LoRaWANネットワークの概要と利用事例紹介(3)

(株)エイビット 開発部
古川勇一郎

水位の計測には超音波センサを用いることとした。これは、水圧式センサに比べセンサ自体の価格が安いためである。電源は内蔵一次電池のみでソーラーパネル等の外部電源は不要としコストを削減した。長期運用を実現するため通信方式はLoRaWANを採用し、通信時の消費電力を抑えると共に総合的な低消費電力となるようチューニングを施した。また、センサ・通信部・アンテナ・電源を一体とした軽量・コンパクトな筐体のため、設置コストも大幅に削減することが可能である。

本プロジェクトでは、監視する河川の上流・中流・下流の3箇所に水位計を設置し増水の傾向を把握することとし、注視すべき中小河川等を5河川選定、大学構内の砂防ダムを含む市内合計15箇所に水位計を設置した。 またLoRaゲートウェイは、弊社社屋や市役所、河川近くの学校等の建屋屋上に合計11箇所設置した。LoRaWANの電波到達範囲を考えると1河川にLoRaゲートウェイ1つで足りるが、LoRaゲートウェイに障害が起きた場合でも水位データを取り続けられるよう、冗長化するために監視河川数より多く設置することとした。尚、河川や橋梁等に水位計を設置するには、そこを管理している担当所管への届出と許可が必要なことを付け加えておく。

市役所屋上に設置したLoRaゲートウェイ

次週に続く-

【著者略歴】

1996年 3月 日本電子専門学校電子音響工学科卒業
1996年 4月 株式会社東洋リンクス入社 マイコン関連開発業務に従事
2009年 1月 株式会社エイビット(技術部)入社
2017年 5月 総務省実証事業「八王子防災プロジェクト」に従事