「T型回路構造」を採用した MOS FETリレーモジュール「G3VM-21MT」発売

オムロン(株)は、世界で初めて※1「T型回路構造」※2を採用した、MOS FET※3リレーモジュール「G3VM-21MT」を2019年12月2日より全世界で発売。無接点で信号を出力する長寿命で小型の半導体リレーを複数組み合わせて、T型回路構造のモジュールとしたことにより、半導体などの試験装置で課題となっていた「漏れ電流」※4を極小化することに成功した。「G3VM-21MT」により、電子部品の製造における高精度の品質検査と生産性向上の両立に貢献するとしている。

「G3VM-21MT」は、主に半導体の電気的な試験を行う試験装置において、計測信号の切替えを行う機器。小型で長寿命なMOS FETリレーの特長に加え、世界で初めて3つのMOS FETリレーで構成される「T型回路構造」を採用したことで、漏れ電流を極小化し試験装置の検査精度に影響を及ぼさない水準まで抑え、高精度での測定と試験装置のメンテナンス頻度の低減を両立するという。

近年、デジタル化の流れを受け、電子部品の機能は多様化し、生産量はますます増加してゆく中で、半導体の試験装置において能力増強のニーズが高まっている。半導体試験装置で従来、高精度な測定を行う箇所で主に用いられていた接点式のリードリレー※5は、漏れ電流の発生が少ない一方、使用に伴う接点の摩耗や荒れにより徐々に検査精度が低下するため、月に数回、定期的に交換する必要があった。こうしたメンテナンス作業による生産性低下を回避するため、長寿命な半導体リレーの採用が望まれていたが、その特性上、漏れ電流を抑えることは技術的に難しく、高い信頼性を求められる検査装置においては採用が進んでいなかったとのこと。

オムロンは、こうしたニーズに応えるため電子部品事業で培った技術をもとに、「T型回路構造」を採用し、漏れ電流値を1pA(1兆分の1)以下におさえたリレーモジュールの製品化に成功した。半導体リレーの課題である漏れ電流の発生を限りなくゼロに近づけることで、接点式リレーと、小型で長寿命な半導体リレーそれぞれの特長を兼ね備え、試験装置において長年の課題であった、信頼性の向上と、メンテナンスによるダウンタイムの削減を両立した。オムロンは、「G3VM-21MT」の提供を通じて電子部品の生産性を向上し、デジタル化による社会の進化を支えていくとしている。

※1 リレーモジュールとして世界初となる、複数のMOS FETリレーを組み合わせて構成した「T型回路構造」を採用(2019年4月、オムロン調べ)
※2 減衰機(アッテネータ)等に用いられる回路構成を応用した、漏れ電流を極小化する回路
※3 MOS FET=Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor(電界効果トランジスタの一種)
半導体を用いたリレーで、物理的な接点を持たないことから、接点の摩耗などによる劣化が起こらず、長寿命であることが特長
※4 電子回路の内部で、本来電流が流れない絶縁された箇所から漏れ出るように電流が流れる現象
※5 ガラス管に配置された2本の接点付きのリードが、ガラス管に巻かれたコイルの磁束により接点開閉を行うリレー

ニュースリリースサイト(omron):
https://www.omron.co.jp/press/2019/12/c1202.html