えうるものは実現されてきました。たとえば、人間個人を特定するセンサ(個人認証のためのセンサ)であれば、画像認識による顔センサ、指紋センサが一般的に多く使われており、それ以外にも虹彩認証、手のひらの静脈パターンによる個人認証なども、よりクリティカルな場面では使われるようになりました。また、自動車の自動運転では、LiDARという、複数のセンサが統合されたものが使われており、レーザー、超音波、マイクロ波などの個別のセンサの出力を小さなコンピュータに入れ、その中でソフトウエアで合成し、より確実なセンシングをソフトウエアで行い、そのコンピュータの出した「結果」を、データとしてネットワークを通じてクルマの制御をするメインのコンピュータに送る、という方式が一般的になってきました。また、この自動車内のメインのコンピュータも、5Gなどの自動車の外部に超高速のネットワークで接続され、渋滞を避けての自動運転でのルート変更など、これまでは人間が行ってきた判斷を超える制御を地域全体のトラフィックのバランスを考慮した判斷として、交通システム全体として動かす、ということが始まっています。

すなわち、現在の「センサ技術」とは、既にあるセンサを組み合わせ、ソフトウエアで全体を制御する、というものになりつつあります。このセンサのネットワーク化の発達の過程で、電気自動車(EV)の雄と言われる米国・テスラモータース社では、LiDARを使わず、画像処理のみで自動運転を実現する、という発表を行っています(https://36kr.jp/117100/)。このテスラ社の方向転換により「センサ」と「ソフトウエア」の次元の違った発展がなされる、といわれています。

これらのセンサの利用技術の発展を支えているのは、センサそのものの開発以上に、以下の点ではないかと、筆者は考えています。

1.コンピュータのハードウエアの劇的な価格低下と高性能化
2.コンピュータのネットワークとしてのインターネットの低価格化と高速化
3.ソフトウエア開発技術の発展。特に世界的なインターネットを通じたRepositoryの一般化によるOSS(Open Source Software)の発展。

〔4〕現代のソフトウエア開発と「センサ」

現代のソフトウエア開発は、経済効率の追求から、短期間で多くの成果を求められるものになってきており、ソフトウエアを1から作ることはまずなくなりました。多くのソフトウエア開発は、システム全体のデザインができると、その実現のために、たとえば温度センサであれば熱電対をつないで、熱電対の出力は直接リニア増幅器からA/Dコンバーター(Analogue to Digital Converter)に接続し、そのリニアライズはソフトウエアで行う、ということが当たり前になっています。このセンサの出力からリニアライズされたデジタル値までの実現のソフトウエアは現在はRepository上のOSSとして無料で置かれているものをネットから取得してきて、それを使います。利用にあたってはソフトウエア著作者の許諾を得る必要がありますが、これらのライセンスも整理されてきています。現代のソフトウエア開発とは、1行1行プログラムを書くものではなくなってきており、これが当たり前の流れとなっています。また、OSSが他のOSSを利用する、という流れもあり、1つのOSSソフトウエアをダウンロードすると、複数の違うライセンスがついてくる、ということもあり、ソフトウエア技術者にとって、使用許諾権などの議論も理解できる必要が生じています。

この成果として、既にAmazonなどの通販で買える数千円のプロダクトでも、例えば、部屋の中を人が動くと、その人の顔を認識し、その人を追いかけて動画を撮影する、という「自動三脚」などもあります。ソフトウエア開発は、人件費の塊なので、ソフトウエア開発時間の削減は、そのまま製品のコストに跳ね返って来るので、このようなことが低価格でできるようになってきています。

こういった「センサ素子」はその小さな筐体の中にコンピュータを内蔵しているものも多くあります。つまり、センサから出すセンシングデータが既にデジタル化されている、というものですが、今回とりあげた「三密センサ」も、そういったセンサの一つを使っています。

現在における「センサ」は、その値をソフトウエアで以下に簡単に使えるようにするか?ということに眼目が置かれるものでなければならなくなりました。そして、ソフトウエアのその先には、当然「AI」があります。AIそのものがソフトウエアの塊ですから、当然のこと、というところでしょうか。



【著者紹介】
三田 典玄(みた のりひろ)
一般社団法人 センサイト協議会 理事
株式会社オーシャン IoT事業推進部長

■略歴
東海大学工学部通信工学科卒業 ( アモルファス半導体物性専攻 ) 工学士
1986年 株式会社アスキーより「入門 C 言語」執筆/出版。
     コアダンプ者創業。同社専務取締役(後に代表取締役)
〜2000年 以降、「実習C言語」「応用C言語」を続けて執筆・出版。
     日本国内合計約100万部。
     韓国戦後初の日本人が著者の大学の教科書として翻訳・採用。
1996年 東京大学先端科学技術センター 協力研究員。
2002年 独立行政法人・産業技術総合研究所 特別研究員(生命科学)
〜2003年 技能五輪世界大会・情報技術職種・委員
2006年 台湾新聞・日本語版副編集長
2011年 ジョルダン株式会社(JASDAQ上場)顧問 〜
2013年 韓国・慶南大学 工学部コンピュータ学科 教授 〜2015年
2015年 NPO法人・日本フォトニクス協議会知財戦略専門部会事務局長
     及びITアドバイザー 〜現在著書多数。
2019年 株式会社オーシャン IoT事業推進部長

■知見
日本のインターネットの草分けの一人。
台湾、韓国を中心としたアジア各国の事情に精通。
サイバーセキュリティの専門家として「サイバー戦争」をKindleで出版。
IoTの専門家として「ラズベリーパイ」等IoTの学習者向け書籍をKindleで出版。

矢野経済、FCCL用PIフィルム世界市場に関する調査を実施(2021年)

(株)矢野経済研究所は、ディスプレイ・光学、電気・電子、一般産業用のベースフィルム及び加工フィルムなどの高機能フィルムの世界市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
​ここでは、FCCL用PIフィルム世界市場規模推移・予測、回路基板用の低誘電フィルムの将来展望について、公表する。


1.市場概況
FCCL(Flexible Cupper Clad Laminate:フレキシブル銅張積層板)用PI(Polyimide:ポリイミド)フィルムの2021年世界出荷量(メーカー出荷数量ベース)は、前年比111.8%の6,925tの見込みである。

2021年は、例年であればクリスマスや旧正月などの年末年始特需が一段落する1月~3月にかけてスマートフォン端末の生産量が下がらず、4月以降も成長が続いている。
その他用途では、自動車メーカーのCASE対応により車載電装品の搭載が増え、センサやバッテリーコントロールなどでのFPC(Flexible printed circuits:フレキシブルプリント基板)の需要が拡大している。加えて、xEVの普及で車載用リチウムイオン電池(LiB)の絶縁テープなど、ICT関連以外の用途でのPIフィルム採用量が急成長したことで2ケタ成長を見込む。

2.注目トピック
5G対応を狙い、低誘電正接・低吸水の改良PI(MPI)の開発進む

これまでFPCやTAB、アンテナなどの基板用絶縁フィルムには、超低温(-269℃)から超高温(400℃)までの広範囲な温度領域でも優れた機械的・電気的・化学的特性を有するPIフィルムが主に使用されてきた。従来のPIフィルムは、吸水率1%以上、誘電正接(Df)0.01(10~28GHz帯)程度で、4Gまでは問題なく使用できるものの、5G(第5世代移動体通信システム)レベルの高速・大容量通信では伝送損失による通信の速度・容量の低下が問題となる。
特に5Gの中でもサブ6、ミリ波などSA(Stand Alone)方式の高周波帯域ではアンテナやFPCでの伝送損失を抑制するため低誘電の基板材料が求められており、FPCやTABなどの各種基板の絶縁材料では誘電正接や吸水率をどこまで下げられるかが課題で、PIフィルムメーカーでは改良PIフィルム(Modified PI:MPI)の開発が進んでいる。
また、回路メーカーの中には、5Gスマートフォンアンテナの基板材料として、PIに替わり低吸湿で電気特性に優れたLCP(液晶ポリマー)を採用する動きもある。

3.将来展望
現時点では5Gのインフラが整っている地域は世界的に見ても先進国の都市部に限られており、5G対応スマートフォンの多くは既存の4G LTEの周波数に対応したNSA(Non Stand Alone)製品である。
サブ6やミリ波に対応した低誘電のMPIフィルムは、NSA製品ではオーバースペックであり、端末メーカーの中にはアンテナと基板を結ぶFPCを短くすることで伝送損失を抑えるなどして既存のPIフィルムを使いこなす動きもある。そのため、現状では各社とも低誘電PIフィルムの販売量はサブ6対応グレード、ミリ波対応グレードともにごく一部にとどまっているものと見られ、本格的な需要拡大はSA対応の5Gインフラが整うまで今少し時間がかかるものと見られる。

●調査要綱
1.調査期間: 2021年5月~7月
2.調査対象: 高機能フィルムメーカー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、ならびに文献調査併用

<高機能フィルムとは>
本調査における高機能フィルムとは、ディスプレイ・光学、電気・電子、一般産業用のベースフィルム及び加工フィルムを指し、PETフィルム、Foldable端末カバー用フィルム、低誘電フィルム、MLCCリリースフィルム等が含まれる。

<市場に含まれる商品・サービス>
PETフィルム、MLCCリリースフィルム、PIフィルム、透明PIフィルム、LCPフィルム、PPSフィルム、ウレタンフィルム、透明アラミドフィルム

●出典資料について
資料名:2021 新版 高機能フィルム市場の展望と戦略
発刊日:2021年07月30日
体裁:A4 205ページ
価格(税込):165,000円(本体価格 150,000円)

プレスリリースサイト(yano):https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2773

ウェアラブルセンサを活用した熱中症予防管理システムの実証実験を開始

(株)MEDITAと、東急建設(株)は、建設現場における熱中症ゼロをめざし、ウェアラブルセンサにより取得した連続性のある体温データを解析して発症の兆しを検出する「熱中症予防管理システム」の実証実験を、都内の建設現場で開始した。

工事現場は、屋外作業や、屋内でも空調設備が整っていないなど厳しい労働環境にある。大型扇風機やドライミスト等による暑さ指数(WBGT値)の低減や、休憩場所の整備、水分・塩分の摂取、適切な休息時間の確保、ファン付き作業服などの対策が行われているが、全業種平均の2.5%に対し、建設業は4.9%という高い割合(※1)で熱中症が発生している。

今回実証を行う熱中症予防管理システムは、装着したウェアラブルセンサにより臍部(へその部分)の周辺温度のデータを連続して取得し解析することで、熱中症の兆しを検出するもの。その値を作業中の建設技能者や職長などの周囲の人にも情報送信し、休憩や給水を促し、熱中症を防ぐ。
本実証実験では、熱中症の予兆を判断する方法としての深部体温に着目した(※2)。深部体温は、脳や内臓など身体の中心部分の温度を指し、検温機器を挿入し直腸温を計測する方法が一般的であり、作業従事者に対する計測方法に課題があった。
今回の検出には、MEDITAが開発中のウェアラブルセンサを活用する。臍部周辺から深部体温の近似値データを連続して取得できるため、検出時に与える影響が少なく、作業従事者の身体的負担を軽減して実施することが可能という。

実証実験は、暑さの異なる8月と10月の2回を予定しており、実際に作業を行う建設技能者に終日センサを装着してもらい、取得データの精度や作業中の装着感の調査を行う。

※1 厚生労働省「令和2年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000774750.pdf
※2(公財)日本スポーツ協会「熱中症の病型と救急処置」
https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid916.html

■熱中症予防管理システム(画像参照)
熱中症は身体に徐々に蓄積された熱を排出できなくなった状態であるため、体温の上昇具合が急に変化するタイミングが、発症の判断点となる。通常時から連続して体温データを取得することで、異変の検知が可能になる。
臍部周辺の体温データを常時スマホとサーバーに送信し、体温急上昇など異変が発生した場合アラートを送る。
作業従事者本人のほか、職長や元請社員にもアラート送信されるため、本人に自覚症状がなく作業を続けている場合でも、周囲から休憩や給水を促すことが可能。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000037148.html