Blue Economyと日本・スコットランドの協業(1)

英国大使館・スコットランド国際開発庁
松枝 晃

1.Blue Economy とスコットランド

日本語で言う海洋産業と類似した産業分野を包含するBlue Economyは、OECDの予測によると2030年には$3Trillion(3兆ドル=300兆円)の価値を持つ可能性があるとレポートされている。
Blue Economyの既存の産業領域としては、海洋非生物資源(石油ガス、鉱物など)、海洋生物資源(漁業、養殖など)、港湾(倉庫・備蓄、カーゴなど)、造船(船舶、浮体構造物など)、海運(貨物・人の運搬)などがあり、また新興の領域として海洋再生可能エネルギー(洋上風力、波力潮力)、海底鉱物資源(金属、鉱物)海の防衛産業などを含む。

スコットランドに於いては、1960年台後半に開発が始まった北海油田で培われた豊富な技術がある。特にSubseaと言われる海中で使われる諸技術― 海中構造物、ソナー等可視化・センシング技術、海中での音響・電磁波・光通信、ROV/AUV関連技術などに優れたものがある。これらを新興領域である再生可能エネルギーや海底鉱物資源分野に応用する事や、既存分野でも今後成長が期待できる水産養殖へ応用する事でサプライチェーンを維持・発展させる事が可能と考えられる(図1)。

図1

スコットランドの現状の主な海洋産業を図2に示す。
最大の規模である石油ガス以外に、再生可能エネルギー、水産養殖など地域の強みを生かし今後成長が見込まれる領域で開発が進んでいる。
後述のように再生可能エネルギー領域は、洋上風力、それに続く波力潮力の分野で特に力を入れており、長崎県など日本の地域・マーケットとも関係が深い。

図2

次週に続く-

【著者略歴】
松枝 晃(まつえだ あきら)
英国大使館・スコットランド国際開発庁 上席投資担当官
金沢大学 工学部 電気工学科卒、
1981年オリンパス光学株式会社(当時)。研究開発部門で回路設計、新規事業開拓、オープンイノベーション等経験。
2010年スコットランド国際開発庁。センシング技術を中心に日本スコットランド間の技術案件を担当。2012年から海洋関係。北海のSubsea技術と日本の海洋関連技術のコラボレーションを促進。