製品名
「スマート農業用IoT土壌センサMJ1011」 ラピスセミコンダクタ株式会社
地中のリアルタイムモニタリングを実現
農業分野においてもIoT化が進展している中、収量や品質向上を目的として、様々な環境情報の見える化を実現する機器導入が始まっている。最近では気温や湿度など、地上の環境情報を計測できるようになってきているが、今後は地中の情報についても見える化のニーズは高まるのではないかと考えられる。
ロームグループのラピスセミコンダクタは、土壌の指標であるEC(電気伝導度)、PH(酸性度)、地温の各センサを集積化した一体型の土壌センサ「MJ1011」を開発した。また、このセンサを活用したソリューションとして、環境モニタリングシステム「フィールドスキャンシステム®」、ワイヤレスハンディメータ「MJ8973」もラインアップしており、これらを活用することで地中の情報をリアルタイムに取得できるようになる。
土壌センサMJ1011は、ラピスセミコンダクタの半導体技術をベースにした一体型のセンサであり、ISFETなどチップから内製化できる強みを活かして、小型で低消費電力を実現、加えてコンパクトで使い易いデザイン(図1)を特徴としている。機能としては土壌の基本情報であるEC、PH、地温を計測することで、営農管理、施肥設計等のデータとして利用可能にする。防水性能は土耕、水耕など各種栽培方法に対応できるようIP67に対応している。
また大規模圃場や山間地での利用も見据え、小型ソーラー等の自立電源で利用できるように、消費電力は計測時20mA、待機時27μAと低く抑えている。さらに、実際の露地などの現場では、圃場内での電源確保や配線の引き回しが難しいと言われているため、半導体による低消費電力・小型化技術だけでなく、無線、マイコン、センサを集積したIoT化技術も組み込んでいる。ここで表1にMJ1011の製品スペックを示す。
本センサの具体的な使用方法としては、一般的には根の深さに相当する15cm程度の土壌中に埋設して使用するケースが多い。センサを設置後、灌水しても安定化できる施工を行なっており、土壌中にセンサを埋設したまま使用できるため、リアルタイムの測定データを取得することができる。
次にMJ1011を使った土壌環境モニタリングシステムである「フィールドスキャンシステム®」について説明する。
図2にシステム構成例を示す。機器は管理棟に設置するゲートウエイと圃場に設置するコンセントレータ(中継機)、エンドポイントで構成される。圃場に設置された複数のエンドポイントには土壌センサを接続しており、取得した測定データはサブギガ帯の長距離無線によりコンセントレータまで伝送される。このとき電源はソーラーパネルを用いるため電源の確保は不要である。
本システムの無線方式では、見通しが良ければ500m程度の通信が可能なため、複数の大規模圃場をカバーできる。また、土壌センサの測定データは15分ごとに自動的に収集され、無線でコンセントレータを介して、ゲートウエイからクラウドに上げられる。このように、本システムを使うことにより、ユーザーはいつでもどこでも、手元のスマホやタブレット、PCで各圃場の土壌データを確認することができる。
最後にワイヤレスハンディメータMJ8973について紹介する。本製品は「お手軽に」「低コストで」土壌モニタリングを行いたいユーザーに向け開発した製品で、土壌センサMJ1011を接続してデータロギングを行う機器である。製品スペックを表2に示す。ハンディメータで取得したデータはBluetooth経由でスマホに送信され、スマホアプリでデータを管理する(図3)。
このようにラピスセミコンダクタはスマート農業に向け、土壌センサを中心にしたソリューション製品を提供している。栽培規模の大小から、栽培方式も露地や施設、植物工場など様々な事例に適用可能なため、興味があれば是非下記までお問い合わせいただきたい。
問合せ先
ラピスセミコンダクタ株式会社
〒222-8575 神奈川県横浜市港北区新横浜2-4-8
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問合せ先:
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ホームページ:
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